| 2026年05月31日(日) |
ONE CREATURE、ディッシュアップ、PEACOCK/ピーコック |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ SAMURAI BLUE Project for FIFA World Cup 2026™ 『ONE CREATURE』 無数の個性、ひとつの生きもの。 4年に1度のサッカー・ワールドカップで、前大会では決勝 トーナメント初戦敗退となった日本代表チームの4年間の軌 跡を描いたドキュメンタリー。 監督は敗退となったものの森保一が続投し、スタッフ陣も多 くが続投となる。そんな甘い状況から戦士たちの実力の積み 上げが始まる。そこには多くの選手が欧州リーグで活躍する などの追い風が働く。 しかし2023年のアジアカップでは準々決勝敗退など順風満帆 とはいかない。それでも歩みは着実に進められ、2025年3月 20日、日本代表は米墨加の共同開催3ヶ国以外では世界最速 の出場権を獲得する。 そんなサッカー日本代表SAMURAI BLUEの4年間が描かれる。 出演は森保一監督を始め、サッカー日本代表の母体となる日 本サッカー協会の田島幸三氏、宮本恒靖氏。また代表チーム のコーチや後方支援のスタッフなど。そして代表候補の選手 たちが試合や練習、インタヴューの映像で登場する。 さらに歴代日本代表監督の中からハンス・オフト氏ら、今で も日本代表に心を寄せてくれる人たちへのインタヴューは観 ているだけで嬉しくなってしまうようなものになっている。 そして現役の選手たちへのインタヴューもあるのだが…。 実は本作の試写を見させて貰ったのは5月25日、作品は当然 5月15日の代表発表より前に制作されていたもので、中でも 遠藤航は負傷以降のインタヴューと思われるが、三苫薫に関 しては語られる意気込みなどが痛々しくも感じられた。 他にも選出されなかった選手の言葉には聞くのも辛いものも ある。でもそれらも含めての日本代表の軌跡と言えるのだろ う。選出された選手にはこれらの言葉も胸に戦って欲しいと 思えたものだ。 その一方でこの作品にはタイトルの『ONE CREATURE』に込め られた思いも描かれており、それはチームが1匹の生物のよ うに動くということ。これが日本代表の神髄とも言えるもの となっている。 実際、僕自身がJリーグの某チームを応援している者として この意味は痛いほどに理解できるもので、だから自分が応援 しているチームは肝心な時に勝てないんだという因果が理解 できる感じがした。 特に団体スポーツのサッカーではこの理解が重要なようにも 感じられ、これはサッカーを楽しむ者として教科書のように も思えた。その理解を得るためにも、是非ともサッカーを愛 するすべての人に観て貰いたい作品だ。 公開は6月5日より全国 230館以上でロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社東映の招待で試写を観て投稿す るものです。
『ディッシュアップ』 滋賀県出身で大阪芸術大学映像学科卒業。その卒業制作作品 が国内の映画祭などで話題となり、2023年のSKIPシティ国際 Dシネマ映画祭に出品した短編作品で優秀賞を受賞した池本 陽海監督による長編デビュー作。 登場するのは和食を学ぶため来日した韓国人の女性。そんな 女性が一軒の定食屋を見付ける。その店は二代目だという料 理人が切り盛りしており、近くに工場があった頃は繁盛して いたが、今は客足も遠のき夜の営業も休止している。 しかし偶然食したオムライスに感激した女性はアルバイトを 志願。店には先にアルバイトの男子もいたが、彼の機転で彼 女も務めることになる。そして料理人の許での修行が始まる が…。文化の違いなどでなかなか上手くは行かない。 出演は韓国・釜山出身で連続テレビ小説『虎に翼』などのハ ・ヨンスと、劇団 EXILEのメムバーで2026年1月紹介『スペ シャルズ』などの青柳翔、それに2017年『帝一の國』などの 三河悠冴。 さらにヴィエトナム出身で2016年に留学生として来日し専門 学校を卒業後はイヴェント会社に勤めて本作が映画初出演の ドン・ニャット・クイン。他に西村和泉、菅原大吉らが脇を 固めている。 