doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 ジミ・ヘンドリックスのCD『Live At The Isle Of Fehmarn』&ザ・フー

ジミ・ヘンドリックスの1970年9月6日のライヴを収録したオフィシャル・ブートCD『Live At The Isle Of Fehmarn』Dagger Records第8弾)。私が去年12月下旬に入手した『Live At The Isle Of Fehmarn』は、プレス・ミスによりピッチが速い(『doo-bop days』2006年01月23日付 参照)。遅まきながら2/22、『Dagger Records』に替わりのCDを送るようメールを出したところ、本日(2/28)、ピッチの正常なCDが届いた。

デジパック仕様CDにブックレットがパッケージされた商品そのものが丸ごと1セット送られて来るのかと思いきや、スリムケースにCDがそっけなく収まっているだけ(右の画像の上)。ジャケットもブックレットも付いていない。『Live At The Isle Of Fehmarn』の収録時間を比較してみたところ、ピッチの速い方が71分37秒、ピッチ正常版は77分23秒。甲高くなってしまっていたジミのヴォーカルも、ピッチ正常版では違和感なく聴ける。

『Live At The Isle Of Fehmarn』は、新たに発見された関係者録音による音源が使用されているらしい。サウンドボード録音ではないので、ジミのマニアでないと厳しい音質に思えるが、当時のオーディエンス録音ものの平均的な音質と比べると、ステレオ感があって聴きやすい。私が何種類か所有するこの日のライヴ音源のどれよりも音質は良い。

ちなみに、『Live At The Isle Of Fehmarn』は、限りなくブートに近い?2CD『LA Forum 26th April 1969』(PILOT200, 限定盤)のディスク2(1970年9月6日の公演, 77分18秒)と同一音源のマスターを使用していると思われる。
『Live At The Isle Of Fehmarn』の「Purple Haze」は、冒頭の30数秒が欠落しているが(『LA Forum 26th April 1969』のディスク2も同様)、別音源の代表的ブートCD『Love & Peace』(Midnight Beat, 67分24秒)では、「Purple Haze」は完全収録されている。


ザ・フーのブートDVDを2月上旬に2商品買う。先日ようやく見終えた。

1つは、1月中旬に発売されたザ・フーの『Isle Of Wight 1969』(4Reel Productions, プレス盤DVD+プレス盤CD)。1969年8月31日にイギリスのワイト島で行われたフェスティヴァルでのパフォーマンスを約62分収録。
ステージ左寄りに立つジョン・エントウィッスル直近のステージ前から関係者によって撮影されたモノクロ映像で、画質は悪い。オープニングの「Heaven And Hell」から「Tommy」メドレー後の「Shakin' All Over」の途中までのパフォーマンスが、生々しく収められている。撮影位置の関係もあってか、キース・ムーンは遠くの方に時々映る程度なのが残念。

追加収録として、1969年8月16日のウッドストックでのライヴを約46分と(ピート・タウンゼント右横のステージ上からの関係者による撮影。モノクロ&「My Generation」からは別ソースによるカラー)、テレビ関係の映像も約11分入っている(フランスのTVクルーが撮影した、1969年ワイト島フェスでのザ・フーのカラー映像20秒など)。
ボーナス・ディスクとして、1969年11月11日のライヴCD『At The Boston Tea Party』(プレス盤)が付属。モノラル・オーディエンス録音で、76分28秒収録。

もう1つのザ・フーのブートDVDは、2月初旬に発売された2枚組DVD『Purple Hearts And Power Chords - The Who On Film 1965-1969』(プレス盤, Scorpio, Hiwatt)。
昔から定評のあるブート・レーベルからの発売で、ザ・フーの1960年代におけるテレビ関係の映像を約4時間収録(既出映像ばかりの模様)。
劇場用ドキュメンタリー作品『The Kids Are Alright』(1979年)ではカットされていた曲およびパフォーマンス等の完全版&ロング・ヴァージョンが見られるなど、1965〜69年のテレビ関係の映像を網羅しているほか、1967年のモンタレー・ポップ・フェスティヴァルと、その時の未発表映像「Pictures of Lily」なども収録している。

2006年02月28日(火)



 トップページに掲載した作品 Vol. 15

津軽方言詩人・高木恭造(1903-87)の1981年12月15日、青森市民文化ホールにおける朗読・講演ライヴ・アルバム『わが青春のまるめろ − 高木恭造の世界』(ギター伴奏: 三上 寛, 1982年オリジナル発表, 12/20 BRIDGE INC.から発売, 『続・音楽の基礎研究』シリーズ第6弾)
英国トラッド・フォーク最高峰の歌声が聴けるジーニー・ロバートソン(1908-75)の『スコティッシュ・バラッドの真髄 / Jeannie Robertson - The Great Scots Traditional Ballad Singer』(11/20ライス・レコードから発売の直輸入国内盤, 1994年, オリジナルは1959年に10インチLPで発売)
コノノ・ナンバー1を始めとするコンゴの電化親指ピアノ等による人力テクノ・アフロ・グルーヴを集めたコンピレーション盤 『コンゴトロニクス2 − BUZZ'N'RUMBLE FROM THE URB'N'JUNGLE』(1/15発売の直輸入国内盤, 1CD+1DVDの2枚組, CDの試聴, DVDの視聴
トーキング・ヘッズの1CD(12曲)+1DVD『Remain In Light』(1/14?発売のリマスターEU盤CDDA, DVDは「Plays on all DVD players」, 試聴

