井口健二のOn the Production
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2019年06月30日(日) 火口のふたり、アポロ11(熱帯魚、米軍、葬式の、チャイルドP、王様、パリに、守護教、影に抱かれ、ロケットM、命みじかし、帰れない二人)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『火口のふたり』
実父の故白石一郎と共に、二代に亙る直木賞作家白石一文の
原作を、2013年7月紹介『共喰い』などを手掛けた脚本家の
荒井晴彦が脚色・監督した作品。
主人公は東京暮らしだが、妻に離婚され、子供にも会えなく
なり、職も失ってしまったという男。そんな男の許に故郷の
秋田に住む父親から、幼馴染みの女性が結婚するという電話
が来る。その連絡に男は帰郷すると答えるが…。
帰ってきた男を出迎えたのはその女性で、彼女は新居に置く
家電の運搬などを男に依頼する。彼女との関係はそんな気さ
くなものだったようだ。そして2人は食事なども共にし、自
衛官の新郎が出張から戻るまでの逢瀬が始まる。
作品はR+18指定のもので、かなり際どい描写が繰り広げられ
るものだ。その間に主人公と彼女との過去の経緯が明らかに
されて行く。『共喰い』の時にも書いたが、本作では他の要
素も含めて実に巧みな脚本だ。

出演は2019年3月31日題名紹介『柄本家のゴドー』などの柄
本佑と、2017年6月4日題名紹介『彼女の人生は間違いじゃ
ない』などの瀧内公美。他に電話の声で柄本明が出演し、最
後の方に数人の子供の台詞はあるが、全編はほぼ2人だけの
芝居で物語は展開される。
いやこの2人芝居が、かなりの部分がR+18指定とは言うもの
の実に巧みで、その間に徐々に明らかになる2人の過去が、
それはもう切なさで一杯のものになっている。それがR+18の
指定を凌駕して青春を感じさせてくれる作品だ。
そして本作では、最後に途轍もない結末が待ち受けていた。
これはここまでの改変は脚色では出来るものではないので、
恐らくは原作にある通りなのだろうが、僕にとってはかなり
衝撃の展開だった。
ただしこの記事を書くに当って原作者を調べていたら、父親
が1981年から徳間書店「SFアドベンチャー」誌で発表した
伝奇シリーズ「黒い炎の戦士」は、実は息子の原案によるも
のだったそうで、息子は続編も書くと語っている。
つまりこの原作者にはSFの素養もあると認められ、そう考
えると、この結末には納得もできるものだった。とは言えか
なり唖然とする結末には、個人的には思わずニヤリとしてし
まったものだ。
ついでにVFXでもあれば云うこと無しだが、そこまでやる
必要はこの作品にはないだろう。でもこの原作者には興味が
湧いてきた。

公開は8月23日より、ロケ地の秋田県ではルミエール秋田、
東京では新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺他にて全国順次
ロードショウとなる。

『アポロ11 完全版』“Apollo 11”
アメリカ航空宇宙局(NASA)が、1969年の人類による初の月面
探査を記録した70mmフィルムが発見され、50年周年に合わせ
て公開されることになった。
実は当時のNASAでは、探査の成功後にその記録を一般公開す
る目的で撮影を行っていたようだが、公開に向けた映画制作
の予算が認められず、そのまま撮影されたフィルムも所在が
不明になっていた。
そのフィルムが50周年を前に発見され、ディジタルで修復さ
れて一般公開となったものだ。さらにその記録には1100時間
に及ぶ音声データも残されており、それらが編集されて作品
が完成されている。
それはまずアポロの司令船などを載せたサターンロケットを
発射台に運ぶシーンから始まる。その巨大なキャタピラーの
付いた台車が静々と進む様子は以前から見てはいたものの、
70mmの鮮明な映像に圧倒される。
そして乗員の乗り込みなどのシーンがあっての発射シーン。
そのブースターに近接した映像はさすがに防護ガラス越しで
はあったが、その70mmの画面に映された迫力は今までに見た
こともないものだった。
因にこの発射シーンでは、フロリダのケネディ宇宙センター
の係官が双眼鏡で眺めている姿が登場するのだが、以前から
よく見たこのシーンで、何故この人はそんな余裕があったの
だろうか、と疑問を感じていた。
それが本作によると、発射の約15分前から飛行管制はテキサ
ス州ヒューストンの管制センターに移管されていたようで、
それならフロリダ側は暇になっていたのだと、長年の疑問が
解消されたものだ。
そこから月への長い旅が始まるのだが、その間にも地球の衛
星軌道からの離脱や、着陸船との再ドッキングなど様々な任
務が克明な映像で綴られて行く。特に月の裏側での月の衛星
軌道への突入は地球との通信がない中での緊張が伝わる。
そして月面到着と探査の様子。ここでは当時生中継で見てい
た自分にはその時の感激が甦ったが、実は当時最高と言われ
た同時通訳にも欠落はあったようで、当時の音声からの詳細
な字幕にはいろいろ再認識されるものも多かった。
それと共に衛星軌道上に残されたコリンズ飛行士との通話が
頻繁に入るのも嬉しく感じるもので、人類史上最大の偉業に
最も近いところにいながらそれに参加していない人物の気持
ちも分かち合える気がしたものだ。
そして帰還から、世界中で行われた歓迎パレードの様子など
と続くが、これこそが人類最大の冒険が凝縮されていると思
える作品だった。

公開は7月19日より、東京は109シネマズ二子玉川他にて
全国ロードショウとなる。

この週は他に
『熱帯魚』“熱蔕魚”
(2013年の東京国際映画祭で上映され、2014年に公開された
『祝宴!シェフ』のチェン・ユーシュン監督が1995年に発表
した長編デビュー作。誘拐事件に巻き込まれた中学生と、こ
ちらも巻き込まれ形の誘拐犯一家との交流がユーモラスな筆
致で描かれる。監督は、本作と共に再上映される『ラブゴー
ゴー』と2017年の新作の4本しかない寡作の人だが、何とい
うか一貫して台湾映画の雰囲気を醸している感じがする。本
作でも台湾特有の受験戦争の様子など、日本人としてはなか
なかピンと来ないが、全体はコメディなのでそれとして理解
はできるし、報道の過熱ぶりなどは微笑ましくも感じられる
作風で作られている。台湾映画も近年は、それなりに目覚ま
しい作品も観られるが、それらの作品の原点とも呼ばれてい
る作品だ。とは言え僕には懐かしさが先に立ったかな、結末
のシーンで先の公開時に観た記憶が蘇った。公開は8月17日
より、東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)

『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』
(2017年6月18日題名紹介『米軍(アメリカ)が最も恐れた男
その名は、カメジロー』を補完する作品。本作では、米軍の
執拗な妨害にもめげず、那覇市長や衆議院議員も務めた瀬長
亀次郎氏が残した膨大な日記を基に、国会審議での代表質問
のアーカイヴ映像や当時を知る関係者の証言などを交えて、
カメジローの実像が描き出される。しかもそこに立ちはだか
るのはアメリカだけでなく、他国の言いなりのままに尻尾を
振り続ける日本の執政者の姿であり、それが1972年から半世
紀近くが過ぎても変わらないという状況だ。いや、むしろ当
時より悪くなっている現実だろう。正直に言ってこの国の国
民として恥ずかしくてたまらなくなるような作品だった。監
督は前作と同じく元TBSアナウンサーの佐古忠彦。これか
らも真の沖縄が戻ってくるまで続けて欲しい作品だ。公開は
8月17日より沖縄県桜坂劇場にて先行上映の後、東京は24日
から渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)

『葬式の名人』
(ノーベル文学賞受賞者川端康成の諸短編に基づき、作家が
学童期を過ごした大阪府茨木市が市制70周年を記念して製作
した作品。突然亡くなった同窓生の遺体を前にした旧友たち
が、彼との思い出を胸に遺体と共に市内を巡る。そんなこと
をしていいのかとも思ったが、劇中は法律上問題ないことは
語られていた。それにしても黙って学校内に入ったり、多少
の疑問に感じるところはある作品だった。プロデューサーと
脚本は2014年『太秦ライムライト』などの大野裕之、監督は
2013年、東京銀座の老舗映画館シネパトスの閉館記念で作ら
れた『インターミッション』の樋口尚文。出演は前田敦子、
高良健吾。他に白洲迅、尾上寛之、中西美帆、奥野瑛太。さ
らに栗塚旭、有馬稲子らが脇を固めている。なおクレジット
の中に久しぶりの名前を見付けたが、現場復帰したのかな?
市政記念作品ということで、公開は8月16日から茨木市で先
行上映の後、9月20日より全国ロードショウ。)

