| 2018年12月30日(日) |
あした世界が終わるとしても、緊急検証!THE MOVIE、コンジアム、サスペリア(美人が婚活してみたら) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『あした世界が終わるとしても』 2018年9月紹介『INGRESS THE ANIMATION』でも取り上げた セルルックの3DCGI「スマートCGアニメーション」に よるオリジナル劇場用作品の第1弾。 主人公は突然死で母親を亡くした男子高校生。時代背景は現 代だが、何故か突然死が急増する状況になっている。そんな 中で主人公は、父親が務める軍事産業の社長の娘で幼馴染の 同級生に恋心を抱いていたが…。 そこにもう一つの日本からやって来たと称するもう一人の自 分が現れ、彼はある使命を帯びてこの世界にやって来たと告 げる。そして彼の世界では独裁政府が圧制を敷いており、そ れを覆す手段がこの世界にあると。 しかしそれはある究極の手段だった。 声優は、アニメ版『GODZILLA』シリーズや、2018年5月20日 題名紹介『アーリーマン』の日本語版吹替えなどの梶裕貴、 2016年1月紹介『頭文字D−夢現−』などの内田真礼。他に 中島ヨシキ、千本木彩花、悠木碧、水瀬いのり、森川智之、 津田健次郎、水樹奈々らが脇を固めている。 脚本と監督は『INGRESS』と同じく櫻木優平。 前作は途中までなので物語の評価はできなかったが、本作で は設定や結末などもドラマティックで、中々考えて作られて いる感じがした。特に結末は微妙な展開を破綻もなく、納得 できるものにしている。 しかもそれが物語全体の結末を象徴的に描いている点も巧み と言いたくなるものだった。一般にパラレルワールドもので は、2つの世界の関連性で物語が破綻し易いが、本作ではそ の点もしっかりと構築されていた。 ただまあこれが日本アニメの宿命なのかもしれないが。特に 後半が戦闘シーン過多なのは、それが巧みに演出されている ことは認めるにしても、やはりもっと人間的なドラマを見せ て欲しいとは思ってしまうところだ。 また2つの世界がこの様に密接な関係になってしまったこと にも何か理由付は欲しいところで、そこには監督なりの考え もあったと思われるが、その辺にも何か人間的なドラマがあ るように感じられた。 それを描いてもアニメとしての評価には繋がらないのかも知 れないが、その辺の周到さが全体の評価をさらに高めるよう にも感じる。それをバランスよく描けたら、ある種の名作に もなり得る物語だ。 公開は2019年1月25日より、東京は新宿ピカデリー他で全国 ロードショウとなる。
『緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ゲラー』 CS放送ファミリー劇場で2012年から放送されているという オカルト・ヴァラエティ番組の劇場版。 僕は見たこともないが、番組のコンセプトは現在では正しく オワコン状態のオカルトを再度ブーム化しようという魂胆の ようだ。そこで番組では、過去に話題になった種々の超常現 象をそれぞれの研究者がプレゼンターとなって新たに解説す るものらしい。 そして本作に登場するのは通称「オカルト三銃士」とされる 中沢健、飛鳥昭雄、山口敏太郎の面々。彼らがプレゼンター となってUMA、大予言、超能力をそれぞれ新たな角度から 再検証して行くものになっている。しかも巻頭と巻末には、 彼のユリ・ゲラーも登場する。 ということで最初のプレゼンターは中沢健という人物だが、 これがまあ呆れるほどに酷い。どういう経緯で彼が三銃士に なっているのかは判らないが、UMAの研究家と言う触れ込 みなのに、ネス湖に行くのは初めてだというのだ。これには 僕自身が行ったことがある者としては耳を疑った。 しかもプレゼンの前半では、日本に居てもネス湖には行った ことになっているという怪しげな理論を振りかざして自己弁 護する始末で、これは真摯な研究者ではないというのが僕の 結論になった。ただ僕が行ったのは40年も前のことだが、今 回の映像で風景があまり変っていないのには感激した。 それにしても自費でネス湖に行ったこともないのに研究者を 騙るのは論外で、このパートで僕は席を立つことを真剣に考 えていた。しかもそこからの探索の模様もスタッフに踊らさ れているのだろうが、本人に自覚がないことも明白で、これ は本人も騙されていると感じたものだ。 とは言うものの僕は我慢をして観続けたのだが、次の「ノス トラダムスの大予言」のパートではそれなりに納得できた。 ここでは「1999年7月に世界が滅亡する」としたのは五島勉 の解釈の誤りとしているもので、そこからの論理の展開にも 巧みな論証ができていたものだ。 そして最後の超能力に関しては、映画の中でパネラーの大槻 ケンヂも「手品でもできる」と論破しているもので、それを 科学的に論証するでもなく、ただ「俺の目を信じろ」的に主 張するプレゼンターには呆れ果てた。これではブームの再燃 も覚束ないと思わされる顛末だった。 兎にも角にも僕自身はオカルトが嫌いではないし、信じる信 じないは別として研究することに異論は挟まない。しかし、 斯くも大袈裟に持論を相手に押し付けることには迷惑と感じ るし、やるならもっと大人しく、地道に続けて欲しいと思う ものだ。 ただし映画は、正月明けにボーと見るには適当な作品ではあ りそうだった。 公開は2019年1月11日より、東京はヒューマントラストシネ マ渋谷他で全国ロードショウとなる。
『コンジアム』“곤지암” 2012年には青木ヶ原樹海、軍艦島などと並んで世界7大心霊 スポットの一つにも選出されたという韓国広州市に実在する 昆池岩精神病院の廃墟を舞台にした韓国ホラー作品。 物語は、その廃墟に入ったまま行方不明になった高校生が写 したとするヴィデオを許に、YouTubeで恐怖体験を配信する サイトが一般参加者を募って、廃墟への潜入を試みるという もの。 そこで集まった参加者たちはGo Proの小型カメラを装着し、 廃墟の裏山に設置されたテントの本部にディレクターを置い て廃墟への潜入を開始する。その模様がLive配信されるとい うものだが…。 出演は、いずれも新人かデビュー2作目、若しくはテレビに ゲスト出演している程度のイ・スンウク、ウィ・ハジュン、 パク・ジヒョン、パク・ソンフン、オ・アヨン、ムン・イェ ウォン、ユ・ジェユン。 脚本と監督は、2007年キム・ボギョン出演『1942奇談』や、 2012年『ホラー・ストーリーズ』、2013年『同2』などを手 掛けたチョン・ボムシク。過去作はオーソドックスなホラー だったようだが、本作ではちょっと手法で挑戦をしている。 また上記の作品はいずれもオムニバスの1篇か共同監督だっ たが、本作では初の単独クレジットになっているものだ。 本作は、韓国ホラーでは2003年の『箪笥』に次ぐ歴代2位の 興行成績を記録したということだが、今回のプレス資料によ ると韓国ではホラーは中々ヒットしないとのことだ。 僕自身は、2003年11月9日付「第16回東京国際映画祭」で紹 介『リング・ウィルス』や、2007年10月紹介『黒い家』など の韓国版リメイクは、日本版より面白いと感じたものだが、 韓国の観客とは嗜好が異なるのかな。 その本作は、内容では2012年4月紹介『グレイヴ・エンカウ ンターズ』や、2013年1月紹介『同2』を思い出すもので、 特に途中にやらせのネタばらしが入るところなどは、展開も ほぼ同じということになる。 ただし以前の作品では、POVと言ってもいずれも手持ちの カメラだったもので、それが身体に装着されたGo Proの小型 カメラというのは以前には実現できなかったところだろう。 ただしそれで写っているのが顔のアップばかりなのは…。 正直に言ってこれは、ジェットコースターに乗っているタレ ントを写すには適当だが、廃墟への潜入では顔よりも周囲の 状況が観たいのであって、ここで顔や鼻の穴のアップが続く のには美形俳優でも辟易した。策の弄し過ぎかな。 また逆に、2018年12月紹介『岡本太郎の沖縄』で途中に挿入 された劣化の激しいフィルムの映像には、かなりファンタス ティックな感覚もあったもの。新しい技術だけでなく、過去 の技術の再利用も、この種の作品には生きてきそうだ。 公開は2019年3月23日より、東京はシネマート新宿他で全国 順次ロードショウとなる。
