| 2026年03月29日(日) |
トランジット・イン・フラミンゴ、私の聖なるインド、月の犬、(3月30日更新)ザ・ブライド! |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『トランジット・イン・フラミンゴ』 1997年生まれ、2022年の監督作品で東京学生映画祭、なら国 際映画祭などのグランプリを受賞している堀内友貴監督が、 なら国際映画祭での受賞で得た映画プロジェクトの権利にて 制作した2024年の作品。 訳ありでその地にいることになった女性が、ふと街角で小型 の冷蔵庫を背負った女性と遭遇し、通り掛りの男性も巻き込 んで真偽不明の目標のため田園地帯を彷徨する様子を描いた ロードムーヴィ。 1人目の女性は男と暮らすべくやってきたものの男に置き去 りにされ、2人目の女性はその地の出身という親友が遺した 言葉を信じてフラミンゴを探している。そして男性はその土 地を離れられないまま今まで暮してきた。 そんな3人がそれぞれの現在地を探して田園地帯を彷徨って 行く。 出演は2024年1月紹介『ペナルティループ』などの山下リオ と、2024年12月紹介『恋脳Experiment』などの祷キララ。そ れに2018年7月29日付題名紹介『止められるか、俺たちを』 などの細川岳。 さらに三浦誠己、田中隆三らが脇を固める他、2023年12月紹 介『雨降って、ジ・エンド。』などの古川琴音が声の出演を している。 映画の製作では河�鹹照�がエグゼクティブプロデューサーを 務めている他、奈良県とロケ地の宇陀市が製作を助成。また 劇中の音楽をシンガーソングライターの工藤祐次郎が手掛け ている。 本作の制作では奈良県での撮影という縛りはあったようで、 その点では2025年11月紹介『Good Luck』に似た感じにはな っているかな。でもまあ観光映画に振らかったのは監督の考 え方だろう。 そこにさらにいろいろな人間模様を描き込んできたのも監督 の思惑だろうが、そのエピソードの積み重ねをあっさり切り 捨ててしまうのも監督の持ち味と言えるのかもしれない。こ のやり方はそれなりに面白くも感じられた。 それと劇中にかなりファンタスティックな描写があるは、こ れも監督の狙いなのかな。これを構えず入れてくるのも凄い と思わせてくれたところだ。次はこのファンタスティックな 面でも勝負して欲しいとも思った。 公開は5月15日より、東京地区は新宿武蔵野館、墨田区菊川 の映画館Stranger他にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社NAKACHIKA PICTURESの招待で試 写を観て投稿するものです。
『私の聖なるインド』“Land of My Dreams” 2019年12月にインドのナレンドラ・モディ政権が制定した市 民権改正法を巡ってニューデリー南部のシャヒーン・バーグ で繰り広げられた 100日以上に及ぶ抗議活動の模様を描いた ドキュメンタリー。 元々インドの宗教では、約80%のヒンドゥー教徒に対して、 およそ14%のイスラム教徒、2.3%のキリスト教徒、1.7%の シク教徒、0.7%の仏教徒、0.4%のジャイナ教徒などが存在 していた。 そんな中で2014年に発足したモディ政権は、2019年5月に再 選されて第2次政権となるやヒンドゥー至上主義の色彩を強 め、同年12月に市民権改正法を成立させる。そこでは明らか にイスラム教徒の排除が目的とされていた。 これに対してニューデリー郊外でイスラム教徒の学生が多く 通うジャミア・ミリア・イスラミック大学で改正法への反対 運動が始まるが直ちに警察が介入して鎮圧。そこではイスラ ム教徒が狙い撃ちで検挙されていた。 そしてその動きに対してジャヒーン・バーグでは、生徒の母 親を含むイスラム教徒の女性たちによる座り込みが始まる。 それは焚火を炊いて道路を封鎖するも、彼女たちの行動は全 くの無抵抗だった。 この行動に対してイスラム教徒だけでない宗派を超えた人々 が賛同し、徐々にその行動は広がって行った。 監督はジェンダー視点の作品を手掛けるインディペンデント 映画作家のノウシーン・ハーン。反対運動の拠点となった大 学の出身という監督が母校を訪ねた時に事件は始まったとい うことで、正に当事者目線での作品になっている。 インドで無抵抗主義というとマハトマ・ガンジーの時代から お家芸という感じでもあるが、最終的に座り込みは2020年の COVID-19によるパンデミックによって強制排除されたという ことで、それは仕方のないことだろう。 しかし2024年の選挙では第3次モディ政権は発足したものの 支持率は過半数を下回ったということで、人々の目は確実に 開かされたと言えそうだ。そんな民衆運動の有るべき姿が描 かれた作品とも言える。 本作は2023年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で観客賞を 受賞しているが、特に今の日本の情勢では共感は呼びやすい 作品と言えそうだ。 公開は6月6日より、東京地区は渋谷のユーロスペース他に て全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社きろくびとの招待で試写を観て 投稿するものです。
