井口健二のOn the Production
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2017年09月24日(日) リンキング・ラブ

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『リンキング・ラブ』
平成『ガメラ』3部作や、2006年6月及び10月紹介『DEATH
NOTE』前後編などのSF大作を手掛けた金子修介監督による
タイムトラヴェルをテーマにした作品。
主人公は女子大生。母親はアパレルメーカーの2代目社長で
家は裕福だが、婿養子の父親は2Dアイドルに夢中で夫婦仲
は破綻している。そんな鬱憤を主人公はラップバトルで晴ら
していたが…。
ある日、帰宅した彼女が見たのは離婚して家を出て行く母親
の姿だった。そして離れの自分の部屋に閉じこもった彼女の
前に、母親に貰った古いランプからジンが現れ、彼女の3つ
の願いを叶えると言って、25年前の過去に送ってしまう。
そして大学の時間旅行の講義で目覚めた彼女は、両親の仲を
強固なものにするべく行動を開始するが…。

出演はAKB48の田野優花と、2017年4月2日題名紹介『22年
目の告白』などの石橋杏奈。他に2013年『テニスの王子様』
の白洲迅、2016年12月18日題名紹介『ゾウを撫でる』などの
中尾明慶。さらに落合モトキ、加藤諒、木下隆行、渡辺徹、
浅田美代子、西村まさ彦らが脇を固めている。
原作は萩島宏という人のネット小説だそうだが、この人物は
AiiAというアパレル会社の創業者で、この会社は近年パズル
雑誌なども出しているようだ。そして本作では製作総指揮も
務めている。
ということで、原作者が『ガメラ』や『DEATH NOTE』を好き
だったのかな? いずれにしても金子監督は、好みの若手女
優も沢山起用して、自由にやらせて貰えたというところかも
しれない。
とは言うものの、お話は男子高校生→女子大生、ロカビリー
→ラップという感じで、過去に戻った主人公が両親の出会い
を演出しようとする…、これはまんま某有名SF映画に見え
る。さらに忘れたスポーツ・アルマナック→スマホが歴史を
改悪してしまう話まで付いてくる。
この他、両親の関係がぎくしゃくすると主人公の身体が消え
始めたり、さらに改悪された未来に戻った主人公が見る風景
など…。これを換骨奪胎と言えるかどうか、かなり判断には
苦慮するところだ。
でもまあAKBの楽曲が多数使われて、主演の田野優花は別
にしても他の若手女優たちがそれをしっかりと踊っている映
像は、それが本作の価値と言えるものにはなっている。この
部分は某有名SF映画にはなかったシーンだ。

