日記

2005年12月28日(水) 『アマデウスデュオ』



とあー。ましろきおさなご強化週間、おりかえしの三日目です。
多分今日のが一番長いと思うのです。更に暗くなりはじめるのです。わあ。


こんばんわ、ほんまに感謝デイなのかこれ。もえぎです。
本人が言ってりゃ世話ないですね。
むー、少しでも楽しんで頂ければと思っているのですけれど。
やっぱり心配してしていたのですが、拍手が嬉しく見に染みます。
うう、ありがとうございます。がんばりますので、もうしばしお付き合いを!

昨日のお話で、初書きなのかどうなのかよく分からないと言っていた彼。
実はかなり楽しく書けたりしています。
今日のお話にも出ているのですが、かなりうきうき書きました。
おかしいですね。わたし、ああいう人は苦手なはずなのですが。
大人の人で、男の人で。頭が良くておっきくて。
本来なら一目散に逃げ出すような相手ですのに、何故だかすらすらでした。
おかしいなあと、思っていましたが。ふと気付いたこと。
お話にこそ書いてきませんでしたが、わたしはいつも意識していました。
原初のふたりを書くときは、常に彼の存在を背景においていました。
もし今までの原初のふたりを読み返して頂ければ、
そこかしこに彼の名前が登場しているのに気付かれるやもです。
とってもとっても尊敬している素敵サイトさまに、とってもとってもかっこいい彼がいます。
そのサイトさまの、彼とおさなごの関係が大変素晴らしいと思いまして。
いつも間にやら影響を受けたようです。優しい、知的な、お兄さんという。
……いっぺん、謝りに伺うべきでしょうか(不安)
なかよし、ほんわか原初の『三人』。
そろそろ藍色のウロボロスが鎌首をもたげてきます。


そいで二日連続で全く関係ないのですが、まだロマサガ3にキュンキュンしてます。
サントラがキュンキュンしすぎるのですよ。
でも曲によっては『……ここは左の白でリズムやな』とか、
『うああ嫌や。こんなハイハットの刻み嫌や。RIGHT ON TIME譜面や』など。
音ゲー譜面の見方をしてしまってちょっと切なかったりもします。
ロビンさまのテーマはVが!V譜面が入りますよ!(笑)
キャラの曲、トム兄の曲がやさしくてうきうきです……トム兄大好きです。
エレンさんも、サラさんも、カタリナさんもユリアンの曲ものんびりできます。
歌詞をつけて、遊んだりしたのが懐かしく思い出されます(苦笑)
ポドールイの曲にも歌詞つけたものです。いまだに覚えてます。封印ですが。
あと、ロブスターの名前がなかなか思い出せなくて考え込んでいました。

『なんやっけ…なんやっけロブスター……仲間にしたことないからなあ。
なんか、やたらアメリカンでワイルドな感じがしたのはおぼえてる。
ネルソン?…それは長くつしたのピッピか。
ニクソン?…これは大統領。
ブロンソン?……ポップンやろそれは!!ああなんやっけ…』







ボストンでした。










『ん』しか合ってないですよもえぎさん。
まあこんなアホ話はおいといて(本当にアホ話だ)
いいかげん、ましろきおさなご強化週間三日目、GO!です!





『アマデウスデュオ』(ましろきおさなご強化週間そのさん)

