| 2017年01月29日(日) |
おとなの事情、標的の島 風かたか |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『おとなの事情』“Perfetti sconosciuti” イタリア映画界のアカデミー賞とされるダヴィッド・ディ・ ドナテッロ賞において作品/脚本のW受賞を果たしたパオロ ・ジェノヴェーゼ監督によるコメディ作品。 物語に登場するのは、月食の夜に幼馴染の家に集まった7人 の男女。それは3組の夫婦と1人の独身者で、その中の1組 の夫婦の家に集まるが、少し遅れた独身者は連れてくるはず のガールフレンドが風邪で来られなくなったと話す。 それでも持ち寄ったワインや料理でパーティは始まるが、最 初の乾杯の前に当主のシャツにワインが掛かり、夫は着替え る羽目に陥る。そしてその後で始まった座興のゲームが思わ ぬ悲喜劇を呼ぶ。 そのゲームは各自の携帯電話をテーブルに置いて、架かって きた電話はスピーカフォンで皆に聞こえるようにし、届いた メールは本人以外が読み上げるというのだが、それが各自の 秘密を暴き立ててしまうのだ。 それは人間の本性というか人生の機微みたいなものが見事に 描かれる作品だが…。 出演は、ドナテッロ賞に9回ノミネート3回受賞というジュ ゼッペ・バッティストン、本作で3度目のノミネートのアン ナ・フォリエッタ、舞台出身のマルコ・ジャリーニ、監督業 も行っているエドアルド・レオ。 さらに2002年8月紹介『スズメバチ』などのヴァレリオ・マ スタンドレア、2013年9月紹介『眠れる美女』などのアルバ ・ロヴァケル、2010年4月紹介『パリより愛をこめて』など のカシア・スムトゥニアク。 いずれも芸達者な現代イタリア映画界を代表する面々が揃っ ている感じだ。 という作品なのだが、実は最初に観た時には結末で呆気に取 られた。それは何とも唐突な終わり方で、観終えてモヤモヤ した気分にもなった。実際いくらなんでもこれはないだろう という終り方だったのだ。 しかしその後にその謎を解く鍵は衣装にあると聞かされて、 それならということで2度目を観に行き、それでようやく得 心した次第だ。でもこれを予備知識なしで観て理解できる観 客がどれほどいるものか。 とは言えこの作品には作品賞が贈られているのだから、イタ リアの観客は理解できたということなのだろうか。ドラマを 観ているだけでもそれなりに面白くはあるが、一筋縄では行 かない作品だ。 公開は3月18日より、東京は新宿シネマカリテ他にて、全国 順次ロードショウとなる。
『標的の島 風かたか』 2013年7月紹介『標的の村』などの三上智恵監督による最新 作。 2016年6月19日に起きた米軍属による婦女暴行殺人事件に端 を発する抗議行動。その被害者を追悼する県民集会で、名護 市長は「今回も我々は風かたか(防風柵)になれなかった」 と述懐する。 その一方で2013年の防衛大綱に基づいて進められる宮古島、 石垣島などの軍事基地化。そこには中国艦隊の太平洋出撃を 阻止するという名目で、対潜水艦ミサイルの発射基地などの 設営が自衛隊の手で進められている。 因に第2次世界大戦で沖縄は、10万人の帝国陸軍を受け入れ たが。その結果は守るどころか12万人の民間人の死を招いて しまった。しかもそこには軍事機密の漏えいを防ぐために、 軍によって死地に追いやられた人も多いという。 そんな歴史も記憶に新しい沖縄で進む戦争への道づくりは沖 縄県民の神経を逆なでしながら着実に進められて行く。さら に『標的の村』で取り上げられた高江には、1000人を超える 機動隊が動員されて米軍の訓練場が整備されている。 そんな沖縄の基地化の現状と、それに反対する沖縄の人々の 姿が、沖縄現地のテレビ局の手で取材され、描き出される。 それは沖縄の生の声であり、沖縄の民衆の声を内地に向って 発しているものだ。 恐らく内地の人間はここに描かれていることの10分の1も認 識はしていないだろう。僕自身が『標的の村』を観た時に、 ある程度の想像はしていたものの、それが現実からほど遠い ものであったことを思い知らされた。 実際に最近、「沖縄の基地反対運動は本土から行った過激派 が何も知らない沖縄の人々を扇動しているもの」というマス コミの論調を見たが、ここに描かれる現実は彼らも知った上 で、わざと目を瞑っているのだろう。 そこまで日本のマスコミは体制に寄り添うように堕落してし まった。そんな恐ろしさも感じてしまう。僕自身が何もでき ていない身では何も言えないが、この歯がゆさには身もだえ してしまうような気分にさせられた。 沖縄の軍事要塞化は沖縄県民のためではなく、日本国家のた めでもなく、ただ単にアメリカ合衆国の防衛のためのもの。 その事実を、この作品を日本の全国民が観て認識してもらい たい。そんな気持ちになる作品だ。 公開は3月25日より、東京はポレポレ東中野他にて、全国順 次ロードショウとなる。
