| 2005年12月27日(火) |
『アマデウスハーモニーナンバーナイン』 |
うりゃー、年末お客様感謝デイ進行中ー。本日二日目。 しかしふと、今日になって気付いたことがあります。
こんばんわ、この企画ってもしかして意味ない?もえぎです。 や、ほら年末といえば師走なわけですよ。皆さま忙しいのですよ。 そんな中、年末に連日更新してもお客様それどころじゃないですよねえ。 多忙を極めてあわあわ働いてはるのでしょうし。 こんな荒野の辺境をおとなうほど、お時間はないのでは。 それにそもそもこんなマイナーな子メインのお話ですし。 わあ。考えれば考えるほど意味がないと気付き始めました(笑) でもまあ…年明けて、正月番組は面白くないしで。 それで暇つぶしにうちのような辺境サイトにぶらぶらといらっしゃって。 おおーこのアホこんなことしとったんかあーと、目を通してくだされば。 そんな風でも良いやもしれません。ログとして。うむ。
はてさてそんなわけで、ともあれ二日目のお話です。 今日は昨日に比べ、ちょっぴり長めです。でも一番長いのは明日です。 原初のこども。前に言うておりました、原初のふたりプラスワンです。 すみません、今回もしかすると物凄く悪乗りしてるやもしれません。 けど、凄く楽しかったです。ものっそい楽しかったです。 初書きなのかどうかのか少し悩む人物を、原初のふたりと共に書いてみました。 ああいう人を書くのは苦手なはずなのですが、えらくすらすらいけました。 原初のふたりと、こういう関係でいてくれたらなあ…という願いです。 ふふふ、さて、わたしはいったい誰を書いたでしょう? あ。あとですね、題名もちょい悪乗りですね。 年末ですがあーれんめんしぇんなナンバーナインではありません。アマデウスですもの。 むしろcapsuleさんのSpace station No.9です。ぱっぱやっぱーです。 なんか語呂が良かったのでアマデウスもなんのそのでつけてみました。 ただのノリです。ごめんなさい。 そしてこのましろきおさなご強化週間、明日から暗くなるのですよ。 つくづく意味ないですかこの企画。わあん。
それから全く関係ないのですが、 ロマサガ3のミカエルさまのテーマが頭から離れなくて困っています。 昨夜久々に聴いたら何故か延々と。真っ先に聴いたのは我らがロビンさまですけどね! 次はトレード。ああ買収したい。カタリナカンパニー最強にしたい。 でもミカエルさま、あんな壮大な曲で町中歩き回るのはどうなんですか。 さりげなくユリアンの曲が心地良かったりします。 くうしかしトレードが。メッサーナキャラバン潰したい。 そう、圧倒的な資金力の差で弱小企業を叩き潰す!あの感触、あの昂揚感! 天から降り注ぐ黄金色の山は全てわたしのものですふはははは。 ……ロマサガ3しようかな(未クリア)
『アマデウスハーモニーナンバーナイン』(ましろきおさなご強化週間そのに)
るんらる。その日もこどもは、ごきげんだった。知らず知らずにらんらんと、可愛らしい歌声を零してしまうほど。ぱたぱた駆ける軽い足音は、砂漠の宮殿において、こどものみが持ちうるもので。重厚な造りの柱廊を、楽しげに跳ねるような足取りでくるりくると舞うのもまた、こどもだけだった。 らんらる。ちまりと束ねた黒髪を揺らして走るごきげんなこどもは、更にごきげんになってしまうだろう、すてきなことをみつけた。角を曲がった向こうの廊下、柱にちらほら見え隠れする、暁色の長い髪。持ち主など考えるまでもない。こどもはにっこり満面の笑みをたたえると、彼女のもとへ馳せようとした。 ところが暫く経って、こどもはなんだかおかしなことに気付いた。
