| 2017年07月30日(日) |
仮面ライダー/スーパー戦隊、DARK STAR H.R.ギーガーの世界(仮) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『劇場版仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』 『宇宙戦隊キュウレンジャーTHE MOVIE ゲース・インダベーの逆襲』 毎年夏の恒例『仮面ライダー/スーパー戦隊』の2本立て。 どちらもテレビシリーズで放映中の物語からスピンオフで、 基本的に放送で進行中の物語には影響しないように作られて いる。 そして本作の「仮面ライダー」では、主人公の勤める病院に 入院中の少女を巡って、彼女の脳内世界にVRでライダーた ちが潜入して敵と戦う展開になっている。またその潜入の手 段としてソニーが新発売するVR用のヘッドマウントディス プレイが、特別仕様で登場する。 因にこのヘッドマウントディスプレイは、6月に報告した記 者会見の際に現物を見せて貰ったが、ライダーの仮面という よりは、スーパー戦隊のヘルメットに近い感じなのは少し混 乱してしまうところではある。でもこれで「仮面ライダー」 のゲームができたら面白いとは思えた。 出演は、テレビシリーズのレギュラーに加えて、元モーニン グ娘。の藤本美貴、子役の森山のえる。さらに宇野祥平、ブ ラザートム、堂珍嘉邦、博多華丸らが脇を固めている。 一方、「宇宙戦隊キュウレンジャー」は、突如現れた巨大彗 星の地球衝突が刻一刻と迫り、そんな事態の中で彗星を要塞 化し、神の力を手に入れようとする敵との戦いが繰り広げら れるものだ。 登場する彗星要塞や敵キャラクターの名前がいろいろ想起さ せるのはご愛嬌で、それはかなり大人向けの感じもするが、 この辺に子供は反応してくれるのかな? いずれにしてもお 笑い芸人たちの担当だから、それでもいいのだろう。 出演は、テレビシリーズのレギュラーに加えて、「ロンドン ブーツ1号2号」の田村亮。またレイザーラモンHGとRG が敵キャラクターの声を担当している。 どちらもお子様向けだし、テレビシリーズを観ていないと判 り難いところも多々ある作品だが、シリーズとの整合性を取 りつつ独立した物語を作るのも大変なことだし、映画版らし くそれなりのシーンも設ける。子供向けとは言えサーヴィス 精神も旺盛な作品だ。 公開は8月5日より、2本立ての全国ロードショウとなる。 出来ることならこの映像をプラネタリウムで観てみたい。
『DARK STAR H.R.ギーガーの世界(仮)』 “Dark Star: HR Gigers Welt” 1979年『エイリアン』で一躍有名になったスイス人の画家・ デザイナーを取材したドキュメンタリー。 取材は画家の自宅の外観から始まるが、都会のど真ん中にあ りながら廃屋と見紛うようなその風情は、ギーガーそのもの というような感じの導入となっている。 そしてその屋内では棚に頭蓋骨などが並び、その中でも彼が 6歳の時に最初に手にした頭蓋骨の話などが彼の作品の原点 となったようだ。そして晩年の妻や、離婚後も交流が続いた 『エイリアン』当時の妻、さらにその前に恐らく最愛だった 恋人との話など女性を巡る話が意外と重点的に描かれる。 そこに様々な彼の作品が挿入されてい行く形式で、彼の作品 を堪能することが出来ると共に、彼の人となりも巧みに描か れている作品だ。正直にはもっと奇矯な人かと想像していた が、案外常識のある人物だった。 そして後半では、彼の両親の話や、自宅の庭に作った長年の 夢だった「幽霊列車」の記録映像など、また「ギーガーズ・ バー」やサンジェルマン城を買い取って完成させた個人美術 館など、成功の証のような場面も描かれる。 さらにはギーガーの友人でもある医師による精神分析的な証 言や、企画展を開いた美術館の学芸員による解説なども織り 込まれて、ギーガー自身を網羅的に知ることができるように もなっている。 そして本作は、2014年5月12日に亡くなった画家の死の直前 まで取材されていたとされ、ウィキペディアに書かれた死因 と映画の最後のシーンの描写が衝撃的だった。 因にギーガーは『エイリアン』でオスカーも受賞したが、そ の前に映画との関わりがあったことは2014年3月紹介『ホド ロフスキーのDUNE』に描かれたもの。本作ではその点には触 れられていないが、『エイリアン』に関わるインタヴューの 中にダン・オバノンの名前が出てきたことは、その示唆には なっていたものだ。 その『エイリアン』に関しては、当時の妻が撮影したメイキ ングの映像などもあって、それは映画ファンとして興味深い ものだった。 ウィキペディアによると彼の死は事故によるもののようで、 従って本人にその意図があったかどうかは判らないが、本作 は画家の遺言のようでもあって、生と死とそれらを繫ぐ生殖 が作品のテーマだった画家のドキュメンタリーは、見事にそ の姿を描いたと言えそうだ。 公開は9月2日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷 他で、全国順次ロードショウとなる。
この週は他に 『オン・ザ・ミルキー・ロード』“On the Milky Road” (1995年『アンダーグラウンド』などのエミール・クストリ ッツァ監督による2009年『マラドーナ』『ウェディング・ベ ルを鳴らせ!』以来の新作。戦場で最前線の兵士に牛乳を配 達する男=監督主演が、ふと出会ったイタリア女=モニカ・ ベルッチによって人生を狂わせる。女のためだけの理由で村 が総攻撃されるなど、かなり戯画化された戦争喜劇。公開は 9月15日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他で、全国順次 ロードショウ。) 『おクジラさま ふたつの正義の物語』 (2013年2月紹介『ハーブ&ドロシー』などの佐々木芽生監 督が、2009年10月20日付「東京国際映画祭」で紹介『ザ・コ ーヴ』で題材にされた和歌山県太地町を取材した作品。その 後に現地に来て反対運動を続けるGreenpeaceの親子や、現地 に入り込んで取材を続けたアメリカ人記者などが中心に紹介 される。ただ具体的な内容は上記の作品ですでに描かれたも のと然程変わらず、一方、Greenpeace親子や記者のその後が 曖昧など、新たものはあまりなかった。問題を蒸し返すには これが適当なのかも知れないが。公開は9月9日より、東京 は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。) 『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』 (2005年〜06年に放送されたテレビシリーズからの劇場版。 異星生物によって地表が覆われ、宇宙への移住を余儀なくさ れた人類が帰還し、異星生物の殲滅を図るが…。という設定 で始まるバトルアニメーション。現時点が何時かも判らない ままフラッシュバックが目まぐるしく展開され、オリジナル を知らないと物語を把握するだけで精一杯だった。でもまあ 戦闘シーンは迫力があるし、オリジナルのファンも多い作品 だし、最近の観客はこれでも満足だろう。公開は9月16日よ り、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。) 『NELLY ネリー・アルカン愛と孤独の淵で』“Nelly” (2009年に36歳で自死したカナダ人作家の生涯を本人の著作 などに基づいてドラマ化した作品。主人公は元娼婦であり、 その素性を隠していた訳ではないが、周囲の目や軋轢などで 死の道を選んでしまう。若い女性には有り勝ちの物語のよう にも見えるが、自作の映画化でスターとしてデビューするな どの華やかさが、本作を支えているとも言える。因に同じ題 材の舞台劇もあり、そちらはかなり複雑な構成のようだが、 本作は判り易いストレートな作品になっている。監督は本作 が第3作のアンヌ・エモン。出演は2015年“Endorphine”と いう作品でカナダスクリーンアワードの助演賞候補になった マイリーン・マッケイ。公開は10月に東京はYEBISU GARDEN CINEMA他で全国順次ロードショウ。) 『追想』“Le vieux fusil” (ロベール・アンリコ監督、フィリップ・ノアレ、ロミー・ シュナイダーの共演による1975年製作の作品が、ディジタル リマスターされて再上映される。物語の舞台は1944年。終戦 間近のナチス兵によって妻子を奪われた男性医師が、壮絶な 復讐劇を展開する。