井口健二のOn the Production
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2017年10月29日(日) ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』
                     “Renegades”
邦題がほぼ内容を表しているボスニア・ヘルツェゴビナ紛争
を背景にしたアクション作品。
物語の発端は1944年の第2次大戦末期。フランスから絵画や
金塊を強奪したナチス軍は、とある山間の村にその財宝を隠
す。しかしその事実はある事情から外部には知られないまま
になってしまう。
そして1995年は紛争の最中。主人公らネイビーシールズ5人
組は、敵将軍を拉致するなど華々しい活躍だったが、上官は
彼らの独断専行にいつも口喧しかった。それでも彼らの作戦
が成功すると上等の酒を奢ってくれていたが…。
そんなある日、主人公は親しくなった酒場の女性からある秘
密を告げられる。それは彼女の祖父がナチスによる財宝隠し
の出来事を目撃しており、その祖父の言葉から金の延べ棒を
手に入れたというのだ。
その金塊の総量は27t、総額は3億ドルにも達するというも
のだが、その眠る場所は湖の底。それでも彼らは密かにその
財宝を手に入れる計画を立てる。しかし戦地のど真ん中から
27tもの金塊を如何にして運び出すか…?
しかも彼らには、活躍を煙たがる司令部から2日以内の転属
命令が出される。

出演は、2013年2月紹介『L.A.ギャングストーリー』などの
サリバン・ステイプルトン、2017年10月紹介『ブレードラン
ナー 2049』などのシルビア・フークス。他にJ・K・シモ
ンズらが脇を固めている。
製作と原案はリュック・ベッソン。ベッソンと、2014年『イ
コライザー』などリチャード・ウェンクの脚本から、2011年
9月紹介『ファイナル・デッドブリッジ』などのスティーブ
ン・クォーレが監督した。
内容的には、1970年の『戦略大作戦』などを思い出すかな。
戦争に紛れて何かをやらかそうという話だが、さすがにフラ
ンス=ドイツ合作のヨーロッパ映画らしく、現代の状況など
が巧みに反映されているのも上手く出来た作品だ。
ただ地形的にこんなところに村があるかな? というのは問
題だが、その辺はお話ということにして、それ以上に奇抜な
アイデアがいろいろと披露される。それにベッソンだから水
中でのアクションは決まりのようなものだ。
さらに本作では、巻頭のEuropaCorpのロゴマークに続いて、
身体に輪を纏った女性像の映像が登場する。これは本作の共
同製作にStudio Babelsbergが参加しているためで、それは
1927年『メトロポリス』のマリアの姿を模したもの。
このロゴマークに関しては、以前からイラストでは観ていた
ものだが、それがCGI化されるとは…。SF映画ファンに
は感激のロゴマークだ。

公開は2018年1月12日より、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『マイティ・ソー バトルロイヤル』“Thor: Ragnarok”
(2011年5月に第1作を紹介したマーヴル・スタジオ製作の
アメコミヒーロー最新作。今回はソーの故郷アスガルドが最
恐の女神ヘラに襲われる。その戦いが義弟のロキと、アベン
ジャーズからはハルクも参戦して繰り広げられる。共演はケ
イト・ブランシェットと、2015年『クリード チャンプを継
ぐ男』などのテッサ・トンプソンが新登場する。さらにジェ
フ・ゴールドブラム、ベネディクト・カンバーバッチ、浅野
忠信らも登場。テレビ“Agent Carter”などのエリック・ピ
アソンの脚本から、ニュージーランド出身タイカ・ワイティ
ティが監督。今回は地球外の星での戦いだが、ソーは直ちに
アベンジャーズに戻ってくる。その新作への繫ぎにもなって
いるようだ。公開は11月3日より、全国ロードショウ。)
『GODZILLA 怪獣惑星』
(2016年『シン・ゴジラ』の後を受けるTOHOアニメーション
作品。実写作品の後もゴジラの来襲は続いたようで、遂に人
類は大宇宙に逃れることを決断する。しかし目指した星の環
境は人類に適合しなかった。そこで地球に舞い戻った人類だ
が、亜光速飛行で時間の経過した地球はゴジラの惑星と化し
ていた。しかし隊員の1人がゴジラ打倒の戦略を立てる。斯
くして人類vsゴジラの決戦が火蓋を切る。『PSYCHO-PASS サ
イコパス』の虚淵玄がストーリー原案と脚本を担当。『名探
偵コナン』シリーズの静野孔文と『亜人』の瀬下寛之が監督
を務めている。日本アニメの精鋭が集まった感じだが、内容
的には戦略ゲームのような感覚の作品だ。公開は11月17日よ
り、東京はTOHOシネマズ新宿他で全国ロードショウ。)
『紅い襷 富岡製糸場物語』
(群馬県富岡製糸場の世界遺産登録を記念して製作されたド
ラマ作品。長野県の士族の娘が技術を学び、故郷にもたらす
ために第一工女が締める紅い襷を目指す。明治維新で身分差
別がなくなったとされる時代。しかし現実には仲間に文盲の
女子もおり、一方で山口県から来たの女工たちは厚遇される
など、時代は定まっていなかった。それでも厳しいフランス
人教師の許でいろいろなことを学んで行く姿が描かれる。主
演は武蔵野音楽大学声楽科卒という水島優。今まで主役を演
じたことのない新人が大抜擢され、主題歌も歌っている。監
督は2016年3月紹介『スクール・オブ・ナーシング』などの
足立内仁章。公開は群馬県で先行上映の後、東京は12月2日
より、渋谷シネパレス他で全国順次ロードショウ。)
『8年越しの花嫁 奇跡の実話』
(2017年10月8日題名紹介『彼女が目覚めるその日まで』と
同じく抗NMDA受容体脳炎に罹った女性とその家族を描いた作
品。主人公らは職場の仲間が開いた合コンで出会い。愛を育
んで結婚を決意。彼女の夢見た式場の予約もする。ところが
突然彼女が記憶を失い始め、遂に昏睡状態になってしてしま
う。そして主人公には婚約破棄も告げられるが…。出演は佐
藤健と土屋太鳳。他に北村一輝、杉本哲太、薬師丸ひろ子、
浜野謙太、中村ゆり、堀部圭亮、古舘寛治らが脇を固めてい
る。監督は瀬々敬久。ハリウッド作品で調べた時には、予後
には問題ないと記されていたが、症状によってはこのような
事態にもなるようだ。公開は12月16日より、東京は丸の内ピ
カデリー他で全国ロードショウ。)
『HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION』
(2017年8月20日題名紹介『THE MOVIE 2』に続く完結編。
前作では結局対抗する大人たちを仕留められなかったSWORD
の連中が、新たな情報を頼りに最後の決戦に挑んで行く。前
作ではちょっと話が甘いかなと思っていたらの案の定の結末
だったが、今回はそこに一味加えて、これなら上手く行くか
なと思わせるものになっていた。しかもその展開が、最近の
東京都の騒動にも通じているところがあって、これはニヤリ
としてしまったものだ。他にも前作で多少疑問に感じていた
ところもそれなりの台詞で補われていた。特に前作最後の予
告編は、そのための引っ掛けだったと改めて気付きびっくり
した。出演者は、敵も味方も前作のメムバーがほぼ全員再登
場する。公開は11月11日より、全国ロードショウ。)
『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』“Neruda”
(2012年10月28日「東京国際映画祭」で紹介『NO』でも共
演したルイス・ニェッコ、ガエル・ガルシア・ベルナルによ
る南米チリの歴史的な情勢を描いた作品。1948年、第2次大
戦が終結して間もないチリでは親米派の大統領による共産主
義者の迫害が始まる。ネルーダは国民的詩人であり国会議員
も務めていたが、共産党員で迫害の対象だった。そして党が
非合法となり逮捕の危機が迫った時…。1971年のノーベル文
学賞にも輝く詩人の逃亡劇が、フィクションともノンフィク
ションともつかない見事な手法で描かれる。監督は『NO』
などのパブロ・ラライン。正しくこれが映画だという感じの
作品だった。公開は11月11日より、東京は新宿シネマカリテ
他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
またこの週は、第30回東京国際映画祭も開催中ですが、その
上映作品の紹介は閉幕後に纏めて行うことにします。