公開は10月28日より、東京は丸の内TOEI2 他で全国順次ロー
ドショウとなる。

この週は他に
『密偵』“밀정”
(1920年代、日本統治下の朝鮮半島を舞台にしたサスペンス
アクション。武装独立運動団体「義烈団」を巡って朝鮮人だ
が日本警察の警官になっている男に組織の主謀者を探れとい
う命が下る。その男は組織に近づき二重スパイとしてその中
核に迫るが…。爆弾テロ計画を背景に緊迫したドラマが展開
する。出演はソン・ガンホと2017年7月紹介『新感染』など
のコン・ユ。日本から鶴見辰吾。さらにイ・ビョンホンも登
場する。監督は2011年『悪魔を見た』などのキム・ジウン。
日本統治下で暴力描写などはあるが、特に日本を悪く描いて
はおらず。歴史的背景として理解できるものになっている。
主には朝鮮人同士のドラマを描いた作品だ。公開は11月11日
より、東京はシネマート新宿他で全国ロードショウ。)
『勝手にふるえてろ』
(2003年『蹴りたい背中』で芥川賞を受賞した綿矢りさ原作
の映画化。恋愛経験なしで大人になった女性が、勤務先の同
僚に告白され、今も脳内恋愛を続けていた高校時代の憧れの
男子への思いを断ち切るべく、飛んでもない手段で同窓会を
計画するが…。現実と妄想の間で揺れ動く、主人公の尋常で
ない行動が描かれる。監督は2013年3月紹介『モンスター』
などの大九明子。主演はNHK『あまちゃん』などの松岡茉
優。他に2009年4月紹介『色即ぜねれいしょん』などの渡辺
大知と、2016年2月紹介『あやしい彼女』などの北村匠海。
さらに『リンキング・ラブ』にも出ていた石橋杏奈、『モン
スター』などの趣里らが脇を固めている。公開は12月23日よ
り、東京は新宿シネマカリテ他で全国ロードショウ。)
『シネマ歌舞伎 め組の喧嘩』
(歌舞伎を映画館で上映する「シネマ歌舞伎」の第29弾は、
2012月5月に東京浅草「平成中村座」で上演された『神明恵
和合取組』の舞台。物語は町奉行管轄の町火消しと、寺社奉
行管轄の相撲取りがふとしたことから諍いとなり、血気盛ん
な両者が大乱闘を繰り広げるというもの。それを感情の動き
を見せる表情のアップなど、シネマ歌舞伎ならではの演出も
含めて、存分に堪能させてくれる。主演は「平成中村座」の
主宰で、この舞台が最後となった十八世中村勘三郎。それを
思うと辛くもなるが、舞台のフィナーレの演出というか、そ
こに設けられた大仕掛けは、これこそ大団円に相応しいもの
になっている。公開は11月25日より、東京は築地の東劇他、
全国56館でロードショウ。)
『エルネスト』
(チェ・ゲバラと共に闘ったフレディ前村ウルタードの生涯
を描いた日本キューバ合作映画。ボリビア出身日系2世の前
村は医学を志してキューバの国立ハバナ大学に留学。しかし
キューバ危機の状況下でチェと出会い、その革命に賭ける姿
に心酔した前村は、ボリビアの軍事政権打倒に向かうチェの
部隊に参加。そこでチェのファーストネームであるエルネス
トを戦士名として与えられ、エルネスト・メディコと名告る
ことになる。この前村にオダギリジョーが扮し、全編スペイ
ン語の台詞に挑んでいる。他にキューバ革命直後に来日した
チェを取材する広島の記者役で永山絢斗が出演。脚本と監督
は2016年4月紹介『団地』などの阪本順治。公開は10月6日
より、東京はTOHOシネマズ新宿他で全国ロードショウ。)
『レミングスの夏』
(江戸川乱歩賞受賞作家・竹吉優輔の原作を、2012年『ゆめ
のかよいじ』などの五藤利弘監督が映画化したヤングミステ
リー。小学時代に仲良しだった男女が再結集し、ある作戦を
実行する。それは過去の哀しみを振り切るための覚悟の行動
だった。出演は、前田旺志郎、菅原麗央、平塚麗奈、瑚々、
桃果。他にモロ師岡、田中要次、渡辺裕之、大桃美代子らが
脇を固めている。都市伝説や様々な要素を絡めて、物語には
いくつかの心を揺さぶられるようなエピソードもあり、展開
は巧み、ただここだと言えるハイライトがなく、全体として
は凡庸な印象かな。公開は9月30日より撮影地茨城県で先行
上映の後、全国順次ロードショウ。東京では10月1日に渋谷
ユーロスペースにて舞台挨拶付き上映が行われる。)
『ビジランテ』
(2016年1月紹介『太陽』や今年4月2日題名紹介『22年目
の告白』などの入江悠監督が原点に戻ったと自称する作品。
原点に戻ったというからてっきり『サイタマノラッパー』か
と思いきや、これは飛んでもなく骨太の作品だった。物語の
背景は大型ショッピングモールの誘致を巡る田舎町の政争。
そこに暴力的な父親に育てられた3兄弟の確執が絡む。因に
原点というのは、監督の出身地の埼玉県深谷市が舞台のよう
だ。出演は大森南朋、今年1月29日題名紹介『コスメティッ
クウォーズ』監督の鈴木浩介、桐谷健太。他に篠田麻里子、
菅田俊、嶋田久作らが脇を固めている。篠田の女っぷりも良
い。公開は12月9日より、東京はテアトル新宿他で全国順次
ロードショウ。)
『バリー・シール アメリカをはめた男』“American Made”
(アメリカCIAと南米の麻薬組織を手玉に取ったという男
の実話に基づくとされる作品。民間航空会社のパイロットが
その操縦技術を買われてCIAにリクルートされる。その任
務は、紛争地域を低空で飛行して反政府軍の基地などを撮影
するというもの。ところが技術抜群の彼の腕はそれだけでは
済まなかった。任務の傍ら麻薬の密輸に手を貸した男は巨万
の富を築いて行くが…。背景にはさらに大きな政治スキャン
ダルなどもあり、いろいろ複雑な物語が展開される。出演は
トム・クルーズ。飛行機好きが高じた作品にも見える。監督
は、2014年6月紹介『ALL YOU NEED IS KILL』などのダグ・
リーマンが担当。公開は10月21日より、東京はTOHOシネマズ
新宿他で全国ロードショウ。)
『ロキシー』“Vincent N Roxxy”
(道端で暴漢に襲われていた女を男が助ける。そして組織に
追われているらしい女を男は故郷の家に連れて行き、一時は
彼の兄とその妻らとの平穏な時が訪れるが…。物語にはちょ
っとした捻りもあるが、全体は追われる女と男の束の間の物
語が描かれる。ただしその展開はかなり強烈なお話だ。出演
は、2013年8月紹介『ある愛へと続く旅』などのエミール・
ハーシュと、2015年6月紹介『マッドマックス 怒りのデス
・ロード』などのゾーイ・クラビッツ。原案と脚本、監督は
2013年に“Devil in My Ride”というホラー作品を監督以来
2作目のゲイリー・マイクル・シュルツが担当。中々ハード
な作品だ。公開は10月21日より、東京は新宿シネマカリテ他
で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2017年09月17日(日) 不能犯

