井口健二のOn the Production
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2026年04月26日(日) 山口くんはワルくない

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『山口くんはワルくない』
講談社「別冊フレンド」で2019年から連載されている斉木優
による少女コミックを、2018年8月26日付題名紹介『ういら
ぶ。』などの高橋ナツコ脚本、2013年12月紹介『仮面ティー
チャー』などの守屋健太郎監督で実写映画化した作品。
主人公は郊外の学校に通う女子高校生。彼女が通学の電車で
痴漢被害に遭い、声も上げられずにいるところを金髪でちょ
っと強面の同級生に救われる。実はその同級生は転校してき
たばかりで教室ではヤクザ?との噂もあった。
そんな同級生だったが、めったに見せない笑顔が魅力的で彼
女は一目で虜になってしまう。しかし強面でしかもこてこて
の関西弁を操るその同級生はなかなかクラスには受け入れら
れない。そんな中、イヴェントの開催が決定し…。

出演は「なにわ男子」の高橋恭平と、2025年の映画『ロマン
ティック・キラー』でも共演した高橋ひかる。それに2024年
のドラマ『新空港占拠』などの岩瀬洋志。
他に上坂樹里、上原あまね、森日菜美、丈太郎、大塚萌香、
今堀奏、永岡蓮王。さらに山口森広、春海四方、ふせえりら
が脇を固めている。
またエンディングロールに流れる主題歌を「なにわ男子」の
『ビーマイバイベー』で締め括っている。
まあ脚本、監督の布陣で判るようにアイドル映画を実に卒な
くこなしている作品。特段何かの事件が起きる訳でもなく、
見どころとして挙げられる話もないが、正にアイドル映画は
これでしょうという物語が展開されて行く。
とは言え後期高齢者の観客としては、多少は青春時代を思い
出せたかな。それが今の時代に合っているのかどうかも判ら
ないが、取り敢えずは思い出に浸り込めるような作品ではあ
った。
それを「なにわ男子」のファンが観て楽しいと言って貰える
なら、それも映画の価値というものだろう。それが後期高齢
者の胸にも響いたのは、作り手側の腕とも言えるかも知れな
い。意外と評価の出来る作品に仕上がっていた。
ただタイトルは、日本語的には『山口くんはワルじゃない』
ではないのかな。今のままでは山口くんが何かやらかしての
言い訳のようで、ちょっと気になった。原作の通りだから仕
方ないけど。

公開は6月5日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社アスミック・エースの招待で試
写を観て投稿するものです。



2026年04月12日(日) POCA PON/ポカポン、ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー、PEAK END

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『POCA PON/ポカポン』
1980年生まれ、故長谷川和彦監督に師事するも映画は独学。
ラーメン店にてフルタイムで働きながら映画制作を継続し、
2020年のデビュー作『横須賀綺譚』が重慶青年映画祭で絶賛
されたという大塚信一脚本・監督による第2作。
なお本作は、昨年の東京国際映画祭 Nippon Cinema Now部門
に公式出品された。
主人公は郊外の団地で母親と弟と共に暮らす男子中学生。母
親は自堕落で勉強などしなくてよいと言うが、そんな母親を
見て育った少年は進学はできなくても少しでも良い暮しを目
指して勉強を続けている。
そんな少年が暮らす部屋では、隣部屋から薄い壁を通して激
しい物音が四六時中鳴り響いている。それでも少年は黙って
勉強を続けており、そんな少年を団地の管理人の男性が静か
に見つめていた。
ところがその団地に、28年前に起きた凶悪事件の犯人少年A
が暮らしているとの噂が広がり始める。果たしてその少年A
は隣部屋の住人なのか…。少年がその隣人と対峙したところ
から話が動き始める。

出演は、2022年の映画『サバカン SABAKAN』でおおさかシネ
マフェスティバルの新人賞を受賞した原田琥之佑、2011年の
NHK BS時代劇『新撰組血風録』などの尾関伸次、2018年11月
18日付題名紹介『赤い雪』などの菜葉菜。
他に2025年5月紹介『中山教頭の人生テスト』などの大角英
夫(子役)。さらに川瀬陽太、山崎ハコ、足立智充らが脇を固
めている。
物語の根底には1997年に起きた「酒鬼薔薇事件」があるかと
思うが、映画はその事件そのものではなく、それから28年後
の出来事が主に描かれる。そこでは社会復帰した少年Aと周
囲との関係も描かれるが、それだけではない。
それは更生が認められて社会復帰した者に対する世間の過剰
な反応やそれでもなお被害者の遺族に残る心の傷など、正に
多岐に渉る物語が盛り込まれており、単純には割り切れない
物語が展開される。
「酒鬼薔薇事件」に触発されたと思われる作品は過去にも観
ているが、本作ほど多方面からそれを描いた作品は思い出せ
ない。ただし本作では少年Aを深く描いてはおらず、その点
での評価は分かれるかも知れない。
でもそれ以上のものが本作では描かれている感じもするし、
それが監督の狙いなのだろう。現代に生きる我々に提示され
た命題とも言える作品だ。

