井口健二のOn the Production
筆者についてはこちらをご覧下さい。

2025年03月30日(日) マリリン・モンロー私の愛しかた

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『マリリン・モンロー私の愛しかた』
     “Dream Girl: The Making of Marilyn Monroe”
1962年に36歳の若さで他界したハリウッド女優の生涯を幼少
期からの写真やアーカイヴ映像、出演作品のクリップ、関係
者へのインタヴューなどで綴ったドキュメンタリー。
マリリン・モンローは1926年6月1日、ロサンゼルスでノー
マ・ジーン・モーテンセンとして誕生した。母親は現像所で
フィルムの編集係として働いており、父親はその上司だった
というが正式の結婚はしていなかったようだ。
誕生した赤ん坊はすぐに近所の篤志家の家に預けられたが、
祖母は孫が緋嫡子であることを許せず、その殺害も図ったと
いう。そんな祖母も死に、母親は多忙で会いに来なくなり、
赤ん坊は篤志家の許で育てられた。
その後モンローが8歳の時に母親がローンで家を手に入れ、
ようやく母子での生活が始まるが、同居人だった俳優から性
的虐待を受け、それを知った母親が逆上して俳優にナイフで
切り付けるなど、散々な幼少期だったようだ。
しかしそんな環境の中でモンローは周囲からは嘲られながら
もスターへの夢を持ち続ける。そしてその夢が現実になり始
めるが…。こんなストーリーが多数の写真や映像と共に描か
れて行く。

監督はイアン・エアーズ。ロサンゼルス出身だが現在はパリ
に住んで画家やハリウッドスターのドキュメンタリーなどを
50本以上も作ってきたという監督が、トニー・カーティスを
題材とする中でモンローとのエピソードを知り、10年以上の
歳月を費やして作り上げた作品だ。
僕自身が1962年には13歳で、モンローの死には日本でも騒ぎ
だった記憶がある。もちろんそれはセックスシンボルの突然
の死ということへの反応だったが、その後いろいろな情報な
ども知ってそれなりの興味も持ったものだ。
そんな記憶と共に本作を観ていると、語られる情報には知っ
ていたことも多かったが、それらが映像と共に語られると、
その臨場感というかこれが事実なのだという思いも強く湧き
上がってきた。
特に彼女の死に関しては、公式には自死ということになって
いるものだが、本作では別の結論を引き出しており、しかも
それを断言していることには少なからず驚かされた。実は僕
自身もこの説には賛同するのでその思いは特に強かった。
ただし僕自身は映画の説に登場する両サイドでは反対側の方
を有力と考えてもいたもので、果たしてこの映画の結論が正
しいかには異論は持つが、こういう説が検証されていること
には気持ちよく納得した。
そして描かれるモンローの生涯が現代の女性に通じるもので
あることにも感動した。それは女性の自立への道程であり、
現代女性の理想にも近いものであった。そんな素晴らしい女
性が意思半ばで他界してしまったものだ。
そんな悲しみも湧き上がってくる作品だった。それにしても
モンローの魅力が満載でファンには宝物とも言える作品だ。

公開は5月30日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町、シネリーブル池袋、新宿シネマカリテ、アップリン
ク吉祥寺他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社彩プロの招待で試写を観て投稿
するものです。