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『不能犯』
2015年5月紹介『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!』などを
手掛け、2016年6月紹介『貞子vs伽椰子』では遂にメジャー
デビューを果たした白石晃士監督が、松坂桃李、沢尻エリカ
を主演に迎えたサスペンス作品。
松坂が演じるのは「電話ボックスの男」と呼ばれる殺人鬼。
とある公園に置かれた電話ボックスに殺人の依頼を書いた紙
を貼ると、その男が実行してくれるのだという。そして彼に
狙われた者は確実に死亡するが、その死因は病死や自殺、事
故死など、いずれも殺人が立証できないものだった。
一方、沢尻が演じるのは女刑事。彼女は男の犯行がマインド
コントロールによるものと知り、その犯行を立証せんと奮闘
するが、男はなかなか尻尾を掴ませない。それでも何とか身
柄を確保して任意での事情聴取を始めるが。その席でも男は
尋問する刑事を術中に嵌めてしまう。
しかしその席で、女刑事には男のマインドコントロールの利
かないことが判明する。斯くして女刑事と男との全面対決が
進んで行くことになるが。その時、事態は新たな局面を迎え
ようとしていた。

共演は、2017年2月19日題名紹介『ピーチガール』などの新
田真剣佑、2017年9月3日題名紹介『全員死刑』などの間宮
祥太朗。他に芦名星、矢田亜希子、安田顕、小林稔侍らが脇
を固めている。
作品は、宮月新原作、神崎裕也作画により集英社『グランド
ジャンプ』にて連載中のコミックスに基づくもので、その脚
色は白石監督と、2013年12月紹介『仮面ティーチャー』など
の山岡潤平が手掛けている。
映画の中には催眠術の記録映像なども挿入され、物語が現実
に起こり得るものとして描かれている。その現実と虚構の狭
間が上手く表現された作品だ。しかもそこに白石監督得意の
ホラー演出が施され、そのバランスも良く描かれている。
特に殺人鬼による犯行は、オカルトホラーのような趣で演出
され、そこから現実に引き戻される瞬間が観客にも同時に味
わえるもので、これは新たなサスペンスの手法としても注目
しておきたい。
因に白石監督に関しては、以前からSF的な指向にも注目し
ていたが、本作ではオカルトを科学に接近させたとも取れる
もので、本作の続編も含めて今後の作品にも大きな期待を寄
せる。
それにしても、『コワすぎ!』シリーズでは自らも出演して
正に低予算を絵に描いたような作品だったが、その白石監督
がこの様に立派な作品を作るようになるとは…。正に我が子
の成功を見るような嬉しさも感じてしまった。

