幕末冗談蜃気楼!その弐


::: log in ::: 2005年01月02日(日)


***基本的に書き逃げで適当です
全てフィクションです。



//////////幕末冗談蜃気楼!


その弐 夜叉笑、町に出る 直高編





ツンツンターラーティラルラー

高耶と直江は緊張感もなく京の町を歩いていた。本当ならいつ観客にあってもおかしくないので、殺伐としていなければならない。もしくはおもしろい事をいいそうな雰囲気を出さねばならない。常時、捨て身でいなければならない。
しかし、彼らは今日は観客なのだ。暢気にもなる。

ここで一応説明しよう。お笑い芸人と観客を見分けるものは何か。それは芸人が腰に下げているワラ人形である。ワラ→笑いという京都らしい駄洒落であった。ワラ人形といっても手のない、今で言うキャンディみたいな形の先をしばっただけのもの。

「ねえ、高耶さん....相談があるんですけど」
「なんだよ」
「私、ツッコミじゃ駄目ですかね。なんかウケってのがいやでねェ」
「ウケじゃなくてボケだっつーの。.....お前はホントに素でボケだから無理。その天然さは天然マリ藻にもかなわねえよ..」
「なんと」
「......誉めてねえという....もしもし聞いてますか」

直江は目をつぶって、懊悩していた。直江には多少話が通じない所があった。(実は夜叉笑全員そうだった)
かと思うとカッと目を見開き、迫力満点で

「でもでも....ッ本当にマリ藻に勝ってます?正直どうかなーって」
「.....駄目だこりゃ」

北の守護ツッコミと言われた高耶も直江を前にしてはツッコミに自信がなくなるのだった。仕方がないのでノッてみた。

「勝ってるよ。お前は本当にマリ藻以上の男だよ...!」
「うわー、そうですかーー」
「うんそうそう.....って何だ、うんもういいや」

面倒なのでのりっぱなしにする高耶だった。これもいつものこと。


長屋の四つ角を曲がったところで、人々のざわめく笑い声が耳に飛び込んで来た。
(......いる!お笑いがいる....!)
二人は顔をひきしめたがーーー

「ああっ笑選組よ〜!」
「あっ金銅さんだ....はっはっはっはっは」
「隣にいるのは鬼ツッコミの肘肩さんや」
「あっ隠岐多さんまた歯から血ィ出しとるわー」

皆、見るだけで笑っている。それもその筈、最強のお笑い集団の笑選組は局長の金銅は見ているだけで笑ってしまうという笑いの人格者だし、また鬼ツッコミの副長肘肩はその技量とスピードが日本一と名高い。また若手の隠岐多はいつも前歯に血がついているという持ちギャグを持ち、さらに他のメンバーも思い思いに笑える軍団だったのだ。まさに幕府すらその笑いが分らないという幕末の徒花。

「あっあれ、総長の山並だろ、ヅラの上にヅラをつけて何気なく笑顔だよ...不自然...!」
「永倉と原田も何か丸いものを投げあってますが....何かおかしい.....!?世界観あってますか?」

高耶と直江は人の影からぶつぶつと呟いた。

「駄目だ....あいつらおかしすぎるよ......何だこのシュールさ?!江戸の笑いか?」
「わかりません.....でもおもしろいですね....意味もなく」

二人は笑顔になりながらも、しょんぼり肩を落とした。

「あっ....競り沢が口から鴨の親子を出したッ....」
「糖道が『だーいじょーぶデスカー』のお決まりネタで落としてますね....」

お得意さまの維新志士の皆様が爆笑している。まさに笑選組は倒幕側を1000人切りをしたと言われる所以だ。

「ーーこれが笑選組の力かーーーー」
「オレ達.....全然駄目だな......」


まだ自分達には何か足りない。きっと、それは覚悟というものかも。
そう思って二人は、空を見上げるのだった。

....まだまだお笑いの道は厳しい。

<了>


***

いろいろすみません。
こんなわたしにだれがした。

私のナンセンスさは時間がたってもとまれない....





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