『チャイルド・プレイ』“Child's Play”
(1988年に第1作が製作され、以後6話のシリーズとスピン
オフも作られた人気ホラー映画からのリブート作品。オリジ
ナルの当時はキャベツ人形なんて云うちょっと奇怪な人形が
ブームだったりして、その人形が殺人鬼に変身するという設
定はかなり衝撃的だった。そのリブートだが、以前のシリー
ズでは殺人人形の誕生はブードゥ教の呪術によっていたもの
が、本作では人形に搭載されるAIコンピュータの不具合とい
う設定。これも時代の反映なのだろうが、以前からのファン
には反発もあるかもしれない。でも今さらブードゥ教と言わ
れても…という感じもしないでもないもので、これがこの後
シリーズ化できるかは、ファンの気持ち次第になりそうだ。
脚本は短編映画やヴィデオゲームなどを手掛けてきたタイラ
ー・バートン・スミスの長編デビュー作。監督は2019年6月
2日題名紹介『ポラロイド』のラース・クレヴバーグが担当
した。公開は7月19日より、全国ロードショウ。)

『王様になれ』
(1989年結成のロックバンドthe pillows の30周年を記念し
て製作された映画作品。通常この種の記念映画では、ライヴ
の収録やドキュメンタリー、あるいはバンドの生い立ちのよ
うな作品が多いが、本作はバンドのフロントマンである山中
さわおの原案によるフィクションで、そこにthe pillows の
楽曲が流れるという中々洒落た構成になっている。その物語
に登場するのは、カメラマンになる夢を持ちながらも厳しい
現実の壁に阻まれている若者と、彼が働くラーメン店を訪れ
た劇団員の少し年上の女性。その女性がthe pillows のファ
ンで、2人の交流の中にバンドのライヴが絡まるという仕掛
けだ。そして物語では、青春の中でもがく若者たちが巧みに
描かれる。出演は2018年7月15日題名紹介『オズランド』な
どの岡山天音と、舞台女優の後東ようこ。脚本と監督は舞台
演出家のオクイシュージが担当した。公開は9月13日より、
東京はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)

『パリに見出されたピアニスト』“Au bout des doigts”
(駅の構内に置かれたアップライトピアノ。それを無心に弾
く若者の姿を初老の男が見つめている。そして男は若者に名
刺を差し出す。そこには名門音楽院のディレクターの名前が
記されていた。やがて若者は止むに止まれぬ事情でその音楽
院に通うことになるが…。そこには音楽院側の事情も隠され
ていた。出演はジャン=ルイ・トランティニャンの孫という
新鋭ジュール・ベンシェトリと、2011年1月紹介『神々と男
たち』などのランベール・ウィルスン、それに2011年9月紹
介『サラの鍵』などのクリスティン・スコット・トーマス。
脚本と監督は、2014年8月紹介『LUCY/ルーシー』でリュッ
ク・ベッソンの助監督を務め、本作が監督デビュー3作目の
ルドヴィク・バーナード。日本にも同様の街角ピアノはある
ようだが、さすが芸術の街パリという感じの作品だ。公開は
9月27日より、東京はヒューマントラストシネマ有楽町他で
全国ロードショウ。)

『守護教師』“동네사람들”
(2019年5月12日題名紹介『無双の鉄拳』に続くマ・ドンソ
ク主演アクション・スリラー作品。今回の主人公はボクサー
で元東洋チャンピオンという男。熱血指導が災いしてコーチ
の職を追われ、地方都市の女子高に体育教師兼生活指導とい
う名目でやってくる。男ばかりの世界からの女性の園に武骨
な男は、最初は戸惑いを隠せないが、やがて行方不明の級友
を探す女子生徒に目を止める。そしてその女子生徒に声を掛
けた男は、その町と学校の陰に潜む闇と対峙することになる
が…。共演は2011年7月紹介『アジョシ』などのキム・セロ
ン。天才子役と呼ばれた少女が成長した姿を見せてくれる。
それに対するマ・ドンソクの役柄はどの作品も判り易いが、
役柄は毎回変われど『寅さん』みたいな安心感なのかな? 
脚本と監督は本作が2作目というイム・ジンスン。デビュー
作は半自伝的コメディだったそうだ。公開は8月2日より、
東京はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)

『影に抱かれて眠れ』
(1983年公開『逃がれの街』などの北方謙三原作の映画化。
横浜野毛の飲み屋街を舞台に、個展を嘱望されるも創作意欲
のない画家で、街に2軒の酒場を経営する男が、彼を父親の
ように慕う若者の所業からただならぬ状況に巻き込まれてし
まう。その若者は町に売られてきた女たちの足抜けを支援し
ていたが…。出演は2017年4月紹介『ラストコップ』などの
加藤雅也、2017年10月29日題名紹介『8年越しの花嫁』など
の中村ゆり。他にEXILE の松本利夫、カトウシンスケ、湘南
乃風の若旦那。さらに熊切あさ美、余貴美子、火野正平らが
脇を固めている。脚本は強面俳優として数多くのVシネなど
に出演の小沢和義が手掛け、監督はテレビ『相棒』シリーズ
や2016年3月紹介『探偵ミタライの事件簿』などの和泉聖治
が担当した。原作は2010年に発表されたものだが、正に昭和
のハードボイルドといった感じの作品だ。公開は9月6日よ
り、東京は丸の内TOEI2他で全国順次ロードショウ。)

『ロケットマン』“Rocketman”
(1969年ソロ・デビュー以来、世界で3億枚以上を売り上げ
たとされる人気歌手エルトン・ジョンが、自ら製作総指揮を
手掛けた自伝映画。1947年に王立空軍中隊長の息子として生
まれた音楽家は、4歳の頃からピアノを弾き、一度聴いた曲
は完璧にリピートするという神童ぶりを発揮、王立音楽院を
経てプロ演奏家を目指す。そして1967年に出会った作詞家の
バーニー・トーピンとは曲折はあるものの一貫してコンビで
楽曲を発表している。しかし薬物やアルコール依存症、過食
症にも蝕まれ…。出演は2015年8月紹介『キングスマン』な
どのタロン・エガートン。他にジェイミー・ベル、ブライス
・ダラス・ハワード、リチャード・マッデンらが脇を固めて
いる。脚本は2011年12月紹介『戦火の馬』などのリー・ホー
ル。監督は『ボヘミアン・ラプソディ』を実質的に完成させ
たというデクスター・フレッチャー。公開は8月23日より、
東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)

『命みじかし、恋せよ乙女』“Kirschbluten & Damonen”
(2018年9月他界した樹木希林の初の海外製作映画で、女優
として最後の出演になったとされる作品。元ナチス将校の家
系に生まれた青年が、様々な確執で酒に溺れ家族にも見放さ
れる。しかしそこに亡き父の知人という日本人女性が現れ、
彼は日本へと旅立つが…。前半はアルプスの麓、後半は神奈
川県茅ケ崎市の浜が舞台となり、人生の岐路に立った男の思
いが描かれる。脚本と監督は、過去にも日本を舞台にした作
品を手掛けているドイツ出身のドーリス・デリエ。物語は国
の有形文化財に指定されている旅館・茅ヶ崎館で着想したそ
うだ。出演は2013年『グランド・ブダペスト・ホテル』など
のゴロ・オイラー。監督の以前の作品にも出ている舞踏家の
入月絢。そして樹木は旅館の女将の役で登場する。茅ヶ崎の
浜降り祭とドイツのブッテンマンドル、2つの祭りが描かれ
るのも興味深い。公開は8月16日より、東京は日比谷のTOHO
シネマズシャンテ他で全国順次ロードショウ。)

『帰れない二人』“江湖儿女 Ash Is Purest White”
(2009年1月紹介『四川のうた』などのジャ・ジャンクー監
督が5度目のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出
された作品。長江に建設された三峡ダムを背景に、2001年か
ら17年に亙る男女の交流が描かれる。始まりは山西省大同、
炭鉱の町で連む若者のグループは石炭産業の衰退で新たな道
を探り始める。そんな中で対抗するグループにリーダーが襲
われ、居合わせた女が思わず発砲。その罪で彼女は5年の刑
に服するが…。5年後、出所した彼女をリーダーは迎えに来
なかった。その男の影を追って、三峡ダムから新疆ウルムチ
まで、7700�劼領垢�始まる。出演は『四川』にも主演し監督
のミューズと言えるチャオ・タオと、2008年10月紹介『戦場
のレクイエム』などのリャオ・ファン。題名通りの男女間の
ドラマは監督作品の中では判り易く、21世紀中国の深部が描
かれた作品と言えそうだ。公開は9月6日より、東京は渋谷
Bunkamura ル・シネマ他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2019年06月23日(日) すじぼり、アス(おいしい家族、イソップの思うツボ、タロウのバカ、ジョアン・ジルベルトを探して、フリーソロ、隣の影)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『すじぼり』
2014年『東京難民』という作品が佐々部清監督により映画化
された福澤徹三の原作で、第10回(2008年)大藪春彦賞受賞作
の実写映画化。配信プラットフォームのU-NEXTにて配信され
る全10話構成のシリーズの内、第1話〜第3話の試写を鑑賞
した。
主人公は地方都市の父子家庭で育ち、親の金で大学に行って
はいるが、実は半同棲で風俗の女性に入れ挙げ、大麻を吸い
まくるなど自堕落な生活を送っている。しかし町に蔓延るや
くざを見ると嫌悪感を露わにしていたのだが…。
そんな主人公が大麻を巡る騒動でやくざの組長に助けられ、
その事務所に出入りすることになってしまう。そして借金の
かたに下働きをすることになる。それでも昔気質の組長には
何となく気に入られているようだ。
そんな主人公が対立する組との命運を決する抗争に巻き込ま
れて行く。正に青春任侠ドラマと言える物語が展開する。