公開は5月9日より、東京地区は新宿K's cinema、ユーロス
ペース(渋谷)他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社インターフィルム、Cinemagoの
招待で試写を観て投稿するものです。

『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』
           “The Super Mario Galaxy Movie”
2024年1月紹介『FLY!/フライ』などのILLUMINATIONと日本
のゲームメーカー任天堂の共同製作で、2023年に公開された
『ザ・スーパーマリオブラザース・ムービー』の続編。
実は前作は観ていないのだが、ニューヨークから土管を通じ
てキノコの国に紛れ込んだマリオとルイージの兄弟はそのま
まピーチ姫らの世界に留まったようだ。そして前作で捕らえ
たクッパ大王の世話をしながら暮らしていた。
その一方で彼らの暮らす大宇宙(ギャラクシー)では、クッパ
大王の息子クッパ Jr.が父親の復権を目指して画策を始めて
いた。そして手始めにピーチ姫の姉ロゼッタの世界を攻略し
たクッパ Jr.はピーチ姫をおびき出す。
こうして宇宙に飛び出したピーチ姫を追って、ヨッシーらも
加わったスーパーマリオブラザースの面々がそれぞれの特技
を活かした大冒険を繰り広げる。

脚本は前作を担当した他、2022年公開『ミニオンズ フィー
バー』なども手掛けたマシュー・フォーゲル。監督も前作の
アーロン・ホーヴァスとマイケル・ジェレニックが共同で担
当している。
声優はクリス・プラット、アニャ・テイラー=ジョイ、チャ
ーリー・デイ、ジャック・ブラック、キーガン=マイケル・
キーらの前作からのメムバーに加えて、ベニー・サフディ、
ドナルド・グローヴァー、ブリー・ラーソンらが登場。
また吹替版では宮野真守、志田有彩、畠中祐、三宅健太、関
智一、坂本真綾、山下大輝が発表されている。
物語には前作から続いての設定がいくつかあったようだが、
ほとんどは新たな展開で前作を未見でも問題はなかった。た
だしオリジナルのゲームを活かした展開はいろいろあって、
それはゲームのファンには嬉しいものだった。
それと舞台が大宇宙(ギャラクシー)という設定でいろいろな
世界を巡る展開もあり、そこにはスーパーマリオ以外からの
ゲスト出演もあって、その辺には思わずニヤリとしてしまう
シーンもあったものだ。
そんなゲームファンをいろいろと楽しませてくれる作品だっ
た。

公開は4月24日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社東宝東和の招待で試写を観て投
稿するものです。

『PEAK END』
韓国ソウル出身のシン・チェリン監督が、京都芸術大学映画
学科の卒業制作として発表した2025年の作品。なお本作は、
第21回大阪アジアン映画祭に招待された他、沖縄NICE映画祭
でドキュメンタリー特別賞を受賞している。
映画の制作はソウルから来たリン(シン監督)と、沖縄普天間
から来たそら(伊丹そら)が京都の大学で出会い、意気投合し
て互いを撮り合ったことから始まる。そして2人はアイデア
を出し合い、それを実現して行く様を記録して行く。
その中には宇宙に贈り物を届けたいというものやコンプライ
アンス的に問題になりそうなものもあるが、概ね若い女性の
やりそうなことであり、それらが多少の演出も含めながら展
開されて行く。
そして後半ではそらが沖縄で暮らした家を訪れたいというア
イデアから沖縄での交友関係や、幼い頃の思い出話などが綴
られて行く。それらの映像がリンとそらの対話とと共に描か
れて行く。