医師の持ち物でもある古城の隠し通路な どいろいろな仕掛けがスリリングなドラマを構成し、そこに 平和な日々の記憶がフラッシュバックで挿入される。その巧 みさがさすが名匠の作品という感じでもあった。公開は9月 9日より、東京は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショ ウ。) 『三つの光』 (深夜の倉庫街の一角にある録音スタジオを舞台に、日々の 生活に疲れた3人の女性が心をぶつけ合い、再生して行く姿 を描いた作品。映画監督山本政志が主宰する映画塾「シネマ ☆インパクト」の製作で、今年のベルリン国際映画祭フォー ラム部門にも出品された。監督は2008年『症例X』でPFF アワード審査員特別賞を受賞した吉田光希。出演は池田良、 鈴木士、小宮一葉、真木恵未、石橋菜津美。劇中では女優た ちによる音楽のセッションなども披露される。物語は監督と 出演俳優たちとの対話によって形づくられたとのことで、そ のリアリティが特に若い女性には共感を呼びそうだ。公開は 9月16日より、東京は新宿K’cinema他で全国順次ロードシ ョウ。) 『我は神なり』“사이비” (2017年7月紹介『新感染 ファイナル・エクスプレス』の ヨン・サンホ監督によるアニメーション作品。ディズニーや ジブリとは趣の異なる写実的な絵柄のアニメーションで、内 容も社会派と言える作品だ。物語は新興宗教の教祖に祀り上 げられた男とその宗教で儲けを企む詐欺師を中心に、様々な 人間模様が描かれる。信者の前で演じられる奇跡や万病に効 く水など、日本でもよく聞く宗教の話だが、前大統領がその 関連で失職した韓国ではさらに深刻なのかな? もっとも日 本の現政権政党も宗教団体だし、現総理大臣の周辺も相当に きな臭い。そんなことを写しながら観ていると、いろいろ考 えさせられる作品だ。公開は10月、東京は渋谷ユーロスペー ス他にて全国順次ロードショウ。) 『ハイジ アルプスの物語』“Heidi” (2011年4月紹介『アンノウン』などのスイス出身・ドイツ 俳優のブルーノ・ガンツが「アルムおんじ」を演じる本国ス イスで製作された実写作品。日本ではテレビアニメーション でも有名だが、その物語の中でもハイジがおんじに預けられ る経緯からペーター、クララとの交流、そして…までが描か れる。まあお話は先刻承知のものだが、それがスイスアルプ スの本物の風景の中で撮影されているのだから、これはこの 上もない作品だ。監督はスイス人のアラン・グスポーナー。 主演は新人のアヌーク・シュテフェン。他に2012年7月紹介 『カルロス』などのカタリーナ・シュトラーらが脇を固めて いる。公開は8月26日より、東京はYEBISU GARDEN CINEMA他 にて全国順次ロードショウ。) 『プラネタリウム』“Planetarium” (1930年代を背景に実在した霊能姉妹にインスパイアされた 神秘主義的な要素もある作品。登場するのは妹に降霊の能力 があるとされるアメリカ人姉妹。2人はヨーロッパを巡業中 で、舞台や個人宅に招かれて降霊術を行っていた。そんな姉 妹に大手映画会社のプロデューサーが目を付け、カメラの前 でリアルな幽霊の撮影に挑むが…。出演はナタリー・ポート マンとリリー=ローズ・デップ。監督は2011年「フランス映 画祭」で上映された『美しき棘』などのレベッカ・ズロトブ スキ。ポートマンはこの女流監督の作品に出たくて快諾した そうだ。興味のある人には、当時の心霊研究の風景が見られ るのも面白かった。公開は9月23日より、東京は新宿バルト 9他で全国ロードショウ。) 『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』 “The Price of Desire” (東京上野の西洋美術館などでその作品が世界遺産に登録さ れた建築家ル・コルビュジエに纏わる実話に基づくとされる ドラマ作品。物語の中心は建築家と親交のあった女性工芸デ ザイナーのアイリーン・グレイ。彼女の作品もオークション で史上最高値が付けられるほどの人物だが、彼女が初めて手 掛けた建築デザインを巡って確執が生まれる。1965年に建築 家が亡くなったのは自宅前の海岸とされているが、実はその 家を建てたのはアイリーンであり、しかも彼女の家の壁に勝 手に落書きのような絵を残したとか、正直に言って建築家の 人柄を疑うような描写も見られ、結構辛辣な作品でもある。 主演はオーラ・ブラディ。建築家役をバンサン・ペレーズが 演じている。公開は10月14日より、東京は渋谷Bunkamura ル ・シネマ他で全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2017年07月23日(日) |
あなたそこにいてくれますか、アウトレイジ最終章、3ねんDぐみガラスの仮面 とびだせ私たちのVR |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『あなた、そこにいてくれますか』 “당신 거기 있어줄래요” 2010年8月紹介『メッセージ そして、愛が残る』の原作で 知られるフランスの作家ギヨーム・ミュッソが2006年に発表 した小説“Seras-tu là?”を、韓国で映画化した作品。 主人公は戦乱の地にも人道的に赴くような中年の医師。彼が とあるアジアの村でただ一人診療に当たっていた時、赤ん坊 を連れて現れた老人から不思議な丸薬を手渡される。それは 飲むと過去に戻り、過去を修復できるという薬だった。 そんな主人公には過去に別れた愛しい女性がおり、試しに服 用した彼は、その女性と若き日の自分が愛を育む場所に辿り 着く。しかしその女性との別れは必然であり、また彼には、 その別れによって誕生する今まさに愛おしい娘がいた。 女性の運命や親友との離別など、様々なドラマが時間旅行を 切っ掛けに巻き起こってくる。その中で、彼の見い出す最善 の道とは…? 出演は、2012年4月紹介『ワンドゥギ』などのキム・ユンソ クと、韓国の独立系映画に数多く出演してきたというピョン ・ヨハン。他に女優姉妹の妹のチェ・ソジン、2016年7月紹 介『ミスワイフ』などのキム・サンホ、テレビドラマに多く 出演のアン・セハらが脇を固めている。 監督は2009年『キッチン 3人のレシピ』などのホン・ジヨン が担当。 原作者はファンタシーやSFのプロパーではないようだが、 交通事故に遭ったことから死について考えるようになり、そ の結果として『メッセージ』の原作や本作の原作が生み出さ れたようだ。 その内容は、SF的ではあるが作者の視点はそこには向いて いないようで、正に人の生死を巡る物語が展開される。特に 本作の究極の選択とも言えるシチュエーションは、SFでは あまり扱われなかったテーマかもしれない。 恐らくSFではこのようにシビアな状況は好まれないものだ ろう。しかしこの原作者は、そこにこそある見事な人間模様 を紡ぎ出した。そしてその結末は甘くはあるが、自分がSF ファンとして納得できるものになっていた。 一部のSFファンではこの甘さを嫌う人もいるかもしれない が、僕にはタイムパラドックスの処理にも矛盾がなく思え、 正直に言って「やられた…」という感じかな? 正に脱帽と いう感じの作品だ。 それと映画の中で最近の作品では珍しい描写が続き、これは 何かと思っていたら、最後の思わずニヤリとしてしまった。 公開は10月14日より、東京はシネマート新宿、ヒューマント ラストシネマ渋谷他で、全国ロードショウとなる。
『アウトレイジ最終章』 2010年6月及び2012年8月に紹介した北野武監督主演による ヤクザ映画シリーズの完結編。 物語は前作の最後で国外逃亡したビートたけし演じる主人公 が、韓国組織から任された済州島の店で日本のヤクザがトラ ブルを起こすことから始まる。その落とし前を付けるため、 主人公は日本に戻ることを決意し、それは主人公と日本の組 織との最終決着へと繋がって行く。 そこに日韓の裏組織の関係や、国内では東西の組織の対決、 さらにはそれぞれの組織の内部抗争、取り締まり側の状況な どが絡んで、かなり多くの人数の動くそれなりな人間模様が 描かれて行く。 共演は、西田敏行、塩見三省、白竜、松重豊ら前作からの続 投組に加えて、大森南朋、ピエール瀧、岸部一徳、大杉漣、 原田泰造、池内博之らが新たに参加している。舞台も韓国に まで広がる拡大版だ。 ということで以下は個人的な感想になるが、本シリーズは、 一時はヴァイオレンス卒業を宣言していた北野監督が原点? に立ち返った作品だった。その経緯には多少自分なりの思い 入れもあったもので、そのシリーズが完結したことにはそれ なりの感慨も湧いてくる。 ただし、上ではそれなりな人間模様と書いたが、映画の中で のそれぞれは比較的あっさりと描かれていて、前作からの流 れも判り易い。これは前作からの間隔が5年も空いてしまっ たこともあるのだろうが、判り易さは優先されているように も感じられた。 しかも説明過多にせずドラマを作るのは、いろいろ難しさも あったのだろう。そのためか本作は、ある意味内容が淡泊で もあって、いろいろの部分をもう少し描き込んで欲しかった ところもある。でもその辺は最近の日本映画の状況には合わ ないのかもしれない。 いずれにしても、本作で北野監督は再びある意味での卒業を 宣言している訳で、これで次の作品への期待が増してくる。 正直には、本作では決着を急ぎ過ぎているかな?という思い もあり、それだけ次の作品への想いが高まっているようにも 感じる。 それが新たなヴァイオレンスの表現か? はたまたアートへ の再挑戦か? その進化形を早く知りたいという思いも募る 作品だ。 公開は10月7日より、全国ロードショウとなる。