この週は他に 『コスメティックウォーズ』 (大政絢の主演に、奥菜恵、高岡早紀の共演という布陣で、 化粧品の新製品を巡る産業スパイを描いた作品。BS-TBSの製 作で、以前はもっと若手女優を使った学芸会のような作品が 多かったが、この顔触れだとそれなりの作品になってきてい る。とは言え物語のつくりは軽いかな。それに舞台が実在の 会社ではその会社を悪者に出来るはずもなく、その辺で大体 ストーリーが読めてしまうのは痛し痒しだ。でもまあ、大政 のファンには嬉しい作品ではあるのだろうし、それはそれで 製作者サイドの当初の目的は果たされているのだろう。監督 は2015年『東京PRウーマン』などの鈴木浩介。脚本はベテ ランの清水有生が担当している。公開は3月11日より、東京 は丸の内TOEI2他で全国ロードショウ。) 『まんが島』 (2011年10月30日付「東京国際映画祭」で紹介『キツツキと 雨』の脚本を沖田監督と共に手掛けた守屋文雄が満を持して 放つ初監督作品。「マンガ家以外立ち入り禁止」と書かれた 札の立つ島を舞台に、トキワ荘を思わせるマンガ家の集団が サヴァイヴァルを繰り広げる、かなりアヴァンギャルドな映 像もあり、上記の映画祭の報告ではゾンビへの言及に興味を 持ったが、それはどうやら守屋の影響だったようだ。そんな 一種のサブカル的な趣で作られた作品でもある。ただ監督の 思い入れが強烈すぎて、観ていて多少引いてしまうところも ある。でもまあそれが監督の狙いでもあるのだろうし、横か らとやかく言うものでもない。公開は3月25日より、東京は K's cinema他で全国順次ロードショウ。) 『午後8時の訪問者』“La fille inconnue” (カンヌ国際映画祭に7作品連続コンペティション出品、内 2度のパルムドールに輝くジャン=ピエール&リュック・ダ ルデンス兄弟監督の最新作。午後8時、時間外の診療所の扉 を少女が叩く。しかし中にいた女医はそれを無視。そしてそ の少女が遺体で発見され、良心の呵責に女医は彼女の素性を 調べ始めるが…。主演は2016年11月04日「東京国際映画祭」 で紹介『ブルーム・オヴ・イエスタディ』などのアデル・エ デル。実に巧みに描かれた人間ドラマで、社会情勢の反映か ら主人公の心理状態まで、描かれるものの全てが綿密に計算 され、ドラマが見事に構築されている。正に映画の醍醐味と 言える作品だ。公開は4月8日より、東京はヒューマントラ ストシネマ有楽町他で全国ロードショウ。) 『僕とカミンスキーの旅』“Ich und Kaminski” (2003年『グッバイ、レーニン』で世界的に評価されたヴォ ルフガング・ベッカー監督が、同作に主演したダニエル・ブ リュールと再びタッグを組んだ12年ぶりの長編作品。1960年 代ポップカルチャーの一翼を担ったものの、姿を消した伝説 の盲目画家を巡って、画家の伝記を執筆して儲けを企む自称 美術評論家が詐欺まがいの手口で接近する。ところが盲目と される老画家も強かで…。ピカソ、マティスに、アンディ・ ウォーホル、ダリ、ザ・ビートルズまで登場して、壮大な美 術史の謎が描かれる。原作物だが、映画はロード・ムーヴィ の要素も絡めて巧みに作られている。特に巻末のアニメーシ ョンは秀逸だ。公開は4月29日より、YEBISU GARDEN CINEMA 他で全国順次ロードショウ。) 『ザ・スライド・ショーがやって来る』 (2016年10月16日『変態だ』などの原作者みうらじゅんと、 いとうせいこうの共演で、1996年から不定期に開催されてい るトークショウの20周年を記念した作品。トークショウの内 容はみうら撮影の写真をスライド上映し、それをいとうがコ メントするというもので、本作の中でもその一部は紹介され るが、それはそれなりに面白そうなショウのようだ。ただし 本作はそれだけを再現するものではなく、そこに2人の関係 性などがそれぞれへのインタヴューとして挿入される。それ が一般の観客としては多少煩雑というか、もっとショウその ものを見せて欲しかった感じもするが…。でも試写会場に来 ていた両人のファンには受けていたようで、そういう作品な のだろう。公開は2月18日より、全国ロードショウ。) 『退屈な日々にさよならを』 (昨年の東京国際映画祭で上映され、11月には一般向けの限 定上映も行われた作品だが、全国公開が決定して改めて試写 が行われた。作品は今泉力哉監督が映画専門学校「ENBUゼミ ナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」との提携 で制作したもので、同じ体制では2014年に『サッドティ−』 という作品も作られている。実はその作品も観てはいるが、 この監督の作風は今までどうも僕の肌に合わなかった。