井口健二のOn the Production
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2017年04月30日(日) トモダチゲーム・劇場版、ライフ、ディストピア パンドラの少女、桃とキジ

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『トモダチゲーム・劇場版』
山口ミコト原作、佐藤友生作画で、「別冊少年マガジン」に
2014年から連載中の漫画の映像化。
実は本作には劇場版に先行してテレビ放送されたドラマ版が
あって、今回は事前に28分×4話のドラマ版を観てから本編
の試写に臨んだ。まずはそのドラマ版の物語。
主人公は両親のいない貧乏な男子高校生。しかしクラスには
市会議員の息子や学級委員の女子、頭脳明晰な男子優等生に
オタクの女子などの仲間がいた。そんなクラスで集金された
修学旅行費が盗まれる。そして責任を負う学級委員の女子か
ら主人公に相談があるとの連絡が来る。
そこで指定された場所に主人公が向うと、そこには彼に呼び
出されたという他の仲間たちがおり、そこで何者かに襲われ
た主人公たちは、場所の判らない1室で目を覚ます。しかも
そこで彼らの借金を返済するためゲームに参加し、借金が0
になるまでゲームをクリアし続けろと強制される。
斯くして主人公たちはゲームに参加。その第1ゲームはコッ
クリさんに似たものだった。しかしそのゲームにはいろいろ
な仕掛けがあり、主人公たちは心理的な駆け引きに巻き込ま
れることになる。それでも何とかゲームをクリアするが…。
そんな物語が主人公の語りで綴られる。

出演は、2017年4月紹介『ラストコップ THE MOVIE』などの
吉沢亮、2014−15年『仮面ライダードライブ』などの内田理
央、2017年2月26日題名紹介『破裏拳ポリマー』などの山田
裕貴、2016年8月21日題名紹介『イタズラなKissハイスクー
ル編』などの大倉士門、アイドルグループ出身の根本凪。
脚本と監督は、作品歴に2011年『こっくりさん 劇場版』何
て題名もある永江二朗が担当した。
というドラマ版を受けた劇場版となる本作では、再び主人公
らが集められてゲームの続きが行われる。その第2ゲームは
スゴロクに似ているものだが、ここでも心理的な駆け引きが
展開されることになる。それは第1ゲームよりさらに複雑な
心理ゲームになって行くものだ。
因にドラマ版では、題材がコックリさんであるために映像的
にはさほどのものはなかったが、スゴロクが題材の本作では
VFXも使用されてかなりの映像が展開される。またゲーム
の背景もVFXを使って紹介され、それもそれなりの展開と
なっていた。

公開は6月3日より、東京はシネリーブル池袋他で全国順次
ロードショウとなる。
また『トモダチゲーム・劇場版2』も予告されている。


『ライフ』“Life”
2017年2月紹介『パッセンジャー』3月紹介『メッセージ』
に続くソニー・ピクチャーズ配給、本格SF作品の第3弾。
物語の舞台は衛星軌道上に浮かぶ国際宇宙ステーション。無
重量状態など、地上では行えない実験を行うために国際協力
で形成されたステーションに新たな任務が与えられる。それ
は火星から帰還した無人探査機の回収と分析だった。
それはまず無人機のキャッチから始まり、それに成功した乗
員は機が持ち帰った火星の土壌の分析を始める。そしてその
中に生物らしき細胞組織を発見。しかも最初は不活性だった
細胞に環境条件を変えることで活性化にも成功する。
しかしそれが恐怖の始まりだった。

出演は、2013年6月紹介『エンド・オブ・ウォッチ』などの
ジェイク・ギレンホール、2016年3月紹介『デッドプール』
などのライアン・レイノルズ、10月30日題名紹介『ガール・
オン・ザ・トレイン』などのレベッカ・ファーガソン。他に
日本から真田広之、イギリスからアリヨン・バカル、ロシア
からオルガ・ディホヴィチナヤらが脇を固めている。
監督は、2012年8月紹介『デンジャラス・ラン』などのダニ
エル・エスピノーサ。脚本は『デッド・プール』などのレッ
ト・リース&ポール・ワーニックのコンビが担当した。
『パッセンジャー』は科学考証的には難有りだが、SF映画
的にはファンタスティックで気に入った。『メッセージ』は
SF賞受賞作の原作もので、内容は難解だったがしっかりと
映像化されていた。
それに対して本作は、現実的な物語という点では1番上と言
える。特に2012年1月紹介『はやぶさ 遙かなる帰還』など
を危機感なく観た人には、冷水を浴びせるような作品かな?
そこまでは言わないまでも、宇宙探査の危険性をリアルに描
いた作品だ。
それは最初に高速で飛来する無人探査機をキャッチするとい
う離れ業の描写から始まり、多少有り得ない部分もあるが。
おおよそはこんなものかもしれないという程度の現実味は描
かれていた。
しかも危険性を考慮して宇宙ステーションの隔離された中で
分析を行うというのは正に理に叶ったもので、実際にこの様
なマニュアルがあるかどうかは知らないが、その後の危機管
理に関してもあり得るものだ。
ただここまでやっているのなら、その後に関してももう少し
対策しておくべきで、それが出来ていないというのが本作の
鳴らした警鐘なのかな? そんな捉え方も出来る作品だ。
なお映画の中に“Re-Animator”という台詞があって、ここ
では『死霊のしたたり』という字幕になるのだが、その少し
後で“My Favorite Martian”という台詞には『ブラボー火
星人』として貰えなかった。
1960年代前半のテレビシリーズでは仕方のないところもある
が、映像ではトレードマークの2本の角もちゃんと生えてお
り、明らかに意識されていたもので、この辺は何とか工夫し
て貰いたかったものだ。

公開は7月8日より、東京は丸の内ピカデリー他にて、全国
ロードショウとなる。

『ディストピア パンドラの少女』
            “The Girl with All the Gifts”
イギリス出身の元はコミックスの原作ライターだったという
M・R・ケアリーが2014年に発表した終末小説の映画化。
登場するのは幼い少女。彼女は窓のない牢獄のような場所に
暮らしており、時折合図があると車椅子に座って兵士たちが
来るのを待ち受ける。そしてやってきた兵士たちは銃を構え
たまま少女の手足と首を車椅子に固定する。
それが済むと兵士たちは少女を車椅子のまま教室らしき場所
に連れて行き、そこで他の同様の子供たちと共に女性教師に
よる主には記憶力を試すような授業を受ける。その授業を少
女は優秀な成績でクリアしているようだ。
また別の時には、年配の研究者のような女性が少女に話し掛
ける。そして少女が告げた番号の部屋の子供はどこかに連れ
去られる。そんな日々がもう何日も続いていたようだ。しか
し事件が起き、その日々が終りを告げる。

主演は、ワークショップで3年間演技を学び、本作の演技で
シッチェス・カタロニア映画祭の女優賞に輝いた撮影時12歳
のセニア・ナニュア。
その脇を2010年4月紹介『プリンス・オブ・ペルシャ』など
のジェマ・アータートン、2014年2月紹介『ワールズ・エン
ド』などのパディ・コンシダイン、2014年8月紹介『ガーデ
ィアンズ・オブ・ギャラクシー』などのグレン・クローズ。
さらに2009年3月紹介『伯爵夫人』などのアナマリア・マリ
ンカ、舞台男優のフィサヨ・アキナデらが固めている。
脚本は原作者のケアリーが自ら手掛け、監督にはアイルラン
ド出身で、テレビの『シャーロック』や『ドクター・フー』
にも名を連ねるコーム・マッカーシーが起用されている。
設定は感染症ということで、映画の中で単語としては出てこ
なかったと思うが、内容はゾンビものだ。特にその食餌が生
肉のみというのは典型的な特徴だろう。ただし彼らはLiving
Deadではないようだ。
そこで本作ではHungrysという呼び名が使われ、これは原作
の通りなのだろうが、単に飢餓者という意味のこの言葉には
ちょっと違和感があった。彼らが生肉を食べていることは明
確だし、ここはFlesheatersとしたいところだが…。
いずれにしても少女たちのいた基地が彼らに襲われ、ロンド
ンの街中を次の基地を目指して移動するサヴァイヴァルが本
作の見どころとなる。しかもその主人公が少女というのは、
目新しいというか典型的なヤングアダルトものだ。
そして最後の敵も子供たちとなる。その発想は見事と言える
作品だ。

公開は7月1日より、東京は新宿バルト9、ヒューマントラ
ストシネマ渋谷他で、全国ロードショウとなる。

『桃とキジ』
2015年4月紹介『樹氷侍』に続くご当地映画の報告。今回も
サッカーの応援に訪れた岡山県で、ご当地発の映画と素晴ら
しい映画館に出逢った。
物語は題名の通り「桃太郎」に基づくものだが、その物語を
映画化したものではなく。幼稚園の学芸会で桃太郎を演じた
少女が長じて女優を目指し、上京して俳優養成所のようなと
ころで学ぶも目が出ず現在に至っている、という発端。
そんな主人公に学芸会でキジを演じた男子から、故郷岡山で
女手一つで帽子店を切り盛りしていた彼女の母親が店を畳む
らしいというメールが届く。そこで急遽帰省した彼女だった
が、母親と会うなり言い争いになってしまう。
そこはやってきたキジの男子がとりなしてくれるのだが、再
会したイヌ、サルの男子は、キジも共にいずれも地元で堅実
に仕事をし暮らしているようだった。そんな中で主人公は自
分の将来を考え始める。