2017年10月22日(日) わたしたちの家

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『わたしたちの家』
2013年12月紹介『神奈川芸術大学映像科研究室』に続く、黒
沢清教授絶賛の東京藝術大学大学院修了制作作品。
物語の舞台は1軒の日本家屋。シャッターを開けて入る狭い
玄関と、その玄関に続く居間と奥の部屋と2階もあって少し
入り組んだ構造になっている。その家には14歳の少女と母親
が暮らしているが、母親は再婚相手を見つけたようだ。
そして同じ家には、記憶を失った女性と社会人の女性も暮ら
しているのだが、2組の住人は互いに同じ空間を共有しなが
らも相手に気付いておらず、次元か何かが異なっているよう
だ。しかし彼女たちに危機が訪れた時…。
SFファンが観れば面白がりそうな題材だが、作品の中では
この現象に対する説明はなく、ただ起きていることとして物
語は進められる。その描き方もまたファンタスティックで、
僕は満足した。
本作は2017年PFFアワードでグランプリを受賞したとのこ
とで、そのレヴューではデヴィッド・リンチとの比較もされ
ている。しかしリンチほど耽美的ではないし、これ見よがし
の奇矯な演出もないから、作品としては取っ付き易い。
そして作品の中では、女性の生き方のようなものが問い掛け
られ、その問い掛けの前では上記の状況などは全く些細なこ
ととなってしまうものだ。

脚本と監督は、本作の前にもPFFで受賞している清原惟。
共同脚本の加藤法子、さらに衣装担当の青木悠里はいずれも
25歳の同世代の女性が集まって製作されている。
出演は河西和香、安野由記子、大沢まりを、藤原芽生。河西
は子役で、大沢はすでに何本かの出演歴がある。他の2人も
そこそこCFなどに出ている女優ようだ。他には映画美学校
アクターズクラスの出身者などが脇を固めている。
家の建つ町は近くに海岸もある場所で、何となく福島県を思
い出させた。でも自動車のナンバープレートが横浜と相模原
で、そうなんだと思っていたら主人公らの歩く商店街に横浜
Fマリノスの応援バナーが掲げられていた。
それで試写後にロビーにいた監督に、「場所は特定できない
方が良かったのでは?」と話を持ち掛けたが、監督からどこ
で場所を特定したか問われた。僕は上記の2点を答えたが、
車は気付いていたがバナーは想定外だったようだ。
つまりナンバープレートに関しては、車は移動するものだか
ら言い訳できるが、Jリーグのバナーは間違いなく場所を特
定してしまうもので、場所を特定されたくなかったらこの辺
には大いに気を使って欲しいと思うものだ。
小うるさい話ではあるが。

公開は2018年1月13日より、東京は渋谷ユーロスペースにて
レイトショウされる。

この週は他に
『We Love Television?』
(1980年代初頭に3本の冠レギュラー番組を持ち、そのいず
れもが視聴率35%を超えて“視聴率100%の男”と呼ばれた
萩本欽一。その番組制作の秘密に迫るドキュメンタリー。作
品は2011年のアナログ放送終了を控えて、「視聴率30%の番
組を作りませんか?」というプロデューサーの誘いに応え、
その企画の立ち上げからリハーサル、本番までを追うもの。
ただまあ最初の内は中々テンションが上がらず、多少たるい
感じはあるが、いざリハーサルが始まるとそこに繰り出され
る発言の重さや番組に対する意欲などで圧倒される。この熱
意が今の日本にも必要だという思いもする作品だった。公開
は11月3日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷他で
全国ロードショウ。)
『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』
(永井豪の原作で1972年にアニメ化され、巨大ロボット物の
先駆けとされる作品を、原作者の画業50周年を記念して新た
に製作した作品。物語の背景はDr.ヘルとの戦いに勝利した
10年後。人類は光子力エネルギーの活用によって文明を謳歌
していた。ところがアメリカの光子力プラントが襲撃され、
Dr.ヘルの部下だったアシュラ男爵の復活が明らかとなる。
一方、富士山麓に設けられた光子力の平和利用を目指す研究
所で古代文明のものと推測される巨大ロボットが発見され、
その中から人型のコントロールユニットが目を覚ます。果た
してその巨大ロボットは悪魔の使者か神の使者か? 脚本は
漫画家の小沢高広。監督は『プリキュア』を6作担当の志水
淳児。公開は2018年1月13日より、全国ロードショウ。)
『新世紀、パリ・オペラ座』“L'Opera”
(2016年10月23日題名紹介『ミルピエ』でも描かれたフラン
スのオペラとバレエの殿堂を取材したドキュメンタリー。実
は21世紀に入ってオペラ座では様々な改革が行われており、
それを推進して行く経営陣らの姿が中心に描かれる。その中
ではロシアの若き歌手を抜擢する話や、予定された歌手の出
演が突然キャンセルされて急遽他の歌手を探す話など、正に
現場という感じの話題も紹介される。その一方で子供たちを
音楽に親しませるための取り組みなど、組織としてのオペラ
座の全貌が描かれる。そしてその間に、「タンホイザー」や
「ドン・ジョヴァンニ」などの様々な名曲が挿入され、音楽
ファンにも恰好の作品になっている。公開は12月9日より、
東京はBunkamura ル・シネマ他で全国順次ロードショウ。)
『映画キラキラ☆プリキュアアラモード
          パリッと!想い出のミルフィーユ!』
(2017年3月19日題名紹介『映画プリキュア・ドリームスタ
ーズ!』に続く現在放送中のシリーズからの劇場版。今回は
先輩の助けは借りずに、現行のメムバーだけで戦いを挑む。
物語の舞台はパリ。そこで開かれるパティシエコンテストに
出場するメムバーたちだったが、中心となるシエルが修業時
代の師匠と再会した時から調子がおかしくなる。そしてとん
でもない事件が起こってしまう。ゲスト声優にテレビ『サボ
リーマン甘太郎』などの尾上松也。キメ台詞はないが、テレ
ビのままの喋りは面白かった。まあ他愛もないお話ではある
けれど、友情の大切さなど子供に伝えたいメッセージはしっ
かりと描かれていたものだ。公開は10月28日より、東京は新
宿バルト9他で全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
またこの週は、東京国際映画祭上映作品の事前試写も行われ
たが、その紹介は閉幕後に纏めて行うことにします。



