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2004年05月10日(月) 手の届かないもどかしさ

市美術館へ「ゴッホ、ミレーとバルビゾンの画家たち」をみにいく。
バルビゾンというのはパリ近郊の農村。ミレーやクールベ、コロー、ルソーなどの自然主義の画家がこの村を中心に絵を描いたので、これらの画家はバルビゾン派と呼ばれている。モチーフは農村であり、そこに住む農民の生活、そしてそれに対する深い愛情と敬意などで、そういうものがどの絵にも感じられた。

ゴッホは絵を描きはじめたときからミレーを深く敬愛していて、ミレーの版画をいくつも模写していたらしい。模写といっても寸たがわず丸写しするわけではなくて、構図はほぼ同じだけど自分の色彩、自分の画風で描いている。そんな絵が展覧会の中にも何点かあって、ミレーが描いた版画や油彩と比較してゴッホの模写が並べて展示してあった。それをみていると、ゴッホがミレーの絵を真似て描くことで何を得ようとしていたのかがよくわかる気がした。
ゴッホは農民の生活、自然を描くことに対してミレーのような情熱を持っていたわけではないけど、でもそのような情熱を何かに対して持ちたいと強く思っていて、それでミレーの絵を描くことによってそれが見つかればと思っていたんじゃないのかな。ゴッホはそのうち大きな街にでてその何かを見つけようとするわけだけど、結局自分ではそれがわからないまま、さがそうともがき続けたまま人生を終えたんじゃないかと思う。そういうもどかしさ、手の届かないものに対して懸命に手を伸ばしている、そんな気持ちがゴッホの絵をみているとひしひしと感じられる。

ミレーはその点、自分の求めるものが明確にわかっていて、しかもそれを表現するすべをちゃんと持っていた気がする。なので、ミレーの絵をみるととても落ちついた静かな着持ちになれるのだと思う。

ただ見せる、というだけではなくて、今回の展覧会のようにふたりのまったく違う画家を対比させるという意図を持った展覧会が最近開催されるようになって、観る方もいろんな見方ができる気がする。これからはこんな感じの展覧会が増えていくんだろうなあとおもう。
見ごたえのある展覧会だった。


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