物語としては異文化の交流みたいなものを描きたかったのか な。その割には料理人の頑なさみたいなものが前面に出過ぎ て、その手の話としては有り勝ちな展開になってしまってい る感じがした。 料理の世界での異文化なら、多分都心の調理師学校などには 韓国からの留学生も多いと思われるので、そういったところ への取材を尽くせば、もっといろいろと面白いエピソードも 描けたのではないかな。そんなところは物足りなかった。 というよりその前に本作の結末があまりに凡庸で、その点で も不満が生じている感じもした。この結末をもう少し違った ものにすれば、それだけでも面白くできたと思えるが、そこ は監督の次回作に期待かな。 作品自体は卒なく纏まっている感じだが、小さく纏まり過ぎ ているのは残念な感じがしたものだ。次は独特の世界観とい うのを見せて貰いたいものだ。 公開は6月20日より、東京地区は新宿K'sシネマ他にて全国 順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社MomentumLaboの招待で試写を観 て投稿するものです。
『PEACOCK/ピーコック』“Pfau - Bin ich echt?” 短編作品で多くの賞に輝いてきたオーストリアの俊英ベルン ハルト・ウェンガー監督が、脚本では日本の「友達代行サー ヴィス」に着想を得たとされる長編デビュー作。 主人公は「友達代行サーヴィス」に勤める男性。財界の大物 の息子役や、小学校の参観日の父親役など様々な役柄を巧み にこなし、その役柄に合わせた衣装揃えやメーキャップなど も完璧で、会社のエース格だ。 ところが実生活では恋人から「本当のあなたが判らない」と 告げられ、さらに顧客の依頼で行ったコンサルティングから 思わぬトラブルも生じてしまう。そのため天職と思っていた 仕事にも迷いが生じ…。 出演は、ドイツ出身で2023年5月紹介『ナチスに仕掛けたチ ェスゲーム』などのアルブレヒト・シュッフ。他にオースト リア出身ユリア・フランツ・リヒター、アントン・ノーリ。 ノルウェー出身テレサ・フロスタ・エッゲスボ。 さらにサルカ・ヴィーバー、マリア・ホーフステッター、ブ ランコ・サマロフスキーらが脇を固めている。 日本の「友達代行サーヴィス」に着想を得たとはされている ものの、物語自体は主人公の心理的な面が丁寧に描かれてお り、物語の骨子は先にあってそこに日本の事象を組み込んだ 感じかな。 その心理的な面はかなり深くてこれは見事に描き込まれてい る。そこに「友達代行サーヴィス」の様々なエピソードをう まく嵌めこんだのも巧みな作劇と言えそうだ。その辺の作り 込みも見事な作品だ。 しかもオチが素晴らしい。これはネタバレになるので詳しく は書けないが、伏線の張り方から衝撃の展開までこれは見事 にしてやられたという感じだった。しかも主人公の心理を見 事に描き切っている。 因にこの結末自体は先例がない訳ではないが、その中でも伏 線の回収から物語の流れまで、これも出色の出来栄えと言え るだろう。正に主人公の心の叫びが観客にも心地よく共鳴し てくる作品だった。 主人公に限らず現代人の多くが抱える心の闇を巧みに炙り出 して、しかもその解決までも示唆してくれる。これは本当に 素晴らしい作品だ。明るいであろう未来が予感できるのも良 い。 公開は7月24日より、東京地区はヒューマントラストシネマ 有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺他にて全国順次 ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社カルチュアルライフの招待で試 写を観て投稿するものです。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『免許返納!?』 2011年に逝去され、2012年2月に遺作の『僕達急行・A列車 で行こう』を紹介した森田芳光監督が、1992年『未来の想い 出』と1996年『(ハル)』の間で脚本のみ担当した舘ひろし 主演『免許がない!』の完結篇? 主人公は前作ですったもんだの末に運転免許を取得した人気 スターの南条弘。彼はデビュー作の画期的なバイクアクショ ンで人気を博し、その後も様々なアクション映画に出演して 正にスター街道まっしぐらだったが…。 