2017年10月15日(日) パーティで女の子に話しかけるには、斉木楠雄のΨ難

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『パーティで女の子に話しかけるには』
          “How to Talk to Girls at Parties”
2009年12月と2010年1月にも紹介した『コララインとボタン
の魔女』の原作でヒューゴー賞を受賞したニール・ゲイマン
の短編小説を、2007年5月紹介『ショートバス』などのジョ
ン・キャメロン・ミッチェル監督が、2016年4月紹介『トラ
ンボ』などのエル・ファニングを主演に映画化した作品。
題名を見て、ちょっと内向的な少年がガールフレンドを作る
までのお話かなと思いきや、実はファニングの演じる「女の
子」が異星人という展開。しかもその異星人の設定がSF的
にかなり捻りの利いたものになっている。
物語の背景は、1977年のロンドン郊外。主人公はパンク音楽
が大好きな少年。そんな少年が仲間2人とお気に入りのバン
ドのライヴを見た帰り、ふと聴こえてきた音楽に誘われて潜
り込んだパーティで少女に出逢う。
そしてその少女と意気投合した少年だったが、そのパーティ
のメムバーと一緒の少女の暮らしには特別なルールがあり、
少年と少女に残された時間はあまりに短かった。そこで2人
は、ルールを打ち破るべくある行動に出るが…。

共演は、2015年のトニー賞で史上最年少の主演男優賞に輝い
たというアレックス・シャープ。
他に、2013年7月紹介『ローン・レンジャー』などのルース
・ウィルスン、2016年5月紹介『アリス・イン・ワンダーラ
ンド』などのマット・ルーカス。さらにニコール・キッドマ
ンらが脇を固めている。
なお、監督のキャメロンは製作と脚本も担当し、原作者のゲ
イマンは製作総指揮に名を連ねている。
実は異星人のルールというのがいろいろあるが、あまり劇中
では説明されない。しかし結末のシーンに併せるといろいろ
考えてしまう仕組みになっている。その辺はSFファンには
微妙に面白くも感じてしまうところだ。
それと異星人たちの衣装が未来的と言えば未来だが、それが
1967年の『バーバレラ』を髣髴とさせる少しレトロな感じも
して、この微妙さもニヤリとさせられたところだ。その
衣装
は2011年12月紹介『ヒューゴの不思議な発明』などを手掛け
たサンディ・パウエルが担当している。
カルト宗教との絡みなど、ちょっと現実的というかシビアな
部分もあるが、SFとしてのつくりはそれなりにしっかりし
ていて、原作者のセルフパロディ的なところも面白く観られ
る作品だった。
なお僕には判らないが、パンク音楽に関する言及もしっかり
した物のようだ。

公開は12月1日より、東京は新宿ピカデリー他で、全国順次
ロードショウとなる。

『斉木楠雄のΨ難』
赤塚賞の準入選作品で2006年にデビューしたという漫画家麻
生周一が2012年から「週刊少年ジャンプ」に連載中のギャグ
マンガを2017年6月25日題名紹介『銀魂』などの福田雄一の
脚本監督で映画化した作品。
主人公は男子高校生。彼にはテレパシーやテレキネシスなど
全ての超能力が備わっており、あまりに強力な力を制御する
ため、頭部には2本の制御棒が刺さっている。そして頭髪は
ピンクだが、その違和感は超能力によって周囲には気付かれ
ていないものだ。
そんな主人公は学校では極力目立たないように過ごしていた
が、学園祭のシーズンとなり、その期間中にトラブルが生じ
たら来年からは中止にするとの学校側の方針が発表される。
しかし主人公にとって学園祭は、その間に姿を消しても気付
かれない、唯一の気晴らしができる期間だった。
そこで学園祭の継続のため期間中にトラブルが発生しないよ
うにパトロールを始める主人公だったが…。次々に発生する
予期せぬ出来事が主人公を窮地に陥れて行く。

出演は、2017年8月27日題名紹介『氷菓』などの山崎賢人、
『銀魂』などの橋本環奈、新井浩文。さらに2017年8月紹介
『トモダチゲーム』などの吉沢亮、2012年11月紹介『ユダ』
などの笠原秀幸、2017年8月6日題名紹介『茅ヶ崎物語』な
どの賀来賢人。
また、ムロツヨシ、佐藤二朗、内田有紀、田辺誠一らが脇を
固めている。
ホラー作家のスティーヴン・キングが1980年に発表した小説
『ファイアスターター』の中で、超能力者の家に捜索に入っ
た捜査官が大量に配置された消火器を見て、パイロキネシス
の少女を育てた両親の苦労を思うシーンがある。
それは、それまで超能力者の登場する作品を漠然と読んでい
た僕にとっては、目から鱗が落ちる様な衝撃だった。それに
対して本作の主人公は、生まれてすぐから物事をわきまえて
いたという設定で、これは1本取られたと思ったものだ。
とは言うものの、そこから後の超能力の扱いは行き当たりば
ったりというかご都合主義の塊のような展開で、それは原作
がギャグマンガだから仕方がないとは言うものの、もう少し
何か捻りくらいは欲しいと感じた。
でもまあ『銀魂』の時にも書いたが、この監督にはそういう
考えは全くないようで、それがこの監督の取り得でもあるの
だろう。それがSFファン的には大いに歯痒さを感じてしま
うところではあるのだが…。

公開は10月21日より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロード
ショウとなる。
今回はいずれもSFの範疇と呼べる日英の2作品を紹介した
が、後の作品がハリウッド張りとも言えるVFX満載なのに
対して前の作品は、衣装の奇抜さを除けば映像的には殆んど
目立つものはない。しかしSFの観点で言えば逆向きのベク
トルで、彼我の差を感じさせる2作品だった。

