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猛毒。
リョウ
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2001年10月18日(木)
叫びと、嘘と、知らないふり。

今日も今日とて、
トミタとは会えませんでした。


今日はなんだかウサ晴らしに、
カラオケいって騒ぎたくなって、
とりあえずユウコを誘って二人でガッコ帰りにカラオケへ。
ユウコもトミタと会えないことにイライラしてるみたいで、
2人してはテンションあがって、
昔の曲とかどんどん歌ってた。


何の曲を歌ってたときか忘れたけど、
テーブルをはさんだ向こう側に座ってたユウコが、
「○○大好き!!」
って叫んだ。

その○○が、
カラオケの音につぶされてよく聞こえなかった。
「この曲大好き!!」
とか、
「ここ大好き!!」
とか、
そーゆー系かな?
と一瞬思ったけど、

多分アレは、
「トミタ大好き!!」
だったと思う。

あたしはユウコがトミタを好きだっていったことを、
『覚えていない』フリをしていたから、
そんなあたしの前で「トミタ大好き!!」って叫んだユウコの、
鬱屈もだいぶたまってるみたい。


多分ユウコは、
あたしがトミタのことを気にしてるって、
気がついてはいるんだろう。
ただお互い、
自分たちの友情を壊さないために、
言い出せないだけで。


だって、
「がんばってね、応援するから!!」
なんて、
口が裂けてもいえないんだから。


馬鹿な2人。



2001年10月19日(金)
夜。

最近めっきり、朝とか夜とか、寒い。
やだな。
人肌恋しくなる。
やだな。
わけもなく泣きたくなる。
やだな。


こんな風に、
弱い自分をさらしたくない。
だけどもうなんか、
…どーでもよくなってきたよ…


明日は委員会の飲み会。
多分トミタもくると思う。
バイトでこれなかったらショックだけど。
でももちろんあたしの隣には、
ユウコがいます。


がんばる気にもなれない。
そーゆー弱い自分を、
ダメだとも思えない。
そのままでいいじゃんって見放してしまう。
そーゆー自分を、
情けなく思うよ。




2001年10月22日(月)
できちゃった。

準備ができた。
サテ、なんの準備でしょう??


正解
 『トミタをあきらめる準備』


ごめんなさい。
あたし、へっぽこなので。
なんだかトテモ疲れてしまったのでした。


この前の土曜に委員会の飲み会があって、
その委員会があたしたちとトミタの出会いの場でありまして。
ずっとバイトばっかしてて会えてなかったトミタに、
すごく久しぶりに会った。
飲み会の後にバイトがあるって言って、
とっとと帰っちゃったんだけど。


あたしは酔っ払っちゃった友達(ジャイアン。通称ジャイ)の世話をしていて、
もう自宅に戻れる状態じゃないジャイを1人暮らしの友達んちに運んで、
その子がコンビニに行ってる間、
あたしはジャイと2人で残った。
ジャイは布団の上で寝ちゃってて、
意識はあったけどダラダラだった。
男と女2人〜♪とか、
そーゆー雰囲気でもない。まったく。


ジャイ「ユウコってトミタのことすきなの?」

あたし「ああ…、なんでそー思ったの?」

ジャイ「さっきトミタのメールの受信とこみたらさ〜、
    ユウコのスゲー多いの!!
    なんか、
    トミタは自分から送ったりはしないんだってさ。
    俺もだけど、
    トミタもメールとかちょっとめんどくさがるヤツだし。
    なんかユウコ、
    トミタのことを必死でつなぎとめてるって感じ?」

あたし「あたしもわかんないんだけど…(嘘だけど)
    そーかなーとは思った」
 

あたしはその時、
そんな風に傍目から見て判るみたいに、
ユウコは必死なんだなって、
思った。


ユウコはイイヤツ。
ほんとに大好き。
律儀で真面目で付き合いがよくて。
ほんと大好き。


ああ、
ほんとに。
あきらめよう。
あたしは大事なものをふたつ。
てんびんにかけて、
友達をとったんだよね。
そーゆーことだよね。


その後、
ユウコも合流。
バイト後のトミタも合流して、
結局、
いつものメンバで夜をあかしました。


あたしはその夜、
トミタを好きだと、
トミタに近づきたいと、
そう感じてるユウコを、
痛いほど感じた。


あたしは。
そこまで誰かを愛することなんて、
できないな…。



2001年10月27日(土)
涙も出やしねえ。

なんだか、
毎日が物足りない。
満たされてない。
だけど、
何をすれば自分が満たされるかなんて、
ほんとわかんない…。


ほんと、
恋愛感情ってヤツは、
計算できない。
だからおもしろいのかもしれないね。
でも、だからこそ今、あたしにとって。
邪魔なの。
面倒くさい。


自分の深層心理を掘り下げられるだけ掘り下げて、
あたしにとってのアイツの価値、
アイツの利用価値、
アイツの存在によってあたしが得るなにか、
そんなことを腐るほど考えてみて、
汚い自分の考えに溺れてみて、
自分を蔑んでみて、
泣きたくなりながら涙も出ないのを感じてみて、