2025年03月23日(日) パディントン消えた黄金郷の秘密

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『パディントン消えた黄金郷の秘密』
                “Paddington in Peru”
2016年の公開作品と2017年12月10日付題名紹介の作品に続く
シリーズ第3作。第1作でペルーからイギリスにやってきた
紳士なクマが、第2作のロンドンでの活躍に続いていよいよ
本作ではペルーに里帰りを果たす。
切っ掛けはパディントンの育ての親のルーシーおばさんが老
後を過ごしているペルーの老グマホームの院長から届いた手
紙。そこには齢 100歳を超えるおばさんが寂しさからか元気
をなくしていると書かれていた。
ちょうどその頃、パディントンには英国国民であることを証
す政府発行のパスポートが届いており、彼はそれを持ってペ
ルー行きを決意。そこにいろいろあって家族の絆を取り戻し
たいブラウン一家も一緒に家族旅行をすることになる。
ところがはるばるやってきた老グマホームではおばさんがい
なくなっており、何かを捜しにジャングルに向かったらしい
と伝えられる。そして手掛かりを求めておばさんの部屋に入
ったパディントンはヒントの手紙を見つけ出す。
こうしておばさんが向かったと思われる場所を目指してパデ
ィントンとブラウン一家の船旅が始まるが…。ここにインカ
の黄金郷(エルドラド)伝説が絡まって、一大冒険が繰り広げ
られることになる。
果たしてパディントンたちはおばさんを見付けることができ
るのか? そして黄金郷の真実とは? さらにその後の騒動
もエンドロールの後に描かれる。

出演は前作から継続のベン・ウィンショー(声)、イメルダ・
スタウントン(声)とヒュー・ボネヴィル、ジュリー・ウォル
ターズ、マデリン・ハリス、サミュエル・ジョスリン、ジム
・ブロードベント。
そこに新たにエミリー・モーティマー、アントニオ・バンデ
ラス、オリヴィア・コールマン、カルラ・トウスらが参加し
ている。
脚本は前作までの脚本・監督を務めたポール・キング。そし
て本作の監督には、BBCやアムネスティ・インターナショ
ナルなどのCMを手掛けるドゥーガル・ウィルスンが招かれ
て長編映画デビューを飾っている。
映画は至って健全な家族向けの作品だが、過去の名作のパロ
ディなども鏤めながら謎解きなどもあって、アクション・ア
ドヴェンチャーとしてもしっかりと作られている。しかもペ
ルーやコロムビアへのロケーションも敢行された作品だ。
ただしロケーション参加は監督以下のスタッフだけで、キャ
ストの撮影は英国でロケーションの映像に融合されたセット
で行われたもの。しかしそこに 150人ものペルー人のエキス
トラや現地で調達された衣装などが投入されている。
そんな拘りと最新の技術が見事な効果を上げている作品だ。
因に本作のトリビアによると、劇中に登場するパディントン
のパスポートは英国旅券局が正式に発行したものだそうだ。
またパディントンの部屋にはエリザベス女王の即位70周年を
記念した式典の際のお茶会の写真も飾られている。

公開は5月9日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社キノフィルムズの招待で試写を
観て投稿するものです。



2025年03月16日(日) おばあちゃんと僕の約束、秋が来るとき、ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今、金子差入店

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『おばあちゃんと僕の約束』“หลานม่า(LAHN MAH) ”
2018年6月17日付題名紹介『バッド・ジーニアス 危険な天
才たち』などを手掛けるタイの映画会社GDH559が製作し、昨
年度のタイ興行第2位、インドネシア、マレーシアなどでは
アジア映画の歴代第1位を記録したという作品。
物語の舞台はタイの首都バンコクのタラート・プルー地区。
そこにある鉄道駅近くの商店街に老婦人が経営するお粥の店
があった。そしてその婦人には3人の子供がいたが…。
長男は成功者で裕福な暮らしをしており老いた母親には同居
を勧めるものの、実は親子関係は芳しくない。次男は生活破
綻者で母親のところに来るのは金の無心だけ。
そんな母親の面倒はシングルマザーの長女が見ていたがそれ
も限界が近づいている感じだ。しかも母親に不治の病が見つ
かり、余命が長くないことを知らされる。
そこでその長女の息子が動き出す。実は父方の従姉妹が祖父
の介護をしてその死後に邸宅を相続したことを聞きつけ、そ
んな恩恵に預かろうと祖母の介護に名乗り出たのだ。
つまり打算で祖母の家に一緒に住むことにした孫息子だった
が、お粥の店を手伝おうとする孫息子は早朝から始まる仕込
みに起きられず、祖母の気に入られない。
しかしそんな祖母と孫の絆が少しずつ深まり始める。そして
それは家族を繋ぐ意外な真実を明らかにしていった。

