日記

2005年12月29日(木) 『アマデウスレクイエム』



むやー。年の瀬がおしせまってまいりました。
そんな世の中を無視するかのごとく、ましろきおさなご強化週間四日目です!


こんばんわ、まあ偉そうなこと言いながら今日の話短いのですが。もえぎです。
でもかなりお気に入りの部類に入るお話です。
いつもわたしは、あの子をちいちゃいちいちゃいかわいい子と書いてきました。
今日はもうちょっとだけ大きくなったあの子です。
結局のところほんのちょっぴししか大きくはありませんけれど(笑)
もう、腰の周りにまとわりつくようなおっきさではないのです。
ふと思いついたとき、なんだかほんわりできました。
最後らへんはやっぱりやや暗いのですが、仕方ないと思うのです。
なにせ、原初のふたり。あんな別れかたをしたふたり。
『霧の朝にであい 夜の静寂にわかれた』ふたり。
今思い返すだけでかなしくなるような別離です。
ですからせめて、わたしの書くこのささやかな世界だけくらいは。
しあわせでいてほしいなあ、しあわせな可能性があったらなあと。
ぽつぽつ考えてたら、このサイトがまだ生きてるわけです(笑)
さてさて今日は、ちょっぴし大きくなったおさなごと、そんな彼に気付いた彼女。
ふたりがくすくす微笑みあった、小さなおはなしです。
因みに昨夜の日記に一つ間違いを見つけました。
ウロボロスは鎌首をもたげられませんね確実に。
鎌首もたげたら、しっぽはなしちゃってEDになっちゃいます(笑)
ごめんなさいウロボロス。


>二十八日
・10時の方
わあ、Yさん!Yさんだ!おおよろこびです(笑)
うう、こんな細々とした企画に気付いてくださってありがとうございます。
わたしこそ筆不精で申し訳ありません。
あの時に、もっともっとお喋りしておけば良かったです。もう楽しくて楽しくて。
少しでも楽しんで頂ければ、うきうきしながらやる気まんまんになれます!
今日も含めてあと二日、よろしければお付き合いくださいね。





『アマデウスレクイエム』(ましろきおさなご強化週間そのよん)

 おさなごとていつまでもおさなごであるわけもない。されどおさなごが完全におさなごを脱ぎ捨てるのはまだ遠き日のこと。ゆるやかに時間を歩んでゆくこどもの背が、視線の高さが、ふと自分と同じほどであると娘が気付き始めた頃。それでもやはりまだおさなごである彼は、銀と鉱石の煌きを携えて、彼女の元へとやってきた。
 なんでも、手先の器用な彼が、宮にある、自分の手が届く範囲にあるもので作った装身具らしい。感心しながら見つめる娘の瞳には、成る程、小さな輝きがさざめいている。
 ぶかっこうな形にくだけた輝石の破片。それらを絡め、繋ぎとめる細い白銀の糸。ありあわせの材料でこしらえた留め金。宝物庫におさめられている貢物の類と比べれば、なんとも貧相な、とるにたらない品である。しかし彼女はかつて、おもたげな黄金よりも、彼のもたらす白く頼りない花をよろこんだ。この時も、そうだった。
 彼女だけのために、と。彼がその手で作ったささやかな腕輪。捧げられた幼い供物を、娘は喜んで受け取り、作り手の目の前でまとおうとした。

「……あら?」
「どうしたの、エレハイム?針金、痛い?」
「いいえ、違うの。心配しないで。ただ、ちょっと……」
「あ。留め金、かけにくかった?」
「私がぶきっちょだから。片手じゃうまくかけられないみたいだわ」
「鎖の部分が短すぎたんだね。エレハイムの手首にはぴったりすぎてきちきちみたい」
「ごめんなさいね、アベル。せっかく作ってくれたのに」
「ううん。なら、こうしたらいいんだよ」
「え?」
「エレハイムがこれをつけるときは、いつでも僕がつけてあげるよ」
「はずすときは?」
「もちろん、はずすときも、いつでも僕が側ではずしてあげる!」
「ふふふ。じゃあ、これをつけてたら、いつもアベルと一緒ね?」
「うん。いつもエレハイムの側にいて、ずっと、ずっと一緒だよ」

 くすくす笑いながら片腕を差し出した娘の前で、少年は至極真面目に恭しく、留め金をかける。けれど彼の顔にもまた、隠しきれないほど満面の笑みが浮かんでいた。細い、かそけき光を宿した腕飾りは、ふたりが共にある間、常に彼女の左手首に鎮座していた。ささやかな輝きを零しながら、ふたりの微笑を灯したまま、ありつづけた。
 やがてそれは閃光に彼女ごと貫かれ、血を飾る、夜にちりばめられた星々の涙となった。だがそのことを彼女は知らないし、彼は消してしまったし、母は踏み躙った。
 だからこれはだれもしらないただのおはなし。


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