この週は他に
『二十六夜待ち』
(2001年に『ア・ルース・ボーイ』という原作がNHKドラ
マ化されて芸術祭大賞を受賞している仙台在住の作家・佐伯
一麦による同名原作の映画化。震災ですべてを亡くした女性
と、記憶を失くしてその町に流れ着き、周囲の人の援助で居
酒屋を開いた店主との大人のラヴストーリー。店主には身に
ついた板前の腕があり、それを頼りに身元を調べようとした
りもするが…。出演は井浦新、黒川芽以、諏訪太朗。監督は
2017年6月11日題名紹介『海辺の生と死』などの越川道夫。
原作者の佐伯は私小説作家だそうで、成程そんな感じの作品
と言える。正直ドラマ的には何も起こらないが、しっとりと
した雰囲気が素敵な情感を生み出している。公開は12月23日
より、東京はテアトル新宿他で全国順次ロードショウ。)
『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』
           “Mein Blind Date mit dem Leben”
(先天性の網膜剥離が成人して発症し、殆んど視力を失った
若者が子供のころからの夢だったホテルマンを目指して奮闘
する。実話に基づくとされる作品。若者は症状を隠して研修
に応募するが、当然あらゆるところで失敗が続く。しかしそ
れにめげずに努力を重ね、周囲の協力者や思いやりにも恵ま
れて…。物語は他の要素も絡めて描かれている。映画の最後
に本人の写真も登場して実話と判るが、一見健常者と変わら
ない風采は、逆に普段の生活でも苦労が多いのだろうと察せ
られる。ここに描かれた本人の努力も素晴らしいが、観客に
そんなことも思わせるほど映画も巧みに作られていた。公開
は2018年1月13日より、東京は新宿ピカデリー、角川シネマ
有楽町他で全国順次ロードショウ。)
『コードギアス 反逆のルルーシュ�� 興道』
(2006年10月〜2007年3月及び2008年4月〜9月に放送され
た全50話のテレビアニメに新規映像を加え、全編新規アフレ
コで再構成し、3部作で公開される劇場版の第1部。日本を
含む世界の殆んどがブリタニアと呼ばれる大国に支配された
並行世界が舞台の物語。その世界で相手に自分の意思を押し
付ける超能力を得た日本留学中のブリタニアの少年が、母親
の復讐のためその能力を駆使して帝国に挑んで行くという内
容のようだ。ただし映画のほとんどはブリタニア軍の主要兵
器である人型ロボットの戦いであるが、本作の特徴としては
そこに主人公の超能力がどう絡むのかが焦点になるようだ。
公開は10月21日より、東京は新宿バルト9、TOHOシネマズ日
本橋他で全国ロードショウ。)
『デメキン』
(お笑い芸人「バッドボーイズ」の佐田正樹が福岡で暴走族
の総長だった頃を描いた同名自伝小説の映画化。ギョロ目の
ために題名のあだ名を付けられ、いつも虐めに遭っていた少
年が覚悟を決めて喧嘩を極め、その腕前から暴走族でも頭角
を現し、遂に総長の座に上り詰める。しかしその道には血気
盛んな敵が次々に待ち構えていた…。出演は2017年2月紹介
『サクラダリセット』などの健太郎と、2017年8月紹介『ト
モダチゲーム』などの山田裕貴。脚本は前回題名紹介『嘘八
百』などの足立紳で、監督は2013年12月紹介『猫侍』などの
山口義高が担当した。2015年4月紹介『Zアイランド』など
の品川祐もそうだったが、芸人ってのは…。公開は12月2日
より、東京はシネマート新宿他で全国ロードショウ。)
『はいからさんが通る・前篇』
(1975年〜77年に「週刊少女フレンド」で連載され、1977年
第1回講談社漫画賞少女部門を受賞した大和和紀の原作を、
原作者の画業50周年を記念して前後編でアニメーション化し
た前編。大正期を溌剌と生き抜いた女性の生涯の内で、祖父
母の代からの許嫁とされた少尉との出会いから、少尉の生家
での花嫁修業、さらに少尉のシベリア出兵と、主人公が大陸
に渡るまでが描かれる。上映時間は90分で多少駆け足の展開
ではあるが、主人公が婚家を守る決意をする件などにはそれ
なりの感動が味わえた。声優は2017年4月紹介『BLAME!』な
どの早見沙織。脚本と監督は2010年スタートの『機動戦士ガ
ンダムUC』などの古橋一浩。公開は11月11日より、東京は
新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)
『機動戦士ガンダム サンダーボルト BANDIT FLOWER』
『機動戦士ガンダム Twilight AXIS 赤き残影』
(2017年8月6日に『THE ORIGIN』を紹介したシリーズから
のスピンオフ作品。前者は太田垣康男による漫画作品をアニ
メ化したシリーズの第2シーズンの総集編。後者はスマート
フォンアプリ「ガンダムファンクラブ」で独占先行配信され
たショートアニメシリーズに新作シーンを加えた特別版だそ
うだ。前にも書いたように僕はこのシリーズの世代ではない
ので内容的には全く不明の点が多いが、作品のファンにはこ
れで良いのだろうし、その点をとやかく言う筋合いもない。
それぞれが60分程度の作品では、深い話を描くのも難しいと
ころだろう。ただ本作が2本立てで公開なのは親切と言える
ところだ。その公開は11月18日より、東京は新宿ピカデリー
他、全国15館での限定上映。)
『カンフー・ヨガ』“功夫瑜伽 Kung Fu Yoga”
(ジャッキー・チェンが考古学者且つカンフーの達人という
主人公を演じる中国インド合作のアクション作品。その主人
公がインド人美女の依頼に応え、ある一家に纏わる歴史的な
秘宝を探すという展開で、両国は元より一部シーンはアイス
ランドでも撮影された壮大な物語が繰り広げられる。さらに
そこにドバイでのカーチェイスなどアクション満載で、また
『インディ・ジョーンズ』にオマージュが捧げられるなど、
映画ファンにも納得な作品だ。共演は2013年『コールド・ウ
ォー』などのアーリフ・リー、韓国アイドルグループEXO
のレイ、インドからディシャ・パタニとソーヌー・スード。
監督はスタンリー・トン。公開は12月22日より、東京は新宿
バルト9他で全国ロードショウ。)
『猫が教えてくれたこと』“Kedi”
(トルコの古都イスタンブールに暮らす猫の姿を猫目線で撮
影したドキュメンタリー。この土地では伝統的に猫が大事に
されてきたようだが、大都市化が進み自然に基づく野良猫の
暮らしも厳しくなってきている。そんな問題点も指摘しなが
ら、野良猫と人間の係わりが描かれる。その中には財産を失
いかけたら鳴いている猫の横に落ちていた財布で救われたな
ど、正しくネコババな話も出てくるが、全体的にはおっとり
とした猫らしいドキュメンタリーになっている。アメリカの
上映では1館スタートから130館まで伸ばしたという異例の
ヒットになったそうだ。猫好きにはたまらない作品と言えそ
うだ。日本での公開は11月18日より、東京はシネスイッチ銀
座、YEBISU GARDEN CINEMA他で全国順次ロードショウ。)
『最低!』
(2017年9月24日題名紹介『勝手にふるえてろ』と共に今年
の東京国際映画祭コンペティション部門で上映される作品。
AV女優の紗倉まなによる同名小説を、ピンク映画に実績も
ある瀬々敬久監督が、森口彩乃、佐々木心音、山田愛奈の主
演と、高岡早紀、渡辺真起子、根岸季衣、忍成修吾らの共演
で描いた群像劇。それぞれが母と娘の関係を描く3つの物語
が並行して描かれ、その内2つは最後に繋がりを持つ。しか
し佐々木、渡辺の話は独立で、僕はこの2人の話が一番好き
だったかな。できたらここだけで短編に仕上げて欲しいとも
思ったくらいだ。特に最後に渡辺が佐々木の手を抱いて呟く
一言が心に沁みた。公開は11月25日より、東京は角川シネマ
新宿他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2017年10月08日(日) ゆらり、ブレードランナー 2049

