| 2019年07月28日(日) |
超・少年探偵団NEO、キューブリック、かぞくあわせ、夏少女(風水師、エンテベ、アダムズ、ブラインド、向こうの家、駅までの道、レディM) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『超・少年探偵団NEO Beginning』 2018年9月紹介『BD−明智探偵事務所−』に続く、江戸川 乱歩原作「少年探偵団」からの映画化。前回も書いたように 原作者は1965年没なので、2016年の法改正には当たらず著作 権は2016年12月31日で消滅しているものだ。 その本作の物語は、小林少年のひ孫と、明智小五郎のひ孫が 同級生という設定の学園が舞台。原作者が居を構えた東京池 袋にあるらしいその学園で、アイドル活動中の明智家のひ孫 に対し、小林家のひ孫は静かに日々を過ごしていた。 ところが、1936年に発表されたシリーズの第1話『怪人二十 面相』で小林少年の活躍によって盗難を免れた「ロマノフ家 の秘宝」が一般公開されることになり、再び怪盗の現れる気 配が高まる。 そして、取材を受けた明智家のひ孫が小林家のひ孫の存在を 明らかにし…。 出演は、2019年7月紹介『見えない目撃者』などの高杉真宙 と、2018年11月18日題名紹介『あの日のオルガン』などの堀 田真由。さらに2018年11月紹介『ふたつの昨日と僕の未来』 などの佐野岳。 また長村航希、板垣瑞生、前田旺志郎らの若手俳優が脇を固 め、他にも情報解禁前の出演者がいるものだ。 脚本は、2007−08年『Yes!プリキュア5』などの赤尾でこ。 共同脚本と監督、編集を、2013年『ジョーカーゲーム 脱出 (エスケープ)』などの芦塚慎太郎が担当した。また怪人二 十面相のデザインを天野喜孝が手掛けている。 撮影は2017年4月に行われ、そこから2年間超の編集作業と ポストプロダクションを経て完成された。 物語は原作をモティーフとして、推理などもそれなりに考え て作られており、充分とは言えないまでも基本が若年向けと いうことであればこんなものかな、という程度には仕上げら れている。 また映画には「青毛布(挿入される新聞記事では青ゲット)の 者」や「電人」などが登場し、原作へのリスペクトはしっか りとなされていると言える。それに小林少年と怪人二十面相 との関係性も、それなりに納得できるものだった。 ただしこの関係性があるのであれば、後半のシーンでわざわ ざ電人を登場させて2人を照らす必要性はないのではないか な。登場も唐突だし、これでは折角の設定が生かし切れてお らず、少しもったいない感じもした。 とは言え、本作は「Beginning」と称されているものだし、 編集段階でカットされた部分もあるようで、その辺を含めた ヴァージョンも観てみたい。それにもう1台ある電人の制作 者の名前が「正太郎」というのは気になるところだ。 公開は10月25日より、ロードショウとなる。
『キューブリックに魅せられた男』“Filmworker” 『キューブリックに愛された男』“S Is for Stanley” 1968年『2001年宇宙の旅』や1980年『シャイニング』などを 遺し、1999年他界した監督の実像に迫るドキュメンタリー。 1本目の主人公はレオン・ヴィターリ。『2001年』や1971年 『クロックワーク・オレンジ』で監督に魅了され、テレビ俳 優としてデビューの後に1975年『バリー・リンドン』のオー ディションに応募して合格。 そして撮影の終了後は、シェークスピア劇団などの誘いもあ ったが、俳優の道を投げ打って監督の許で働くことを志願。 監督の信頼も得てキャスティングから演技指導、ラボ作業や 配給の調整まで、監督の死後も全てを捧げている。 2本目の主人公はエミリオ・ダレッサンドロ。イタリア出身 の彼は地元でレーサーとして入賞するなど活躍していたが、 18歳でロンドンに渡り、タクシー運転手として働いていた時 に「あるもの」をスタジオに運ぶ仕事を引き受ける。 そして仕事ぶりを監督に気に入られた彼は、以降の30年間を 監督の個人運転手として監督の公私に付き合うことになる。 そして一度は引退して高齢の親の面倒を見るためにイタリア に帰国するが…。 1本目の監督はデビュー作はホラーというトニー・ジエラ。 当初は『シャイニング』のドキュメンタリーを製作していた が、ヴィターリの健康が優れないことを考慮して本作の製作 を早めたとのことだ。 そしてこの作品には、『バリー・リンドン』の主演者ライア ン・オニールをはじめ、『シャイニング』の少年役ダニー・ ロイド。さらにマシュー・モディーンら多彩な証言者も登場 する。 2本目の監督はイタリア人のアレックス・インファセッリ。 本作にはダレッサンドロが受けた様々な支援や、彼が所蔵し ていた当時の小道具や備品なども登場して、プライヴェート の側面が見事に描かれている。 実は両作が描いている期間はほぼ重なっているはずのものだ が、不思議なことにお互いへの言及が全く紹介されない。そ れこそ夜中に呼び出されたりとか、監督が公私の区別を厳格 に付けていたとは到底思えないのだが…。 そんな謎も含めて、没後20年を迎えた監督の魅力が見事に描 き尽くされた感じのする作品だ。しかも本来は別々に製作さ れたこの2作品が、日本では同時公開されることにも喜びを 感じさせてくれる。 なおこの監督に関するドキュメンタリーで気になるのは名前 の発音だが、1本目のヴィターリは明らかに「キューブリッ ク」と呼んでいる。これに対して他の証言者の発音はどちら かと言うと「クーブリック」に聞こえる。 アメリカ式、イギリス式ということでもないようで、これは あまり気にしない方が良いようだ。 公開は11月1日より、東京はヒューマントラストシネマ有楽 町他で全国順次ロードショウとなる。
『かぞくあわせ』 2018年4月22日題名紹介『カメラを止めるな!』で監督の妻 を演じたしゅはまはるみと、2019年6月23日題名紹介『イソ ップの思うツボ』に出演の藤田健彦が主役共演する3話から なるオムニバス作品。 舞台は3話とも神奈川県逗子市にあるリゾート結婚式場。そ の場所で3者3様の物語が展開される。 「左腕サイケデリック」 第1話の始まりはチャペルへの新婦の入場。ところが新婦が 式場から逃亡。新婦の両親と新郎は見つかったらすぐに式が 挙げられるようチャペルに待機していたが…。そこに飛んで もない事態が巻き起こる。 「最高のパートナー」 人には誕生の時からアンドロイドのパートナーがいて、その 助言に従って生活が送られている世界のお話。1組の男女が 出会い、パートナーの助けで交際が進んで行くが…。いつし かアンドロイドにも感情が芽生えていた。 「はなればなれになる前に」 別居状態が続いていた夫婦が離婚を決めるが、娘は納得せず に自立の道を模索している。そんな夫婦は離婚式を挙行しよ うとし、夫婦と娘は駅で待ち合わせて夫の前妻との間の娘が 働く結婚式場にやってくるが…。 脚本と監督は、第1話がブライダルヴィデオの製作会社を運 営する長谷川朋史、第2話は短編映画で数多くの受賞に輝き 2018年長編デビューしている大橋隆行、第3話はメイキング ヴィデオを手掛け2017年に長編デビューの田口敬太。 撮影は各話1日ずつ合計72時間で行われたとのことで、撮り 慣れている場所ではあるのだろうが、かなり効率よく製作さ れた作品のようだ。 物語はそれぞれが家族の在り方のようなものを描いている… のだが、実は第1話と第2話は明らかなSFで、予想しない で観ていた僕はその感覚には少し驚かされた。SFがこんな 風に描かれることにも衝撃を受けたものだ。 ただし第3話もちょっと不思議なシチュエーションを描いて はいるのだが、ここには少し落差があったかな。監督たちは 尋常でないシチュエーションとして括りたいのだろうが、僕 はちょっと感覚的にずれてしまった。 お話だけなら第3話も良いのだが、SF的な感覚が切れてし まったのは残念に感じられた。もっとも監督たちには最初か らそんな意図はなかったのかもしれないが…。これも以前に 言われたSFの拡散と浸透の結果なのだろうか? 公開は9月7日より、東京は池袋シネマ・ロサにて2週間限 定のレイトショウとなる。