『サスペリア』“Suspiria” 実はこの作品の試写は少し前に観たものだが、その時は内覧 試写ということで資料がなく。後日の資料の送付を待ってい たが未着のまま。そこで年を越してしまうのも何なので、多 少あやふやではあるが記憶を頼りに紹介する。 1977年に公開のダリオ・アルジェント監督、名作ホラー映画 を、2018年1月28日題名紹介『君の名前で僕を呼んで』など のルカ・グァダニーノ監督がリメイクした作品。 そのリメイクでは、時代をオリジナルの公開時期に設定し、 当時の社会情勢も絡めた物語に再構築している。 主人公はヨーロッパの名門バレエ団に入団するためアメリカ からやってきた少女。才能豊かな彼女は入団直後のオーディ ションで注目され、直ちに大きな役を与えられる。ところが カリスマ振付師の直々のレッスンを受ける彼女の周囲では、 ダンサーたちが次々に失踪する事件が起きていた。 その事件には警察も動いていたが、バーダー・マインホフ事 件の影響などもあり、本件の捜査は中々進んでいなかった。 それでも姿を消したダンサーが治療を受けていた心理療法士 の博士の許にも捜査員が訪れる。そして独自の捜査を開始し た博士は、徐々にバレエ団の闇に近づいて行くが…。 出演は、2017年4月16日題名紹介『フィフティ・シェイズ』 シリーズなどのダコタ・ジョンスン。 その脇をティルダ・スウィントン、クロエ・グレース・モレ ッツ、2014年『ニンフォマニアック』などのミア・ゴス、さ らにオリジナルに主演したジェシカ・ハーパーらが固めてい る。因にスィントンは隠しキャラを含め3役を演じている。 1977年のオリジナルは、実はオカルトに狎れていなかった僕 にはストーリーが良く理解できなかった。しかしその点は、 2009年2月紹介『サスペリア・テルザ』などで明瞭になって いたもので、それを踏まえた本作はしっかり鑑賞できた。 その本作の背景となるオカルトの物語はオリジナルと同じだ が、それなりのスプラッター的なシーンはあるものの、敢え て恐怖を煽るような演出はなく、むしろ文学的とも言える作 品に仕上げられている。 オリジナルの公開時には、サーカム・サウンド(インターナ ショナル・サウンドを利用した疑似立体音響)などの仕掛け も施されたが、本作は上映時間152分の重厚な大作。正直に は、少女が1人で暗い街並みを歩くぞくぞくする感覚も味わ いたかったが、評価が賛否両論というのも頷ける作品だ。 公開は2019年1月25日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他で 全国ロードショウとなる。
この週は他に 『美人が婚活してみたら』 (漫画アプリで長期間ランキング1位を続けたという原作コ ミックスを、2017年9月24日題名紹介『勝手にふるえてろ』 などの大九明子監督が映画化。長年不倫の恋ばかりしてきた 30代の美人デザイナーが、大きな恋を終えた反動の燃え尽き 症候群から一念発起。婚活サイトに登録したり、婚活BAR に通い始めるが…。出演は黒川芽以、臼田あさ美。相手役に 中村倫也、田中圭。他にレイザーラモンRG、矢部太郎らも 登場する。まあ正直に言って、今時ではない男性の自分には よく判らないお話で、評価にも苦しんでしまう作品だった。 でもこれが今時の女性の姿なのかな。映画の流れとしては、 今時のデートの手解きみたいなものも欲しい感じもしたが、 それは今更なのだろう。いずれにしても僕が関る可能性は0 の話だから、これはこれで良しとしたい。公開は2019年3月 23日より、東京は新宿シネマカリテ、大阪はシネリーブル梅 田他にて全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2018年12月23日(日) |
チワワちゃん、グリーンブック(サムライ・M、こどもしょくどう、ソローキン、洗骨、がんになる、ライズダルライザー、サタデーナイト・C) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『チワワちゃん』 2012年『ヘルタースケルター』の原作などで知られる漫画家 ・岡崎京子が、1996年に発表した全7編からなる連作短編集 の映画化。その物語に2017年8月20日題名紹介『リミット・ オブ・スリーピング・ビューティ』の二宮健監督が挑んだ。 物語の切っ掛けは、東京湾でバラバラ死体で発見された若い 女性。都会の若者グループの中でマスコット的な存在だった 彼女は、仲間には「チワワちゃん」と呼ばれていたが、誰も 彼女の素性も、本名さえも知らなかった。 そんな彼女は仲間の中でリーダー格の男性が連れてきたが、 彼女を誘った台詞が自分のときと同じだったことに主人公は ショックを受ける。それでも仲間たちは分け隔てなく彼女を 受け入れるが…。 そんなある日、溜まり場のVIP席に座る男のサイドバック に600万円が入っていると聞かされた彼らは、チワワの思い 切った行動でその強奪に成功する。しかも男たちは収賄事件 で逮捕され、現金だけが手元に残る。 そんな金はあっという間に使い切る彼らだったが、その絆は 深まっているようにも見えた。そして主人公が趣味的に行っ ていたファッションのインスタグラムに加わったチワワは、 あっという間に人気モデルになって行く。 それでも誰も、チワワの本名さえも知らなかった。 出演は、2017年12月10日題名紹介『サニー/32』などの門脇 麦、2018年11月3日付「東京国際映画祭」で紹介『愛がなん だ』などの成田凌、2017年7月紹介『ナミヤ雑貨店の奇跡』 などの寛一郎。 さらに2018年8月12日題名紹介『銃』などの村上虹郎、同年 8月26日題名紹介『ういらぶ。』などの玉城ティナ、それに 2017年7月2日題名紹介『心が叫びたがってるんだ。』に出 ていたという吉田志織。 他に栗山千明、浅野忠信らが脇を固めている。 物語は主人公が雑誌記者に取材されるという形でも進められ るが、全体的には若者たちの奔放な生態が描かれる。それは 半世紀ほど昔の自分がこの年代だった頃とは様変わりだが、 通じるところもないではない。 そんなある種の普遍的な青春群像劇が展開される。それは原 作が20年近く前の作品であることにも拠るかもしれないが、 その普遍的な物語を、二宮監督が見事に現代に写したとも言 える作品だ。 ただ青春とはあまりにも曖昧模糊としたものであり、それを 曖昧なまま映像化した本作では、年代を重ねた観客には理解 を超えた面はあるかもしれない。でもこれが青春だし、自分 たちもこんな中を生きてきたのだ。 そんな懐かしさも感じさせてくれる作品だ。彼らの20年後も 観たくなる。 公開は2019年1月18日より、東京は新宿バルト9他にて全国 ロードショウとなる。
『グリーンブック』“Green Book” 1962年、ケネディ大統領下のアメリカで、ドクターの肩書を 持った黒人のピアニストがディープサウス横断の演奏旅行を 敢行した。その実話に基づく作品。 主人公はイタリア系の運転手。大型車も運転できるベテラン だが、いろいろあって運転手は休職中。しかし口が達者で剛 腕の彼は、マフィア系のナイトクラブで用心棒のような仕事 もやっている。 ところがそのクラブが改装のため休業となり、仕事を失った 彼の許にとある仕事が斡旋される。それはカーネギーホール の上階に住むドクターの運転手というものだったが、訪れた 彼を待っていたのは黒人のピアニストだった。 ソ連に留学し博士の肩書も持つピアニストは、未だ黒人差別 の激しいディープサウスを演奏旅行する計画で、その運転手 兼ボディガードとして同行する人材を求めていたのだ。その 要求にはぴったりの主人公だったが…。 期間はクリスマスまでの2カ月間。長期に亙るということで 出した破格の待遇も認められ、出発の日を迎えた主人公には 1冊のパンフレットが手渡される。それは黒人が泊まること を許されるホテルなどを記したグリーンブックだった。 斯くして三重奏を組むロシア人の弦楽奏者2人と共に、2台 の車でニューヨークを出発した彼らの前には、当時の米国社 会では当たり前だった数々の差別が襲い掛かる。それらを克 服して進むドクターにはある秘めた思いがあった。 出演は、『LOTR』シリーズなどのヴィゴ・モーテンセン と、2017年2月5日題名紹介『ムーンライト』でオスカー助 演賞受賞のマハーシャラ・アリ。それに2017年4月30日題名 紹介『ファウンダー』などのリンダ・カーデリーニ。 監督と共同脚本は、2004年11月紹介『ふたりにクギづけ』な どのファレリー兄弟の片割れのピーター・ファレリー。コメ ディで実績のある監督が、今回は社会派的な題材をユーモア もたっぷりに描いている。 元の脚本を書いたのは2017年『リベンジ・リスト』などの製 作総指揮も務めるニック・ヴァレロンガ。彼はモーテンセン が演じる主人公トニーの息子で、幼い頃から聞かされてきた 父親の思い出話を映画化したものだ。 そして彼は、プライヴェートの記録がほとんど残されていな いドクターことドナルド・ウォルブリッジ・シャーリー本人 にも取材して脚本を書き上げた。彼には謎に包まれた天才ピ アニストに対する思いもあったとしている。 因にトニーとドクターはその後も交流を続け、2013年に半年 を置かず相次いで亡くなったそうだ。 トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞した本作には、 オスカーの呼び声も高くなっているが、2008年と2017年2度 のノミニーのモーテンセンには、正に獲り時という感じもす る作品だ。 公開は2019年3月1日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他で 全国ロードショウとなる。