出演はシン・チェリン(兼監督・企画)と伊丹そら(兼制作)。
他に録音・整音のキム・スピン、編集・撮影の西尾千裕、撮
影・企画の清水歩夢の5人で作られた作品だ。
作品は監督らの計画に沿って制作されたものであるから、こ
れをドキュメンタリーと呼ぶのが相応しいかどうかは悩むと
ころだが、作中で2人が語り合うシーンなどは台本があるも
のではないし、それはドキュメントなのだろう。
しかもそこに漂う瑞々しさみたいなものが年を取った自分に
は堪らない感覚にもさせてくれたものだ。自分にもこんな時
代があったのかな? そんな気分にもさせて貰えた。特に木
登りのシーンは夢のまた夢だ。
ただ、そらが父親について語るシーンは自分に娘がいる身と
しては少し辛かったかな。でもまあそんなことが判った点で
も勉強になる作品だった。それに沖縄の現状が少し出てくる
のは避けられないものなのだろう。
ただ映画の途中ではシン監督のご両親も出ていたようだが、
ここは監督のソウルの家も観たかったかな。沖縄のシーンが
強すぎて太刀打ちできなかったのかもしれないが。

公開は6月13日から東京 Image Forum、6月26日から京都出
町座、6月27日から大阪シネ・ヌーヴォ、さらに名古屋キネ
マ・ノイ、沖縄桜坂劇場など全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社 boid/VOICE OF GHOSTの招待で
試写を観て投稿するものです。



2026年04月05日(日) ヴィヴァルディと私、ニッポン狂想曲、名無し

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『ヴィヴァルディと私』“Primavera”
ヴァイオリン協奏曲『四季』などの楽曲で知られるイタリア
の作曲家アントニオ・ヴィヴァルディと、彼が所属した修道
院で師弟関係にあったとされる女性ヴァイオリニストの存在
を描いた小説の映画化。
主人公はヴェネツィアのピエタ修道院に暮らす女性。赤ん坊
の時に修道院に置き去りにされ、そのまま音楽隊の楽士とし
て成長したが、今でも深夜に寝床を抜け出しては顔も憶えて
いない母親への手紙を書き続けている。
そんな彼女のいるピエタ修道院に司祭としてヴィヴァルディ
が赴任する。そして作曲の傍ら音楽隊の指導も任されたヴィ
ヴァルディはいち早く彼女の才能を見極め、彼女に第一ヴァ
イオリンのリーダーの席を与える。
こうして音楽の道に邁進することになった主人公だったが、
修道院に暮らす彼女らがそこを出る方策は実の母親が迎えに
来るか、支援者である貴族の許に嫁ぐしかなかった。そして
彼女には戦場で武勲を挙げた貴族が決まる。
しかし音楽の道を究めたい主人公は貴族との結婚を躊躇い、
ある手段で婚約の破棄を狙うのだが…。

出演は2004年生まれで幼い頃から音楽の訓練を受け、シンガ
ーとしても活動しながら20歳の時に出演したTVシリーズで
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の主演女優賞と新人賞をW
受賞したテクラ・インソリア。
相手役は2013年9月紹介『眠れる美女』やフランスのTVシ
リーズ『モンテクリスト伯』などに出演のミケーレ・リオン
ディーノ。他にアンドレア・ペンナッキ、ファブリツィア・
サッキ、イルデガルド・デ・ステーファノらが脇を固めてい
る。
ティツィアーノ・スカルパの原作から脚本を執筆して監督を
手掛けたのは、ミラノのスカラ座からロンドンのロイヤル・
オペラ・ハウス、パリ・オペラ座など世界中の劇場でオペラ
を演出してきたダミアーノ・ミキエレット。
ヴェネツィア生まれでイタリア音楽を知り尽くした演出家が
正しく満を持して描いた初監督作品となっている。
映画の原題はヴィヴァルディが作曲した『四季』で「春」の
タイトルだそうで、映画では正にその楽曲の誕生の瞬間も描
かれる。因に当時の音楽隊には優秀な女性ヴァイオリニスト
も実在していたようだ。
そんな虚実も巧みに織り込まれた作品だが、同時に当時の修
道院やそこで暮らしていた女性たちの姿も詳細に描かれてい
て、当時の女性たちが普通に生きることの困難さみたいなも
のも丁寧に描かれた作品になっている。
そんな困難を生き抜いた女性の物語。そしてその姿を22歳の
女優が見事に演じ切っている。特に母親の呪縛からも解かれ
て結末に向かうシーンは素晴らしさに溢れるものだった。こ
の女優テクラ・インソリアにも注目したい。

公開は5月22日より、東京地区はシネスイッチ銀座、渋谷の
ユーロスペース、アップリンク吉祥寺他にて全国順次ロード
ショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社彩プロの招待で試写を観て投稿
するものです。

