日記

2004年06月13日(日) ただひとつのよろこばしいウロボロス



どうして今まで読んでいなかったのか。どうして。
ああ理由は分かっていること。これで良かった。きづいた今はただ涙にくれる。


こんばんわ、あの、本、が。もえぎです。
先日もとある本との出会いでえくえく泣いていたわたしですけれど。
今日読了したての本については。もうなんともいえません。
ああ。なんて本だろう。なんておはなしだろう。なんて…方だろう。
かつてわたしはこの本に手を伸ばしたことがありました。でも読まなかった。
伸ばしかけた指を、触れる直前でぴたりと止めてしまいました。よく、覚えています。
本棚になかなか手が届かなかったので、おそらく幼稚園か小学校低学年かそこら。
題名を見て興味をひかれて指を伸ばす。でも題名を考えて疑問をおぼえ指を止める。

『「はてしないものがたり」なら、「はて」がないのだから、
 いくら読んでも読んでも読み終わらないのじゃあ?』
『それならご飯も食べられないしほかになにもできなくなって、困るなあ』

―…だから触れなかったのです。あれっきり。
それを今。十何年もの時間を越えてやっと触れてひもときました。
『何を今更読むのか』と、とっくの昔に読了済みの方は嗤われることでしょう。
でもわたしは頭悪くて無知なので。読むのです。愚かと嘲笑われても。
一番良いタイミングで出会った気がします。今、で、良かった。
なんて方だろう。なんて書き方をするのだろう、ミヒャエルおじさん。
だめです……おもいがありすぎて、言葉が詰まってしまいます。
ただ漠然とおもいます。


『わたしはたぶんあそこへゆきました』


知っているのです、知っていますとも!
金の瞳の君に相応しいお名前を差し上げはしなかったやもしれません。
それでもわたしはあそこへ赴いたことがあるとおもうのです。
もしくは別の国だったのやもしれないです。でも、たぶん、行った。
だからこそわたしはこんなおもいでこんなきもちでこんなことをしている!
本でも、本以外の方法でも。道があったから。
そしてわたしがゼノを好きなのも、この理由ですね。
ゼノギアスがわたしにとってのディ・ウンエントリッヒェ・ゲシヒテだったから。
ええ、「はて」がなかったのですよ。

読み終えたら心臓を殴られたように涙があふれた。
色のある死の切なさにも、白いやさしい竜が死の毒に苦しんでも、
あの勇敢なる少年が胸から血を流して塔から落ちた永遠のようなときも、
決して泣かなかったのに。
ただ、前半の、盗みを犯した少年が読みふけるあたりで瞳を湿らせた程度だったのに。
おはなしが終わり、解説が始まったところで、爆発的に涙があふれた。
思い切り声を出して泣いたのなんて久方ぶりでした。
わけも分からず声を上げて。泣けて、泣けて、ならなかった。
ただ胸がひきつれたように満たされた。

書かないと。書かなければ。
ミヒャエルおじさんみたいに書けないのは当たり前のこと。
わたしはわたしのさえずる指で書くのです。
拙いわたしのインチキメルヒェン。
それが、あそこへ至る扉となるDie Unendliche Geschichteになれたらと。
もっと、深く深く。潜ろう。
ファンタジーとメルヒェンの差異は?単純なお話にこそ力が?
それは国家の守護者教育にあげられていたことに通ずる?
じゃあプラトンかアリストテレスかどちら?
おじさん、おじさん。ミヒャエルおじさん。
大好きです。お会いしたかった。

こんな日には。こんな夜には、何も書かずに休むことなどできません。
いくつかはなしを書き上げてから眠ることにします。


蛇はその尾を離してはならない。この場合は。


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