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ゆらり』
劇団「TAIYO MAGIC FILM」主宰の西条みつとしが、自身の劇
団で2013年と2015年に上演して話題になったという同名戯曲
を自らの手で脚本化。劇場映画初監督の横尾初喜が映画化し
たSF的な要素のある作品。
物語の舞台は石川県能登半島に建つちょっと古い感じのペン
ション。そこで現在と未来と過去の3部構成で、ある宿命を
背負った家族のドラマが展開される。
最初の現代では、幼い女児のいる夫婦の主に妻がペンション
を経営し、若い女性従業員が働いている。そこに中年の男女
の宿泊客が訪れる。その男女は別々に部屋を取るが、男性の
態度が落ち着かない。その宿にはもう1人の女性客がいて、
彼女の勘違いから少しドタバタなドラマが描かれる。
続いてはちょっと未来のお話。第1部では女児だった女性が
シングルマザーとなって男児を育てている。そこで息子から
「神様はいるの?」と聞かれた母親は、手紙を入れると神様
からの返事が届くという、祖父譲りのポストを見せる。そし
て息子の入れた手紙に返事が届くが…。
最後はちょっと過去の出来事。ペンションは中年夫婦が経営
しており、そこに女優を目指し東京に行っていた娘が戻って
くる。しかし母親と娘の関係はぎくしゃくしているようだ。
その娘が謎のリモコンを見つけ、そのボタンを押すと同じ時
間が繰り返すことに気付く。
こうして時間が繰り返したことで娘は、自分が母親に取った
態度の愚かさを知り、それを直そうとするが…。リモコンに
は使用法と共に、「繰り返した時間は少しだけ変えることは
できるが、結局は元に戻ってしまう」という注意書きが記さ
れていた。

主演は、2013年4月紹介『俺俺』などの岡野真也と、2011年
1月紹介『心中天使』などの内山理名。他に戸次重幸、萩原
みのり、山中崇、遠藤久美子、平山浩行、渡辺いっけい、鶴
田真由らが脇を固めている。
第1部と第2部はそれなりの親子関係を描いたヒューマンな
ドラマが展開される。そこからの第3部はSFファンの目か
らするとちょっと唐突な感じもするが、タイムパラドックス
などは問題ないように作られている感じだ。この辺のSFテ
ーマの扱いは最近の劇作家はしっかりしている。
それに加えて本作では、第1部では女性従業員がポケットに
手を入れた時のかすかな音や、第2部では最後の手紙の執筆
者など、細かいところで正にドラマが展開されている。この
辺の演出も素敵に感じられる作品だった。
なおタイムパラドックスに関しては、上記の注意書きがポイ
ントになるが、SFファン的には逆の解釈が思い浮かぶとこ
ろも、よく考えられた作品と言えそうだ。中々巧みなSF作
品だった。

公開は11月4日より、東京は池袋シネマロサ他で、全国順次
ロードショウとなる。

『ブレードランナー 2049』“Blade Runner 2049”
1982年に公開され、当時のSFファン以外にも支持された名
作映画の続編が35年の時を経て誕生した。これは製作総指揮
リドリー・スコット、監督は2017年3月紹介『メッセージ』
のドゥニ・ヴィルヌーヴによる渾身の作品だ。
前作の舞台は2019年だったそうで、本作はその30年後。気象
の変化により海水面が上昇し、高い堤防で海洋から仕切られ
たロサンゼルスで物語は始まる。そして登場するのは自らが
レプリカントでありながら、レプリカントの逃亡者を追う捜
査官(ブレードランナー)のK。
そのKが逃亡レプリカントを処理した場所から別の白骨遺体
が発見され、その骨には人類とレプリカントの関係を揺るが
すある重大な痕跡があった。そして新たな指令がKに与えら
れる一方で、成人のまま誕生するレプリカントに植え付けら
れる疑似記憶の中で、Kの幼少時代の記憶に謎が生じる。

出演は、2013年2月紹介『L.A.ギャングストーリー』などの
ライアン・ゴズリング、2013年8月紹介『ハウス・オブ・カ
ード』などのロビン・ライト、2016年8月題名紹介『スーサ
イド・スクワッド』などのジャレッド・レト、2012年5月紹
介『灼熱の肌』などのアナ・デ・アルマス。それにハリスン
・フォード。
脚本は、前作を手掛けたハンプトン・ファンチャーの原案と
シナリオから、2011年7月紹介『グリーン・ランタン』や、
2017年『エイリアン コヴェナント』などのマイクル・グリ
ーンが参加して完成された。
前作は、日本製品のCMも登場するヴィジュアル・インパク
トでも評判になったものだが、本作ではちょっとハングルが
増えたかな? でも要所にはしっかりと日本語が登場するの
は、今回の映画配給がソニーというだけではないだろう。
しかもそのヴィジュアルは、今回はIMAXで製作されてお
り、完成披露の品川プリンスのシアターで行われた映像は正
に目を見張るものだった。
さて以下はかなりネタバレに接近するが、前作ではブレード
ランナーのデッカード本人がレプリカントであるのか否かが
最後に残された謎のままだった。それに対して本作の主人公
Kは最初からレプリカントとされており、対するデッカード
の立場も明白にされている。
そしてそこから新たな謎が登場するが、それが前作やその後
の状況を知る者にはかなり切ない。そんな物語が相応のサプ
ライズを含めて見事に展開されている。脚本家ファンチャー
は、本作を想定して前作を書いたのだろうが。35年を経ての
本作は、見事にその物語を完成させることになった。