公開は2018年2月1日より、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』
        “Twin Peaks: Fire Walk with Me”
(1990年代初頭に日本でも放送され、一世を風靡したとも言
えるテレビドラマ。その放送終了の翌年に原案者のデヴィッ
ド・リンチ監督により発表されたシリーズの前日譚に当る作
品。当時に観ているかどうかは記憶が定かでないが、今観る
と当時のテレビシリーズのことも思い出され、中々興味深い
作品になっていた。特に細かい描写が記憶を呼び覚まして、
シリーズをもう一度観たくなるものだ。出演は、シェリル・
リー、ヘザー・グラハム、カイル・マクラクランらが同じ配
役で登場の他、キーファー・サザーランド、デヴィッド・ボ
ウイらが新たに参加。公開は9月30日より、「デヴィッド・
リンチの映画」と題されたシリー上映の1本として、東京は
角川シネマ新宿他にて全国順次ロードショウ。)
『エキストランド』
(近年、全国的に広がりを見せるフィルムコミッションを題
材にしたコメディ作品。前作で大失敗し、制作会社を潰した
というプロデューサーが無理難題の脚本を押し付けられ、た
だ映画が好きというだけで事務局を立ち上げた田舎町の職員
を騙して、無茶苦茶な映画製作を開始するが…。出演は吉沢
悠、戸次重幸、前野朋哉、金田哲。脚本と監督は2013年12月
紹介『神奈川芸術大学映像科研究室』などの坂下雄一郎。配
役はそれぞれキャラクターは立つが、全体的にステレオタイ
プかな。物語も如何にもありそうなことばかりが起きて、も
う少しの捻りが欲しい感じがかな。結末を逆にできれば…。
公開は11月11日より、東京は渋谷ユーロスペース他で全国順
次ロードショウ。)
『リュミエール!』“Lumiere!”
(現在の映画の生みの親とされるフランス人兄弟が、1895年
から1905年の間に製作した1422本の短編作品の中から108本
を厳選し、4Kディジタルによる修復を施した作品。有名な
「工場の出口」や移動撮影を行った作品。さらにコメディや
世界各地にカメラマンを派遣したドキュメンタリーなど多様
な作品が紹介される。また初歩的なトリックを施した作品な
どもあり、兄弟の映画への取り組み方が鮮明に判る作品にも
なっている。そして最後には、2017年4月23日題名紹介『ザ
・ダンサー』に描かれたロイ・フラーのパフォーマンスが手
書き着色を施して登場し、正に伝記映画と同じものが見られ
たことにも感激した。公開は10月28日より、東京は恵比寿の
東京都写真美術館ホール他にて全国順次ロードショウ。)
『レゴ ニンンジャゴー ザ・ムービー』
              “The Lego Ninjago Movie”
(情報解禁前のため割愛)
『希望のかなた』“Toivon tuolla puolen”
(フィンランドの名匠アキ・カウリスマキが、中東からの違
法移民をテーマに撮ったヒューマンドラマ。主人公は戦禍を
逃れてフィンランドに辿り着くが、自身の出身地が戦地から
離れていたために難民申請を拒否されてしまう中東出身の男
性。実は国を出た時には妹と一緒だったが、国境での混乱か
ら離れ離れになってしまっていた。そんな男性が妹の行方を
探しつつ、自らの居場所も求めて行く。そこには人間同士の
温かさや逆に諍いなども発生する。恐らくヨーロッパの各地
で起きている出来事が、政治的な背景などは極力排して人間
個人の物語として描かれる。公開は12月より、東京は渋谷の
ユーロスペース他にて全国順次ロードショウ。)
『一礼して、キス』
(加賀やっこ原作少女コミックスを、共に映画初主演となる
2017年3月紹介『ReLIFE』などの池田エライザと「動物戦隊
ジュウオウジャー」中尾暢樹の共演で実写映画化した作品。
前々回題名紹介『覆面系ノイズ』と同様、若い女性の願望を
具現化した物語なのかな。高校3年、最期の全国大会で満足
は結果を残せなかった弓道女子が、譲った後輩の部長から秋
季大会の出場にエントリーを告げられる。そしてその後輩の
男子から恋心を告げられ…。脚本はぴあフィルムフェスティ
バルに入選経験もあるという浅野晋康。監督は『ReLIFE』や
2017年8月紹介『恋と嘘』などの古澤健。ベテランと呼べる
スタッフが手堅く作品を纏めている。公開は11月11日より、
東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
『ユリゴコロ』
(沼田まほかる原作ミステリーの映画化。余命僅かな父親の
書斎で見つけた手書きのノート。そこには人の死だけを心の
拠り所として罪を繰り返した殺人者の告白が記されていた。
それは真実か?創作か?そして自分との繋がりは? 出演は
吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ。さらに佐津川愛美、
木村多江らが脇を固めている。脚本と監督は2017年7月2日
題名紹介『心が叫びたがってるんだ。』などの熊澤尚人。所
謂イヤミスと呼ばれる作品のようだが、最近何本か観た中で
は最もそのタイトルに似合った作品と言えるかな。流れる血
の量もそこそこだし、後味も悪い。ただ主演の3人がその心
情をしっかりと表現しているのは良かった。公開は9月28日
より、東京は丸の内TOEI他で全国ロードショウ。)
『あゝ、荒野・前篇』
『あゝ、荒野・後篇』
(1983年に亡くなった寺山修司が唯一残した長編小説の映画
化。舞台は2021年、来る東京オリンピックの翌年を背景に、
新宿歌舞伎町で明日をも知れない境遇で暮らす2人の若者が
ボクシングを軸に自らを取り戻して行く姿が描かれる。出演
は菅田将暉とヤン・イクチュン。他に木下あかり、ユースケ
・サンタマリア、でんでん、木村多江、モロ師岡、高橋和也
らが脇を固めている。脚本と監督は、2016年5月29日題名紹
介『二重生活』などの岸善幸。前後編で5時間を超える大作
で、公開は2部に分けて行われるが、一気に上映された試写
会はかなり強烈だった。でも、このお話を近未来にする意味
はあったのかな? 公開は前編が10月7日より、後編は10月
21日より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)
『BRAVE STORMブレイブストーム』
(1970年代の特撮テレビシリーズ「シルバー仮面」と「レッ
ドバロン」を合体させた企画作品。物語は2050年に宇宙人の
侵略により人類が滅びたという背景で、最後の生き残りの兄
弟が過去に遡り、その1人がシルバー仮面となる一方、未来
の技術で巨大ロボット・レッドバロンを開発。それらで宇宙
人の侵略をその発端で阻止しようとするものだ。出演は大東
駿介、渡部秀、山本千尋、タモト清嵐、藤田富、吉沢悠。他
に壇蜜、泉谷しげる、寺脇康文らが脇を固めている。監督は
2009年11月紹介『ウルトラ銀河伝説』などの岡部淳也。まあ
アイデアは寄せ集めだが、往年の特撮ヒーローの復活がファ
ンにどうアピールできるかが勝負だ。公開は11月10日より、
TOHOシネマズ上野他にて全国ロードショウ。)
『ポンチョに夜明けの風をはらませて』
(卒業式を控えた高校生3人が、取り立ての運転免許で旅を
敢行。そこにいろいろな人物が絡む旅の行方は…? これが
男子の夢の具現化かな。出演は太賀、中村蒼、矢本悠馬。こ
れに佐津川愛美、阿部純子らが絡み、染谷将太、佐藤二朗、
西田尚美、角田晃広らが脇を固めている。監督は2009年のデ
ビュー作が世界各地の映画祭で注目を集めたという廣原暁。
物語の展開にはかなり無理もあるが、映画としては成立して
いるかな。まあ男の子の夢ということで理解しよう。原作は
早見和真の青春小説だが、その原作にはないという主人公の
1人の出生の謎に関る写真の裏書の下りは、その過程も含め
て見事だった。公開は10月28日より、東京は新宿武蔵野館他
で全国順次ロードショウ。)
『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』
                “Interlude in Prague”
(1984年度のアカデミー賞受賞作『アマデウス』でも描かれ
た音楽家の姿を描いた作品。「フィガロの結婚」が大成功す
るも家族の不幸に見舞われたウィーンの音楽家は、その想い
を振り切るようにプラハにやって来る。そこで依頼された新
作の作曲を始めるが、才能に溢れた若い女性歌手が現れ、音
楽家の生活が狂い始める。出演は、2017年8月6日題名紹介
『ダンケルク』などのアナイリン・バーナード、2016年9月
11日題名紹介『VRミッション:25』などのモーフィッド・ク
ラーク、2016年5月紹介『ハイ・ライズ』などのジェームズ
・ピュアフォイ。監督はジム・ヘンスンの許でVFXを担当
していたジョン・スティーブンスン。公開は12月2日より、
東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『オトトキ』
(2001年に活動を休止し、2016年に再集結したロックバンド
THE YELLOW MONKEYが、その年に行ったツアーの模様を中心
としたドキュメンタリー。その初日に僕は代々木体育館の横
を通っており、その盛況ぶりは明瞭に記憶している。なので
それなりに気になっていた。作品はコンサートの模様が中心
でファンには結構な作品。さらにデビューから活動休止まで
の貴重な映像も織り込まれて正にファンのための作品と言え
るものだ。ただ傍目から見ると、活動休止の理由や再結集の
経緯などが明確には語られず、それはファンには自明なのか
もしれないが、その辺が僕にはちょっとフラストレーション
だったかな。公開は11月11日より、東京は丸の内TOEI他で全
国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2017年09月10日(日)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『74歳のペリカンはパンを売る』
『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』
              “Smurfs: The Lost Village”
『静かなふたり』“Droles d'oiseaux”
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』
             “Kubo and the Two Strings”
『キセキの葉書』
『否定と肯定』“Denial”
『一陽来復』
『劇場版シネマ狂想曲〜名古屋映画館革命〜』
『女になる』
『ブラッド・スローン』“Shot Caller”
『女神の見えざる手』“Miss Sloane”