『夏少女』 テレビで多数の名作を生み出した脚本家早坂暁が自身の体験 を基に執筆した脚本を、1960年代の名作ドラマ『若者たち』 を手掛けた森川時久監督で描いた作品。1996年に完成された ものの当時は諸般の事情で公開されなかった作品が、23年を 経て劇場初公開される。 舞台は瀬戸内海に浮かぶ人口3000人の小さな島。その島で雑 貨店を営む主人公の家では、母親が郵便船の船長で毎日本土 からの郵便物やその他のものを運んでいた。そして病弱とい う父親はいつも酒を飲んではぐうたらしていたが…。 主人公が12歳を迎えた8月6日。一家は広島に出向き、鎮魂 の灯篭流しの行われている岸辺で、主人公はある重大なこと を告げられる。そして川岸で原爆瓦を入手した主人公には、 赤い服の少女が見えるようになる。 その少女は主人公の家にもついて来るが他の人の目には見え ないようだ。そして少女は主人公の家で一緒に暮らしだす。 出演は、桃井かおり、間寛平。他に朱門みず穂、高原駿雄、 川上夏代、ジャズ演奏家の坂田明。また子役には地元の子供 たちが出演しているようだ。 ジャンル的にはファンタシーと言えるものだが、それが特に ファンタスティックな現象を描くためではなく、それは広島 の原爆を描くための手段として使われているものだ。そして それが広島の悲劇を明確に描き上げる。 その悲劇自体は映画の中では絵画や台詞などによって間接的 に表現されるものだが、少女の存在がそれを際立たせる。ま た間寛平によるコメディの要素などが巧みに織り込まれて、 作者の思いが伝えられる。 それは当然反戦であり、反原爆を訴えるものだ。しかしそれ を声高に訴えるのではなく、赤い服の少女の姿に広島で亡く なった少女の果たせなかった未來を描くことで、その悲劇の 深さを描いている。 そしてそこに流れる鎮魂のサキソフォンの音色。実は演奏家 の出演を知らずに見ていて、登場の瞬間に容姿が似ているな と思い、さらにその演奏の1音目から坂田ワールドに引き込 まれてしまった。 そんな演奏が2度に亙って聴けるのも素晴らしい作品だ。 僕自身は常々反戦の立場を執るが、反戦と謳いながら戦闘の 場面を嬉しそうに描く馬鹿げた作品が多い中で、本作は正に 心底からの反戦を描いた作品と言えるものだ。 公開は8月3日より、東京はポレポレ東中野にて2週間限定 のモーニングショウとなる。 なお期間中にはゲストによるトークショウの予定もあり、出 来れば全国での上映も期待したいものだ。
この週は他に 『風水師 王の運命を決めた男』“명당/明堂” (王の助言者として風水師が重用されていた朝鮮王朝時代。 最強の運気をもたらす地相「明堂」を巡って、王家を裏で操 る老風水師一族の陰謀に若き天才風水師が挑む。主人公は老 師の言葉に異を唱えて不興を買い、妻子まで奪われる。この ため雌伏した主人公は民衆の中で次々実績を上げるが…。王 宮で権勢を揮う老師一族に冷遇される王族の1人が主人公の 許を訪れ、共に老師を敵とする共闘を目論む。出演は2005年 4月紹介『マラソン』などのチョ・スンウと、2015年『コン フェッション 友の告白』などのチソン。因にチソンが演じ る興宣君は実在の人物で、その逸話に基づく物語だそうだ。 他に、2013年『観相師』などのペク・ユンシク、2018年12月 2日題名紹介『ゴールデンスランバー』などのキム・ソンギ ュらが脇を固めている。監督は2010年5月紹介『仁寺洞スキ ャンダル』などのパク・ヒゴン。公開は10月25日より、東京 はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)
『エンテベ空港の7日間』“7 Days in Entebbe” (1976年に起きたエールフランス機ハイジャック事件を描く 作品。この事件では7日目にイスラエル軍による奇襲作戦が 実行され、突入部隊の発砲で死んだ3人と病院に搬送中だっ た1人を除く乗客102名が解放されるという成功を収めたも ので、その顛末はすでにユダヤ系の映画人によって何度も映 画化されている。それに対して本作はハイジャックに加担し たドイツ人にも焦点を当て、新たに判明した事実なども踏ま えて映画化している。特に突入部隊で唯一戦死し英雄とされ た中尉の行動が、実は命令無視の無謀なものだったという経 緯は論議を呼ぶもののようだ。そんな真実を描いた作品とさ れる。出演は2016年6月紹介『コロニア』などのダニエル・ ブリュールと、2019年5月紹介『荒野の誓い』などのロザム ンド・パイク。監督は2011年11月紹介『エリート・スクワッ ド』などのジョゼ・パジーリャ。公開は10月4日より、東京 はTOHOシネマズシャンテ他で全国順次ロードショウ。)
『アダムズ・アップル』“Adams æbler” (2016年12月紹介『ドクター・ストレンジ』などのマッツ・ ミケルセンが2005年に主演したデンマーク・ドイツの合作作 品。仮釈放されたスキンヘッドの男が更生施設を兼ねた田舎 の教会へ送り込まれる。ネオナチ思想で反抗的な男は指導役 の聖職者から目標を問われ「庭のリンゴを収穫してアップル ケーキを作る」と適当な返事をするが…。謎めいた出来事が 次々起き、男の信念を揺り動かしてゆく。監督は2017年11月 紹介『ダークタワー』などの脚本家アナス・トマス・イェン センが自作を映画化。共演は2011年7月紹介『デビルクエス ト』などのウルリッヒ・トムセン。映画の中で起きるいろい ろな出来事は聖書由来かとも思えるが、かと言って宗教礼賛 というものでもなく、ブラックなユーモアに彩られた、正に 奇妙な味の作品と言えるものだ。本作紹介のために配給会社 まで立ち上げた関係者に感謝したい。公開は10月19日より、 東京は新宿シネマカリテにてロードショウ。)
『ブラインドスポッティング』“Blindspotting” (スポークン・ワード・アーティストのラファエル・カザル と、ラッパーで俳優のダビード・ディグスが製作・脚本・主 演を務めた社会の底辺で生きる若者を描いた作品。主人公は 保護観察期間があと3日で終わる黒人青年。そんな主人公が 逃げる黒人男性を背後から射殺した白人警官を目撃する。し かし期間中は一切の犯罪行為に関ることを禁じられている主 人公はそれを黙っていたが…。幼馴染みで一緒に働いている 問題児の白人青年が拳銃やドラッグなど様々なものを彼の周 囲に持ち込んでくる。そして主人公の心の動揺が2人の関係 に影を落とし始める。監督には短編映画作家のカルロス・ロ ペス・エストラーダが起用され、2人の心に沿った演出が行 われている。作品は2018年サンダンス映画祭のオープニング を飾り、オバマ前大統領が同年度のお気に入り映画の1本に 選出したそうだ。公開は8月30日より、東京は新宿武蔵野館 他で全国順次ロードショウ。)