『3ねんDぐみガラスの仮面 とびだせ私たちのVR』 前回の『東京タワーお化け屋敷』に続いて、今回は横浜駅西 口に常設されている「DMM・VRシアター」において7月 22日から9月3日まで行われる美内すすえ原作に基づく公演 を一般公開の前日に鑑賞させて貰った。 作品は原作の連載開始40周年を記念して2016年10月から12月 まで放送された短編テレビアニメを拡大したもので、3頭身 にデフォルメされたキャラクターによる原作のパロディが、 30分の物語で展開される。 その物語は、主人公たちの「VRシアター」出演が決定し、 その開演が3日後に迫っているのにまだ演目も決まっていな いという状況で始まり、月影千草の無茶苦茶な指導の許、演 目は「桃太郎」となるのだが…。 北島マヤが持つ天性の閃きと、姫川亜弓の対抗心、さらには 桜小路優のキャラクターが昔話を新たな次元へと引き上げて 行く。その一方で速水真澄とその影武者の聖唐人はとんでも ない冒険に巻き込まれていた。 声優は、月影役の田中敦子以下、阿澄佳奈、大久保瑠美、梶 裕貴、小野大輔、それに本作から新登場の聖役に緑川光。 脚本はテレビシリーズの構成も務めた赤尾でこ、監督は『秘 密結社鷹の爪』のスピンオフ作品などを手掛けるべんぴねこ が担当した。 物語は典型的なパロディという感じだが、日本のパロディと 称するものによくある下品さや悪意のようなものは無くて、 見ていて気分は良いものだった。それにギャグのセンスも大 人の鑑賞に堪えるものになっていた。 そしてこの鑑賞会には原作者も来場していて、上演後には囲 み取材も行われたのだが、元々関西出身で「お笑いは好き」 という原作者は本作にも満足のようで、それも立ち会って良 かったと思えたところだ。 そして実は個人的にはこの劇場のシステムにも興味があった のだが、使われているのはPepper's ghostと呼ばれる150年 ほど前に発明された舞台の演出技術を応用したもので、シス テム自体はディズニーランドのホーンテッド・マンションな どでも見ることができるものだ。 しかしこの劇場ではそれに最新の映像技術を組み合わせてお り、これによってアニメーションのキャラクターが舞台上を 立体映像のように動き回れる仕組みになっている。実際には これらのキャラクターは2Dなのだが、それが3Dのように 錯覚されるのもその効果と言えそうなものだ。 ただし現状では、スクリーンは天井まで最大限に設置されて いるのだが、写される映像には限界があって、上下の動きに 制約のあるのが残念なところ。それにキャラクターの前後の 動きなどにも、もう少し工夫ができそうな気もした。 上記の囲み取材では、原作者にもっと直接的に関る気持ちは ないかと質問してみたが、そういう外部の発想が技術を進化 させる切っ掛けになることもある訳で、そんなことが起きた らさらに嬉しいとも思えたところだ。 「VRシアター」の具体的な場所は、JR及び東急横浜駅の 南口に向かう地下道突き当りから西側に出て、相鉄ムービル の隣り。実際には河を渡る歩道橋からムービルの中のエスカ レーターを下りて外に出た左側だ。 作品も面白かったが、特に映像技術に興味のある人は観てお くとよいと思えるものだ。
この週は他に 『あさひなぐ』 (2007年にちばてつや賞の一般部門大賞受賞でデビューした 漫画家こざき亜衣が、2011年よりビッグコミックスピリッツ で連載、小学館漫画賞受賞のコミックスを、「乃木坂46」の メンバー主演で映画化した作品。脚本と監督は、2008年8月 紹介『ハンサム★スーツ』などの英勉。英は2017年5月21日 題名紹介『トリガール!』も監督しているが、この手の作品 を撮らせると本当に上手い。本作でもその才能はいかんなく 発揮されている。物語は他愛ないが、例えば物語の初めの方 で剣道と薙刀道の違いが説明され、その成程と思わせるタイ ミングで一気に引き込まれてしまった。こういうのが映画で は大事なのだろう。公開は9月22日より、TOHOシネマズ新宿 他で全国ロードショウ。) 『人情噺の福団治』 (関西演芸協会第10代会長で、上方落語協会理事も務める上 方落語家桂福團治を追ったドキュメンタリー。自身が声帯ポ リープで一時声を失った事などから弟子に障害者を取ったり 手話落語の普及などにも務めているという言うなれば美談的 なドキュメンタリーだが、実は弟子でもある長男の政治思想 などからいろいろな問題も露見される。その辺がまあ単純に は楽しめない作品になってしまった。事実は事実だから仕方 ない面はあるが、難しいところだ。東京での公開は9月2日 より、アップリンク渋谷にてモーニングショー。なお本人が 三重県出身のため名古屋地区などでは先に公開されたおり、 また日本橋の三重県アンテナショップでも試写会が行われた ようだ。) 『西遊記2 妖怪の逆襲』“西遊2伏妖篇” (チャウ・シンチー製作による2014年公開『西遊記〜はじま りのはじまり〜』“西游・降魔篇”の続編。中国製の西遊記 では2016年7月紹介のシリーズもあるが、VFXも多用でき る作品は競合してもそれぞれに客が呼べるのだろう。ただし 本作ではシンチーは製作脚本のみで、監督は2014年6月紹介 『ライズ・オブ・シードラゴン』などのツイ・ハークが担当 している。出演はクリス・ウー、ケニー・リン、2016年11月 紹介『人魚姫』のリン・ユン、さらにスー・チーらが脇を固 めている。お話は、原作にもある比丘国での出来事だが、本 作ではそれを大規模なセットやVFXで描き尽す。その派手 さは原作を超えていると言えそうだ。公開は9月8日より、 東京はTOHOシネマズ六本木他で全国でロードショー。) 『あさがくるまえに』“Réparer les vivants” (2017年05月14日付「第25回フランス映画祭」で紹介済み。 2度観る価値のある作品だ。) 『散歩する侵略者』 (劇作家・前川知大が率いる劇団イキウメの舞台を、2015年 『岸辺の旅』でカンヌ国際映画祭ある視点部門で監督賞を受 賞した黒沢清監督が脚色映画化した作品。数日間行方不明だ った夫が別人のようになって帰ってくる。そして街では不可 解な事件が頻発し、それを追うジャーナリストがある事実に 気付く。出演は長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己。他に前 田敦子、満島真之介らが脇を固めている。内容は『盗まれた 町』のような「静かな侵略」テーマのはずだが、途中にかな りの騒動になるシーンがあり、その整合性が気になった。監 督はSFの理解者だと思うので辻褄の会う説明は用意されて いると思うのだが…。公開は9月9日より、東京は新宿ピカ デリー他で全国ロードショウ。) 『スイス・アーミー・マン』“Swiss Army Man” (『ハリー・ポッター』のダニエル・ラドクリフが死体役を 演じる、多分今年観た中では最も珍妙な作品。主演は2012年 10月紹介『LOOPER』などのポール・ダノ。その主人公は海で 遭難し、無人島で絶望していた時に、浜に打ち上げられた死 体を見つける。その死体はガスで膨らんで浮力があり、主人 公はその死体に跨って脱出を図るが…。題名はスイスアーミ ーナイフの人間版ということで、そこからいろいろなことが 巻き起こる。正にとんでもない展開の物語だが、その全体が 嫌味なく纏められているのには感心した。脚本と監督はCM ディレクター出身のダニエル・クワン&ダニエル・シャイナ ート。公開は9月22日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他 で全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2017年07月16日(日) |
