| 2025年09月28日(日) |
ハウス・オブ・ダイナマイト、エディントンへようこそ、そこにきみはいて、星と月は天の穴 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ハウス・オブ・ダイナマイト』“A House of Dynamite” 2010年2月紹介『ハート・ロッカー』でアカデミー賞🄬監督 賞の栄冠に女性では初めて輝いたキャスリン・ビグロー監督 が、2018年1月14日付題名紹介『デトロイト』以来8年ぶり に発表した最新作。 なおこの作品は9月2日にヴェネチア国際映画祭でプレミア 上映され、10月24日よりNetflix にて全世界配信されるもの だが、それに先駆けて一部の国での先行劇場公開が決定し、 それに伴って試写が行われた。 映画の巻頭では第2次大戦後の核開発から核軍縮、そこから さらに核拡散の時代に入ったとの歴史の流れが紹介される。 そして突然、所属不明のミサイルがアメリカ本土に向けて発 射されたとの報告がもたらされる。 この事態にアメリカ政府は直ちにリアル及びリモートの国防 会議を招集、まずは迎撃ミサイルの発射が承認される。その 一方でレーダー観測による計測から着弾までの時間がおよそ 16分と予測され、さらにその着弾点が絞り込まれて行く。 こうした動きがリアルタイムで、さらに登場人物のそれぞれ の立場ごとにオムニバスのように描かれて行く。しかもそこ に様々な人間ドラマが織り込まれる。その巧みさは正に職人 技とも言える作品になっていた。 出演はイドリス・エルバ、レベッカ・ファーガソン。他にガ ブリエル・バッソ、ジェイソン・クラーク、グレタ・リー。 そしてジャレッド・ハリス、トレイシー・レッツ、アンソニ ー・ラモス、モーゼス・イングラム。 さらにアン・ティー、ブリタニー・オグレイディ、ベンガ・ アキナベ、ウィラ・フィッツジェラルド、レネイ・エリース ・ゴールズベリイ、カイル・アレン、ケイトリン・デバーら が脇を固めている。 なお脚本は2017年5月紹介『ダイバージェント FINAL』など のノア・オッペンハイム。巻頭からの見事な構成には緊迫感 が横溢しており、監督も素晴らしいがこの脚本にも拍手を贈 りたい作品だ。 また音楽を2025年2月紹介『教皇選挙』などのフォルカー・ ベルテルマンが担当して、特徴的な音楽が物語に見事な彩を 加えている。 ある種の終末戦争ものと言えると思うが、それを市井の描写 を極力避けて政府及び軍内部の動きだけで描き切るというの はかなりの集中力を必要とする作業だと思う。それを脚本家 と監督が見事に成し遂げた作品だ。 しかもかなり複雑な動きを丁寧に判りやすく描き切ったとい うのも特筆すべきところだろう。それにしても実際に事が起 きたら、事態はこんな風に推移していくのだということが手 に取るように理解できた。 そしてそれに伴う苦悩や責任なども見事に描かれており、こ れは今を生きる全ての人が観て考えるべき作品だ。嬉しそう に「核兵器が一番安上がり」などと言っている輩には是非と も観て貰いたい。 公開は10月10日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社イオンエンターテインメントの 招待で試写を観て投稿するものです。 またこの試写会は前週に行われましたが、情報解禁の関連で 今回紹介するものです。
『エディントンへようこそ』“Eddington” 2018年10月紹介のデビュー作『ヘレディタリー継承』以降、 新作が常に話題を呼ぶアリ・アスター監督が、2023年12月に 紹介『ボーはおそれている』のホアキン・フェニックスを再 び主演に招いて描いた新たな世界。 時代背景は2020年5月の後半。COVID-19禍で社会が混沌とす る中で物語は進行する。そして舞台はニューメキシコ州の辺 境の町。そこでホアキンが演じるのは、喘息持ちでマスクが 息苦しいと主張する町の保安官だ。 そんな主人公は州知事及び市長が出したマスク着用命令に不 満だが、そこには彼の妻と市長との過去をめぐる経緯もある ようだ。そしてそんな彼の妻は陰謀論に憑りつかれて、彼に 様々なネット上の噂を突き付ける。 