そんな彼も古希を迎え、最近では老人役で映画賞を総なめに するなどの演技派となっていた。そして古希の祝いの祝賀会 では紫のちゃんちゃんこを着せられた横で、所属プロの社長 がこれからは老人役で行くと宣言する始末。 しかしその席では、デビュー作でバディ役だった同年輩の盟 友から「もうアクションはできないのか」と毒づかれ、その 盟友にはハリウッドからバイクアクション映画でラスボス役 のオファーが来ていた。 ところがその盟友がバイク事故で瀕死の重傷となり、その見 舞いに訪れた主人公は囲み取材の発言から免許返納を宣言し たとしてSNSが大バズリ。その流れで政府キャンペーンの キャラクターへの起用も進められる。 とは言うものの主人公は、若い女性マネージャーを助手席に 真っ赤なフェラーリを乗りこなし、今もアクションスター気 分のままだった。そんな彼に若い頃に成し得なかったある使 命と、盟友と交わした約束が去来する。 その約束を果たすため彼は思い出の地へと赴く。そこには尽 きせぬ思いと様々な出来事が待ち構えていた。 出演は舘ひろしと元乃木坂46で2024年2月紹介『帰ってきた あぶない刑事』で舘と共演した西野七瀬。さらに2025年6月 紹介『この夏の星を見る』などの黒川想矢。他に南野陽子、 八嶋智人、MEGUMI。 また真矢ミキ、大地真央、吉田鋼太郎、宇崎竜童。そして中 山忍、内藤剛志、西岡徳馬、ベンガル、斉藤暁、河井青菜、 子役の泉谷星奈らが脇を固めている。 脚本は2013年『永遠の0』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞 受賞の林民夫。監督は2024年1月紹介『身代わり忠臣蔵』な どの河合勇人。音楽も『身代わり忠臣蔵』などの海田庄吾。 さらに主題歌をTHE ALFEE が担当している。 題名からも社会問題化している状況をテーマにした作品と言 えるが、物語自体はもっと別なところに焦点が置かれた作品 ではある。それは人情など人の繋がりを主眼としたものであ り、映画の本質と言えるものかもしれない。 それは特に映画中盤のスナックのシーンで語られる映画への 想いが、自分自身の映画への想いを代弁してくれているよう で、そこでのカラオケの歌唱と共に涙を禁じ得なくなってし まったものだ。これは嬉しかった。 その一方で本作では映画製作における最先端の技術も紹介さ れており、それは映画の現在を観せてくれる作品にもなって いる。この技術は実は別の機会に実物を見せて貰ったことが あるが、その見事な活用にも感心した。 それと映画の巻頭で、東映の波頭に続けて日活のロゴマーク が登場したのも嬉しかった。これこそが自分の好きだった日 本映画の世界だったのだ。 公開は6月19日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社東映の招待で試写を観て投稿す るものです。
| 2026年05月17日(日) |
ドゥランダル作戦、ブリング・ハー・バック |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ドゥランダル作戦』“धुरंधर” 本国では2025年12月5日に公開され、3週間の興行で同年の ナンバー1ヒットになったとされるインド・ヒンディー語の 作品。 物語の始りは1999年のアフガニスタン・カンダハール空港。 ハイジャックされたインド航空機から乗客と搭乗員を解放す るため、インド政府は拘束していたテロリストの引き渡しな ど屈辱的な譲歩を余儀なくされる。 これにより国際社会からの信用も失墜したインド情報局で、 ある極秘の計画が策謀される。しかし情報局長から内務大臣 に上げられたその計画はあまりに奇想天外なため当初は実施 の糸口もないままだった。 ところが2001年に発生したインド国会議事堂襲撃事件で自爆 テロを敢行した犯人の1人が元ハイジャック犯だったことが 判明。因果の廻りに追い詰められたインド情報局は遂に極秘 計画の発動を決定する。 「ドゥランダル(剛の者)作戦」と名付けられたその計画は、 テロリストを裏で操っているとされるパキスタンの犯罪組織 に工作員を潜入させ、テロの計画を事前に察知してインド情 報局に報告させるというもの。 