出演は中国系タイ人の俳優・歌手で2024年4月紹介『ふたご
のミーとユー―忘れられない夏―』にエンディングテーマ曲
を提供しているプッティポン・アッサラッタナクンと、主に
CMで活躍し78歳で映画デビューのウサー・セームカム。
他にオキサイド・パン監督作品に主演歴を持つサンヤー・ク
ナーコン、『バッド・ジーニアス』で校長役のサリンラット
・トーマス、2019年7月紹介『ホームステイ ボクと僕の100
日間』などのポンサトーン・ジョンウィラート、タイ版『花
より男子』で主演のトンタワン・タンティウェーチャクンら
が脇を固めている。
脚本は、2016年2月紹介『すれ違いのダイアリーズ』などの
トッサポン・ティップティンナコーンが自身の体験に基づい
て執筆。監督と共同脚本を『バッド・ジーニアス』のテレビ
版を手掛けたというパット・ブーンニティパットが担当して
いる。
本作の英語題名は“How to Make Millions Before Grandma
Dies”というもので、それを知ってさらに以前の作品の印象
からは、若い主人公が資金集めに奮闘するようなもっとポッ
プな作品を想像していた。
ところが実際の作品は、何というかしっとりとした人間ドラ
マで、それは万人に受けるオーソドックスで見事な作品だっ
た。しかもそれを人気の若手俳優に演じさせる、これも見事
な企画と言えるものだ。
その若手俳優の好演もあって、思わず応援したくなるような
作品だった。

公開は6月13日より、東京地区は新宿ピカデリー、シネスイ
ッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国ロード
ショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社アンプラグドの招待で試写を観
て投稿するものです。

『秋が来るとき』“Quand vient l'automne”
2023年10月紹介『私がやりました』などのフランソワ・オゾ
ン監督による2024年の作品。前作では女性の生き方を描いた
3部作の最終章と称されていたが、本作もある意味女性の生
き方を描いたものだ。
主人公はパリ郊外の田園地帯で暮らす高齢の女性。彼女には
一人娘がいたが、実業家と結婚してパリで暮らす娘とは確執
があるようだ。そんな娘が孫を連れて来てくれた日、彼女は
山で採ったキノコの料理を振舞うが…。
その料理を一人だけ食べた娘が中毒を起こし、病状は軽くて
救急搬送された病院で回復したが、退院した娘は孫を連れて
パリに帰ってしまう。そして悲嘆にくれる彼女は近所に住む
親友に慰められ、そこから彼女の過去が紐解かれる。
実は彼女には拭い去ることのできない暗い過去があり、それ
が彼女と娘との確執を生んでいた。一方、娘にも離婚の危機
が迫っており、そのため娘は母親の財産を求めて帰省もして
いたようだ。そしてパリに戻った娘に事件が起きる。

出演は1943年生まれで主に舞台で活躍しているエレーヌ・ヴ
ァンサン、1950年生まれで女優、脚本家、映画監督でもある
ジョジアーヌ・バラスコ。そして2004年2月紹介『スイミン
グ・プール』以来のオゾン作品出演となったリュディヴィー
ヌ・サニエ。
他に、2022年5月紹介『アプローズ、アプローズ!』などの
ピエール・ロタン。さらにガーラン・エルロス、ソフィー・
ギユマンらが脇を固めている。
実は映画は孫との絡みのシーンが多くて、上記のタイ作品と
2日続けて観ていてその対比も面白かったものだが、上の作
品が人情で見せるのに対して、本作ではオゾン監督らしく見
事な展開を披露してくれたもの。正にドラマだ。
しかもファンタスティックな描写もあって、オゾンファンと
しては堪らない作品になっている。ただリュディヴィーヌ・
サニエがちょっと損な立ち回りなのが残念かな。そこに救い
はちゃんとあるが。
いずれにしても映画を観たという感覚にしてくれる作品だ。
それにしても映画の背景にあるものが重く深い。

公開は5月30日日より、東京地区は新宿ピカデリー他にて全
国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ロングライドの招待で試写を観
て投稿するものです。