こんな状況の中で、市長が推し進めるIT企業の誘致に陰謀 論の影を見付けた主人公は、それを盾に対立候補として市長 選への立候補を表明する。しかし思い付きだけの立候補には 支援者も現れず…。 そんな状況が混乱に混乱を呼び、遂には只ならぬ事態を招来 してしまう。果たして陰謀論は真実なのか…? 共演は2023年1月紹介『マッシブ・タレント』などのペドロ ・パスカルと、2018年12月16日付題名紹介『女王陛下のお気 に入り』などのエマ・ストーン。因にストーンは本作と同じ A24製作の2025年8月紹介『テレビの中に入りたい』ではプ ロデューサーも務めていた。 他にオースティン・バトラー、ルーク・グライムス、ディー ドル・オコンネル、マイクル・ウォード、アメリ・ホーファ ーレ、クリフトン・コリンズ・Jr.、ウィリアム・ベルーら が脇を固めている。 日本もアメリカも世界中が陰謀論に憑りつかれた感のある現 代だが、アリ・アスター監督はそこを見事に突いてきたとい う感じもする作品だ。しかもそこを強烈に笑い飛ばす。これ は見事な作品だ。 その上そこにはアメリカの銃社会の恐ろしさも漂っている。 まあここまでくると日本人には他山の石と見ていられるが、 アメリカでは…? しかもそこも笑い飛ばす。それもお見事 だ。 公開は12月12日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて 全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
『そこにきみはいて』 2018年4月15日付題名紹介『四月の永い夢』を脚本・監督し た中川龍太郎が原案を手掛け、2022年『の方へ、流れる』な どの竹馬靖具監督に託して映画化した現代に生きる若者の恋 愛事情を描く作品。 映画のプロローグは、街の雑踏を歩いている女性の姿と住宅 街らしい場所で邂逅する男性2人。男性2人は大学時代の同 窓でその一方は新進作家というが、2人の間には過去に経緯 があった様子が伺える。 そして女性はキャリアウーマンだが勤務先では少し浮いた感 じもする。そんな女性が男性たちの他方である弁護士と法律 上の相談を持ち、そこから2人の関係が始まるが、そこには 少し歪な感じもある。 しかしその関係が進展する中で事件が起き、女性は作家と出 会うことになるが…。 出演は2024年1月紹介『湖の女たち』などの福地桃子と、同 月紹介『身代わり忠臣蔵』などの寛一郎、それに原案者でも ある中川龍太郎。他に兒玉遥、遊屋慎太郎、緒形敦、長友郁 真、川島鈴遥。 さらに諫早幸作、田中奈月、拾木健太、久藤今日子、朝倉あ き、筒井真理子らが脇を固めている。 作品を観ているとき登場人物の人間関係からは2006年11月紹 介『スキトモ』を思い出していた。設定などは全然違うのだ けれど、この手の作品ではだいたい斎藤工の初期の主演作で あるこの作品が思い浮かぶ。 そこから僕自身は全然進歩していないが、この作品ではその 後の世の中の流れがこんな風に進化してきたのだということ も理解できる作品になっていた。大元の物差しは変えられな いけど、理解のスケールを変えることのできる作品だ。 しかもそれは決して良い方向だけでないことはちょっと悲し かったかな。そんなところに現代の若者の辛さも描かれてい るように感じられたものだ。共感する人も相当数の割合でい るのかな。そんな悲しい物語だ。 公開は11月28日より、東京地区はヒューマントラストシネマ 渋谷他にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社日活の招待で試写を観て投稿す るものです。
