井口健二のOn the Production
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2025年08月31日(日) じっちゃ!、トリツカレ男

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『じっちゃ!』
2012年2月紹介『けの汁』などの千村利光監督が再び青森県
津軽地方を舞台にして、都会からIターンしてきた孫娘と祖
父との絆を描いた、つがる市市制執行20周年記念作品。
主人公は地域おこし協力隊という制度を利用してつがる市に
やって来た女性。彼女がその地を選んだのは祖父がいるから
という理由で、メロン農家の祖父の家に間借りして青森県で
の生活が始まる。
そこで市役所の観光・ブランド戦略課に配属された彼女は映
像配信などでアピールを繰り広げようとするがなかなかうま
くは行かない。そんな中で淡い恋心を抱いていた同僚男性か
ら東京での仕事を誘われるが…。

出演は2024年『レディ加賀』などの中村静香と、2020年2月
16日付題名紹介『仮面病棟』などの小野武彦。他に超特急の
小笠原海。さらになだぎ武、しゅはまはるみ、篠田諒、木��
ゆりあ、望月雅友、北野瑠華、鈴原ゆりあ。そして津田寛治
らが脇を固めている。
『けの汁』の主演は三上寛だったが、本作の主人公の苗字も
三上。これには何か監督の想いがあったのかな。因に本作主
演の中村は『けの汁』の紹介文に書いた『トミカヒーロー/
レスキューファイアー』に出ていたそうで、なかなか義理堅
い監督のようだ。
そんな監督の作品だが何か物足りないかな。劇中では青森県
はメロンの栽培が日本第3位と語られていて、その辺をアピ
ールしたいのかもしれないが、それが全体の物語に絡んでこ
ない。『けの汁』は33分の短編だったがもっと物語は巧みだ
った気がした。
それに市制執行記念映画としてつがる市をアピールしたいの
なら、観光映画の要素も欲しかった感じがしたもので、その
辺は監督の地方への思い入れが強すぎて逆に落としてしまっ
たのかもしれないが、全国の観客に見せるにはそんな工夫も
欲しかった感じもしたものだ。
『けの汁』で自分が書いた記事を読み返すと「馬っこ祭り」
が興味深かったとしているから、多分そんな部分も面白かっ
たのだろう。そんな万人受けする要素を盛り込んで欲しかっ
た。物語自体は悪いとは思わないが、何かもう1、2点の追
加が欲しかったところだ。

公開は10月17日より青森にて先行上映の後、東京地区は10月
31日から池袋シネマ・ロサ他にて全国順次ロードショウとな
る。
なおこの紹介文は、配給会社S・D・Pの招待で試写を観て
投稿するものです。

『トリツカレ男』
2003年『麦ふみクーツェ』という作品で坪田譲治文学賞受賞
のいしいしんじが2001年に刊行した原作を、2021年『サマー
フィルムにのって』の三浦直之脚本、2014年『映画クレヨン
しんちゃんガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』などの�盒蕎�
監督でアニメーション映画化した作品。
主人公は何かにトリツカレると、そこに向かって一心不乱に
突き進んでしまう若い男性。そのため周囲には迷惑もかけて
いるが周囲の人が寛容なのかな、いやそれ以上に本人の誠実
さもあるのだろう。
そんな若者は三段跳びや探偵、ナッツ投げなど様々なものに
トリツカレてきたが、遂に1人の女性にトリツカレる日がや
ってくる。その彼女は公園で風船を売っていたが、何処かに
少し陰のある女性だった。
こうして主人公は彼女の心の陰を取り除くべく、今までトリ
ツカレてきた様々な技を活かして、その真相を探り始める。
しかしそこには想像を超える事情が隠されていた。果たして
彼はそれを解決することができるのか?