暁色の髪を持つ娘の前に、数人の丈高い若者たちが立ちはだかっている。身にまとうものの豪奢さから、彼らが高い地位にあることがすぐさま見て取れる。娘は別段怯えた様子もないが、相手の表情が平静なものではないと直ちに感じ、やや身構えているようだった。 若者らが、娘にずいと詰め寄る。少々神経質にひきつった声音は、追い立てられた動物の、生命をかけた叫びにも似ていた。 「母よ!!」 「どうしたの?貴方たち」 「……なにゆえに母は、あの呪い子へ情をかけられる!?」 「呪われし鬼子、鋼の方舟より堕ちし忌み子!」 「やがては消去されるべきものよ!」 「にも拘らず、母は我らよりあの呪い子に時を割いては微笑を送る!」 「当初は、いずれ粛清される子羊への憐憫と思うておりました」 「我らが母は母であるがゆえに」 「されど母は、変わらず呪い子へ余りある情を無為に注ぎ続ける!」 「待ってちょうだい!確かに…確かに私は母です」 「左様。厳然たる事実」 「貴方は我らのやんごとなき母であらせられる」 「二人の母が一人」 「そう。けれど、私は母だけれど、貴方たちを産んだのは私ではないの!」 「我が子への愛を持たれぬのか!?」 「なんたる汚辱、なんたる責苦!」 「我らは母の子であるというに!」 「違うの!あの私もまた…私です、でも今ここにいる私は、あの私ではないわ!!」 「否!母は母であらせられる、我らが至高の母であらせられる!!」 「御自らを否定なされるとは!」 「ならば我らの存在を如何に思われるのか!?」 「ああ違うの…どうしたら……どうしたら、分かってもらえるかしら……」 「母!!」 会話の内容は、こどもには難解すぎて分からなかった。だが、急いで駆け寄り徐々に近付くにつれ、だいすきなひとが顔を歪めて両手で覆おうとし、若者の一人が彼女の細い腕をぐいと力任せに引っ張るのは見て取れた。だいすきなひとが、泣き出しそうな顔をしているのは理解できた。 ぐっと奥歯を噛み締めて、幼い顔立ちを可能な限り厳しくして、全力で走ってきた勢いをそのままに床を蹴った。
「エレハイムをいじめちゃだめー!!」 未発達な腕をできるだけ突っ張って、大きく広げて。相手の手を跳ね除けて。紫苑の瞳を驚きに見開いている、背中側の彼女の様子など分かるわけもない。咄嗟に若者たちと娘の間に飛び出したこどもは、小さな背に、だいすきなひとを庇って、懸命に声を上げた。 驚いたのは娘だけではなかった。予期せぬ妨害に意表をつかれたのは、とうの若者たちもだった。だが彼らの驚愕は、娘とは異なり、すぐさま赤黒い憎悪に歪められた。 飛び出してきた凛呼たるおさなごに、手を払われた若者は、あからさまな悪意を顔に浮かべると、わななく腕をそのまま振り下ろそうとした。小生意気にもこちらを真っ直ぐ見据えてくるこどもを、思い切り打ち据えてやろうとして。気もふれんばかりの憎しみに、あるいは、たまらないほどの羨望に。 「この…!忌々しき私生児があぁっ!!」 「やめ…!」 呪いの言葉を吐いて腕を叩きつけようとした若者と、少し顔を歪めただけで瞬くこともなく目を逸らしもしないこどもと、必死におさなごをまもろうと叫んだが手も声も届かない娘と。 それぞれが交錯したとき、突然辺りは水を打ったように静まり返った。
「我らが法院は、稚き幼子に手を上げるほど余暇に恵まれておろうか?」 朗々とした声が響いた。低く、重々しく、しかし快い声音。うっすら瞳を滲ませていた娘は、安堵にまたまなこを潤ませた。両手を広げて固まってしまっていたこどもは呆然と見上げていた。逞しい腕に遮られ、真正面から冷ややかにねめつけられた若者は、脂汗を浮かべて凍り付いていた。腕と声の持ち主は、淡々と言葉を続ける。 「それとも。次な刻限に行われる地上統括における案件の議論より、主らは此な事象を優先すべきと判断したか?」 猛禽を思わせる黄金の瞳は冷たいわけではないが、ただ鋭く、そして強い。