ポール・バックマスターの実質的リーダー作で、唯一のソロ・アルバムとも言えるThe Chitinous Ensemble名義の『Chitinous』(2005年5月30日発売のUK盤, 1971年発表, 試聴
ソフト・マシーンの1968年発表の1stアルバム『The Soft Machine』(1/18発売の日本盤, アナログ盤初回プレスのオリジナル・ギア・カヴァーを世界初再現した紙ジャケット, 初回5,000枚限定生産, 2005年24ビット・リマスターCD, 歌詞・対訳付き, 1st&2ndの試聴
ケヴィン・エアーズ、ジョン・ケイル、イーノ、ニコのライヴ盤『June 1, 1974 - 悪魔の申し子たち〜その歴史的集会より』(1/18発売の日本盤, 初回5,000枚限定生産, 2005年24ビット・リマスターCD, 歌詞・対訳付き, 試聴
デトロイトのサブマージ軍団・LOS HERMANOS / ELECTROFUNK / GALAXY 2 GALAXY の恵比寿リキッドルームでのライヴを収録した『SUBMERGE LIVE IN JAPAN − METAMORPHOSE presents SUBMERGE tour 2005.02.13 at LIQUIDROOM』(2/3発売の日本盤, 試聴

Prefuse 73の新作&ミニ・アルバム『Security Screenings』(2/4発売の日本盤, 約45分, ボーナス・トラック1曲追加, 試聴
アコースティック・ジャズ・ユニット、アトミックの日本先行発売となる注目の新譜『Happy New Ears!』(2/8発売の日本盤, アトミック来日公演:2/11&12 新宿ピットイン
アルジェリアの大衆歌謡 = ライの女王、シェイハ・リミッティ『N'ta Goudami』(2005年12月12日発売のフランス盤, 試聴
“南仏マルセイユの労働者階級の星”、デュパンの3rdアルバム『Les Vivants』(2005年11月25日発売のフランス盤, 試聴, 国内盤がビデオアーツから発売予定)
ロバート・フリップのサウンドスケープによるライヴ盤『Love Cannot Bear - Soundscapes - Live In The USA』(2/22発売の日本盤, 試聴, 動画Windows Vistaにロバート・フリップのサウンド採用か?

2006年02月23日(木)



 スライ&ザ・ファミリー・ストーンのブートDVD『My Own Beliefs』

イギリスの音楽雑誌『Mojo』の2001年8月号(No.93)では、スライ・ストーンの特集がP.80〜P.92に渡って組まれている。
このスライ特集号を買ったのは、当時生きているのかさえ不明に近かったスライに関する1993, 95&97年の小さな記事を始めとして、資料的に貴重と思えたことと、スライが最後に公の場に姿を現した1993年の『Rock and Roll Hall of Fame』出演時のスライの写真にショックを受けたからだった(何年かぶりにスライのその写真を見てみたが、特にインパクトなし)。
ちなみに、写真のキャプションには、「The artist: a Prince styled Sly turns up at the Rock and Roll Hall of Fame, January 12, 1993.」とある。
・1993年の『Rock and Roll Hall of Fame』のスライ関連: SLY & THE FAMILY STONE、グラミーの授賞式に出演か(『bounce.com』2/2付)

今月上旬に発売されたスライ&ザ・ファミリー・ストーンのブートDVD『My Own Beliefs』(Avdenture Discレーベル)を、ようやく見終える。『My Own Beliefs』は、スライ・ストーンが出演した1968年から1986年までのテレビ関係の映像を収録したプレス盤の2枚組で、スライのブート映像商品としては、現時点での決定版と思われる。

約242分にも及ぶ『My Own Beliefs』の収録内容は、アルバム『スタンド』, 『暴動』, 『フレッシュ』の3大傑作の頃のパフォーマンスが多くを占める他、1968年のシングル曲のプロモ、1974年のマジソン・スクエア・ガーデンにおける女優キャシー・シルヴァとの結婚式とレセプション、モハメッド・アリらと出演した1974年の『Mike Douglas Show』(黒人差別?に関するシリアスな討論を展開)、1975年の『American Music Awards』での「Loose Booty」等のパフォーマンス、1980年代にスライの自宅を訪れてのインタビュー等で構成された「TV Documentary 80's」、最後には「Bill Graham Special Live at Fillmore 1986」(「I Want To Take You Higher」のパフォーマンス)を収録。
1969年のウッドストックでのライヴは入っていないが、その直後に行われたテキサス・インターナショナル・ポップ・フェスティヴァルでのパフォーマンスが、プロショットで(完全?)収録されている。