声優は「Aぇ! group」の佐野晶哉と上白石萌歌。他に柿澤勇
人、山本高広、川田紳司。さらに水樹奈々、森川智之らが脇
を固めている。
またミュージカル仕立て音楽をAwesome City Clubのatagiが
担当して、歌手でもある主演の2人は歌唱も担当している。
2014年の高橋監督作品は評判が高かったが未見だった。実は
最近に孫の付き合いで同シリーズの新作を観に行ったが、正
直に言ってその作品は期待外れだった。でも本作は、僕の予
測を見事に覆してくれた。
何しろ物語が良いし、そこに見え隠れする社会情勢への言及
などが、これは間違いなく大人の鑑賞に耐えるものになって
いる。しかもそこにある種の障碍を抱える若者の成長が見事
に描かれているのだ。
ただまあ映画好きの中には2007年6月紹介『レミーのおいし
いレストラン』との類似性を指摘する人も居るかも知れない
が、原作はそれ以前の発表だし、特に問題とするものではな
い。それより描かれた内容が素晴らしい。
間違いなく大人も感動するアニメーションと言えそうだ。

公開は11月7日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社バンダイナムコフィルムワーク
スの招待で試写を観て投稿するものです。



2025年08月24日(日) 港のひかり、インディセント

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
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『港のひかり』
2023年3月紹介『Village/ヴィレッジ』などを手掛けたプロ
デューサーで2022年に他界した河村光庸氏が残した企画を、
『ヴィレッジ』などの藤井直人監督で実現した作品。
主人公は能登半島の小さな漁村に住む初老の男性。小さな船
で漁に出ているが漁獲は少ない。そんな主人公には若い猟師
が嘲笑を浴びせるが彼は無頓着だ。そんな主人公には支援者
もいるが…。
そんな主人公が一少年に目を留める。その少年は白杖を突い
ており、聴けば薬物中毒のヤクザが運転する車の事故に巻き
込まれ、両親と視力を失ったのだという。その少年と主人公
は交流して行くが、そこには厳しい声もあった。
そして主人公の背後にはある影が近づいてきていた。

出演は河村企画、藤井監督による2021年『ヤクザと家族 The
Family』にも出演の舘ひろし。相手役に眞栄田郷敦と歌舞伎
役者の尾上眞秀。他に斎藤工、ピエール瀧、一ノ瀬ワタル、
MEGUMI、赤堀雅秋。さらに市村正親、宇崎竜童、笹野高史、
椎名桔平らが脇を固めている。
脚本は藤井監督が手掛けているが、2021年から進められた企
画には河村、舘の意見も取り入れられているそうだ。そして
撮影監督には大ベテランの木村大作。美術監督は2024年3月
紹介『プロミスト・ランド』などの原田滿生という最高の布
陣の作品だ。
物語はチャールズ・チャップリンの1931年作『街の灯』をモ
ティーフにしたとされているが、少年との絡みなどは1921年
作『キッド』も思い浮かぶ。そんな名作に裏打ちされた作品
とも言える。
その一方で本作は、社会派ドラマだった『ヴィレッジ』から
は一転したエンターテインメント性も狙いのようで、ヤクザ
社会を戯画化する点ではなるほど本作が河村氏のスターサン
ズと東映との共同製作という点にも納得した。いやはや登場
する強面の面々には思わず膝も打ったものだ。
まあ結末などは多少緩いと思われる面もあるが、王道のエン
ターテインメント作品には仕上げられている。

公開は11月14日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社東映、スターサンズの招待で試
写を観て投稿するものです。

『インディセント』“Indecent”
2017年8月紹介『ホリデイ・イン』や2023年12月紹介『ピア
ノ2 PIANOS 4 HANDS』などが上映された「松竹ブロードウェ
イシネマ」から2025年秋公開の3作品が発表され、その内の
1本を鑑賞した。
1907年にポーランドの作家ショーレム・アッシュが発表した
イディッシュ語の戯曲「復讐の神」。それを1923年にブロー
ドウェイで上演した際に巻き起こった論争を基に、アメリカ
の作家ポーラ・フォーゲルが描いた2015年の舞台劇。
物語の背景は第2次大戦前、ナチスが台頭し始めた頃の東欧
の町で「復讐の神」の上演が計画される。しかしその舞台で
はある事情から芝居の眼目である「雨」のシーンが削除され
ることも紹介される。
そのシーンでは女性同士の恋愛が描かれており、当時の世相
ではそれは許されていないものだった。しかしそのシーンが
物語の主題と考える俳優たちはそれに反発し、演者たちと舞
台の主宰者との間で反目が始まる。
その一方で劇場外ではナチスによるユダヤ人狩りが始まり、
舞台への締め付けも激しくなってくる。それでも舞台は演じ
られるのか…。そして演者たちが出した結論は…?