『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』
         “Bridget Jones: Mad About the Boy”
ヘレン・フィールディングが執筆する新聞連載コラムから、
2001年に第1作が映画化されたシリーズの最新作。第1作で
アカデミー賞🄬 候補になった主演のレネー・ゼルウィガーと
原作者が製作総指揮も務めている作品。
実はシリーズの今までの作品は観ていなくて今回が初鑑賞と
なったものだが、まあ何というかこれが現代に受ける作品な
のだろうなあ、というのが第一の感想だ。特に女性の描き方
には現代女性の共感を呼ぶところも多いのだろう。
そんな作品の物語は、前作でようやく妊娠、結婚に漕ぎ着け
た主人公がシングルマザーになっているところから始まる。
その理由はすぐに明らかにされるが、そこから徐々に話が深
まって行く展開はさすがイギリス映画と言う感じがした。
そして育児もひと段落付きそうになった主人公は、周囲の勧
めもあって若いカリスマナニーを雇って元の職場への復帰を
果たすが、昔通りとは行かない思惑通りではない事態も発生
する。そんな中で新しい恋も芽生えるが…。
この部分で字幕は米語のベビーシッターだが、台詞は英語で
ナニーと呼んでいるのは面白かった。ここもイギリス映画と
言う感じがするもので、原作者が製作総指揮も務めているの
が判る感じだ。
ここから主人公が最高な今を見付けるまでが描かれて行く。

共演はヒュー・グラント、キウェテル・イジョフォー、レオ
・ウッドール、コリン・ファース、エマ・トンプソン、ジェ
マ・ジョーンズ、ジム・ブロードベント。さらに子役のカス
パー・クノプフ、ミラ・ヤンコヴィッチ。
他に同僚役のサリー・フィリップス、シャーリー・ヘンダー
スン、ジェームズ・キャリス、サラ・ソルマーニ、ニール・
ピアソン。またレイラ・ファーザド、ジョゼッテ・シモン、
ニコ・パーカーら新旧のキャラクターが脇を固めている。
主人公がシングルマザーになっている理由が、最近になって
アメリカ=トランプ政権で問題となっている部分だったりし
て、製作者が意図したか否かは判らないが案外そんな社会性
も持っている作品だ。
観ていてその辺も面白く感じられた。こういうところをしっ
かり描いてくるのもイギリス映画かな。

公開は4月11日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社東宝東和の招待で試写を観て投
稿するものです。
#ブリジット・ジョーンズの日記 
#サイテー最高な私の今

『金子差入店』
2017年8月20日付題名紹介『泥棒役者』などのSUPER EIGHT
丸山隆平が同作以来8年ぶりの映画主演を果たした作品。本
作は釜山国際映画祭2024に正式出品された。
丸山が演じるのは東京小菅の拘置所の傍で差入店を営む男。
本作での差入とは拘置所などに収監された人に外部から物を
届けること。そこには様々な規制があり、届けられるものの
選別なども仕事になる。その一方で自ら面会に行けない人の
手紙などを代読することもあるようだ。
そして男には妻と小学生の息子がいて、さらに元々その仕事
を営んでいた妻の伯父も同居していた。そんな男の日々の暮
らしが描かれて行く。そこにかなり凄惨な事件が起き、男の
暮らしが揺らぎ始める。
起きる事件は主には二つ。それらの事件には現代社会の闇が
反映されているような部分もあり、目を背けてはいけないよ
うな気持ちにもさせられる。そして男の過去と、現代社会の
歪みを炙り出して行く。