『月の犬』 2013年9月紹介『僕たちの高原ホテル』などの横井健司監督 が、自らの脚本で描いたジャパニーズ・ノワールとも称され る作品。 主人公は反社会で実力を持っていたものの、長く連れ添った 妻を病に気付かず失い、その失意で極道の世界を離れた男。 そんな男が見知らぬ土地に流れ着く。そこで男はふと一軒の クラブに入店するが…。 その店で法外な料金を請求された男は顔色も変えずにそれを 支払い、その様子を見ていた店の女店主は男に自分に似た匂 いをかぎ取る。そして女店主はその男を雇い入れ、店で働か させることにする。 一方、その女店主は裏で別の違法な商売も行っており、その 手伝いを店の女性に頼んでいたが、その女性が心を病んでし まったことからその仕事を主人公に任せることにする。しか しそれが物語を動かすことになってしまう。 出演は2024年9月紹介『海の沈黙』などの萩原聖人、2009年 7月紹介『わたし出すわ』などの黒谷友香、2024年2月紹介 『帰ってきたあぶない刑事』などの深水元基。 他にやべきょうすけ、中村映里子、大後寿々花、原日出子、 寺島進。そして子役の渋谷そらじらが脇を固めている。 日本映画でも反社会や極道を描いた作品はいろいろあったと 思うが、本作の物語はかなりダークで、行われている犯罪も 鬼畜と言えるもの。しかも救いがあるとも思えない。正にノ ワールという感じの作品になっている。 それを特に主役の3人がしっかりと演じているのも見事と言 える作品。それにしてもかなりひどい展開の物語だが、一方 これが現実にも起こりうるというのは震撼としてしまう作品 でもあった。 同じ監督の以前に紹介した作品はかなりほんわかとしたもの だったが、この落差は本心なのかな。いやはやすごい作品を 作ってきたものだ。これは次の作品にも期待を抱かざるを得 ないところだろう。 注目に値する監督がまた一人誕生した感じだ。 公開は4月26日より、東京地区はシネマート新宿他にて全国 順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社渋谷プロダクションの招待で試 写を観て投稿するものです。
(2026年3月30日更新) 『ザ・ブライド!』“The Bride!” 2003年6月紹介『セクレタリー』などの俳優マギー・ギレン ホールが脚本・監督を手掛けて、1935年ユニヴァーサル製作 のホラー映画に挑んだワーナーブラザーズ製作の作品。 1930年代のシカゴを背景に、社会進出を目指していた女性が 男性社会に翻弄されて憤死。ところがそこに世界を彷徨い歩 いていたフランケンシュタインの怪物が現れ、伴侶を求める 怪物は女性科学者の力を借りて彼女を復活させる。 こうして復活したブライドだったが、怪物との邂逅は社会か ら排斥され、ボニーとクライドのような逃避行を余儀なくさ れる。しかしそんな彼女の行動が女性社会の中でムーヴメン トを起こして行く…。 出演は2025年公開の『ハムネット』で第98回アカデミー賞🄬 主演女優賞を受賞したジェシー・バックリー。正に旬な女優 が奇抜な役柄を見事にこなしている。 共演は2008年7月紹介『ダークナイト』などのクリスチャン ・ベール。さらにピーター・サースガード、アネット・ベニ ング、ジェイク・ギレンホール、ペネロペ・クルスら、多彩 な顔ぶれが脇を固めている。 昨年はNetflix 版の『フランケンシュタイン』が日本では配 信前に劇場公開もされて、その作品はメアリー・シェリーの 原作を見事に映像化したものだったが、本作は映画オリジナ ルの続編に対するリブート版。 しかし作品は新作の跡も巧みに追いながら全く新たな物語を 紡ぎ出している。因に本作では原作者としてのシェリーの名 前はクレジットされていないそうで、その辺の意識も高い作 品のようだ。 とは言えギレンホールの脚本は1935年ユニヴァーサル版への リスペクトもたっぷりで、特に主演者の一人二役とそれが劇 中で一役に纏まる展開には、見事と言うしかない感動を覚え た。そして背景が1930年代というのも泣ける。 ギレンホール自身は過去には政治的発言などで物議を醸した こともある人だが、そんな見識が本作でもしっかりと描かれ ている。しかもそれを無邪気を装って描いているのも強かと 言いたくなる作品だった。 公開は4月3日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社東和ピクチャーズの招待で試写 を観て投稿するものです。
| 2026年03月22日(日) |
殺手#4(キラー・ナンバー4)、鬼の花嫁、“EPiC: Elvis Presley in Concert”(原題)、悲しくて美しい世界/THIS IS SPARKLEHORSE |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『殺手#4(キラー・ナンバー4)』“殺手#4” 近年復調の兆しを見せる香港アクションと、2021年に話題を 呼んだ『ベイビーわるきゅーれ』の製作陣がタッグを組んだ 日本が主な舞台のアクション作品。 主人公は香港が拠点の組織で#4と呼ばれる殺し屋。そんな 主人公に日本で報酬1億円の仕事が依頼される。そこで主人 公は来日し、窓口となるラーメン屋に指示された標的を難な く仕留めるが…。 そこで主人公の前に現れたのは依頼主だという若い女。彼女 は依頼の目的は弟を殺された仇討と告げ、さらに3人の殺し を申し入れる。しかし彼女は1億円の半額しか支払っておら ず、持ち金はないとも告げる。 これに対して組織は72時間の猶予で残りの支払いを要求し、 主人公には彼女の監視を命じる。そこで彼女は主人公の手を 借りて残りの3人の殺害と共にそこから金を強奪する計画を 表明。果たしてその計画の先行きは? 出演は香港のヴァラエティ番組などで人気を博し、ファッシ ョンモデルや歌手などとしても活動するジェフリー・ガイ。 2017年6月18日付題名紹介『幼な子われらに生まれ』で映画 デビューし、近年は大河ドラマなどにも出演の南沙良。 他にダニエル・ホン、森優理斗、根岸拓哉、チュー・パクヒ ム、ローザ・マリア・ベラスコ、与座重理久、佳久創、脇知 弘、田代良徳、和田庵、遠藤雄弥、草川拓弥。さらに斎藤工 竹中直人らが脇を固めている。 脚本と監督はアメリカ留学の後に俳優としてダンテ・ラム、 ジョニー・トー監督作品などに出演し、本作で監督デビュー を飾ったリョウン・コイイン。 