キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
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ずっと前に、まだJと付き合うまえに 一度だけデートをした裕君。 私は彼に本当に感謝している。
「はるかさんのことが気になっています。」
彼はそう言ってくれた。こんな私に。 凄く救われた。私のことを見ていてくれる人が居るんだって。
彼はもう私のことをどう思っているかなんて知らないし、 私に恋人が居るってことも、多分分かっているんだと思う。
蓮がこの夏に、ある集まりで裕君に会ったと言っていた。 私は裕君とのことを、蓮に一切話していない。 話す必要も無いからだ。
「(裕君)元気だった?」と聞くと、 「うん。でも工学部で男子ばっかりで彼女も居ないみたいだし、 なにより恋愛とかに全然興味なさそうだもんな〜」 なんて言っていた。
確かに、裕君、恋愛のこととか何にも考えてなさそう… …って、私も確かにそう思っていたよ。 だから余計に、裕君が私を気にかけてくれてたことに驚いた。
彼は本当に根っからの「いい人」で、いつもニコニコ笑っているし 怒っているところなんて見たことないし、 賢いので有名な大学に通っているし、 人をきちんと大事にする優しい人。 だから、彼は幸せになれると思う。
私は裕君に、何のお礼も言えなかった。 いつかありがとうが言えたらいいのにと思う。
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