『星と月は天の穴』 「1969年の思い出」という添え書きのされた吉行淳之介原作 を、2023年9月紹介『花腐し』などの荒井晴彦脚本・監督で 映画化した作品。主演も同作の綾野剛が務めている。 綾野が扮するのは10年前に妻に逃げられ、独身のまま齢40代 を迎えた作家。表面上は娼館に馴染みの娼婦を持つなど自由 を楽しんでいる感じだが、その内面は複雑だ。そんな作家が ふと立ち寄った画廊で女子大生と巡り合う。 一方、作家には絶対に人に言えない秘密があり、そのコンプ レックスから恋愛を拒んできた事情もあったのだが…。女子 大生との関係が深まるうちに、彼の抱えていた事情が徐々に 変化していく。 共演は2025年4月紹介『桐島です』にも出ていた咲耶。他に プロダクションスタッフとしても経歴がある岬あかり。さら に吉岡睦雄、MINAMO、原一男、柄本佑、宮下順子、田中麗奈 らが脇を固めている。 上に続いての作家が物語の中心にいる作品になったが、片や 令和に対するは昭和という感じで、この対比はなかなか面白 かった。それにしても本作は、正しく昭和文学という佇まい なのも楽しくなる。 しかもその時代設定が1969年というのは、僕のような人間に とっては感慨深い年号であって、その点が物語の中でもしっ かりと抑えられていたのは嬉しかった。ここが1970年でなか ったことも面白い。 そんな中での物語だが、何というか男性作家の願望みたいな ものが横溢しているのは正しくこれが昭和という感じでもあ りそうだ。こんな展開は令和では許されないかな。そんなこ とも考えてしまった。 吉行淳之介は1924年生まれ。1969年は45歳だった訳で、まあ こんな妄想を描いてしまうのかな。もう少し後では僕自身が 試写会の帰りなどに銀座で女性編集者を連れて歩いている姿 を見掛けたこともあったが、和装が格好良かった人だ。 そんな人の頭の中がこんなだったことも興味深かった。男同 士としてその点は理解できる。監督は1947年生まれだから、 その辺の共鳴はあったのだろう。僕が監督の同年代者として 嬉しくなる作品だった。 公開は12月19日より、東京地区はテアトル新宿他にて全国ロ ードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
| 2025年09月14日(日) |
見はらし世代、ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師、ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『見はらし世代』 2025年カンヌ国際映画祭「監督週間」に日本人監督史上最年 少の26歳で選出された団塚唯我監督による長編デビュー作。 因に監督は以前に何度か紹介した「ndjc:若手映画作家育成 プロジェクト」の出身者とのことだ。 物語の背景は東京の渋谷。町の再開発で街区のスクラップ& ビルドが続けられるこの街の片隅で、ある一家の崩壊と再生 が語られる。 物語の始りは10年前。両親と子供2人の一家は都会を離れた 別荘地に家族旅行に来ていた。しかし高速のサーヴィスエリ アを経て旅先にやってきた父親に仕事の連絡が入り、父親は 家族を残してとんぼ返りしてしまう。 それから10年後、家族の長男は花卉店で胡蝶蘭の運配送の運 転手をしていたが、その配送先に父親の職場の名前を見付け 出す。そして蘭を持って父親の許を訪れた長男だったが、そ の再会がぎこちないものだった。 一方、家族の長女は結婚を控えており、彼女は弟に引越しの 手伝いを依頼する。そしてやってきた弟は姉に父親との再会 を告げるが、姉の態度は全く無関心のようにつれない。そん な板挟みに弟は苦悩することになるが…。 出演は2023年8月紹介『さよならほやマン』などの黒崎煌代 と、2015年8月紹介『木屋町DARUMA』などの遠藤憲一。さら に2024年10月紹介『十一人の賊軍』などの木竜麻生。それに 井川遥。 他に菊池亜希子、中村蒼、中山慎悟、吉岡睦雄、蘇��淳、服 部樹咲、石田莉子、荒生凛太郎らが脇を固めている。 物語は渋谷が背景で、70年安保の時代から渋谷に出入りして 本作の試写も渋谷の丸山町界隈で鑑賞している自分にとって は、正に自分の家の話のようにも思える親しみが湧いてくる 作品だった。 そんな渋谷の変革と重ね合さった家族の話だが、物語として 後半の展開は自分のテリトリーにも近くて大歓迎で、恐らく こういう展開が今の映画ファンにも受けるのだろうが。個人 的には少し唐突に感じたかな。 それはもちろん伏線は敷かれていたものではあるが、そこま での展開が巧みでリアルだった路線からは少し落差があった 感じもする。全体をこの話で行くなら前半にもっとギミック があって欲しい。 逆に言えば本来のテーマの解決策としてこれは少し安易な感 じもしてしまう。