脚本監修を『ベイビー…』などの阪元裕吾が手掛け、アクシ ョン監督は2017年2月26日付題名紹介『破裏拳ポリマー』な どの坂本浩一が勤めている。またエグゼクティブプロデュー サーには『ベイビー…』などの鈴木祐介が名を連ねている。 香港アクションと日本アクションの合体が狙い目の作品と思 うが、トリッキーなカンフーアクションというよりはチャン バラから相撲まで、いろいろな日本アクションが鏤められた 作品と言う感じかな。それはそれなりの作品だ。 ただまあお話は少し弱いかな。特に女性が依頼する動機があ まりに個人的過ぎて、これで香港の殺し屋組織と日本のヤク ザ組織が対決するというのは無理がある。ここは彼女の動機 にもっと大げさなものが欲しかったところだ。 まあ、こんな動機に#4が乗っかるというところが面白いか もしれないが、それでももう少し捻りというかアイデアは欲 しかった感じがした。監督デビュー作ではこんなものかもし れないが…。次の作品に注目しよう。 公開は4月3日より、東京地区は新宿バルト9他にて全国ロ ードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ライツキューブの招待で試写を 観て投稿するものです。
『鬼の花嫁』 King & Prince の永瀬廉と2022年5月紹介『ALIVEHOON アラ イブフーン』などの吉川愛W主演で、2020年10月に第1巻が 発行され、以降第9巻まで出版されてコミカライズもされて いるクレハ原作・ライトノベルシリーズの実写映画化。 背景はあやかしと呼ばれる妖怪と人間が共存する世界。まあ どちらかというと特殊能力を持つあやかしの方が支配階級の ようだ。そんな世界で1人目の主人公は、最強のあやかしと される鬼族の若き当主。 そしてもう1人は平凡な人間の女子大生。そんな彼女の妹が 狐族の当主に見初められたことから彼女の一家の生活は一変 し一気に上級階級となる。しかしそれに反比例して彼女自身 は疎まれるばかり。 ところが…。 共演は2025年8月紹介『ストロベリームーン』などの伊藤健 太郎、2025年12月紹介『この本を盗む者は』などの片岡凜。 さらに兵頭功海、白本彩奈、田辺桃子、谷原七音、尾美とし のり、眞島秀和、陽月華、橋本淳。そして嶋田久作、尾野真 千子らが脇を固めている。 脚本は2018年『ヌヌ子の聖★戦』などの濱田真和。監督は、 2016年のサスペンススリラー『クリーピー 偽りの隣人』の 脚本を黒澤清監督と共に手掛けた池田千尋が担当している。 また主題歌をKing & Prince が担当している。 物語の前半は『シンデレラ』を髣髴とさせる展開だが、主人 公が見初められてメデタシメッデタシとなるはずのところか らが本作の面白さだろう。しかも最後に思わぬ落とし穴も待 ち構えている。 原作を読んでいないのでこの映画化が9巻刊行の内のどれく らいまで到達しているのか判らないが、当然この先の物語は あるはずで、CGI多用の鬼族の生活ぶりもなかなかだし、 これは続編の映画化を期待したくなるものだ。 公開ぎりぎりの試写会も満席だったし、これは上手くヒット してくれることを祈りたい。永瀬ファンの動員を期待したく なるものだ。 公開は3月27日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社松竹の招待で試写を観て投稿す るものです。
“EPiC: Elvis Presley in Concert”(原題) 2022年に伝記映画『エルヴィス』を発表したバズ・ラーマン 監督が、その制作の際に発掘した60時間に及ぶとされる映像 や音声をリストアし、最高のテクニックで再編集して偉大な 歌手の在りし日を蘇らせた作品。 作品では、1970年代初頭ラスヴェガスで行われたコンサート とそのリハーサル風景の映像を中心に幼少期やデビュー当時 の映像、さらにはそれらについて語るインタヴューの音源な ども交えて多角的な描き方で綴られている。 その中で過去の部分に関しては、同時代を生きてきた自分と しては知っている内容も多かったが、改めてエド・サリヴァ ン・ショウの裏話を本人の解説で観るのは新鮮さも感じるも のでもあった。しかもその映像の鮮明さは見事と言える。 その一方で、リハーサル風景では恐らく初めて観る楽曲の歌 唱などもあって、これは貴重な体験と言える。特にザ・ビー トルズの名曲を振りも交えて歌っている様子は、お互いのリ スペクトも感じられる素晴らしいものだった。 出演はエルヴィス・プレスリー。もちろんバックバンドやコ ーラス、さらにエド・サリヴァンや客席とバックステージで のサミー・デイヴィスJrの姿なども映るが、あくまで添え物 で出演者と言えるのはプレスリーのみだ。 またバズ・ラーマンは製作・監督に加えて音楽製作総指揮と もクレジットされている。 発掘された映像と音声は別々の媒体に収められていたものも 多く、映像の鮮明なリストアと共に音声の慎重なリップシン クなども行われている。それらの作業には2年以上が掛けら れたそうだ。 その中でも見事なのは“Polk Salad Annie”。ここでは2つ のコンサートシーンとリハーサル風景が登場するが、プレス リーの声はもちろんバックバンドの演奏などが微妙に異なっ ている。それが見事に一体化されているのだ。 ここで映像の編集はフレームの切り替えで監督の思い通りに 可能だが、それに音声を合わせるのは至難。それを見事にや ってのけているのには、技術の素晴らしさよりもそのシーン への思い入れが感じられたものだ。 そんな正に愛情のこもった作品に思えた。プレスリーファン だけでなく、全ての音楽ファンへの贈り物と言える作品。特 に大型画面での没入感を体験したい作品だ。 邦題及び公開日は、試写の時点で決まってはいるが情報解禁 前とされており、今回の紹介では割愛させていただきます。 なおこの紹介文は、配給会社パルコの招待で試写を観て投稿 するものです。