この週は他に 『サムライ・マラソン』 (1853年ペリー浦賀来航と、史実ではその2年後の1855年に 実施の安政遠足とを絡めた2014年『超高速!参勤交代』など 土橋章宏原作・短編集の映画化。脚色を2011年7月紹介『一 命』などの山岸きくみと、2017年7月紹介『ナミヤ雑貨店の 奇跡』などの斉藤ひろしが担当し、2014年『パガニーニ』な どのバーナード・ローズが監督した。出演は佐藤健、小松菜 奈、森山未來、染谷将太、青木崇高。他に竹中直人、豊川悦 司、長谷川博己、筒井真理子、門脇麦、2018年7月紹介『か ごの中の瞳』などのダニー・ヒューストンらが脇を固めてい る。原作は個々の走者の生活ぶりなどを描いた人情噺的な作 品のようだが、映画化では幕府の隠密を中心に陰謀などが蠢 く物語に仕上げられており、それはエンターテインメントと しては面白い。また小松の乗馬姿も感心した。ただし米国旗 の星の数などの時代考証はメタメタ。まあ娯楽作品ではある が…。公開は2019年2月22日より全国ロードショウ。)
『こどもしょくどう』 (全国的に広がりを見せる「子ども食堂」を描いた作品。主 人公の家は大衆食堂。そこには一緒に野球をしている同級生 もやって来る。実はその同級生は母子家庭で、母親は食事を 作ろうともしていなかった。そんな主人公らが練習の帰り道 で河原に停まったワゴン車を見つける。そこには父親らしき 男と女児2人がいたが…。ドキュメンタリーと思って観に行 ったら、それ以上に巧みに活動を捉えた作品になっていた。 しかも子役たちがしっかりとドラマにしたことで、より関心 も呼べるのではないかと思えるものだ。出演は藤本哉汰、鈴 木梨央、浅川蓮、古川凛、田中千空の子役たち。それに常盤 貴子、吉岡秀隆。さらにDragon Ash降谷建志、石田ひかりら が脇を固めている。2017年10月8日題名紹介『嘘八百』など 足立紳の原作・脚本から、2016年9月18日題名紹介『映画作 家』などの日向寺太郎が監督。公開は2019年3月23日より、 東京は岩波ホール他にて全国順次ロードショウ。)
『ソローキンの見た桜』 (1904−05年の日露戦争。その際に捕えられたロシア兵士は 当初は愛媛県の松山に収容され、その人数が増すにつれ各地 に送られた。そんな中で松山には模範とすべく俘虜に対する 条約の順守が求められた。そして物語の始まりは現代。松山 では異国で亡くなった兵士の追悼が今も行われている。その 取材にきた主人公はさらにロシア取材を依頼される。そこに は彼女の曾々祖母に関る悲恋の物語が隠されていた。出演は 2017年11月19日題名紹介『孤狼の血』でヒロイン役の阿部純 子。その脇を斎藤工、イッセー尾形、山本陽子、六平直政、 ロデオン・ガリュチェンコ、アレキサンドル・ドモガロフら が固めている。脚本と監督はアレクサンドル・ソクーロフ監 督『太陽』のメイキングなどを手掛けた井上雅貴。2016年に ロシアでSF作品を撮っての長編2作目だそうだ。物語には 謎解きの味付けもあり、巧みだった。公開は2019年3月16日 から愛媛県で先行の後、22日より全国順次ロードショウ。)
『洗骨』 (2018年12月紹介『岡本太郎の沖縄』にもあった一部離島で は今も行われている?とされる風葬の儀式を描いた作品。と 言っても、基本はよしもと映画だから内容は暗いものではな い。因に脚本・監督の照屋年之はガレッジセール・ゴリの本 名で、自身が2016年に発表した短編映画を基にした作品だ。 物語は一家の中心だった母親が死んで4年後の出来事。家に は妻の死後は腑抜けになった父親だけが残り、息子と娘は本 土で暮らしている。それでも風葬した遺骨を洗うために子供 らは帰ってくるが…。息子の家族は同行せず、娘は未婚だが 臨月間近の大きなお腹を抱えていた。出演は奥田瑛二、筒井 道隆、水崎綾女。他に鈴木Q太郎、筒井真理子らが脇を固め ている。儀式自体は少しグロだが克明に描かれ、そこには監 督の地元愛も感じられる。ユーモアや笑いのバランスも良い 作品だ。公開は2019年1月18日から沖縄県で先行の後、2月 9日より東京は丸の内TOEI他で全国ロードショウ。)
『がんになる前に知っておくこと』 (国民の2人に1人は罹るとされる病気・癌。少し前までは 死の病とされた癌だが、現代では「共に生きる」ための様々 な対処法がなされている。それらを紹介して癌になった時の 無用な焦りなどを解消しようという作品。自身が検査で乳房 にしこりを発見され、一時は絶望的な気持ちだったという女 優・鳴神綾香をナビゲーターに、専門医からカウンセラー、 さらには患者でありながら会社を立ち上げて患者のための商 品の開発や、NPO法人で情報提供を担っている人たちへの インタヴューを通じて、様々な分野での癌と共に生きる取り 組みが紹介される。ただしインタヴューという形式が、個々 の人物のことは判るが、癌に直接踏み込んだ説明ではないた め、何か歯痒いというか、違和感は残った。敢えて苦しみを 描けとは言わないが、これでは重要なポイントが聞き流され てしまうような危惧も持った。公開は2019年2月2日より、 東京は新宿K's cinema他にて全国順次ロードショウ。)
『ライズ ダルライザー−NEW EDITION−』 (福島県白河市のご当地ヒーローが町の支配を狙う悪と戦う アクション映画。主人公は東京で挫折した俳優志望。恋人の 妊娠で田舎に還り再起を図るが父親には疎まれる。しかし自 らデザインしたご当地ヒーローで少しずつ認知されるように なるが…。一方、町では謎の団体が陰謀を進めていた。その 危機を察知した主人公は町の武術家を師と仰ぎ、会得した技 で悪との戦いを決意する。原案・製作・主演は地元出身の和 知健明。脚本と監督は日活芸術学院卒で現在は大学で教鞭も 執る佐藤克則。さらに武術指導を『バットマン ビギンズ』 などに採用された武術 KEYSIの創始者フスト・ディエゲスが 初来日で担当し、出演もしている。陰謀の主軸にはSF的な 要素もあり、展開には破綻も少ない。また造形では『メトロ ポリス』を髣髴とさせるものもあるなど、ファン的には見所 も多い作品だ。公開は2019年3月9日より、東京は池袋シネ マ・ロサ他で全国順次ロードショウ。)
『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』 “Saturday Church” (ゲイの黒人少年の苦悩と救済を描いたミュージカル仕立て の作品。主人公は母親のハイヒールやドレスをこっそり着用 しているような少年。物腰も柔らかく、それで学校では苛め にも遭っている。しかし特に厳しいのは弟と、母親が夜勤中 にやって来る叔母だ。そして深夜の町の飛び出した少年は、 ゲイの屯する街角で土曜の夜に開かれる教会を教えられ、そ の場所に足を踏み入れた少年は新たな世界を体験する。最近 はゲイの世界を描いた作品を観る機会も多いが、本作はその 一環という感じかな。特に新たな内容がある訳でもないが、 ただミュージカル仕立てというのは目新しい。出演は新人の ルカ・カインと、人気ドラマに主演中のMj・ロドリゲス、 シンガーソングライターのマーゴ・ビンガム。製作・脚本・ 監督も新人のデイモン・カーダシス。物語はヴォランティア で働いた時の実体験に基づくそうだ。公開は2019年2月22日 より、東京は新宿ピカデリー他で全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2018年12月16日(日) |