 この週は以上の作品を観たが、時間の余裕がなくそれぞれ
の作品を紹介することができなかった。申し訳ない。



2017年09月03日(日) Infini-T Force(インフィニティ・フォース)、ドリーム、ギフテッド

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『Infini-T Force(インフィニティ・フォース)』
テレビアニメ制作会社タツノコプロの創立55周年を記念して
製作された新作テレビシリーズの第1話〜第4話を観させて
貰った。
お話の背景は現代。渋谷駅前のスクランブル交差点で突然戦
闘が起こる。その戦闘はそこに現れたヒーローたちによって
収束されるが、戦闘に巻き込まれた少女の手に大きな鉛筆の
ような物体が残される。
その物体は所持した人間の望みを何でも叶えるという究極の
アイテムだった。そしてそこに現れたヒーローたちは…。
何とこの作品では、タツノコプロが1970年代に製作した人気
シリーズ『科学忍者隊ガッチャマン』や『破裏拳ポリマー』
『新造人間キャシャーン』『宇宙の騎士テッカマン』などの
ヒーローたちが一堂に会するという破天荒なお話だ。
そして少女の手にもたらされたアイテムを巡って、パラレル
ワールドを含む全宇宙を滅ぼそうとする怪人や、それを取り
巻く敵たちとの次元を超えた戦いが繰り広げられる。

シリーズ構成は、2007年7月紹介『阿波DANCE』などの
大野敏哉。監督は、本作が初登板だが2014年『PSYCHO-PASS
サイコパス 2』などのシリーズディレクターを務めた鈴木
清崇が担当している。
声優は茅野愛衣、関智一、鈴村健一、斉藤壮馬、櫻井孝宏。
さらに斧アツシ、安元洋貴、平川大輔、花澤香菜ら。
異なるシリーズのキャラクターが一堂に会するという作品で
は、最近はディズニー=マーヴェルの『アベンジャーズ』や
ワーナー=DCの『ジャスティス・リーグ』が華々しいが、
これらはユニヴァース物とも呼ばれているようだ。
そのユニヴァース物では、さらにユニヴァーサルから2017年
7月紹介『ザ・マミー呪われた砂漠の王女』を筆頭に往年の
ホラーの怪人たちが結集する「ダーク・ユニバース」も発表
されている。
一方、ワーナーからは2017年2月紹介『キングコング髑髏島
の巨神』を切っ掛けに東宝怪獣の総進撃が始まりそうだが。
考えてみると、ゲストキャラ登場の1962年『キングコング対
ゴジラ』は別物としても、1964年『モスラ対ゴジラ』がその
嚆矢であったことは注目すべきところだろう。
そして本作もそのユニヴァース物となる訳だが、実はオリジ
ナルシリーズの世界観が異なっていると、そのキャラクター
を単純に結集しただけでは、ストーリーに矛盾が生じること
になってしまう。
正直に言って、マーヴェルユニヴァースのマイティ・ソーな
どは、その役割に違和感を感じてしまうものだ。
それに対し本作が採った手段は、何と各キャラクターが別の
パラレルワールドから呼び寄せられたという設定。それなら
世界観の違いも解消され、現代という一つの世界観の中で物
語を構築できる。
さらに本作では、それぞれが自分の世界を消滅させられたと
いう悲しみを背負っての闘いとなっている。
斯くして観ることのできた第1話〜第4話では、上述の設定
が明らかになると共に、様々な人間ドラマやさらに大きな展
開も予感させるもの。これは僕みたいな者にも納得の作品に
なっていた。