『My Own Beliefs』は、ボーナス・ディスクとして限定100枚のみ1DVD-R付き。ボーナス・ディスクには、スライ・ストーンに関する1980年代制作のドキュメンタリー『The Portrait of Legend』の、約11分の「Canadian TV Version」と約19分の「Austrian TV Version」が入っている。スライへのインタビューの他、ブートDVD本編に未収録のライヴ映像が、断片的ながら見られる。
ブートDVD『My Own Beliefs』の制作がもう少し後に行われていたら、2/8の第48回グラミー賞授賞式でのスライのパフォーマンスも収録されたかも(→『You Tube』で、「Sly Stone Tribute 2006」の完全版映像が、現時点では見られる。画像は『Getty Images Editorial』など)。

東映のポルノ女優・池 玲子の甘く淫靡な喘ぎ声が全曲&全編にフィーチャーされている、1971年発表の伝説の“官能芸術”『恍惚の世界』が、2/1に発売された。
世界初CD化&リマスター盤で、紙ジャケット仕様は限定1,000枚。プラスチックケースの通常盤も後日発売される予定らしい。
本作、音楽的に意外にも侮れない。

2006年02月17日(金)



 黛 敏郎

2CD『伊福部 昭 米寿記念演奏会 完全ライヴ』「定評のある美しか認めぬ人を私は軽蔑する」(アンドレ・ジイド − フランスの小説家)
「芸術家たるものは、道ばたの石の地蔵さんの頭にカラスが糞をたれたその跡を美しいと思うような新鮮な感覚と心を持たねばいけない」(伊福部 昭 − 1946年、管弦楽法の教官として赴任した現在の東京芸術大学での最初の授業における言葉)

伊福部先生は、アンドレ・ジイドの言葉の引用に続き、上記の発言をされたらしい。この時の授業を「忘れることが出来ない」という作曲家の故・黛 敏郎が、そう著している。

伊福部先生の弟子の一人で、多彩な顔を持つ黛 敏郎は、前衛作曲家として1953年にミュージック・コンクレート、1955年にはNHK電子音楽スタジオで制作した日本最初の電子音楽を発表。後者を始めとする同スタジオにおける黛 敏郎の作品は、同スタジオのエンジニアであった故・塩谷 宏への追悼盤CD『音の始源(はじまり)を求めて − 塩谷 宏の仕事 −』等で聴ける(左の画像の上。下は『黛 敏郎: 《涅槃》交響曲、他』岩城宏之 指揮, 2002年発売)。

なお、CD『音の始源(はじまり)を求めて − 塩谷 宏の仕事 −』は、2001年に「増補」となった際、カールハインツ・シュトックハウゼンが1966年にNHK電子音楽スタジオで作った「Telemusik(テレムジーク)」(17分25秒)が追加された。だが、追加収録のクレジットは、表&裏ジャケットにはない。CD未開封での外観では、「Telemusik(テレムジーク)」が追加されているのかわからない。

2006年02月16日(木)



 巨星墜つ、作曲家・伊福部 昭 逝く

作曲家の伊福部 昭先生が、2/8(水)午後10時23分、直腸がんのためお亡くなりになった。91歳だった。

訃報: 伊福部 昭さん91歳=作曲家 映画「ゴジラ」も作曲(『毎日新聞』2006年2月9日 1時13分, 最終更新時間 2月9日 11時03分)
「ゴジラ」作曲、東京音大元学長の伊福部昭さん死去(『asahi.com』2006年02月09日01時48分)
伊福部 昭さん死去 ゴジラ作曲、釧路出身(『北海道新聞』2006/02/09 12:41)

数年前、たまたま見たNHK総合テレビのドキュメンタリー番組(『ゴジラを音楽にした男 作曲家・伊福部 昭の世界』?, 2002年10月14日放映?)によって、「伊福部 昭」という作曲家を遅まきながら知った。それから約2年後、伊福部先生のCDを初めて聴く。きっかけは、伊福部先生と親交のあった故・安東ウメ子さん。音楽関係全般において、私が何の抵抗もなく伊福部「先生」と言える、ほとんど唯一の方でもあった。

心からご冥福をお祈りします。

伊福部 昭(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
「伊福部 昭先生のすべて」「伊福部 昭インタビュー」『新交響楽団ホームページ』
伊福部 昭氏の思い出(上)(下)(『西村雄一郎 シネマトーク』2006年2月18&25日付)
「ゴジラ」よ永遠に 〜 伊福部 昭「SF交響ファンタジー」(『nikkeibp.jp』「クラシック、再発見」ジャーナリスト・田中一実, 2005年4月12日付)
ゴジラが、恩師・伊福部 昭先生の卒寿をお祝い(『東宝 映画トピックス』2004年5月31日付)
伊福部 昭氏と音更(『十勝毎日新聞社』)
伊福部 昭の名著『音楽入門 ‐ 音楽鑑賞の立場』(1951年, 2003年に復刊)

2006年02月09日(木)
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