岡本太郎の沖縄、歯まん(君がまた走り、母を亡くし、誰がための、500年の航海、記者たち、君から目が、女王陛下の、ギルティ、クリード2) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『岡本太郎の沖縄』 2018年7月15日題名紹介『太陽の塔』に続けての、芸術家・ 岡本太郎に関連するドキュメンタリー。 岡本は日本各地を巡る旅の最後の訪問地として、米国統治下 だった1959年と66年に沖縄を訪れ、数多くの写真を撮影して それらは写真集として出版された。本作ではその写真集を基 に、岡本が観た沖縄とその後の沖縄が検証される。 そこには後に人間国宝とされて今でも仕事を続けている芭蕉 布の生産者女性や、1966年訪問時に動画で記録された久高島 の祭礼のその後なども語られる。その50年、60年の時間の重 みも感じられる作品だ。 特に久高島の祭礼に関しては、12年ごとの午年に行われる祭 りの司祭主の女性が写真集の表紙を飾っているものであり、 極めて厳格と言われた女性司祭が岡本を受け入れたような表 情で写るその写真が、本作の原点ともされている。 またこの祭礼に関しては、1966年に取材された祭りの本質に 迫る証言や、後の78年、90年の様子もアーカイヴ映像で挿入 され、450年の歴史を持つ祭礼の大きな流れを感じさせる。 これだけで1本作れそうな感じのものだ。 その一方で久高島では、岡本によって島の伝統である風葬の 様子が撮影されており、それは後に週刊誌に掲載されて問題 も引き起こしたようだ。ここには当時の撮影に同行した人の インタヴューも登場し、事実関係なども証言される。 その他にも、岡本が撮影した写真と現在との対比も随所で行 われ、変ってしまった風景や、変わらない風景が時の流れも 感じさせてくれる。その中で岡本が「日本の原点」と称した 沖縄の変貌が日本の現状を現しているとも感じる作品だ。 つまり本作では、写真集を基に多くの問題提起がなされるも のであり、それこそが岡本太郎の本質を描いているようにも 感じられた。それは先の作品で評論家が勝手に語る証言より も、より明確に芸術家を描いていると感じるものだ。 芸術家を語るにはまずその作品を語るべきであり、その点で 本作は写真集という明確な作品を基に綴られ、そこに様々な 証言や事象が挿入されて、正に岡本太郎の全体像が描かれた 作品になっている。 そして劣化によってボロボロになったフィルムのディジタル リマスターなど、正に労を惜しまない制作者の態度が、素晴 らしい作品を作り出している。 公開は、10月24日から那覇市で先行上映の後、関西地区では 11月24日から行われており、東京では2019年1月19日より、 渋谷ユーロスペースでの上映が予定されている。
『歯まん』 2015年「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」のオフシ アター・コンペ部門で上映されて北海道知事賞を受賞。その 後にモントリオール世界映画祭やシッチェス映画祭などでも 上映されたファンタシー作品が、4年を経て一般公開される ことになり、試写が行われた。 題名の意味は、女性性器に歯が生えているということで、何 というか、下ネタ好きでもちょっと退いてしまうようなタイ トルには相応の内容が予想されるものだ。しかし映画は意外 と真面と言える作品だった。 始りはラヴホテルでベッドインしている高校生のカップル。 メイクラヴが進み、少女が絶頂に達した時、突然少年が痛み を訴え、身体を離した少年の股間から血が噴出する。そして その血を浴びた少女は街に彷徨い出る。 やがて街では猟奇的な殺人事件の報道や噂話が飛び交う中、 喫茶店で悲嘆にくれる少女に1人の男性がハンカチを差し出 す。そしてそのまま店を出る男性の姿を別の女性も見送って いた。 その後、少女は街でその女性と出会い、女性は男性のことを いろいろ聞かせてくれる。こうして男性にも好意を持つよう になった少女だったが、街を彷徨い続ける少女に突然中年男 が声を掛け、少女は男に拉致される。が…。 脚本と監督は、後で題名紹介する篠原哲雄監督作品で脚本と 助監督を務めている岡部哲也。本作が監督デビュー作だった ようだが、他にも助監督はしているようで、しっかりとした 映画を作り上げている。 出演は、近作では前枝野乃加と改名している馬場野々香と、 2010年に中田秀夫監督の『インシテミル』に出ていたという 小島祐輔。2人は上記の篠原作品にも出ているが主に舞台の 俳優のようだ。 それに2015年1月紹介『ら』で脚本、監督を務めた水井真希 が、今回は女優で映画を引っ張っている。 テーマとしては吸血鬼に通じるかな。愛する人に死をもたら す運命となってしまった女性の悲哀が描かれる。ただしその シチュエーションが特殊だと、一般には中々伝わり難い面が あって、その辺が一般公開の遅れた理由でもありそうだ。 ここはSFファンやホラーファンなら判る展開ではあるのだ が…。その一方で本作では、少女の置かれる状況がいろいろ 変化するのもよく考えられた脚本と言えるもので、特に咬み 切ったモノに対する態度の違いにはニヤリとした。 R18+指定でそれなりのシーンも多い作品だが、物語にも破 綻は少なく、ダークファンタシーとしてはしっかりと描かれ ている作品だ。 公開は2019年3月2日より、東京はアップリンク渋谷他にて 全国順次ロードショウとなる。
この週は他に 『君がまた走り出すとき』 (「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」15周年を記念して川口 市が製作したドラマ作品。巻頭で主人公は警察に追われ、老 婦人の住む民家に逃げ込む。そこで老婦人に孫と間違われた 主人公はその家で暮らし続けるが、そこに別の孫娘が現れ、 本物の孫は事故死したと教えられる。それでも利害の一致で 3人暮らしが始まり、ラジオでマラソンの話題を聞いた孫娘 は主人公に大会への出場をけし掛ける。そして間借り人の男 性らと参加の準備が進められるが…。出演は共に2017年7月 紹介『ナミヤ雑貨店の奇跡』に出ていた寛一郎と山下リオ。 それに松原智恵子。また2018年11月18日題名紹介『赤い雪』 などの菜葉菜、さらに長谷川初範、浅田美代子らが脇を固め ている。原案と監督は『カメラを止めるな』で助監督を務め た中泉裕矢。他愛ない話だがそれなりに心は掴まれた。公開 は2019年2月8日から川口で先行上映の後、東京は3月2日 より新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』 (このタイトルを見て僕は、1964年山田洋次監督の『馬鹿が 戦車(タンク)でやって来る』を思い出した。確かその映画の 始めに、葬儀(遺影はいかりや長介)の席に現れたハナ肇扮す る主人公が、骨壺の遺骨を貪り食うシーンがあったはずだ。 そんなことを考えつつ観ていた本作だが、内容は大病をして 母親の溺愛の許に育った男性が、癌で余命宣告された母親を 前にマザーコンプレックスを剥き出しにするという展開で、 自分がこの春に母親を亡くしたばかりの身としては、まあ何 ともはやという感じだった。それは自分と主人公とでは立場 も違うから感情なども異なるが。まさか実際に遺骨をかじる シーンが出てくるとは思っても見なかったもので、山田作品 では理解できても今回は別の感覚となった。原作はWeb マン ガ家の宮川サトシ。出演は安田顕、倍賞美津子。脚本と監督 は2018年7月29日題名紹介『日日是好日』などの大森立嗣。 公開は2019年2月22日より全国順次ロードショー。)
『誰がための日々』“一念無明” (2002〜2003年『インファナル・アフェア』シリーズなどの ショーン・ユーとエリック・ツァンの共演で、重い躁鬱病を 患い精神病院に1年間入院した男性が、退院して社会復帰を 目指す困難を描いた作品。入院前の主人公には一緒に暮らす マンションを購入した婚約者もいて、暮らしは順調だった。 しかし自宅には寝たきりの母親がおり、運転手の父親は金は 入れるが家に寄り付かず、アメリカに渡った弟も永住を決め ていた。このため施設に入れることを拒む主人公は会社を辞 め、独力での介護を目指すが、ある事件により母親が死亡、 そのショックで精神を侵された。そんな状況から脱しようと する主人公だったが、自宅も売った父親と小さな部屋で暮ら す主人公には、様々な困難が降りかかる。施設を拒む理由が 僕には判らないが、他の状況は日本も同じかな。監督は長編 デビュー作のウォン・ジョン。公開は2019年2月2日より、 東京は新宿K's cinema他にて全国順次ロードショウ。)