主演は櫻井綾。共演に限定上映されたロックバンド「TUBU」
のアニバーサリー作品『渚の恋人たち』などに出演の弥尋。
他に、手塚理美、甲本雅裕、千鳥の大悟、ベンガルらが脇を
固めている。
監督は2009年4月紹介『海の上の君は、いつも笑顔。』など
の喜多一郎。脚本は2013年9月紹介『僕たちの高原ホテル』
などの金杉弘子。
内容的にはご当地ものに有り勝ちな展開かな。これに倉敷な
どの観光地の紹介も織り込んで、よそ者にもそれなりに地元
の良さが判るように作られている。そこに実績のある監督と
脚本家だから、それは間違いのない作品だ。
上記の『樹氷侍』は地元の手作り感満載の作品だったが、本
作では甲本や大悟のような地元の出身者に外部の人間も絡め
て、それは本格的な作品に仕上げられている。現状は地元先
行公開だが、ここから全国区に上がれるかどうかだ。

それと今回は、地元先行上映の作品を岡山市のジョリー東宝
という映画館で観たが、この上映館が素敵だった。
映画館は駅と岡山城の中間の商店街のビルの5階にあるが、
元々が映画館のために作られたビルとのことで、その天井が
2階分ほど高い。しかもスクリーンが湾曲していて、これは
最近ではほとんど見掛けない設備だった。
そこで上映前の時間に受付の若い女性に聞いてみたら、昭和
40年代に作られた設備がそのままだそうで、もちろん映写機
は最新のディジタルだが、全体の雰囲気は自分が子供の頃に
観ていた映画館のようで懐かしさも込上げたものだ。
それとこの女性は、上映後に「映画良かったよ、脚本金杉さ
んだし」と声を掛けたら、「そうなんです」と打てば響くよ
うに返ってきて、この様な従業員のいる映画館は素晴らしい
とも思ったものだ。
岡山駅そばのイオンにはシネコンもあるが、地元には「映画
を観るならジョリー」という人も多いそうで、今後もずっと
頑張って欲しいものだ。

この週は他に
『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』
     “Madame B., histoire d'une Nord-Coreenne”
(中国東北部の中朝国境近くで脱北者の手引きをする女性を
追ったドキュメンタリー。彼女自身が朝鮮に夫と子供もいる
脱北者で、中国人の家族に迎え入れられているが中国籍でな
いために定職には就けない。そのため脱北者の手引きをして
金を稼ぐ。そんな女性が韓国に渡り、韓国籍を得て中国人夫
との幸せな生活を夢見るが、今度はスパイを疑われて国籍は
おろか出国もままならなくなる。正に悲惨な人生と言えるも
ので上映された海外の映画祭を震撼させたという作品だが、
ドキュメンタリーゆえに判り難いところもあり、出来たらド
ラマ化して事実関係をもっと明白にして欲しいとも思ってし
まった。公開は6月24日より、東京は渋谷シアター・イメー
ジフォーラム他にて、全国順次ロードショウ。)
『海辺のリア』
(2009年9月紹介『白夜』などの小林政広監督が、2010年の
『春との旅』、2013年の『日本の悲劇』に続いて仲代達矢を
三度主演に迎えた作品。シェイクスピアの「リア王」をベー
スに、認知症が始まっているかつては大スターだった男性が
家族に疎まれる悲劇を、末娘との交流を交えながら描く。共
演は黒木華。他に阿部寛、小林薫、原田美枝子らが脇を固め
ている。石川県の海岸を主な背景に、ほぼ出ずっぱりの仲代
と一番多く絡むのが黒木、次いで阿部、原田、小林の順。中
でも黒木の生き生きとした演技が見もので、改めてこの人は
俳優だなあと思わせる。そんなところが楽しめる作品だ。公
開は6月3日より、東京は有楽町スバル座、テアトル新宿他
で、全国順次ロードショウ。)
『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』
                      “Dancer”
(1989年にウクライナで誕生、イギリスロイヤルバレエ団に
入団、2008年に19歳で史上最年少の男性プリンシパルになる
も、2010年に突如自ら意思で退団した天才ダンサーの今日に
至るまでを描いたドキュメンタリー。天才芸術家の奇矯な行
動はいろいろあるし、その理由を探るドキュメンタリーも時
折見掛ける。しかし本作ほどその本質に迫りそれを解き明か
した作品は珍しいだろう。その理由は僕にも理解できたもの
で、同時に彼の苦しみも共感できる。そしてそこからの復活
劇には、ある種の感動さえ生じさせる作品だった。特に終盤
の映像は正に彼の天才ぶりを描き切ったものと言える。見事
な作品だ。公開は7月15日より、東京は渋谷Bunkamura ル・
シネマ、新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『ハートストーン』“Hjartasteinn”
(2013年10月26日付「東京国際映画祭」で紹介『馬々と人間
たち』など、近年各地の映画祭を賑すアイスランドからの作
品。主人公は母親と2人の姉と共に暮らす少年。母親は奔放
で、2人の姉も一方は奔放、他方は芸術肌とかなり普通でな
い一家だ。そして主人公の周囲には近所に住む幼馴染の少年
もいた。そんな主人公の生活ぶりが描かれる。アイスランド
が北欧かどうかは意見の分かれるところだが、性に対する奔
放さはスウェーデンなどと同じなのかな。長い冬の続く環境
はこういう文化を生み出すのかもしれない。僕にはその辺の
違いが中々咀嚼できなかったが、理解ある人たちには好評に
受け入れられたようだ。公開は夏休み、東京はYEBIS GARDEN
CINEMA他で、全国順次ロードショウ。)
『めだまろん ザ・レジデンツ・ムービー』
  “Theory of Obscurity: A Film About the Residents”
(ファーストアルバムの発表から40年以上が経つのに未だに
素顔が判らないという覆面バンド The Residentsの「素顔」
に迫るドキュメンタリー。と言ってもかなり節度のある作品
で、ファンの夢を砕くようなことはしない。それでも昔から
付き合いのある人たちに丁寧なインタヴューがされていて、
それなりの歴史は判るようになっている。しかもその中には
デビュー当時の素顔で演奏している映像もあるのだが、これ
がひどい画質で…。この画質の劣化はフェイクの可能性もあ
りそうだ。そんなこんなで、音楽には疎くて特別ファンでも
ない僕にも充分に楽しめる作品になっていた。公開は2017年
初夏、東京は渋谷のシアター・イメージフォーラム他で全国
順次ロードショウ。)
『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』
                    “The Founder”
(マクドナルドチェーン設立の裏に迫ったドラマ作品。主人
公は厨房機器の営業マン。売れ行きの芳しくない商品に突然
大量の注文が入る。そこで男は大陸を横断、辿り着いたのは
効率の良い販売で客足の途切れない繁盛店だった。その業態
にフランチャイズの可能性を認めた男はその展開を提案。し
かし創業者の兄弟は中々承知しなかった。出演は2015年2月
紹介『バードマン』などのマイクル・キートン。他にローラ
・ダーン、パトリック・ウィルスンらが脇を固めている。最
終的に男はチェーンを乗っ取ってしまうのだが、その手口が
かなりえぐい。作品は乗っ取られた兄弟側の協力で作られた
ようで、これは問題作だ。公開は7月29日より、東京は角川
シネマ有楽町他で全国ロードショウ。)
『パッション・フラメンコ』“原題不明”
(2011年11月紹介『フラメンコ、フラメンコ』にも登場した
現代フラメンコの最高のダンサーとされるサラ・バラスが、
2014−15年に行った世界ツアー『ボセス フラメンコ組曲』
の制作過程を追ったドキュメンタリー。それは準備期間が僅
か3週間しかなかったという中での見事な創造性が描かれて
いる。なおツアーでは日本公演も行われており、実はプロダ
ンサーとしてのスタートが日本だったというバラスの日本で
の思い出なども語られる。それにしてもバラスのフラメンコ
に賭ける情熱は素晴らしいもので、これは上記のセルゲイ・
ポルーニンにもぜひ見て貰いたいと思った。公開は8月19日
より、東京は渋谷Bunkamura ル・シネマ他で、全国順次ロー
ドショウ。)
『天使の入江』“La baie des anges”
(『シェルブールの雨傘』などのフランスの名匠ジャック・
ドゥミ監督の1963年の作品で、アニエス・ヴァルダ監督作品
と共に今夏に特集上映される内の1本。パリの銀行員の主人
公が友人に誘われたギャンブルで大金を掴む。しかし父親に
ばれて勘当を言い渡され、ニースにやって来る。そしてパリ
のギャンブル場で見かけた女性と知り合い、コンビで大当た
りを続けるが…。浮き沈みの激しいギャンブラーの生活が彼
らの悔恨の告白と共にモノクロの映像で描かれる。ギャンブ
ル場は公営のようだが、それに嵌り込んでしまう恐怖も描か
れている。なお女性役がジャンヌ・モローで若々しい彼女の
容姿を見ることもできる。公開は7月下旬より、東京は渋谷
のシアター・イメージフォーラムで上映される。)
『セールスマン』“فروشنده Forushande”
(今年のアメリカアカデミー賞で外国語映画部門の2度目の
オスカーに輝いたアスガー・ファルハディ監督の作品。アー
サー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」をモティーフに、
その舞台に夫婦で共演する2人がある事情で引っ越した自宅
アパートでのトラブルに巻き込まれる。最初の引っ越しの事
情にまず唖然とするが、トラブルの事後処理などにお国柄も
現れる物語が展開される。犯人捜しの謎解きも併せてドラマ
としては面白い作品になっていた。出演は本作でカンヌ映画
祭男優賞のシャハブ・ホセイニと、トランプ大統領の政策に
反対して授賞式の出席をボイコットしたタラネ・アリドゥシ
ティ。公開は6月10日より、東京は渋谷Bunkamura ル・シネ
マ他で、全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2017年04月23日(日) ローマ法王になる日まで、ハイヒール こだわりが生んだおとぎ話、怪物はささやく