『悲しくて美しい世界/THIS IS SPARKLEHORSE』 “This Is Sparklehorse” 1995年にアルバムデビューし、2010年に中心アーチストの自 死によって幕を閉じたアメリカ出身のロックバンドを描いた ドキュメンタリー。 バンドはマーク・リンカスを中心に結成され、デビューアル バムを発表した翌年には人気バンド=レディオヘッズのオー プニングアクトに選ばれて欧州ツアーに帯同するなど着実に 実績を上げて行く。 しかしそのツアー中、リンカスはアルコールや薬物の過剰摂 取で倒れ、一命は取り留めるものの後遺症に悩まされ続ける ことになる。それでも2001年に発表された3rdアルバムでは トム・ウエイツらとのコラボなど活動は旺盛だった。 ところが2006年に製作された4thアルバムが完成されたもの のお蔵入りとなり、その抗議活動などを繰り広げたものの大 きな挫折を味わうことになる。そして2010年に自死。4thア ルバムはその半年後に発売された。 出演はアーチスト本人のアーカイブの他に、バンドのメムバ ーやアーチストの家族、それにアルバムにコラボレーターと して参加していたという映画監督のデイヴィッド・リンチが かなりの時間を割いて証言している。 脚本とナレーションは生前のアーチストと親交のあったシン ガーソングライターのアンジェラ・フェイ=マーティン。 製作と監督はアート・ドキュメンタリーやツアーの記録映像 などを手掛けるアレックス・クロートンと、社会派ドキュメ ンタリストのボビー・ダスが共同で担当している。 音楽は詳しくないのでこのバンドについても不知だったが、 試写会にはバンドのファンの人も多く来ていたようで、中で も配給会社の挨拶が「バンドが好きでこの作品の配給を手掛 けることにした」というのは感動した。 とは言うもののバンドを知らなかった者としては、よくある アーチストの苦悩という感じかな。もちろんその苦悩の深さ は理解できるが、扱いが表層的でその内面には迫れていない 感じもした。 結局亡くなった人の内面は計り知れないものであって、それ を共有することはなかなか難しい。ただしその業績に触れる ことはできる訳で、その点ではスパークルホースと言うバン ドを知れたことには感謝したい作品だ。 それにしても配給会社の名前の由来がここにあったことは、 意外だった。 公開は4月24日より、東京地区はヒューマントラストシネマ 渋谷、新宿K's cinema、アップリンク吉祥寺他にて全国順次 ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ブライトホース・フィルムの招 待で試写を観て投稿するものです。
| 2026年03月15日(日) |
幸せの、忘れもの。、済州島四・三事件ハラン |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『幸せの、忘れもの。』“Sorda” 聾者の女性が最大の幸せに向かっていく姿を描き、ベルリン 国際映画祭で2冠、スペインマラガ映画祭で3冠、ゴヤ賞で 2冠に輝いたという作品。 主人公は聴者の夫と暮らす若い聾者の女性。彼女は陶芸工房 で働き、物言わぬ土と向き合いながら周囲の理解もあり様々 な作品を作り出している。ところが彼女がある幸せに向かい 始めた時から周囲の状況が少しずつ変化し始める。 果たして彼女はその幸せを掴み取ることができるのか…。そ こにはお互いの理解だけでは済まされない様々な状況が立ち はだかっていた。 脚本と監督は、劇作家で過去には性暴力や人身売買など様々 な社会問題を扱ってきたエバ・リベルタ。出演は監督の実の 妹で聾者のアーチストとして活動するミリアム・ガルロ。 他にアルバ−ロ・セルバンテス、エレナ・イレルタ、ホアキ ン・ノタイロらが脇を固めている。 本作は監督が妹から母親になりたいという相談を受けたこと から始まり、妹が語る「聴者による、聴者のための世界」で 母親になることの不安や期待を聞いたことから基となった短 編作品が作られたということだ。 しかし各地で受賞したその短編を作り上げた時から語るべき ことは数多く残されているという思いがあり、そこから改め てこの題材に向き合ったそうだ。その成果はゴヤ賞の新人監 督賞受賞などにも結実した。 近年は多様性の時代で様々な障害を持つ人たちを描いた作品 が増えてきている。とは言え僕自身の中で聾者を描いた作品 と言うと1961年の松山善三脚本・監督、小林桂樹、高峰秀子 主演の『名もなく貧しく美しく』が忘れられない。 この作品は多分、高校の講堂で行われた移動上映で観たもの と思うが、劇中で超満員の異なる車両に押し込められた夫婦 が、デッキの窓越しに手話で会話するシーンが列車の喧騒と 相まって強烈な印象で残っているものだ。 それは全体の物語も本作以上に厳しい内容のものであって、 その全てが今の時代に通用するものではないと思うものの、 そんな中で数少ない心が救われるシーンとして印象深く残っ ている。 そんな昔の作品と比較するのは失礼とは思うものの、50年以 上経った今でも状況は大して変わっていないということには 改めて問題の難しさを教えられた感じもしたものだ。 公開は5月1日より、東京地区は新宿武蔵野館、シネスイッ チ銀座他にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社スターキャットアルバトロス・ フィルムの招待で試写を観て投稿するものです。