こうして1人の男がパキスタン最大の都市カラチで犯罪の温 床とされるリヤリ地区に現れる。その男はとある飲食店に身 を寄せ、そこから犯罪組織の中枢へと昇って行く。そんな男 の前に様々な障害が立ちはだかる。 それでも何とか同時多発テロ事件の計画を察知し、その情報 をインド情報局に伝えるのだが…。 脚本と監督はインドの名門デリー大学の出身で、2019年の監 督デビュー作が大ヒットを記録。そこに盛られた愛国思想が 同年の総選挙で政権与党インド人民党の勝利に貢献したとも されるアーディティヤ・ダール。 出演は、2019年4月14日付題名紹介『パドマーワト 女神の 誕生』や2019年8月4日付題名紹介『ガリーボーイ』などの ランヴィール・シン。他に2007年『ガンディー わが父』で 息子役を演じたというアクシャイ・カンナー。 さらにムンバイ出身で両親共に俳優というサンジャイ・ダッ ト。2013年1月紹介『恋する輪廻』などのアルジュン・ラー ム・パール。2013年3月紹介『きっと、うまくいく』などの R.マーダヴァン。出演作 350本以上で監督のデビュー作に も出ていたというラーケーシュ・ベーディー。 そして2005年生まれ、2013年12月紹介『神さまがくれた娘』 の演技で人気を博したサーラー・アルジュンが大人のヒロイ ン役で登場する。 実は上に書いたストーリーはほんのとば口で、物語はここか ら正に波乱万丈の展開になる。しかもそこにガンアクション からカーアクションまで多種多様のアクションが挿入され、 当然インド映画なので歌と踊りもある。 そんな演出が上映時間3時間26分を全く飽きさせない作品に なっている。因にチラシの惹句にはネタバレがあるのだが、 観ている間はそれを全く忘れてしまい。劇中でそれが明かさ れた瞬間にはやられたと思ってしまったものだ。 それにしても、犯罪組織の仕業とはしているものの悪の対象 をパキスタンとしていることは明白な作品で、中でもパキス タン統合情報局を ISIと略称で表記し、これがISを想起させ ることは想定の上なのだろう。それでも国際問題にならない というのは大したものだ。 勿論物語自体は根拠のないフィクションなのだが、そこに上 記の2つの事件やさらに2008年の事件などを絡め、そこには 事件の記録映像や実際の音声なども挿入されて、正に現実に 裏打ちされた物語が展開される。いやはやすごい作品に出合 ったものだ。 なお映画の最後にはto be continued との表記が登場し、同 時製作された続編は3月19日に本国で公開されている。その 題名の“धुरंधर: द रिवेंज”は“Dhurandhar: The Revenge”と英訳 されており、果たしてどこに向かっての復讐なのか。その辺 も気になるところだ。 公開は7月10日より、東京地区は新宿ピカデリー他にて全国 ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ツインの招待で試写を観て投稿 するものです。
『ブリング・ハー・バック』“Bring Her Back” 2023年11月紹介『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』の双生 児監督ダニー&マイクル・フィリッポウによる第2作。 登場するのは17歳の兄と視覚障害を持つ妹の兄妹。父親が亡 くなり、兄が後見人となれる18歳になるまでの間を2人は里 親の許で暮らすことになる。その里親の許には先に1人の少 年が暮らしていた。 さらにその里親は過去に視覚障害の娘を亡くしており、この ため同じ障害を持つ妹には理解が行き届いているという状況 だったが…。ある日、里親と妹が外出した家で事件が起きて しまう。しかしそれは予兆に過ぎなかった。 出演は、2019年のBBCドラマで国際エミー賞を史上最年少 で受賞したビリー・バラッドと、本作が映画デビューで実際 に視覚障害を持つソラ・ウォン。それにインディペンデント 映画で主演作もあるジョナ・レン・フィリップス。 そして2017年11月紹介『シェイプ・オブ・ウォーター』の主 演でオスカー🄬ノミネートを果たしたサリー・ホーキンス。 他にサリー=アン・アプトン、ミーシャ・ヘイウッド、ステ ィーヴン・フィリップスらが脇を固めている。 