原初

羅列 回帰



―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2006年10月23日(月)
闇夜の月光。


照る日差しの強さは益々ながら過ぎる風の冷たさに季節の深まりを感じる今日この頃。
皆様如何お過ごしでしょうかなどとベタな挨拶に見えてそうでもない始まり方をして見たかったり。
我が住処のマンション四階とは風通しのよさも売りの一つになるものですが、
残念ながら大通りに面した窓からは心地良い風よりも一秒ごと増していく車の雑音のが届き。
冷え切った朝の寒さは毎日それはもう身に染みて、通う自転車の上にいる人物はすっかり
冬物に身を固めていますが夜は昼間の名残そのまま、温かさの余韻を持っている為
若干暑さを漂わせています。窓を開ければ吹いてくれる風に託したい所ながら、
眠る前のBGM代わり流すテレビの音もまっさら掻き消される億劫さから
年の終わりもそろそろ押し迫る今にありながら時折エアコンがガーガー稼動したりも。
お知りの方は既にご承知そりゃそうだ、自分の夏場の寝方といったら布団を被る為に、そのままだと
暑くて三分も我慢出来ないので送風される冷気を全身にガンガン浴びて寝る体勢ではありますが、
不安定なこの時期に及んでも繰り返していればそれなりに体調を崩すきっかけにもなり得ると。
つまり何をだらだら能弁垂れているのかと言えば又しても風邪とはいえないながら
諸症状に極近い不摂生を感じていたりするのです例によって月の贈り物とあわせて。
テメェぶっ殺すぞああん!? いきなり豹変してみたり。おおいけない物騒だ。
そもそも殺す殺さないの対象では無いのでどうしたいんだこれ頭悪いぞこの台詞。
何処と無いだるさの自覚に遅れて鈍く疼いてくる腹の底からの営み。
それでも気にせず一眠りすれば収まるだろうとまるで普通の人のように夜も更けないまま床に付く。
ところがどっこいどれが明確な理由かは判らないまま、目覚めて感じる様々な痛み。
まだ日付が新しく変わって数分しか経っていない家には慎ましやかな静寂が訪れていた。
共に早朝から出かける父君様はいつも通りながら珍しく良い子な就寝時間の兄上様、
闇の滞る空間で蠢くのは確かに自分だけなのに、重い足取りは決して自分のものではなかった。
何が一番強くて、どれが強烈に呼んでいるのかは定かでないまま崩落ちる躯は、
冷たい床に安堵も覚え、もう決して動きたくないと駄々をこねながら、くすぶったままの快感にも似た。
頭蓋骨の中に別の何かが侵入して活発に動き回るようなそれに圧迫されるような、
中心も知らないのに疼いてる真ん中が広がって広がって鈍痛を振り撒く下腹部、
もうすっかり冷えた夜の空気に曝されたそれよりも尚冷たい躯は自然に生み出したものとは違う
ただただ冷たいだけの風に身を委ねた結果から、口に広がるもどかしい感覚は、
嗚呼、覚えている、自分が起こす行動の中で、尤もしたくない選択肢。吐き出すなんて、何事も苦手。
相変わらず鈍い痛みが停滞している腹の何処かから逆流を唆す声がする。
何をしていても気持ち悪いし何もしていなくても気持ち悪い、軽く死にそうだと笑ってみたり。
いやがっているいつもの迷いは何処へやら流石に速攻手は伸ばされる。
使う機会も与えないのに鞄の中の常備薬、縋るように中身をひっくり返していらない他を退けて、
母君様が愛用していた記憶のがまだ自分が使う事より身近な、
薬を流し込んでも即効性なんて無いのにそれだけで安心したような心地。
この頃良く感じる心臓の派手な鼓動、目覚めた瞬間ふとした行動いつでも高鳴る恋もしていないのに、
それすらも少しずつ溶け込んでいって、振り絞った自力、もう一度寝台に力尽きて寝そべる。
布団を被りながら、数時間後超回復しているのは無理かもしれないと弱気、
一定のレベルだったならばこれも苦手な選択肢ではあるが休めばいいと言う逃げ場を与えながら、
どうにかこうにかいけそうだったなら、それでも何かしらが痛むのであれば、
もう一度頼ればいいと机の上に放置した、一時の安楽剤。効能外だが容量内で眠気を誘うそれ。
そうして、思った。自己管理の甘さでも、久々にどぎついと泣きそうな事よりも、もっと。
いやな事があるんだ。こわい事があるんだ。嘔吐するくらい、それともそれ以上、なきたい事。
再び目覚めて諦めを感じて同情を誘う声にだけはならないように律して
やっぱりが付きそうな苦手がおまけにも一つ、電話で休みと代打を御願いした。
迷惑を掛ける事はきらいだ。確かに一時の瀕死状態よりも快復したけれど、
それでも難しいと判断したのだから致し方の無い事であって、けれど、それが一番じゃない。
寝過ぎると今夜寝れないかもしれない、何より何処でか形成されている睡眠の時計は
それ以上の惰眠を許す事無く、文字通り横たわるだけの久々の怠惰。いつ振りだろう。
弱まったとは言え彼処から響く痛みに顰めた顔に付いている瞳には、
数時間前に出しっ放しだった薬が見えていて、知らず手が伸びそうだった。
嗚呼いやだ、これが、いやだったんだ。他人への迷惑よりも、何よりも、これが、一番。
そうやって薬とかに頼って、一度頼ったらもうずっと頼ってしまうそういう柔さとか狡さとか。
もう過ぎた瞬間より苦しくないのに、和らいだ経験が甘えへと引き摺りこもうとする。
又服用すればもっと楽になるかもしれない。このままじゃ明日も駄目かもしれない。だから。
囁く声は誰でも無い自分にしか出せない誘惑。弱音。きらいなもの。
病院はきらいだけど、骨折したら行くだろう。処置に納得したら、次は捻挫でも、擦り傷でも行くんだ。
捻挫が軽い訳じゃなくて、擦り傷だって黴菌次第で大変で、だけど、行きたくないから
いつもなら行かないのに、何故行きたくないのかはこうなってしまうから。だらだらと、惰性で。
何事にも理由があるとは思わない。結局は後付けになってしまうのかもしれない。
それでも求めるのは理窟屋だからかそうでもセーブしないとどうにかなってしまうからなのか、
催す感情のまま吐露したら折角溜めといたものが勿体無くてしかもそれは汚らしく見えて
悪臭を振り撒いて喉を器官を全てを焦がすような液体に見舞われて嬲られて屠られて
自制出来ない消化も仕切れないそんな未消化のままの気持ちごと誰かにぶつけてしまいそうで。
同じように、一度、頼ってしまったら、もう抜け出せなくなってしまう。甘美な心地に浸ってしまう。
実際にはそうでなくとも見える感じる範囲でなくても何処かしらおかげかもしれない、
起因するものがあったら今後ずっとそれに縋らないという保証が何処にも無い自分の心に。出来ない。
全てを制御するつもりなら日頃からの管理もどの周期で何が来るのかも
事細か手帳にでも綴っておくべきなのかもしれないけれどそうでは無くて、きっとメンタルな事。
精神、それってなんだろう。時に移ろい弱まり与える、物語の常套句。人の、心。
途中から訳判らなくなるそんなものを抑えられる筈が無い。抑えきれる筈が無い。
況して肉体的にも弱っているとしたら、だからこそ、考えたく無いと逃げ出したくもなり。
まぁ言っている事はぐだぐだです。要は体調が優れないだけなんです。
普段より少し躯が重いくらいで愚図ったりしない。問題なのは、弱る心の方こそが。


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