出演は2018年7月29日題名紹介『止められるか、俺たちを』
と『純平、考え直せ』にも出ていた藤原季節。その脇を高橋
和也、日本アカデミー賞で新人俳優賞受賞の篠原篤、2018年
5月紹介『万引き家族』などの溝口奈菜らが固めている。
また第4話以降には、六平直政、阿部亮平、宮城大樹、北原
里英といった個性派の俳優が登場するようだ。
総監督は2017年9月3日題名紹介『全員死刑』などの小林勇
貴。脚本も『全員死刑』を手掛けた継田淳。さらに各話の演
出には西村喜廣、鳴瀬聖人、阪元裕吾といった曲者監督が名
を連ねている。
制作プロダクションは西村映造による作品だ。
『東京難民』は試写を観たが紹介は割愛したもので、その作
品でも普通の若者が裏の世界に転落して行く姿が描かれてい
た。
本作もそこは同様だが、佐々部監督のように社会性は持たせ
ず、エンターテインメントに徹しているのが見どころと言え
るのだろう。しかも西村映造の作品だ。同社の特徴である血
飛沫もふんだんに飛び散る。
原作者の福澤は元々ホラー出身の人だから、本作に関しても
ファンタシーという見方もできるかもしれない。ある種の荒
唐無稽が目的の作品だ。その辺をねちっこく描いているのも
魅力と言えそうだ。

なお本作は6月21日に初回放送として第1話〜第3話が配信
され、以後は順次各話がU-NEXTにて配信されることになって
いる。
また全10話のシリーズの内、第1話〜第8話は原作に基づく
が、第9話、第10話に関しては、別の任侠青春ドラマである
『日本統一』とのコラボレーション企画になるようだ。

諸般の事情により、この項のみ先に更新します。
                     (6月18日記)
本作に関して6月19日に記者会見が行われた。そこには出演
者の藤原季節、高橋和也、溝口奈菜、北原里英と、第9話、
第10話に登場する本宮泰風。それに総監督の小林勇貴と監督
の西村喜廣が登壇した。
そこでの本宮の発言によると第9話、第10話はかなり飛んで
もない展開だとのこと。試写された第1話〜第3話の印象で
は、西村映造の作品の割には血のりがちょっと少ないかなと
も思ったが、最後はちゃんと締めているようだ。


『アス』“Us”
2017年8月紹介『ゲット・アウト』でアカデミー賞脚本賞を
受賞したジョーダン・ピール脚本、監督による第2作。前作
に続いてホラー風味の強い作品だ。
始まりは1986年。両親と共にサンタクルーズのビーチに来て
いた少女が、ゲームに熱中する父親の目を離れてヴィジョン
・クェストというアトラクションに入ってしまう。そして鏡
の迷路で自分にそっくりの少女に出会う。
それから数10年後の現在。2人の子供の母親になった主人公
は夫も含めた4人で昔住んでいた家に戻ってくる。ところが
隣人と共に向ったビーチで一家の息子が一瞬だけ行方不明に
なり、彼女の脳裏に昔の恐怖が甦り始める。
そんな主人公の不安をよそに、夫は屈託なくボートを購入す
るなどはしゃいでいたが…。その夜、赤い繋ぎを着た夫婦と
子供と思われる4人の男女が家の前に現れ、彼らは不法に家
に侵入し、一家に襲い掛かってくる。

出演は、2013年『それでも夜は明ける』でデビュー作ながら
オスカー助演女優賞に輝いたルピタ・ニョンゴ。ニョンゴと
共に2018年2月25日題名紹介『ブラックパンサー』に出てい
たウィンストン・デューク。
さらに2016年5月紹介『ハイ・ライズ』などのエリザベス・
モス、主にテレビ界で脚本家としても活躍するティム・ハイ
デッカー。広告モデル出身でブロードウェイでも活躍のシャ
ハディ・ライト・ジョセフ、「セサミストリート」出身のエ
ヴァン・アレックスらが脇を固めている。
物語の始まりには、レイ・ブラッドベリや「トゥワイライト
ゾーン」の趣もあって、そこから2008年9月紹介『ファニー
・ゲーム』のような展開になって行く。さらに劇中では『ホ
ーム・アローン』なども言及されて、いろいろとオマージュ
も多彩な作品だ。
因に監督が好きな作品の中には、2002年2月紹介『自殺サー
クル』も含まれているそうで、そのオマージュはなるほどと
思わせるものになっていた。
しかも元がお笑い芸人のピール監督は、ここに笑いの要素も
巧みに織り込んで、ホラーとしても一級品+エンターテイン
メントとしても上質な作品に仕上げている。最近は日本の芸
人が脚本や監督を手掛けた作品も散見するが、これくらいの
メリハリは利かせて欲しいと思ったものだ。
前作はかなりストレートに人種問題を扱ったが、本作では人
種を超えた社会問題を描いており、また映画の後半にはSF
としても注目できる展開もあり、さらに原題の“US”が表す
意味など、なかなか奥深い作品だ。

公開は9月6日より、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『おいしい家族』
(2019年2月紹介『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト』
の2015年度に選出されたふくだももこ監督が、その際の選出
作で30分のオリジナルを長編化した作品。結婚生活に破局し
た女性が母親の三回忌で実家に帰ると、そこでは母の服を着
た父親が家事をしていた。しかも学校長でもある父親は、そ
の姿で校門に立ち生徒を出迎える。それが周囲にも受け入れ
られている様子に驚く主人公に、さらに父親が子持ちの男性
を夫に迎えると言い出す。出演は2018年5月紹介『世界でい
ちばん長い写真』などの松本穂香。オリジナルにも出演の板
尾創路。他に浜野謙太、笠松将、モトーラ世理奈らが脇を固
めている。板尾はオリジナルに惚れ込み長編化にも出演する
と約束していたそうで、それほどの才能が見出せる作品だ。
また監督は伊丹十三が目標だそうで、そのため音楽には本多
俊之を希望。本多もその意気に応えている。公開は9月20日
より、全国ロードショウ。)

『イソップの思うツボ』
(2018年4月22日題名紹介『カメラを止めるな!』が社会現
象と言われるまでになった上田慎一郎監督の新作。本作では
前作で助監督を務めた中泉裕矢とスチール担当の浅沼直也と
の共同脚本/監督になっている。物語は冴えない女子大生の
主人公を中心に、彼女の同級生でタレント一家の娘、それに
復讐代行屋と称する殺し屋の親子が絡まり、かなり手の込ん
だお話が展開される。それは何を書いてもネタバレになって
しまうような巧みな作品だ。出演は、2018年「第2回未完成
映画予告編大賞」グランプリ作品『猿楽町で会いましょう』
に主演の石川瑠華、2019年2月17日題名紹介『4月の君、ス
ピカ。』などの井桁弘恵、2017年11月5日付「東京国際映画
祭」で紹介『アイスと雨音』などの紅甘。他に川瀬陽太、渡
辺真起子、佐伯日菜子らが脇を固めている。話題の前作は正
直に言って中途半端で僕は評価しなかったが、本作は良くで
きていた。公開は8月16日より、全国ロードショウ。)

『タロウのバカ』
(2017年9月3日題名紹介『光』などの大森立嗣脚本、監督
による作品。社会の片隅で刹那的に生きる若者たちを描く。
主人公は学校に行ったことがない。そんな主人公を2人の友
人はタロウと呼ぶ。タロウは母親と2人暮らしで母親は別の
名で呼ぶが、出生届は出ているのかどうか。だから母親の呼
ぶ名前も無意味だ。そんなタロウと友人がある状況で実弾入
りの拳銃を手に入れる。とは言え拳銃は弄ぶだけの3人だっ
たが…。出演はモデルで映画初主演のYOSHIと、大森監督と
は2016年『セトウツミ』にも主演の菅田将暉。さらに2018年
3月紹介『50回目のファーストキス』などの太賀。他に豊田
エリー、國村隼。またラブジャンクス所属の角谷藍子、門矢
勇生らが脇を固めている。正直に言って大森監督の作品には
デビュー作から馴染める時と馴染めない時があり、これは後
者だ。でもこの作品は直視するべきものだ。公開は9月6日
より、東京はテアトル新宿他で全国ロードショウ。)

『ジョアン・ジルベルトを探して』
           “Where Are You, João Gilberto?”
(1958年にアントニオ・カルロス・ジョビンとの共作で最初
のボサノヴァ曲「想いあふれて」を発表し、「ボサノヴァの
神」とも呼ばれたギタリスト/歌手をリオの町に探すドキュ
メンタリー。音楽家は2006年に来日公演も行ったが、2008年
リオでの「ボサノヴァ誕生50周年記念コンサート」を最後に
人前に姿を現していないのだそうだ。本作ではその姿を追っ
て、音楽家が若き日を過ごした地方都市まで探索の足が延ば
される。作品は2011年原作本の出版直前に自殺したドイツ人
ジャーナリスト=マーク・フィッシャーの著作に基づいてお
り、彼の探索に沿って進められる。ただし実は本作のフラン
ス人監督ジョルジュ・ガショは、元々が音楽系のドキュメン
タリストで、原作とは異なるアプローチもあったと思われる
が…。本作では頑なに原作に沿うことで、普通では描けない
音楽家の実像に迫る作品にもなった。公開は8月24日より、
東京は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)