『500年の航海』 “Balikbayan #1 Memories of Overdevelopment Redux �此� (2015年東京国際映画祭で上映『お里帰り』の改訂版。因に 2015年版は“Redux ��.5”だった。実はこの前作も映画祭で 観たが、この年はコンペティション以外の作品の紹介は割愛 した。その理由は記憶していないが、この前作が難解だった ことも原因だったかもしれない。ということで今回は観直し という面もあったが、2度目に観ればさすがに難解とは言え ないもので、マゼランの世界一周航海に同行したフィリピン 人の物語は理解できた。つまり彼はフィリピンからヨーロッ パに渡り、そこからアメリカ大陸の南端を通ってフィリピン に達したもので、彼こそが最初の世界一周者だったという訳 だ。ただし本作ではその物語に過去現在を繋ぐ様々な映像が 注ぎ込まれているもので、その意味の把握が難しい。それが 面白くもあるが、難解な作品であることは変わりなかった。 公開は2019年1月26日より、東京は渋谷シアター・イメージ フォーラム他で全国順次ロードショウ。)
『記者たち 衝撃と畏怖の真実』“Shock and Awe” (2003年にイラク侵攻を強行したブッシュ政権。その根拠と された大量破壊兵器の存在を巡り、政権の意向に沿った報道 を続けたニューヨーク・タイムズなどの大手マスコミに対し て、地道に政権内部を取材し、その発表に疑問を呈し続けた ことで様々な妨害や中傷を浴びたナイト・リッダー社の姿を 描いた実話の再現作品。事実の推移は、最後にタイムズ紙が 読者に対するお詫びを掲載するなど、大統領府の発表が嘘を 並べたものだったことを明白にするが、映画ではそこに至る までの嫌がらせなど悪辣な政権の手口を暴露し、さらに何故 そのような悪行に走らせたかの理由についても正確に描き切 る。上映時間91分は決して大作ではないが、見事にその真実 が凝縮された作品だ。出演はウッディ・ハレルソン、ジェー ムズ・マースデン、トミー・リー・ジョーンズ。製作と監督 はロブ・ライナー。公開は2019年3月29日より、東京はTOHO シネマズシャンテ他で全国ロードショウ。)
『君から目が離せない Eyes On You』 (2018年2月11日題名紹介『ばぁちゃんロード』などの篠原 哲雄監督が舞台俳優の秋沢健太朗を映画初主演に迎え、3つ の季節に亙って撮った作品。劇団員の主人公はティッシュ配 りのバイト中に年上の女性を見染め仲を深めて行くが、彼女 はいろいろな謎に包まれていた。共演は、篠原監督の1996年 デビュー作『月とキャベツ』でヒロインを演じ、2001年に渡 米留学して休業、2017年3月26日題名紹介『心に吹く風』で 映画界復帰した真田麻垂美。本作には1996年作のスタッフも 再結集して正に彼女自身のような役柄が描かれている。他に 田中要次、根岸季衣、さらに篠原監督らが脇を固めている。 お話は他愛ないけど、1996年作のロケ地の再訪や女優などの 話題性は高いかな。それに演劇の街=下北沢の雰囲気は良く 出されており、小田急地上駅の撤去工事の風景などはマニア 的にアピールしそうだ。公開は2019年1月12日より、東京は シネマート新宿で2週間限定のレイトショウ。)
『女王陛下のお気に入り』“The Favourite” (ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督が、2018年の ベネチア国際映画祭で審査員グランプリと主演女優賞の2冠 を獲得した作品。18世紀初頭、アン女王治世のイングランド 王室を舞台に、フランスとの第2次百年戦争の戦時下で女王 に次ぐ実権を得ようとする女性たちの史実に基づく闘いが描 かれる。戦争が長引き財政が逼迫する中、女王の友人で軍総 司令官を夫に持つサラは女王の威光を借り、軍事費の拠出を 維持していた。そんな折、サラの従妹で没落した貴族の娘の アビゲイルが参内を希望してくる。その願いを聞き入れたサ ラだったが、やがてそれが女の闘いを引き起こす。出演は、 女優賞を受賞した2008年5月紹介『ホット・ファズ』などの オリヴィア・コールマンと、2018年4月22日題名紹介『バト ル・オブ・ザ・セクシーズ』などのエマ・ストーン、それに 2017年2月12日題名紹介『光をくれた人』などのレイチェル ・ワイズ。公開は2019年2月15日より全国ロードショウ。)
『THE GUILTY ギルティ』“Den skyldige” (市民からの緊急通報を受信する指令室を舞台に、拉致誘拐 された女性を電話を通じて救出しようとする警官の姿を描い た作品。主人公は捜査中の行為で裁判を控えた警察官。裁判 の終了までは現場を離れ、緊急通報指令室で市民からの電話 を受けている。そんな彼が裁判所への出頭の前日、勤務の終 りも間近に電話が架かる。それは走行中の車内から拉致され たと告げるものだった。そこで直ちにパトカーの配備などが 始まるが、携帯電話の位置は基地局の場所までしか判らず、 もどかしさが募って行く。それでも様々な手で車を特定する 主人公だったが…。出演は、2011年3月紹介『光のほうへ』 などのヤコブ・セーダーグレン。同旨の作品では2013年10月 紹介のハル・ベリー主演『ザ・コール』などもあるが、本作 ではさらに捻りの利いた物語が展開される。2018年のサンダ ンス映画祭で観客賞を受賞の作品だ。公開は2019年2月22日 より、東京は新宿武蔵野館他で全国ロードショウ。)
『クリード炎の宿敵』“Creed �供� (1977年『ロッキー』から連綿と続く物語が、2015年『クリ ード』で新たな展開となった第2弾。そして本作では1985年 『ロッキー4』でチャンピオンと戦ったソ連からの刺客ドラ ゴの息子がクリードに挑む。元々クリードはドラゴによって 命を絶たれたアポロの息子だから、これはもはや必然の対決 と言えるものだ。さらにその作品にはドラゴを演じたドルフ ・ラングレンから妻役のブリジット・ニールセンまでもが再 登場。またアメリカ側はマイケル・B・ジョーダン、シルベ スター・スタローン、テッサ・トンプソンらが前作に続いて 出演している。監督には長編2作目のスティーヴン・ケイプ ル Jr.が抜擢された。なおオリジナルでは、先にラスヴェガ スでのアポロ対ドラゴの戦いがあり、その後にモスクワでロ ッキー対ドラゴとなったものだが、本作では共に息子同士の 戦い。その成立にはちょっと仕掛けがあるのも面白く感じら れた。公開は2019年1月11日より全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2018年12月09日(日) |
マイル22、クマ・エロヒーム(ねことじいちゃん、世界でいちばん悲しい、バジュランギ、ホイットニー、あまのがわ、ひかりの歌、ともしび) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『マイル22』“Mile 22” 2017年3月26日題名紹介『パトリオット・デイ』などのピー ター・バーグ監督と主演マーク・ウォルバーグが4度タッグ を組んだアクションサスペンス。 開幕は郊外の住宅地に建つ一軒家。その周囲には主人公を含 む特殊部隊の隊員が配置され、タイミングを計って突入作戦 が敢行される。実はその家屋はロシア秘密機関の隠れ家で、 作戦の目的はそこに居る人員を確保し、身元を確認して彼ら から情報を聞き出すことだった。 ところが始められた作戦に齟齬が生じ、当初の「確保」命令 は「抹殺」に変更。激しい銃撃戦が展開される中、主人公は 逃亡を図った1人を殺害する。さらに建物も跡形もなく破壊 されて部隊は撤収。作戦は隊員1人を失ったものの、後には 証拠も残さず完遂されるが…。 それから16ヶ月後。主人公らの特殊部隊は東南アジアのとあ る国のアメリカ大使館に集合していた。その国では政情不安 が続いていたが、さらにロシアで盗難に遭った原爆6個分に 相当する放射性物質が持ち込まれ、闇取引が行われるとの情 報がもたらされていた。 そこに、部隊の女性隊員の情報屋だった地元警察の刑事が、 放射性物質の保管場所を示すデータが暗号化され記憶された ハードディスクを持って大使館に保護を求めてくる。彼の要 求は、亡命を認めてアメリカ行きの飛行機に乗ったら暗号を 解くキーを教えるというもの。 そこで主人公らの特殊部隊に22マイル先の飛行場まで情報提 供者の身柄を移送する命令が下される。しかし政情不安によ る騒乱の続く街路には様々な障害や、さらには刑事の身柄を 要求する地元警察による妨害も待ち構えていた。しかも騒乱 の中で飛行機が駐機できる時間も限られていた。 共演は、2012年6月紹介『ウォーキング・デッド:シーズン 2』から登場のローレン・コーハンと、2012年8月紹介『ザ ・レイド』などのイコ・ウワイス。彼は本作のアクション・ コレオグラファーも務めている。 さらに初代UFC世界女子バンタム級王者で2015年『ワイル ド・スピード SKY MISSION』などに出演ロンダ・ラウジー、 2010年2月紹介『ローラーガールズ・ダイアリー』などのカ ルロ・アルバン、2013年4月紹介『エンド・オブ・ホワイト ハウス』などのサム・メンディーナ。 他にK-POP 「2NE1」のリーダーだったCL。ジョン・マルコ ヴィッチらが脇を固めている。 製作総指揮と原案は、人気テレビシリーズ『プリズン・ブレ イク』などのグラハム・ローランド。脚本は、2013年にアメ リカ特殊作戦部隊の道のりを描いた小説『11日間』を発表し たリー・カーペンターと、ピーター・バーグ監督が手掛けて いる。 監督と主演のコンビでは『ローン・サバイバー』『バーニン グ・オーシャン』に『パトリオット・デイ』と、実録物が続 いていたものだが、本作はフィクション。それは実録という 手かせ、足かせが取れた分、正しくエンターテインメントの 感覚に溢れた作品だった。 しかもそこには実録物で培った信頼があるのだろうが、正に 最前線で取材されているような現実感に裏打ちされた物語の 展開で、お話自体はかなり破天荒なもののはずなのに、何処 かリアルで震撼とするものになっている。これが現実でもお かしくない感じもしてしまうのだ。 アクションのバランスも良く、とにかく面白い。これがピー ター・バーグ監督の新境地とでも言いたくなる作品だ。 公開は2019年1月18日より、東京は新宿バルト9他にて全国 ロードショウとなる。