 そろそろ修学の刻限ではないか。柱廊に伸びる影の長さから、現在の時間を目算した青年は、片腕にかかえた書物へちらりと目をやった。彫刻のように整った容貌、猛禽めいた黄金の瞳。文武に優れた美丈夫がそこにはいた。
 まだ時間はあるかと、彼が歩みを緩めた瞬間、ふと鼓膜がぱたぱたという軽い音を捉えた。双眸もあるものを捉えた。正面から駆けてくるその者の、躍動や、呼吸さえ聞こえた気がした。自分めがけて走ってくる者の正体を考えるまでもなかったし、警戒するまでもなかった。相手の、屈託のない満面の笑みについつられて、石膏のような彼の表情に、淡い笑みが灯った。
「カイーン!!」
「アベル。すまぬ、遅れてしまったか」
「ううん、カインは遅くないよ!ぼくがいつもより、早く来てただけ」
「そうか」
 時間を読み間違えたかと思った青年の言葉を、こどもはすぐさま笑顔で打ち消してしまう。そして随分と高さの違う視点をもったおかしな二人組みが、並んで歩いていると、こどもは嬉しそうに彼を見上げて色々な話をしてくる。今朝の食事のこと、魔法の練習のこと、体術の訓練のこと。他愛のない、日常的なことを、こどもはさも冒険を繰り広げたとばかりに、両腕を広げてまで説明する。いきいきと身振り手振りで報告してくる相手を無碍にするでもなく、青年は薄い微笑のまま、軽く相槌を打ってやったり、時折大変有用な助言を与えたりしながら、聞き手に徹していた。歩く速度をこどもにあわせてやっているのに、彼自身気付いていなかった。
 くるくるめまぐるしく表情を変え、臨場感たっぷりにお話を繰り広げるこどもの言葉の中に、ふと彼が興味を抱くものがあって。ああ、思い出した、とばかりに口にした。
「そういえばアベル。先刻、お主の木炭画を見てきたぞ」
「えぇっ。そ、そうなの?」
「うむ。見事だった。たいしたものだ」
「そうかなあ。ぼく、まだまだへたくそだよ」
「いや、単色であれだけ豊かに森を描写出来るなど、思いもしなかった。誇って良い技量ぞ」
「……そうなの?」
「ああ。我などにはとても真似の出来ぬわざよ」
「うぅー…そっかあ。じゃあ、もっと練習しないとね!」
「随分と意欲に満ちておるのだな」
「うん!だってぼくね、いつか、もっとたくさんの色をつかえるようになりたいんだ!」
「顔料を欲するのか?ラムズを用いて探索させれば、即座にお主の元へ供えられように」
「ううん。そうじゃなくてね」
 ここでふっと一呼吸、間をおくと、こどもはきょときょと落ち着きなくがらんとして人気のない周囲を見渡し始めた。一体どうしたのだろうと、予測不可能なこどもの行動を純粋に不思議に思いながら、彼は待つ。そうして暫く経つと、傍目にはよく分からないが、どうにか安心できる状態だとこどもは判断したらしい。可愛らしい声をひそめ、あのねあのねとひみつめいてささやく。うんと背伸びをしてもまだ届かない彼の耳元へ向かい、彼も咄嗟に身をかがめてやり、こどもはあのね、と切り出す。

(あのね、ないしょだよ。誰にも言っちゃだめだよ!)
(ああ。我は盟約を違えぬ)
(エレハイムにも、ないしょだよ!)
(……誓おう)
(うん。カインはきっとだいじょうぶ。カインにだけ、言うね)
(光栄の極みと思おうぞ)

 しかつめらしく、とてつもなく真面目に返してくる、うんとおおきな青年に、こどもはくすくす微笑む。一方青年はというと、耳朶に絡みつくちいちゃな声が、なにやら仔犬にじゃれつかれているようで、どうにもこそばゆい。しかし彼は、あくまで理性的に対処する。たとえ子供であっても、いや子供だからこそ、慇懃なほど丁重に受け答えをする。自身の性格もあろうが、こども相手に権謀術数は通じない、即座に見抜かれてしまうことを、彼は知っていた。こどもとある時は、策謀など巡らさない。自らの思うがままに言葉を紡ぐことができる。ゆえに青年は、ましろきおさなごと共に時間を過ごす際、自覚すらしないほど心安らがせていた。
 こどもが、ひみつをばらまいた。受け止めた青年の虹彩は、一瞬、針のようになった。

(あのね、ぼく、いつかエレハイムを描いてあげたいんだ)
(今のぼくじゃあ、だめなの。ちっともエレハイムを、エレハイムらしく描けないから)
(エレハイム、とってもきれいでしょう?夜明けの虹みたいにきれいでしょう?)
(ぼく、とびっきりきれいにエレハイムを描きたいから、あざやかにエレハイムを描きたいから)
(だから、いっぱい練習して、たくさんの色をつかえるようになりたいんだ!)