放送は、関東ローカルでは10月3日より、日本テレビの深夜
25:59〜の枠にて。その他、読売テレビ、札幌テレビ、静岡
第一テレビ、広島テレビ、福岡放送でも10月中の放送が予定
されている。
さらに本作では、2018年2月公開予定で劇場版の製作も発表
されており、これは楽しみな展開になりそうだ。

『ドリーム』“Hidden Figures”
すでに2017年7月9日に題名紹介している作品だが、重要な
作品でもあるので、公開前に改めて紹介することにしたい。
因に試写状に書かれていた邦題から、サブタイトルが消えた
ようだ。
物語の背景は、1984年の映画『ライトスタッフ』にも描かれ
た米国の宇宙開発計画初期の頃。ソ連邦の有人宇宙飛行成功
を受けて1958年に創設されたNASA(航空宇宙局)では、
独自の有人宇宙飛行の研究開発が進められていた。
そんな中、バージニア州にあるNASAのラングレー研究所
に、飛行軌道の策定などロケットの打ち上げに必要不可欠な
計算を行う黒人女性グループがいた。彼女らの職務は、別棟
から届く計算の検算などを行うこと。
そのグループから数学の天分をもつキャサリン・ジョンスン
が才能を認められて、別棟にある宇宙特別研究本部の計算係
に抜てきされる。しかしそこは完全な男性社会で、しかも施
設などに黒人蔑視の風潮が色濃く残っていた。
一方、IBM社から納入された新開発のコンピューターは、
その能力は期待されていたものの前提となるプログラミング
が面倒で、研究者からは敬遠されていた。その習得にグルー
プの1人のドロシー・ボーンが挑む。
斯くして彼女らの活躍が、アメリカ初の有人宇宙飛行の実現
に向けて力を発揮して行くのだが…。

出演は、2008年12月紹介『ベンジャミン・バトン−数奇な人
生−』などのタラジ・P・ヘンスン、2017年5月紹介『ダイ
バージェント』などのオクタヴィア・スペンサーと、2017年
2月5日題名紹介『ムーンライト』などのジャネール・モネ
イ。
他に、ケビン・コスナー、キルステン・ダンストらが脇を固
めている。
原作者のマーゴー・リー・シェッタリーは、金融やメディア
企業の設立業務に携わってきたという経歴を持つ黒人女性。
本作は彼女が年月を掛けて調査し、2016年に初めて上梓した
ノンフィクションで、その原題には、“The Story of the
African-American Women Who Helped Win the Space Race”
という副題が付けられているものだ。
実際に映画の最後には、登場する3人がNSNAから特別顕
彰されたという報告も付されているが、それは2015年になっ
てからのことで、正に原題通りの「隠された人々」だったよ
うだ。それにしても、まさかあのNASAが…と言いたくな
るような内容だが、それがアメリカの現実だったということ
なのだろう。その根深さを描いた作品でもある。
とは言え、本作は宇宙開発初期のNASAの苦闘を描いた作
品でもあって、その部分は『ライトスタッフ』とは別の視点
で興味深く見られるものだ。2014年11月紹介『ガガーリン』
でも驚かされたが、それにも勝るNASAの事情が描かれて
いる。
ところで、本作でも引用されるケネディ大統領の演説だが、
その中で“in this decade”というくだりが「10年以内に」
と訳されている。これは当時の新聞報道などでもそうなって
いたもので、本作に字幕でもそれを踏襲しているのだが。
この演説が行われたのは1962年のことで、その10年以内では
1972年まで猶予があることになる。しかしアポロ11号の月面
着陸は、1969年に敢行された。
ここでdecadeという単語には、10年間という意味と同時に、
centuryやmillenniumと同じ、暦上の期間を現しているよう
にも感じるので、それなら「10年以内」ではなく「1960年代
の内に」と訳す方が良いように思える。字幕は誤訳ではない
けど指摘しておきたいものだ。