脚本と監督は、フリーの助監督として2008年6月紹介『おく
りびと』など数多くの作品に携わってきた古川豪。ショート
フィルムやCMなどの監督歴はある俊英の長編デビュー作と
なる。
そして共演者には、真木よう子、北村匠海、村川絵梨、甲本
雅裕、根岸季衣、岸谷五朗、名取裕子、寺尾聰。さらに子役
の三浦綺羅、川口真奈らが脇を固めている。
作品は決して骨太というものではないけれど、問題意識はか
なり高い監督と感じられる。実は今年の初詣で下町の方に行
って車窓から見た小菅の拘置所の偉容に驚かされたが、本作
はそれに負けない作品にはなっている。
ただ劇中で起きる事件がかなり凄惨で、そこには少し驚かさ
れたかな。できたら『おくりびと』のようなユーモアも欲し
かったが、他の最近の助監督作品の影響が強く出てしまった
のかな(?)という感じはした。
ここにもう少しためが出来れば、これは優秀な監督になる。
そんな新たな才能を発見した気分にもなった。それに丸山が
ただのアイドルでないことも証明してくれたものだ。共演者
も素晴らしい。

公開は5月16日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ショウゲートの招待で試写を観
て投稿するものです。



2025年03月09日(日) 天国の日々-4K-

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『天国の日々-4K-』“Days of Heaven”
2011年6月にも紹介した1978年製作テレンス・マリック監督
の出世作が監督自身の監修による4Kレストレイションで再
公開されることになり、試写が行われた。
物語の概要などは前回の記事を読んで貰いたいが、その物語
は旧約聖書の「申命記」というものに基づいているのだそう
で、正直にはちょっと不自然にも感じていた主人公らの関係
はそんなところに根拠があったようだ。
そんな物語だが、前回も書いたように20世紀初頭のアメリカ
農業の再現が凄い。それは雇われた農夫たちを運ぶ鉄道に始
まって蒸気機関のトラクターや果ては飛来する複葉機まで、
歴史民俗博物館のような風景が展開させる。
さらにそこから主人公たちを襲う災厄、また大規模な農園火
災など、旧約聖書にも描かれているという様々な出来事が見
事に再現されて行く。それは単なる物量ではなく、監督たち
の信念がさせたと思わせる見事な映像だ。
しかもそれを全て薄暮の状況で描くという監督の狙いから、
1日20分ずつの亀の歩みのような撮影で行ったというのだか
ら、それは信念というより執念と言った方が良いのかもしれ
ない。

そんな撮影を担当したのは本作でアカデミー賞🄬 を受賞した
スペイン・バルセロナ出身のネストール・アルメンドロス。
そして音楽は本作で初のノミネート獲得のイタリア・ローマ
出身エンニオ・モリコーネ。2人のヨーロッパ出身者が本作
を支えている。
作品そのものに関しては前回の記事に書いたので、今回は新
たに行われた4Kレストレイションについて蘊蓄を書いてお
きたい。
そもそも4Kとは映像の水平方向の解像度に関するもので、
その解像度が4000有るということだ。それが旧来のテレビで
言うHi-Visionでは2K=2000だった。これは当時のアナロ
グの放送技術では限界だったとされる。
これに対してディジタル技術の進歩が4Kを可能にしてくれ
たものだが、元々の2Kの画質はフィルムの解像度では16��
相当と言われており、それが4Kになって35�丱侫�ルム相当
の画質が得られることになったと言える。
つまり4Kでようやく従来のフィルムと同じになったと言え
るものだ。従ってこれを70mmに対応させるには8Kが必要に
なるし、さらにシネラマでは12Kということになる。でもま
あシネスコまでなら4Kで充分と言えるだろう。
そしてそのレストレイションを今回は監督自身の監修の許で
行ったということなので、これは正しくマリックとアルメン
ドロスが狙った映像が表現されていると言える。つまり本来
の映像がディジタルで再現されたものだ。

公開は4月4日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全
国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社アンプラグドの招待で試写を観
て投稿するものです。



2025年03月02日(日) KIDDOキドー、ベテラン 凶悪犯罪捜査班、ガール・ウィズ・ニードル

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『KIDDOキドー』“Kiddo”
1990年アムステルダム生まれの女性監督サラ・ドヴィンガー
による長編デヴュー作。本作は2023年のベルリン国際映画祭
ジェネレーション部門でワールドプレミアされた。
物語の始まりは児童養護施設。そこで暮らす少女に母親が訪
ねてくると連絡が入る。しかし待てど暮らせどその日は現れ
ず。翌日現れたハリウッド女優だと自称する母親は、少女を
オンボロ車に乗せて町に繰り出す。
ところが母親は約束の時間になっても少女を施設に送り返そ
うとせず、ついにはポーランドのおばあちゃんの家に行って
そこに隠したお金を取り返し、2人で暮らそうと言い出す。
そんな破天荒な母親に何となくついて行く少女だったが…。

