
戯 言ノ源
―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰
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| 2008年07月29日(火) ■ |
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| 続・死の秘宝を読み終えて。 |
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はい、という訳で引き続きハリー・ポッター最終巻に関するネタバレ有りの考察です。特に話に添った事を述べるのではなく気になった点を突付き回すだけの可愛らしいものですがね☆ 其々皆様自己判断にて進退を見極めて下さい。
・臆病者 シリウスはセブルスのその言葉に怒り狂い、ある意味神秘部まで訪れたきっかけの一つになっている。 セブルスはハリーにそう言われて激怒し、言葉も切れ切れにそう称される事をきらいました。尤もそれは今になってみればなんて失礼なんだと理解出来ますが。 そしてルーピンもまた、その呼びように怒りを顕にしています。ショックのようにもとれます。 それ程多くの、皆一様に分別ある大人であろうに、まぁシリウスは若い時からアズカバンに収監とあって成長が止まっているという節もありますが、理性を失わせる、臆病者、という謗り。 正直ピンと来ないのですが、あまり実生活で臆病者なんて言うような場面に出くわさないからだろうか、それとも若しかして、翻訳の弊害なのかなと。つまり原書の圏内では一般的な罵りとして通用するものであったとして、此方で相当するものが無く、言葉として日本語では適切なのが臆病者だとして当て嵌めただけなのかなと。 上手く言えないんですが、英語圏の口癖であるファックも、翻訳された際日本語では実に多種多様に変化し、場面場面にそぐう言葉が当てられています。だけど今自分がぱっと罵声を考えて思いつくのは精々、ウザいとかキモいとかそんなのばっかりで、略されているからというのもありなんだか軽々しいじゃないですか。 若しかしたら英語ではヘイチキン! なんて書かれていたりして。うわ、それは、うわーだな。
何れにせよ、死の秘宝のみならずハリー・ポッターの全巻を通して一番臆病者とされるべきなのはロンだと信じて疑いませんが。 例によって例の如く愚か過ぎる行動や発言の数々。いえ、わかっていますよ。事の重大さと、あくまで眺めているだけの読者に過ぎない自分、そしてどうしようもなく逃げようの無いハリーと違って、常に自信が無く、たかが遺言と頼りない計画性、それから、己に与えられた役割があるのだろうか、誰でも良かったんじゃなかろうか、ハリーだけでも、そうした疑問が噴出する程気弱になってしまう現状。 にしたって、嗚呼駄目ですロナルド。やっぱり君にハーマイオニーはやれない! おれが貰(略)
・追悼と疑問 幾つかの人が亡くなりました。激戦を繰り広げる中、それは不死鳥の騎士団とて同じです。痛手を払い、話は進みます。 そのどれもが、そもこの作品の登場人物自体もそうですが、愛すべき人々で、深い愛を捧げていた方々は今も涙に暮れている事でしょう。 しかし、果たして必要だろうかと、考えた際にちょっと答えに詰まってしまう。 なんていうか、戦いの凄惨さを教える為の、謂わば見せしめに思えてならない。例えばダンブルドアなんかはもう結構いい歳してますからある程度諦められますが、多くが、ダンブルドアも含め多くが、先の理由か若しくは、ハリーを孤立させる為の布石に過ぎないと。罪悪感に苛め、悲愴感を漂わせる為の、演出に過ぎないと。シリウスの時にも思いましたがね。帰れる場所や待っていてくれる人があっては、進めないだろうと。 その誰しもが悲壮な最期を遂げるだけの役割を与えられているけれど、文章を作成するという魔術の前では、誰だって生きている事も可能だった筈です。手傷を負いながらも生き延びる一方に、笑いながら死んでいく一方。その命運を分けたものなんて、きっと大差無く。