『クマ・エロヒーム』 2016年に『阿呆の舞』という10分の短編作品を発表している 日本大学芸術学部映画学科卒業の坂田貴大監督による76分の 劇場デビュー作。 映画の巻頭には旧約聖書創世記第22章16−17節が引用され、 我が子イサクを生け贄に捧げる父親アブラハムの行動が説か れる。そしてドラマの始りでは、ベビーバギーを押してきた 男性が、乗せていた赤ん坊の人形を海に投げ込む。そんな衝 撃的な場面から物語はスタートする。 時代は約100年後の2117年。舞台は映画の中ではあまり明確 でないが、地球以外の惑星での物語。その星では宗教団体の 力が強いらしく、住民は皆その指示に従って暮らしている。 そして主人公の夫婦は団体の指示によって選ばれたカップル で、妊娠と出産が期待されていた。 ところが結婚から15年が経っても妻に妊娠の兆候は表れず、 夫には焦りの色が見える。そして夫は子供の出来ない原因が 自分にあると気付くが…。 主演は、2015年の高橋伴明監督『赤い玉』で主人公の相手役 を演じて話題になり、2018年5月13日題名紹介『菊とギロチ ン』などにも出演の村上由規乃と、2017年『youth』などの 古矢航之介。いずれもインディペンデンス系映画の出演者の ようだ。 題名はヘブライ語で、「神よ、立ちあがってください!」と いう意味の旧約聖書詩編の言葉だそうで、宗教テーマの作品 と言えるのかな? ただし物語の展開は、宗教には批判的な 感じが受け取れるものになっている。それはキリスト教だけ でなく、宗教全般を否定している感じだ。 一方、チラシには「SF叙事詩」という文言もあって、そう いう志向と取れるが、SFファンの目線からするともう少し 何かが欲しくなる。でもまあタルコフスキー監督の『ストー カー』もSFと認められているのだから、これでも良いとは 言えるものではあるが。 そんな中で最初の赤ん坊の人形の件には、1972年製作のSF 映画『赤ちゃんよ永遠に』なども思い出したが、その点も踏 まえての作品なのかな? 出産が禁じられている世界を描い たその作品に対して本作が裏返しの設定なのも、僕には面白 く感じられた。 ただし本作では少子高齢化とされていても子供がいない訳で はなく、状況はSF的と言えるほど切迫したものではない。 つまり状況が社会一般的なものではなく、個人レヴェルとい うことではSFとは捉え難い。それでもSFと呼ばれたいの なら、さらに一押し何かが欲しいと感じるものだ。 因に上記の『阿呆の舞』は、監視社会のディストピアを描い ていたそうで、SF志向の監督であることには期待したい。 公開は12月22日より、東京は池袋シネマ・ロサにて、1週間 限定のレイトショウとなる。
この週は他に 『ねことじいちゃん』 (名古屋を拠点にイラストレーターとして活動中のねこまき (ミューズワーク)原作のコミックエッセイを、動物写真家・ 岩合光昭の初監督で映画化した作品。小さな島でひとり暮ら しの70歳の老人と飼い猫の姿を、周囲の人たちとの交流と共 に描く。出演は主人公を落語家の立川志の輔が演じる他、柴 咲コウ、柄本佑、銀粉蝶、山中崇、葉山奨之、中村鴈治郎、 田中裕子、小林薫らが脇を固めている。老人のひとり暮らし を心配する息子が都会に連れて行こうとしたり、島の診療所 の若い医師と、何故か老人ばかりの島にカフェを開く女性な ど…。まあ有り体と言えばあまりに有り体な物語が展開され る。そこには過疎問題や老人の独居なども描かれるが、問題 意識などはあまり感じられず、そんなことで良いという作品 なのだろう。ただ猫の生態を写したシーンは流石という感じ で、それが売り物とも言える。公開は2019年2月22日より、 東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
『世界でいちばん悲しいオーディション』 (BiSH BiS GANG PARADEなどのアイドルグループが所属する 音楽会社WACKが、年1回開催する合宿オーディションの 模様を記録したドキュメンタリー。その合宿では、毎朝のマ ラソンや激辛ソースをまぶした食事の完食など、いろいろな チャレンジで順位が付けられ、下位の者は脱落者として帰宅 が強制される。と言う展開だが、ドキュメンタリーと称する 割には、主催者へのインタヴューがトイレで排泄中に行われ るなどやらせ感が満載で、到底真実味はない。それが狙いの 演出でもあろうが、仮に参加者が真剣に取り組んでいるので あれば、大変失礼なものとも言える。素人を食い物にする悪 徳業界人というスタンスが主催者の本心という、これも演出 なのだろう。若い女性に無駄な夢を追わせないということで は、これも意味がないとは言えない作品かもしれない。傍目 にはあまりにチープな作品ではあるが…。公開は2019年1月 11日より、東京はテアトル新宿でロードショウ。)
『バジュランギおじさんと、小さな迷子』“बजरंगी भाईजान” (インド―パキスタン国境を背景に、インドで迷子になった パキスタン人の少女を故郷に還そうとするインド人男性の姿 を描いたヒューマン・コメディ・ミュージカル。少女は言葉 が喋れず、母国から母親と共に奇跡を起こすとされる異国の 聖地にやって来る。ところがその帰路で、臨時停車の列車か ら降りてしまった少女は異国に取り残され、国境を越えた母 親はビザ失効のため再訪もままならない。斯くしてその少女 を保護した男性は、少女を母国に還そうとするが…。聖地の 神を信じてとにかく真面目な男性の旅程には奇跡のような出 来事もあるが、様々なトラブルも生じてくる。そんな奇跡的 な旅路が描かれる。インド映画なので、隣国の描き方には多 少のとげもあるが、人民レヴェルの交流は見事に描き上げら れる。出演は2013年2月紹介『タイガー・伝説のスパイ』な どのサマール・カーン。公開は2019年1月18日より、東京は 新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)
『ホイットニー オールウェイズ・ラヴ・ユー』“Whitney” (1992年『ボディガード』でケヴィン・コスナーと共演し、 ショウビズ界のトップに君臨するが、その20年後に薬物など の影響で他界した歌姫の生涯を描いた遺族公認のドキュメン タリー。監督は2008年4月紹介『敵こそ、我が友』などのケ ヴィン・マクドナルド。本作でも様々な情報を巧みに使って 歌姫の実像を描き上げている。それにしても結末を知った上 で観るのは本当に辛いと感じる作品だ。しかし映画にはそこ に至るまでの彼女の素晴らしいパフォーマンスも、家族所蔵 のアーカイヴ映像などでふんだんに登場して、それは宝物と も言える。だがそれが薬物によって潰えてしまう。勿論薬物 がなくても他の事情で地位が揺らぐということはあったかも しれないが、ここでは薬物という悪を徹底的に描く。それこ そが本作の狙いかとも思える作品だ。そして最後のテロップ が哀しみを倍加させる。公開は2019年1月4日より、東京は TOHOシネマズ日比谷他で全国ロードショウ。)