隠された時間、東京タワーお化け屋敷第3弾「東京タワーに届いた柩」 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『隠された時間』“가려진 시간” 満月の夜だけに現れる洞窟に入った子供たちが時間の流れに 翻弄される…。そんなファンタスティックな要素の強い韓国 映画。 少女は最愛の母を亡くし、母親の再婚相手の義父と共にその 島にやって来る。その島ではトンネル工事が行われており、 義父は発破の技師だった。しかし少女は生活の変化に馴染め ず、学校でもいつも1人だった。 そんな少女が少年と親しくなる。施設育ちの少年も両親がお らず、その共通する思いが2人を近づけたようだ。そして少 年が2人の仲間と共に立ち入り禁止の山に向った時、少女も その後について行ってしまう。 それは満月の夜。山肌に見つけた小さな洞窟に入った少年ら は、泉の底に沈んでいた卵のようなものを手に入れる。とこ ろが少女がいない間に少年たちはその卵を割ってしまい。少 年たちが行方不明にる。 こうして捜索が始まり、程無く1人の少年が遺体で発見され るが、残る2人の行方は杳として知れなかった。そんな中、 少女に近づいてきた青年が少年の名前を告げ、少女は青年が 少年の年を重ねた姿だと信じるが…。 突然現れた青年に警察は誘拐及び殺人の犯人と決め付ける。 出演は、少女役にネット配信された岩井俊二監督の短編映画 『チャンオクの手紙』にも出演のシン・ウンス。年を重ねた 少年役に2012年1月紹介『超能力者』などのカン・ドンウォ ン。他にキム・ヒウォン、クォン・ヘヒョ、ムン・ソリらが 脇を固めている。 脚本と監督はオム・テファ。以前には短編作品とインディペ ンデンス映画で「モンスター新人」と高く評価された監督の 商業映画デビュー作だ。 卵が割れた瞬間にその周囲にいた少年たちと、少女を含む現 実の世界との間で時間流の速さにずれが生じる。それは満月 と満月の間の約30日間に、少年たちの世界では18年の時が流 れたようで、その差は200〜250倍のようだ。 従って少年たちには世界は止まっているように見え、その中 で少年たちは物やお金も取り放題で勝手気ままに暮らすこと ができたのだが…。孤独な暮らしが心に重圧を与え、そして 少年の1人は死によって現実の世界に戻った。 というのが前半の物語の流れとなるが、ここまでは主人公た ちが起きている現象を理解していなかった訳で、それは物語 としても理解できる展開になっている。しかしその現象を理 解していたら話はちょっと変ってくる。 実はこの状況ではコミュニケーションは出来る訳で、ここで 例えば梶尾真治の「美亜へ贈る真珠」のようなことになった ら、それは映画としても素晴らしかったと思うのだが、残念 ながらそこまでのSFマインドは無かったようだ。 公開は8月19日より、東京はシネマート新宿他で、全国順次 ロードショウとなる。
『東京タワーお化け屋敷第3弾「東京タワーに届いた柩」』 昨年7月にも紹介した松竹映画社が日本電波塔=東京タワー の地下一階で開催するお化け屋敷。今年は7月15日から9月 3日まで開催されているその会場を、一般公開の前日に体験 させて貰った。 今回のテーマは蝋人形。物語の始りは3日前、東京タワーに 一つの木箱が届く。その木箱には蝋人形が入っているらしい のだが、それを発注した記録がない。しかしその木箱はある 蝋人形師の作品であることの証だった。 そしてそれは、30年前に蝋人形師が起こした事件に繋がって いるらしいのだが…。というコンセプトで展開される物語の 各恐怖場面が展示され、入場者はその中を歩いて見て回る形 式のものだ。 ただし上述のコンセプトは、後からチラシを見て知ったこと で、実は自分が体験した時には何も知らずに観てしまった。 とは言えその怖さは事情を知らなくても充分に伝わってくる もので、蝋人形という存在自体がオドロオドロしく、その雰 囲気だけで存分に楽しめた。 しかも今回は内部がかなり暗くて、一部は手探りで進んで行 かなくてはならないほど。これは全部作り物だと頭で理解し ていても精神的な恐怖感は相当に感じられるものだ。そして 今は背景を知った上でもう一度観たくなる、そんな気分にも 襲われている。 残念ながら今回は次の予定があって2度観することは叶わな かったが、繰り返し見ればいろいろ細かいところにも凝って いそうな作り込みも感じられた。一般公開ではリピーターも 出てくるのかな? それくらいの出来栄えにはなっていると 思えるものだ。 因に登場する蝋人形などはロボットではなく、実際に劇団の 俳優がメイクをして演じているもので、細かい仕草や入場者 への対応などがリアル。特に1人で入場した僕は、途中で女 性に見つめられた時には正直ドキドキした。この感覚は複数 人では味わえないかもしれないが。 それにしても東京タワーは、2013年まで蝋人形館が常設され ていた場所で、そこにこの題材はかなり思い切った感じでも ある。蝋人形館にはそれなりの雰囲気もあるし、この企画が 閉館を惜しんだ当時のファンにもアピールできると面白い… とも思えたところだ。 会場が都心の東京タワーの下というロケーションも良いし、 入場料大人900円、子供600円というのも手ごろで、手軽に楽 しめるお化け屋敷。 会場の入り口には本編に登場する木箱を模した顔出しが設置 され、これが公開前なのにかなりの撮影者で賑わうなど評判 になっていた。それも面白いところだ。
この週は他に 『REBECCA〜1985.11.1早稲田大学〜』 (6月25日に紹介したDVDに同梱されるDisk 2をサンプル で提供して貰えたので鑑賞した。実はこの映像も6月25日に 上映の予定だったが、Disk 1の本編時間が長くなった影響な どで割愛されたようだ。それで本作は、この年の雨の早稲田 祭に飛び入り出演した時のもので、野外のテント前の舞台で の演奏となっている。それで前回の紹介では画質の点で少し 不満を書いたが、劇場のスクリーンではなく家庭用のディス プレイで鑑賞するとそれは気にならなかった。寧ろNTSC の映像をHi-Visionにコンバートしてもこれだけの映像にな ることに感心するほどだった。過去には2曲だけがリリース された映像の今回は完全版とのことで、ファンには貴重な作 品だろう。DVDは7月26日に発売される。) 『禅と骨』 (アメリカ人の父と日本人の母の間で戦前の日本に生まれ、 戦況が厳しくなって渡米するも日本国籍のために強制収容所 に送られ、そこでも父親譲りの風貌のために迫害を受ける。 しかし戦後は日本に戻り、禅宗の僧侶として修行。さらに晩 年には「赤い靴」の童謡に隠された物語の映画化を試みた… というヘンリ・ミトワの生涯を描くヒューマンドキュメンタ リー。僕は強制収容所や「赤い靴」にも関心があったので、 興味深く観させて貰った。ただし本人が人間的にはかなり問 題があって、取材中の不機嫌な様子などには多少退いてしま うところもある。なお作中にウエンツ瑛士、余貴美子らが出 演の再現ドラマも挿入される。公開は9月2日より、東京は ポレポレ東中野他にて全国順次ロードショウ。) 『ゴーストロード』 (ラジオ・パーソナリティなどを務めるマイク・ロジャース という人の企画製作脚本で、インディロック・シーンで活躍 するミュージシャンが出演するファンタシーの要素のある作 品。主人公は人気の低迷するバンドのフロントマン。彼が手 に入れたヴィンテージのアンプを始動すると白煙が発し謎の 黒人が現れる。その黒人は魂と引き換えに究極の曲を与える と誘うが…。悪魔物の典型と言えそうな展開の物語だが、映 画の中では主人公たちのバンドを含めた楽曲が何曲も演奏さ れ、ファンはそれは目当てだろうし、それで充分に機能して いる作品だろう。それ以下の作品ではないが、これに手を加 えてもこれ以上にはなりそうもない。公開は9月30日より、 東京は渋谷HUMAXシネマ他で全国順次ロードショウ。) 『パーフェクト・レボリューション』 (2013年1月紹介『暗闇から手をのばせ』に繋がる障碍者の 性の問題を描いた作品。主人公は自らが障害者で自身の著作 を題材に講演活動も行っている男性。その講演は性について かなり赤裸々なものだ。そんな講演会に1人の女性が現れ、 彼女は主人公の相手になると言って彼の介助を始めるが…。 出演はリリー・フランキーと、2017年2月5日題名紹介『暗 黒女子』などの清野菜名。他に、小池栄子、岡山天音、余貴 美子らが脇を固めている。作品は脳性マヒを抱える活動家・ 熊篠慶彦の原案企画によるもので、内容は実話に基づくとさ れている。