『フリーソロ』“Free Solo”
(2019年度のアメリカアカデミー賞で長編ドキュメンタリー
部門に輝いた作品。ロッククライミングの代名詞とも言える
ザイルやハーケンなどの器具を一切使わず自らの手足だけで
岩壁をよじ登る。フリークライミングとも呼ばれる登山術で
鬼才とされるアレックス・オノルドが、最難関の絶壁という
カリフォルニア州ヨセミテ国立公園のエル・キャピタンに挑
んだ2年間の記録。National Geographicの製作で、監督は
2015年サンダンス映画祭で観客賞受賞『MERU/メルー』など
のエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チン。山
岳映画では最強のコンビが、オノルドの挑戦の全てを描き切
る。本作を観るまでは無謀な行為だと思っていたが、本作で
準備に掛ける周到さに驚かされた。もちろん行為自体は危険
極まりないものだが…。さらに撤退する勇気など、正に魅力
の全てが描かれた作品だ。公開は9月6日より、東京は新宿
ピカデリー他でロードショウ。)

『隣の影』“Undir trénu”
(アイスランドのアカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、
男/女優賞など7部門に輝いたというサスペンス作品。物語
の舞台は、郊外の住宅地に並ぶ2軒の戸建て。その1軒の庭
に大きな木があり、その影が隣家のベランダに落ちている。
そのため日陰になる家からは伐採が求められていたが…。そ
の諍いが徐々に大きくなって行く。それぞれの家に住む初老
の夫妻と木のある家の息子の夫婦、さらにそれぞれの家の犬
と猫のペットが飛んでもない出来事を引き起こす。諍い自体
はどんな場所でもあるだろうし、それぞれの思いには理解も
できる。それがちょっとしたことから次第に膨らんで行く。
現代社会に生きていたら誰でもが陥りそうな、そんな恐怖が
巧みに描かれた作品だ。脚本と監督は、アイスランド出身で
2011年のデビュー作がハリウッドリメイクされたハーフシュ
テイン・グンナル・シーグルズソン。公開は7月27日より、
東京は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2019年06月16日(日) X-MEN:ダークフェニックス(ハッパGoGo、やっぱり契約破棄、ラスト・ムービーS、えんとこの歌、HOT SUMMER NIGHTS、無限ファンデーション)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『X-MEN:ダークフェニックス』“Dark Phoenix”
単発の作品を除けば2002年の『スパイダーマン』、2008年の
『アイアンマン/アベンジャーズ』に先駆け、2000年にスタ
ートしたマーヴェルコミックス映画化の人気シリーズ最新作
で、本作で完結の噂もある作品。
実はX-Menに関しては今まで試写状を貰っていなくて、一部
の作品は劇場やテレビなどで観てはいたが、ここでの紹介は
できなかった。それが今回は特別に試写状を送って貰えたも
ので、ここでは初めての紹介となる。
マーヴェルコミックスの映画化に関してはディズニーとの間
で包括的な契約が結ばれていて、すでにSpider-Manの一部も
The Avengersに取り込まれた状況だが、そんな中でも独自性
を保ってきたのがX-Menだった。
それは彼らが必ずしも人類の味方とは言い切れないという、
特殊な事情にあるとも言える。実際に一部は人類に敵対する
立場をとり、いつ全体が寝返るかもしれない状況もあり得。
人類もそれに対抗する術を持ち始めているのだ。
それでも人類との共存を模索するミュータントたちの姿が、
ある意味、混沌とした時代を反映している物語と言えるのか
もしれない。しかも本作の時代背景は1992年で、正に1989年
のベルリンの壁崩壊直後なのも象徴的だ。
そして本作の物語は、これも時代の象徴だったスペースシャ
トルの事故から始まる。その救助を合衆国大統領から要請さ
れたミュータントたちは宇宙に飛び出し、超能力を駆使して
乗員の救出には成功するのだが…。
その作戦の最中に女性のミュータントが謎の放射線を浴び、
それは彼女のダークサイドを覚醒させてしまう。そこにさら
に彼女のダークサイドを操ろうとする謎の女が登場し、人類
の存亡を賭けた物語が展開される。
それは大宇宙を破壊するような大袈裟なものではないが、僕
らが期待する超能力vs.超能力の戦いを、シュールなリアル
さで映像化したとも言える作品だ。

出演はジェームズ・マカヴォイ、ニコラス・ホルト、ジェニ
ファー・ローレンス、マイクル・ファスベンダーら旬な顔ぶ
れに加えて、エヴァン・ピータース、アレクサンドラ・シッ
プ、ソフィー・ターナー、コディ・スミット=マクフィーら
の若手が並ぶ。
そして本作には、2014年11月紹介『インターステラー』など
のジェシカ・チャスティンが登場する。
脚本と監督は、2010年1月紹介『シャーロック・ホームズ』
などの脚本や2013年8月紹介『エリジウム』などの製作を手
掛けたサイモン・キンバーグ。本シリーズでも脚本/製作に
関ってきたベテランが満を持しての監督デビューを飾ったも
のだ。
試写会で配られたプレス資料のTIMELINEによると、2000年に
スタートした初期のシリーズは2002年から2006年を時代背景
としていたもので、それに対して現在のシリーズは1962年か
ら1992年を描いている。つまり初期シリーズの前日譚に当る
ものだ。
従ってこの後には初期シリーズが続くはずなのだが…。シリ
ーズの中には2023年と1973年を結ぶ作品もあり、また紀元前
8000年や紀元前3600年が絡む話もあって、時間軸はいろいろ
とややこしくなっている。
しかも今回の作品ではSFファンには悩ましい展開もあり、
これはこのままでは終わらせて欲しくない気分にもなった。
取り敢えずの決着は付くが、謎の女の存在など話はまだまだ
続きそうな感覚だ。

公開は6月21日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他にて全国
ロードショウとなる。

この週は他に
『ハッパGoGo 大統領極秘指令』“Misión No Oficial”
(2013年に世界で初めて国家としてマリファナを合法化した
南米ウルグアイで、国家統制による販売を決めたものの栽培
や輸入が難航し、ついに大統領の極秘命令でアメリカからの
密輸入を画策するというお話。冒頭に「これはフィクション
です」というテロップは出るが、合法化を断行した前大統領
ペペ・ムヒカ本人が登場するなど、かなりぶっ飛んだ展開の
作品だ。原案・脚本・監督・主演はダニー・ブレックナー。
脚本と監督はアルフォン・グレロ、モルコス・ヘッチとの共
同で2人は撮影も担当している。他に監督の実母や大学教授
らが共演。フィクションと銘打たれているが、米国での大麻
フェスの様子などにはドキュメンタリーな部分もあり、興味
深い作品にはなっている。ただ映画祭などの受賞はあるが、
エピソードはぶつ切りで全体の纏まりは弱いかな。この傾向
は、最近の観客にはあまり抵抗がないようだが。公開は7月
13日より、東京は新宿K's cinemaにて公開。)

『やっぱり契約破棄していいですか!?』
        “Dead in a Week: Or Your Money Back”
(ノルマ不達成で馘になりそうな殺し屋と、執筆がうまく行
かず自殺願望に取り憑かれたものの失敗し続けている作家を
巡るブラックコメディ。物語は欄干の外に立って躊躇してい
る作家に殺し屋が声を掛けることから始まる。結局その自殺
にも失敗した作家は、「確実に殺す」とする殺し屋に金を支
払って契約を結ぶのだが…。出演は2011年12月紹介『ミッシ
ョン・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』などのトム
・ウィルキンスンと、2017年9月17日題名紹介『プラハのモ
ーツァルト』などのアナイリン・バーナード、それに2018年
9月23日題名紹介『モダンライフ・イズ・ラビッシュ』など
のフレイア・メイヴァー。脚本と監督はオックスフォード大
出身でアンソニー・ミンゲラに師事したというトム・エドモ
ンズの長編デビュー作。発想は悪くないが、意味のない殺人
は少し気になったかな。公開は8月30日より、東京はヒュー
マントラストシネマ有楽町他で全国ロードショウ。)