しか し本作は全体的な雰囲気は変わらないが、ちょっと手の込ん だ展開で面白く見られたものだ。内容的には映画製作の裏側 的なものだが、そこに絡まる死生観みたいなものが巧みに描 かれていた。公開は2月25日より、東京は新宿K's cinema他 で全国順次ロードショウ。) 『イップ・マン 継承』“葉問3” (2010年11月紹介『イップ・マン/葉問』と、2012年2月紹 介『イップ・マン誕生』に続く作品。実はもう1本『イップ ・マン序章』という作品もあって本作はシリーズ4作目にな るようだ。主演には『序章』『葉問』のドニー・イェンが再 登場して壮年期のカンフーの達人の姿を描き切っている。物 語の背景は1950年代後半で、第2次大戦の終結で日本の支配 からは脱却したものの、今度はイギリス人の横暴に苦しめら れるという図式は、シリーズを通してほとんど変わらない。 ただし本作では幼い息子の存在がホームドラマ的な趣を生ん でいるのも面白かった。共演は前作にも登場のリン・ホン、 2016年11月紹介『ドラゴン×マッハ!』などのマックス・チ ャン。それにマイク・タイソン。公開は4月22日より、東京 は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2017年01月22日(日) |
3月のライオン前編/後編 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『3月のライオン前編』 『3月のライオン後編』 2006年5月紹介『ハチミツとクローバー』などの羽海野チカ 原作による人気コミックスの実写映画化。 主人公は中学生でプロ棋士になったという若者。幼い頃に家 族を交通事故で失い、父親の親友だったプロ棋士の許で育て られた。しかし高校生になった現在は、ある事情から下町で 1人暮らしをしている。 そんな彼は高校に通ってはいるが学校では昼食も屋上で1人 で食べるなど浮いた存在だ。しかし主人公には彼の存在を理 解して話し掛けてくれる教師もいた。そして放課後は棋士会 館でタイトルを目指す戦いが続いている。 ところがある日の対局で、育ての親に勝ってしまった彼は嫌 悪感に陥り、飲めないアルコールを口にしてしまう。そのた め路上に倒れていた彼を救ったのは、働きながら隣町で幼い 2人の妹と暮らす女性だった。 そして翌朝、その女性の家で目を覚ました主人公は、初めて 家族の温かさを知ることになる。そんなプロ棋士の若者と、 周囲の人々との生活が描かれて行く。 出演は、神木隆之介、有村架純、倉科カナ。その脇を佐々木 蔵之介、加瀬亮、前田吟、斉木しげる、伊藤英明、豊川悦司 らの錚々たる顔ぶれが固めている。 監督は、2012年6月紹介『るろうに剣心』などの大友啓史。 脚本は大友監督と、2006年10月紹介『TANNKA』を阿木 燿子と共に脚色した岩下悠子、それに2013年に『かしこい狗 は、吠えずに笑う』という作品を脚本、監督した渡部亮平が 共同で執筆した。 表題の通り前後編2部作で公開される作品で、しかも前編の 上映時間が2時間18分、後編が2時間19分というかなり長大 な作品になっている。 それにプロ棋士が主人公の作品では、先に2016年10月16日に 題名紹介の『聖の青春』があったばかりで、いろいろ危惧は 感じていたものだ。そんな気持ちで観始めた前編は、正直に 言って『聖の青春』に被る所が多かった。 ところがそれが後編に入ると展開が一気に変わって、現代社 会に通じる極めてドラマティックな物語になっていた。そこ には、苛めや核家族化など、正しく現代人が遭遇しているで あろう現実的な内容が描かれていたのだ。 「事実は小説より奇なり」というのは使い古された言い回し だが、実話に基づく『聖の青春』に対してフィクションであ る本作は、作者の思うがままに見事なドラマが構築されてい る。これこそがフィクションの醍醐味だろう。 公開は、前編が3月18日より、後編は4月22日より、2部作 連続の全国ロードショウとなる。
この週は他に 『話す犬を、放す』 (2012年1月紹介『桃まつり』の中で『最後のタンゴ』とい う作品を取り上げた熊谷まどかの監督で、昨年のSKIPシティ 国際Dシネマ映画祭のオープニングを飾った作品。物語の背 景となるのはレビー小体型認知症という病気。この病はアル ツハイマー型に次ぐ認知症の症例だが、その症状では幻視や 幻聴が現れるものだそうだ。そんな病に侵された母親と、演 劇に生きる娘の姿がユーモアを込めた温かい目で語られる。 出演はつみきみほと田島令子。ベテラン2人の演技は安心し て観ていられるが、実は脚本も手掛けた監督の実母がこの病 だそうで、その近親者を見つめる目が、作品を豊かにしてい る感じもした。公開は3月11日より、東京は有楽町スバル座 他で全国順次ロードショウ。) 