名前も分からないまま死んだとされる数十人は、ですから詳細不明なんですが、いやしかし最初の戦闘の構図を考えるとやっぱりハリーに相当近しいんじゃないかと思いつつ、それを確かめる勇気はもう振り絞れそうにありませんでしたから、顔を見かけた程度か、さもなくば敵方にしておきましょう。これ以上の哀しみは背負い込みたくない。
・名付けと名付け親 この名付け親と言うのも、シリウスからしてハリー・ポッター内では重要視されていますがいまいち、理解に苦しむ。そんなに重要なんだろうか。 某夫婦に子供が生まれた際是非名付け親にとハリーがせがまれていた条を見るに、名前は既に決まっているのにその役職だけ与えられているような。つまりあれか、介添え人というか、後見人って意味なのか? だとしたらばあの時点でよくもまぁ後見人なんて頼めたなと思いますが。最も危ないんじゃないか(笑)。
※(ややネタバレ) その後名付け親としてどう接するのかという点は殆ど画かれていませんが、シリウスの如く接しようという気概はあったのやも知れません。 ところでそのシリウスの名前は、他のお世話になった沢山の人の名前に埋もれてか見当たらなかったのですが。それだけハリーにとっては大切だったという事か? うん、ダンブルドアは兎も角、後は顔だけ見た事があるとか、後になって色々わかったとか、微妙な関係性でしたからね。でも敢てその名をつけた事に敬意を払いたい。 しかしジニーさえ気遣うという事は例えばAとか省略されるような、普段は知られない部分の名前なんだろうか? まだちょっと蟠りがあるのか? まぁ子からしたら微妙な純愛でしたからね(笑)。しかしですから、敢てその二つの名を与えられたあの子供は、きっとキャンディを貰って特別だと思う事でしょう。 その点を行くと他のところの名付けが残念でなりません。勿論生前の友の名前じゃなくちゃいけないなんて理由は無く創意工夫してありったけの想いを込めて子供に名前を与えるべきですが、選外の名前を取り入れて欲しかったなぁなんて、ちょっち思っただけです。 ところで一番最後、テディと良き仲だとされた子の親が不明なんですが、これ誰なんでしょうね。そうすれば「本当の家族になれる」といった台詞がありましたから、予想ではヴィーラの血を微かに持ってる子なんじゃなかろうかと。 尤も不明という点では、ドラコが一番気になりますが。え、その隣は設定誰? 別に学友じゃなければいけないなんてこたないが、まさか、まさかのパンジー? いや、ドラコは頭いい子だからちゃんと選べる!w ※
・大いなる変化 実はダーズリーの再登場を予測していたんですが。何故ならば、彼らの柱であるダドリーが、ま、なんだ、つまり変化の兆しを見せたからです。 また、ペチュニアさんも何か言いたげにしていました。その後彼女の複雑な心情もある程度囁かれましたから、若しかしたら、家族なんて言えなくたって、又少し縁が復活していてもいいんじゃないかなって。 尤も本来の大黒柱であるバーノンおじさんは一貫して蚊帳の外でしたがww 無理に挿入しない事もクオリティ。
変化といえば此方も見過ごせません、ネビルは立派になりましたよ。 彼も又、もう一人の可能性を秘めた運命の子でした。果たしてヴォルデモート郷が選んだのは半純血でしたが、その運命の悪戯を知っていたらどう答えるのか、是非知りたいところです。 否定する祖母や優秀な同窓に埋もれて常に怯え隠れる傾向のあったネビルですが、矢面に立ってくれる人がいなくなったら、毅然と立てる存在なんじゃないかなと思います。必要なのは自信と度胸。実力はあるんだと。セブルスのいない魔法薬学なら好成績を収められるように。 そんな事をいうと予言が総てではないとダンブルドアに怒られそうですが、だとしても、可能性という資質を秘めた、存在だったのだから。だって誰しもが、未来という可能性を持っているのだから。