原作と脚本はポーラ・フォーゲル。監督と演出はレベッカ・
タイチマン。出演はリチャード・トポル、カトリーナ・レン
ク、アティナ・ヴァーソン他という舞台を撮影した2017年の
作品だ。
正直に言ってハリウッドが描くユダヤ人迫害の話は、イスラ
エルがガザを攻撃している現在の状況ではある種の虚しさを
感じてしまう。それは元々は戦争の悲劇を描くはずが、現状
と乖離していることにもよるのだろう。
しかしこの作品ではそこにジェンダーの迫害が加味され、そ
れが全ての迫害への抵抗のようにも捉えられて、何か崇高な
作品に昇華していると思えたものだ。それは特に最後の数分
の演出が全ての差別からの解放のようにも見えた。
そんな見事な演出の作品だった。

「松竹ブロードウェイシネマ」2025年秋3作品公開は、1本
目の『エニシング・ゴーズ』が10月31日より、2本目の本作
『インディセント』が11月14日より、3本目の『アイタニッ
ク』が11月28日より、それぞれ1週間(東劇のみ2週間)限定
で全国順次上映となる。
なおこの紹介文は、配給会社松竹の招待で試写を観て投稿す
るものです。



2025年08月10日(日) ストロベリームーン、ブライアン・エプスタイン世界最高のバンドを育てた男、やがて海になる

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
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『ストロベリームーン』
2023年に刊行されて「令和イチ泣ける」と称された芥川なお
原作小説の実写映画化。
幼い頃から病弱で通学も叶わなかった少女が15歳で余命半年
と宣告され、両親に懇願して高校への通学を実現させる。そ
こにはある想いも隠されていたが…。それから半年間の6月
の満月を目指す物語が描かれる。

出演は、2023年NHK大河『どうする家康』などの當真あみ
と映画『室井慎次』(2024)シリーズなどの齋藤潤。他に
杉野遥亮、中条あやみ。
さらに池端杏慈、黒崎煌代、吉澤要人、伊藤健太郎、泉澤祐
希、池津祥子、橋本じゅん。そして田中麗奈、ユースケ・サ
ンタマリアらが脇を固めている。
脚本は、1959年生まれで2004年3月紹介『深呼吸の必要』や
2009年3月紹介『おっぱいバレー』などの岡田惠和。監督は
1991年生まれで2024年『恋を知らない僕たちは』などの酒井
麻衣が担当した。
実はタイトルの意味も知らず、内容も全く不知のまま試写会
に臨んだ。そこで開幕からほんの数分で落涙するという事態
に陥ってしまった。その時点ではその後の展開や結末も知ら
ないままである。
自分は一端映画を見続けてきたものだから多少の感動シーン
には馴れているつもりだが、それでこの状況には脚本と監督
の巧みさを褒めざるを得ないだろう。ベテラン(脚本)と新鋭
(監督)の見事な融合と言えるものだ。
まあそれ以降は感情の揺さぶりは抑えられたが、逆に冷静に
物語を観ることができたのはこのテーマというか展開の把握
には良い結果だったとも言える。テーマとしては一時期有り
勝ちだったとも言えるが、それを巧みに再生している。
水に浸かったのに数分後には衣服が乾いているなど突っ込み
どころはいくらでもあるが、フィクションはある意味ファン
タシーなのであって、それをとやかく言うのは野暮というも
のだ。それくらいには認められる作品だった。
なお主題歌「トワノヒカリ」を、脚本家岡田惠和の2004年作
『いま、会いにゆきます』での主題歌「花」以来のタッグと
なるORENGE RANGEが手掛けているのも話題になりそうだ。