『しゃぼん玉』 (宮崎県椎葉村、平家落人の末裔とされる人々の暮らす村を 舞台に、強盗傷害を繰り返して逃亡の果てに辿り着いた若者 の再生を描いた乃南アサ原作小説に映画化。開幕は衝撃的な 通り魔強盗の場面。しかし犯人の男は警察の目を掻い潜り、 逃走の果てに辿り着いた山間の村で、老婆の孫と間違われて 一緒に暮らすことになるが…。出演は林遣都、市原悦子と、 2016年9月紹介『デスノート』などの藤井美菜。脚本と監督 は助監督として多くの作品に関り、本作でデビューを飾った 東伸児。特異なシチュエーションだが、さすが直木賞作家の 原作という感じで違和感のない物語が展開される。主演の林 の変貌ぶりも見事だった。公開は3月、シネスイッチ銀座他 で全国ロードショウ。) 『ミス・サイゴン 25周年記念公演 in ロンドン』 “Miss Saigon: 25th Anniversary Performance” (日本でも人気を博したミュージカルの記念公演の舞台と、 その初演時のキャストが登場するフィナーレの模様を撮影し た作品。物語は戦争末期のサイゴンを舞台に、欲望や打算の 渦巻く中で純粋に米兵を愛したベトナム人女性の悲劇が描か れる。僕はオリジナルの舞台は観ていないが、2012年11月紹 介『ナンバーテン・ブルース』などが既視感を呼んだ。時代 をよく捉えた作品なのだろう。そしてSF映画ファンには、 初演時キャストで登場するジョナサン・プライスが嬉しい。 言うまでもなく1986年『未来世紀ブラジル』の主演が記憶に 残る俳優だが、その後に本作でミュージカルの初進出したそ うで、その思い出話しも面白かった。公開は3月10日より、 東京はTOHOシネマズ日劇他で全国ロードショウ。) 『サラエヴォの銃声』“Smrt u Sarajevu” (2016年12月紹介『汚れたミルク』のダニス・タノヴィチ監 督による2016年の作品。第1次世界大戦の切っ掛けとなった 1914年の皇太子暗殺事件。その100周年に上演された舞台劇 『ホテル・ヨーロッパ』を基に、事件を再検証しようとする テレビクルーと、その撮影が行われているホテルで進む労組 のストライキ、さらにそれを阻止しようとする経営陣の姿が 多角的に描かれる。描かれる内容は現在の東欧の現実が反映 されているということだが、正直に言って経営陣の高圧的な やり方には、これが現実なら何と恐ろしい国なのか思わせら れる。でもまあその通りなのだろう。公開は3月25日より、 東京は新宿シネマカリテ他で、3月4日からの『汚れたミル ク』に続けて全国順次ロードショウ。) 『モアナと伝説の海』“Moana” (南海の島々を舞台に、世界を暗黒に包もうとする敵と戦う 少女の冒険を描いたディズニーアニメーション。少女が暮ら すのはサンゴ礁の湾に臨む村。サンゴ礁の外は危険な荒海だ が、内側は穏やかで魚も豊富だった。そして少女の家は代々 村長の家系で、そんな少女は海からも愛される存在だった。 しかしその村に異変が起きる。湾内から魚影が消え、育てた ヤシの実も内部が腐っていた。その危機から村を守るため、 少女は外海を越える冒険へと旅立つ。本作で特筆したいのは 物語に色恋沙汰がないことだろう。その点では不満に感じる 評論家も多いようだが、これもエンターテインメントの一形 態な訳で、純粋な冒険物語を描いた点を僕は敢えて評価した い。公開は3月10日より、全国ロードショウ。) 『第3の愛』“第三種愛情” (2010年11月紹介『戦火の中へ』などのイ・ジェハン監督が 2016年7月紹介『ミスワイフ』などのソン・スンホンと共に 中国映画界に進出し、スタンフォード大学卒業の中国人女優 リウ・イーフェイと作り上げた恋愛映画。主人公は小さな法 律事務所に勤める女弁護士。そんな彼女が強引な経営で知ら れる企業の御曹司を知り合い、その顧問弁護士の座も射止め るが…。原作は中国で1000万人以上の読者を持つという人気 女流作家・自由走行によるベストセラー小説に基づくそうだ が。身分は違うが相思相愛、でもその恋が成就できない…。 正に韓国恋愛映画という物語が展開される。公開は4月1日 より、東京はシネマート新宿、大阪はシネマート心斎橋他で 全国ロードショウ。) 『素晴らしきかな、人生』“Collateral Beauty” (ウィル・スミス、エドワード・ノートン、ケイト・ウィン スレット、マイクル・ペーニャ、ヘレン・ミレン、ナオミ・ ハリス、ジェイコブ・ラティモアの共演で、人生の最大の哀 しみを受けた人間の再生を描いた物語。監督は、2012年5月 紹介『ビッグ・ボーイズ/しあわせの鳥を探して』などのデ ヴィッド・フランケル、製作と脚本は、2008年3月紹介『ラ スベガスをぶっつぶせ』などのアラン・ソープが担当した。 正に王道を行くという感じのハートフルな作品で、錚々たる 俳優の顔触れがそれを見事に描き出している。しかもエンデ ィングから遡って考えさせる物語の巧みさもあり、ファンタ スティックな味付けも良かった。