公開は10月27日より、東京は丸の内ピカデリー、新宿ピカデ
リー他で、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『アランフェスの麗しき日々』
            “Les beaux jours d'Aranjuez”
(2011年10月紹介『Pina』などのヴィム・ヴェンダース
監督が、1987年『ベルリン・天使の詩』などでも組んだドイ
ツ出身の劇作家ペーター・ハントケによる2012年発表の戯曲
を脚色し、映画化した作品。出演は2017年8月27日題名紹介
『永遠のジャンゴ』などのレダ・カテブ。ほぼ会話劇で進行
する作品だが、結末に流れる音響が何とも様々なものを想像
させる。しかしそこに結論は明示されず、観客の脳裡にいろ
いろなものが想起される。それが監督の狙いなのだろうが、
もう少し何かヒントが欲しい感じはした。なお撮影はナチュ
ラル3Dで行われたとプレス資料にあるが、日本での公開は
2Dになってしまうようだ。公開は12月より、東京はYEBISU
GARDEN CINEMA他で、全国順次ロードショウ。)
『恋とボルバキア』
(2010年3月紹介『アヒルの子』小野さやか監督7年ぶりの
新作は、セクシャルマイノリティを描くドキュメンタリー。
時間の関係で9月10日付に題名のみ掲載とした『女になる』
という作品が、実は性転換手術を受けた人物のドキュメンタ
リーで、かなり正確にその状況を描いていた。それに比べる
と本作は多少情緒に流れたかな? 監督の思い入れが少し前
面に出過ぎた感じもする。特に複数の事象を並行して描く構
成はドラマティックだが、それぞれの事象を判り難くしてい
るようにも感じた。ただし2作を両方共に観ると、互いに理
解が深まる作品にはなっているが…。本作の公開は12月9日
より、東京はポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。ま
た田中幸夫監督の『女になる』は、10月28日より新宿K's
cinema他で、全国順次及び特集上映となる。)
『嘘八百』
(前回題名紹介『リングサイド・ストーリー』の武正晴監督
が、中井貴一、佐々木蔵之介をW主演に迎えた骨董品を巡る
虚々実々の物語。脚本は2014年『百円の恋』でも武監督と組
んでいる足立紳と2002年4月紹介『パコダテ人』などの今井
雅子。共演者には友近、森川葵、前野朋哉、堀内敬子、坂田
利夫、木下ほうか、塚地武雅、桂雀々、寺田農、芦屋小雁、
近藤正臣らの名前が並ぶ。まあ普通に詐欺師の話なのだけれ
ど、こんなことで騙されるのかな? でもそれが骨董界の現
状なのかもしれないし、こんなことで振り回される文化庁の
役人というのは、情けないが案外ある話かもしれない。でも
素人目には有りそうもない話というのは…、ちょっと盲点か
な。公開は2018年1月5日より、全国ロードショウ。)
『セントラル・インテリジェンス』
               “Central Intelligence”
(2016年6月紹介『ペット』で声優を務めたコメディアンの
ケヴィン・ハートが、ドウェイン・ジョンスンとコンビを組
んだ実写アクションコメディ。主人公は高校時代は将来を嘱
望されたが、実社会では鳴かず飛ばずになってしまった男。
そんな男の前に高校時代に窮地を救って貰ったという偉丈夫
が現れる。そしてその偉丈夫は、言葉巧みに主人公を危険が
一杯の道に誘って行くが…。共演は2017年3月26日題名紹介
『潜入者』などのエイミー・ライアン、2016年9月18日題名
紹介『アイ・イン・ザ・スカイ』などのアアロン・ポール。
監督は2013年12月紹介『なんちゃって家族』などのローソン
・マーシャル・サーバー。公開は11月3日より、東京は新宿
武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『写真甲子園 0.5秒の夏』
(北海道東川町を中心に毎年夏に開催されている全国高等学
校写真選手権大会、通称「写真甲子園(写甲)」を題材にし
た青春ドラマ作品。全国高等学校の写真部やサークルが組み
写真の実力を競い、地区ブロックを勝ち抜いたチームが北海
道に結集して与えられた題材で作品を作って行く。その様子
が大阪と東京の代表校を中心に描かれる。そこにはいろいろ
なトラブルもあるが…。出演は「仮面ライダーエグゼイド」
の甲斐翔真。他に平祐奈、萩原利久らの若手に加えて、秋野
暢子、河相我聞、千葉真一らが脇を固める。脚本と監督は、
2003年11月9日付紹介「東京国際映画祭」コンペティション
作品『ほたるの星』などの菅原浩志。公開は11月11日より、
北海道先行上映の後、全国順次ロードショウ。)
『彼女が目覚めるその日まで』“Brain on Fire”
(クロエ・グレース・モレッツの主演で、原因不明の難病に
冒されたNYポスト紙女性記者の闘病記を映画化した実話に
基づく作品。彼女が罹った抗NMDA受容体脳炎という病気は、
適切な治療をすれば完治可能だが、その診断がかなり難しい
ようだ。その辺の経緯が映画でも描かれ、診断後が呆気ない
のは、そう言うものということなのだ。共演は2017年2月紹
介『キングコング』などのトーマス・マン、2017年9月紹介
『ギフテッド』などのジェニー・スレイト。さらに『マトリ
ックス』シリーズのキャリー=アン・モス、『ホビット』シ
リーズのリチャード・アーミテージ。脚本と監督はアイルラ
ンド出身のジェラルド・バレット。公開は12月16日より、東
京は角川シネマ新宿他で全国順次ロードショウ。)
『ゴーストブライド』“Невеста”
(帝政ロシア時代から伝わるとされる霊魂を他者に乗り移ら
せる儀式に遭遇した女性の恐怖を描くロシア製ホラー作品。
ホラー映画は世界的なブームのようで、本作の監督スビヤト
スラフ・ポドゲイエフスキーもすでに何本か同じジャンルの
作品を発表しているようだ。そういう勢いの中での作品で、
本作もホラーシーンなどは卒なく纏まっている。内容的には
2017年8月紹介『ゲット・アウト』にも通じているかな? 
ただまあ儀式の結末というか、オチがこれなのはいやはや。
伝統が背景のホラーも世知辛くなったものだ。もっともこの
点は、1974年にアンディ・ウォーホルが監修したホラー映画
でも指摘されていたことだが…。公開は11月25日より、東京
はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)
『ラ・ベア マッチョに恋して』“La Bare”
(2012年スティーヴン・ソダーバーグ監督の『マジック・マ
イク』に出演し、2014年の続編にも登場した俳優ジョー・マ
ンガニエロが、その題材である男性ストリップの世界を取材
したドキュメンタリー。元々出演に悩んでいた俳優が、友人
から「実はやっていたことがある」と告白され、役作りで見
学したのがきっかけだったそうだ。そこでその世界に興味を
持った俳優が初監督として作り上げている。それはかなり際
どい世界を愛情をもって描いたもので、中には犯罪行為に掛
る部分も赤裸々に描かれている。しかもかなりドラマティッ
クな展開もあるのは、知った上での初挑戦だったかな。でも
真摯に作られた作品だ。公開は12月9日より、東京はヒュー
マントラストシネマ渋谷他で全国順次ロードショウ。)
『青春夜話 Amazing Place』
(「キネマ旬報」に「ピンク映画」の連載や、怪獣映画に関
する書籍もある評論家・切通理作による初映画監督作品。街
で出会った男女が同じ学校の出身と知り、深夜の校舎に忍び
込んで学生時代にいじめられた思い出への復讐を実行する。
さすが長年の評論活動で培ったというか、観客の観たいもの
をよく心得た展開が描かれている。出演は、2017年5月14日
題名紹介『ぼくらの亡命』などの須森隆文と、2015年1月紹
介『ら』などの深琴(以前の名前はももは)。2015年『向日
葵の丘』などの飯島大介、2017年7月9日題名紹介『蠱毒』
などの安部智凛。公開は12月2日〜15日に、東京は新宿K's
cinemaにてレイトロードショウ。初日舞台挨拶と、期間中に
トークイヴェントも開催。)
『探偵はBARにいる3』
(2011年、2013年に公開された大泉洋、松田龍平共演による
北海道が舞台のミステリーシリーズ第3弾。実は前の2作は
観ていないが、物語は本作だけで充分理解できるものになっ
ている。そして今回の依頼は、大学生からの失踪した女子大
生の行方。しかし彼女の身辺を洗う内に事件はススキノの裏
社会を巻き込む大きな事件に発展して行く。ゲスト出演は北
川景子、前田敦子。さらに鈴木砂羽、リリー・フランキー、
田口トモロヲ、志尊淳、マギー、松重豊、野間口徹らが脇を
固めている。厳冬期の北海道でロケは行われたようで、広々
とした雪原などがちょっと普段と違う気分にさせてくれる。
監督は2016年8月14日題名紹介『疾風ロンド』などの吉田照
幸が新登板。公開は12月1日より、全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2017年10月01日(日) 花筐、DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『花筐』
2014年5月紹介『野のなななのか』などの大林宣彦監督が、
1977年の『HOUSE ハウス』以前に企画していた幻のデビュー
作がついに実現された。
物語の舞台は、1941年の佐賀県唐津市。おくんちの祭りと、
戦争の足音が間近に迫る中での青春群像劇は、2012年4月紹
介『この空の花』、『野のなななのか』に続く戦争3部作の
最終章となるものだ。
主人公は叔母の家に身を寄せている17歳の若者。時折は米軍
機の空襲などもあるが、平生は比較的静かで主人公も同級の
若者たちと青春を謳歌している。そんな中で主人公は、従妹
に心を寄せていたが、彼女は胸の病に苦しんでいた。
さらに主人公の周囲の一見豪放な若者たちも、それぞれの悩
みに苦しんでいた。そして戦時下でもおくんちの祭りが盛大
に繰り広げられる。