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ローマ法王になる日まで』
    “Chiamatemi Francesco - Il Papa della gente”
現ローマ法王フランシスコ(本名ホルヘ・マリオ・ベルゴリ
オ)が、2013年3月にその聖職に選ばれるまでを描いたドラ
マ作品。
映画はヴァチカンらしき街並みを背景にした建物の屋上で、
若くはない男性が洗濯物を干しているところから始まり、現
法王が質素で、庶民的な人物であることが強調される。
それにしても法王の足跡というと通常は地元での布教活動ぐ
らいしか思い浮ばないものだが、史上初のアメリカ大陸から
の法王で、しかもその出身国がアルゼンチン。その活動期間
が軍事政権下というのは、かなり様相が異なってくる。
実際に作品の中では、ベルゴリオがイエズス会アルゼンチン
管区長であった当時の、軍事政権による2人の司祭の拉致、
拷問事件も描かれ、その際のベルグリオの行動なども示され
ている。
そしてそれを切っ掛けのように、当時の軍事政権下で多くの
犠牲者を出した白色テロの実態が描かれて行く。

出演は、ブエノスアイレス生まれで、2004年『モーターサイ
クル・ダイアリーズ』などのロドリゴ・デ・ラ・セルナと、
チリ出身で2012年10月28日付「第25回東京国際映画祭」で紹
介『NO』などのセルヒオ・エルナンデス。さらにアルゼン
チン出身のメルセデス・モラーン、ムリエル・サンタ・アナ
らが脇を固めている。
脚本と監督は、2013年10月26日付「第26回東京国際映画祭」
で紹介『ハッピー・イヤーズ』などのイタリアのダニエレ・
ルケッティ。ローマ市内のヴァチカン市国が舞台ということ
での作品だが、監督自身は無信仰だそうで、そんな宗教的に
は中立の目が的確に人物を捉えているようだ。
アルゼンチンの軍事政権下に関しては、2016年6月12日題名
紹介『エル・クラン』などでも描かれていたが、隣国チリの
状況が2016年6月紹介『コロニア』や、7月紹介『チリの闘
い』、上記の『NO』などで紹介されているのに比べると少
なく感じる。
その理由は判らないが、本作で描かれているような残虐行為
の数々が、映像化に二の足を踏ませるのかもしれない。それ
ほどの惨状が描かれている作品だ。
因に本作の情報を海外のデータベースで調べると、上映時間
が98分と記載されている。これに対して日本公開版の上映時
間は113分。これがディレクターズカットということだが、
海外では15分もカットされて上映されているようだ。
そのシーンがどこなのかは明らかではないが、日本ではその
全貌を観ることができる。イタリア人の監督が何故ここまで
描かなければならなかったのか、その気持ちを受け止めたい
作品だ。

公開は6月3日より、東京はヒューマントラストシネマ有楽
町他で全国順次ロードショウとなる。

『ハイヒール こだわりが生んだおとぎ話』
母国で映画を学んだ後に19歳で来日したという27歳の韓国人
監督による初の商業作品。なお作品は時短映画と称する上映
時間30分足らずのものだが、1本立てで公開される。
人類が平和と地球環境保全のためには欲望を封じるしかない
と考え、自らアンドロイドと化す道を選んだ遠未来のお話。
しかし長い年月が経ち一部に欲望が甦ってしまう。そして主
人公は人々に完璧な靴を提供しようと願う靴職人。
そんな主人公の許にハイヒールを求める客がやって来る。そ
の客の足を正確に採寸し、様々な試行錯誤の末に主人公は完
璧な靴を作り上げる。ところがそのハイヒールは受け取りに
きた客の足に少し合わない。
その不具合の理由を求めて、主人公は再びハイヒールに向き
合うことになるが…。

主演は、2016年3月紹介『テラフォーマーズ』などの菊地凛
子。その脇を2016年『青空エール』などの小島藤子、NHK
ドラマ『精霊の守り人』などの玄理、モデルの谷口蘭らが固
めている。
脚本と監督は韓国出身のイ・インチョルが手掛けている。
また菊地の衣装を企画に賛同したシャネルのパリ本店が提供
している他、劇中に登場するハイヒールはファッションブラ
ンドMIHARA YASUHIROの提供によるものだそうだ。
さらにオープニングのアニメーションはMr.ChildrenのPV
などを手掛ける半崎信朗、音楽をキム・ギドク作品などのノ
・ヒョンウ、造形を『テルマエ・ロマエ』などの百武朋が担
当している。
ショートショートというのは星新一氏のお蔭でSFの一分野
のようになっているものだが、星氏の作品の多くがそうであ
るようにちょっと洒落た落ちのある作品のイメージもあるよ
うに思える。
その点で言うと本作は、お洒落なファッションが数多く登場
するものではあるが、落ちの部分にはSF的には意外性が少
ない。当然本作は遠未来が舞台のSFと認識して書くが、そ
の観点でこの落ちは、SF的には物足りないものだ。
そもそも本作にこのような落ちを付ける必要があったのか、
そんなセオリー?は無視して、もっとこの監督が思いついた
未来を概観するような作品を観たかったような感じもする。
アイデアは良いと思うし、次回作に期待したいものだ。

公開6月24日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷他
で全国ロードショウとなる。なお入場料は前売りの特別鑑賞
券が600円、当日は800円だそうだ。

『怪物はささやく』“A Monster Calls”
イギリス図書館協会から年次で贈られ、児童文学界の権威の
一つとされるカーネギー賞を2012年に受賞したパトリック・
ネス原作の映画化。
因に原作は、同じくカーネギー賞受賞者で2007年に死去した
シヴォーン・ダウドの残したメモに基づきネスが完成させた
ものとされ、映画化ではネス自ら脚色も担当している。
主人公はイギリスの寒村で母親と2人暮らしの少年。その母
親が病に伏し、少年は落ち着かない日々を送っている。父親
は出奔したまま家には滅多に現れず、時々口煩い祖母が顔を
出してくる。
そんな少年は毎夜悪夢を見るようになり、その夢には怪物が
登場して少年に1つずつ3つの物語を聞かせるという。そし
て3つが終ったら4つ目は少年が自分の物語を語る番だとい
う。
こうして語られた3つの物語は、それぞれ驚きの結末を迎え
るものだったが…。

主演は、2015年10月紹介『PAN〜ネバーランド、夢の始ま
り』に主人公の親友役で出ていたというルイス・マクドゥー
ガル。
他に、シガニー・ウィーヴァー、『SWローグ・ワン』など
のフェリシティ・ジョーンズ、2017年2月紹介『キングコン
グ髑髏島の巨神』などのトビー・ケベル。そして怪物の声を
リーアム・ニースンが担当している。
監督は、2008年9月紹介『永遠のこどもたち』や2013年3月
紹介『インポッシブル』のファン・アントニオ・バヨナ。ま
たプロデューサー以下、その他のスタッフのほとんどは長年
のチームのようだ。
とにかく恐ろしくもあり、優しくもありの怪物の造形が素晴
らしい。そしてそれからニースンの声が温かく主人公を包み
込むように物語を聞かせてくれる。それはダークなファンタ
シーではあるが見事な世界が構築された作品だ。
その物語が閉ざされていた少年の心を巧みに解き放ってくれ
る。そんな素敵な物語が展開される。オリジナルのメモは作
者が死を意識しながら綴ったものと思われるが、その中から
残される者への限りない愛情が感じられる作品だ。
ただ映画では、2度ほど登場する写真にちょっと考えられな
いものが写っていて、それがそうだとすると物語の印象が少
し変わってしまう。単に筆が滑ったのか、それともそういう
意図なのか、その辺は検証したくなる部分ではあった。