公開は2月25日より、全国 ロードショウ。) 『SING/シング』“Sing” (2016年6月紹介『ペット』などのユニバーサル・スタジオ /イルミネーション製作による音楽が主題のアニメーション 作品。舞台は昔は華やかだったが今は寂れた劇場。オーナー はコアラで、秘書はトカゲというキャラクターだ。そんな劇 場が起死回生のオーディションを開催する。それはちょっと した手違いで大盛況となるが…。現れた応募者にはそれぞれ の歌に賭ける思いがあった。そんな様々な思惑を孕みながら 一発逆転の舞台が始まる。歌われるのはビートルズ、スティ ビー・ワンダーからビヨンセ、レディー・ガガまで60数曲。 中にはきゃりーぱみゅぱみゅも2曲エントリーされている。 そしてそれらを歌うのがマシュー・マコノヒー、リース・ウ ィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨ ハンソン。何とも豪華な舞台が開幕する。公開は3月25日よ り、全国ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2017年01月15日(日) |
トゥー・ラビッツ、黒執事 Book of the Atlantic |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『トゥー・ラビッツ』“2 Coelhos” ハリウッドリメイクもすでに計画されているという2011年製 作のブラジル作品。 映画の開幕は悲惨な交通事故。その画面では、歩道に立って いた母子が暴走してきた車に潰される。続いて描かれるのは 身代金誘拐事件の現場。そこでは少女が床下の穴倉に閉じ込 められている。 そして物語は、ポルノとゲームに明け暮れる若者が、二兎を 一撃で仕留める仕組みを考案したと話すところから始まる。 その若者は運転中に強盗に襲われるが、逆に強盗を追跡し、 仲間になれば200万ドルを稼げると持ち掛ける。 こうして若者の立てた二兎を一撃で倒す計画がスタートする が…。その途中にはフラッシュバックや後出しに思える説明 などが交錯し、さらに映像には線画のアニメーションが合成 されるVFXなど、多彩な演出で物語が展開される。 脚本と監督は、本作デビュー作でブラジル版タランティーノ とも称されるアフォンソ・ポイアルチ。監督は本作の後には ハリウッドに招かれて、2015年にアンソニー・ホプキンス、 コリン・ファレル共演作を手掛けている。 出演は、フェルナンド・アルヴィス・ピント、アレサンドラ ・ネグリーニ、タイーヂ、アルヂニ・ムレール、カコ・シオ クレール、マラチ・デスカルチス。いずれも日本では馴染み がないが、本国では作品歴のある実力派俳優たちだ。 他に、2011年11月紹介『エリート・スクワッド』に出ていた というトグンらが脇を固めている。 上述のようにかなり物語が錯綜していたもので、映画が終っ た瞬間では自分の気持ちがいろいろと混乱していた。しかし 試写会場の出口で宣伝担当の人と会話しながら物語を反芻し ている内に、その全体像が掴めてきた。 それは主人公の計画がかなり壮大なもので、しかも齟齬をき たすことを想定しながら綿密に練られたものだということが 理解できた。そしてその結末が、彼自身はもしかしたら別の 考えであったかもしれないが、こうなってしまう。 そんな神(監督)の配剤みたいなものが心に沁みる作品にも なっていた。 最初に書いたようにハリウッドリメイクも計画されていると 聞くが、本作の展開はハリウッド的にはかなり問題が多いか もしれない。しかしこの物語は揺るぎないものであり、出来 るなら監督自身でリメイクも手掛けて欲しいものだ。 公開は2月18日より、東京は新宿シネマカリテ他にて、全国 順次ロードショウとなる。
『黒執事 Book of the Atlantic』 2013年12月にワーナーブラザース製作、剛力彩芽、水嶋ヒロ 主演による実写版を紹介した人気コミックス原作のアニメー ション映画版。 物語の舞台は19世紀のイギリス。ファントムハイヴ伯爵家の 当主シエルと執事のセバスチャンは、「死者蘇生」の儀式が 行われるという情報を掴み、その儀式が行われる集会に潜入 するため、処女航海の豪華客船カンパニア号に乗り込む。 そこには、シエルの婚約者のエリザベス(リジー)とミッド フォード侯爵家の家族も乗船していた。さらにその船には死 神やその他の冥界の使徒らも乗り込んでおり、そんな中で、 シエルとセバスチャンは「死者蘇生」を目撃するが…。 その儀式を切っ掛けに恐怖の事態が勃発する。 作品は枢やなの原作の内、第11巻〜第14巻の「豪華客船編」 から、2011年『劇場版マクロスF』などの吉野弘幸が脚色、 監督は2010年『劇場版BLEACH』などの阿部記之が担当した。 