『ラスト・ムービースター』“The Last Movie Star”
(1972年の『脱出』や1974年の『ロンゲスト・ヤード』に主
演し、78〜82年にはマネーメイキングスターのトップを保持
したバート・レイノルズが、自身を映したとも言える老境の
映画俳優に扮した最後の主演作。全盛期に建てた豪邸で暮ら
す主人公は、長年寄り添った老犬との別れを迎え、少し落ち
込んでいたところに、「国際ナッシュビル映画祭」から回顧
上映と特別功労賞授与の招待を受ける。しかし最初は無視し
た主人公だったが、友人の勧めや過去にイーストウッドも受
賞との情報で出席を回答するが…。共演は子役出身のアリエ
ル・ウィンターと、2010年10月紹介『キック★アス』などの
クラーク・デューク。他にチェヴィー・チェイスらも登場。
また劇中には主人公と若き日のレイノルズの共演シーンもあ
る。脚本と監督は2008年8月紹介『LOOK』などのアダム
・リフキン。映画愛に溢れた作品だ。公開は9月6日より、
東京は新宿シネマカリテ他で全国ロードショウ。)

『えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤滋』
(2013年12月に試写は観たものの紹介を割愛した『シバ/縄
文犬のゆめ』などのドキュメンタリスト伊勢真一監督が、大
学時代の学友である遠藤滋氏の日々の姿を追った作品。先天
的な障害を持ち、それでも大学を出て障害児教育の現場に立
つまでになった遠藤氏だが、その後も障害が進み、現在はほ
ぼ全身が麻痺して介助なしでは生きて行けない状態。それで
も本人の人徳なのか、彼の周囲には様々な人が集まり、生活
が続いている。同じ遠藤氏を追った作品を1999年にも発表し
ている伊勢監督が、別の障碍者を追った作品の完成時に氏の
許を再訪したのがきっかけで続編となる本作が作られた。し
かしそこには2016年7月に神奈川県の津久井で起きた事件も
影を落とし、人の命について深く見つめ直す作品にもなって
いる。ドラマとは違うことを改めて感じる作品だった。公開
は7月6日〜26日に東京は新宿K's cinemaにて毎日10時から
の1回上映。会期中トークイヴェントも行われる。)

『HOT SUMMER NIGHTS』“Hot Summer Nights”
(湾岸戦争が始まり、フレディ・マーキュリーが亡くなった
1991年夏のアメリカ東海岸ケープ・コッドを舞台に、父親の
死を受け入れられないまま叔母の家に預けられた少年が、都
会からの避暑客と地元民との狭間で、ひと夏の思い出と云う
にはあまりに過酷な思い掛けない体験をしてしまう。大麻の
蔓延が始まり、drive-in theaterが隆盛だったころの物語。
出演は2019年2月3日題名紹介『ビューティフル・ボーイ』
などのティモシー・シャラメと、2016年3月紹介『フィフス
・ウェイブ』でも共演のマイカ・モンロー、アレックス・ロ
ウ。他に2014年11月紹介『ミュータント・タートルズ』など
のウィリアム・フィクトナー、2013年12月紹介『スティーラ
ーズ』などのトーマス・ジェーンらが脇を固めている。監督
は自らの脚本でデビューを飾るイライジャ・バイナム。脚本
は大学時代の友人に想を得たそうだ。公開は8月16日より、
東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)

『無限ファンデーション』
(前回題名紹介『暁闇』と同じく「MOOSIC LAB 2018」で、
ベストミュージシャン賞(西山小雨)と女優賞(南沙良)を受賞
した作品。西山の楽曲「未來へ」をモティーフに、未來の定
まらない女子高生の不安と周囲との交流が描かれる。主人公
は母子家庭に暮らす少女。勉強は得意ではないが、ファッシ
ョンイラストを描くことと、そのイラストを衣装に仕上げる
ことは得意だ。そんな少女が演劇部に誘われて、大会に出る
劇の衣装を担当することになるが…。そこでいろいろなトラ
ブルにも巻き込まれる。そんな少女は通学路にあるリサイク
ルの資材置き場でウクレレで弾き語りをする女性と出会う。
監督は、2006年7月紹介『キャッチボール屋』や2015年『お
盆の弟』などの大崎章。物語の感性も瑞々しくて良いが、弾
き語りで楽曲を披露する西山の存在感が抜群に良くて、それ
だけでも見惚れてしまう作品だった。公開は8月24日より、
東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2019年06月09日(日) 風をつかまえた少年、ジョナサン(暁闇、トールキン旅のはじまり、JKエレジー、グッド・ヴァイブレーションズ)、「フランス映画祭2019」

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『風をつかまえた少年』
          “The Boy Who Harnessed the Wind”
2013年の『それでも夜は明ける』でオスカー候補にもなった
2018年4月紹介『死の谷間』などの俳優キウェテル・イジョ
フォーが、長編映画の初監督、脚本に挑戦し、出演も務めた
アフリカが舞台の実話に基づく作品。
1987年にアフリカ南東部の共和国マラウイの中部州ドーワ県
で生まれたウィリアム・カムクワンバは、高校に進学するも
2002年にマラウイ全土で数千人規模の餓死者を出した大旱魃
に遭遇。営農者だった両親の困窮で学業を断念する。
しかし村の図書館で独学を続けた少年は、図書館で目にした
“Using Energy”という本から風力発電と、その電気を利用
した揚水ポンプのシステムを思いつくが…。15歳少年のアイ
デアは大人の常識からは考えの及ばないものだった。

出演は現地で行われたオーディションで選ばれたケニア出身
のマックスウェル・シンバ。監督のイジョフォー。それにセ
ネガル出身で2006年3月紹介『隠された記憶』や同年12月紹
介『パリ、ジュテーム』などに出ていたアイサ・マイガ。
またマラウイ出身ミュージシャンのリリー・バンダ。2016年
9月18日題名紹介『アイ・イン・ザ・スカイ』などのレモハ
ン・ツィパ。さらに2002年『堕天使のパスポート』などのノ
ーマ・ドゥメズウェニ。オーディションで選ばれたマラウイ
出身のフィベール・ファラケサらが脇を固めている。
脚本は、カムクワンバがジャーナリストのブライアン・ミー
ラーとの共同で2009年に著した書籍に基づき、それに触発さ
れたイジョフォーが自ら脚本を執筆。
その脚本を2017年11月26日題名紹介『アウトサイダーズ』な
どのアンドレア・カルダーウッドと、2006年3月紹介『ナイ
ロビの蜂』などのゲイル・イーガンの両プロデューサーに見
せて映画化に漕ぎ着けた。
さらに本作には、前回紹介『ピータールー』などの撮影監督
ディック・ホープ。2008年8月紹介『ブラインドネス』など
の美術監督トゥレ・ペヤク。2016年09月25日題名紹介『マダ
ム・フローレンス!』などの編集ヴァレリオ・ポネッリ。
また2002年11月4日付「東京国際映画祭」で紹介『シティ・
オブ・ゴッド』などの音楽を担当したアントニオ・ピントら
が結集している。なお出演者のリリー・バンダも2曲提供し
ている。
僕自身が技術屋出身の目からすると、これだけの風力があっ
たら、発電→電動ポンプの手順を採らなくても、直接風力で
揚水するシステムもあるのではないかと考えるが。実話は、
まず発電でラジオを鳴らし電灯を点けたことが評価されたの
だそうで、その順番ならこの流れも理解できるものだ。
まあいきなり揚水システムというのは、主人公の父親でなく
てもできるとは思えないだろう。でも実際にこれで揚水まで
実現したのだから、その実行力には驚かされる。
そして映画では、世界最貧国とされるマラウイの現状も詳細
に描き出しており、その悲惨さにも胸を打たれる。この状況
の世界に向けたアピールこそが、イジョフォーがこの映画に
込めた最大のテーマのようにも感じた。
単に成功して良かったね…では済まされない、アフリカの現
実が描かれた作品だ。

公開は8月2日より、東京はヒューマントラストシネマ有楽
町、新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウとなる。

『ジョナサン ふたつの顔の男』“Jonathan”
2018年5月20日題名紹介『クリミナル・タウン』などのアン
セル・エルゴートの主演で、ある特殊な状況を生きる男性を
描いた作品。
主人公のジョナサンは設計事務所で才能を発揮する建築士。
しかし彼には定時に出社して定時に退社しなければならない
事情がある。その事情は雇い主も了承のはずだったが、新た
なプロジェクトに彼の才能が不可欠となる。しかし彼の事情
は変えられなかった。
その事情とは彼が2つの人格の持ち主であること。そのもう
一つの人格であるジョンはかなり自由人のようだが、彼らは
ヴィデオメッセージを通じてやり取りをし、互いにその日の
出来事を伝え合うことで日々の暮らしに支障が生じないよう
にしていた。
そして2つの人格は耳の裏に取り付けられた装置によって所
定の時間ごとに切り替えられ、昼を生きるジョナサンと夜を
生きるジョンとして、それぞれの人格が独立して生きて行け
るようになっていた…。ジョナサンがジョンの行動に疑いを
持つまでは。