出演は窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、柄本時生。さらに
矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦。そして常盤貴子、村田雄浩、
武田鉄矢、入江若葉、南原清隆、根岸季衣、池畑慎之介、白
石加代子、片岡鶴太郎、高嶋政宏、品川徹、伊藤孝雄らが脇
を固めている。
原作は檀一雄の同名純文学に基づくもので、そこから大林監
督と、『HOUSE ハウス』にも協力した桂千穂が共同で脚色。
因に原作には明確な場所の指定はないが、40年前の企画当時
に存命だった原作者から「唐津に行きなさい」との示唆を受
けて訪問し、ロケ地に定めたそうだ。
そして今回は、唐津映画製作推進委員会の名の許に唐津市の
全面協力を得て映画が製作されている。
大林監督による戦争3部作最終章という位置付になっている
作品だが、本作の中では監督のセルフオマージュとも言える
シーンが随所に見て取れる。それは例えば合成場面で人物に
縁取りがあったり、スクリーンプロセスらしきシーンの背景
がぼけていたり…。
これらの映像は現在のVFX技術を使えば有り得ないものだ
が、デビュー作の当時は…。正直に言えば『HOUSE ハウス』
でもやり過ぎ感はあったが、そんな思い出にも繋がるシーン
になっている。取り敢えずは、大林監督による大林映画の真
骨頂と言える作品だろう。
大林監督は本作の撮影開始当時に余命3ヶ月を宣告され、そ
の後はさらに悪化して一時は余命1カ月とも言われたそうだ
が。それが昨年夏の話で、完成も危ぶまれた本作が僕らの目
の前にある。最近は多少体調が回復したとのうわさもある。
何とも奇跡の作品のようだ。

公開は12月16日より、東京は有楽町スバル座他で、全国順次
ロードショウとなる。

『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』
2009年12月と2013年8月にも紹介したFlash Movieで制作さ
れている日本ローカルのアニメーション・シリーズ最新作。
そのローカルな作品に、何とアメリカメジャーでもトップク
ラスと言えるDCコミックス・ジャスティスリーグ及びその
敵役の面々がゲスト出演した。
物語は、ゴッサムシティの裏社会に君臨するジョーカーが、
同じく悪役のペンギンと共に、世界征服を目指す日本の悪の
組織「鷹の爪団」が開発した秘密兵器を狙って日本にやって
来る。一方、その動向を察知したスーパーマンたちも来日す
るが…。バットマンはある理由で引籠っていた。
しかもまんまと秘密兵器を手に入れた悪の軍団たちは自らの
映画を制作するための作戦を展開。この事態に「鷹の爪団」
もジャスティスリーグに協力せざるを得なくなる。ところが
スーパーヒーローたちのド派手なアクションは、あっという
間に本作の製作費を食いつぶしてしまう。
画面の右端には「鷹の爪」映画ではお決まりの製作費インジ
ケーターが表示されていて、アクションシーンになると緑→
黄→赤に変色して、その棒グラフがどんどん短くなる。それ
に伴って絵柄がどんどん荒くなるのも本シリーズではお決ま
りの演出だ。そんな展開の中で、物語はそれなりのものが進
んで行く。

原案、脚本、監督と鷹の爪団メムバーの声優はFROGMAN。そ
して今回のゲスト声優には、山田孝之、2016年『全員、片想
い』などの知英、2017年9月紹介『不能犯』安田顕。さらに
犬山イヌ子、金田朋子らが脇を固めている。
アニメーション制作は、シリーズ初期から担当のDLE。そ
れに今回は、2005年『ALWAYS三丁目の夕日』などの白組と、
2009年10月紹介『アフロサムライ』などのGONZOが協力
参加している。この2社の担当シーンはあっという間に製作
費を食い尽くす迫力のものだ。
確かにお話自体はいい加減だが、「鷹の爪団」のコンセプト
などには一本筋が通っており、そこに破綻がないのは観てい
て気持ちの良いもの。その上に楽屋落ちから政治・世相風刺
まで様々なギャグがふりまかれるもので、それは大人の目に
も面白く作られている。
さらに今回は映画製作のバックステージのような趣もあり、
僕的にはその辺も気に入った作品だ。因に本作の配給はワー
ナーブラザース。また試写会ではヤマキ「かつおパック」が
お土産に配られた。