『あまのがわ』 (2013年12月紹介『ノー・ヴォイス』の古新舜原作/製作/脚 本/監督/編集によるロボットテーマの作品。主人公は母親か ら口煩く勉強を言われている高校生。そのため心を閉ざし、 自分も見失っている。そんな彼女が鹿児島県屋久島の祖母を 見舞い、そこで会話が可能なロボットと出会う。そしてその ロボットに心を開いて行くが…。出演は哀川翔の次女で映画 初出演・初主演の福地桃子と、『仮面ライダーゴースト』の 柳喬之。他に生田智子、水野久美、杉本彩らが脇を固めてい る。同趣向の作品では2005年4月紹介『HINOKIO』を思い出 す。しかし主人公が小学生だったその作品に対して、高校生 が主人公の本作では夾雑物が多くなり過ぎる。勿論作者はそ の方を描きたいのでそれは構わないのだが、これではそのど ちらもが中途半端で、特に後半のロボットの活躍が印象に残 らないのは勿体なくも感じられた。公開は2019年2月9日よ り、東京は有楽町スバル座他で全国順次ロードショウ。)
『ひかりの歌』 (2016年7月紹介『ミリキタニの記憶』の編集などを手掛け た杉田協士監督が、歌人の枡野浩一と共催した映画化を前提 とする短歌コンテストに応募された1200首の中から選ばれた 4篇を原作とするオムニバス作品。都内や近郊のそれぞれの 環境の中で暮らす4人の女性が、旅に出てしまう同僚や閉店 する勤務先の仲間、家族の他界や行方の判らない夫などを思 いながら暮らす姿が描かれる。俳句は最近テレビ番組などで も目にするが短歌というのはなかなか判らなくて、印象とし ては俵万智くらいしかなかったが、今回選ばれたという4篇 を見るとその印象とあまり変わらないようだ。元々俳句には 一瞬を切り取るような鋭さがあるが、短歌はドラマのようで その点では映像化もしやすいだろう。ただし物語は直接短歌 を映像化したものではないが、最後にその場面になる構成は 了解できた。公開は2019年1月12日より、東京は渋谷ユーロ スペース他で全国順次ロードショウ。)
『ともしび』“Hannah” (2017年12月17日題名紹介『ベロニカとの記憶』などのシャ ーロット・ランプリングが、2017年ヴェネチア国際映画祭で 主演女優賞に輝いた作品。登場するのは一人暮らしの初老の 女性。演劇のワークショップやプールにも通い、それなりの 日々の生活を送っているように見えるが、その心の空洞は見 まごうことなく描き出されている。そして息子からは孫の誕 生会への出席を拒否されたり、その空洞の謎が徐々に解き明 かされて行く。映画はランプリングの貌のアップの多用や、 決して若くはない裸身などで、正に一人芝居と言っても良い ような構成になっている。脚本と監督は1982年イタリア出身 のアンドレア・パラオロ。1946年生まれのランプリングとは 親子より歳の離れた関係だが、見事にその内面を描き切って いるとも言えそうだ。共演は2010年9月紹介『Ricky』など のアンドレ・ウィルム。公開は2019年2月2日より、東京は シネスイッチ銀座他で全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2018年12月02日(日) |
ジャンクション29、フロントランナー(エマの瞳、ゴールデンS、沓手鳥孤城落月/楊貴妃、ラ、こんな夜更けにバナナ、ノーザンS、ブラックK) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ジャンクション29』 名古屋発のローカルアイドルグループと言ってもかなり全国 区も現れている「BOYS AND MEN」のメムバー田中俊介、水野 勝、本田剛文、小林豊が、それぞれ29歳人生の曲がり角に立 つ若者役で主演する4篇からなるオムニバス作品。 その1本目は「ツチノコの夜」。田中扮する主人公は夢を捨 てずに自主映画を撮り続けている。そんな彼が高校の同窓会 で昔の恋人と再会し、首尾よく自宅のアパートに連れ込むこ とに成功するが…。そこに招かれざる客もやって来る。 2本目は「結婚の条件」。水野扮する主人公はスーパー仲人 と呼ばれる結婚相談所の所長。そこに母親が申し込んだので 仕方なく来たという男性が現れ、やる気のない男性にあの手 この手の紹介を続けるが…。男性が気に入ったのは? 3本目は「バズる」。本田が演じるのは自撮り動画をアップ して視聴者を募るバズチューバー。中々ヒット数が挙がらな い彼は、闇金から借金してまで過激な手段に出るが…。一度 バズったことが後戻りを難しくする。 そしてもう1本は「ジャンクション」。小林扮する主人公は 最初の同窓会で人気漫画家と称しているが、実はコンテスト に応募しては落選が続いている。そんな彼が失意で故郷に向 かうバスの中で高校時代の漫研の仲間と再会し…。 共演は、1本目が本多力、佐藤玲、菅原大吉。2本目は細田 善彦、中村中、加藤葵、夕輝壽太、池村匡紀、山田キヌヲ。 3本目がゆかりの小雪、成宮しずく、水澤紳吾。最後は福山 翔大。それなりの顔触れが脇を固めている。 監督は、「ツチノコの夜」が2017年12月紹介『富美子の足』 <TANIZAKI TRIBUTE>などのウエダアツシ。「結婚の条件」 と「ジャンクション」がテレビ版『セトウツミ』などの杉田 満。「バズる」は2008年1月紹介『東京少年』で助監督をし ていたという山田晃久。いずれも新鋭の作品だ。 なお4作品は微妙に交差するが互いは独立の話で、この内の 「ツチノコの夜」「結婚の条件」「バズる」の3本は先に、 ローカル局のテレビ愛知で放送され、「ジャンクション」だ けが映画版オリジナルとなっている。 その放送される3本は、捻りはあるもののどちらかと言うと 普通の話だったが、3本を包括するように挿入される「ジャ ンクション」は少しファンタスティックと言える物語になっ ていた。 実はこの「ジャンクション」に関して、僕は主人公がすでに 成功した漫画家でそれがスランプに陥っていると解釈してい たのだが、プレス資料を見ると違っていたようだ。というこ とは最初の同窓会はこれより後の話なのかな? でもそれだと「ツチノコの夜」とキャラクターが被る気がす るし、スランプから初心に帰る展開の方が、昔の仲間と再会 するという意味が深まるような気もするのだが…。とは言え 最後の一言がグサッと来て、そこは中々良かった。 公開は2019年2月22日より、東京は渋谷シネクイント、ユナ イテッド・シネマ アクアシティお台場他で全国ロードショウ となる。
『フロントランナー』“The Front Runner” 1988年米大統領選挙において、当初最有力候補とされながら 女性スキャンダルの発覚で予備選から降板を余儀なくされた ゲイリー・ハート元上院議員を描いた作品。 主人公は1984年の予備選にも出馬したが、その時は準備不足 などで勝利は叶わなかった。しかし4年後、1936年生まれの 若き候補者は「ケネディの再来」と持て囃され、民主党の予 備選ではフロントランナーに躍り出る。 ところがフロリダで美女たちとのクルージングなど、派手な パフォーマンスを繰り広げた夜、マイアミ・ヘラルドのデス クに1本の電話が入る。それは女性の声で彼女の友人が数日 後にワシントンで候補者と密会するというものだった。 しかしその日の予定では、候補者はケンタッキーダービーを 見るとされており、情報は一蹴されるのだが…。その日の直 前になって予定がキャンセルされ、記者たちは色めき立つ。 そして尾行が始まった。 一方、候補者にはワシントン・ポストの記者が密着取材して いたが、優しく対応する半面、プライヴェートには立ち入ら せない候補者の態度に焦燥を募らせていた。そして「知りた いなら尾行でも何でもしろ」という発言を記事にする。 こうしてヘラルド紙の尾行が続けられ、遂に候補者の自宅に 女性が入って行く姿を目撃してしまう。ただしその時は女性 の身元も何も不明だったが、それでもヘラルド紙はその記事 を一面に掲載してしまう。 出演は、2015年10月紹介『PAN ネバーランド、夢の始まり』 などのヒュー・ジャックマン。2016年6月紹介『死霊館』な どのヴェラ・ファーミガ、2015年8月紹介『Re:LIFE』など のJ・K・シモンズ、2010年1月紹介『17歳の肖像』などの アルフレッド・モリーナらが脇を固めている。 脚本、監督は2018年7月1日題名紹介『タリーと私の秘密の 時間』などのジェイスン・ライトマン。その脚本は、Yahoo! Newsの政治コラムニストで、本作と2013年8月紹介『ハウス ・オブ・カード』に出演もしているマット・バイが、2014年 に発表した原作“All The Truth Is Out”に基づく。 ところで本作の中に件の女性と候補者側の女性スタッフが紅 茶を飲むシーンがあり、そこで用意された紅茶に「ハチミツ を入れるか?」という言葉で酒が所望される。ここで字幕は 酒なのだが、台詞は“Southern Comfort”だった。 これはリキュール酒の名前で、この酒は夭逝した歌手のジャ ニス・ジョプリンが愛飲し、しばしばステージ上にボトルが 置かれていたことでも知られていたものだが、実は学生時代 に友人が入手して試飲したことがある。 ところがこれが途轍もなく甘くて、一口で飲むのを止めてし まった。近年はリニューアルされてアルコール度数21度程度 のものが流通しているようだが、当時は50度以上、度数が高 いうえに甘ったるいという代物だった。 今回は映画の中でハチミツの代わりに紅茶に入れると聞き、 納得すると同時に、その甘さが口の中に甦ったものだ。 公開は2019年2月1日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他で 全国ロードショウとなる。