共演は、2016年7月31日題名紹介『高慢と偏見とゾンビ』な
どのスーキー・ウォーターハウスと、2019年1月紹介『マイ
・ブックショップ』などのパトリシア・クラークソン。他に
2016年11月13日題名紹介『マグニフィセント・セブン』など
のマット・ボマーらが脇を固めている。
脚本と監督は、プリンストン大学を卒業後にホイットニー美
術館の研究プログラムに選ばれ、そこで制作した初の映像作
品が多くの映画祭での上映を勝ち取り、さらにアメリカン・
フィルム・インスティチュート(AFI)で学んだというビル
・オリヴァの長編デビュー作。
なお脚本は、グレゴリー・デイヴィス、ピーター・ニコウィ
ッツとの共同となっている。
多重人格の話は、2014年8月紹介『Frankie & Alice』など
いろいろな作品があるが、本作ではある種の科学的な対応も
採られていて、SFの範疇でも見ることができる。実際に本
作は、2018年のTrieste Science+Fiction FestivalにてBest
First Feature Filmの作品賞を受賞しているものだ。
そしてこの作品は多重人格のテーマに新たな側面を与えるも
のとも言える。さらに映画の内容では、互いの人格の心理面
での葛藤も巧みに描かれており、僕はその方にも見応えを感
じていた。そこには太陽に憧れるジョンと星空を見られない
ジョナサンなど、心に響く表現もあった。
ところがその一方で本作の宣伝チラシでは、「(人格が)午前
7時と午後7時に切り替わる」との記載があり、映画の中で
もそういう台詞があったのだが。それでは睡眠時間が考慮さ
れていないという疑問が生じた。
その睡眠時間は、映画の中では午前3時から午前7時までの
4時間とされており、そうであるならジョンからジョナサン
への切り替えのタイミングはその中間点の午前5時、その逆
は午後5時であるはずなのだ。
そうでないとジョンの活動時間だけが4時間短くなってしま
い、不公平になる。これは単純に24時間制の17時と午後7時
の読み違えとも取れるが、口煩いSF映画ファンとしては気
になってしまうものだった。

公開は6月21日より、東京は新宿シネマカリテ他で全国順次
ロードショウとなる。

この週は他に
『暁闇』
(音楽と映像の融合が主題の「MOOSIC LAB 2018」長編部門
にて準グランプリに輝いた阿部はりか監督のデビュー作。自
分自身の居場所を持てない中学生の男女が、ネット配信でカ
ルト的な人気を誇るLOWPOPLTD.の音楽を切っ掛けとして廃ビ
ルの屋上に集うようになるが…。閉塞感の横溢する物語が展
開される。出演は2018年7月紹介『教誨師』などの青木柚、
2018年4月22日題名紹介『明日にかける橋』などの越後はる
香、モデルで舞台でも活躍する中尾有伽。他に2018年11月紹
介『デッドエンドの思い出』などの若杉凩、2012年11月紹介
『ユダ』などの水橋研二らが脇を固めている。映画に登場す
る屋上が見事で、たまたま試写会場がロケ地の近くだったの
で帰りに確認しようかと思ったが、実はそこにはないとのこ
と。その情報に映画の主人公と同じ感覚に襲われた。そんな
異空間に紛れたような感覚の作品だ。公開は7月20日より、
東京は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)

『トールキン旅のはじまり』“Tolkien”
(『指輪物語』の原作者が、その物語を書き始めるまでを描
く作品。第一次世界大戦に出征した作家が欧州戦線の塹壕で
過ごした日々と、アフリカから母子家庭で帰国し、名門校に
入学したものの周囲と馴染めなかった若き日の作家が仲間と
出会うまでの経緯などが語られる。監督は2019年5月19日題
名紹介『トム・オブ・フィンランド』のドメ・カルコスキ。
出演は2018年11月25日題名紹介『ライ麦畑の反逆児』などの
ニコラス・ホルトと2014年3月紹介『シャドウハンター』な
どのリリー・コリンズ。他に2016年6月12日題名紹介『ペレ
伝説の誕生』などのコルム・ミーニー、2017年8月6日題名
紹介『ダンケルク』などのトム・グリン=カーニー、2011年
1月紹介『英国王のスピーチ』などのデレク・ジャコビらが
脇を固めている。塹壕の中で作家に付き添う兵士がサムとい
う名前なのはニヤリとしたが…。公開は8月30日より、東京
はTOHOシネマズ日比谷他で全国ロードショウ。)

『JKエレジー』
(群馬県桐生市を舞台に、学業は優秀だが家族の事情で未来
を閉ざされた女子高生の焦燥の日々が描かれる。母親とは死
別で父親はギャンブル狂、生活保護を受けている一家はニー
トの兄の同居も隠している。そんな中で大学進学を諦めてい
た主人公は、同級生の支えで奨学金を得られそうになるが、
ある事情からその道も閉ざされる。出演は2018年2月25日題
名紹介『聖なるもの』に出ていた希代彩。他に舞台『刀剣乱
舞』などの猪野広樹、2017年12月紹介『野球部員、演劇の舞
台に立つ!』などの芋生悠。同じく2017年12月紹介『ホペイ
ロの憂鬱』などの小室ゆら。2018年9月2日題名紹介『栞』
などの前原滉。さらに山本剛史、森本のぶ、阿部亮平、川瀬
陽太らが脇を固めている。脚本と監督は大阪芸術大学出身の
松上元太。少し前ならここまでは…と思えたが、今は現実に
もありそうかな。そんな気分になる作品だ。公開は8月9日
より、東京はテアトル新宿他で全国順次ロードショウ。)

『グッド・ヴァイブレーションズ』“Good Vibrations”
(1977年に北アイルランドのベルファストでレコード店を開
業し、そこを基盤に多くのアイルランド・パンクのバンドを
デビューさせたテリー・フーリーの実話に基づく作品。当時
のベルファストは、アイルランド共和軍(IRA)による武力
闘争の最中であり、映画にも爆弾テロの様子などがアーカイ
ブ映像で挿入される。しかし主人公らは音楽を愛し、同時に
金を稼ぐことを目標にレコード出版やツアーを続けて行く。
とは言え彼らのパンクは容易には評価されなかったが…。そ
れでも対立する社会の間を縫って彼らの活動は続く。出演は
2006年9月紹介『ヘンダーソン夫人の贈り物』に出ていたリ
チャード・ドーマー。2011年12月紹介『善き人』などのジョ
ディ・ウィッテカー。同日紹介『戦火の馬』などのリーアム
・カニンガム。主人公は正直に言って馬鹿野郎(肯定)だが、
その生き様は見事だ。公開は8月3日より、東京は新宿シネ
マカリテ他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。

 今週は、6月20日から23日まで横浜みなとみらいホール、
イオンシネマみなとみらい他で開催される「フランス映画祭
2019」での上映作品のマスコミ試写も行われた。その中から
日本公開未定の作品を中心に鑑賞したので以下に紹介する。
        *         *
『愛しのベイビー』“Mon Bébé”
夫の浮気で離婚した女性が、女手一つで3人の子供を育て上
げる。その末の娘の巣立ちを切っ掛けに様々な思いが描かれ
た作品。
長女と長男はすでに独立しており、残っていた末娘が高校卒
業を機にカナダの大学への留学を希望する。そんな娘と母親
の残された日々が、娘の成長の記録と共に描かれる。
しかもそれをいくつもの時制を交錯させて巧みに描き切る。
それは実に巧みな構成の作品であり、2人の愛情が見事に描
き尽くされていた。
自分が男親の立場としては、悔しいけれどこれには敵わない
な…と思わされた。そんな感じの作品だった。
脚本と監督は、女優マリー・ラフォレの娘で2018年3月4日
題名紹介『ダリダ あまい囁き』などのリサ・アズエロス。
母親役を2013年8月紹介『シャンボンの背中』などのサンド
リーヌ・キベルラン、末娘役を監督の実子のタイス・アレサ
ンドランが演じている。

『カブールのツバメ』“Les Hirondelles de Kaboul”
イスラム原理主義のタリバンが支配するアフガニスタンの首
都を舞台に、暴力や惨劇に怯えながら暮らす若い男女の姿が
描かれる。
そんな状況の下でも、将来の夢と希望を糧に生きてきた2人
だったが、ある残虐な出来事を切っ掛けにその前途に暗雲が
広がり始める。
世界50カ国語に翻訳されたヤスミナ・カドラの原作を基に、
女優・映画監督のサブー・ブライトマンと、アニメーション
作家エレア・ゴベ・メヴェックの共同監督で描かれた作品。
実写では到底描けない物語が、アニメーションによって表現
されるが、それでも震撼とさせられる作品だ。
声優には2006年11月紹介『007/カジノ・ロワイヤル』な
どのシモン・アブカリアン、2016年セザール賞有望若手女優
賞受賞のジタ・アンロ、2011年6月紹介『匿名レンアイ相談
所』などのスワン・アルローらが起用されている。

『嵐』“HURLEVENT”
強風の中、道端に置かれた本のページが捲られ、印刷された
文字や記号が動き出す。フレデリック・ドアザン監督による
上映時間6分の作品。
パラパラ漫画を思わせるアニメーションだが、僕は本作を見
て夢枕獏のデビュー作『カエルの死』を思い出した。当時は
タイポグラフィで創られた作品が、今ならこんな風に描かれ
るのだろう。
本作の中では、アルファベットや記号が突然0と1だけにな
るなど、それは印刷文化とディジタルの戦いのような雰囲気
もあったが。全体としてはその変遷の意味が明確ではなく、
観る人が見れば判るのかもしれないが、僕には何かもどかし
い感じもした。
まああまり深い意味は考えず、アニメーションだけを楽しめ
ば良いのかもしれないが。
なお本作は短編のため、映画祭では『愛しのベイビー』『カ
ブールのツバメ』『マイ・レボリューション』と併映で上映
される。

