あまつばめの雑記
こんばんは。いらっしゃいませ。

2002年04月12日(金) さぶれ 前

駅前のさびれたお菓子屋にぽつんと張り紙が張ってある。

『オミヤゲに○○さぶれ』

なぜに『さぶれ』とひらがなで書かれているのだ。
ちなみに○○は地名で、しかも漢字だ。
これを見て、人はどう反応すればいいのだろう。
『サブレ』というお菓子は存在する。それはしっとりとしたクッキーのようであり、動物の形をしているものが多く、食べるとボロボロとこぼれるお菓子だ。
しかし、これはちがう。『さぶれ』だ。カタカナの『サブレ』とは絶対に違うものだ。仮に『サブレ』が難しい当て字を使うもので、『茶舞礼』などと仰々しい字ならひらがなにするのも理解できる。でも、外国産の『サブレ』にそんな当て字はない。
もしかすると、ひらがなで書かれているのには意味があるのでないか?よく見てみる。『さぶれ』だ。『さぶりましょう』とか『さぶるとき』とか『さぶろう』などでなく命令しているのだ。もしかしたら『さぶる』という動詞で命令しているではないか。オミヤゲにここで『さぶ』って行けと強要しているのだ。こうなれば『さぶる』について調べなくては気が済まなくなった。
まずは辞書で調べてみる。

あいにくと『さぶる』という単語はなかった。
それなら、『さぶ』しろという意味かもしれない。『さぶ』で調べてみた。すると以外に多くの『さぶ』がある。カタカナの『サブ』は別。ひらがなで表現しているものでなくなってしまう。以下の『さぶ』があった。

・寒→寒いこと
・左武→武を尊ぶこと。武を重んずること。
・左舞→さまい(意味が調べきれず)
・荒ぶ、寂ぶ→さびる。生気、活気が衰え、下の姿などが傷つき、いたみ、失われる意。
       心に寂しく思う。わびしがる。
       (色などが)あせる。みすぼらしくなる。衰える。
       古びて趣がある。
・錆ぶ→金属にさびが生じる。
・さぶ→名詞について上二段活用の動詞をつくる。そのものらしい態度・状態だ。

あと、近いところで『さぶりこ(遊女・うかれめの意味)』という言葉があった。一応、『さぶる』=『遊ぶ』も候補にあげておくか。


踏まえて考えてみる。
先に書いたように〇〇は地名だ。
『寒』『錆ぶ』『さぶ』では意味が通じない。

『左武』だと、
「オミヤゲに〇〇で武を尊んでいけ」
ここは武術の里ではない。

『荒ぶ、寂ぶ』だと、
「オミヤゲに〇〇をわびしがれ」
わびしがれとは、謙虚なのか傲慢なのかよくわからない。

『遊ぶ』ではどうだ。
「オミヤゲに〇〇で遊んでいけ」
意味としてはキレイだ。
きっとこれに違いない。

間違っているとわかりつつ、こじつけで理解するのであった。


 < 過去  目次  未来 >


あまつばめ [MAIL]

My追加