『向こうの家』 (東京藝術大学大学院で黒沢清や諏訪敦彦に学んだ西川達郎 監督の長編デビュー作。主人公はごく普通の幸せな家庭で育 ってきたと思っていた高校2年生。そんな彼の所属していた 釣り部が廃部になり、家でごろごろしていたところで父親に 仕事を頼まれる。それは父親の愛人の家に行って彼女を家か ら追い出す、というものだったが…。出演は2018年1月21日 題名紹介『神さまの轍』で主人公の少年時代を演じた望月歩 と、2018年『娼年』が話題の大谷麻衣。他に2018年8月26日 題名紹介『心魔師』などの生津徹。さらにでんでんらが脇を 固めている。物語は監督が先に発表した短編に基づくようだ が、脚本は両作とも川原杏奈という女性が手掛けている。そ れはかなり特異なシチュエーションを描いて、それ自体は面 白いのだが。何か物足りないというか、もっと人間を描き込 んで欲しい感じがした。公開は10月、東京は渋谷のシアター ・イメージフォーラムでロードショウ。)
『駅までの道をおしえて』 (直木賞作家の伊集院静が2001年から04年に発表した短編集 からの映画化。愛犬の病死から立ち直れない幼女が、息子の 死を受け入れられていない老人と出会い。少しずつ周囲の者 との別れを理解できるようになって行く。その様子が赤い電 車のファンタスティックな描写も絡めて描かれる。出演は、 新海誠監督の娘で2017年1月紹介『3月のライオン』などの 新津ちせと、パリ在住で2016年『沈黙-サイレンス-』などの 笈田ヨシ。他に坂井真紀、滝藤賢一、羽田美智子、マキタス ポーツ、余貴美子、柄本明、市毛良枝、塩見三省。そして主 人公の10年後のモノローグを有村架純が担当している。脚本 と監督は2012年5月紹介『臍帯』などの橋本直樹。自分でも 長年犬を飼ってきていると主人公の気持ちは痛いほど判る。 そんな心情を2010年生まれの子役が見事に演じて魅せる。そ の演技だけで充分に満足できる作品だった。題名が醸す余韻 も素晴らしい。公開は10月18日より、全国ロードショウ。)
『レディ・マエストロ』“De dirigent” (1902年生まれ、1989年没の女性指揮者のパイオニア、アン トニア・ルイザ・ブリコを描いたドラマ作品。オランダで未 婚の母の許に生まれ、里子に出された養父母と共に幼くして アメリカに渡ったアントニアはピアノの才能を発揮、そして 指揮者の姿に憧れるようになる。しかし女性が指揮者になる 道は完全に閉ざされた時代だった。そんな中で彼女は如何に して差別の壁に挑めたのか? 脚本と監督はオランダで過去 20年のヒット作上位20位までに3本が入っているというマリ ア・ペーテルス。主演には舞台やミュージカル、テレビシリ ーズなどで実績を持つクリスタン・デ・ブラーンが起用され ている。他に2017年4月23日題名紹介『静かなる情熱エミリ ・ディキンスン』に出演のベンジャミン・ウェインライト、 トランスジェンダー俳優のスコット・ターナー・スコフィー ルドらが脇を固めている。公開は9月20日より、東京は渋谷 Bunkamura ル・シネマ他で全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2019年07月21日(日) |
T-34 レジェンド、ホテル・ムンバイ(ラブゴーゴー、SHADOW影武者、ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ、アルツハイマーと、ジョン・ウィック3) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』“T-34” 2017年12月10日題名紹介『バーフバリ王の凱旋』を手掛けた ロシアのFilm Direction FX がVFXを担当した第2次世界 大戦が背景の戦車アクション。 舞台は第2次大戦の独ソ戦におけるチェコ戦線。ソ連軍の士 気はかなり下がっており、戦車部隊は動く車両もまばらで整 備も行き届いていなかった。そんな中に食料の輸送トラック でドイツ戦車を振り切ってきた運転手が現れる。 そして元々が戦車乗りだった男は、朽ちかけていたT-34戦車 を整備して撤退時の最後の守りとしてドイツ軍に立ち向かう ことになるが…。戦車部隊を相手に大善戦はしたものの遂に 数人の仲間と共に捕虜になってしまう。 こうして連れて行かれたドイツ軍の捕虜収容所では、試射場 に捕虜を載せた戦車を置き、それを実弾射撃の標的とする戦 車隊の訓練が行われていた。それは当然の如く捕虜に死をも たらすものともなっていた。 そんな収容所に拿捕された最新型T-34の運ばれてくる。そこ で収容所の所長は主人公らに戦車の整備を命令し、実戦さな がらの戦車戦の訓練を行おうと考える。一方、主人公らは兵 士の遺体と共に埋められた数発の砲弾も手に入れる。 斯くして絶体絶命からの脱走計画が開始される。 脚本と監督は、2005年に『アルティメットウェポン』という 作品が紹介されているアレクセイ・シドロフ。なお製作には 2013年9月紹介『遥かなる勝利へ』などのニキータ・ミハイ ロフ監督が名を連ねている。 出演は「カリコレ2017」で上映『アトラクション制圧』でも 共演のアレクサンドル・ペトロフとイリーナ・ストラシェン バウム。他に2016年『ジェイソン・ボーン』などのヴィツェ ンツ・キーファーらが脇を固めている。 物語は実話に基づくとされており、同じ実話からは1964年に ソ連のレンフィルムで製作された『鬼戦車T-34』“Жаво ронок”という作品もあったようだ。因に同作はカンヌ 国際映画祭コンペティション部門に出品されている。 本作はそのリメイクとはされていないものだが、両方を観た 人によるとかなりオマージュのようなシーンも観られるとの こと。ただし旧作はかなり詩的で幻想的でもあったそうで、 本作ではそれがアクションになっているとのことだ。 そこでそのアクションだが、映画に登場するT-34は全て実機 だそうで、それが草原や町中を走り回るシーンはそれだけで も充分な迫力がある。そこにVFXを駆使した戦闘場面とな るものだが。 砲弾がかすった時の車両内部の音響のもの凄さなど、それは 今まで観てきた戦争映画の中で考えもしなかった迫力のシー ンが満載で、これはアフガニスタンなどでの戦車戦を体験し てきた国民には敵わないという感じだった。 その一方で、街中で3方を固められた時の戦法などには、シ ミュレーションゲームを観ているような面白さもあり。さら に飛び交う砲弾のVFXでの映像化などは近年のこの手の映 画の面白さも満喫させてくれた。 上記のカンヌ映画祭の出品作は当時的な反戦の意味合いも強 いものだったようだが。本作ではそれをエンターテインメン トに振り切って、これはこれとして見事な作品に仕上げられ ている。 最近の架空戦記映画ではロシア軍が悪役にされることが多い が、それに対するロシア映画界からの回答は、ロシア国内で 800万人動員のNo.1となるメガヒットを記録したそうだ。 公開は10月25日より、東京は新宿バルト9他にて全国ロード ショウとなる。