『社会の片隅で』“Les Invisibles”
パリの道端で暮らす女性ホームレスたちを描いたセミドキュ
メンタリー・タッチの作品。
街角で女性ホームレス専用のシェルターを運営していた主人
公は、行政の指示で社会復帰の実績が上がらない施設の閉鎖
の危機に襲われる。その事態に何とか彼女たちの社会復帰の
道を広げようと奮闘するのだったが…。
遠隔地に作られて誰も行きたがらない公営シェルターの問題
など、恐らく現実が直面している問題も描かれているのだろ
う。それを別にしても半ボランティアのように活動する主人
公らの努力が報われない様子が怒りにも似て描かれる。
海外からの流入者など、日本の状況とは異なる面もあるのか
もしてないが、オリンピックなどを控えて我々の近い将来が
描かれている作品かもしれない。
ただし映画は、そんな状況でも奮闘する主人公らの前向きな
姿を描いたものだが。
脚本と監督は本作が長編4作目というルイ=ジュリアン・プ
ティ。出演は2014年『美女と野獣』などのオドレイ・ラミー
と、2017年4月2日題名紹介『アムール、愛の法廷』などの
コリンヌ・マシエロ。

『男と女�� 人生最良の日々(仮)』
         “Les Plus belles années d'une vie”
1966年にフランシス・レイの音楽と物憂げなスキャットの主
題歌で一世風靡したクロード・ルルーシュ監督の出世作が、
53年の歳月を経て大団円を迎えた。
この物語では1986年に『�供戮盧遒蕕譴燭茲Δ世�、本作では
そこからさらに33年後が描かれる。そこでは結局2人は結婚
しておらず、老いたスピードレーサーは介護施設で痴呆症と
戦っている。その姿に息子は、父親が今も名前を口にする女
性の許を訪れるが…。
出演は1930年生まれのジャン=ルイ・トランティニアンと、
1932年生まれのアヌーク・エーメ。そして66年作品で2人の
それぞれの息子と娘を演じたアントニー・サイアとスアド・
アミドゥが同じ役柄で再登場。
他にモニカ・ベルッチ、1991年『美しき諍い女』などのマリ
アンヌ・ドニクールらが脇を固めている。
90分の映画には66年作のシーンもふんだんに登場し、さらに
ルルーシュ監督が1976年に発表した9分間の作品“C'était
un rendez-vous”がほぼ全編登場して、1937年生まれの監督
の正に集大成といった感じに仕上げられている。
なお本作は日本配給が決定して2020年に公開されそうだ。

『シノニムズ』“SYNONYMES”
2018年のベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いた作品。
題名は「同義語」「類義語」という意味のようだが、映画の
見た目では「同じ穴の狢」といった感じかな。パリにやって
きたイスラエル出身の男性が、アイデンティティを得て行く
姿が描かれる。
脚本と監督は実際にイスラエル出身のナダヴ・ラピドによる
ものだが、何というか主人公の尊大とも言える感じの態度が
観ていて気になる作品だった。多分これは監督自身が行って
いることでもあるのだろうが、状況が不明の日本人の目から
すると、イヤミな感じにも映るものだ。
イスラエル=ユダヤ人というとシオニズム(Zionism)という
言葉も頭に浮かんで来るが、本作の題名と語感が似ているの
も気になった。本作はフランス=イスラエルの合作なので、
どちらかを揶揄した作品ではないのだろうが、勉強不足の自
分には理解の難しい作品だった。
まあフランス人もドイツ人もユダヤ人に対しては後ろめたい
ものがあるから、このような作品で自らを見つめ直している
のかもしれないが。

『マイ・レボリューション』
      “Tout ce qu'il me reste de la révolution”
2014年『ウィークエンドはパリで』などの女優ジュディス・
デイヴィスが、自らの脚本、主演で初監督に挑んだ作品。
主人公は共産主義の両親の許で育った30代の都市計画プラン
ナー。しかし勤務先の設計事務所を人員整理で馘になり、老
害とも言える経営者への不満を爆発させる。そして年老いた
父親や、中産階級に嫁いだ姉へも不満をぶつけるが…。
家族を置いたまま出て行ったとされる母親から、姉を通じて
会いたいというメッセージが届き、全てに行き詰った主人公
は母親との再会に活路を期待する。
主人公の感じている不満は、多分現代人の誰しもが感じてい
るもので、その点では共感もする作品だが。その不満をただ
やみくもに述べ立てられると、さすがに辟易する。特に本作
では、長台詞の多用がその気分を倍加させる。
それが狙いというなら成功とも言えるが、観客の気分を害し
続けることは得策には思えない。私憤を公憤にすり替えるの
演説で共感を得るテクニックだが、本作はその逆でこれを個
性としてよいのだろうか?

 なお「フランス映画祭2019」では、上記の他に2018年東京
国際映画祭でグランプリ受賞『アマンダと僕』、2019年4月
題名紹介『ゴールデン・リバー』、2019年5月紹介『ディリ
リとパリの時間旅行』など、全16作品の上映が予定されてい
る。



2019年06月02日(日) ピータールー、マーウェン(サマー・オブ・84、ホットギミック、永遠に僕のもの、ポラロイド、ドッグマン、東京喰種 ト-キョ-グ-ル【S】)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『ピータールー マンチェスターの悲劇』“Peterloo”
2011年9月紹介『家族の庭』などのマイク・リー監督が、自
らの脚本で英国史に残る惨劇を描いた上映時間2時間35分の
歴史劇。
時代は1819年。4年前のワーテルローの戦いでフランス軍に
は勝利したイギリスだったが、多大な戦費の浪費などで国内
経済は疲弊。さらに穀物法による小麦の輸入禁止が庶民には
パンも買えない事態となっていた。
しかし病弱の国王に代わる摂政王太子ジョージ4世による乱
脈な支配の許、富裕層だけが参政権を持つ議会では庶民の暮
しなどを顧みることもなく、軍人に多大な功労金を与える法
案などが満場一致で通過してしまう。
一方、産業革命により工業化の進んだイングランド北西部の
町マンチェスターでは、工場で働く労働者に掛る負担は大き
く。また穀物法や自分らに参政権が与えられていないことへ
の不満が膨らんでいた。
そんな中で、ロンドンでは参政権の平等化を求める集会に、
10万人が集まる状況も生じていた。そしてその集会に登壇し
たヘンリー・ハントの演説に心酔したマンチェスター市民の
代表は、彼を招いての集会の開催を計画するが…。
武器を持たない子供や女性も参加して平和裏に行われるはず
だった集会が、様々な要因から最悪の事態に至ってしまう。
その顛末が綿密な調査を基に克明に再現される。正しく近代
イギリスの汚点を描いたと言える作品だ。

出演は、007シリーズでのターナー役や2014年『イミテー
ション・ゲーム』などのロリー・キニア。2014年『博士と彼
女のセオリー』などのマキシン・ピーク。
他に、テレビや舞台で活躍の若手俳優デイヴィッド・ムーア
ストや、2012年7月紹介『ウェイバック』などのピアース・
クイグリーら、所謂人気スターではないが、実力派の顔ぶれ
が史実を再現している。
実はマンチェスター出身のリー監督自身が、この事件のこと
は知らなかったのだそうで、それくらいに英国史の中では隠
蔽された出来事だったようだ。しかも監督は今まで現代劇を
多く手掛けており、この事件を知った時も自分が映画化する
とは思わなかったそうだ。
しかし監督は2014年『ターナー、光に愛を求めて』を撮った
後で、今ならこの題材をできると確信し、2019年に200周年
を迎えるこの事件の映画化に踏み切ったとされる。
とは言え、長年隠蔽されてきた出来事に光を当てることはか
なり難しかったようで、監督はジャクリーヌ・ライディング
という歴史家の協力を得て、客観的な事実や当事者の手紙な
どの調査を経て脚本を作り上げている。
それにしても肝心な時にいない軍の司令官や、酔っぱらった
まま出動する騎馬兵など、こんな悲しい事実があっていいの
かと思える作品だった。しかしこれが歴史の真実なのだ。