公開は9月29日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他にて、
全国ロードショウとなる。

『gifted ギフテッド』“Gifted”
『アベンジャーズ』でキャプテン・アメリカを演じるクリス
・エヴァンスが、姉の忘れ形見の幼い姪を育てる男性に扮し
たヒューマンドラマ。
物語としては上記の括りとなるが、その実態はかなり変わっ
ている。実は亡くなった姉というのが数学の天才で、未証明
の命題に取り組んでいたものの突然自死したという。しかも
その娘も幼い頃から数学の天分を見せ始める。そこでその子
にも母親の跡を継ぐ道が示されるが…。
前記の『ドリーム』も言ってみれば数学者の話だが、2002年
3月紹介『ビューティフル・マインド』でラッセル・クロウ
がオスカーを得て以降、最近でも2015年の『イミテーション
・ゲーム』や2016年には『奇蹟がくれた数式』など、数学者
を描いた作品は次々製作されている。
ただしここに挙げた作品では、『ドリーム』も含めていずれ
も実在の数学者を描いていたものだが。それに対して本作は
フィクション。実在の人物の苦闘ではなく、純粋に数学につ
いて描いていることも興味深い。
と言うのも、この映画に登場する速算術や、懸賞金の掛けら
れた命題などはいずれも実際のもので、その辺の虚実の織り
込みも面白かった。因に映画には『奇蹟がくれた数式』で描
かれたインドの数学者の名前も登場していた。
という訳で、数学という新たなジャンルが生まれているよう
な感じだが、実はSFでは、クライン缶やメビウスの帯など
数学を題材にした作品も少なくない。これらは位相幾何学と
呼ばれるものだが、純粋数学でも成立する話も面白い。
因に『不思議の国のアリス』の原作者は数学者だった訳で、
これから数学が題材のファンタシーやSF映画ができたら面
白いとも思っているところだ。この辺は日本の監督も結構で
きそうな感じもするところだが…。