脚本と監督は、2014年柳楽優弥主演『最後の命』 などの松本准平。公開は9月29日より、TOHOシネマズ新宿他 で全国ロードショウ。) 『チャルカ〜未来を紡ぐ糸車〜』 (2014年1月紹介『福島 六ケ所村 未来への伝言』の島田恵 監督が核廃棄物の問題を捉えた作品。上映前の挨拶で監督は 「この問題を捉えた作品は初」と言っていたが、確かに従来 は原発問題の添え物のように扱われていたことが多い。しか し以前に常磐道経由で仙台に行った際、道路脇に野積みされ た黒い塊を見た者としては、これこそが福島問題の最重要事 項のように思えた。そして本作では、北海道幌延町や岐阜県 東濃地方、フィンランドで建設中の地下処分施設、フランス の処分計画地などが精力的に取材されている。それぞれの地 元では誘致派や反対派の意見なども紹介され、原状を知る上 でも有効な作品になっている。公開は8月12日より、東京は 新宿K'sシネマ他、全国で上映会が行われている。) 『トランスフォーマー 最後の騎士王』 “Transformers: The Last Knight” (2014年7月紹介『トランスフォーマー/ロストエイジ』の 続き。金属生命体の母星が地球侵略を計画し、それを阻止す べくオプティマスは旅立つ。その一方、地球では復活したメ ガトロンとバンブルビー率いるトランスフォーマーの戦いが 続いていた。そこにオプティマスが帰還するが…。主演は、 前作に引き続いてのマーク・ウォルバーグ。またジョシュ・ デュアメル、タイリース・ギブスン、ジョン・タトゥーロら が前のシリーズから復帰。さらにアンソニー・ホプキンスが 新登場している。監督はマイクル・ベイ。今回も上映時間は 2時間30分と長尺だが、IMAX3Dの迫力はその時間を飽きさ せない。それに最後のシーンはファンには落涙かな? 公開 は8月4日より、3D/2D、IMAX3Dで全国ロードショウ。) 『ジュリーと恋と靴工場』“Sur quel pied danser” (高級婦人靴のメーカーが製作に協力している靴工場が舞台 のフランス製ミュージカル。主人公は職なし、金なし、彼氏 なしの25歳の女性。そんな彼女がダメ元で応募したのは女性 に夢を与える手造り婦人靴の老舗だった。ところがその工場 に閉鎖の危機が訪れる。そして訳も分からずデモに駆り出さ れた彼女は…。大昔に『シェルブールの雨傘』や『ロシュフ ォールの恋人たち』を観ていた僕には、流れる音楽の雰囲気 から王道のフレンチミュージカルという感じだった。物語も フランスっぽいし、2017年6月25日題名紹介『ロスト・イン ・パリ』にはちょっと退いてしまった僕だが、この作品は文 句なしだ。公開は9月23日より、東京は新宿ピカデリー、シ ネスイッチ銀座他で全国順次ロードショウ。) 『ザ・ウォール』“The Wall” (2014年6月紹介『ALL YOU NEED IS KILL』などのダグ・リ ーマン監督が2007年のイラク戦争を舞台に描くサスペンス作 品。主人公は砂漠の廃墟に潜む敵兵掃討のため派遣されたア メリカ兵。ところが5時間が経過するも進展がなく、止む無 く廃墟に向った時、思わぬ方向から銃撃される。このため崩 れかけた壁の影に身を潜めた兵士だったが、そこから狙撃手 との駆け引きが始まる。しかもそれは炎天下の砂漠という極 限の場所だった。出演は『アベbジャーズ』シリーズなどの アーロン・テイラー=ジョンスンと、WWEのレスラーでも あるジョン・シナ。シナは動けない状況となるので、ほぼ全 編がジョンスンの一人芝居という作品だ。公開は9月1日よ り、全国ロードショウ。) 『戦争のはらわた』“Cross of Iron” (1977年製作サム・ペキンパー監督の戦争映画がディジタル リマスターにより再公開される。物語の舞台は第2時大戦中 のドイツ北部戦線。ソ連軍とナチス軍が対峙する中で様々な 悲喜劇が巻き起こって行く。『ワイルドバンチ』や『わらの 犬』がショッキングな演出で印象に残るペキンパーだが、本 作の頃は流石に丸みが出てきているのかな。当時見た時には 衝撃だった記憶はあるが、今見直すとレイプシーンなどには 現実はもっとひどいと思わせるようなところもあり、それは 当時の表現の制約だったのかとも思わされた。でも当時にこ れを描けたのはペキンパーならではのことだったのだろう。 そんな歴史も感じさせる作品だ。公開は8月26日より、東京 は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。) 『ターミネーター2・3D』 “Terminator 2: Judgmant Day 3D” (1991年にジェームズ・キャメロン監督が満を持して放った シリーズの第2作が最新技術で3D化されて再公開となる。 上映時間は2時間17分、これは最初に劇場公開されたヴァー ジョンのようだ。物語は前作でサラ・コナーの抹殺に失敗し た未来の敵スカイネットが、若者に成長したジョン・コナー 本人殺害のため新型ターミネーターを投入、対する未来のジ ョンは、プログラムを変更した旧型ターミネーターを送り込 む。その旧型に遭遇したジョンは使命を感じ、スカイネット の基を断つべく闘いが始まるというものだ。物語は今観ても 納得できるし、CGIによるVFXも見事、その一方で破壊 シーンにはミニチュアも活用され、技術の融合も感心した。 公開は8月11日より、全国で3Dのみの限定上映となる。) 『僕のワンダフル・ライフ』“A Dog's Purpose” (1985年『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』などのラッセ・ ハルストレム監督による「犬映画第3弾」と自称する作品。 因に第2弾は2009年4月紹介『HACHI』だそうだ。その 第3弾は、人間より寿命の短い犬が、命の恩人である飼い主 のために転生して行くというお話。猫は九生というが、犬も 転生するとは知らなかった。元はW・ブルース・キャメロン という作家のベストセラーの映画化だが、とにかく犬好きに はたまらない作品になっている。出演は、新人のK・J・ア パ、デニス・クエイド、ブリット・ロバートソン、ペギー・ リプトン。また犬の声優を『アナと雪の女王』のオラフ役ジ ョシュ・ギャッドが担当している。公開は9月29日より、全 国拡大ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2017年07月09日(日) |
ナミヤ雑貨店の奇跡、ザ・マミー 呪われた砂漠の王女、少女ファニーと運命の旅 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ナミヤ雑貨店の奇跡』 2016年8月14日題名紹介『疾風ロンド』など東野圭吾原作の 映画化。原作は2011年に雑誌連載で発表、翌年に出版されて 中央公論文芸賞を受賞している。 登場するのは3人の若者。彼らはある犯罪を犯して逃亡しよ うとするが、用意した車がエンストし、止む無く下見で見つ けた廃屋に隠れる。彼らの犯行には彼らなりの正義があった が、犯罪であることには変わりがない。 そんなことで心が揺れる中、閉じたシャッターの郵便受けに 一通の手紙が投函される。その廃屋は過去に悩み相談で話題 になった街の雑貨店だった。そしてその手紙に記載された相 談は、彼らの過去に関わるものだった。 どうやらその郵便受けは過去からの手紙を受け取っているよ うで、その手紙に回答することで彼らは自らの過去の出来事 が実現するように仕向けるのだが…。それはある悲劇にも繋 がっていた。 出演は、ジャニーズ(Hey! Say! JUMP)の山田涼介、2017年 6月紹介『二度めの夏、二度と会えない君』の村上虹郎、前 回題名紹介『心が叫びたがってるんだ。』の寛一郎。 他に、成海璃子、門脇麦、林遣都、鈴木梨央、山下リオ、萩 原聖人、小林薫、吉行和子、尾野真千子、そして西田敏行ら が脇を固めている。 監督は2017年6月4日題名紹介『彼女の人生は間違いじゃな い』などの廣木隆一。脚本は2016年12月11日題名紹介『キセ キ あの日のソビト』などの斉藤ひろしが担当した。 テーマ的には、2006年7月紹介『イルマーレ』及びそのオリ ジナルの2000年韓国映画に通じるかな。時空を超えた手紙の やり取りが過去の出来事に影響して行くというお話だ。これ はジャンルとしてはSFということになるものだが…。 最近のこの種の作品では、昨年大ヒットした『君の名は』な どもそうだが、SFのテーマを扱っている割にはその理由付 などが不明瞭で、しかも主人公たちがそのことに全く疑問を 抱かない。 それをそれでいいとしてしまえるのは、このようなSF的な テーマがそれなりに一般に認知されている証ということにも なるが、以前からのSFファンとしては何となく落ち着かな い気分にもなるものだ。でもまあこういうSFの浸透もあり なのだろう。 しかも本作では、過去の出来事と現在との繋がりが実に巧み に描かれていて、それは中々のドラマを作り上げていた。そ れは全体のドラマ作りも見事なもので、最近エピソードばか りでストーリーのない作品に辟易していた者としては、久々 に納得の作品だった。 公開は9月28日より、全国ロードショウとなる。