それこそ deus ex machinaのような感じに もなってしまったものだ。まああまりドロドロしたものを描 くよりはこの方が良いのかもしれないが。 なお冒頭書いた「ndjc」に関しては2018年、2019年と2022年 は鑑賞したが、団塚監督の作品が発表された2021年はcovid- 19禍もあって鑑賞が叶わなかった。でもここから次々に新し い才能が巣立っていることには嬉しさを感じるものだ。 公開は10月10日より、東京地区はBunkamura ル・シネマ渋谷 宮下(ベストロケーション)、新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺他 にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社シグロの招待で試写を観て投稿 するものです。
『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』 “Bonhoeffer: Pastor. Spy. Assassin.” 第2次世界大戦期のドイツ。ナチスの政権下で信仰を守り、 遂にはヒトラー暗殺計画にまで参画した牧師の実話に基づく 物語。 ディートリヒ・ボンヘッファーは1906年生まれ。ベルリン大 学などで神学を専攻した後にバルセロナで教会の助任牧師を 務め、さらにはニューヨーク市の神学校に1年間留学する。 そして帰国後はベルリン大学で講師などを務めていた。 しかし当時のドイツではナチスが台頭し、キリスト教会もナ チスに隷属して行く。そんな中で主人公はドイツ・ルーテル 派の牧師として働き、さらには反ナチズムの告白教会の設立 にも参加していったが…。 因に主人公の父親はベルリン大学で精神医学と神経学の教授 を務めており、ヒトラーが開始した安楽死計画に反対を表明 したもっとも著名な精神科医の一人だったという。そんな環 境も彼を後押ししたのかもしれない。 出演は2019年2月3日付題名紹介『僕たちは希望という名の 列車に乗った』にも主演したヨナス・ダスラー。他に2019年 12月22日付題名紹介『名もなき生涯』などのアウグスト・デ ィール、2010年11月紹介『ソウル・キッチン』などのモーリ ッツ・ブライプトロイ。 さらにナディーン・ハイデンライヒ、デヴィッド・ジョンソ ンらが脇を固めている。 脚本、監督、製作は2016年9月紹介『ハドソン川の奇跡』な どの脚本を務めたトッド・コマーニキ。当初は別の監督で脚 本のみ依頼されたが、提示された概要に疑問を持ち、6年か けて脚本を執筆して自ら監督も務めたそうだ。 本来は宗教家である主人公が暗殺という殺人を画策する。そ の矛盾に興味を惹かれたが、映画の中ではその葛藤とそこに 至る思想もしっかりと語られており、時代に翻弄される中で の彼の生き様が見事に描かれていた。 なお映画の中では彼がキリスト教の聖人に列せられているよ うな描写があるが、ネットで検索した限りではそれはヒット しなかった。但しキリスト教の聖人は宗派によって様々なよ うで、一部ではそういう扱いもあるのかもしれない。 その一方で映画では彼の音楽の素養も紹介され、ニューヨー ク時代のジャズメンとも交流も描かれるが、これは脚本家の 創作とのこと。でも同時代にそこにいたことは事実だし、可 能性はない訳ではない。 しかもそのシーンは正しく感動的で、これが映画の前半に置 かれていることを残念にも感じてしまうものだった。そして 映画の後半では、彼の遺した詩に曲をつけた実在の讃美歌も 登場する。 因にこの讃美歌は、当時は俳優業を休業中だった主演のダス ラーを映画に導く切っ掛けでもあったそうで、そんな音楽的 にも素晴らしいエピソードを持つ作品だ。 公開は11月7日より、東京地区はヒューマントラストシネマ 有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館他に て全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハークの招待で試写を観て投稿 するものです。