『ホテル・ムンバイ』“Hotel Mumbai” インドの経済や文化の中心地であり、人口統計などで最大の 都市とされるムンバイで2008年に発生したイスラム武装勢力 による無差別テロ事件。その中で起きた実話の映画化。 舞台は海辺に建つ1903年創業の五つ星ホテル。ムンバイ市中 で同時多発テロが発生し、多くの人々が安全と思われるその ホテルに逃げ込んでくる。しかしその中にテロリストも紛れ 込んでいた。そしてロビーの隅で機関銃を取り出したテロリ ストたちは無差別の殺戮を開始する。 その時のホテル内には宿泊客やスタッフなど500人を超える 人々がおり、テロリストたちは外部の情報の伝わっていない 客室にはルームサーヴィスを装ってドアを開けさせ、宿泊客 を次々に殺害して行く。それは各階ごとに組織的に行う正し くジェノサイドだった。 そんな中で100人を超える客が上階に設けられたチェンバー に隠れるが…。 出演は、本作の製作総指揮も務めた2017年2月26日題名紹介 『LION ライオン 25年目のただいま』などのデヴ・パテル。 他に、2018年1月28日題名紹介『君の名前で僕を呼んで』な どのアーミー・ハマー。『ハリー・ポッター』シリーズなど のジェイスン・アイザック。 さらにインド出身で2017年2月紹介『パッセンジャー』など のナザニン・ボニアディ。同じく2012年12月紹介『世界にひ とつのプレイブック』などのアヌバム・カー。オーストラリ ア出身で監督としてベルリン国際映画祭での受賞歴もあるテ ィルダ・コブハム・ハーヴェイらが脇を固めている。 脚本と監督はオーストラリア出身で、多くの短編作品で評価 されて本作が長編デビューのアンソニー・マラス。同じく脚 本と製作総指揮に、2006年11月紹介『ハッピーフィート』や 2004年1月紹介『マスター・アンド・コマンダー』を手掛け たジョン・コリーが加わっている。 ホテルが武装勢力に襲われるという話では、2005年11月紹介 『ホテル・ルワンダ』も思い出したが、部族間抗争の戦闘と イスラム過激派による無差別テロとでは明らかに様相が異な る。特に個別の部屋を巡りながら確実に殺戮を繰り広げると いう展開には正にテロの恐怖を味わう感覚だった。 しかしそんな状況の中でのホテルマンの対応に関してはどち らにも共通した使命感が描かれたもので、これは時代の変化 にも不変のことなのかと思わされた。とは言え無差別テロに 対する恐怖に関しては、なまじのホラー映画を上回る恐怖感 が味わえる作品だった。 公開は9月25日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他にて全国 ロードショウとなる。
この週は他に 『ラブゴーゴー』“愛情来了/Love Go Go” (前々回に題名紹介『熱帯魚』のチェン・ユーシュン監督が 1997年に発表した長編第2作。台北市を舞台に初恋の女性に 小学校以来の再会をしたパン職人と、拾ったポケベルのメッ セージにまだ見ぬ恋を妄想する太目の女性。成績の上がらな い痴漢撃退具のセールスマンなどが、それぞれの恋を描いて 行く。前作は誘拐事件というそれなりのテーマがあったが、 本作はオムニバス的な展開で、それは公開当時にはそれなり の新鮮味もあったはずだが、今となっては…という感じは否 めない。でもプレス資料には若いタレントさんの賛辞コメン トも寄せられていて、今の人にはこれも新鮮に映るのかな。 その意味では青春は不変という感じもする作品だ。ただどの エピソードもちゃんとした結末には至っておらず、それも良 いという感覚は理解するが、納得のできる結末も欲しいとは 思ってしまった。公開は8月17日より、『熱帯魚』と同時に 東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)
『SHADOW影武者』“影” (2011年5月紹介『サンザシの樹の下で』などの名匠チャン ・イーモウ監督が2017年2月紹介『グレート・ウォール』に 続けて放つ武侠作品。前作はハリウッド資本でVFXが満載 だったが、本作には2004年7月紹介『LOVERS』などの スタッフが再結集して、CGIなどを極力排した絵作りが行 われている。物語は「三国志」の「荊州争奪戦」を基にした もので、領土を隣国に奪われながらもその地位に甘んじてき た小国の武将が、王の命に背いて隣国の将軍に闘いを挑む。 しかしその闘いの場に出るのは影武者だった…というもの。 その裏で動く様々な人間模様が描かれる。出演は2016年11月 紹介『人魚姫』などのダン・チャオの二役と、実生活でも夫 婦のスン・リー。他に『グレート・ウォール』などのチェン ・カイ、2010年11月1日「東京国際映画祭」で紹介『鋼のピ アノ』などのワン・チエンユエンらが脇を固めている。公開 は9月6日より、全国ロードショウ。)
『ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ ナウ・モア・ザン・エヴァー』 “Now More Than Ever: The History of Chicago” (2016年にロックの殿堂入りを果たした1967年結成ロックバ ンドの軌跡を追ったドキュメンタリー。結成50周年を超えて 今も現役、主なメムバーは不変という途轍もないバンドの歴 史が、各メムバーや周囲の人物へのインタヴューを中心に描 かれる。その道程には方向性の違いなどで脱退した者もいる し、特にはリードヴォーカルの拳銃暴発による死去という衝 撃的な出来事もあるが。全体的には警察沙汰などもなくて、 順風満帆とは言わないまでも、穏やかな航跡が回顧される。 その中には広大な町を思わせる規模の牧場に彼らだけのスタ ジオを構える話や、ツアー移動用に購入したプライヴェート ジェットに戦闘機上がりのパイロットを雇ったら、宙返りや 無重力体験もさせてくれたなど、これが成功したロックバン ドの姿というものを目の当たりにさせてくれる作品だった。 公開は9月21日より、東京は新宿シネマカリテにてレイトシ ョウの他、全国順次ロードショウ。)
『アルツハイマーと僕〜グレン・キャンベル 音楽の奇跡』 “Glen Campbell: I'll Be Me” (2011年にアルツハイマーの発症を公表し、病と闘いながら 家族と共に全米を巡るラストツアーを敢行した伝説のカント リー歌手の姿を追ったドキュメンタリー。医者の説明による と脳の海馬に明らかな収縮が見られ、今後はギター演奏も困 難になるとされる。しかし娘と2人の息子と共に立つステー ジでは、時には娘の弾くバンジョーとの掛け合いも繰り広げ るなど、往年のパフォーマンスにも衰えを知らない。そんな 歌手の奇跡とも言えるツアーの模様が記録されている。それ はどの会場でもスタンディングオヴェイションで迎えられ、 歌が始まると着座する。そんな素晴らしい観客の姿も映し出 す。中にはアクシデントを見に来ているのではないかという 声も聞かれたが、仮にそうなっても彼を支え続ける、そんな 観客の思いも伝わる作品だった。今観るべき作品だとも言え る。公開は9月21日より、東京は新宿シネマカリテにてモー ニング&レイトショウの他、全国順次ロードショウ。)