公開は6月9日より、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『イイネ!イイネ!イイネ!』
(2017年に結成20周年を迎えた「クレージーケンバンド」の
横山剣が本人として主演し、バンドのメムバーも出演するド
ラマ作品。登場するのは横浜で育った幼馴染の3人。1人は
音楽で成功し、1人はそのマネージャー、そしてもう1人は
地元暴力団の構成員となっている。そのバンドに横浜球場で
のコンサートが決まるが…。横浜の街には、違法在留の中国
人や組の内部抗争など、様々な思惑が渦巻いていた。共演は
中野英雄と伊原剛志。監督は2016年「FUNKY MONKEY BABYS」
のファンキー加藤が主演した『サブイボマスク』などの門馬
直人、脚本も同作の一雫ライオン。ミュージシャンの主演で
これ大丈夫か?と思うような話が展開する。公開は6月24日
より、東京はTOHOシネマズ新宿他で全国ロードショウ。)
『静かなる情熱エミリ・ディキンスン』
                  “A Quiet Passion”
(1886年に死去し、生前には10篇しか発表されていなかった
が、死後に1800編もの詩作が発見され、それらが今でも影響
を与え続けているというアメリカの女性詩人の生涯を描いた
作品。時代は19世紀後半、文芸は男性がするものと決め付け
られ、女性にはその端緒も掴めなかった時代。そんな中で女
性詩人は自由奔放に自分の意思を貫き通して行く。勿論そこ
には多数の障害も待ち構え、恐らくはそれによって命も縮め
ることになってしまうのだが。出演は2010年5月紹介『セッ
クス・アンド・ザ・シティ2』などのシンシア・ニクスン、
2013年1月紹介『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェニフ
ァー・イーリー。公開は7月29日より、東京は岩波ホール他
で全国順次ロードショウ。)
『ザ・ダンサー』“La danseuse”
(モダンダンスの始祖の1人とされる女性ダンサー=ロイ・
フラーの生涯を描いたドラマ作品。ニューヨークで暮らす母
親を頼って田舎町を離れた少女がオーディションで3分間の
幕間のパフォーマンスを獲得。そこで喝さいを浴びた少女は
そのアイデアを膨らます。しかしそのアイデアが盗まれ、そ
の特許権を求めて彼女はヨーロッパに進出する。特許という
のは著作権だと思うが、自分が以前に特許業界に居た者とし
ては気を曳く作品だった。出演は、フラーの激しいダンスを
見事に再現して見せたミュージシャンのソーコと、ジョニー
・デップの娘リリー=ローズ・メロディ・デップ。デップが
本気の演技を見せるのも頼もしい。公開は6月3日より、東
京はBunkamura ル・シネマ他で、全国ロードショウ。)
『歓びのトスカーナ』“La pazza gioia”
(2011年5月紹介『人生、ここにあり!』でも描かれたイタ
リアの精神病院を巡る作品。以前の作品では1998年に廃絶さ
れたとしていたが、その後も司法精神病院というのが存続し
ていたそうで、そこでは医者ではなく裁判官が病気を認定し
ていたというもの。これでは正に権力者が邪魔者を閉じ込め
るための手段に思える。実際に本作ではそんな風に取れる話
もあり、中々奥深い作品だ。と言っても描き方は前作と同様
のハートフルコメディで、精神病とされた患者が繰り広げる
温かいドラマが風光明媚なトスカーナを背景に展開される。
因にその司法精神病院も遂に今年2月に廃絶されたそうで、
日本とは違うお国柄も見える作品だ。公開は7月上旬、東京
はシネスイッチ銀座他で全国順次ロードショウ。)
『獣道』
(2017年4月2日題名紹介『ダブルミンツ』などの内田英治
脚本、監督による作品。不良や暴走族が屯する地方都市を舞
台に、宗教依存症の母親によって教団施設で育ったが、それ
が違法教団として摘発されて保護された少女と、彼女に理解
を示して見守る不良少年を主人公にした物語が展開される。
出演は、共に子役出身の伊藤沙莉と須賀健太。その脇をハー
フ芸人のアントニー、韓英恵、広田レオナ、でんでん、矢部
太郎、近藤芳正らが固めている。かなり突飛な題材で特に宗
教問題は微妙なものだが、それなりに物語は作られている。
なお撮影には、ロケ地の警察の監視の下で地元の暴走族など
も参加しているそうだ。公開は7月15日より、東京はシネマ
ート新宿でレイトショウ。)
『結婚』
(2016年8月7日題名紹介『だれかの木琴』などの直木賞作
家井上荒野の原作を、NHK『あさが来た』のディーン・フ
ジオカ主演、同番組の演出を手掛けた西谷真一の監督で映像
化した作品。フジオカが演じるのは結婚詐欺師。甘い言葉で
女を誘い結婚を口実に金を巻き上げる手口だが、この男には
少し謎の部分があった。共演はNHK『まれ』の柊子。他に
貫地谷しほり、萬田久子、古舘寛治、松本若菜、安藤玉恵、
中村映里子らが脇を固めている。フジオカが如何にもという
感じで、男性としては何とも言えない作品だが、上述の謎の
部分で物語はちょっとファンタシーでもあり、その捻りは納
得できた。公開は6月24日より、東京は角川シネマ新宿他で
全国ロードショウ。)
『光』
(カンヌ国際映画祭に8度目の招待が決まった河�鹹照�監督
の最新作。視覚障碍者のための映画の音声ガイドを題材に、
ヴォランティアの女性と視力を失いつつあるカメラマンとの
交流が描かれる。音声ガイドについては多少の知識はあった
が、その大変な作業の実情が描かれる。そこに河�鶸篤弔蕕�
い人間模様が織り込まれ、見事な作品になっている。出演は
カンヌの常連の永瀬正敏と、2012年11月紹介『ユダ』などの
水崎綾女。他に舞台女優の神野三鈴、小市慢太郎、藤竜也ら
が脇を固めている。音声ガイドは画面そのものをイメージで
きるように語るもので、ラジオドラマのト書きとも異なる特
殊な情報を伝える。その難しさも理解できる作品だ。公開は
5月27日より、東京は丸の内TOEI他で全国ロードショウ。)
『身体を売ったらサヨウナラ』
(大手新聞社に採用されたものの学生時代のAV出演が暴露
された鈴木涼美の著書の映画化。現在は東大大学院に通って
いる主人公が自らの過去を論文に纏めるという設定で、現役
のAV監督や俳優、スカウトマンたちへのインタヴューを交
えて物語は描かれる。主演は新人の柴田千紘。その脇を筒井
真理子、久保田悠来、品川祐らが固めている。監督は上記の
『獣道』の内田英治。ただし本作脚本は製作者でもある伊藤
秀裕によるもので、ドキュドラマ的な作品に合わせて監督が
選ばれたそうだ。AVや風俗系のドキュメンタリーは過去に
もあるが、本作では都会の狭間に生きる女性という観点で描
かれているのが多少目新しい感じかな。公開は、2017年春と
だけ紹介されている。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2017年04月16日(日) 皆はこう呼んだ鋼鉄ジーク、こどもつかい、ラストコップ THE MOVIE

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーク』
             “Lo chiamavano Jeeg Robot”
1975年〜76年に放送された永井豪(ダイナミック・プロ)原
作、東映アニメーション製作によるテレビシリーズにインス
パイアされたイタリア製の実写作品。因にスクリーンには上
記の邦題と同じ題名が日本語で表示されるが、原題にはそれ
に添えられたイタリア語を記しておく。
主人公はこそ泥が稼業の男。今日も高級腕時計を盗み、警察
の追手を巻こうと街中を疾走する内、川に飛び込む。これで
追手の目は眩ますが、底に沈んでいた放射能マークの付いた
ドラム缶の中身をしたたか飲み込んでしまう。
このため川から這い出た彼の体調は最悪になってしまうのだ
が、その日から彼の身体は異常なほどに強靭になっていた。
そして最初はそれを悪事に利用していた主人公だったが、兄
貴分が殺され、彼はその娘の面倒を観ることになる。
その娘は少し知恵遅れ気味で、アニメの「鋼鉄ジーク」が大
好き。そしてそのアニメのヒーローに彼を見立てるようにな
る。その真剣な眼差しに、彼の生活態度も徐々に変化して行
き…。

出演は、2012年4月紹介『ジョルダーニ家の人々』などのク
ラウディオ・サンタマリア、2012年10月28日付「東京国際映
画祭」で紹介したコンペティション作品『ニーナ』などのル
カ・マリネッリ。それに本作でドナッテロ賞の最優秀女優に
輝いたイレニア・パストレッリ。
監督は、本作が長編デビューとなるガブリエーレ・マイネッ
ティ。脚本も長編デビューのニコラ・グアッリャノーネ。な
お監督は製作も兼ねているようだ。
上記のように、題名が日本語で表記されるくらいに原作への
リスペクトが感じられる作品で、しかも直接リメイクするの
ではなく、自分の生活に落とし込むことで、作品への思いの
丈を目一杯に表現している感じのする作品だ。
特にアニメ好きの少女の思いに主人公が感化されて行く過程
が、単純にリメイクするのではない、さらに上位のリスペク
トも感じられる作品になっている。日本産アニメの海外での
リメイクが続いているが、そこにも一石を投じそうだ。
幸い原作者の永井豪さんには知遇を得ており、近々会う機会
もあるので、これは本人の意見も聞いてみたいものだ。

公開は5月20日より、東京は新宿武蔵野館、ヒューマントラ
ストシネマ有楽町他で、全国順次ロードショウとなる。

『こどもつかい』
『呪怨』シリーズなどの清水崇監督が、ジャニーズ滝沢秀明
を主役に迎えた最新ホラー作品。
登場するのは新人記者。その記者が今追っているのは、郊外
の街で起きた連続不審死事件。その事件に共通するのは先に
子供が失踪し、その3日後に子供の周囲の大人が死亡。そし
てその大人たちは子供に恨まれていたようなのだ。
一方、記者には恋人がいて、保育園に勤める彼女はちょっと
した行き違いで1人の園児の恨みを買ってしまう。しかもそ
の子が失踪する。ところがその子が記者の前に姿を現し、そ
の子はある歌のようなものを口ずさむ。
その歌が連続不審死の鍵になると考えた記者は、恋人の命を
救うため、その歌の謎を解こうと奔走するが…。

滝沢以外の出演者は、Hey!Say!JUMPの有岡大貴、2016年1月
紹介『太陽』などの門脇麦。さらに2016年7月17日題名紹介
『オーバー・フェンス』などの子役の中野遥斗、2013年9月
紹介『ルームメイト』などの尾上寛之、2013年8月紹介『陽
だまりの彼女』などの西田尚美らが脇を固めている。
清水監督作品では2016年5月紹介『雨女4DX』や、2017年
2月5日題名紹介『ブルーハーツが聴こえる』など。さらに
2017年3月19日題名紹介『バイオハザード:ヴェンデッタ』
の製作にも関るなど、次々に清水ブランドが発表されている
が、その中で本作は原点に還った作品と言えそうだ。
それはテーマが恨みによる呪いであり、さらにそこに過去の
因縁が関ると共に、ノスタルジーも感じさせる仕掛けなど、
正に王道のホラー作品と言えるものだ。そのホラームードが
一杯の雰囲気にまず嬉しくなった。
ただし過去の清水作品では、恨みなどのあまりの理不尽さが
怖さを増幅させる反面、納得できない側面もあったのだが。
それが本作では過去の経緯などがかなり丁寧に描かれ、納得
は出来たが、恐怖感という意味では少し薄れたかな?
でもこの点に関しては、最近の日本のSF映画と称する作品
の多くが、ムードが先行して納得できない作品ばかりなのに
対しては、良い傾向とも思えたものだ。
とまあグダグダと書いてしまったが、実は本作で滝沢が演じ
ているキャラクターに関して情報開示の規制がされており、
具体的に紹介をすることができない。でもこれが結構巧みに
演じられていて楽しめた。
しかもこれが、ジャニーズがここまでやっていいのか…? 
と思うくらいに見事なキャラクターになっている。シリーズ
化も期待したい。