この週は他に 『エマの瞳』“Il colore nascosto delle cose” (自立して生きる盲人女性とプレイボーイとの恋愛を描いた イタリア映画。脚本と監督は前作で盲人のドキュメンタリー を手掛けたという2017年2月26日題名紹介『日々と雲行き』 などのシルビオ・ソルディーニ。主演はイタリアの国民的女 優とされるヴァレリア・ゴリノと、2004年12月紹介『オーシ ャンズ12』などに出演のアドリアーノ・ジャンジャーニ。 物語としてはごく定番のプレイボーイと一般女性の恋が描か れ、そこに盲人特有の様々なエピソードが挿入される。それ は盲人を描いた作品を何本か観たりしていると、まあ有り勝 ちかなと思えるエピソードではあるけれど、一般の観客には 目新しさもあるだろう。ダイアログ・イン・ザ・ダークなど 興味を惹かれるものも登場する。ただ全体の恋愛ドラマが盲 人に特化できていないのが少し物足りないが、そこはないも のねだりかな。作品には満足した。公開は2019年3月23日よ り、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『ゴールデンスランバー』“골든 슬럼버” (日本では2010年に映画化されている伊坂幸太郎の原作を韓 国でリメイクした作品。大統領選挙を目前とした中で与党の 候補者が爆殺され、その濡れ衣が宅配ドライヴァの主人公に 着せられる。持てる能力は土地勘だけという主人公が警察や 秘密情報部の警備網を掻い潜り、いろいろな助けも借りて一 発逆転の機を伺う。主演は自ら原作を読んで映画化を提案し たという2018年7月紹介『1987』などのカン・ドンウォン。 監督と脚色は、2008年1月紹介『俺たちの明日』のノ・ドン ソク。同作でロカルノ国際映画祭審査員特別賞を受賞した俊 英が取り組む初の商業映画とのことだ。日本版の時は「首相 公選」という設定に最初から絵空事という想いが付き纏い、 試写は観たが紹介を見送った。そこが韓国版だとまず設定は OKで、さらにその後の証拠捏造や拷問など…。これらが如 何にもありそうなのも怖くて面白い。公開は2019年1月12日 より、東京はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)
『シネマ歌舞伎・沓手鳥孤城落月/楊貴妃』 (坪内逍遥が明治30年頃に発表した「新歌舞伎」の一編と、 2018年1月紹介『空海』などの夢枕獏が坂東玉三郎のために 書き下ろした舞踊劇の2本立て。共に玉三郎の主演・解説付 きで、特に前者に関しては詳細な時代背景や人物関係なども 説明される。その解説を聞いてから見ると、大阪城落城に際 しての時代に翻弄される淀の方の苦悩や哀しみなども詳細に 知れるものだ。共演は、中村七之助、尾上松也、中村梅枝ら 当代の人気若手が脇を固めている。対する後者は、中国唐の 時代を背景に、玄宗皇帝が死別した楊貴妃を想い方士にその 魂を探すことを命じる。そして方士は蓬莱山で魂を呼び出す ことに成功し、楊貴妃は皇帝への永遠の愛を告げるというも の。ファンタスティックな展開ではあるが、作品自体は玉三 郎の舞踊が見どころとなっている。共演は市川中車。公開は 2019年1月12日より、「シネマ歌舞伎」の第32弾として全国 の映画館で上映される。)
『ラ』 (440Hz、ISOで定められた基準周波数、オーケストラが楽器 を調律する基準音、世界共通の赤ちゃんの産声。そんな要素 が絡み合う青春ドラマ。主人公はインディーズでそれなりに 人気バンドのヴォーカルだった。しかし彼に単独デビューの 誘いがあり、バンドは解散。だが彼自身もデビューには至ら なかった。そんな過去を引きずる主人公は市役所に勤める女 性のひものような存在だったが…。昔のメムバーから連絡が あり、バンドの再結成を約束に怪しげな仕事に手を貸すこと になる。出演は桜田通、福田麻由子、笠松将。他に佐津川愛 美、ダンカン、西田尚美らが脇を固めている。脚本、監督、 編集はテレビでバラエティやドキュメンタリーを手掛け、自 主映画で映画祭受賞なども果たした高橋朋広の商業監督デビ ュー作。個々のエピソードは現代の若者を反映しているが、 全体はちょっと有り勝ちかな。公開は2019年4月5日より、 東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。) 付記:本作の題名に関しては、過去に2015年1月紹介『ら』 という作品もあったものだが、これが映画サイトなどで検索 する際に都合が悪い。実際にeiga.comの検索では最初に1万 件以上ヒットしてしまうもので、止む無く出演者の名前で検 索して探し出した。因に本サイトでは「、ら」で検索すれば ヒットするようになっているが、今の時代には要注意だ。
『こんな夜更けにバナナかよ』 (筋ジストロフィーを発症して首から上と手しか動かせない 男性と、彼の自立を支援したボランティアの姿を描いた実話 に基づく作品。主人公は医学生と付き合っている女子。その 彼がボランティアで介護に携わっている現場に彼女がやって 来る。そこで介護の相手が夜中にバナナを所望し、彼女が買 いに行くことになるが…。介護相手のあまりに横暴な態度に 苛々を募らせる。出演は高畑充希、大泉洋、三浦春馬。他に 萩原聖人、渡辺真起子、宇野祥平、韓英恵、竜雷太、綾戸智 恵、佐藤浩市、原田美枝子らが脇を固めている。自分が生ま れ育った町の土地柄で、子供時代には障碍者が近くにいるこ との多い環境だったが、自分の体験で言えばこのような障碍 者は願い下げだと思わせる。でも障碍者にも彼なりの言い分 があって、それを聞かされると納得もしてしまう。そんなエ ピソードが綴られた作品だ。いろいろと考えさせられた。公 開は12月28日より、全国ロードショウ。)
『ノーザン・ソウル』“Northern Soul” (題名は1960年代に英国北部の労働者階級の若者たちから生 まれた音楽ムーヴメントだそうだが、映画の時代にはまだ主 流ではないのかな。そんな中で主人公はダサい地元の若者集 会で浮きながらも激しく踊る若者と遭遇する。そして学校も ドロップアウトし、2人はDJとして音楽の道を探求するこ とになるが…。ドラッグ文化なども背景に曲がりくねった青 春が描かれる。出演は、2017年に“Beautiful Devils”とい う作品で話題のエリオット・ジェームズ・ラングリッジと、 2018年9月23日題名紹介『モダンライフ・イズ・ラビッシュ』 などのジョシュ・ホワイトハウス。他にスティーヴ・クーガ ンらが脇を固めている。脚本と監督はファッション写真家の エレイン・コンスタンティン。自身の体験に基づくそうで、 音楽がふんだんに聞ける半面、物語は少し独り善がりかな。 公開は2019年2月9日より、東京は新宿シネマカリテ他で全 国順次ロードショウ。)
『ブラック・クランズマン』“BlacKkKlansman” (黒人刑事が白人至上主義団体「KKK」に潜入捜査すると いう前代未聞の実話を、2016年オスカー名誉賞受賞のスパイ ク・リー監督が映画化。2018年のカンヌ国際映画祭でグラン プリ受賞の作品。1979年コロラドスプリングスの警察署に初 の黒人警官として採用された主人公は、白人警官からは冷遇 されながらも捜査に燃えていた。そんな時、デスクに置かれ た新聞でKKKのメムバー募集の広告を見つけた主人公は勢 いで電話を掛け、日頃聞き慣れた黒人差別の発言を繰り返し て入団面接に漕ぎ付けるが…。そこに黒人学生団体の集会や KKKのイヴェントなども重なって事態は過激な状況になっ て行く。出演はデンゼル・ワシントンの実子ジョン・デビッ ド・ワシントンと、2017年7月9日題名紹介『パターソン』 などのアダム・ドライヴァ。コメディタッチの作品だが、最 期に過酷な現実も描かれる。公開は2019年3月より、東京は TOHOシネマズシャンテ他で全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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