| 2004年05月12日(水) |
『ビター・スウィート・ア・ラ・モード』 |
ぎゃ。昨日のお題、書きたいこと一個書き忘れてました。 『どうしてエリィは白を選んだか?』。理由。また改訂版出します……。
こんばんわ、なにがどうしたのかわたし。もえぎです。 ええと、本日ものんきに更新です。あは、何かが自分でもおかしいです。 なんだか下調べ不足のまま一時間弱で書けてしまいました。 BGMはストロベリーマシンさんのcrazy kiltです。ちいさなおうちー。 殴り書きとはこのことを言うのですね。最低だー。 お風呂上りの一時間で大絶賛湯冷めしながら書いています。 知らず知らず熱も出ていたらしく、あくちが切れて痛いです、わーん。 そんなこんなでひとりごとみたいなお題更新。 本日のお題は……なんだと思われます?タイトルでもうバレてますね(笑) というか長いよタイトル。そしてちょっと深夜ラジオとかぶってるよ。 で、残りはあと八つ。
『ビター・スウィート・ア・ラ・モード』
『ベリーをつんできて!』
ボウルを片手に泡だて器をかしゃこしゃゆわしながら彼女が歌うように笑うから、彼はふたつへんじでぴゅいと家を飛び出した。 軽い足取りは音もなく、慣れた様子でそこらを駆け回る。さて、彼女のことばが意味することはなんなのだろうと、今更考えながら。けれど、ひょいと親しい茂みを覗き込み、予想通りつやつやと黒光りするはちきれそうなベリーを見つけると、考え事などすぐさま脇に追いやられてしまう。彼はにこりと満足げに笑みを浮かべると、汁気たっぷりのそれを器用な指先で次々と摘み取ってゆく。でも、頂くのはほんの少し。いちどきにたくさん取ったりしたら、今度挨拶に行っても顔を合わせてくれないのだ。欲張りはいけないから、お願いしてちょっとだけおすそわけしてもらうだけ。 赤いベリーもいるよなあ、と残すベリーを選定しながらありかを思案してみるけれど、ふと意識を手元に呼び戻される。みごとに熟れたおおぶりの黒いベリーを摘もうとしたのに、そのベリーはまだ茂みにくっついたまま。やたらに力がこもっていて、なぜだか引っこ抜かせてくれない。 あれ?と驚き首傾げ。よくよく指先を見つめてみて、ああ!と彼はゆるやかに笑った。 「ごめんごめん!お前のぶんだったのか」 決死の覚悟で、むんずとベリーをつかんでフェイと引張りっこするちいさな影。茂みの側のぶなの木に住まいを構えるちいさな主。ふわふわ栗色の子リスに、彼は笑いながら誠心誠意謝罪を述べた。もちろん、摘みかけのベリーはちっちゃなライバルに譲り渡して。 ごめんな、と最後に囁きかけて、彼はひらりと身を翻して、もう一度森に姿を消した。子リスの殿は、ほっとした途端、ベリーをかかえたままその場にぺたりと腰をついてしまった。本人以外誰にも聞こえないような、かすかなかすかな安堵の吐息を漏らして。
それから彼は、目をつむってでも歩ける心地良い森の中を、足音も立てずに走り抜ける。時には新しい月見草の群生地を見つけ、時には器用にひょひょいと枝をつたって幹を駆け上り思わぬオレンジを手に入れて、時にはさまざまな表情を見せるいろとりどりのラズベリーたちに頬を緩めて。 これくらいかな?と腕の中で盛んにあまずっぱく騒ぐ獲物たちを確認し、またやんわりと微笑う。
はやしたてるような下草をさくさく駈けて、馳せて。ことばの真意を楽しみに胸躍らせて、巡らせて。 ばあんっと、静かとは言いがたく、けれど決して乱暴などではなく、扉を開け放つ。
「ただいまっ」 「さあ、パティシェのご到着ね!」
ほっぺにクリームつけたまま、三角巾の彼女が振り返る。さんさんと輝くような微笑は、さっきつかまえた太陽の果実に似ていた。きらめきさざめくようないたずらっぽい声音は、やっぱり歌のようだった。ここでエリィはようやく、ひみつを明かそうとした。ひみつの答えを、彼の視界から舞うようにどくことにより、おひろめした。 くすくす笑う彼女の前にあったのは、ふうと息をふきかけるだけで、ふるふる崩れてしまいそうな、おっきなプリン。あまいバニラが離れた彼のところにまでその腕を伸ばしてくる。きっと、彼女みたいにくすくす笑っている。香ばしいカラメルのかわりに戴いているのはほのかなアーモンド色。ミルクの吐息が守護のよう。あまいお城の周囲には、控えめなミントの森に鮮やかに流れるストロベリー・フルス。 仕上げをお願いね、パティシェさん?上目遣いで唇を桜の弓に。だから彼も心得顔で、お気に召すまま、とおかしみをたたえた瞳のまま獲物を放り投げた。
その日のおやつは、クリームとストロベリー・ソースに囲まれて、はらはらとミントの降る、たっくさんのベリーのばら撒かれた、おっきなプリンでした。 ちょっと傍らに、うさぎのオレンジを伴った、ね。
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