『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』“The Mummy” 過去にはユニヴァーサル・ホラーとして勇名を馳せたハリウ ッドの老舗映画会社がDark Universeという新たなブランド を立ち上げ、名作のリブートに乗り出すとする第1弾。 物語の背景は現代。中東の戦乱で古代の遺跡が次々に破壊さ れる中、主人公は手に入れた地図を頼りにとある村にやって 来る。その村は過激派に占拠されていたが、いろいろあって ミサイル攻撃が行われ、村の地下の遺跡が発見される。 その遺跡はペルシャ領内にあったがエジプトの様式であり、 その謎を解くため地下に眠っていた棺をイギリスに輸送する ことになる。その輸送は主人公が地図を手に入れた女性考古 学者の指揮で行われるが…。 その棺に生きたままミイラにされて閉じ込められていた古代 の王女が復活。王女は世界征服の野望に燃え、超能力を駆使 して周囲にいた者たちを支配し始める。そんな中で主人公は 女性考古学者と共に呪いに立ち向かう。 出演はトム・クルーズと、2015年8月紹介『キングスマン』 などのソフィア・ブテラ、2014年『アナベル死霊館の人形』 などのアナベル・ウォーリス。さらにオスカー俳優のラッセ ル・クロウらが登場する。 脚本は2017年2月紹介『パッセンジャー』などのジョン・ス ペイツと、2014年6月紹介『ALL YOU NEED IS KILL』などの クリストファー・マッカリー。監督は2013年6月紹介『スタ ー・トレック イントゥ・ダークネス』などの脚本家のアレ ックス・カーツマン。監督は長編第2作のようだ。 同じ原題で知られる1932年公開のオリジナル(邦題:ミイラ 再生)は、ミイラで発見された古代の僧侶が甦り、自らが仕 えた王女の復活を目論むというものだった。しかし今回のリ ブートではミイラは王女のもの。そしてその王女が直接恐怖 をまき散らすのだ。 これではリブートというより、丸っきり新たなストーリーと 言えるが、本作にはさらに仕掛けがあって、実はクロウの演 じているのがDr. ヘンリー・ジキル。そして彼の研究室には 2017年2月紹介『キングコング髑髏島の巨神』のエンドロー ル後にも匹敵のとんでもないものが並んでいるのだ。 ここで先に書いたDark Universeというブランド名を考える と、これはディズニー=マーヴェルの「アベンジャーズ」、 ワーナー=DCの「ジャスティス」に並ぶ新たなチームの展 開が見えてくる。それがクロウ、クルーズの共演に対抗する ことになるのかな? 因に、Dark Universeでは、2019年の公開予定でハビエル・ バルデム出演の“Bride of Frankenstein”が発表されてい る他、ジョニーデップ出演の“The Invisible Man”、さら に“Van Helsing”などが計画されているようだ。これらが 1本化された物語になるのだろうか。 本作の公開は7月28日より、全国ロードショウとなる。
『少女ファニーと運命の旅』“Le voyage de Fanny” 現在はイスラエルで暮らすユダヤ人女性の第2次大戦中の 実体験を描いた作品。 フランス東北部のイタリア占領地区は、ナチスの占領地区 に比べるとユダヤ人への迫害は緩かった。しかしイタリア の降伏が伝わると様相が一変する。そこで支援者に匿われ ていた少女らは、両親と別れスイスへ脱出を図る。 ところが乗っていた列車の運行が停止され、引率の大人が いないまま少女たちは独力でスイスを目指すことになる。 しかも最年長の少女はドイツ語なまりがひどくて人前では 話せず、13歳の主人公に重責が負わされる。 それでも何とか機転を利かせながら国境を目指す少女たち だったが…。状況は刻々と悪化していた。 出演は、主人公ファニー役に舞台経験はあるが映画初出演 のレオニー・スーショウ。ただし他の8人の子供たちには かなり実績のある子役が選ばれているようだ。 さらに大人の役では、2006年4月紹介『ロシアン・ドール ズ』などのセシル・ドゥ・フランス、元レーシング・ドラ イヴァーというステファン・ドゥ・グルート、2016年公開 『エタニティ永遠の花たちへ』などのヴィクトール・ムー トレらが脇を固めている。 監督は、2013年6月20日付「フランス映画祭2013」で 紹介『アナタの子供』などのジャック・ドワイヨン監督の 実娘で、2007年のデビュー作がカンヌ映画祭での上映及び セザール賞にノミネートされ、本作が3作目のローラ・ド ワイヨン。 因に監督はユダヤ人ではないため、この作品を手掛けるこ とには相当悩んだようだが、フランスの歴史を伝える上で 重要な作品と考えて踏み切ったとのことだ。 その作品は、戦争をその最大の被害者である子供の視線で 描くという信念が見事に結実したもので、1952年『禁じら れた遊び』などにも比肩する作品が完成した。 また、映画後半のスイスに向かう風景は『サウンド・オブ ・ミュージック』も思い出させ、その中でつかの間、屈託 なく遊ぶ子供たちの姿は最高のメッセージに思えた。 それにしても、ここに描かれるのはフランス国内でのユダ ヤ人弾圧の真実であり、それはある意味フランスの負の歴 史である訳で、これをフランス映画界が描いたことも称賛 したい。 公開は8月11日より、東京は日比谷のTOHOシネマズ・シャ ンテほかで、全国ロードショウとなる。
この週は他に 『蠱毒(こどく) ミートボールマシン』 (2006年7月紹介作品に続くシリーズ第3作? 監督は前 作の山口雄大に代って、前作の特殊造形を務めた西村喜廣 が担当している。山口監督の前作では、着ぐるみ同士のス プラッターに疑問を感じたが、本作もその路線は継承、た だし血飛沫の量はさらに増加して、殺陣にもいろいろ工夫 はされていたようだ。そしてタイトル通りの古来の呪術み たいなものが背景に置かれてはいるのだが、その部分が判 りはするけどもう少し丁寧に欲しかったかな。そこにオド ロオドロしさがあるとまた違った面白さになったとも思え た。出演は田中要次、初主演作だそうだ。共演に百合沙。 他に仁科貴、斎藤工らが脇を固めている。公開は8月19日 より、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。) 『パターソン』“Paterson” (ジム・ジャームッシュ監督による前作から4年ぶりとい う最新長編作品。アメリカ東部の小都市を舞台に町と同じ 苗字のバス運転手の7日間が描かれる。それは事件らしい 出来事も起こらない淡々としたものだが、詩人でもある主 人公には常に新鮮な風景が展開する。出演は2015年『SW フォースの覚醒』などのアダム・ドライヴァ。共演に『P OTC最後の海賊』などのゴルシフテ・ファラハニ。他に 永瀬正敏。また本作でカンヌ映画祭でパルムドッグ賞受賞 のアメリカン・ブルドッグが名演技を見せるが、惜しくも 撮影後に他界したそうだ。公開は8月26日より、東京は新 宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町他で、全国 順次ロードショウ。) 『彼女がその名を知らない鳥たち』 (イヤミスの旗手の1人とされる沼田まほかるの原作を、 2016年『日本で一番悪い奴ら』などの白石和彌監督が蒼井 優、阿部サダヲを主演に招いて映画化した作品。蒼井が演 じるのは典型的な悪女。阿部が扮するのは彼女を愛し続け るダサい男。しかし女の気持ちは以前に別れた男性を思い 続けている。という典型的に嫌な話だが、そこからミステ リーが始まり、男性観客の自分としては案外阿倍が扮した 男に共感する物語になっていた。共演に松坂桃李、竹野内 豊。展開も面白く、謎解きも納得できる巧みな作品。中盤 で阿部のマッサージを受けながら蒼井が呟く台詞が凄い。 公開は10月28日より、東京は新宿バルト9、有楽町スバル 座他にて全国ロードショウ。) 『アンダー・ハー・マウス』“Below Her Mouth” (ユニセックスで評判のモデルを主演に据えて女性同士の 性愛を描いた作品。