で。


結局、ヒトを好きになる心なんてもんが、
そんな打算的なので片付けられないんだって、
思い知って、
だけど、
打算的なくらいが、
楽なのに。
この嫉妬心が、
本気で、
わずらわしい。


面倒くさい。
今更こんなにも、
『女』な自分を押し付けられるのは。





2001年10月29日(月)
ライン。

今日。
ユウコに、

「あのな、ユウコってトミタのこと好きなん?」

って。
聞いちゃいました。
…なんか複雑でした。
あたしはもう限界が来ていて。
なんでもない顔で気がついてないフリをするのは、
これ以上は無理でした。
しんどかった。


あたしはユウコが大好きで、
トミタをあきらめる決心をして、
だけどソレがちゃんと、
カタチにならなくて、
面倒くさかった。


なので。
自分の中でのケジメ。
一本のライン。
あたしはココから、
今日、あたしが自ら引いた、このラインから。
トミタをちゃんと『あきらめる』んだ。
そうやってちゃんと、
一本、線を引かなきゃ、
あたしは踏ん切りがつかなかったと思う。


大丈夫。
あたしは演技ができる。
できる。


あたしが酔っ払って、
理性と記憶をなくしたあの日のことを、
今日、ちゃんとユウコに聞いた。
あたしは、
あれだけ酔ってたのに、
トミタのことを言ってなかった。
バンザイ、あたしの理性と意地。
そして、馬鹿だね、あたしの理性と意地…。


今日、ラインをひいた。
このラインを、
あたしは守って見せるよ。
『友達』っていう仮面を。
トミタに向かっても、
ユウコに向かっても、
完璧に演じて見せるよ。


2人とも大好きだよ。
ほんとに。



2001年10月31日(水)
君への感謝。

今日、
そこそこ仲のいいカヨちゃんと、
コイバナをした。
カヨちゃんは色々と自分のことを話してくれて、
あたしも我慢できずにトミタとユウコについてのことを話した。


ユウコがトミタのことを好きで、
あたしもトミタのことが好きで…、
そのことをユウコは知らないこと。
あたしはあきらめるつもりでいること。
そんなことを話した。
あきらめるつもりだと、
あたしのトミタに対する想いよりも、
ユウコのトミタに対する想いのほうが重いことを、
話した。


カヨちゃんは静かに聞いてくれた。
感謝。


あたしは、
あたしのためにトミタをあきらめるの。
もちろん「ユウコのため」っていう気持ちがないわけじゃないけど。
だけど、
あたしのため。
あたしのためなんだよね、コレは…。


あたしが苦しみたくないから。


「ユウコのことが大好きだし、
 ユウコに幸せになって欲しいって気持ちがあるのもホントなんだけど、
 だけど、
 トミタとユウコにくっついて欲しくはない…。
 あたしは多分ソレを一緒に喜ぶことはできない…」


喜ぶフリならいくらでも。
するよ。


なんだか苦しくて、
自分の汚さを思い知った。


カヨちゃんは、静かに聞いてくれた。
…感謝。



2001年11月01日(木)
煙草。

今あたしは煙草を吸います。
元彼の影響で。
ガラムを吸います。
32ミリ。
甘い煙草です。


つい最近、
「リョウって煙草吸うの?」
って、
友達に聞かれました。
あたしは別に隠しているつもりはなかったから素直に認めました。
キツイ煙草を吸うことも知ってました。


あたしは別に、
煙草を吸うことを悪いことだとは思ってない。
体には確かにワルイだろうけど。
別にどうしても吸いたくなるとか、
そういう種類のものではないし。
ほんと時々しか吸わないし。


今日、休憩時間、コンピニの前に、
煙草を吸いながら友達と歩いていきました。
トミタがいました。


トミタはあたしが煙草を吸うやつだって、
元々知ってます。
賛成はしてないけど、
反対してるみたいだけど。
平気です。


あたしが煙草を吸うって知らなかった子もいて、
「リョウ、オマエ煙草吸うんか!?」
って聞いてくるヤツもいました。


一緒にいたあたしの女友達に、
トミタが言いました。
「とめたってな」


あたしが、
煙草を吸うのを、
って言う、
意味。




ちきしょー、
嬉しいじゃねーかよー。