『ジョン・ウィック:パラベラム』 “John Wick: Chapter 3 - Parabellum” (2017年4月9日題名紹介『ジョン・ウィック:チャプター 2』の続き。因に副題は自動拳銃用の銃弾の名前だそうだ。 物語は、第1作で愛犬を殺された復讐でロシア人組織を壊滅 させ、第2作では家を破壊された仕返しでイタリア人の組織 を壊滅させた伝説の殺し屋が、今回は…というもの。ただし 本作ではちょっと趣向は変わっているが、強烈なアクション が展開されるのは本シリーズの眼目だ。とは言えさすがにや りすぎかな、自分の年齢だと観ているだけで体力の消耗する ような作品だった。主演はキアヌ・リーヴス。イアン・マク シェーン、ローレンス・フィッシュバーン、ランス・レディ ックらも引き続き登場し、さらにハル・ベリー、アンジェリ カ・ヒューストン。2001年10月紹介『ジェヴォーダンの獣』 などのマーク・ダカスコス、ノンバイナリー俳優のエイジア ・ケイト・ディロンらが脇を固めている。公開は10月4日よ り、東京はTOHOシネマズ日比谷他で全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2019年07月14日(日) |
見えない目撃者(セカイイチオイシイ、聖なる泉の少女、人間失格、典座、カーマインSTギター、HiGH&LOW THE WORST、サウナ、サタンタンゴ) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『見えない目撃者』 2016年2月に紹介した同名中国作品の日本版。その紹介にも 書いたが本作には2011年製作の韓国映画があり、韓国版、中 国版はいずれもアン・サンフン監督によるもの。今回は初め て別の監督(2008年12月紹介『重力ピエロ』などの森淳一)が 手掛けた。 主人公は盲目の元婦人警官。失明の原因は自損事故で、その 際に弟も失ったことがトラウマになっている。そんな彼女が 交通事故の音を聞く。そして現場に行った彼女は、後部座席 の窓を叩く音と助けを求める声を耳にするが…。 車から降りてきた運転者に押し留められ、かすかにアルコー ルの匂いのした運転者と車は走り去ってしまう。そこで警察 に通報した彼女だったが、彼女が聞き取った名前の行方不明 者はなく、警察は事件としては取り上げてくれない。 そんな中で事故の被害者の若者が見つかり、警察で状況を証 言するが、その内容は彼女の証言と食い違うものだった。こ うして事件は闇に消えようとする。だがその裏には恐るべき 連続殺人が隠されていた。 出演は、2018年8月26日題名紹介『音量を上げろタコ!』な どの吉岡里帆、2019年2月題名紹介『笑顔の向こうに』など の高杉真宙。他に大倉孝二、田口トモロヲ、渡辺大知、柳俊 太郎、松田美由紀、國村隼らが脇を固めている。 オリジナルの物語では、主人公自身が誘拐未遂の被害者で、 それが盲目で元婦警という辺りにかなり無理というか違和感 があった。しかし本作の発端は元婦警の勘が働くという展開 で、その他の点も含めこの改変は納得できた。 監督との共同脚本には、2012年6月紹介『るろうに剣心』な どの藤井清美が参加している。女性脚本家は2016年10月2日 題名紹介『ミュージアム』にも協力しており、今回の作品の レーティングはR15+指定となっているものだ。 これはかなりきつい映像表現が行われていることも意味して いる。しかし物語的には、本作はオリジナルの2作より明確 だし、巧みに構成されている。その点で完成度はオリジナル を上回っていると言える。 ただし韓国版、中国版のいずれもがかなりリアルでドロドロ した感覚だったのに対して、本作はリアルというよりクリア な感じで、何処か安心して観ていられるような安定感があっ た。これは監督の特性なのかな? 実際にはオリジナルの持つ曖昧さを払拭した分、本作ではも やもや感がなくなり、それが多少の物足りなさを生んでいる 可能性はある。その良し悪しは観客の取り方だが、僕には何 か荒々しさみたいなものが薄まっている感じもした。 とは言え映像はR15+指定なものだが、それでも最後にかすか な希望のようなものが見えるのは、これが今の日本映画とい う感じもする。本作だけを観れば、これはもう間違いなしの 完成度の高い作品と言えるのだが…。 公開は9月20日より、全国ロードショウとなる。 因に韓国版の題名はハングル表記の『ブラインド』で、中国 版では邦題は本作と同じだが、原題は『我是証人』だった。 しかし今回も採用された邦題では「見えない」という記述が Blindなのか、Invisibleなのか判り難い。 これは日本語の面白さでもあるが、ちょっと気になったとこ ろだ。
この週は他に 『セカイイチオイシイ水 マロンパティの涙』 (フィリピンの離島で島民の健康を守る水道建設に携わる日 本人の活動を描いた実話に基づく作品。首都マニラから南に 300�厠イ譴織僖淵づ隋�その島のパンダン村の飲料水は井戸 水で掘削は何度も行われたが、掘った井戸には程なく海水が 混じり、多くの村人が腎臓病などに悩まされていた。そんな 村から約10�厠イ譴疹貊蠅砲蓮屮泪蹈鵐僖謄�の涙」と呼ばれ る泉があり、それは島で唯一WHOの基準を満たす泉だった。 そこでその泉から取水し水道を引く計画が立てられるが…。 その事業を進める日本人を見詰める島民には、第2次大戦当 時の苦い記憶が残っていた。出演は美声女ユニットelfin'の リーダーの辻美優(映画初主演)と赤井英和。他に角田信朗、 蝶野正洋、篠原信一、森次晃嗣らが脇を固めている。脚本と 監督は2019年2月紹介『ndjc:若手映画作家育成プロジェク ト』の2016年度に選出の目黒啓太。公開は9月21日より、東 京は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)
『聖なる泉の少女』“Namme/ნამე” (2017年11月4日「東京国際映画祭」で紹介したコンペティ ション部門の出品作(映画祭題名『泉の少女ナーメ』)が一般 公開されることになり、改めて試写を鑑賞した。物語につい ては前回に書いた通りで、特に修正点はなかったが、今回は プレス資料もあって、背景的な部分が少しクリアになった。 それによると近くで行われている工事はダムの建設なのだそ うで、そうなると川の変色は公害ではなく、自然破壊という 意味にも捉えられる。また基となる伝承では少女は一般人の 生活に帰って行ったとのことだが、その観点では映画の結末 は理解できないものになっていた。つまり少女は、映画の結 末ではイエスに準える奇跡を起こしているものだし、その辺 の曖昧さが本作を判り難くしているようにも感じる。単純な 文明批判も困るが、掴みどころのない話にも困惑する。映像 的には素晴らしいと言える作品だが。公開は8月24日より、 東京は岩波ホールでロードショウ。)