因にこのメムバーでは2014年に『黒執事 Book of Murder』 という作品も作られている。 声優も、その2014年作品からの小野大輔、坂本真綾。さらに 田村ゆかり、諏訪部順一、福山潤らが担当している。 2013年12月に紹介した作品では、実写で日本人の俳優が演じ るために設定がかなり変更されていた。それは映画としての アクションなどは中々だったと記憶しているが、本来の原作 コミックスのファンには違和感があったのかもしれない。 その辺も踏まえて、上記の2014年の作品に続いて今回もアニ メーションでの映画化となっているものだが、これは仕方の ないところだろう。この他にも同原作はすでにテレビアニメ 化もされており、今後はこの線での展開が図られそうだ。 ということで本作では、テレビ放送が先行されていることも あって、主人公の背景などの説明が希薄で多少判り難い面が ある。それは物語の途中でフラッシュバックのように紹介は されるが、それが予備知識がないと中々判り辛い。 僕は2014年の実写版を観ていたから、設定などは何とか理解 したが、初めて観る人にはどうなのだろう? そういう観客 は想定していないということなのかもしれないが、少なくと も主人公の来歴などは巻頭で説明が欲しい感じはした。 まあそういうやり方が古臭いという考えはあるだろうが、本 作は以前に行われたイヴェント上映などとは異なる一般上映 の作品なのだし、一般観客の理解のために多少の割り切りは 必要に思えたのだが…。 公開は1月21日より、東京は新宿バルト9他にて、全国ロー ドショウとなる。
この週は他に 『真白の恋』 (富山県を舞台に、知的障害を持った女性とその家族の姿を 描いた作品。我が子に障害はなかったが、子育てを体験した 者としてこの親の気持ちは良く判る。そしてそれが過保護で あることも理解できるところだ。脚本の北川亜矢子は家族に 知的障害者を持つようで、周囲の人々の目も克明に描いて行 く。そこに散りばめられた台詞は、観客の胸にも突き刺さる ものだ。そんな物語を富山出身の坂本欣弘監督が温かく包み 込むように描いている。富山も以前に何度か訪れて、レンタ サイクルで街巡りもした経験があり、真白の立山連峰が遠望 されたり、多分見学した場所と思われるロケ地もあって嬉し かった。公開は富山で先行の後、東京は2月25日より、渋谷 アップリンク他で全国順次ロードショウ。) 『モン・ロア 愛を巡るそれぞれの理由』“Mon roi” (一時はリュック・ベッソンと結婚していたこともある女優 マイウェンによる長編監督第4作。カンヌ国際映画祭に出品 され、主演のエマニュエル・ベルコに女優賞をもたらした。 開幕はゲレンデ、そこで主人公は意を決したように滑走を始 めるが、次のシーンは病院でのリハビリとなる。そこから過 去10年に亙る1人の男性との恋愛事情が描かれるが…。いや はや、優秀な弁護士でもある女性が何でこんな男に引っ掛っ ちゃうんだろう? とは言うもののそれが恋愛というものな のだろう。近年はベッソン=アクション映画が台頭している フランスから伝統的な恋愛映画の復活ののろしのような作品 だ。共演はヴァンサン・カッセル。公開は3月25日より、東 京はYEBISU GARDEN CINEMA他で、全国順次ロードショウ。) 『エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方』“Trainwreck” (2007年のオーディション番組で認められ、2013年にはCS 放送のコメディ・セントラル局で年間最高視聴率を記録した エイミー・シューマー主演による恋愛コメディ作品。上述の フランス映画とは正反対かな? 幼い頃の両親の離婚で恋愛 恐怖症に陥った女性が、仕事で知り合ったセレブな男性と初 めての恋に落ちる。こちらは自分が男性の立場からすると、 何でこんな女と、という感じなのだが…。様々なセレブのゲ スト出演も多彩で、特にアメリカのスポーツが好きな人には 楽しめそうだ。脚本はシューマーで、監督は2008年11月紹介 『無ケーカクの命中男』などのジャド・アパトーが担当して いる。基本はスタンダップコメディの乗りだが、アメリカン コメディの割には笑えたかな。公開は3月4日より。) 『哭声<コクソン>』“곡성” (國村隼が謎の日本人役を演じ、韓国青龍賞で助演男優賞と 人気スター賞の2冠を受賞したサスペンス作品。物語の舞台 は山間の村。そこで残虐な殺人事件が起きる。その容疑者は 被害者の家族。しかし容疑者は錯乱状態で状況が掴めない。 その犯行はやがて毒キノコの幻覚によるものとされるが、そ こに山奥に住む日本人の存在が浮かんでくる。物語は2004年 1月紹介『殺人の追憶』や2010年10月紹介『黒く濁る村』の ような雰囲気で始まるが、後半にはかなり期待通りの展開が 設けられている。