公開は6月17日より、全国ロードショウとなる。

『ラストコップ THE MOVIE』
2016年放送のドラマシリーズからの劇場版。元々はドイツの
テレビシリーズの舞台を日本に変えたリメイクで、2015年に
スペシャル番組が放送され、その後ネット配信で連続ドラマ
化、さらにそこからテレビシリーズが誕生したものとのこと
だ。それがキャストをそのままに劇場用の映画となった。
主人公は捜査活動中に爆発に巻き込まれ、以後30年間昏睡状
態が続いていたという刑事。そのため容姿は老けたが、気骨
は30年前の熱血刑事のままという設定だ。そんな刑事が猪突
猛進、難事件に挑んで行く。
そして今回のお話は、主人公の勤務する警察本部に、A.I.
が試験導入されるところから始まる。マザーコンピュータに
リンクした小型ロボット風のそのA.I.は、人間の行動を予
測し、犯人の逃走経路などを算出できるという。
しかし主人公にとってそんなA.I.は、理解の外となる典型
的なもの。斯くしてそのA.I.に対抗せざるを得なくなった
主人公たちだったが、そこに国家の基幹を揺るがす大事件が
発生する。

出演は、唐沢寿明、窪田正孝。それに佐々木希、藤木直人、
小日向文世、宮川一朗太、田山涼成、伊藤沙莉、升毅、マギ
ーらテレビシリーズの面々が総登場する。さらに加藤雅也、
吉沢亮らが今回のゲスト出演のようだ。
脚本と監督は共にテレビシリーズも手掛けているコンビで、
脚本は2012年2月紹介『幸運の壺』などの佐藤友治、監督は
2010年4月紹介『書道ガールズ』などの猪股隆一が担当。因
に佐藤は1人で全脚本を担当しているようだ。
A.I.の具現化とされるフナッシー様小型ロボットのVFX
が良くて、合成なども見事だった。そう言えば、猪股監督は
以前の紹介作でもVFXを使いこなしていたから、その辺は
手馴れているのだろう。
さらに銃撃戦や格闘技アクションなどもふんだんに織り込ま
れている。またそこに突拍子もない発明品が登場するのもご
愛嬌という感じで、それらもそれなりに展開には収まってい
た。しかも大掛かりな空中戦まで登場する。
ということで劇場用にスケールアップした作品と言えそうだ
が…。実は今回の作品では、せっかくのA.I.が物語の後半
ではあまり活かされていないのが多少物足りない。これでは
ただの奪い合いの対象物にしかなっていないのだ。
ここにはやはり主人公とA.I.の連係プレイみたいなものが
欲しかったところかな。その辺を少し脚本で練り込んでくれ
たらより良くなったと思えるのだが。

公開は5月3日より、全国ロードショウとなる。

この週は他に
『フィフティ・シェイズ・ダーカー』
                “Fifty Shades Darker”
(2015年公開『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』から
主なキャストもそのまま再演した続編。ただし監督は前作か
ら変更になっている。原作は女性に評価されたSM小説との
ことで、男性の身では中々が評価し難い。前作の時は試写は
観たが、紹介は遠慮してしまった。ただし女性監督が撮った
前作は描写がかなり生々しかったが、男性監督になった今回
はそれなりに落ち着いて観られたかな。その辺は観客の見方
も含めて評価は分かれそうだ。でも前作と同じセットが登場
するとやはり思い出しては仕舞うものだ。出演はダコタ・ジ
ョンスンとジェイミー・ドーナン。監督は1997年『チェンバ
ー 凍った絆』などのジェームズ・フォーリーが担当した。
公開は6月、全国ロードショウの予定。)
『裁き』“Court”(インド映画)
(前々回題名紹介『アムール、愛の法廷』に続く、刑事裁判
の法廷を舞台にした作品。被告席に座るのは老歌手。常々反
体制的な歌を歌っている彼が自殺を勧める歌を歌い、それに
よって自殺者が出たという罪状で逮捕されたものだ。しかも
彼はマラーティ語しか喋らず、若い弁護士は裁判自体の不当
性を訴えるが、貧富の差や民族の差別などで、裁判は良い方
向には向かわない。文化の違いとは言え、それだけでは言い
切れないようなインドの現状(?)が描かれる。監督は短編
映画で数多くの映画祭で受賞しているチャイタニヤ・ターム
ハネー。長編第1作の本作でヴェネツィア国際映画祭で作品
賞などに輝いた。公開は7月より、東京は渋谷ユーロスペー
ス他で全国順次ロードショウ。)
『まるでいつもの夜みたいに』
(2005年4月16日に急逝したフォーク歌手高田渡が、その死
の16日前に高円寺の居酒屋で行った最後のワンマンライヴの
模様を記録した作品。撮影の経緯は良く判らないが、三鷹の
自宅を出てから電車に乗り会場に着くまでの様子も写されて
いる。しかし会場での撮影もカメラは1台だけで、しかも演
奏者の横からというのが、会場の狭さもあって妙な臨場感を
生んでいる。それは稀有な作品だ。そして歌われるのは初期
の名作「しらみの旅」から後期の作品まで網羅されており、
1970年以前に生で観ていた僕には懐かしさも込上げてきた。
さらにその間の語りも絶妙で、今更ながらその才能を再認識
することもできた。公開は4月29日より、東京は渋谷UPLINK
他で全国順次ロードショウ。)
『VIVA! 公務員』“Quo vado?”
(2017年2月26日題名紹介『日々と雲行き』と共に、Viva!
イタリア vol.3として上映される同国で史上最高興行記録を
打ち立てたというコメディ作品。公務員天国と言われた国が
政変で人員削減に乗り出す。それに抵抗する一人の職員との
すったもんだが描かれる。政権側は退職金を吊り上げる一方
で、彼を国内の僻地から北極圏まで転勤させるのだが…。そ
の先々で彼は満足を得てしまう。そしてついに任地はアフリ
カ奥地、それでも彼は巧みに困難を切り抜ける。主演は共同
脚本も手掛けるケッコ・ザローネ。海外のコメディは国情が
合わない場合もあるが、本作は日本でもありそうな話で、手
放しで楽しめた。公開は5月27日より、東京はヒューマント
ラストシネマ有楽町他で、全国順次ロードショウ。)
『パーソナル・ショッパー』“Personal Shopper”
(多忙なセレブに代って衣装などの調達を行う女性を描いた
作品。主人公はパリとロンドンを行き来しながら高級ファッ
ションブランドの選択をして行く。そんな彼女はある連絡を
待っている。それは先に病で亡くなった双子の兄が冥界から
連絡をすると言い残したものだ。そして彼女の携帯電話に謎
のメッセージが着信する…。主演は前回紹介『カフェ・ソサ
エティ』などのクリスティン・スチュアート。監督のオリヴ
ィエ・アサイヤスとは2014年『アクトレス』に続いてのコラ
ボレーションとのことだ。女優が次々に華麗なファッション
に身を包むのも魅力的だが、ミステリアスな物語も気になる
作品だ。公開は5月12日より、東京はTOHOシネマズ六本木ヒ
ルズ他で、全国ロードショウ。)
『ワイルド・スピード ICE BREAK』
            “The Fast and the Furious 8”
(2015年『ワイルド・スピード SKY MISSION』に続くヴィン
・ディーゼル主演カーアクション映画の第8弾。前作は撮影
中の主演者1人の不慮の死で、ファミリーという形式の物語
の先行きが不透明になってしまったが、本作でその出発点が
まず主人公のファミリーとの決別というのは仕方がないとこ
ろだろう、それはもちろん理由があってのことなのだが…。
ということで物語はベルリン、ニューヨーク、アイスランド
を舞台に壮大に繰り広げられる。特に終盤の氷原のシーンは
1968年公開『10億ドルの頭脳』を思い出させるもので、久々
の光景に感動すら覚えてしまった。共演はミシェル・ロドリ
ゲス、ドウェイン・ジョンスン、ジェイスン・ステイサム。
公開は4月28日より全国ロードショウ。)
『八重子のハミング』
(2007年4月紹介『夕凪の街 桜の国』などの佐々部清監督
が故郷の山口県を舞台に若年性アルツハイマーに罹った女性
とその夫を綴った実話の映画化。徐々に記憶を失って行く妻
に寄り添う夫の、辛く苦しいけれど幸せな日々が描かれる。
佐々部監督は2007年作も大手からそっぽを向かれ、苦労して
映画化したと語っていたが、本作でもそれに近い状況だった
ようだ。それは確かに中々アピールし難い内容かもしれない
が、これは今こそ描くべきものであるし、それをしっかりと
描き切ってくれたことに感謝をしたい。出演は映画の主演は
初めてという升毅と、28年ぶり映画出演の高橋洋子。他に、
朝加真由美、井上順、梅沢富美男ら。公開は5月6日より、
東京は有楽町スバル座他で全国順次ロードショウ。)
『家族はつらいよ2』
(昨年3月公開山田洋次監督作品の続編。山田監督は前作で
1969年の『男はつらいよ』第1作の時と同じ手ごたえを感じ
たそうで、1年後の第2作が誕生した。前作のテーマは熟年
離婚だったが、今回は最初に運転免許の返納から後半は孤独
死の問題に迫っている。それは「死」という重いテーマでは
あるが、その重さだけに終らせない巧みさは流石ベテラン監
督の技と言えそうだ。出演は前作と同じ橋爪功、吉行和子、
西村雅彦、夏川結衣、林家正蔵、中嶋朋子、妻夫木聡、蒼井
優の一家に加え、小林稔侍、風吹ジュン、劇団ひとり、笑福
亭鶴瓶らが脇を固めている。またイメージポスターとタイト
ルデザインを横尾忠則が手掛けている。公開は5月27日より
全国ロードショウ。)
『20センチュリー・ウーマン』“20th Century Women”
(2011年11月紹介『人生はビギナーズ』で自らの父親を描い
たマイク・ミルズ監督が、1979年に生きるシングルマザーと
その息子を描いた作品。この年号はレーガン政権誕生の前年
であり、エイズも顕在化する以前の歴史の転換点なのだそう
だ。そんな時代にちょっと羽目を外しながら生きている人々
の姿が思い出と憧れも込めた目で描かれている。出演はアネ
ット・ベニング、エル・ファニング、2016年11月27日題名紹
介『マギーズ・プラン』などのグレタ・ガーウィグ。母親が
1924年生まれ、息子が1964年生まれの設定で、僕には少し前
後にずれてしまった感じかな。でもまあこんな時代だったと
いう思いはした作品だ。公開は6月3日より、東京は丸の内
ピカデリー他で全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2017年04月09日(日) ジェーン・ドウの解剖/アイム・ノット・シリアルキラー、パージ:大統領令、ラプチャー 破裂