主人公は父親の跡を継いで屋根大工と して働く女性。そんな彼女がとある現場で目下の家の女性 に目を止める。そして編集者として成功する彼女とバーで 再会した2人は情熱的な関係を持つようになるが…。男性 観客の自分としては、内容的に2013年のカンヌ国際映画祭 パルムドール受賞作『アデル、ブルーは熱い色』を思い出 してしまうが、女性はどうなのかな。本作は監督のエイプ リル・マレン、脚本のステファニー・ファブリッツィら、 主要スタッフほとんどが女性という布陣で撮られており、 その独自性が出ているかどうか? 公開は10月7日より、 東京はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。) 『ひいくんのあるく町』 (2011年に設置された4年制大学・日本映画大学で第3回 卒業制作として作られた47分のドキュメンタリー。青柳拓 監督の故郷である山梨県南部の市川大門町。その町で多く の住民から愛されている知恵遅れのひいくん。その男性を 中心に、徐々に変化して行く故郷の街が描かれる。その町 は和紙の生産と花火大会で有名だったが…。「ひいくんが いなくなったら寂しいなあ」という監督の思いが、失われ て行く町の風物と重なってある種の共感を呼ぶ。でも何と なく上手く纏まり過ぎて、何かもう一歩踏み込んで欲しか ったかな。でもそれをやったら、今この作品が持つ良さは 消えたのだろう。公開は9月2日より、東京はポレポレ東 中野他にて、全国順次ロードショウ。) 『ドリーム私たちのアポロ計画』“Hidden Figures” (1960年代前半。宇宙開発でソ連に後れを取ったアメリカ が必死の努力を続けた時代のNASAで、その躍進を支え た3人の実在の黒人女性の姿を描いた作品。ケネディ大統 領が誕生し、キング牧師が公民権を叫ぶ時代。NASAに は多くの女性が進出していたが、黒人差別は根強く残って いた。そんな中でも数学に天分を発揮する主人公は次々に 難問を解決するが、彼女の職場には白人との共用トイレが 無かった。出演はタラジ・P・ヘンスン、オクタヴィア・ スペンサー、ジャネール・モネイ。他にケヴィン・コスナ ー、キルスティン・ダンスト、マハーシャラ・アリらが脇 を固めている。公開は9月29日より、東京はTOHOシネマズ シャンテ他で全国ロードショウ。) 『三度目の殺人』 (2011年3月紹介『奇跡』などの是枝裕和監督が、2013年 『そして父になる』の福山雅治、2015年『海街diary』の 広瀬すずと、初参加の役所広司。さらに満島真之介、市川 実日子、松岡依都美、橋爪功、斉藤由貴、吉田鋼太郎らの 配役で描いた弁護士ドラマ。主人公は法廷で勝つことだけ が狙いの刑事弁護士。しかし今回の案件は殺人の前科を持 つ男の二度目の殺人で、このままでは極刑を免れない。そ こで無期懲役への減刑を狙うが、被告人の証言は接見の度 に変り、その意図が掴めない。そして主人公は犯行そのも のに疑問を感じるが…。事件の背景にあるものや死刑の是 非など、世間に一石どころか、二石も三石も投じるような 作品だ。公開は9月9日より、全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2017年07月02日(日) |
東京喰種 トーキョーグール、新感染 ファイナル・エクスプレス |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『東京喰種 トーキョーグール』 石田スイ原作、「週刊ヤングジャンプ」連載のコミックで、 既にアニメ化もされている作品の実写映画化。 地球上の食物連鎖で頂点に立つとされる人類。しかし古来よ りその人類を食料とする存在がいた。その存在=喰種(グー ル)に対して人類は様々な対抗策をとって来たが…。その結 末はまだ見えていない。 そんな中、主人公はグールに襲われるが、突発事故で重傷を 負いながら救出される。そして同じ事故で死亡した女性の臓 器を移植されるが、その女性はグールだった。このため臓器 を移植された主人公は半グールになってしまう。 こうしてグールの世界に迷い込んだ主人公は、そこで様々な グールたちと出会い、その苦悩を知ることになる。そして少 しでも人類への危害を減らそうとするグループとも巡り会う が…。 一方、グールの抹殺を図る人類側の組織では、グールの生来 の武器を入手し、それをグールへの対抗策として活用しよう としていた。そして3つの武器を手に入れた2人の捜査員が 主人公らに迫って来る。 出演は、2016年6月紹介『MARS ただ、君を愛してる』 などの窪田正孝と、2015年2月紹介『振り子』などの清水富 美加。他に劇団EXILEの鈴木伸之、子役の桜田ひより。さら に蒼井優、大泉洋、村井國夫、白石隼也、相田翔子、佐々木 希、前野朋哉、ダンカン、岩松了らが脇を固めている。 監督は多くのCMやミュージックビデオを手掛けてきた萩原 健太郎。脚本は、2015年『天空の蜂』などの楠野一郎が担当 した。 原作は読んでいないが、作品の世界観みたいなものはしっか りと描かれているように感じた。またグールが繰り出す武器 やそれを利用した人間側の武器などの造形やVFXも良く描 けていると言える。この辺は日本映画でもなかなかやれるよ うになってきたものだ。 ただ、人間関係などには原作を知らないと判り辛いところも あり、原作の読者でない者には多少ハードルが高いかな。で もまあ本作だけでも流れは理解できるし、それに加えて原作 のファンが喜ぶ仕掛けは中々巧みな作品とも言えそうだ。 上記の共演者の中にはこの出番だけ…? というような人も おり、原作にはもっと多くのエピソードもあるようで、当然 本作にも続編は考慮されているのだろうが。撮影後の出来事 がどう影響するか、その辺も気になる作品だ。 公開は7月29日より、全国ロードショウとなる。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』“부산행” 韓国高速鉄道(KTX)の全面協力を受けて製作された鉄道 パニック作品。 物語の舞台はソウルを早朝に出発してプサンに向かう列車。 その列車に、プサンに住む別居中の妻の許に娘を送って行く ビジネスマン父子や、臨月間近の妻を連れたちょっと粗暴な 夫。さらには高校野球のチームなどが乗り込む。 そして定刻発車の間際に、傷を負ってよれよれの男女が乗り 込んできた。その男性はトイレに隠れるが、女性は通路に倒 れたまま列車は出発する。すると少し経って起き上がった女 性が周囲の人間に噛みつき始める。 その女性は人間を凶暴化させるウィルスに感染しており、時 速300�劼納請�する車内はパニックに襲われる。しかし街中 にもそのウィルスは蔓延していた。斯くして国内で唯一平静 が保たれているとされるプサンに向って列車は進むが…。 出演は、2012年7月紹介『トガニ 幼き瞳の告発』などのコ ン・ユ、2015年12月紹介『コインロッカーの女』などの子役 のキム・スアン。他に2012年3月紹介『ミッドナイトFM』 などのマ・ドンソク、『トガニ』などのチョン・ユミらが脇 を固めている。 脚本は2013年『ファイ 悪魔に育てられた少年』などのパク ・チュソク。監督は社会派アニメーション作家として知られ 本作で実写長編デビューとなるヨン・サンホ。なお同監督で 本作の前日譚となる長編アニメーション『ソウル・ステーシ ョン パンデミック』も近日日本公開予定になっている。 所謂ゾンビものとされる作品だが、ジョージ・A・ロメロ型 ではなく、『バイオハザード』系と言える作品だ。基本走り 回るゾンビは好きではないが、『バイオハザード』系はそれ とは別物。そして本作はその中でも最速と言える。何たって 新幹線に乗っているのだ。 その新幹線は、JRでは絶対に協力不可と思われるが、韓国 では全面協力で、車内撮影は基より、映画の後半では建設中 と思われる路線上での撮影なども敢行されている。映画に対 する支援体制の充実も感心させられる作品だ。 それにしても走る密室というシチュエーションが巧みに活か された作品で、様々な設定などにも無理がなく、特に感染者 の中をすり抜けて行くサスペンスや、当然感染者を乗せたま ま終点に行ってはならない展開など、正しく一級品と言える エンターテインメントになっている。 公開は9月1日より、東京は新宿ピカデリーほかにて、全国 ロードショウとなる。