出演はローザ・ファン・レーウェン(子役)と、同年“Melk”
という作品にも主演しているフリーダ・バーンハード。他に
マクシミリアン・ルドニツキ(子役)、リディア・サドウカ、
アイサ・ウィンターらが脇を固めている。
脚本は監督とネーナ・ファン・ドリルとの共同で、劇中には
ダスティ・スプリングフィールドやペニー・アンド・ザ・ク
ォーターズら1970年代の楽曲も鏤められた作品だ。
題名にはチャールズ・チャップリンの1921年作品『キッド』
を連想した。シチュエーションは違うが児童養護施設が出て
きたり、実の母親が芸能人というのは少しリスペクトもある
のかな。
そんな眼で見ていると章立てされた各章に付けられた副題も
気になって、配給会社の担当者に問い合わせたら
#1 All or Nothing
#2 On the Run
#3 Bonne & Clyde
#4 Crazy
#5 Take the Money and Run
#6 Home Sweet Home
との回答をいただいた。ありがとうございます。
この内#3の『俺たちに明日はない』と#5の『泥棒野郎』
は直に判るが、#4はジョージ・A・ロメロ監督の1973年作
なのかな。他の副題もそれぞれ映画題名は見つかるが慣用句
でもあるし、監督の意図は明らかではないようだ。
ただチャップリンの作品に関しては、男性と女性とではこん
な風に違うのかな。もちろん実の親子とそうでない違いもあ
るが、母親と娘との関係性は自分が父親の目線からは面白く
も感じられた。
それに娘がしっかりしているのも良い感じで面白い作品だ。
特に旅先で出会う男児とのクールな振る舞いも良いし、母親
に対する絆を深めて行く目線も素敵で、各地の青少年映画祭
での受賞も頷ける作品だった。

公開は4月18日より、東京地区は新宿シネマカリテ、ヒュー
マントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺、さらに京
都シネマ他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社カルチュアルライフの招待で試
写を観て投稿するものです。

『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』“베테랑2”
2015年に日本でも公開されたファン・ジョンミンが熱血刑事
に扮する韓国映画の続編。2022年4月付題名紹介『モガディ
シュ 脱出までの14日間』などのリュ・スンワン監督が9年
ぶりの自作の続編に挑戦した。
描かれる事件は連続殺人。それは卑劣な犯罪を犯したものの
無罪になった元被疑者を標的としたもので、ネット世論では
正義の私刑を遂行する伝説の怪物“ヘチ”と呼んで崇拝する
ものも現れる始末だった。
そんな連続殺人鬼に9年前には財閥系の巨悪に立ち向かった
刑事たちが立ち上がる。そんな中でSNSで集められた民衆
を巻き込む劇場型の殺人劇が繰り広げられるが…。それは次
の犯行に向けた犯人の挑戦状だった。

共演は2018年『王の預言書』などのチョン・ヘイン。2020年
のドラマ『梨泰院クラス』などのアン・ボヒョン。さらにオ
・ダルス、チャン・ユンジュ、オ・デファン、キム・シフ、
シン・スンファンらが前作に引き続き登場する。
実は前作も観ているが、当時は鑑賞作品数も多く、また前作
の場合は韓国特有の社会情勢を背景にしたものでちょっと感
覚的に合わない部分があって、作品的には面白かったがここ
での紹介は割愛してしまったものだ。
そんな作品の続編だが、今回は内容的には解り易い連続殺人
もので、さらにSNSでの拡散など我々にも判りやすい展開
が加えられて万人が容易に理解できる作品に仕上げられてい
た。しかもそこに見事なアクションも展開される。
そのアクションはパルクールを取り入れたもので、日本映画
でも2017年10月29日題名紹介『HiGH&LOW』などで扱われては
いるが、本作の場合は人混みの中での活劇が見事に展開され
ていた。そこも見ものと言える。
その一方で殺人場面には2007年10月『SAW』シリーズのよ
うな趣もあり、まあ物語の全体も『SAW』シリーズのバッ
クグラウンドに共通するような要素もあるもので、その辺は
ファンとして面白く観ることができた。
取り敢えずはさらなる第3作、乃至はシリーズ化も期待した
くなるものだ。