共演は、2006年生まれのマッケンナ・グレイス、2017年3月
紹介『レゴバットマン ザ・ムービー』などの声優のジェニ
ー・スレイト、2015年2月紹介『バードマン』などのリンゼ
イ・ダンカン。他にオクタビア・スペンサーらが脇を固めて
いる。
脚本は、1993年に“Watch It”というコメディ作品を脚本監
督で発表しているトム・フリン。その後はTVムーヴィなど
を手掛けていたようだが、本作は2014年のブラック・リスト
に選出されたものだ。
監督は、2012年6月紹介『アメイジング・スパイダーマン』
などのマーク・ウェブが担当した。
公開は11月23日より、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『はじまりの街』“La vita possibile”
(俳優出身のイタリア人監督イバーノ・デ・マッテオによる
ヒューマンドラマ。夫の暴力に耐えかねてローマを離れトリ
ノの街にやってきた母子。母親が親友を頼ってきた街だが、
そこは首都よりちょっとガラが悪かった。そんな街で息子は
居所を求め彷徨う。そして息子には優しかった父親からの手
紙を母親は隠してしまう。さらにいつも陽気な母親の親友の
女優やフランス人で元サッカー選手のビストロ店主、少年が
街で出会うロシア人娼婦など、いろいろな人間模様が息子を
成長させて行く。母親役は2017年2月26日題名紹介『日々と
雲行き』などのマルゲリータ・ブイ。公開は10月28日より、
東京は岩波ホール他で全国順次ロードショウ。)
『地の塩 山室軍平』
(年末になると登場する社会鍋で有名な救世軍を日本で創設
した活動家・山室軍平の生涯を描いた作品。山室は救世軍だ
けでなく、娼婦の権利を守る娼妓自由廃業運動など様々な社
会活動を繰り広げた。宗教活動なのでそれには様々な迫害も
受けるが、本作では特にそれを手厳しく描くものではなく、
どちらかというと山室本人の人となりに焦点が当てられてい
る。ただそれは傍目に見ると単なる男の生涯であって、特に
それが感動を呼ぶようなものではない。まあそれが作品の狙
いでもあるのだろうが。出演は、森岡龍、我妻三輪子。他に
辰巳琢郎らが脇を固めている。脚本と監督は2009年『カフェ
代官山�掘戮覆匹療贓蠕�利が担当。公開は10月21日より、東
京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『ソニータ』“Sonita”
(イランの難民キャンプで暮らすアフガニスタン出身の少女
の姿を追ったドキュメンタリー。少女は18歳。パスポートも
滞在許可証もなく、不法移民として異国の施設でカウンセリ
ングや将来のアドヴァイスを受けている。そんな彼女の所に
本国から実母がやって来る。その母親は9000ドルの現金と引
き換えに彼女を老人に嫁がせるつもりだ。その母親も金で強
制的に老人の許に嫁いでいた。そんな運命から逃れるため、
少女は以前から好きだったラップで自身の窮状を訴える。そ
して将来の道を模索し続けるが…。かなりドラマティックな
ドキュメンタリーで、その矛先が彼女だけでなく、映画の制
作者にも向くところが凄まじい。公開は10月21日より、東京
はアップリンク渋谷他にて全国順次ロードショウ。)
『全員死刑』
(2004年に福岡県大牟田市で発生した強盗殺人死体遺棄事件
を、獄中にいる次男の手記を基に映画化した作品。生活に困
窮した一家が資産家の家に押し入り、家人1人の殺害をきっ
かけに一家皆殺しにするまでが描かれる。出演は2017年5月
20日題名紹介『トリガール!』などの間宮祥太朗、6月4日
題名紹介『彼女の人生は間違いじゃない』などの毎熊克哉。
他に六平直政、入絵加奈子ら。監督は2016年に本物の不良少
年を起用したとされる『孤高の遠吠え』という作品で話題に
なった小林勇貴。事件の真相はいまだ未解明だそうで、だと
すると作品がかなり興味本位であることは否めない。それも
面白がる人はいるのだろうが…。公開は11月18日より、東京
はヒューマントラストシネマ渋谷他で全国ロードショウ。)
『HER MoTHER娘を殺した死刑囚との対話』
(最愛の娘をその配偶者に殺された母親が、死刑判決を受け
た元娘婿と面会し、やがて助命嘆願を行うに至る過程を描い
た作品。死刑制度の是非を問う作品では、2017年7月9日題
名紹介『三度目の殺人』が物語として実に巧みだったと思う
が、本作は実話に基づくそうで、そのリアルさが勝負になる
作品と言える。ただ本作では途中で宗教のようなものが絡ん
できたり、特に主人公の夫の行動が今一つ納得できなかった
ところで、実話に基づくことが逆に作品の足枷になっている
ようにも感じられた。脚本と監督は南カリフォルニア大学で
映画制作を学んできたという佐藤慶紀。次回はもっと大胆な
フィクションの作品を観てみたいものだ。公開は9月9日よ
り、東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)
『覆面系ノイズ』
(歌うことの好きな少女が幼くしてに出会った2人の男子。
しかしそれぞれとの別れを体験した少女は、高校入学でその
1人と再会する。その彼は覆面バンドで人気を得てメジャー
デビュー目前だった。そしてもう1人は新進ミュージシャン
として売り出し中…。正に女子の願望という感じの物語は、
福山リョウコ原作による人気恋愛コミックの映画化で、その
監督は2016年『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』などの
三木康一郎が担当した。出演は、2016年『セトウツミ』など
の中条あやみと、2016年6月記者会見報告『疾風ロンド』な
どの志尊淳、それに2016年2月紹介『ドロメ』などの小関裕
太。公開は11月25日より、東京は新宿ピカデリー他にて全国
ロードショウ。)
『ニコトコ島』+『石と歌とペタ』
(2007年のデビュー作からコンビで作品を発表している大力
拓哉と三浦崇志が2008年と2012年に発表した作品。それぞれ
海外の映画祭などにも出品されているようだが、内容は共に
ロードムーヴィと言えるのかな、それぞれ孤島や道路をあて
どなく移動する2人、若しくはもう1人を加えた3人の姿が
写されている。正直に言って僕には作品の意図か判らないの
だが、1本目はイメージフォーラムフィルムフェスティバル
2009大賞を受賞したそうだ。公開は10月24日より、東京は渋
谷のシアター・イメージフォーラムにてロードショウ。)
『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』
         “El Bosco. El jardin de los suenos”
(スペインマドリッドのプラド美術館に展示されている宗教
絵画を主題にしたドキュメンタリー。絵画は扉で閉じられ、
それを開くと正面及び左右の扉の裏の3面に現れる。そこに
は様々な宗教的な題材が描かれている。映画のタイトルは画
家だが、特に画家自身を探求するものではなく、1点の絵画
をいろいろな分野の人々が観てその感想を述べるという構成
のもの。その中には美術史家もいて、それなりの作品の背景
なども語られるが、総じては各自が絵画に寄せる想いなどが
表明される。ただ作品の中では絵画の全貌はほんの数瞬しか
写されておらず、実物を知らないとなかなか見ても理解し難
い作品だった。公開は12月より、東京は渋谷のシアター・イ
メージフォーラム他で全国順次ロードショウ。)
『光』
(2010年12月紹介『まほろ駅前・多田便利軒』などの大森立
嗣監督が、2014年『まほろ駅前狂騒曲』に続いて三度、三浦
しをん原作に挑戦した作品。離島で暮らしていた3人の少年
少女が、大災害で島を離れる。そして25年後、それぞれ大人
になり都会で暮らす彼らに忌まわしい島の記憶が甦る。出演
は、井浦新、瑛太、長谷川京子。他に橋本マナミ、南果歩、
平田満らが脇を固めている。『まほろ駅前』シリーズとは趣
の違うミステリータッチの作品だが、主題はやはり人間個人
の物語になる。災害後の無人島で唯一人暮す灯台守の老人な
ど、サスペンスとしても観ることができた。公開は11月25日
より、東京は有楽町スバル座、新宿武蔵野館他で全国ロード
ショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二