『人間失格 太宰治と3人の女たち』 (2016年5月紹介『シンドバッド』などの早船歌江子脚本、 2007年1月紹介『さくらん』などの蜷川実花監督で、文豪・ 太宰治の代表作の誕生秘話を描いた作品。太宰の原作からは 2009年11月紹介の作品もあったが、本作ではさらに文豪自身 に迫っている。その本作で、作家が心中に対して優柔不断な のは、これが真実のようだ。物語の背景は1947年『斜陽』の 発表から1948年表題作の執筆までとなっており、正に文豪の 最期が描かれる。出演は小栗旬と正妻役の宮沢りえ、愛人で 弟子の斜陽夫人役に沢尻エリカ、最後の愛人富栄役に二階堂 ふみ。他に成田凌、千葉雄大、瀬戸康史。さらに藤原竜也が 坂口安吾、高良健吾が三島由紀夫を演じている。宮沢の賢妻 ぶりと沢尻の退廃的な雰囲気は良かった。しかし富栄に関し てはもっとテキパキした人と伝えられており、高良の三島も 少しステレオタイプかな。エンターテインメイントとしては 面白かったが。公開は9月13日より全国ロードショウ。)
『典座 TENZO』 (2016年11月13日題名紹介『バンコクナイツ』などの富田克 也監督が、3・11後の現代日本における宗教について考える ドラマとドキュメンタリーの混交作品。題名は禅寺で六知事 と呼ばれる職務の一つであり、その中の僧侶たちの食事を司 る典座は第五位とされるものだが。日本における曹洞宗の開 祖・道元禅師の遺した「典座教訓」にはその重要性が語られ ているという。そこで登場するのは2人の僧侶。10年前には 一緒に修業した2人だが、1人は山梨県の実家である寺で精 進料理の教室やヨガと座禅のコラボレーション企画、さらに は子ども食堂など多彩な展開で布教活動を行っている。そし てもう1人は、福島県の被災地で瓦礫撤去の土木作業に従事 しながら、本堂も檀家も津波で流された寺の再建を模索して いる。こんな2人の活動を通じて今在るべき宗教が問われて 行く。震撼とするシーンもある作品。公開は10月4日より、 東京はアップリンク吉祥寺他で全国順次ロードショウ。)
『カーマイン・ストリート・ギター』 “Carmine Street Guitars” (2018年11月4日「東京国際映画祭」で紹介したワールド・ フォーカス部門の出品作が一般公開されることになり、改め て試写を鑑賞した。この作品も見直しとプレス資料で理解が 深まったが、実は映画祭で観たときには、音楽ドキュメンタ リーの割には映画監督ジム・ジャームッシュのシーンが少し 長目に感じて、有名監督の登場では仕方ないかな?何て思っ ていた。ところがこの店が今のような手作りギターを始めた のは、映画監督が改築時の廃材を持ち込んで依頼したのが始 まりだったのだそうで、それならこの構成は正しいものだ。 因にジャームッシュ自身も自作品のサウンドトラックを手掛 けるほどのミュージシャンでもある。その他にも作品には、 名だたるバンドのギタリストたちが次々に登場して、彼らが 惜しげもなく演奏を披露するシーンは、音楽ファンにはたま らない作品と言えそうだ。公開は8月10日より、東京は新宿 シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『HiGH&LOW THE WORST』 (2017年10月29日題名紹介『HiGH&LOW』と、2007年〜14年に 映画化『クローズ』の続編で�盒競劵蹈係矯遒痢�WORST』が クロスオーヴァした作品。主な舞台となるのはSWORD地区の 鬼邪高校。元々全日制の生徒と定時制の生徒との間では抗争 があったが、現在は定時制の番長が全体の頭を張っている。 そんな学校の全日制に転入生がやってくる。彼は近隣の団地 出身で幼馴染みには様々なメムバーが揃っており、彼は全体 の頭を取ると宣言する。しかし幼馴染みの1人に違法薬との 関係が疑われ、さらに隣町・戸亜留市にある鳳仙学園との間 で不穏な空気が流れ始める。脚本は�盒兇函�HiGH&LOW』の脚 本チームが合作したもので、�盒兇砲箸辰討禄蕕留撚莎嗚椶� そうだ。まあ元々がどちらも似たような話だから、それを剽 窃などと言わずにうまく収めたのは素晴らしいことだ。出演 は『HiGH&LOW』のメムバーに川村壱馬、志尊淳、白洲迅らが 加わっている。公開は10月4日より、全国ロードショウ。)
『サウナのあるところ』“Miesten vuoro” (フィンランド・日本の外交樹立100周年を記念して公開さ れる同国発祥の入浴設備について語るドキュメンタリー。と 言ってもその歴史などが語られるのではなく、同国では日常 的にあるとされる公衆サウナを舞台に、そこで過ごす主に男 性たちの人生を語る言葉が収録されている。それにしても野 原に建つ孤立のサウナや、公衆電話ボックスを改造したので はないかと思われる1人用サウナなど、日本では考えられな いようなものもいろいろ登場する。しかしながら、中で語ら れる男性たちの人生は、戦争などの要素はあるもののさほど 特徴的でもなく、サウナに特化される話も0ではないが取り 立てて言うほどのものでもない。恐らく彼の地ではサウナが 普遍的過ぎてこんな風にしか描けなかったのだろうけど、個 人的にはプレス資料にあった日本人研究者の視点のような映 画を観たかったかな。公開は9月14日より、東京は新宿シネ マカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『サタンタンゴ』“Sátántangó” (2009年9月紹介『倫敦から来た男』などのハンガリーの鬼 才タル・ベーラ監督が、盟友クラスナホルカイ・ラースロー の原作に基づき、原作者との共同脚本で1994年に映画化した 上映時間7時間18分の怪作。寂れた田舎町を舞台に1年半前 に死んだはずの男が帰ってくるとの情報が流れ、村人たちの 間で様々な思惑が交錯する。さらに映画の後半では帰ってき た男の扇動により村人たちの生活が根底から覆される。原作 が発表されたのは1985年で、この物語に政治的な意味がある かどうか、今となってはその辺のことも理解が難しくなって いる感じだ。ただし全体で150カットという超長回しの作品 ではあるが、観ている間は映画に引き込まれて一気に見終て しまえるものだった。なお上映は2時間18分、2時間4分、 2時間56分の3パートに分けて行われた。公開は9月13日よ り、東京は渋谷のシアター・イメージフォーラム他で全国順 次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2019年07月07日(日) |