『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』 2018年と2021年の2シーズンにCS放送及び地上波はTOKYO MX などで各12話放映されたアニメーションシリーズの劇場版。 幕末、昭和、平成などいろいろな時代の少女たちがゾンビと なって甦り、特殊メイクなどで出自を隠しながらアイドルグ ループを結成し、存在が消えつつある佐賀県を救うべく活動 している、というかなり飛んだ設定のホラーコメディ? 一応テレビシリーズの概要は目を通してみたが、ゾンビとい うよりはアイドルグループの成長の道程のようで、そこには 友情やアイドル活動への疑念など、有り勝ちの物語が綴られ ている感じだった。 ただまあメムバーたちの生前のジェンダーの問題やその他の 社会現象など、現代社会を取り巻く様々な問題がそれなりに 語られているようで、それは少し気になるところもある感じ のシリーズだったようだ。 そんなシリーズの劇場版だが、映画の物語はグループの人気 も高まり、折しも佐賀県で開催される万博のメインステージ に向けて準備を進めているところに突然巨大宇宙船が出現。 地上を攻撃し始めるという展開。 これに対して日本政府及び世界各国は佐賀県を犠牲にする攻 撃を検討。そんな中、ゾンビの彼女たちが宇宙船への決死の 対決を挑むが…。因にこのプロローグはシリーズ第2シーズ ンの結末からの続きのようだ。 声優はテレビシリーズと同じく宮野真守、本渡楓、田野アサ ミ、種田梨沙、河瀬茉希、衣川里佳、田中美海、三石琴乃。 監督も、テレビシリーズと同じく佐藤威と石田貴史。そして 脚本はテレビシリーズの大半を執筆している村越繁が担当。 因に村越は、2018年9月23日付題名紹介『ポルトの恋人たち 時の記憶』などの脚本も手掛けている。 正直に言って突然巨大宇宙船が飛来してそれに対決するとい う展開の作品はいろいろあるし、そこに本作ではゾンビとい う存在が生かされているかというと、その辺はあまり感じら れなかった。 ただそこにはキャラクターの特徴がいろいろあったようなの だが、如何せんテレビシリーズを観ていない身には少しハー ドルが高かったかな。その辺はテレビシリーズからのファン へのプレゼントという感じの作品だろう。 でもまあ物語が判りやすい分、理解はしやすかったもので、 その点は一般観客へも配慮はされている? 取り敢えず僕自 身は問題なく観ていられる作品だった。この手の作品にこれ 以上の要求は控えたい。 公開は10月24日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社東映の招待で試写を観て投稿す るものです。
| 2025年09月07日(日) |
ぼくらの居場所、次元を超える |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ぼくらの居場所』“Scarborough” カナダの作家キャサリン・エルナンデスが実体験に基づいて 執筆したとされるデビュー小説を自ら脚本化し、ドキュメン タリー映画で実績を持つシャシャ・ナカイとリッチ・ウィリ アムスンの監督コンビに託して描いたドラマ作品。 物語の舞台はカナダ・トロント東部に位置するスカボロー。 高級住宅地とは言えないその町には、DVを逃れてきた母子 やシェルターで暮らしている先住民の血を引く一家、両親に 諍いの絶えない家族などが暮らしている。 そんな暮らしの中でそれぞれの家族の子供たちにとっては、 イスラム系の女性ソーシャルワーカーが責任者を務める教育 センターが唯一の心の拠り所だったが…。貧困や様々な差別 や虐待などが彼らの前途を険しいものにして行く。 出演はリアム・ディアス、エッセンス・フォックス、アンナ ・クレア・ベイテル。さらにチェリッシュ・ヴァイオレット ・ブラッド、アリーヤ・カナニ他。出演者の多くは現地の在 住者で、中には演技未経験の人も含まれているそうだ。 そんな作品だが、カナダのアカデミー賞とされる2022年のカ ナダ・スクリーン・アワードでは11部門にノミネートされ、 作品賞を始め、脚色賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞な ど8冠に輝いている。 