『済州島四・三事件ハラン』“한란” 第2次世界大戦の終結から間もない1948年4月3日に始まり 1954年9月までに30,000人近くの民間人が犠牲になったとさ れる済州島虐殺事件の実態を描いたドラマ作品。 主人公は漁業の盛んな済州島で海女を生業としていた女性。 学校教員の夫との間に幼い娘もいて祖母と共に幸せに暮らし ていたが、米軍の進駐から南の単独政府樹立が発表された政 策転換の後、その状況が暗転する。 その時の済州島では南北一体での政府が期待されており、そ の運動に対して米軍及びその手先となった南政府の警察隊が 民間人の虐殺を開始したのだ。そのため主人公の夫は山に逃 れ、主人公もその後を追うことを決断する。 しかし祖母と幼い娘には警察隊も手を出さないであろうとい う考えから、村に残すという判断になるのだが、その考えが 全く甘かったことが判明する。こうして山に向かっていた主 人公は娘のいる村にとってかえすことにするが…。 その前には想像を絶する事態が待ち受けていた。 脚本と監督は、1977年生まれで2023年『彼女の趣味』という 作品がプチョン国際ファンタスティック映画祭で受賞するな どしているハ・ミョンミ。2013年に済州島に移住して準備を 重ねたという渾身の第2作だ。 出演は2013年4月紹介『私のオオカミ少年』や2019年4月紹 介『神と共に』などのキム・ヒャンギ。2000年生まれの女優 はいずれも少女役だったと思うが、今回はしっかりとした母 親の役だ。 そして娘役には 100人のオーディションから選ばれたキム・ ミンチェが扮している。 映画の中には「理想の国」という言葉が何度も出てくるが、 それが今の北朝鮮だと思うと何とも複雑な感じもする。とは 言え防共という名目であっても虐殺が行われたことは事実で ある訳で、正に狂信者の恐ろしさを描いた作品と言える。 因にこの事件そのものは2000年まで韓国政府によって隠蔽さ れていたということで、その事実にも驚かされるところだ。 惹句には「また一枚、歴史の闇が剝がされる」とあるが正に その通りなのだろう。 公開は4月3日より、東京地区はポレポレ東中野他にて全国 順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社シネマスコーレの招待で試写を 観て投稿するものです。
* * 今週はもう1本、4月3日ロードショウのハリウッド作品 を観ていますが、その作品は情報解禁が3月31日に設定され ていますので、ここでの紹介はそれ以降にさせていただきま す。
| 2026年03月08日(日) |
チェコ映画傑作選(一口のパン/夜のダイヤ、第五の騎士、火葬人)、炎かがよへ、幕末ヒポクラテスたち、OCHI!-オチ-、四月の余白 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ <チェコ映画傑作選> 『一口のパン』“Sousto” 『夜のダイヤモンド』“Démanty noci” 1960年代にチェコ・ヌーヴェルヴァーグと呼ばれた作品群の 旗手ともされた監督ヤン・ニェメツが、1960年に芸術アカデ ミーの卒業制作で発表した11分の作品と、1964年発表の長編 デビュー作で嚆矢とされた67分の作品の2本立て。 卒業制作の作品では、強制収容所へ向かう列車からの逃亡を 企てる3人の男が、停車中にパンの積まれた貨車から食料を 盗み出す顛末が描かれる。コントのような作品だが時間経過 などが執拗に描かれて、学生映画らしさも満喫される。 そして後者では、逃亡している2人の若者が森の中を疾走し その挙句に老人ばかりの自警団らしき一団に捕まるのだが。 そこから後が何ともシュールというか…。かなり不思議な雰 囲気の漂う作品になっていた。 この2作は共にチェコの小説家アルノシュト・ルスティクの 原作によるもので、ルスティクは脚本にも関っている。なお 後者のみ過去に日本での上映の記録はあるようだ。
『第五の騎士は恐怖』“A pátý jezdec je Starch” ナチスドイツ制圧下のチェコを描いたハナ・ベロハドスカ原 作・脚本、ズビニェク・ブリコフ脚本・監督による1965年の 作品。 題名は黙示録の四騎士に準えたもので、チェコでホロコース ト計画が推し進められる中、負傷したレジスタンスへの非合 法の治療に当たる医師がモルヒネを入手しようとプラハの街 を彷徨う姿が描かれる。 壁一面に張られた処刑者名の一覧と告発を誘う電話番号の掲 示など、この作品も現実を超えたかなりシュールな映像美に 溢れた作品だ。まあそれは現実にもあったものなのかもしれ ないが…。
『火葬人』“Spalovač mrtvol” 1968年に製作され、1972年のシッチェス映画祭で最優秀作品 賞を受賞したものの、本国では公開後すぐに共産主義による 検閲で上映禁止となり、長く国内での上映が出来なかったと いう作品。 1930年代のナチス台頭期を背景に、ごく普通の一般人だった 男性が周囲のイデオロギーの変化などに同調し、徐々にモン スターへと変貌して行く姿が描かれる。正しくファシズムの 恐怖が描き切られた作品と言える。 その上映を禁止した共産政権の思惑、そしてその恐怖は現代 にも通じているものかもしれない。 原作・脚本はラジスラフ・フクス、監督はユライ・ヘルツに よる。 以上の作品は4月10日から30日まで、東京はヒューマントラ ストシネマ渋谷にて<チェコ映画傑作選>として公開される。 なおこの紹介文は、配給会社コピアポア・フィルムの招待で 試写を観て投稿するものです。