公開は4月11日より全国ロードショウとなる。またそれに先
立って4月4日より前作『ベテラン』の再上映も行われる。
なおこの紹介文は、配給会社KADOKAWA Kプラスの招待で試写
を観て投稿するものです。

『ガール・ウィズ・ニードル』“Pigen med nålen”
第1次世界大戦終結前後のデンマークを舞台に、時代に翻弄
される女性の姿を描いた作品。残念ながら受賞は逃したよう
だが、今年のアカデミー賞🄬 国際長編映画部門にノミネート
された。
登場するのは軍需の縫製工場で働く女性。分厚い軍服の生地
相手のミシンはすぐ針が折れてしまう。それでも健気に働く
彼女だったが、戦地に逝ったままの夫は帰らず、家賃の滞納
で住まいを追い出されることになってしまう。
そんな彼女に手を差し伸べたのは夫の行方を探すなどの相談
に乗っていた工場の若い支配人。やがて深い関係になり、夫
の行方も判らない彼女は彼に恋心を打ち明け、結婚の約束を
取り付けるが…。
勇躍彼の邸宅に乗り込んだ彼女は家長の母親の拒絶に遭い、
邸宅を追い出された挙句に職も失ってしまう。しかも妊娠し
ていた彼女は止むなく堕胎を試みるが、そこで菓子屋を営む
という女性に救われ、生まれた子の面倒を約束される。
そんな折に、戦地で深い傷を負いサーカスでフリークスとし
て働いている夫が現れる。そして夫は他人の子でも構わない
というが。そこで彼女の下した決断が、当時のデンマーク社
会を震撼させた大きな闇を掘り起こすことになる。

出演は、2022年にデンマーク、ノルウェー、日本合作『MISS
OSAKA ミス・オオサカ』という作品に主演のヴィクトーリア
・カーメン・ソネと、2013年2月紹介『ロイヤル・アフェア
/愛と欲望の王宮』などのトリーネ・デュアホルム。
他に1990年生まれで舞台やテレビで活躍して受賞歴もあるベ
シーア・セシーリ、1987年生まれで2015年ベルリン国際映画
祭でシューティングスター賞受賞のヨアキム・フェルストル
プらが脇を固めている。
脚本(共同)と監督は2020年『スウェット』という作品がカン
ヌ国際映画祭で公式上映されているマグヌス・フォン・ホー
ン。共同脚本にはリーネ・ランゲベクという人が名を連ねて
いる。
また音楽を、コペンハーゲンのアンダーグラウンドシーンに
てプース・マリーという名義で活動してるフレゼレケ・ホフ
マイアが担当し、不気味で印象的な楽曲が映画の雰囲気を高
めている。
映画は巻頭からかなり不気味な映像で彩られ、尋常でない物
語の展開を想像させるが、二つ以上に意味でそれらが展開さ
れて行く物語とも言える。それはタイトルの意味の二重性と
も合さって物語を見事に集約させているものだ。
何てことを書いても全く意味不明だと思うが、映画は一見単
純そうで、そこにいくつもの意味合いが込められた見事なも
のになっている。正に見て貰わなくては始まらない作品と言
える。そしてその事実が突き付けられる。
映画の最後には実話にインスパイアされたと表示されるが、
基になった事件の意味もいろいろと考えさせられる作品だ。

公開は5月16日より、東京地区は新宿ピカデリー、ヒューマ
ントラストシネマ有楽町、渋谷ホワイト・シネクイント他に
て全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社トランスフォーマーの招待で試
写を観て投稿するものです。


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井口健二