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ジェーン・ドウの解剖』“The Autopsy of Jane Doe”
『アイム・ノット・シリアルキラー』
             “I Am Not a Serial Killer”
松竹エクストリームセレクションと称して紹介される内の、
第1弾と第2弾。
第1弾は3人一家の惨殺事件。屋内での犯行だが外部からの
侵入の痕跡はなく、遺体には逃げようとして果たせなかった
形跡がある。そしてその地下室から下半身が埋められた全裸
の女性の遺体が見つかる。
ジェーン・ドゥと仮名の付けられたその遺体に外傷はなく、
しかも今死んだばかりのようだった。そこでその遺体は検視
官の許に運ばれ、親子の検視官の手で解剖が始まるが…。そ
れは正に異様と言える遺体だった。
解剖の手順が克明に紹介され、それ自体がかなり衝撃的なも
のだが、特に残酷描写というものではなく、それなりに節度
を持って描かれている。そしてそこからの展開がさらに驚異
的なものになる。
それはジャンル映画としてそれなりにちゃんと作られたもの
になっており、僕にとっては興味深く観られたものだ。

出演は、2013年9月紹介『REDリターンズ』などのブライ
アン・コックスと、2013年8月紹介『ある愛へと続く旅』な
どのエミール・ハーシュ。他に2012年7月紹介『空飛ぶペン
ギン』などのオフィリア・ラヴィボンド。そして遺体役はロ
シア出身モデルのオルウェン・ケリーが演じている。
脚本は、2008年11月紹介『ターミネーター:サラ・コナー』
がデビュー作でテレビで活躍のイアン・ゴールドバーグの劇
場映画デビュー作。監督はノルウェー出身で2010年『トロー
ル・ハンター』が話題になったアンドレ・ウーヴレダル。
第2弾は小さな町で起きた連続殺人事件。主人公はその町の
葬儀社の息子16歳。少年は学校でいじめられている訳ではな
いが、いつも怯えて暮らしている。それはいつ自分が凶暴に
なるか心配だったのだ。
そんな少年が殺人被害者のバラバラ遺体を間近で観る機会を
得て、そこから殺人犯の推理を開始する。それは彼自身が殺
人者に共感を持った結果でもあった。そしてついに殺人者を
特定するが…。
実は、映画ではここからの展開がかなり飛んでいて、観てい
て呆気に取られる思いだった。正直には前半の展開を突き詰
めて行ってもそれなりの作品になったと思うが、作り手は別
段名画を作ろうという考えではなかったのだろう
そう考えれば本作は、それなりに強烈ではあるし、ジャンル
映画としては面白いものになっている。

出演は、2009年11月紹介『かいじゅうたちのいるところ』な
どのマックス・レコーズと、『BTTF』などのクリストフ
ァー・ロイド。
脚本・監督は、2005年『エイリアン・パンデミック』でオー
スティンファンタスティック映画祭などを制したビリー・オ
ブライエンが担当している。
公開は第1弾が5月20日より、第2弾が6月10日より、いず
れも東京は新宿シネマカリテ他で、全国順次ロードショウと
なる。

『パージ:大統領令』“The Purge: Election Year”
2015年6月に第1作と第2作を纏めて紹介した近未来テーマ
シリーズの第3作。
今回の物語の年号は2025年、次期大統領選挙に向けた運動が
始まる中での首都ワシントンDCが舞台となる。その選挙は
18年前に始まったパージの是非を問うものであり、それは政
策を実施した勢力と反対勢力との対決の場にもなっている。
そんな中で行われるパージの日、反対勢力の中心人物で次期
大統領候補の女性上院議員に「合法的」な暗殺の指令が出さ
れる。しかもその女性議員は、政権側に内通した者の裏切り
により安全な自宅を出て街を彷徨う羽目に陥た。
そして街には、様々なやり方でパージに抵抗している人々が
いた。

出演は、前作に引き続いてのフランク・グリロと、3作全て
に登場のエドウィン・ホッジ。他に、2006年11月紹介『サン
タクローズ3』などのエリザベス・ミッチェル、2009年9月
紹介『ファイナル・デッドサーキット』などのミケルティ・
ウィリアムスン。
さらに2009年7月紹介『アドレナリン/ハイ・ボルテージ』
と『ワイルド・スピードMAX』に出ていたというJ.J.
ソリア、2016年12月11日題名紹介『アイヒマンの後継者』な
どのベティ・ガブリエルらが脇を固めている。
脚本・監督は、前2作に引き続いてのジェームズ・デ・モナ
コ。製作は『トランスフォーマー』シリーズなどのマイクル
・ベイと、『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなど
のジェイスン・ブラムが担当している。
プレス資料によるとデ・モナコは4年前に全ての脚本を書き
上げていたということだが、ここまでの3部作の展開は実に
見事と言える。それは第1作ではイーサン・ホークらのハリ
ウッドスターの出演で物語の設定を描き、第2作では街中で
の民間人の闘い、そして本作で政治の世界が舞台となる。
この拡大のさせ方が実にスマートで、しかも第2作で民間人
を護って活躍した人物が今回は反対勢力の政治家を護るとい
うのも納得できる展開になっている。とまあうまく作られた
シリーズと言えるのだが…。
実は今回はちょっと困った事象にぶつかってしまった。
と言うのは、前2作の年号は確か2022年と2023年で、本作は
その2年後という設定なので2025年というのはいいのだが、
最初のパージの開催がその18年前というのは、第1作のプロ
ローグで2017年とされていたのと話が合わない。
それは2007年の見間違いかとも考えたが、第1作のアメリカ
公開が2013年でそれより前の設定というのも考え難い。それ
に本作で2025年に大統領選挙というのも、合衆国の政治カレ
ンダーには合わないものだ。
海外の情報サイトではすでに2018年公開として第4作の告知
も上っているようで、この矛盾をどう解消してくれるのか、
それも楽しみになってきた。

本作公開は4月14日より、緊急ロードショウとなっている。

『ラプチャー 破裂』“Rupture”
2009年10月及び2010年7月に紹介の『ミレニアム』シリーズ
でブレイクしたノオミ・ラパス主演で、謎の実験に巻き込ま
れた女性を描いた作品。
主人公はシングルマザー。その主人公が我が子を車で学校に
送った帰路で周到に準備された拉致に遭う。そして連れ込ま
れた謎の実験施設で彼女は拘束され、嫌いなものを執拗に押
し付けられるという人体実験に曝される。
そんな中で彼女は別の被験者から情報を得たり、一旦は拘束
から逃れることもできるのだが…。果たしてその実験の目的
は? そして実験者の正体は…?

共演は、2013年2月紹介『ラストスタンド』などのピーター
・ストーメア、2014年6月紹介『マレフィセント』などのレ
スリー・マンビル、2012年9月紹介『アルゴ』などのケリー
・ビシェ、2008年10月紹介『イーグル・アイ』などのマイク
ル・チクリス。
脚本は2009年6月紹介『30デイズ・ナイト』などのブライ
アン・ネルスン、監督は2003年6月紹介『セクレタリー』な
どのスティーヴン・シャインバーグ。因に原案は2人の共同
となっており、シャインバーグは製作総指揮にもクレジット
されている。
脚本のネルスンは2006年『ハードキャンディ』がサンダンス
映画祭で話題になり、監督のシャインバーグの上記作もサン
ダンスで話題になったもので、共に申し子と言える顔合わせ
となっている。しかも共にちょっと特殊な性癖を描いていた
ので、本作の拉致もそういう見方になりそうだ。
しかし僕の立場からすると、ある目的を持った特異な実験を
描いている点ではSFの範疇に入るものだし、作品中では明
確にはされないが、実験者の正体にもSF的な興味の湧く作
品になっている。なお正体については、監督が「続編を作る
ことができたら明確にする」と語っているものだ。
そしてその実験については、このアイデア自体は他にもあり
そうだが、見方を変えると上記の『ジェーン・ドウの解剖』
に通じるところがあるのも面白かった。そのテーマでは他に
も類似する作品はあるはずで、アメリカ人には比較的好まれ
るアイデアのようだ。