この週は他に 『わたしたち』“우리들” (小学生の女児を主人公に、友情や苛め、嫉妬、裏切りなど 感情の縺れと葛藤の中で成長して行く姿を描いた韓国映画。 学校ではいつもひとりぼっちだった11歳の少女は、夏休みに 引っ越してきた転校生と親しくなる。しかし新学期が始まる と変化が訪れる。何処の国に行っても子供の抱える問題は共 通するのだろう。本作は昨年の東京フィルメックスで上映さ れ観客賞を受賞しているもので、作品の普遍性が日本の観客 にも理解されたようだ。本作が長編デビューのユン・ガウン 監督は、2008年4月紹介『シークレット・サンシャイン』な どのイ・チャンドンの愛弟子だそうで、問題意識もしっかり 持った作品に仕上げられている。公開は9月、東京はYEBISU GARDEN CINEMA他で、全国順次ロードショウ。) 『50年後のボクたちは』“Tschick” (ドイツ国内で220万部以上を売り上げたという児童文学の ベストセラーを、2010年11月紹介『ソウル・キッチン』など のファティ・アキンが映画化。家で問題を抱える主人公と、 ロシアから来た変わり者の転校生。学校で浮いた存在の2人 が夏休みにおんぼろ車で旅に出る。時代背景は2016年だが、 『スタンド・バイ・ミー』のドイツ版といった感じかな。旅 先で起きるいろいろな出来事が、連れになった女性との淡い 恋心など少年たちを成長させて行く物語。これ現代なの? という部分もあるが、50年後に思いを馳せる気持ちが『スタ ンド…』とは違った情感を与えてくれる。公開は9月16日よ り、東京はヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国順次 ロードショウ。) 『いつも心はジャイアント』“Jatten” (難病を患いながらも懸命に生きる青年を主人公にしたスウ ェーデン発のヒューマンドラマ。頭蓋骨が変形する病と紹介 されるが、映画を長く観てきた者には、1980年デヴィッド・ リンチ監督の『エレファント・マン』が思い浮かぶ。多分同 じ病なのだろうが、描かれる差別や憐れみを超えた友情は、 いつの時代にも変わらない。本作ではそこにペタンクという 球技を絡めて感動的に盛り上げるが、その競技のルールを知 らない自分としては多少戸惑いも生じたかな? ただしこの 競技は以前に日本のテレビドラマにも登場したそうで、知ら ない方が悪いのかもしれないが…。本国の映画賞では作品賞 など3冠に輝いたそうだ。公開は8月19日より、東京は新宿 シネマカリテ他にて全国順次ロードショウ。) 『オラファー・エリアソン視覚と知覚』 “Olafur Eliasson: Space Is Process” (デンマーク生まれでベルリンに居住するアイスランドの芸 術家が2008年に1550万ドルを費やして4か月間ニューヨーク 市で行ったインスタレーションと呼ばれる芸術について記録 したドキュメンタリー。芸術家の作品は日本でも金沢21世紀 美術館などに展示があるようだが、インスタレーション芸術 はその場で体験しないと理解し辛いものだ。本作に登場する 「ウォーターフォールズ」にしても、恐らく現地でそれを観 た人にはいろいろ感慨も湧くのだろうが、そうでない者には 何とも評価の糸口も見つからない感じだった。かと言って芸 術家に一方的な芸術論を繰り広げられても困ってしまうとこ ろだが…。公開は8月5日より、東京はアップリンク渋谷、 横浜ジャック&ベティ他にて、全国順次ロードショウ。) 『心が叫びたがってるんだ。』 (2013年8月紹介『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らな い』と同じ監督長井龍雪、脚本岡田磨里、キャラクターデザ イン田中将賀が再結集した2015年公開アニメーションを実写 映画化した作品。2015年の作品も試写で観ているが、2013年 作品と同様の違和感があり、ここでの紹介は割愛した。その 作品の実写版だが、実写の効果なのか違和感は解消されてい た。物語は家庭内の出来事で言葉を失った少女と、彼女を支 えて祭りを成功させようとする学友たちを描き、特にクライ マックスの緊張感が巧みに演出されて感動に繋がっていた。 出演はジャニーズ「Sexy Zone」の中島健人、NHK朝ドラ の芳根京子。他に石井杏奈、寛一郎。公開は7月22日より、 東京はTOHOシネマズ日本橋他にて、全国ロードショウ。) 『サーミの血』“Sameblod” (2016年11月4日付「東京国際映画祭」で紹介、審査員特別 賞および最優秀女優賞を受賞した作品の日本公開が決まり、 再度試写を見学した。映画祭では予備知識なしで観てしまう が、今回は2度目でもあり、その分の理解は進んだ。その中 で映画祭ではサーミ人の風貌が様々なことも気になったが、 映画の中に混血が進んでいることを伺わせる台詞があり、そ れ自体が差別の結果であるような雰囲気も伝わってきた。因 に映画祭では当初監督の来日が危ぶまれ、その後もそそくさ を帰国してしまったが、その理由が「トナカイの世話に追わ れている」というのも理解できたところだ。公開は9月16日 より、東京はアップリンク渋谷、横浜ジャック&ベティ他に て、全国順次ロードショウ。) 『笑う故郷』“El ciudadano ilustre” (2016年ベネチア国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したコメ ディドラマ。故郷のアルゼンチンを離れスペインで暮らして いた作家がノーベル文学賞を受賞し、故郷の街の名誉市民に 推挙されて故郷に凱旋することになる。しかし彼の作品の多 くは故郷の街を舞台にしたものであり、街の住人には様々な 思いがあった。小説家の友人は多いが、これはある意味作家 アルアルなのかな。物語は過去にもありそうな展開だが、特 に独裁政権や市民革命が繰り返された国では、その根は深く なりそうだ。政治色は薄いがそんな民間の思惑が巧みに描き 込まれた作品だ。因に映画はスペインとアルゼンチンの合作 で製作されている。公開は9月16日より、東京は岩波ホール 他にて、全国順次ロードショウ。) 『もうろうをいきる』 (題名は漢字で書けば『盲聾を生きる』となるのだろうが、 目も見えず耳も聞こえない人たちが日本には推定14000人も いるのだそうだ。その人たちの生活やその人たちを支援する 活動を描いたドキュメンタリー。自分が生まれ育った町には 盲学校と聾学校があったので、そういう人たちを見る機会は 多かったし、そのせいか今でもその類のドキュメンタリーは 率先して観るようにしているつもりだが、その両方が重なっ ている状況は考えるだけでも胸が詰まる思いがする。でもそ の人たちの懸命に生きる姿を見ると、その支援の輪は広げた いと思うし、この映画でその輪が広がることを願うものだ。 公開は8月26日より、東京はポレポレ東中野他にて、全国順 次ロードショウ。) 『スキップ・トレース』“Skiptrace” (2017年6月4日付題名紹介『レイルロード・タイガー』に 続くジャッキー・チェン主演作で、監督にレニー・ハーリン を招いたアクション作品。チェンが演じるのは香港警察のベ テラン刑事。殉死した先輩刑事の遺児の成長を見守りながら 任務を遂行しているが、黒社会との繋がりは警察内部にも蔓 延っている。そんな折、ちょっとした捜査ミスから彼は現場 を外されるが…。チェンの原案に基づく作品で、元はジェッ ト・リーとの共演も想定されていたそうだ。その代わりの共 演者は2011年2月紹介『ジャッカス3D』などのジョニー・ ノックスヴィル。華麗とは言い難いがかなり過酷なスタント もあるようだ。シベリアから中国縦断のロケも敢行されてい る。公開は9月1日より、全国ロードショウ。) 『関ケ原』 (2011年12月紹介『わが母の記』などの原田眞人脚色・監督 で、司馬遼太郎原作歴史小説を映画化した作品。時は1600年 9月15日、現在の滋賀県と岐阜県の県境に近い場所で起きた 天下分け目の決戦。そこに至る歴史の流れとその戦況を主に 西軍石田三成の視点で描く。それは豊臣秀吉を巡るの徳川家 康と三成の確執を描いて行くものだ。出演は岡田准一、役所 広司、有村架純、平岳大、東出昌大。他に伊藤歩、キムラ緑 子、滝藤賢一、中越典子、壇蜜、西岡徳馬、松山ケンイチ、 麿赤児らが脇を固めている。原田監督は2015年『日本のいち ばん長い日』でも歴史を描いて好評を得ており、昨今怪しげ な時代劇が横行している中では安心して観ていられる監督と 言えそうだ。公開は8月26日より、全国ロードショウ。) 『スパイダーマン:ホームカミング』 “Spider-Man: Homecoming” (情報解禁前のため割愛) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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