『ニッポン狂想曲』
国立・鹿児島大学名誉教授の木村朗氏の企画で、2025年10月
紹介『もしも脳梗塞になったなら』や2023年11月紹介『沖縄
狂想曲』などの太田隆文監督・構成で描いた日本の現在地を
探るドキュメンタリー。
映画の第1章は能登地震。その被災地の復興が遅延している
ことを紹介し、その原因として関西大阪万博との競合問題が
指摘される。その指摘は今さらという感じだが、そこから取
材スタッフへのネットでの誹謗中傷問題が報告される。
その誹謗中傷は殆んどが捨てアカで行われており、その元を
解析して行くと3人の政治家(2人は国会議員)に繋がるのだ
そうだ。能登の問題は落選した前の県知事にも取材して欲し
かったが、製作者の意図はそこにはないようだ。
そこから視点は安倍暗殺とトランプ暗殺未遂に繋がり、真犯
人は他にいるという観点からまことしやかに伝えられるある
問題に繋げられる。そしてそれはコロナワクチン問題とも繋
がっているという指摘がなされる。
その問題を様々な分野の専門家や著名人たちの証言やインタ
ヴューによって綴って行く。

出演は山本太郎、大石あきこ、船瀬俊介、小林興起、孫崎享
原口一博、エマニュエル・パストリッチ、乗松聡子、ピータ
ー・カズニック、石川知裕、辻恵、平野貞夫、高橋清隆、植
草一秀、奥野卓志、井上正康、池田としえ、川田龍平、甲斐
正康、鳩山友紀夫。
実に多士済々という感じの人々が証言やインタヴューに応え
ているものだが、特に映画の後半ではその論点は所謂ディー
プステートに繋げられており、それを信じるか否かは観る側
の判断になる作品だ。
とは言え暗殺未遂から議事堂襲撃に至るトランプ問題では、
トランプを擁護しているように見せて実はディープステート
に踊らされているというようにも見え、安倍晋三の立場も含
めてなかなか面白い考察にも思えた。
それとコロナワクチン問題に関しては、実は昨年9月に全く
科学に基づかない半ワク論者の意見だけを垂れ流した作品を
観せられて、その時はあまりの酷さに評価を取りやめたが、
本作では視点も変えてそれなりの感じはした。
しかもそれもディープステートに絡まるという。この辺は確
かに面白いという感じだった。それを信じるか否か、その判
断の一助にはなる作品だ。そしてその観点にはある種の痛快
さもあった。

公開は5月16日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国
順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社青空映画舎の招待で試写を観て
投稿するものです。

『名無し』
2025年10月紹介『爆弾』で日本アカデミー賞最優秀助演男優
賞受賞の佐藤二朗が、2020年3月22日付題名紹介『はるヲう
るひと』以来の原作・脚本・出演で描いた作品。なお監督及
び脚本協力として2024年12月紹介『嗤う蟲』などの城定秀夫
がクレジットされている。
登場するのは突然殺人鬼となった男。彼は目に見えない凶器
で次々に人を襲い、命を奪って行く。その事件には当然捜査
本部が立てられるが、それまでに犯罪の記録がなく、身元も
はっきりしない男は捜査網を潜り抜けてしまう。
それでも警察は何とか彼の住まいを見つけ出し、そこで張り
込みが開始されるが、男の想定外の動きから刑事が襲われ、
拳銃を奪われる事態になってしまう。このため本庁が動き出
し、地元の刑事たちは隅に追いやられるが…。

共演は2025年3月紹介『金子差入店』などの丸山隆平、同年
5月紹介『蔵のある街』などのMEGUMI、2026年3月紹介『幕
末ヒポクラテスたち』などの佐々木蔵之介。さらに夙川アト
ム、望月歩、久保勝史、東宮綾音、大高洋夫、しおつかこう
へい、久松信美、今藤洋子らが脇を固めている。
恐らく今年一番の問題作と言われそうな作品だろう。佐藤の
原作は映画化不可能とされて最初は配信マンガで映像化され
たそうだが、それが城定監督の力も借りて映画化が実現した
というところのようだ。
テーマ的には超能力ものということになるが、それに振り回
される幼少期というのはスティーヴン・キングの『ファイア
・スターター』にも似た衝撃というか悲しみを感じる。そん
な異能者ゆえの苦悩が描かれた作品だ。
しかし佐藤はそこから苦悩を爆発させる方向に物語を持って
行ってしまう。それが佐藤らしさではあるのだけれど、それ
が一般の観客に理解されるか? でもこれでこそ主人公の苦
悩が最大限に表現されているものでもあるのだ。
しかもそれは現代社会において普遍的に見られる事象かもし
れない。それを見て見ぬふりをして我々は生きてしまってい
る。そんな突き付けられるような感情も抱いてしまう作品だ
った。
これは間違いなく今年一番の問題作と言える作品だろう。

公開は5月22日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社キノフィルムズの招待で試写を
観て投稿するものです。


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井口健二