公開は8月9日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他で全国
順次ロードショウとなる。

『マーウェン』“Welcome to Marwen”
2015年に出版されてAmazon.comにてその年のベストブックの
1冊に選ばれた写真集と、2010年に発表のドキュメンタリー
映画 “Marwencol”からインスパイアされたロバート・ゼメ
キス脚本(キャロライン・トムプスンとの共同)、監督による
ファンタシーの要素もあるドラマ作品。
映画の開幕は、第2次世界大戦時のベルギー上空。主人公の
乗る連合軍の戦闘機が被弾し、何とか湿地に不時着したもの
の、彼が履いていた靴は使えなくなる。しかし道端のナチス
の車両からハイヒールを発見、それを履いてみる。
ところが主人公はナチスの兵士に囲まれて絶対絶命。しかし
そこに現れた女性たちが彼を救出。主人公は彼女らの暮らす
村に辿り着く。こうして彼の指揮の下、ナチス相手の彼女ら
の戦いが繰り広げられる…というのが写真集の物語。
そして映画では、その写真集の創造者であるマーク・ホーガ
ンキャンプの実生活が並行して語られる。それは元イラスト
レーターの男性が暴漢に襲われて記憶喪失となり、そこから
再生して行く姿を描いたものだ。
その治療の一環として、彼自身の姿を投影した人形の世界が
創られた。そこには近所の住人やネオナチだったとされる、
彼を襲った暴漢たちの姿も含まれ、さらに数1000年を生きた
とされる魔女も登場する。

共同脚本のキャロライン・トムプスンは、1991年の『シザー
ハンズ』からティム・バートンの諸作などで知られるが、彼
女の描くファンタスティックな世界が見事に再現された作品
でもある。
出演は、2019年2月17日題名紹介『バイス』などのスティー
ヴ・カレル。他に2009年12月紹介『フィリップ、きみを愛し
てる!』などのレスリー・マン。2015年2月紹介『バードマ
ン』などのメリット・ウェヴァー。
さらに2017年9月紹介『ドリーム』などのジャネール・モネ
イ。2017年6月25日題名紹介『ベイビー・ドライバー』など
のエイザ・ゴンザレス。人気ドラマ『ゲーム・オブ・スロー
ンズ』などのグェンドリン・クリスティー。
監督夫人で、2009年11月紹介『 Disney's クリスマス・キャ
ロル』などに「出演」のレスリー・ゼメキス。そして2009年
12月紹介『すべて彼女のために』などのダイアン・クルガー
らが脇を固めている。
出演者のほぼ全員が実写と、マーウェンの住人である人形の
2役を演じるものだが、バービー人形の体形に俳優の顔を再
現した造形はCGIと共に実際の人形も作られたと思われ、
これは出演者には嬉しかっただろう。
それと魔女の名前がデジャ・ソリスというのにはニヤリとし
たが、これは実際の写真集にも登場するキャラクターで、特
に監督の思いとかではないようだ。英語の表記でもhが省か
れている。
その一方で、その魔女が出現させるタイムマシン…、これも
写真集に登場するのかな? いずれにしてもSF映画ファン
の心はくすぐられる作品だ。
ただし、映画ではヘイトクライムなどの問題を厳しく取り上
げており、実際の事件は2000年に起きたことのようだが、そ
の根深さは見事に描かれているものだ。

公開は7月19日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他で全国
ロードショウとなる。

この週は他に
『サマー・オブ・84』“Summer of 84”
(今も続くSF/VFX映画のブームが始まった頃を時代背
景とする若年向けのサスペンス作品。「連続殺人魔にも隣人
はいる」というモノローグを基調に、隣家に住む警官を殺人
魔と疑った少年たちの冒険が描かれる。映画史的には田舎や
都会でない、郊外型のサスペンスホラーが勃興した時期でも
あるようだが、雰囲気は『スタンド・バイ・ミー』を思い出
すかな。ただ結末には何とも言えないしこりの残る作品だ。
監督はROADKILL SUPERSTARS(RKSS) と名告る3人組で、短編
作品が話題になっての長編第2作。出演はテレビ版『FARGO/
ファーゴ』などのグラハム・バーチャーとコリー・グルータ
ー=アンドリュー。新『スパイダーマン』のオーディション
でファイナリストというジュダ・ルイス。いずれも10代の新
鋭だ。それに2018年8月26日題名紹介『ライ麦畑で出会った
ら』などのカレブ・エメリー。公開は8月3日より、東京は
新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)

『ホットギミック ガール ミーツ ボーイ』
(相原実貴原作で、2000年から05年まで連載されて単行本の
累計販売部数は450万部を突破、海外でも翻訳出版されてい
るという少女コミックスの映画化。少しおくての女子高生を
主人公に、彼女を取り巻く義兄や人気モデルの幼馴染み、同
級生などによる恋愛模様が描かれる。出演は乃木坂46の堀未
央奈、清水尋也、板垣瑞生、間宮祥太朗。他に桜田ひより、
上村海成、吉川愛、志磨遼平、黒沢あすか、高橋和也、反町
隆史、吉岡里帆らが脇を固めている。脚本と監督は2016年に
『溺れるナイフ』が話題になった山戸結希。物語は典型的と
言える少女コミックスの展開だが、今時の若者の生態を描い
ているという点ではいろいろ学ぶところもあったかな。ただ
00年代に描かれた原作を2019年に映画化した点では、主人公
のおくて振りなどに多少の違和感みたいなものも生じたが、
その辺の監督の解釈はどうだったのだろう。公開は6月28日
より、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)

『永遠に僕のもの』“El Ángel”(題名追記)
(ペドロ・アルモドバルが製作し、2018年カンヌ国際映画祭
ある視点部門に出品されたアルゼンチンの俊英ルイス・オル
テガ監督の作品。1971年にブエノスアイレスで殺人と強盗の
罪により逮捕された17歳の少年は、天使のような美貌の持ち
主だった。本作もまだ邦題の決まっていない時点での内覧試
写だったが、実話に基づく本作は、前回の“Hostiles”とは
違った意味での衝撃作だった。少年は裕福とは言えないまで
もそれなりの家庭環境だったが、欲しいものは何でも手に入
れたがる性分で、そのために嘘も平気でつく。そんな少年が
こちらも端正な顔立ちの同級生に目を付け、巧みに接近した
少年は同級生の父親の手引きで犯罪に手を染めるが…、瞬く
内にそれがエスカレートして行く。出演は本作がデビュー作
のロレンソ・フェロ。公開は8月16日より、東京は渋谷シネ
クイント、新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)

『ポラロイド』“Polaroid”
(2015年にスペインのファンタスティック映画祭で上映され
た短編作品がハリウッド映画人の目に留まり、長編化された
脚本の本作でハリウッドデビューを飾ったノルウェーの俊英
ラース・クレヴバーグ監督の出世作。アンティークショップ
でアルバイトをしていた女子高生が1970年代の名機とされる
ポラロイドSX−70を手に入れ、試し撮りをしてみるが…。
それは被写体に死を招く恐怖のカメラだった。現像所を通さ
ないで映像が見られるポラロイドだが、同時にスマホ撮影の
ように簡単には消去できないというのがポイントかな。その
辺には監督の思い入れも感じられる作品だ。呪いの原因が明
示されるのも良い。出演はテレビや配信系のドラマで人気の
キャサリン・プレスコット、タイラー・ヤング、サマンサ・
ローガン。他にミッチ・ピレッジ、グレイス・ザブリスキー
らが脇を固めている。公開は7月19日より、東京は渋谷シネ
クイント他で全国順次ロードショウ。)

『ドッグマン』“Dogman”
(2011年8月紹介『ゴモラ』と2012年東京国際映画祭で上映
“Reality”にて2度のカンヌ国際映画祭審査員特別グラン
プリに輝いたマッテオ・ガローネ監督が、2018年のカンヌで
無名俳優のマルチェロ・フォンテに主演男優賞と、出演犬に
パルムドッグ賞をもたらした作品。寂れた海辺の町でトリミ
ングサロンを営む男性が、関係を断てない粗暴な男のために
人生を転落して行く。『ゴモラ』もそうだったが、主人公の
行動には共感すら出来ないものの、現実はこうなのだろうと
いう思いはしてしまう。そんなリアリティの作品だ。共演は
2015年11月1日付「東京国際映画祭」で紹介『神様の思し召
し』のエドアルド・ペッシェ。なおガローネ監督の次回作は
フォンテと再タッグを組む“Pinocchio”だそうで、2003年
2月紹介のロベルト・ベニーニ版とは異なる解釈が期待でき
そうだ。公開は8月23日より、東京はヒューマントラストシ
ネマ渋谷他で全国順次ロードショウ。)

『東京喰種 トーキョーグール【S】』
(石田スイ原作で2017年7月紹介作品の続き。人類を食料と
する存在=喰種との戦いが続く中、半喰種となった主人公は
人類への危害を減らそうとする喰種のグループと出会い、新
たな展開が生じる。しかしグルメを標榜する喰種たちはさら
なる人類の味を求めていた。主演は前作に引き続き窪田正孝
が務め、ヒロイン役には新たに2015年4月紹介『Zアイラン
ド』などの山本舞香が起用されている。また鈴木伸之、小笠
原海、白石隼也、坂東巳之助、桜田ひよりらが前作と同じ役
を演じる他、知英、松田翔太らが新たに登場する。前作は上
映時間も2時間近く、人類との戦いもそれなりのスケールで
描かれたが、本作は喰種側の内部抗争が中心で97分の作品。
この形式でシリーズ化も目指せる展開になっている。脚本は
2015年のアニメ版を手掛けた御笠ノ忠次。監督はCMなどを
手掛ける川崎拓也と平牧和彦が共同で担当している。公開は
7月19日より、全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二