・その後の関係性 知りたいところですが、それこそ僕らの本領発揮? 嗚呼、まぁ、沢山が詰められた話ですから、そういう余地は必要やも知れません。といっても全作中幾つか数行で流された季節や夏休み、親世代なんかがその余地に当たりますがね。 取り敢えず悪戯専門店が繁栄して、ハリーの願った、笑いが沢山必要になる世界から、無駄なくらい溢れている世界に塗り替えてくれている事を願うばかりです。
気になるといえば小鬼はどうしたのでしょう。屋敷しもべ妖精は実に二巻から出張っていますが、小鬼についてはあまり掘られませんでしたからね。これからが必要とされているのやも知れません。彼らも又、魔法族の泉にある虚偽から改められなければならない筈ですから。 だとしても、根城を荒らされるわ再び奪われるわ、小鬼としては唯一面識のある彼が先導して対抗していたとしても、詮無き事かも。後で鎮めてやった事を願っておきます。
※ ところでハリー達は事実上中退なんですが、以後もそうした扱いなんでしょうか? 個人的には後年にチャンスを齎されて然るべきだと思うんですが、職について明記が無かった事と平行してちょっと不安になります。 いや別に校長になったとか魔法省大臣になったとか願っていませんが、なっていても構いませんがそうでない今考えるとちょっと御都合主義よな、闇祓いも必要かどうか。そりゃ、いつの時代だってそうした警察機構的なものはいるんでしょうが、多分緊迫感に欠けると思われる。 ※
・ゴースト達 寮付きゴーストの変遷というか、任命のされ方がちょっとわからないんですが、先日気にしていた血みどろ男爵に少しスポットライトが当たっていて舞い上がった件。ピーブスは不明なままでしたが。 ただ、ハリーの周囲の人が軒並み「逝ってしまう」タイプなのは多少、寂しくもあり。ゴースト然り、肖像画然り、命を亡くした後も魂や知識が残り、それも話が出来るとあれば、それはまさに、全人類の願ってやまないところなんじゃないかと。 しかしハリーは、多分それを望まないでしょう。望むのなら、活かす方法もあったし。
※ ただシリウスが若い姿だったのは、ハリーの目で見たシリウスを哀れに思ったからなのか。だとしたら、ちょっとナンセンス。いや実際、ハリーへの愛情以外によかった点は双方なかったでしょうが。頬こけてるし空腹だったり軟禁だったり。その時代のシリウスの方が輝かしく幸せだったろうと思ったのか。何せ性格自体は大差がなかったとされているのだから。 というより若しかしたら、皆が若いのか。夫妻は既に歳を取らないし、それに合わせての時代設定になっているのかも。ルーピンにしても、幸せかどうかは兎も角、みすぼらしいままの身形ではより気に病んでしまったやも知れないし? 嗚呼でも、是非その中にかの先生を入れて欲しかったよハリー。 ※
・以下雑然とした与太 結局神秘部はその後触れられませんでした。これが先日参照の疑問点の解消や符合点の中では唯一大きく間違っていたところか。他は大体納得しましたから。 嗚呼、だったらハリーには無言者になってここの解明に勤しんで欲しかったなぁ。
ダンブルドアは頑張れと肩を押したけれど、検死は運任せの節があり、つまり最初から躓く可能性があったのではないかと。思うと、結構あの人いい加減じゃありませんか(笑)。要するに他の誰かだったら、多分全部アウトでしょう?
それにしても、不要な話の無さといったら、極め付けですね。本当に些細な彼是から伏線が始まっている。 だからこそ映画化で削った場面なんか、どう整合性をつけてくるか見物ですね。2時間に収める為にあれやこれや変えた、平気と思われた小道具が重大な意味を成していた時。 いやまっこと、メディアを変えて表現すると言うのは難しい事ですね。
取り敢えず、事が終わったなら皆に真実を話してあげて欲しいものです。協力してくれたネビルやジニーに、それからダンブルドアからのが好ましいかセブルスに。どちらにせよ、セブルスの真実は、本人がいやがるにしても、マクゴナガル辺りには響いて欲しい。
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