公開は10月25日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社松竹の招待で試写を観て投稿す
るものです。

『ブライアン・エプスタイン世界最高のバンドを育てた男』
                    “Midas Man”
イギリス・リヴァプール出身の4人組ロックバンド=ザ・ビ
ートルズのマネージャーで、5人目のビートルズとも呼ばれ
た男性の姿を事実に基づいて描いたドラマ作品。
1934年9月19日にユダヤ系一家の長男としてリヴァプールで
生まれたブライアンは、1950年頃から父親の経営する家具店
で働き始め、その店内でレコードの販売業務を担当。1959年
にドイツで発売された1枚のレコードの注文を受ける。
その時、店にそのレコードはなかったがその演者がリヴァプ
ール出身で、地元のクラブで凱旋出演をすると知ったブライ
アンはその演奏を聞きに行き、一瞬でその姿に魅了される。
そして彼らのマネージメントを買って出る。
こうしてザ・ビートルズと出会ったブライアンは、やがて彼
らを世界一のバンドへと育てて行く。しかしその陰では彼自
身の性癖や様々なストレスからの薬物への依存などが彼の身
体を蝕んで行くことになる。
そんなブライアンの生涯が描かれる。

出演はジェイコブ・フォーチュン=ロイド。他にエド・スペ
リーアス、エディ・イザード、ジェイ・レノ、エディ・マー
サン、エミリー・ワトソン、ブレイク・リチャードソン、ジ
ョナ・リース、ダーシー・ショウらが脇を固めている。
監督はジョー・スティーヴンスン。2017年には俳優イアン・
マッケランを追った長編ドキュメンタリーも手掛けたという
監督がマネージャーの真実に迫ったものだ。
劇中には何度か演奏シーンはあるが、そこではザ・ビートル
ズの楽曲はほとんど演奏されない。その代わりに「ベサメ・
ムーチョ」などザ・ビートルズが世に出る前に演奏していた
カヴァー曲などが聞こえる仕組みだ。
これは権利の問題などもあったのかもしれないが、本作はザ
・ビートルズを描くのではなく、ブライアン・エプスタイン
を描くのだから、敢えてその楽曲は避けたようにも取れる。
多分そういう監督の意思の表れだろう。
ただまあ描かれるエピソードの殆んどは彼の性癖やリンゴ・
スターの加入など、すでに他の作品でも描かれたものが多い
から、その点での目新しさは少なかったかな。最初のレコー
ド会社の来歴などは面白かったが。
また日本やフィリピン公演でのトラブルなどは、その後の情
勢を知って観ると面白いものはあった。そんな歴史も感じさ
せてくれる作品だ。

公開は9月26日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷シャン
テ他にて全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ロングライドの招待で試写を観
て投稿するものです。

『やがて海になる』
広島県江田島を舞台に、地元を離れられない男と地元を離れ
て都会に出て行った男の行く末を、江田島出身の沖正人監督
が自らの脚本で描いた作品。
主人公は故郷を出て映画の道に進み、発表した作品は好評の
ようで、そんな男が新作の撮影のために故郷に戻ってくる。
その情報は地元のテレビでも紹介され、そんなニュースを地
元で暮らす男女2人が見つめていた。
その1人は数年前に父親を亡くした男性。その父親が残した
農地は親戚に任せ、自分はやるべきことも判らないまま半分
フリーターの様な生活だ。そしてもう1人はクラブで雇われ
ママの女性。
そんな3人は高校時代の同級生で、その時代の姿は夢のまた
夢だった。そんな3人が再会し物語が動き出す。