いなくなれ・群青、ホームステイ、SF核戦争後の未来(みとりし、惡の華、ブロードウェイ版ロミオとジュリエット、お百姓さんに、任侠学園) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『いなくなれ、群青』 2017年2月紹介『サクラダリセット前編/後編』の原作者・ 河野裕が2014年から発表している「階段島」シリーズ第1巻 で、2015年第8回大学読書人大賞を受賞した作品の映画化。 その作品が、2019年2月24日題名紹介『賭ケグルイ』の高野 水登脚本、2008年5月紹介『今日という日が最後なら、』の 柳明菜監督で映像化された。 主人公は孤島に建つ全寮制の高校に通う男子。その暮らしは 満足の行くものだが、クラスメイトの中には些細な不満を抱 く者もいる。しかし島から外部への通信は遮断されており、 情報は入ってくるが要求が外に届くことはない。 そんなある日、1人の女子が転校してくる。彼女は主人公の 幼馴染で、彼女の出現は主人公にある思いを湧き立たせる。 そんな彼女は登校初日から不満を述べ立て、島を脱出すると 宣言するが…。 脱出の方法はただ一つ、自らが失くした物を見つけることだ と教えられる。しかし主人公にも幼馴染みの彼女にも、自分 が失くした物が判っていなかった。そんな中で、彼らの通う 学校では、音楽祭の準備が進んでいた。 一方、その島の年長者には寮長や教師の他に郵便配達の女性 がいて、その女性は疑問が生じたときは島の魔女に手紙を出 せとアドヴァイスする。そしてその魔女は学校の裏手の長い 階段の上にいるという。 ところがその階段を昇る者は郵便配達の女性を含め誰も目撃 されていなかった。さらにその階段の脇の石垣にいたずら書 きが発見される。それは島での生活に疑問を抱くことを訴え 掛けるものだった。 主演は、元「烈車戦隊トッキュウジャー」で、2018年9月紹 介『青の帰り道』などの横浜流星と、元「獣電戦隊キョウリ ュウジャー」で、2016年11月紹介『きょうのキラ君』などの 飯豊まりえ。 他に、2014年12月紹介『クレヴァニ、愛のトンネル』などの 未来穂香、2018年4月29日題名紹介『兄友』でも横浜と共演 の松岡広大。さらに2018年12月紹介『チワワちゃん』などの 松本妃代らが脇を固めている。 『サクラダリセット』もそうだったが、原作者は現実から隔 絶されたVillage を描くのが好みのようだ。それが前の作品 では、現実社会と絡む辺りで事象が整理されず、何となく歯 痒い思いのした記憶がある。 それに対して本作は、現実社会を完全に遮断して島だけの話 にしたことですっきりした設定にはなっている。しかし物語 は青春の悩みなどを反映したものにもなるのだが、そこには 当然現実社会の問題が関ってくる。 それが本作では、青春の悩みを痛みとして受け止めながら、 なお且つファンタシーとして成立させたもので、それは実に 巧みに青春を描いた作品になっていた。誰しもが青春時代に 悩んだこと、それが特異な設定の中で際立たせられる。 これもファンタシーの醍醐味のように感じられた。 公開は9月6日より、全国ロードショウとなる。
『ホームステイ ボクと僕の100日間』“โฮมสเตย์” 2008年4月紹介『ダイブ!!』などの原作者・森絵都が1989年 に発表し、日本映画ではすでに中原俊監督による実写化や原 恵一監督によるアニメ化もある小説「カラフル」を、2018年 6月17日題名紹介『バッド・ジーニアス』を手掛けたタイの 製作会社がバンコクを舞台に実写映画化した作品。 主人公は死亡宣告を受けて霊安室に置かれていたところで、 突然息を吹き返す。しかしその状況にパニックになった主人 公が逃げ出そうとすると、清掃夫の姿をした管理人と名乗る 男に止められ、事態が説明される。 それによると主人公は抽選に当って現世に甦ったが、その際 に記憶は消され、仮の身体にホームステイしているのだとい う。そして100日の期限内に、仮の身体の死の理由を突き止 めれば、正式に甦りが認められるというのだが…。 記憶のない主人公は怪しげな会社を営む父親と単身赴任中の 母親、それと大学生の兄とのどこかギクシャクとした家族の 中で、長期欠席していた高校にも復学し、自殺したらしい仮 の身体の死の理由を探り始める。 ところが、登校しても彼の周囲には友達はおらず、中々手掛 かりは掴めない。そんな中で1人の女子生徒が声を掛け、彼 は有頂天になってしまう。だがそこにも管理人が現れ、期限 の切迫が告げられる。 出演は『バッド・ジーニアス』にも主演のティーラドン・ス パパンピンヨーと、2018年11月4日付「東京国際映画祭」で 紹介『BNK48: Girls Don't Cry』のBNK48でキャプテンを務 めるチャープラン・アーリークン。 他に、テレビの経済ニュース番組でアンカーを務めた後に女 優に転身したというスークワン・ブンラクン。20万人のフォ ロワーを持つインスタグラマーで本作が映画デビューのサル ダー・ギアットワラウット。 さらに2016年2月紹介『すれ違いのダイアリーズ』などのチ ューマーン・ブンヤサック、2018年6月17日題名紹介『ポッ プ・アイ』などのタネート・ワラークンヌクロ。2011年10月 30日付「東京国際映画祭」で紹介『ヘッドショット』などの ノパチャイ・チャイナーム、1945年生まれの人気歌手スダー ・チューンバーンらが脇を固めている。 脚本と監督は、2004年に共同監督した『心霊写真』がタイで 大ヒットしたパークプム・ウォンプム。その後も一貫してホ ラー作品を手掛けてきた監督が、そのテイストも活かした作 品に仕上げている。 この手の甦りものもいろいろ観ているが、その中でも本作は ストーリーも手が込んでいて結構面白かった。この監督には 今後も注目したいところだ。 公開は10月5日より、東京は新宿武蔵野館他にて全国順次の ロードショウとなる。
『SF核戦争後の未来・スレッズ』“Threads” 1984年にイギリスBBCで製作され、翌年のイギリスアカデ ミー賞で、7部門のノミネートと最優秀シングルドラマ賞な ど4部門の受賞に輝いた作品。日本では当時にテレビ東京で 放送された記録はあるようだが、その作品が初のディスク化 で一般に公開される。 物語の舞台はイギリス中部の工業都市シェフィールド。始ま りは1980年代のある年の3月5日土曜日。NATOの軍事基地も 隣接するその町のデートスポットで、若いカップルが車内で 愛を交わしている。 そして5月5日木曜日、彼女の妊娠が発覚し、2人は互いの 両親に打ち明けて結婚を決めるが…。そんな恋愛ドラマの背 景では、ラジオやテレビのニュースでソ連軍の侵攻など緊張 する中東情勢が報じられている。 その状況下で市民の中には基地から離れた郊外に避難する者 も現れ始め、物資の買い占めなども横行し始める。そんな中 でも主人公らは新たな命を育むための新居の内装に余念がな かった。 一方、市当局は市民に冷静な対応を呼び掛けていたが、その 裏側では中央政府が崩壊した際に市や市長に移管される権限 に対する準備も進められていた。そしてついにイランの米軍 基地に核ミサイルが撃ち込まれる。 と、ここまではそれなりの人間ドラマが繰り広げられるが、 ここからは物理学、医学、農学、心理学等の50人以上の科学 者が協力して、彼らが予測する核戦争後の未来が描かれて行 くものだ。 特に劇中に描かれる「核の冬」の描写は、前年の1983年5月 に当時ソ連のゲオルギー・ゴリーツィンと、10月にアメリカ のカール・セーガン博士により相次いで発表されたもので、 正に全世界に衝撃を与えたものだ。 そんな科学者たちの予測が描かれている。なお原題のThread は縫い物の糸のことで、転じて理論の道筋や論証などの意味 でも使われる。つまり科学者たちが論証する未来の道筋とい うことだ。 