『炎かがよへ』 戦国から安土桃山に続く戦乱時代の陸奥国を背景に、現在の 福島県会津若松市を中心とした領地を守った大名蘆名盛隆の 生涯を史実に基づき描いた作品。 主人公は須賀川二階堂氏の長男として生まれるも、父親が蘆 名氏との戦いに敗れたために人質として会津に送られた。と ころが蘆名氏の当主が嫡男を残さずに死去したことからその 未亡人と結婚、蘆名氏の養子となって自ら当主となる。 そんな不規則な形で大名蘆名盛隆となった主人公だが、当時 は越後の国での家督争いなど周囲で騒乱が続き、その一方で 背後からは伊達氏との抗争にも悩んだ盛隆は、天下人徳川家 康に取り入って領地の安定を図ろうとする。 そんな歴史の荒波に翻弄された蘆名盛隆だが、その生涯は予 想外の結末を迎えることになる。 出演は2018年大河『西郷どん』などの荒木飛羽、2021年ドラ マ『ドクターX』などの元之介、元乃木坂46の樋口日奈、 2019年9月8日付題名紹介『殺さない彼と死なない彼女』な どのゆうたろう。 さらに劇団☆新感線の吉田メタル、2022年6月紹介『劇場版 ねこ物件』などの松大航也、『ミュージカル・テニスの王子 様』などの杉江大志、2018年ドラマ『花のち晴れ〜花男〜』 などの翔、2024年1月紹介『身代わり忠臣蔵』などの加藤小 夏、元7人制ラグビー日本選抜メムバーの佳久創。 そしてダイアモンド☆ユカイ、timelez原嘉孝、A.B.C-Z戸塚 祥太、京本政樹、中村梅雀ら多彩なメムバーが脇を固めてい る。 脚本と監督は2019年3月24日付題名紹介『最果てリストラン テ』などの松田圭太。キャラクターデザインを2019年7月紹 介『超・少年探偵団NEO』などの天野喜孝が手掛けている。 物語の前半は戦国ものとして剣戟シーンなどもあり、結構頑 張っているなと観ていたが、中盤からはあらぬ方向に転がり 始め、結末は正に予想外だった。しかしウィキペディアなど によると最後は史実の通りのようで…。 その原因などはさすがに俗説とされてはいるものの記述があ り、確かにこんなことがあったろうと否定はできないものに なっている。それは正しく現代にも通じる物語だったという 訳だ。その雰囲気を出演者たちが巧みに描き出している。 公開は4月3日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて 全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社S・D・P/shinshinの招待で 試写を観て投稿するものです。
『幕末ヒポクラテスたち』 京都府立医科大学を卒業し、医師国家試験にも合格した異色 の経歴を持つ大森一樹監督が、2022年の母校創立 150周年を 記念して企画したものの同年に他界。監督が遺した最後の企 画とされる幕末期の日本近代医療の夜明けを描いた作品。 どんな病も葛根湯を飲めば治るという中国伝来の漢方医と、 長崎出島で学んだ蘭方医が拮抗していた時代。そんな時代に 蘭方医の主人公は京都の辺境の庶民の中で漢方医と争いなが らも着実に西洋医学を進めていた。 そんなある日、見た目でガラの悪い若者が主人公の許に駕籠 で乗り付け、豪商の家への往診を依頼する。そんな金では動 かないとする主人公だったが、医術の必要を感じて往診に向 かい、その患者は見事に回復する。ところが…。 迎えの若者は豪商の放蕩息子で賭場の争いで重傷を負い、主 人公の許に転がり込んでくる。そこで主人公は初の開腹手術 を敢行、見事回復した若者は弟子入りを懇願するが、主人公 は本当にやる気なら出島に行けと送り出す。 そして15年後、立派な蘭方医となって戻ってきた若者を迎え た時、医学上の大事件が勃発する。 出演は2017年1月紹介『3月のライオン』などの佐々木蔵之 介、2018年7月29日付題名紹介『止められるか、俺たちを』 などの藤原季節、2019年9月8日付題名紹介『影踏み』など の藤野涼子。 さらに2006年4月紹介『ゆれる』などの真木よう子、2026年 2月紹介『今は昔、栄養映画館の旅』などの柄本明、2008年 7月紹介『フレフレ少女』などの内藤剛志。 他に川島鈴遥、堀家一希、諏訪太朗、阿南健治、栗原英雄、 吉岡睦雄、斉藤陽一郎らが脇を固めている。そしてナレーシ ョンを2025年10月紹介『無明の橋』などの室井滋が担当して いる。 脚本は大森監督の企画時からの参加で2012年1月紹介『はや ぶさ 遙かなる帰還』などの西岡琢也。監督は大森監督の許 で助監督などを務め、師と仰ぐ2009年6月紹介『のんちゃん のり弁』などの緒方明。運命と思っての担当だそうだ。 原作として稲垣浩監督、菊島隆三脚本、森繁久彌主演による 1960年の東宝映画『ふんどし医者』が掲げられ、物語の骨子 はほぼそれに沿っているようだ。ただし大森監督は自身の監 督第2作『ヒポクラテスたち』の続編とも語っている。 そんな物語は正に医療の根幹を描いたものでもあり、それが 『ヒポクラテスたち』に出演した柄本明、内藤剛志や、大森 作品でデビューしたという室井滋など大森監督所縁の俳優に よって実現されている。これぞ大団円というものだろう。 公開は5月8日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ギャガの招待で試写を観て投稿 するものです。
『OCHI!-オチ-』“The Legend of Ochi” ビヨークのミュージックヴィデオなどを手掛ける映像作家の アイザイア・サクソンによる初の長編映画監督作品で、多く の話題作を提供するA24が初めて手掛ける本格ファンタシー 作品。 舞台は少し過去のルーマニア・トランシルヴァニアのカルパ チア山脈。主人公はその土地に暮らす少女。そこには人間を 襲うとされる-オチ-と呼ばれる生物がいて、人々はその生物 の駆逐に躍起となっていた。 そんな時、-オチ-の出現が伝えられ主人公の父親は娘と息子 を含む地元の少年たちを組織してその討伐に向かう。ところ がその作戦の中で主人公は傷ついた-オチ-の子供を見付け、 隠して家に連れ帰ってしまう。 こうして主人公と-オチ-は心を通わせるようになるが、ある 切っ掛けから主人公は-オチ-の言葉が判ることに気が付く。 それは小鳥のさえずりにも似た美しい言語だった。そして少 女は-オチ-を親の許に返すべく行動を開始する。 