幕末冗談蜃気楼!その惨


::: log in ::: 2005年01月03日(月)


いろいろ適当趣味のチャンプルーです....


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//////////幕末冗談蜃気楼!


その惨 夜叉笑、町に出ない  千秋晴家編




チャカチャーン

千秋修平は腐っていた。町に出て、勝負はおろか笑いを勉強する気にもなれない。
自分が、全く、もう全っ然、ちくりとも認められないのは、ちょっと辛い。
「こんなちっちぇえ町出てってやる....」

盗んだ籠で走り出そうとしたが、人がいないのでただ籠にはいった人になっただけの千秋だった。
「意味ねーじゃん!!」

昨夜、京の町に遠ぼえが響いたという。




今日も長家でごろごろしながら社会に対する不満がつまっていく。

「禿げ将軍め…」
「いや、あれは剃ってるんであって」
「いや、禿なのか剃ってるかなんて誰もわかんねーだろ?なあ?」
「わかんないけどねえ、でもあれだけ後ろに髪があまってるんだしさ」
「そりゃあれだよ、.....エクステンション。あ、こんな開国風の言い方しちゃわかんないか、つまり、付け毛、ヘアフォーライフ!......そうに違いないそうだきっとそうなんだ」
「まあ、よくわかんないけどさあんた、落ち着きなよ」

晴家は縫い物をしていた手を止めた。
晴家は小遣い稼ぎに修繕屋をしているのである。筋肉質の大男だが、心は乙女心に溢れている。編み物縫い物鎖分銅(?)何でも得意だ。
それもその筈、柿崎晴家は新潟では武士の息子だった。そこで武芸を習った。途中で養子に行った先で見込まれ咄家として落語を学ぶ。
そこでお笑いと縫い物を習い、そして新潟で家出した景虎と運命の出会いをして、こうして都へ上がってきた訳だ。

「暇ならあたしの『茶の湯』でも聞く?」
「やだよ、お前一人でもおもしろいなんてツッコミがいのねーもんは.......大体お前何で咄家にならなかったんだよ。なんでコンビ組もうと思ったんだよ....」
ふて腐れて、布のようによじれてねっころがっている千秋が問う。
「そうねえ.....」

晴家が遠い目をして、佐渡の荒波を思い出した。波間に立つ景虎。
刃のような眸。笑顔。そして、『おもしろいな』。

「......景虎に、おもしろいって言われたからよねえ」

その男に言われた一言が、世界を変えてしまった。

「くそ、...........騙されたよなあ!」

何を隠そう千秋も、逆切れツッコミを誉められてほいほいついて来てしまったのだ。

「でも、新潟では毘叉門刀の切れを持つツッコミと言われていた景虎だからね...」
「京都では活躍する様子がないがな」
「あれ、あのさあ....やっぱり直江と組んだのが間違いの一因だったんじゃないかしら」
「一因どころか10割そうな」


「ただ今ー」

町を歩いてきた 直江と、景虎こと高耶が帰ってきた。

「お帰り〜。今日のごはんは?」

高耶はふんと鼻を鳴らした。懐から包まれたものを取り出した。

「直江があんみつ屋のお弓さんをひっかけて出させた饅頭がありますよって」
「...た、高耶さん、あれはちがうっていってるでしょー」
「違わない。的確な文章だ」

千秋と晴家は無視してむしゃむしゃ饅頭を食べる。直江と高耶はまだ立ち喧嘩している。

「ほんっとにタラタラした男だ。タラコだな。そうだ今からタラコに改名」
「た、タラコー」
「ねえ、景虎。千秋ったらほんとに朝から今まで寝太郎みたいになってんのよ。何か言ってやって」

高耶は直江から向き直ると、千秋を見た。

「お前、勉強するか働くかどっちかしないのか」
「いいんだ。俺はにーとになる」
「幕末ににーとはねえ!」
「じゃあ浪人でいいさ。もういいんだ俺木偶の坊になる。抱かれても木のようだと言われちゃう男になる」

直江が何故か胸を押さえた。高耶が憐れむような視線で千秋を見つめた。

「無理だ。千秋......お前には」
「....は、なんで」
「何故ならお前はなんたって、うまれつきい....」
「そうそう、うまつきいい....」
「ああそうだ、うまれつきいいひ....」

三人は口々に言いかけて、口を押さえた。

「むかつくなー!何だってンだよッ!ああっ畜生俺はーーーー
 い い 人 なんかじゃねえんだよ...っ!それが誤解だっつうのよ!
きいいい!!!む、虫酸が走るぜいい人なんてよッ!!!」

千秋が叫びながら転がり出した。三人はそれを見ながら、横目で困ったように会話する。

「だって....出会った時から『きつね小僧』とかやってたし....」
「なんか京に来てもやってるらしいわよ」
「呆れる程いいやつだな....こんなに自分が貧乏なのに....」

そう、昼は売れない芸人。夜はきつね小僧。
千秋修平、にーとになり切れない男。
お腹をすかせた子供が真夜中に目覚めると、そこに金持ちの屋敷からくすねた食料が....
『おかーちゃん、なんかおいしいものがあるよ』
『ああ、きつね小僧がきてくれたんだね...およよ』
『いいひとや、ほんまにいいひとや、きつねこぞうって...』
べベンベン ーー。(三味線)


「.....でもまず、このうちに置いておけよ」
「そうだぞ千秋。育ち盛りの高耶さんがいるのに」
「アホなお人好しなのよねー」
「だから、やってねええっっって!!」


結構いきあたりばったりな大将と、何も考えてないボケ殺し天然ボケと、
マイペースで心は女の大男、そして無駄にいい人。
そういう人間で構成された夜叉笑のお腹はすきっぱなし、という次第。

嗚呼今日も貧乏長家に、お腹の音がよく響くことであるよ。




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またかいてしまった...1月に特番あるので楽しみですねえ。組!


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