マネージャーが長期休暇でいないため、売り場はカツカツの人員で、しかも責任者が事実上不在と言うこともあり、連日精神的な負担が多い。
K嬢はマネージャー代わりに雑務をこなして、余裕がなくなりつつあるので、周りにいる人間はできるだけ機嫌を損ねないようにしなければならない。
同じミスを犯しても今日は大丈夫でも明日はわからない、と言うロシアンルーレットな状況はこちらの精神状態にもよろしくない。
そんな中、相変わらずのんきなのはユタカ君。
その仕事の要領の悪さ、段取りベタは周知のこととして、店中に認識されつつある今日この頃なのだが、本部からユタカ君あてになにやらお手紙が届いた。
「え〜ッ!マジで〜ッ!?」
どれどれ、と内容を見ると、新入社員研修の講師としてお招きします、と言うようなことが書いてある。
「嫌ですよ。そんなん絶対イヤ」
「いいじゃないですか。こんなボクでも働いてます、って言ってくれば」
と言うと、それは軽く流して、
「だって、そのために販売計画とかきちんと書かないといけないんですよ。そんなの今までまともに書いたことないし、絶対ヤダ」
って、をい。
1年以上いて、販売計画まともに書いたことないってあんた、どういうことですか?
何か違う気がするのはあたしだけですか?
かくなる上は新入社員のIトー君に突っ込んだ質問でもしてもらって、あたふたしてもらいたいと願うあたし。
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