出演はドイツ出身で2019年に演じた作品により同国の映画賞 で史上最年少の主演女優賞に輝いたというヘレナ・ツェンゲ ルと、俳優、映画監督、ミュージシャンなど多彩に活動する 2019年9月29日付題名紹介『IT イット THE END “それ”が 見えたら、終わり。』などのフィン・ウォルフハード。 そして2025年8月紹介『ブライアン・エプスタイン』などの エミリー・ワトスンと、2024年9月紹介『ビートルジュース ビートルジュース』などのウィレム・デフォーが2人の両親 役で登場する。 作品は監督自身がスピルバーグやジブリを挙げている通り、 それらの作品への思いやオマージュに満ちたもので、それは ファンにとっては嬉しい作品ではある。ただ物語的にはスト レート過ぎるかな。 親子の問題や夫婦間の問題などいろいろ描いてはいるが、全 体に厚みはない感じがする。でもまあお子様向けのファンタ シーとしてはこの程度で良いのかな。そこはA24作品への期 待が大き過ぎたのかもしれない。 アナログ技術を活用した造型や操演も巧みだし、映像的には さすがと思わせるところは多い作品だった。 公開は4月3日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
『四月の余白』 2016年2月紹介『ヒメアノ〜ル』などの𠮷田恵輔監督が、自 身の過去にも向き合って描いたとされる現在の若者を取り巻 く世界を写した作品。 登場するのは身体中に刺青の入った男。元半グレで元受刑者 のその男は、夜更けの街で行き場のない若者たちに声を掛け 続けている。そんな男は自身の体験を基に若者を更生させる 学園「みらいの里」を運営していたが…。 一方、暴力的な生徒のために学級崩壊が起きかけている教室 の女性担任は、矯正教育のシンポジュウムで男と出会う。そ して藁にも縋る気持ちで男に相談を持ち掛け、生徒の母親と も相談の上で「みらいの里」への入寮を決めるが…。 男が連れて行く間も暴れまくる生徒は「みらいの里」に着い ても環境に馴染めず男との対立を続ける。それでも何とか共 同作業を行えるようになるが、そこで事件が起きてしまう。 それは他の寮生たちにも類が及ぶことになる。 出演は2023年3月紹介『ヴィレッジ』などの一ノ瀬ワタルと 2019年12月8日付題名紹介『架空OL日記』などの夏帆、そ れに2023年Mrs.GREEN APPLE のミュージックヴィデオなどに 出ている上阪隼人。 他に篠原篤、占部房子、山��七海、和田庵、�眦痛�作、松木 大輔、小沢まゆ。さらにパトリック・ハーランらが脇を固め ている。 映画の結末はちょっと論議を呼んでしまうかな。でもこれが 現実だろうし、ここにきれいごとを描くのは監督の想いでは ないだろう。そんなかなりシビアな物語が描かれている。で もこの現実をしっかりと観届けなくてはならない。 そんな想いを新たにする作品だった。 因に監督の次回作は今秋公開予定の『mentor』という題名で 結果的に本作と2部作になるもののようだ。 公開は6月26日より、東京地区は新宿ピカデリー他にて全国 ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社アークエンターテインメントの 招待で試写を観て投稿するものです。
| 2026年03月01日(日) |
オールド・オーク、マテリアリスト 結婚の条件、スマッシング・マシーン |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『オールド・オーク』“The Old Oak” 2019年10月20日付題名紹介『家族を想うとき』などのイギリ スの名匠ケン・ローチ監督による2023年の作品。2016年製作 の『わたしは、ダニエル・ブレイク』、『家族を想うとき』 と共に英国北東部3部作の最終章とされる作品のようだ。 舞台は2016年、英国北部の炭鉱町。同国の炭鉱も日本と同じ 斜陽産業のようで、町は寂れて空き家も目立っている。そん な空き家の一つに地元のヴォランティアの斡旋でシリアから の難民の一団が引っ越してくる。 しかしその引っ越しには最初から冷たい目が向けられていた もの。それでもその引っ越しを手伝っている地元のパブの主 は毅然とした態度で対処していたが…。彼が営むパブの常連 客からも非難の声は上がってくる。 そんな中で難民の女性が愛用のカメラを壊され、頼られたパ ブの主は長く閉ざしていたパブの別室を開けてそこにあった 古いカメラを修理の当てに提供する。そしてその部屋には炭 鉱町の歴史を綴った写真が飾られていた。 出演は英国北東部3部作全てに登場のデイヴ・ターナー。元 は現地の労働組合役員で、前2作の製作の際に手伝いをして いた流れで本作のオーディションに参加、主演に抜擢された そうだ。 他にイスラエル占領下にあるシリアゴラン高原出身のエブラ ・マリ。元慈善団体事務局員のクレア・ロッジャーソン。そ してローチ監督の1991年作『リフ・ラフ』などのトレヴァー ・フォックスらが脇を固めている。 脚本はインド出身で1996年ローチ監督の『カルラの歌』以来 の盟友とされるポール・ラヴァティが担当している。 日本でも地方に行くと多くのシャッター街が見られるが、英 国も同様のようだ。しかもその原因は政府の失政に依るとこ ろが大きいようで、その非は日本よりも深刻なのかもしれな い。そしてそこに難民が送り込まれた。 日本でも異国の人々との軋轢はいろいろ問題にされて来てい るが、その状況は民衆の右傾化を呼びさらにそれを深刻化さ せる。そんな状況は日本の現状ともぴったり重なるような作 品だった。 ローチ監督の作品は今までにもいろいろ観て来ているが、正 直に言って今までの作品は素晴らしいものであってもやはり 英国(ヨーロッパ)の話であり、観ていて多少の距離はあった 感じがする。しかし本作は違う。 それは正に今の日本が直面している問題に関るものであり、 今の自分に直接訴え掛けられているものだった。僕は恐らく ローチ監督の作品で初めて涙を流した。こんな気持ちに多く の人になって貰いたいものだ。 公開は4月24日より、東京地区はヒューマントラストシネマ 有楽町、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷他に て全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ファインフィルムズの招待で試 写を観て投稿するものです。