出演は三浦貴大、武田航平、咲妃みゆ。その高校生時代を市
村優汰、後藤陽向、川口真奈。さらにドロンズ石本、武田幸
三、高山璃子、山口智恵、緒形敦、柳憂怜。また占部房子、
白川和子、大谷亮介、渡辺哲らが脇を固めている。
僕自身は湘南生まれの湘南育ちで、今は東京に住んではいる
が隣接県ではあるし自分で故郷というものをあまり意識した
ことがない。従って主人公のような思いは湧かないが、逆に
他の2人のような思いもないものだ。
つまり僕にとって本作の登場人物たちの思いは想像でしか考
えられないもので、その点で僕はこの作品の観客には適さな
いと感じてしまった。でもこういう思いを共有できる人は多
いのかな。そんなことは考えた。
ただそれにしても、3人3様の物語が少し重すぎる感じはし
て、しかもその解決が物足りない。上映時間の中で全てを描
き切ることは難しいかもしれないが、もう少し切り分けて多
少なりとは深い話に出来たようには感じられた。
でもまあ2つの時代3人の物語をここまでまとめ上げた手腕
は評価するべきものだろう。まだまだ習作、これからが楽し
みな監督ではある。

公開は8月29日より広島・八丁座、9月5日より呉ポポロシ
アターにて先行上映の後、東京地区は10月24日からヒューマ
ントラストシネマ渋谷他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ムービー・アクト・プロジェク
トの招待で試写を観て投稿するものです。



2025年08月03日(日) テレビの中に入りたい

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『テレビの中に入りたい』“I Saw the TV Glow”
新しい才能を次々に発掘するA24が製作し、2024年の第74回
ベルリン国際映画祭・パノラマ部門に正式出品された作品。
舞台は1996年のアメリカ郊外の住宅地。主人公が通う中学校
が大統領選挙の投票所となり、母親の投票についてきた主人
公は物陰で熱心に読書している女生徒に目を留める。彼女が
読んでいたのはテレビ番組のオフィシャル本だった。
その番組は『ピンク・オペーク』。2人の少女が「憂鬱」と
称する敵の繰り出す様々な怪物と戦うアクションもの。しか
し厳格な彼の家のルールは10時就寝で金曜日の10時30分から
放送されるその番組を見ることはできなかった。
そんな主人公を少女は自分の家で見せてあげると誘い、友達
の家でお泊りをすると称して彼女に家にやって来た主人公は
初めてその番組を見て魅了される。その後は彼女が録画して
くれたヴィデオで鑑賞を続けるが…。
2年後、突然彼女が町から姿を消し、番組もシーズン5で打
ち切りになってしまう。そして母親を癌で亡くした主人公は
重なる喪失感の中で何の目標もないまま無為に生活を続けて
いくことになってしまう。
さらに8年後、父親と共に映画館で働いていた主人公の前に
突然少女が現れる。しかも彼女は行方不明の間はテレビの中
でピンク・オペークとして活動していたと話し出す。そんな
彼女は主人公に一緒に来て欲しいと告げるが…。

出演は2019年『名探偵ピカチュウ』などのジャスティス・ス
ミス。他にジャック・ヘブン、ヘレナ・ハワード、リンジー
・ジョーダン、フレッド・ダースト、ダニエル・デッドワイ
ラーらが脇を固めている。
脚本と監督は、1987年生まれで2021年“We're All Going to
the World's Fair”という作品を発表しているジェーン・シ
ェーンブルン。因に本作は全3部作の第2部という位置づけ
のものだそうだ。
3部作の第2部ということで本作を単体で評価していいかは
迷うところだが、IMDbに掲載された前作のシノプシスを読む
と物語などに直接関連はないようなので、本作だけで評価を
してみることにする。
内容的にはテレビドラマの物語に入り込むというものだが、
実際のそのシーンみたいなものはあまりなくて、その周囲を
描くというのはうまいと言えるところかな。それがホラーと
しての現実感には繋がっているように感じる。
しかもそれがテレビ文化へのノスタルジーに繋がっているの
も心地よく感じられたところだ。特に放送の定時性が強調し
て描かれているのは、昨今の配信文化との違いが反映されて
いるようにも感じられた。
それはテレビの中に入るという言い回しにも顕著で、そこに
はブラウン管式の箱型のテレビが存在している。これは近年
のパネル型のテレビでは思いつかないものだろう。そんな最
近の文化との違いがノスタルジックに描かれた作品だ。

公開は9月26日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町他にて全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ
オの招待で試写を観て投稿するものです。


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井口健二