覗き込まれると、後ろ暗いことや何もかもを見透かされるような錯覚をおぼえる。色素の薄い髪、涼やかな叡智を宿した彫像のような相貌。そして何より、王者然とした丈高い偉容は、青年が若者らよりなお高位な存在であると知らしめていた。 「疾く。答えよ」 「くっ……!」 眉一つ動かさない青年を前に、ひやり、と首筋に刃を押し付けられた気がして。答えることもままならず、短い声を残すと、若者らは逃げるように去っていった。何事もなかったかのような静寂が辺りに戻り、聞こえるのは砂塵の音だけになった頃、青年はゆるりと娘に会釈を捧げた。 「母よ。瑕疵などありませぬか」 先程と、それほど声の調子が違うわけではないのに、うってかわって柔らかな声音でいたわられ、娘ははっと我に返り、小さく安堵の吐息を一つ落とした。重苦しいそれを胸から締め出すと、彼女は青年に向けてやんわりと微笑んだ。 「ええ…大丈夫。ありがとう、カイン」 「否。我は遅れ馳せた身。御身がご無事で何より。我よりも…母を守護せしものはおりました」 ぴくりとも表情を動かさずにいた青年が、ふと目元を和ませる。彼の口の端に、ささやかすぎる微笑が灯った。娘でなければ気付かないほど、ごくごく些細な笑みだった。青年の言わんとすることをすぐさま察知し、彼女は満面の微笑でそれに応じた。 「そうね。ねえ、アベル?」 しかし青年と娘は、予想外の光景を目撃することとなり、目をぱちくりすることとなった。誰よりも先に駆けつけて、誰よりもうんと勇敢に戦ったちいさな戦士様は、まだ両手を広げて虚空を見つめたまま、押し黙っていたのだから。 きっとすぐさまいつもの愛らしい笑顔を見せてくれるだろうと考えていた二人は、顔を見合わせ驚いたが、すぐさま行動に出たのは娘だった。青年は、傍目には酷く分かりづらいが内心とても困惑していた。常に冷静沈着な彼が、子供のようにきょとんとした顔をしているのを見て、くすりと微笑む余裕があるのは、娘だけだったから。 「アベル?ねえ、どうしたのアベル?」 こどもの側に屈みこむと、優しい旋律のような声で名を呼ぶ。強張ったままの小さなてのひらを取り、そっと両手で包むと、ぴくりとこどもの体にわななきが走った。つい、と一筋の汗が頬と伝い落ちるのに、漸く娘は気付いた。 なんとなく状況が飲み込めてきた娘と、どうしてよいやら全く分からずただ眺めている青年の前で。こどもはまだ声なく立ち尽くしたまま。彼女はそっと唇を湿すと、言葉を選んでゆっくりゆっくり話し出す。 「アベル。守ってくれて、ありがとう。私、とっても助かったし、とっても嬉しかったわ」 両手で温めてやるち幼いたなごころを、優しく優しくさすってやりながら、紫苑の双眸はじっとこどもの瞳をひたり、と見つめて。 「カインも助けてくれたわ。だから、もう、だいじょうぶよ」 そう囁かれて。やっと、こどもが動いた。顔を傍らの娘に向け、相手を見つめる大きく見開かれたままの深遠宇宙の瞳には、大粒の涙が盛り上がっていた。 柱廊に大音声の泣き声が響き渡るのに時間はかからなかった。
「そうね。怖かったのね。当たり前だわ、私も怖かったもの。でも、私を守ろうとして、怖いのをうんとうんと奥に閉じ込めちゃってたのね」 娘の腕の中へ飛び込み、わあわあと泣きじゃくるこどもをあやしながら、おさなごへ言うように、青年へ説明するように、やわらかな声は抱き締める。 「ずっとずっと我慢して…頑張って。カインが来てくれて、やっと安心できたのだけれど、上手く怖いって感情を表に出せなかったのだわ」 「つまり、恐怖が遅延して到来したと?」 「ええ、そうみたい」 どうにか眼前の出来事を理解しようとして答えを導き出した青年に、娘は正解と告げる。よしよしと撫でたり、揺らしてやったり、けれどもとにかく抱き締めて。