『マテリアリスト 結婚の条件』“Materialists” 2024年2月紹介『パスト ライブス/再会』がデビュー作で高 い評価を受けたセリーヌ・ソン脚本、監督による第2作。前 作は監督自身の出自にも根差したものだったが、今回も彼女 の実体験に基づくものだそうだ。 主人公は大都市ニューヨークの結婚相談所で婚活のマッチメ ーカーとして働く女性。今まで難しいとされる婚活を何度も 成功させ、「天性の婚活カウンセラー」とも絶賛される才能 の持ち主だ。 その手法はマッチメイクする2人の感情だけでなく、両者の 「資産価値」も冷静に判断するマテリアリスト(物質主義者) の考え方。しかしそんな彼女自身は独身で、自分は生涯結婚 することはないとも考えていた。 ところがそんな彼女が自分の手掛けたカップルの結婚式に参 列したとき、高身長、高収入の理想の「資産価値」の男性が 現れる。そこで彼女はその男性を結婚相談所に登録させよう と画策するが…。 その男性は彼女に一目ぼれして彼女に付き合いを申し込んで くる。しかもその会場ではもう1人、彼女が20代の頃に付き 合っていたが「資産価値」が合わずに別れてしまった男性も 登場する。 そんな2人の間で揺れ動く彼女の許に別のマッチメークでの トラブルの訴えが届く。そのため落ち込んだ彼女は、理想の 男性との付き合いを始めてしまうが、彼女の前にいくつもの 問題が生じて行く。 出演は2018年12月紹介『サスペリア』などのダコタ・ジョン スン。2013年11月紹介『スノーピアサー』などのクリス・エ ヴァンス。2025年9月紹介『エディントンへようこそ』など のペドロ・パスカル。 日本ではマッチングアプリが全盛のようだが、アメリカの状 況は実際どうなのかな。アプリこそ究極のマテリアリストだ と思うが、ここに提示されるトラブルは同様に起きる可能性 も感じるものだ。 それは兎も角この作品では、そんなマテリアリストの理想を 超えた真実の愛の行方が描かれて行く。これこそが理想の婚 活なのだろうな。昭和生まれの男性としてはそんな風にも捉 えたが、若い人にはどう映るのだろう。 いずれにしても理想の結婚を目指す素敵な作品が描かれたも のだ。因に監督はブレイク以前にマッチメーカーとして働い ていたことがあるそうだ。 公開は5月29日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて 全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
『スマッシング・マシーン』“The Smashing Machine” 格闘技家の“The Rock”こと、2013年5月紹介『ワイルド・ スピード/ユーロ・ミッション』などのドウェイン・ジョン スンが自ら権利を獲得して描いた伝説の格闘技家マーク・ケ アーの実話に基づく物語。 オハイオ州出身のケアーは学生時代にレスリングでNCAA ディヴィジョン1のチャンピオンとなり、1990年代後半に始 まったばかりのエクストリーム・ファイティングの世界に参 入。そこでも無敵の強さを発揮し題名の称号を得る。 そんなケアーは1999年、日本の総合格闘技イヴェントPRIDE に参加。しかしそこでは思わぬ結果が待ち受けていた。それ は相手の反則技に屈したもので、試合自体は無効となるが、 彼自身に心には深い傷が残る。 そのため彼の生活は荒んでいったが…。 共演は、2024年5月紹介『フォールガイ』などのエミリー・ ブラント。なおジョンスンとは2021年『ジャングル・クルー ズ』でもコンビを組んだ間柄だ。他にライアン・ベイダー、 バス・ルッテン、オレクサンドル・ウシク。 そして日本のシーンでは大沢たかお、石井慧、光浦靖子、布 袋寅泰(本人役)らが登場して脇を固めている。 脚本と監督は、2025年12月紹介『マーティ・シュプリーム世 界をつかめ』の兄ジョシュと共にサフディ兄弟として活動し てきた弟のベニー・サフディ。単独では初の長編監督作品で ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞に輝いた。 また特殊メイクを2018年『ウインストン・チャーチル』でア カデミー賞®受賞のカズ・ヒロが手掛けている。 その特殊メイクではジョンスンを見事に変身させているもの だが、これが正に格闘技家としてのドウェイン・ジョンスン を描き出しており、普段の映画では見せない真のアスリート の姿になっている。これは元々の“The Rock”ファンにはた まらない作品とも言えそうだ。 それと実話の映画化らしくエンディングロールには実際の写 真も登場するが、そこに映画の巻頭で出てきたペットの写真 が添えられていたのも嬉しいところ。その姿が本物と瓜二つ なのにも感激した。 それにしても兄弟監督が独立したら揃ってアスリートの実話 に基づく物語で、しかも共に転機となる舞台が日本という面 白い巡り会わせだ。 公開は5月15日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて 全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
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