因の今回の邦題は、当時のテレビ東京での番組名だそうで、 SFとあるのは当時のブームもあるが、内容のあまりのリア ルさに、視聴者に与える衝撃を少しでも和らげようという意 図もあったのではないかとも言われている。 製作と監督は、後に1992年『ボディガード』や1997年『ボル ケーノ』を手掛けるBBC出身のミック・ジャクスン。脚本 はケン・ローチ監督の1996年『ケス』の原作・共同脚本を手 掛けるバリー・ハインズが担当している。 出演は、カレン・ミーガー、リース・ディンズデール、デヴ ィッド・ブリアリー、リタ・メイ。当時から今も主にテレビ で活躍する俳優たちが演じている。 BBCでは1965年にピーター・ワトキンス監督の“The War Game”で核戦争の恐怖を描いたが、そのあまりに強烈な内容 に放送を自粛。ところが数館の劇場で自主上映され、それが フェイクであるにも拘らずアメリカアカデミー賞で最優秀長 編ドキュメンタリー賞に輝くという苦い経験があり、本作に はその熱も込められたようだ。 また試写会で配られたプレス資料には、先駆的な作品として 1961年の東宝=円谷特撮映画『世界大戦争』が紹介されてい るが、その作品でも主人公はプレス・クラブの運転手という 市井の人物になっている。 その点は本作でも踏襲されているが、さらに東宝映画には別 ヴァージョンの脚本があって、橋本忍が書いたとされるその 脚本では、一度は逃れた運転手が核戦争後の廃墟東京を、這 いずるように戻って行くという展開で、「核の冬」などの描 写はないものの広島長崎を踏まえた作品だったものだ。 最近の架空戦記映画では、やたらと核ミサイルをぶっ放すシ ーンがあって、被爆国日本の国民としてはどうなの? と思 うことも多いが、少なくとも1980年代までは、もっと真剣に 核の恐怖が描かれていたということだ。 国内初のディスク化となるブルーレイ&DVDは、7月17日 からキングレコードより発売・販売される。
この週は他に 『みとりし』 (一般社団法人「日本看取り士会」という団体もある余命い くばくの人の最期を看取る人たちの活動を描いた作品。団体 の代表を務める柴田久美子さんの経験を原案に、主演も務め る榎木孝明が企画から携わり映画化。過疎の村を舞台に娘を 交通事故で亡くした男性と、新人看取り士が仕事の中で出会 う様々なエピソードが描かれる。2008年6月紹介『おくりび と』や、2018年1月28日題名紹介『おみおくり』は人が亡く なった後の話だったが、本作が描くのは生前の最後の時。そ れは予想以上にシビアなエピソードが描かれていた。共演は 1200人のオーディションから選ばれた2105年『リアル鬼ごっ こ』などの村上穂乃佳。他に片桐夕子、石濱朗、仁科貴、河 合美智子、つみきみほ、金山一彦、宇梶剛士、櫻井淳子らが 脇を固めている。脚本と監督は2016年11月13日題名紹介『マ マ、ごはんまだ?』などの白羽弥仁。公開は9月13日より、 東京は有楽町スバル座他で全国順次ロードショー。)
『惡の華』 (ボードレールの同名詩集をモティーフにした押見修造原作 コミックスを、2018年2月紹介『ゴーストスクワッド』など の井口昇監督で映画化した作品。なお押見は『ゴースト…』 のポスターイラストを手掛けている。主人公は山間の閉塞感 一杯の町に暮らす読書好きの中学生。ある日、ちょっとした 出来心で人気女子の体操着を盗んでしまい、しかもそれを根 暗な女子に知られてしまう。そのため弱みを握られた主人公 は彼女に言うままに行動することになるが…。彼女の要求が エスカレートする。変態映画を得意の監督が力量を発揮した PG12指定の作品だ。出演は、2018年8月26日題名紹介『うい らぶ。』などの玉城ティナと伊藤健太郎(旧名健太郎)。他に 飯豊まりえ、2019年2月24日題名紹介『賭ケグルイ』などの 秋田汐梨。なお秋田はオーディションで満場一致で選ばれた そうだ。公開は9月27日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他 で全国ロードショウ。)
『ブロードウェイ版ロミオとジュリエット』 “Romeo and Juliet” (オーランド・ブルームがブロードウェイデビューを飾り、 同地では36年ぶりに上演されたというシェークスピアの名作 戯曲の最新版を、その観客も熱狂する舞台で収録した作品。 日本ではハリウッド製のヒット映画で知られるブルームだが 元々はロンドン・ウェストエンドの舞台に立つ役者であり、 イギリスではシェークスピア劇にも出演していたようだ。そ んな役者の登場だが、何というかその瞬間にはちょっとした 仕掛けもあって客席には嬌声が上がる。その雰囲気には日本 からファンが押し寄せたのか?という感じさえあった。さら に舞台上ではオートバイが走り回るなど、かなり新奇な演出 も施されている。とは言え物語は有名なものだが、全体的に はアメリカ的な作品になっていると言えるのかもしれない。 共演は2010年5月紹介『セックス・アンド・ザ・シティ2』 などにも出演の舞台女優のコンドラ・ラシャド。公開は7月 12日より、東京は築地東劇他で限定ロードショウ。)
『お百姓さんになりたい』 (2016年2月紹介『無音の叫び声』などの原村政樹監督が、 前作の『武蔵野 江戸の循環農業が息づく』に続けて関東の 近郊農業を描いたドキュメンタリー作品。前作は観ていない が、その作品では近郊農業にも拘らず落ち葉堆肥など伝統的 な農法を受け継ぐ人たちが描かれていたようだ。そして本作 では、さらに進んでその農法を広める行動や地元の障碍者と の交流など、正に土地に生きる農業の様子が紹介される。そ こに登場するのは28歳で農業を始めたという男性だが、元は サッカー選手を目指して大学に進学したが果たせず、一般企 業に就職した後に子供の頃の夢の3番目だったお百姓さんを 目指したという彼は、農業の知識などもなく試行錯誤の連続 の中で自らの農法を確立して行く。そこにやはり農業は未経 験の人たちが集まってくる。何かユートピアのような展開の 作品だった。公開は8月24日より、東京はポレポレ東中野他 で全国順次ロードショウ。)
『任侠学園』 (テレビで「ハンチョウ」シリーズなどの今野敏の原作を、 2013年『劇場版 ATARU』などの木村ひさし監督で映画化した 作品。昔気質のやくざの組長が不良債権の学園の経営権を押 し付けられる。元々勉強など大っ嫌いでこの道に入った組員 が厭々学園に行ってみると、そこには無気力を絵に描いたよ うな生徒たちと、問題を起こさないことが第一の学園長など が待ち受けていた。それでも何とか学園の立て直しを考え始 めた組員らの前に、父兄が子供への干渉を盾に訴えてくる。 そこには何やら怪しげな人物も同行していて…。出演は西島 秀俊、西田敏行。それに伊藤淳史、葵わかな、葉山奨之、池 田鉄洋、佐野和真、前田航基、戸田昌宏、高木ブー、佐藤蛾 次郎、桜井日奈子、白竜、光石研、中尾彬、生瀬勝久。何と いうかこれらの役柄をやらせたらぴったりという顔ぶれが揃 って、安定感のあるコメディが展開される。公開は9月27日 より、全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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