思いっきり感情を爆発させて、怖かったことを今怖がっているこどもを、ひたすらにいとおしむ。 「器用だけれど…やっぱり不器用なのよ」 ふ、と母の目を横切る遥かな悲哀の翳が見えたような気がして。思わず青年は目を眇めて捉えようとしたが、かなうわけもなかった。そうしている間にも、娘の腕の中にいるこどもの声が、漸く多少落ち着いてきて。しゃくりあげるくらいになってきて。真っ赤な目元を乱暴にぐしぐしとこする手を、娘がほどいてやろうとする。青年には、この光景がよく分からなかった。体験したこともないし、文献等で知識として得たこともないからだ。しかしそこはかとない快さと、その億分の一にも満たないかすかすぎる痛みをおぼえた気がしたが、青年にはやはりよく分からなかった。 よく回らない舌で、気持ちを伝えようとするこどもだが、うんと泣いた後ではそれは無理というもの。ただでさえ今は頭がずきずきしているだろうに。それを心得ている娘は、ただただこどもを受け止めて、あまい微笑を絶やすことがない。一体これは何なのだろうと、青年は怜悧な頭脳で分析を試みようとしたが、それは娘の声により打ち消された。 「ねえカイン。貴方、アベルを寝間に連れて行っては貰えないかしら?」 「我が?」 思いがけない提案に、少々面食らってしまう。しかし相手は母。逆らっても良いものか、そもそも今母からこどもを引き離すのは酷ではないのか、などと様々な考えが脳裏を巡るが、とうの娘は微笑を崩しもしない。 「ええ。頭が痛むだろうから、少し横になったほうが良いと思うの。私は何か飲み物を用意してあげたいし」 「されど次な刻には会議が」 「ミァンには私がお願いしておくわ。カインにお休みをちょうだい!って」 「……母の仰せのままに」 悪戯っぽく片目を瞑って微笑んでみせるやんごとなき母に、青年は薄い微苦笑を浮かべた。この母や、このこどもは、まったく自分の思いもしないことをやってのける、と感心さえしていた。会議は踊るだろうが、たまにはこのような展開もあって良いやもしれぬ、と彼は真面目至極に考えた。 その前で、娘は次から次へと想像を広げる。腕の中では泣き疲れたこどもが、うとうとと小さく舟を漕いでいるので、浅い眠りを妨げないよう極力声を抑えている。 「カインのぶんの飲み物も持っていくわ。果物の余りでもあれば良いけれど…あ、もしアベルが目を覚ましたら、少しお喋りしてあげて。ご本を読んであげても良いわ。アベルはカインのお話が大好きだもの。カインがお勉強見てくれるようになってから、アベルやる気まんまんなの」 彼の知らないようなことを次々に教えてくれてから、そうっと娘はおさなごを渡す。慣れない手つきで、壊れ物を扱うようにおっかなびっくりこどもを抱き上げる青年に、彼女はやわらかに目を細めた。それじゃあとお互い暫しの別れを告げてから、彼は生まれてこのかたこれほど一歩一歩を慎重に歩いたことはない、というくらい慎重に足を進めた。揺らさないように。起こさないように。知らず知らず、眉間に皺が寄っている。そんな青年の緊張感など何処吹く風で、こどもはすうすうと寝息を立てている。寝間までの道程の遥かさを初めて痛感し、目的地に到達して細心の注意を払ってこどもをベッドに横たえると、彼は何とも言えない疲労感に体中を包まれていた。だが不快なものではなかった。 少し時間が経って、おさなごが目覚め、言葉を交わし話をせがまれ。そうこうしているうちに娘が飲み物や果物を持ってきて。三人集まって、夜が来るまで他愛のないお喋りを続けることになった。ありえないような時間の中で、平生の枠から外れた時間の中で、青年は薄い微笑でふと思う。 このような日も、悪くはない。
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