現代社会における最も厳しい側面を描いたと言える作品で、 特にそれを子供の立場から描くことでその厳しさを一層際立 たせている。しかもそれを平易に描くことで誰の目にも理解 し易く表現している。 これは監督らの出自が上手く嵌ったと言えるかも知れない。 正に観察することでその奥深さも見えてくる。それは海外評 の中に2024年6月紹介『至福のレストラン』などF・ワイズ マン監督の名前が挙がっていることでも納得できた。 つまりこの作品では、観客に無用な感情移入などを強いるこ となく。冷静に事物を見せることで問題の所在を観客自身に 考えさせる。そんな手法が問題の重大を把握させ、より感動 を大きなものにさせる。そんなことを思わせる作品だ。 ただこの手法で全ての観客が自らの問題としてこの作品に対 峙できるかには懸念も生じるが。今やこの現実は地球に住む 人間が全て理解できる状況にあるとも言え、そんな現実が突 き付けられている感じもする作品だった。 公開は11月7日より、東京地区は新宿シネマカリテ、UPLINK 吉祥寺、渋谷の[シアター]イメージフォーラム(8日より)他 にて全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社カルチュアルライフの招待で試 写を観て投稿するものです。
『次元を超える』 2005年7月紹介『空中庭園』などの豊田利晃監督が窪塚洋介 と松田龍平を主演に据え、さらに千原ジュニアを加えた三つ 巴の呪術師の戦いを描いたファンタシー色の濃い作品。 最初の登場はジュニアが演じる阿闍梨。彼は山奥の修験堂で 怪しげな説法を行っている。そこには松田扮する暗殺者も来 ているが、エスカレートする阿闍梨の過激なパフォーマンス にも動じることはないようだ。 そんな暗殺者は同行の女性から窪塚扮する修行者のの捜索を 依頼されており、やがて法螺貝の音に誘われるように暗殺者 は修行者と邂逅する。そして2人は次元を超えるめくるめく 旅へと突入するが…。 共演は、2023年12月紹介『青春ジャック 止められるか、俺 たちを2』などの芋生悠、2025年5月紹介『中山教頭の人生 テスト』などの渋川清彦。さらに東出昌大、板尾創路、祷キ ララ、窪塚愛流、飯田団紅、マメ山田らが脇を固めている。 物語は2019年に発表された『狼煙が呼ぶ』に始まり、各年に 公開の「狼蘇山」という短編シリーズの集大成となるものの ようで、登場人物の多くはシリーズにも関っているようだ。 でも初めて観ても理解に問題はなかった。 その物語はかなり哲学的な命題に根差しており、そのテーマ は宇宙の果てのさらにその先はどうなのかというもの。この テーマは劇中ではジュニアによって提示されるもので、表面 的には悪役の彼が映画を背負っているものだ。 そしてこのテーマは、実は1968年公開の『2001年宇宙の旅』 にも通底するもので、その観点で見ると本作には実に多くの オマージュが描かれている。それは例えば宇宙服のデザイン や彼が歩く通路の情景。 さらには1968年作でも有名なstar gate corridorへのオマー ジュと思われるシーンでは、CGIを駆使してもしかすると クラークとクーブリックは本当はこれが描きたかったのでは ないかと思わせる映像まで登場する。 他にも法螺貝を落としてそれを拾うシーンなどは、1968年作 でのボーマンが食器を落とすシーンを髣髴させる。つまりこ の作品は豊田監督による『2001年宇宙の旅』への回答の様に も思えてきた。 その伝で言うと窪塚と松田はボーマンとプール、ジュニアは HAL 9000なのかな。因に宇宙船の造形も突飛だが、1968年作 のディスカバリー号の造型にもいろいろ解釈はあったもの。 ただしここは1974年の『フレッシュ・ゴードン』かな? 『2001年宇宙の旅』へのオマージュと思う作品は2014年11月 紹介『インターステラー』などいろいろ指摘してきたが、本 作はその中でもクーブリックに寄せた作品として僕は評価し たいと思う。実に楽しめる作品だった。 公開は10月17日より、東京地区は渋谷のユーロスペース他に て全国順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社スターサンズの招待で試写を観 て投稿するものです。
|