主演は2016年12月25日に題名紹介『アシュ ラ』などのクァク・ドウォン。脚本と監督は2010年『哀しき 獣』などのナ・ホンジン。公開は3月11日より、東京はシネ マート新宿他で、全国順次ロードショウ。) 『ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ』“Weiner” (1998年に連邦下院議員に初当選し。民衆の味方となる過激 な追及で人気も高く、妻はヒラリー・クリントンの側近とさ れる才媛で、政治家としては申し分なかった男が、2011年に セックススキャンダルで議員を辞職。そんな男が再起を賭け て闘った2013年のニューヨーク市長選。その選挙戦を追った ドキュメンタリー。それはネット社会の落とし穴とも言える ものではあるが…。いやはや、本当に「何でかな〜」という 感じの展開で、正しく開いた口が塞がらなくなる。観ている 間は笑える作品だが、これが最終的に昨年の大統領選の結果 にも繋がったのかと思うと、ぞっとしてしまう作品でもあっ た。公開は2月18日より、東京は渋谷のシアター・イメージ フォーラム他で、全国順次ロードショウ。) 『家族の肖像』“Gruppo di famiglia in un interno” (2016年10月16日題名紹介『郵便配達は二度ベルを鳴らす』 など初期3作に続いてディジタルリマスターで再公開される ルキーノ・ヴィスコンティ監督1974年の作品。主演は1963年 『山猫』にも主演したバート・ランカスター。ローマの邸宅 で18世紀イギリスで流行した「家族肖像画」のコレクション に囲まれて静かに暮らすアメリカ人の老教授が、突然の闖入 者によってその生活が乱されて行く。その闖入者の狼藉な振 る舞いがかなり観客をイラつかせるものなのだが、それを許 して行く主人公の心情も理解できてしまう。その辺の上手さ が名匠の作品と言えるものなのだろう。共演はシルヴァーナ ・マンガーノ、ヘルムート・バーガー。さらにドミニク・サ ンダ、クラウディア・カルディナーレらも登場する。公開は 2月11日より、岩波ホールにてロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2017年01月08日(日) |
ヨーヨー・マと旅するシルクロード |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』 “The Music of Strangers” 世界的なチェロの演奏家と、彼が結成した多国籍楽団の姿を 追ったドキュメンタリー。 何度も書いているように僕は音楽には全く疎い者で、そんな 中でヨーヨー・マの名前ぐらいは知っていたが、業績などは 全くの不知だった。従って本作では抒情的な題名もあって、 音楽家が各地で演奏旅行をする映像かな…? という程度の 軽い気持ちで観に行った。 その映画の始まりでは、観光地のような場所で演奏を繰り広 げる様子が映し出され、一層その印象を深くした。ただし、 その演奏では中国の琵琶(ピパ)やスペインのバグパイプな ど一風変わった楽器も登場するものだが、その中で楽しげに 演奏するヨーヨー・マの姿が如何にもという感じだった。 そしてそこにヨーヨー・マの生い立ちや過去の業績などが重 ねられ、それはモノクロテレビのアーカイヴ映像から家族ら へのインタヴューなども挿入されて、本人に対する見事な人 物紹介となっている。僕はここで改めて演奏家の人となりを 知ることができた。 という、如何にも如何にもな感じのドキュメンタリー映画の 始まりだったのだが、ここからの展開が観ていて思わず居ず まいを正してしまうような作品だった。 実は楽団のメムバーというのが、勿論各自はヨーヨー・マの 眼鏡に叶った優秀な演奏家たちだが、それぞれが各地で主に 民族楽器を扱う演奏家。その楽団は元々はヨーヨー・マが伝 統的な音楽と現代音楽の融合を図るという目論みで始めたも のだった。 ところが、2000年に始まった活動はいきなり試練を迎える。 言うまでもなく2001年9月11日だ。その後の中東に対する逆 風自体は音楽家のメムバーには直接的な影響はないが、それ によって生じた状況に彼ら自身が無関心ではいられない。こ うして本作では現在の世界があぶり出されて行く。 その中では、中国人の琵琶奏者が文化大革命を語り、それに よって後継者もなく消滅寸前だった影絵劇の伴奏楽団を支援 する姿や、当然ながら中東の戦場からの難民キャンプで子供 たちに音楽を教える管楽器奏者など、様々な活動がヨーヨー ・マの楽団に参加したことから派生して行く。 そんな素晴らしい音楽世界が描かれた作品となっている。 なお楽団には、日本人では尺八奏者の男性と打楽器奏者の女 性が参加しているようだが、上述の展開では男性がヨーヨー ・マの人となりを語るインタヴューでしか登場がない。しか しエンディングでは尺八の演奏がかなりフィーチャーされて いた。 その映像を観ていて僕らは、平和な日本の現状を噛みしめる ことができるし、それを守ることの意義も感じることのでき る作品だった。 公開は3月上旬より、東京は、Bunkamura ル・シネマ、シネ スイッチ銀座他にて、全国順次ロードショウとなる。
