Opportunity knocks
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2004年05月15日(土) 講演会をききにいく

村上龍氏の講演会にいく。
インタビュアーをはさんで対談形式の講演会だったのだけど、インタビュアーがあまりにも月並みなことしか言わないので最初のうちはまったく面白い話がきけなかった。そつなくこなそうというのが露骨にわかるというか、こっちは村上氏のコメントなり考えをもっとつっこんで聞いて欲しいのに、なんだかひとりで無難な結論でまとめてひとりで納得している感じ。
良いインタビュアーというのはただ話をウンウン聴いて相槌をうつのではなくて、それなりの才能みたいなものがないとだめなんだなあということを実感した。例えば話す人の話を受け入れる、消化する、そして疑問を持つ、訊く、そういうことを違和感なくできる人が良いインタビュアーなのかもしれない。
講演会の内容で頭に残ったのは、村上氏が挫折というものがよくわからない、といったこと。自分のやりたいことの本質がわかっていればいつまでもやりつづけることはできるんじゃないか、例えば編集者になるために某有名出版社に就職したいけれど、就職試験ではねられてしまった、で、それが挫折かというとそれは違う、編集の仕事をするのが編集者であって、出版社に入るのがすべてではない、どの出版社でも編集の仕事はできる、ということをひきあいにだして話していた。
ようするに先をみすぎだということ、今この瞬間に自分が何がしたいか何をすべきかということを第一に考えるべきだということがいいたかったんじゃないかな。
自分があきないことをやり続けることが大切なんだということ。インタビュアーはそれもビジネスにつながっていかなければ何もならないんじゃないか、と現実的なことをいっていたけど、村上氏の言いたいことはよくわかる気がした。彼はきっとそんなふうに生きてきて、結果的に今の自分になることができたんだろうな、と。

対談形式に話が進んでいったあと、会場のひとたちとの質疑応答という時間があって、いろんな人が村上氏にインタビューしていたのだけど、そちらの方が前半の話より数倍面白かった。
恋人とうまくいく秘訣を教えて欲しいという他愛の無い質問から、村上氏の研究を専門にしている大学院生(この人は握手を求めて壇上まで上がってきた)の話(デビューから今までの作品の変化についての質問)などなど、会場に聴きに来ている人達(たぶん半分以上が村上龍氏の熱烈なファンだとおもう)の方がよっぽどインタビュアーとしてふさわしいような気がした。

最後に質問した人は小学校の教師をしている人で、村上氏の著書「13歳のハローワーク」に関連して、何にも希望を持っていない無気力な小学生に対して自分はいったい何をしたらいいのか、社会的なサポートとしては何が考えられるだろうかという質問をしていた。話す様子からこの人はいろんなことを真剣に考えている結果、大きな壁に直面しているような感じを受けたのだけど、それに対してさすがに村上氏は難しい問題ですね、と言葉を濁していた。
たしかに意欲、やる気、希望を持っている人間に対してそれをサポートすることは、考えてみるとそんなに難しいことじゃない。そうじゃない人間に対して何ができるかということのほうが実は難しく、そして重要な社会的問題なんだと思う。

村上氏に対してはあまり格別な関心は持っていなかったけど、やっぱり実際に本人を前に話をきくということはそれなりに意義のあることなんだなあと思った。あらたな面とかもみえてきたので、時間があれば初期の作品(限りなく〜、コインロッカー〜)以外のものも読んでみようかなとおもう。


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