また脚本は監督の前作と同じくダニー・フィリッポウとビル ・ハインツマンが手掛けている。因に2人は“Talk 2 Me” という作品も開発中のようだ。 前作も奇妙な儀式を背景にしていたが、本作もそれを思い出 させる背景を持った作品になっている。ただそれが前作では 直接的であったものが、今回はいろいろと膨らみを持たせて あるのは腕が上がったという感じかな。 その他にも様々な伏線回収とか、前作の勢いだけの作品より は進化の跡も観られるものだ。とは言え少し勢いが緩んだ感 じなのは、ないものねだりというところだろう。こういう成 長を見られるのも嬉しいところだ。 しかも本作ではホーキンスを主演に招いたことで里親の内面 にも迫れたことに注目したいところで、儀式を行う側の想い などがしっかりと描かれていることに素晴らしさも感じてし まった。 実際に監督らは1962年の『何がジェーンに起こったか?』な どを手本にしたと語っているようで、映画の歴史をしっかり と踏まえたうえでの制作態度にも感心したものだ。次回作に も期待したい。 公開は7月10日より、東京地区は新宿ピカデリー他にて全国 ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
| 2026年05月10日(日) |
原爆資料館・語り継ぐものたち |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『原爆資料館・語り継ぐものたち』 1955年の開館以来、累計8000万人の来館者を数えたとされる 広島平和記念資料館の意義を伝えるドキュメンタリー。 通称原爆資料館の基になったのは広島文理科大学で鉱石学を 研究していた長岡省吾氏が収集した爆心地の瓦礫。実は本人 は原爆投下時は山口県にいたが2日後には現地に入り、ただ ならぬ事態を把握して収集と調査を開始している。 それは調査中にふと腰かけた路肩で花崗岩の表面が熔けてい たという驚愕の事実に始まったそうで、そこから大八車を曳 いて瓦などの瓦礫を集め続け、1949年5月に広島中央公民館 に「原爆参考資料陳列室」を開設している。 そして1955年8月24日に広島平和記念資料館が開館。その本 館は丹下健三氏の設計で、2006年には戦後建築としては初の 重要文化財に指定されたもの。その初代館長には長岡省吾氏 が任命された。 そこから3回の大幅リニューアル工事を経て現在に至る原爆 資料館の歴史が14代を数える歴代館長、特には7代目館長で 初めての被爆者館長となった高橋昭博氏の行動などと共に綴 られて行く。 制作は広島ホームテレビ。監督は広島ホームテレビ報道部所 属の斉藤俊幸と、同報道部長で2024年3月紹介『#つぶやき 市長と議会のオキテ』のプロデューサーも務めた立川直樹。 なお立川はプロデューサーも兼ねている。 また音楽を2023年6月紹介『ほつれる』などの石橋英子が担 当している。 作品は2005年に報道記者となった立川の20年に亙る取材と、 21年入社で自社に保存されていた 100時間以上のアーカイブ 映像を全て見返したという斉藤の賜物というべきもので、そ こには歴史的な証言も数多く描かれている。 中でも2003年の訪日の際に来館したフェデル・カストロや、 高橋昭博氏が退任後も送り続けた手紙に呼応したオバマ大統 領の来館のシーン(高橋氏は他界した後だったが)は、正に語 り継ぐことの重要さを描いているものだ。 その一方で、2023年5月のG7サミットが広島で開催された 際の広島平和記念資料館で日本政府が行った所業は腹立たし さを通り越して呆然とさせられる思いだった。その流れが今 の改憲問題にも関っているのだろう。 僕自身は2017年のリニューアル工事以前に訪問したことがあ るが、何というか筆舌に尽くしがたい衝撃は感じたものだ。 そんな思いを語り継ぐ見事な作品と言えそうだ。 公開は7月18日より東京はポレポレ東中野で、また7月24日 からは広島・八丁座他にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社きろくびとの招待で試写を観て 投稿するものです。 * * なお試写会は4月27日にもう1作品観て原稿も書き上げて おりますが、情報解禁前のため後日の掲載とさせていただき ます。
|