公開は6月3日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他で全国ロードショウされる。

この週は他に
『夜に生きる』“Live by Night”
(『アルゴ』などのベン・アフレック脚本、監督、主演で、
2010年『シャッター・アイランド』などのデニス・ルヘイン
の原作を映画化した作品。禁酒法時代を背景に、ボストンの
警察官の息子に生まれながら、反発して悪の道に入って行く
男の姿が描かれる。しかもさらなる危険や思わぬ障害など、
政治も絡んで日本人には想像もつかない世界が繰り広げられ
る。共演はエル・ファニング、シエナ・ミラー、ゾーイ・サ
ルダナと旬な女優が顔を揃え。さらにクリス・メッシーナ、
クリス・クーパーらが脇を固めている。正にハリウッド・ノ
アールという感じで、129分の上映時間が短く感じられる作
品だった。公開は5月20日より、全国ロードショウ。)
『ろんぐ・ぐっどばい〜探偵 古井栗之助〜』
(2016年1月紹介『華魂幻影』などの脚本家いまおかしんじ
が、レイモンド・チャンドラー原作、ロバート・アルトマン
監督の1974年作にオマージュを捧げて監督したという作品。
主人公は施設で育った身寄りのない男。探偵を名乗っている
が、施設時代から世話になった女性に裏社会の怪しげな仕事
を斡旋して貰って暮らしている。そんな男に来た新たな依頼
は、自殺した娘に盗まれた500万円を探すというものだった
が…。主演はテレビ『あまちゃん』などの森岡龍。他に蜷川
みほ、手塚夏生、仁科あい。さらに諏訪太郎、松本妃代らが
脇を固めている。原作はハードボイルド小説の名作と言われ
るが、日本の社会でそれを描くのは中々難しそうだ。公開は
5月20日より、渋谷ユーロスペースでレイトショウ。)
『今宵、ほろ酔い酒場で』
(酒場詩人と呼ばれるらしい吉田類が案内役を務める3話の
オムニバス。1話目はアイドルに嫌気がさして逃げてきた若
い女性を巡る話。2話目は妻の帰省中に怪しげな酒場を訪れ
た真面目なサラリーマン。3話目は事業に失敗して行く当て
もなく、故郷の酒を置く酒場にやってきた男。まあいずれも
現代にありそうな話で、登場する酒場もありそうなのかな?
ただ自分も酒を嗜む者としては、ここに登場する人たちのよ
うな飲み方はしないもので、多少違和感を感じて仕舞った。
出演は伊藤淳史、松本妃代、津田寛治。テレビでは『ワカコ
酒』や映画版もある『深夜食堂』など、酒場が舞台の作品は
ブームのようで、この作品もその1本かな。公開は6月10日
より、角川シネマ新宿他で全国ロードショウ。)
『きらめく拍手の音』“반짝이는 박수 소리”
(CODA=Children of Deaf Adults。耳の聞こえない親
を持つ聴者の監督が、両親の姿を追ったドキュメンタリー。
父親は元サッカー選手だそうで、2010年5月紹介『アイ・コ
ンタクト』を思い出した。本作もその作品と同様に、自分が
健常者であると中々知ることのない世界が描かれている。そ
こに僕らはどうしても憐れみを感じてしまい、それではいけ
ないという思いもするのだが、こればかりは仕方がない。た
だ本作ではカラオケのシーンに明らかに別の感動を覚えた。
このような作品を観ることで、少しでも彼らのことを知り、
そこから今、自分が何をするべきかを考える、そこが重要と
思える作品だ。公開は6月より、東京はポレポレ東中野他で
全国順次ロードショウ。)
『ラオス 竜の奇跡』
(史上初の日本・ラオス合作映画とされる作品。田舎の故郷
を出て都会に暮らす若い現代女性が、訪れた観光地のダムで
55年前の内戦の続く時代にタイムスリップする。そこにはダ
ム建設のため測量に派遣された日本人青年もいて、2人は近
くの村で過ごすことになるが…。一応SF的なテーマではあ
るが、描かれるのは当時と現代の比較であって、そこにSF
的な視点は観られない。ただある種のノスタルジーと、そん
な半ば戦地でもある場所に赴いて活動した日本人がいたこと
に驚きも感じる作品になっている。2016年11月13日題名紹介
『バンコクナイツ』や12月25日題名紹介『逆行』などラオス
ロケの作品も観てきたが、その自然が魅力的だ。公開は6月
より、東京は有楽町スバル座他で全国順次ロードショウ。)
『カフェ・ソサエティ』“Cafe Society”
(ニューヨーク派の代表とされるウディ・アレン監督による
ハリウッドも舞台になる作品。背景は1930年代。主人公はニ
ューヨーク・ブロンクス生まれのユダヤ人青年。しかし地元
の暮らしが嫌になり、ハリウッドで成功している叔父の許に
やって来る。ところがそこで恋をして失恋した青年は東海岸
に舞い戻り、西海岸で得たノウハウを生かしたセレブの集う
カフェで成功するが…。出演はジェシー・アイゼンバーグ、
スティーヴ・カレル、クリスティン・スチュアート。アレン
のハリウッド嫌いは有名だったが、特に邪推するようなもの
もなく、ノスタルジーに溢れた映画を作り上げている。それ
は監督初期のユーモアにも満ちたもので、観ていて実に心地
よかった。公開は5月5日より、全国ロードショウ。)
『ジョン・ウィック:チャプター2』
               “John Wick: Chapter 2”
(2015年公開作品の続編。実は前作も試写を観たが、何と言
うか展開について行けず紹介を割愛してしまった。でもまあ
これがスタイルなのだし、これで観客が喜ぶならそれも価値
だ。お話は、前作では愛犬を殺されてロシアマフィアを壊滅
させた主人公が、今回は自宅を破壊され…。とにかく強烈な
復讐劇が繰り広げられる。そしてその舞台はヨーロッパ。共
演は2016年12月紹介『バイオハザード:ザ・ファイナル』な
どのルビー・ローズ、2014年3月紹介『サード・パーソン』
などのリッカルド・スカマルチョ。他にピーター・ストーメ
ア、ジョン・レグイザモ、イアン・マクシェーン、ローレン
ス・フィッシュバーン。さらにフランコ・ネロも登場する。
公開は7月7日より、全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2017年04月02日(日) ゴースト・イン・ザ・シェル、BLAME!

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『ゴースト・イン・ザ・シェル』“Ghost in the Shell”
1999年『マトリックス』の基になったとされる2008年7月紹
介、押井守監督のアニメーション『攻殻機動隊』をハリウッ
ドで実写リメイクした作品。実は2週前に試写が行われてい
たものだが、情報の露出が制限されて、それがようやく解禁
となった。
舞台は近未来。主人公は政権直属の対テロ組織公安9課に所
属する少佐。以前に遭った悲惨な事故で脳を除く身体の全て
は義体と呼ばれるサイボーグになっている。そんな主人公が
新たな組織との戦いを迎える。
その組織は、他者の脳をハッキングするという新たな攻撃を
仕掛けてきた。その戦いの中、少佐は自己の生体の中で唯一
残されていた脳の記憶が操作されているのではないかという
疑問に直面する。

出演はスカーレット・ヨハンセン、2016年9月紹介『ある戦
争』などのデンマーク俳優ピルー・アスベック。さらにビー
トたけし、ジュリエット・ビノシュ、マイクル・ピット。ま
た2011年10月紹介『永遠の僕たち』などのチン・ハン、オー
ストラリアに本拠を置くスタント・パフォーマーの泉原豊ら
が脇を固めている。他にゲスト出演もある。
監督は、2012年6月紹介『スノーホワイト』などのルパート
・サンダース。脚本は、2002年『ザ・リング』(ハリウッド
リメイク)を手掛けたアーレン・クルーガーと、ジェイミー
・モス、ウィリアム・ウィーラーの3人が担当している。
劇中のビートたけしの台詞は全て日本語で、それにヨハンセ
ンらが英語で受け答えする。その演出に、試写後に聞こえた
会話では、「たけしが英語は否だって言ったんじゃない?」
という声もあったが、この演出が理解されないと物語全体の
世界観が崩れそうだ。
とは言うものの、僕自身も2008年に観たアニメーションの時
からこの世界観についていけないところがあって、正直に言
って物語は消化し切れていない。でもまあ映像は面白いし、
最近の観客はそれで満足してくれるのだろう。
ただ、オリジナルではリアルとヴァーチャルの狭間みたいな
話がもう少し提示されていたと思うが、その辺が本作では希
薄になっているようだ。それを言ったからといって世界観が
明瞭になるものでもないが。
取り敢えず日本発の物語が新たに開幕したことには、とやか
く言わずに喜びたいものだ。続編も期待できる展開にも見え
たし…。

公開は4月7日より全国ロードショウとなる。

『BLAME!』
2015年公開『シドニアの騎士』の原作者で講談社漫画賞を受
賞した弐瓶勉が、1997年から2003年に発表したデビュー作を
自らの総監修で映像化した作品。
背景は、巨大な階層都市が増殖を続ける暗黒の未来。以前の
人類はその都市にアクセスする能力を持ち、都市を制御して
豊かな生活を送っていたらしい。ところが「感染」によって
その能力が失われ、都市は無秩序な増殖を続けるとともに、
アクセスできない人類を寄生物と見做して駆除し始める。
そんな時代が長く続き、人々からは都市の支配者だった記憶
も消え失せた頃。僅かに残った人類は都市の監視の目の届か
ない場所に隠れ住み、都市から食料をかすめ取りながら細々
と暮らしていた。そして主人公の少女は若くして食料調達を
担っていたが、その食料も尽き始めていた。
そんな主人公が仲間と新たな食料の調達に向った時、都市の
「監視者」に襲われ、仲間の多くを失ってしまう。ところが
そこに謎の男が現れ、「監視者」を一撃で倒してしまう。そ
して隠れ家についてきた男は、都市にアクセス可能な遺伝子
を持つ者を探していると語る。
さらに男の言葉から、隠れ家の中の禁忌の場所に秘密のある
ことが判り、そこに隠れていた太古の科学者を救出すること
に成功するが…。それが新たな災厄を人々にもたらすことに
なる。しかしそれでも人類生き残りのため主人公たちの戦い
は続いて行く。