公開は10月21日より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロード
ショウとなる。

この週は他に
『KOKORO』“Le coeur regulier”
(2012年10月紹介『カミハテ商店』に登場し、その紹介では
「もっと他の映画でも見たくなる」と書いた島根県隠岐諸島
の知夫村にある「赤壁」を背景にしたフランス映画。息子が
1人の人物と出会い心が再生されたと聞いた女性が、訪日し
て遙々その場所を訪れる。出演は2008年9月紹介『きつねと
私の12ヶ月』などのイザベル・カレ。日本側から國村隼、
安藤政信、門脇麦らが参加している。実話に基づくとされる
オリヴィエ・アダムの小説から、本作が長編第2作のヴァン
ニャ・ダルカンタラが脚本と監督を手掛けた。因に原作も舞
台は日本のようだ。テーマ的には2012年作と同様だが、観て
いる方向が少し違うかな。公開は11月4日より、東京は渋谷
ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)
『ドクター・エクソシスト』“Incarnate”
(妻子を悪霊に奪われたエクソシストが、科学的な手段も駆
使して最強の敵に挑む。その手段は、取り憑かれた少年の潜
在意識に潜り込むこと。主演は2013年4月紹介『エンド・オ
ブ・ホワイトハウス』などのアアロン・エッカート。共演に
2016年7月3日題名紹介『栄光のランナー 1936ベルリン』
などのカリス・ファン・ハウテン、2008年12月紹介『チェ』
などのカタリーナ・サンディノ・モレノ。監督は2010年8月
紹介『キャッツ&ドッグス』(続編)などのブラッド・ペイ
トンが製作総指揮と共に担当している。テーマ的には2008年
10月紹介『悪夢探偵』に通じてるかな。インスパイアされて
いる可能性はありそうだ。公開は11月25日より、東京はシネ
マート新宿他で全国順次ロードショウ。)
『Ryuichi Sakamoto: CODA』
(1988年『ラストエンペラー』のベルトルッチなど海外監督
とのコラボレーションも多い作曲家坂本龍一の2012年から最
近までを追ったドキュメンタリー。映画の始まりは災害後の
福島。津波に襲われた体育館に浮かんでいたというグランド
ピアノの状態を探りながら演奏する姿と原発被災地を見聞す
る姿が続く。ただその直後に癌の告知を受けるのは少し意図
的かな。そして1年間の治療。そこに悲壮感はないが、仕事
の出来ない焦燥感は伝わってくる。それと共にYMO時代か
らのアーカイヴ映像や監督たちとの仕事の裏話が語られる。
他にもタルコフスキー監督『ソラリス』に独自の音楽を付け
るなど興味を惹かれる話も満載の作品だ。公開は11月4日よ
り、東京は角川シネマ有楽町他で全国順次ロードショウ。)
『こいのわ 婚活クルージング』
(東京のタウン誌などにグルメレポートを寄稿している牧五
百音という人の脚本を、前々回紹介『リンキング・ラブ』な
どの金子修介監督で映画化した広島県が舞台のご当地作品。
金子監督のご当地ものでは2013年に香川県が舞台の『百年の
時計』という作品も観ているが、観光名所が出て来たりの構
成はそつなく作られている作品だ。テーマ的には広島県庁が
実際に行っている事業に基づくそうで、そのPRとしては充
分な作品だろう。そこにちょっと未来的アイデアが挿入され
ているのは、金子監督らしさかな。出演は風間杜夫、片瀬那
奈。他に藤田朋子、八嶋智人、白石美帆、城みちるらが脇を
固めている。公開は11月18日より、東京は角川シネマ新宿他
で全国順次ロードショウ。)
『ローガン・ラッキー』“Logan Lucky”
(2013年7月紹介『サイド・エフェクト』以降、主にテレビ
界で活動してきたスティーヴン・ソダーバーグ監督が、新人
脚本家レベッカ・ブラウンのオリジナルシナリオを得て映画
界に復帰した作品。NASCAR開催中のレース場を舞台に、アン
ラッキー続きだった兄弟が売店の売上金を一気に奪う大胆な
計画に挑む。そこに服役中の爆破のエキスパートらが絡み、
運任せの作戦は始まるが…。出演はチャニング・テイタム、
アダム・ドライヴァー、2015年6月紹介『マッドマックス』
などのライリー・キーオ。さらにダニエル・クレイグ、セス
・マクファーレン、ケイティ・ホームズらが登場。大胆な計
画は『オーシャンズ』を髣髴とさせるかな。公開は11月18日
より、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
『リングサイド・ストーリー』
(2017年9月3日題名紹介『光』などの瑛太と3月12日題名
紹介『猫忍』などの佐藤江梨子のW主演で、格闘技を題材に
した作品。売れない俳優と彼を陰で支える女性が、ふとした
ことから格闘技の世界に紛れ込む。そこに居場所を見つける
女性と、ライヴァル心を燃やす俳優だが…。田中要次、前野
朋哉、余貴美子らに加えて、武藤敬司、武尊らの本物の格闘
家も登場する。実は先日サッカー場の場外イヴェントでプロ
レス興行の準備の様子を目撃して、本作でも同じ作業が行わ
れていることに感心した。それくらいに本物の格闘技も観ら
れる作品で、物語は「髪結いの亭主」だが、細かいところも
良く配慮されているのは気分の良い作品だ。公開は10月14日
より、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『ヒトラーに屈しなかった国王』“Kongens nei”
(1905年、スウェーデンとの同君連合を解消したノルウェー
に国王として招かれたデンマーク王家次男のホーコン7世。
立憲君主制で直接国政には関れない中で、先にデンマークの
兄王を屈服させたヒトラーの要求を撥ね退け、徹底抗戦の道
を貫いた。そのナチスドイツ艦船による領海侵犯に始まる開
戦から、オスロの王宮を脱出し逃亡を続けながらのドイツ公
使との交渉などが描かれる。抗戦による国民の被害は大きか
ったと思うが、尊厳を守ったことが今も尊敬を集める所以だ
ろう。出演は、2015年11月紹介『スペクター』などのイェス
パー・クリステンセン。他に2017年7月30日題名紹介『ハイ
ジ』などのカタリーナ・シュトラー。公開は12月より、東京
はシネスイッチ銀座他で全国順次ロードショウ。)
『YARN 人生を彩る糸』“Yarn”
(世界の編み物事情を追ったドキュメンタリー。日本人女性
を含む各国の「編み物作家」と呼べるような人たちが取材さ
れている。ただ内容は、作品の紹介より各作家の編み物への
思いみたいなものが描かれており、それはその作家のファン
には貴重だろうが、傍目から見ると良くは理解できないもの
だ。そんな中では堀内紀子という人の真田紐のような太くて
丈夫な紐を編んだ、子供の遊具のような作品に興味を惹かれ
たが、それも作品自体はあまり紹介されず、多少物足りない
感じだった。日本でも「編み物王子」と呼ばれる人もいるよ
うだから、多分そういう人たちが対象の作品だろうが、部外
者にはちょっと判り難かった。公開は12月上旬、東京は渋谷
イメージ・フォーラム他で全国順次ロードショウ。)
『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』“It”
(『キャリー』や『シャイニング』などでお馴染みの世界で
一番人気の高いホラー作家スティーヴン・キングが、1986年
に発表した長編小説の映画化。田舎町で起きた子供や若者の
連続失踪事件を追う、落ち毀れ少年グループの行動が描かれ
る。キングは1982年に『スタンド・バイ・ミー』も発表して
おり、趣は同じようだが本作はさらにホラーの要素が強くさ
れた作品だ。その一方で、映画としては1985年に公開された
『グーニーズ』のような雰囲気があるのも面白かった。なお
本作の最後には「第1章」という表示が出るが、その事情は
いろいろ複雑なようだ。僕としては是非とも「第2章」も観
たいところだが…。公開は11月3日より、東京は新宿ピカデ
リー他で全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二