 ――ああ。母よ。母よ。御身は確かに美しい。我らの母であり、神の娘である貴方を、このこどもは、貴方自身としてしか見ていない。げにおそろしきおさなごの澄明さ、玲瓏さよ。我はそれを畏れ、それを羨み、それに焦がれるのだろうか――
「ぼくとカインだけの、二人だけのひみつだよ!」
 目眩にも似た感覚に彼が襲われているとも知らず、こどもは大きな瞳をくるりと動かして、また微笑む。きらきらと光そのものを辺りにふりまくような笑みだった。存在自体が光なのではなかろうかと、彼は瞬間思ったが、すぐさま愚かなことよと振り払う。そして何事もなかったかのように、ぎこちなく笑みを返す。
「ああ。誓おう」
「約束、ね!」
 そう笑い、小指を差し出してくるこどもの仕草の意味が分からず、ぽかんとしている彼に、きょとんとしたのは相手のほう。しかしこどもは利発な子であったので、すぐさま青年が行動の意味を知らないのだと気付いて、説明を始める。おさなごに大の大人が約束ごとのまじないを教授して貰っている光景は、なんとも不思議に映るだろうが、彼は構わなかった。漸く二人とも得心がいったところで、じゃあ、とまたこどもが指を差し出す。今度は動じることなく、彼はその指に、自らの小指を絡めた。
 こどもが呪文を唱え終わり、ぷちり、と誓約の指鎖が断ち切られるのと時を同じくして、彼は軽やかな足音に気付いた。
「あら、二人とも。何をしてるの?」
 振り返る青年と、少し狼狽した様子のこども。二人の眼差しの先で、なよやかな微笑をたたえているのは、他でもない『母』であった。
 暁色の髪を砂漠の風に揺らし、慈愛に満ちた紫苑の瞳はあくまであでやか。優婉に微笑みながら近付いてくる彼女に、青年は会釈を捧げた。
「母よ」
「こんにちは、カイン。もうアベルのお勉強の時間だったのね」
「否。刻限には少々到りませぬ」
「それじゃあ、どうして二人でいたの?」
 彼女としては、ただ単に気になっただけなのだろう。こくりと小首を傾げて訊ねてくるさまに、悪意など微塵もない。しかしほんのついさっき、『二人だけのひみつ』を交わしてしまった身としては、上手く解答をそらすのが困難な話題と思われた。それが証拠に、彼女の姿を目にすると、一目散に駆け寄ってゆくこどもが、どうしたものかと青年の後ろでまごついている。うう、だの、ああ、だの、と言葉にならない声を発しているさまから読み取るに、どうしたら上手に嘘をつけるのかが分からない、といった様子だ。まだまだくもりなきこころのままである、ましろきおさなご。大好きな娘に向かって堂々と嘘を吐けるほど、大きくはない。
 ゆえに、ならばこれは我が責務よと、青年はすらすらと答える。
「アベルが大変に勉学熱心で、疾く修学を、と我に訴えたのです」
 驚いて顔を上げるおさなごに、青年はちらりと視線で答えた。言葉なく交わされる、ひみつを共有した二人の会話に、娘はちっとも気付かなかった。
「まあ、なんて感心なことかしら」
「然り。まこと、見上げた心根」
「じゃあ、がんばりやさんのアベルとやさしいカインに、お茶を淹れましょうか」
「汗顔の至り」
「後で部屋まで持って行くわ」
 好奇心旺盛なこどもと、それに付き合う青年に、素直に感心したのだろう。大輪の微笑をたたえたまま、あまいものは何にしようかしらと口にする娘は、ね?と言わんばかりの眼差しと笑みをこどもに向ける。平生ならば、つられてにっこり返すこどもであるが、小さな胸に秘め事を抱いたままでは、いつものようには振舞えない。なのに優しく微笑んでくれるだいすきなひとが苦しくて、とうとうたまらずこどもは声を上げた。
「あ、あのねエレハイム!ぼく、さっきカインとひみつの約束してたの!」
「ひみつの?」
 しまった、とばかりに、傍目にはちっとも分からないくらい眉をひそめた青年の前で、暁の娘はきょん、と瞳を見開いている。せっかく上手く隠し通せたと思ったのに、とうの本人が暴露してしまった。だが青年にこどもを責める気持ちはさらさらなかった。ただ、どうしたものかと明晰な頭脳を総動員し始めていた。
 その前で、こどもは少し潤んだ大きな瞳で、娘を見上げる。
「でもね、それは二人だけのひみつのないしょで、カインとゆびきりしたの。エレハイムにも言っちゃだめだよってぼくが言ったから、カインは嘘ついてくれたの。でもでも、カインは悪くないんだ、ぼくがお願いしたんだから!いけないのはぼくだから、それで、あのね……!」
「アベル」
 言っているうちに、どんどん悲しくなってきてしまったのか、こどもの瞳の表面張力が限界に達している。だんだん歪んでくる表情は、今にも大声で泣き出してしまいそうなもの。だがこどもは、自分のせいで嘘までつくことになってしまった大好きな兄代わりの青年を庇おうとして、必死に言葉を連ねる。しかしやはり拙いこどものそれ。上手く言い表すことができず、声がひきつりそうになってきたこどもに、娘はふわりと屈みこむと、目線の高さを合わせて、婉然と微笑む。やわらかに名を呼ばれたこどもは、くすんと小さく鼻をすすりながら相手を見やる。
「アベルと、カインだけの、ひみつのお話してたのね」
「うん」
「それを守るため、カインに嘘つかせちゃったと思って、かなしくなったの?」
「……うん」
「アベル。嘘の全てが悪いものではないのよ」
「そうなの?」
 知らなかった、とばかりにきょとんと瞳をしばたたくこどもに、娘はだきしめるような微笑で応じる。傍らで目撃することとなった青年は、半ば呆然としていた。自らひみつを打ち明けながら、必死に自分をかばおうとする、嘘などついたことのないこどもと。そんなこどもを受容し、優しくあやしてやる娘。両者の、彼には計り知れない絆のあり方に、愕然としたのだった。
「ええ。カインのついてくれた嘘はね、アベルを守ろうとして、約束を守ろうとして使われた、とても優しい、良い嘘よ」
「いい嘘があるんだ」
「そう。すべてのものが悪いのではないの。だから、アベルも、悪くはないわ」
 やわらかに断言すると、何よりの証拠とばかりに、娘は艶やかな華の微笑をこどもに向ける。重々しい嘘の鎖に押しつぶされて、息も絶え絶えだったおさなごは、彼女の伸ばしてくるしなやかな腕に、涙まじりの笑みを返した。くすんくすんという声はもうない。いつものように、くもりない、何処までも何処までも透き通った笑顔が戻ってきた。
 ふたりの間に生じる、途方もないおだやかさやさしさに、青年は言葉をなくしていた。羨ましいなどとは思わなかった。思ってはならないと、自らを賢明に律していた。あのこどもを憎むわけにはいかなかった。