監督は『シドニアの騎士』も手掛けた瀬下寛之、脚本の村井
さだゆき、キャラクターデザインの森山佑樹も『シドニア』
のスタッフが再結集している。ただし本作では、原作者の弐
瓶勉が総監修としてシナリオからキャラクターデザインまで
全ての中核を担っているものだ。
実は『シドニアの騎士』の試写も観させて貰っていたが、何
となくコンセプトが不明瞭で、元々作品がテレビシリーズの
総集編という位置づけでもあったので、ここでの紹介を割愛
してしまった。
それに対して本作は、それなりの背景の説明もあり、SFを
観馴れている者には理解し易い作品だった。ただし原作では
謎の男の方が主人公のようで、それを少女が主人公のように
書き直しているために、ちょっと男の性格付けなどに物足り
なさを感じた。
ただし元々が謎の男という設定だから、これはこれで良いと
も言えるものだ。この点は科学者の設定に関しても同様で、
これは何とかシリーズ化して、ちゃんとした決着も付けて欲
しくなる。そんな期待も膨らむ作品だった。

公開は5月20日より、2週間限定の全国ロードショウ。なお
音響には日本アニメーションでは初となるドルビーATMOSの
音響設計がされており、試写会場では体験できなかったが、
これは相当の迫力となりそうだ。

この週は他に
『笑う101歳×2』
(1914年=大正3年生まれ日本初の女性報道カメラマン笹本
恒子と、1915年=大正4年生まれ戦時中の朝日新聞記者むの
たけじ。共に年齢100歳を超えた2人のジャーナリストの姿
を追ったドキュメンタリー。作品は2014年4月の2人の初対
面からスタートするが、とにかく2人の元気が良い。むの氏
の容姿はそれなりだが、論が始まるとその舌鋒は止まらず、
特に戦争反対の立場に立つむの氏の発言は明確で気骨溢れた
ものになる。一方の笹本氏は、その容姿からして到底1世紀
を生きた人とは思えない。矍鑠として普通に見ても70代で通
用する雰囲気。「自分もこんな風に老いたい」そんな願望に
も捉われる作品だ。公開は6月3日より、東京はヒューマン
トラストシネマ有楽町他で全国順次ロードショウ。)
『22年目の告白 私が殺人犯です』
(2013年5月紹介の韓国映画『殺人の告白』を日本の現代を
舞台にリメイクした作品。連続殺人犯が公訴時効後に手記を
発表するという設定は同じだが、本作ではそれを見事に日本
の法体系に落とし込み、日本の実情や社会も反映させている
ところは見事だ。特に22年前の再現も的確に思えた。脚本は
アメリカアカデミー賞受賞作『つみきのいえ』の平田研也と
本作の監督も務めた2016年1月紹介『太陽』の入江悠。正に
日本映画の希望の星と言える顔合わせだ。出演は藤原竜也、
伊藤英明、夏帆、野村周平、石橋杏奈。さらに岩松了、岩城
滉一、仲村トオルらが脇を固めている。映画では最初に映る
22年前の自動販売機からその拘りに魅了された。公開は6月
10日より全国ロードショウ。)
『ラスト・プリンセス-大韓帝国最後の皇女-』“덕혜옹주”
(2008年8月紹介『ハピネス』などのホ・ジノ監督が、戦中
戦後の日韓の関係に翻弄された女性の姿を描いた韓国映画。
主人公は朝鮮王朝26代王の娘。彼女は側室の娘だったが王が
60歳の時に生まれ、溺愛されて当時の韓国内では国民的アイ
ドルでもあったようだ。因に彼女の誕生は日韓併合の2年後
だった。ところが併合を潔しとしない王が毒殺され、1925年
彼女は人質として日本に行くことを強制される。これだけで
も充分歴史に翻弄されたと言えるが、さらに日本の敗戦後に
も彼女には悲劇が降り掛り、帰国できたのは1963年だった。
そんな女性の姿がフィクションを絡めて描かれる。主演は、
2013年5月紹介『ザ・タワー』などのソン・イェジン。公開
は6月、シネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)
『君のまなざし』
(「幸福の科学」大川隆法の原案・製作総指揮によるファン
タシーの趣もある作品。主人公は身寄りもなくアルバイトを
しながら大学に通う苦学生。そんな主人公が神社の巫女に何
かを感じた瞬間から運命が動き出す。そして夏休みバイトに
訪れた山荘で、1000年の時空を超えた彼の存在の意味が判明
する。それは彼の家系に連綿と続く使命だった。同教団の映
画製作も第11作になるようだが、主人公が危機に陥っても最
後は神様が助けてくれるという展開はいつもと変わらずの作
品だった。出演は、梅崎快人、水月ゆうこ、大川宏洋。他に
黒田アーサー、黒沢年雄、手塚理美らが脇を固めている。監
督はテレビ『教師びんびん物語』などの赤羽博が劇場映画を
初監督した。公開は5月20日より、全国ロードショウ。)
『武曲 MUKOKU』
(2010年9月紹介『海炭市叙景』などの熊切和嘉監督による
最新作。剣道に運命を左右される2人の男の姿が描かれる。
1人目は警察官で剣道の達人だった父親に幼い頃から鍛えら
れた。しかしある出来事から己を見失い、警備員の職に甘ん
じながら酒浸りの生活を送っている。もう1人はラップ好き
の高校生、ところが剣道部員に絡まれ、無理やり持たされた
竹刀で天分を見出される。そんな2人の運命が絡まる。出演
は綾野剛と村上虹郎。その脇を前田敦子、風吹ジュン、小林
薫、柄本明らが固めている。藤原周の原作から2014年2月紹
介『そこのみにて光輝く』などの高田亮が脚色した。劇中の
綾野の筋肉が物凄く、エンドロールの謝辞に納得した。公開
は6月、東京は新宿武蔵野館他で全国ロードショウ。)
『ダブルミンツ』
(サブカル界のカリスマと呼ばれる中村明日美子の原作を、
2014年『グレイトフルデッド』、2016年『下衆の愛』などの
内田英治監督が映画化。サブカルという言葉にはいろいろな
イメージが湧くが、本作は比較的オーソドックスなチンピラ
ものだった。内田監督の作品は上記の2本も観ているが中々
紹介までは至らなかったもの。それは視点は良いがそこから
の展開に何か突き抜けるものが物足りない。ただし本作では
僕自身がこのBLという世界に入り込めないところにも原因
があるのかもしれない。その意味では前作『下衆の愛』の方
が理解し易かった感じだ。従って多分嗜好の合う人には良い
作品なのだろう。公開は6月3日より、東京はシネリーブル
池袋他で全国ロードショウ。)
『ハクソー・リッジ』“Hacksaw Ridge”
(第2次世界大戦末期の沖縄戦線を描いた戦争映画。沖縄戦
線というと火炎放射器で地下壕を焼き払い、そこから白旗を
掲げて日本兵や民間人が出てくる映像しか思い浮かばない。
それはジョン・フォード監督らの名匠によって記録されたも
のが、本当の戦場の様子は記録班も入れなかったほどの苛烈
なものだったようだ。その様子がメル・ギブスン監督の手で
再現されている。プレス資料には大学教授による描写が残虐
過ぎるとのコメントも寄せられていたが、これこそが本物の
戦場の姿なのだろう。その中で主人公は良心的兵役拒否者と
して武器も持たずに看護兵として奔走する。それは正しく名
誉勲章に値する活動だった。出演はアンドリュー・ガーフィ
ールド。公開は6月24日より全国ロードショウ。)
『アムール、愛の法廷』“L’Hermine”
(多民族国家フランスの裁判所法廷を描いた作品。主人公は
厳格な裁きで知られる判事。その判事に裁かれるのは娘を蹴
り殺したとされる若者。しかしその若者は「殺していない」
と繰り返すだけで人定質問にも答えようとしない。そして陪
審員席には、判事が以前に心を寄せた女性が座っていた。日
本でも裁判員制度が施行されて時間が経つが、フランスとの
裁判制度の違いにも興味が惹かれた。とは言うもののさすが
愛の国フランスなのかな? イタリアほどではないにしても
その大らかさにはちょっと驚かされた。まあ人間的と言えば
そうなのだが。監督は2013年『大統領の料理人』などのクリ
スチャン・ヴァンサン。公開は5月13日より、東京は渋谷シ
アター・イメージフォーラム他で全国ロードショウ。)
『ポエトリー・エンジェル』
(日本朗読ボクシング協会という団体が特別協力している詩
作が主題の青春ドラマ。主人公は梅農家の1人息子。高校卒
業後は一応親の手伝いはしているが、家業を継ぐ気もなく、
日々をただ過ごしている。ただ彼には妄想癖があり、そんな
彼が「詩のボクシング」に何となく参加。一方、梅林の農道
をトレーニングで駆け抜ける少女は学校では浮いた存在で、
ボクシングジムに通っているがライヴァルには後れを取って
いる。そんな少女が気になる主人公は…。高校生の書道だの
俳句だのいろいろあるが、今度は「詩のボクシング」と言う
感じかな。出演は岡山天音、武田玲奈。その脇を鶴見辰吾、
美保純、角田晃広、下條アトムらが脇を固めている。公開は
5月20日より、テアトル新宿他で全国ロードショウ。)
『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』
                   “Yoga Hosers”
(2010年7月紹介『コップ・アウト』などのケヴィン・スミ
ス監督で、ジョニー・デップの娘のリリー=ローズ・メロデ
ィ・デップと監督の娘のハーレイ・クイン・スミスが主演す
るドタバタコメディ。カナダ片田舎のコンビニを舞台に音楽
好きのコンビニ店員と、戦前のカナダで台頭したというナチ
信奉者の末裔が繰り出すソーセージ軍団がとんでもない戦い
を展開する。監督は2001年発表『ジェイ&サイレント・ボブ
帝国の逆襲』などでも名高いが、カナダとナチスの関係など
変な捻りも持ち出して、何となく判るような判らないような
摩訶不思議な作品を作り出した。とは言えジョニー・デップ
の共演や、ヴァネッサ・パラディの顔出しなど、かなりの親
ばか振りも観られる作品だ。公開は7月1日からの予定。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二