原初

羅列 回帰



―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2006年10月21日(土)
夢に愛しい今が恋しい。


過去に感じた事を今も同じように受け取るとは限らない。進歩とも言える、寂しさでもある。
名前は出しませんが昔、自分の記憶と言うかなり怪しげなものであっても結構な昔、
好きだったかどうかは覚えていないし、当時からひねていたので(それについては確信しているらしい)
率直にそう思っていたというのも疑問だけれど、各所のシーンを覚えていて、
勿論キャラ名も、タイトルも覚えている漫画が、さる大型古本屋に置いてあった。
懐かしさ込み、兄上様が友達から借りパクした、返してやれよとも思うがかなり悲惨な保存状況なので
これはこれで返されてもいやかもしれないという複雑込み、しかもそれ中途半端なところまでなので
もう少し具体的に言えば巻数は折り返し地点を少し過ぎた辺り(具体的じゃない)、
記憶は新しく塗り直されていっても途中で止まったままのそれに、ふと気を惹かれて取ってみた。
そうしてラストまで読み続けた訳ですが。そういえば最終回の記憶はあやふやで、
ただ、その時の単行本はコンビニで立ち読みしていた記憶があり、本編ではそう記されていないけど
最終巻ならではの次回予告みたいな、軽く夢オチに持ってこうとしている台詞に絶望した。
糸色望じゃありません。いとしき、って言葉の響きは素敵なのに横書きだけで何故こうなるんだろう。
素晴らしい絶望先生のネーミングは置いておいて。絶縁とか絶倫とか凄いよね(まだ言うか)。
今ならあっさりスルー出来るけど、当時は衝撃だったんだろう。これまでの長い彼等の旅路が、
あっという間に、一瞬にして、ただのおふざけだったとしても、無かった事にされるのは。
夢が現実じゃない、そういう意味ではなくて、なんだろう、その、作者の姿勢が?
そして今全てを通して読むと、なんだか、以前どれだけか知らないけれど楽しみにしていて、
毎週WJが出ては読んでいた漫画に、感慨深さも、特に何も、感じなかった。
つまらなかった、というのは厳し過ぎるけれど、別にこの作者の作品すきー! なんつって
買いあさる根性は働かないと言うか、また読み返したいなんて期待に食指が動かないと言うか、
やっぱり程度は忘れたけれどショックを受けた夢オチの条も全く動じはしなかった事も含めて。
目が肥えたとか、経験を積んだとか、色々言いようなんてものはあるのだろうけど、
きれいきれいに創られた信頼や、とても心温まる台詞やエピソードばかり恥ずかしげも無く惜しげも無く、
連載当時それらに幼少の自分が心躍らせていたとはどうしても思えない、そんな気分。
そうは言っても実際はもうものすっごいすっごい好きだったのかもしれないし、
結局覚えていないのだからなんともいえないけれど、ギャグシーンは今でも笑ったりするけれど、
全編通じて一番伝えたい、全面に押し出されたテーマ、そういったものが
今一つ納得出来ないと言うかしっくり来ないと言うか気色悪いと言うか(毒)。
勿論夢を語れる世界なのだから槍が降ろうが超人大活躍だろうが正確には人じゃないですが
そんな事は全然関係なく、例えそういった架空世界であっても、大切にしたいものがある、
そういうのを伝える術が漫画と言う媒体の一つでもあるのだとしたら、これは、無いな、と。
酷い事言うなぁ(苦笑)。毒舌とかじゃなくて、辛辣だよな。冷めてるいやなガキだ。
それなりに二次元の世界に浸っていると気になる箇所とかも増えますし、注目点も普通の場所は勿論
オタク寄りな見方をする事だって時にある。純粋無垢に取り入れていた、かどうかは不明としても
何一つ、何かを受け取ったからには同じに返す、なんて事は無いのだ。それは、判ってる。
それでも、途中までしか巻がないから最後まで読みたいな、と至極当たり前の考えであっても、
そう思っていた作品にしては、味が無いと言うか、偽善的と言うか、独善的と言うか。続、毒。
なんていうんだろうか、得るものが無い? そう、そんな感じです。
その物語からキャラから台詞から感銘を受けたり勉強になったり参考にしたいと感じたり、
強く心に残る名場面も心惹かれたシーンも涙したくなるエピソードも、
ふざけんなと声を荒げる怒号もむちゃくちゃな展開に呆れ果てる事も、何一つ無い。
それなりに無難。良くも無く、悪くも無い。評し方も自然、そうなってくる。
話にでは無く、それを見終えた感想として、自分を見つめて纏めた答えとして、
そうなってしまうのはひどく虚ろで、悲しみから遠い寂しげで、意味も無いため息吐きたくなったり。
あっさりとしていてつまらないから、ではなく、あれがどうでこれがどうとか、
いちいち一つ一つに評価を下そうとしている自分とか。お前何様読者様。
読者だって重要な仕事で、其々が読み何かを思う事で一つ、そこにあるだけの物語が、完成する。
素敵な心のバイブルと言う完結も、むかつく話と言う結末も、度合いも色も形も其々だけの。
それに対し、自分が作れた自分だけのこの漫画の終わりってなんだったんだろう?
いや、そもそも終了したのだろうか。だって何も、感じていないのに?
つまらない、というのは退屈と言う感想ではなくて、何も感じない己への欺瞞。
物語自体が作者の手で〆られたのは見届けたけれど、だから何? それで、終わり。
こういうのが一番いけない。何事においても、無気力、無関心、無、無、これが、恐らく一番こわいもの。
幻滅したならそれでいいじゃないか。記憶を美化し過ぎたならそれでいいじゃないか。
その上で、下すこの漫画の感想は無いのか? ないですよ。ないんですよ。まっこと寂しき事ですが。
扱き下ろしたりしないし、薦めたりしないし、言い触らしたりしないし、きっと話にも出ない。
それこそキャラ萌えと言う観点で言えば、多少なりとも話は出来るし、そもそも振られたらする。
かと言って自分からネタ振りはしないだろうし、妄想には励まないんだろうなと。
これもまぁ経験の一つといえばそうですが、そもそも純粋にここはどうなってるんだ?
そんな話を理解する為の疑問や理詰めですら無く、何処何処がこうなんて変だ、だとか
此処がこうなれば面白いのに、だとか、捏造設定ですら無く、
嗚呼、これもまた言い難い事だけれど、それを表せないのは即ち無知だけれど、
空虚は空虚のまま存在していつの日にか理解したりするんだいきなり。ずどんと。
そんな、感想も浮かばなかった漫画を読んだ自分への、感想。


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