「いつか、きっと、エレハイムにもおしえるから!」
「ええ。その時を楽しみにしているわ」
 ひみつをしているのを前提に交わされるひみつの約束。よくよく考えれば何かおかしいような気がするが、このふたりの場合は構わないのだろう。両者合意の上なのだから。にこりと微笑みあうと、それじゃあお茶の支度をしてくるからがんばってねと言い残し、彼女は歩き去る。後に残るは、青年とおさなご。
 実にすまなさそうな表情で、幼い顔が見上げてくる。すっかり弱り果てた眉をして、しゅんみりとした眼差しを投げかけられては、小難しいことなど考えていられない。本人には申し訳ないが、ついつい口の端に笑みが滲み出てしまう。
「ごめんね、カイン。ひみつだったのに」
「お主が納得しているのなら、構わぬよ」
「カイン、きちんと嘘までついてくれたのに……」
「いずれ、母にも告げるのだろう?ならば盟約は三人のものと考えて良かろう」
「?どういうこと」
「そもそも盟約は三人のもの。母に告げるまで、少々期間を置くだけのこと、というわけだ」
「あ、そっか!じゃあエレハイムには、ちょっとの間だけ、ひみつなんだね!」
「然り」
 青年の答えに、こどもは両腕を振り上げてまで喜んでみせる。わあいわあいと歓声を上げ、散々はしゃぐ。頬を染め、瞳はきらきらしく、黒髪を砂漠の風に踊らせる。他愛のない、ごくごくささやかなことであろうに、こどもは全身全霊をこめてよろこぶ。その単純な反応に、くすぐったいような微笑ましさと、本人さえ知らない裏に潜む僅かに暗い嫉みを、青年は抱いていた。
 彼はさあ、とこどもに声をかけ。あえかな微笑を灯したままで、そろそろ刻限ぞと告げる。こどもはそれを嫌がるでもなく、はあい!と元気な返事をすると、舞うような足取りで柱廊を駆けてゆく。急いで急いでと青年を急かす幼い声に、ああ、と答える朗々とした声の主は、ついぞ見たことのないほど、穏やかな表情を浮かべていた。
 暫し後、茶器と菓子を載せた盆を持って現れた娘は、輝く笑顔で本から顔を上げるこどもと、つきそって文字を教える青年に、胸をあたためた。お勉強は一時中断、美味しいお茶とお菓子で一息入れる僅かな時間、笑い声が絶えることはなかった。慣れた手つきで茶を注ぐ娘に、不慣れな手つきで杯を持つ青年は礼を言い、こどもは頬に菓子の欠片をつけていた。それを娘はくすくす笑いながら取ってやり、青年はぎこちなくも自然な微笑を浮かべ、こどもは声を上げて笑った。皆、ひみつのないしょを抱きながらも、それはそれはあたたかな気持ちになっていた。
 青年が娘を殺し、青年がこどものこころを殺すなど、この時誰が考えようか?

 凡てを識るのは、闇に蠢くインディゴのウロボロスだけ。


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