この週は他に 『グッバイエレジー』 (直近では12月25日題名紹介『相棒 劇場版�検戮覆匹了1� も行われた北九州市を舞台に、映画を背景に置く作品。主人 公は絶頂期を過ぎた映画監督で、物語はそんな彼が親友の死 を知って一度は捨てた故郷に帰ってくるところから始まる。 そこには映画などの彼らの青春の思い出が残っているが…。 昭和を想わせる映画館の地上げ問題など、ノスタルジーと現 実の交錯する物語が展開される。出演は大杉漣、石野真子、 藤吉久美子、吉田栄作。始めに書いた作品は東京のフェイク として使われたものだが、本作では北九州市そのものが舞台 になっている。その地を僕は何度か訪れており、門司港駅な どには懐かしさも感じられた。公開は3月25日より、東京は 有楽町スバル座他で、全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
| 2017年01月01日(日) |
2016年Best 10、動物戦隊ジュウオウジャーvsニンニンジャー |
明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 今回は新年第1回ということで、2016年の僕的ベスト10を 発表したいと思います。選考対象は2016年度の公開作品で、 試写を観せて貰った中から選びます。 まずはSF/ファンタシー映画: 1位:太陽(1月24日紹介) 2位:バットマンvsスーパーマン(紹介なし) 3位:10クローバーフィールド・レーン(5月15日紹介) 4位:あやつり糸の世界(2月7日紹介) 5位:オートマタ(2015年12月13日紹介) 6位:スキャナー(2月28日紹介) 7位:ポッピンQ(12月11日紹介) 8位:デッドプール(3月20日紹介) 9位:バイオハザード:ザ・ファイナル(12月18日紹介) 10位:エルストリー1976(11月13日紹介) 1位の作品に関しては、正直に言って日本のSF映画でこ のレヴェルの作品が出てくることは予想しなかった。昨年は 園子温監督の『ひそひそ星』(3月6日紹介)や、阪本順治 監督の『団地』(4月3日紹介)もあったが、SFマインド そのもので本作は頭抜けている感じがした。 2位の作品は完成披露試写が火曜日で公開が金曜日という 日程では紹介の機会を失ったものだ。ワンダーウーマンの登 場も嬉しかったし、最後に小石が動くシーンには、当然では あるのだがその見せ方に興奮した。 3位は、前作のファンにはテイストの違いで否定的な人も 多かったようだが、本作を単独で観ると往年の『ミステリー ゾーン』へのオマージュと取れるところもあり、前作の二番 煎じにしなかった点でも得心したものだ。 4位は、1973年という製作年度でこの内容を描いたことに 驚嘆した。先に原作小説があったとは言え、この時代にこう いう作品が発想されたことが素晴らしい。 5位は『2001年宇宙の旅』の見事な焼き直しと言える作品 で、背景や設定は大幅に異なるのに、その物語を巧みに再話 しているのが面白かった。特に結末の逆転は、時代の変化を 感じさせた。 6位は東映の作品。少し後には松竹の『秘密』(4月24日 紹介)もあって日本の大手もそれなりに頑張っている。SF 的には松竹作品の方が上かも知れないが、僕は本作の方が気 に入った。 7位は東映のアニメーション。同じ時期にはワーナーから 『モンスターストライク』(12月4日紹介)も公開されてい るが、本作は今後の展開も期待して選ぶことにした。 8位は、マーヴェル映画では『X−MEN』と『アヴェン ジャーズ』の間に位置する作品だが、年明けには『ドクター ・ストレンジ』(12月4日紹介)もあり、今後も複雑な展開 が楽しみだ。 9位は、2001年にスタートしたシリーズがようやくファイ ナルを迎えた感慨にも浸れる作品。前作、前々作に比べると 多少物足りなく感じる人もいると思うが、これがこのシリー ズの本来の姿なのだ。シリーズを全うした監督と主演女優に 敬意を表したい。 10位は『スターウォーズ』第1作の制作に纏わるドキュメ ンタリー。再開作もスピンオフも試写を観ていないので選ば なかったが、本作では1976年当時のSF映画事情も垣間見え て、さらにその後のブームの記憶も甦った。 続いて一般映画はベスト5で、 1位:トランボ(4月24日紹介) 2位:シチズンフォー スノーデンの暴露(3月20日紹介) 3位:シアター・プノンペン(5月29日紹介) 4位:コロニア(6月19日紹介) 5位:シークレット・オブ・モンスター(9月4日紹介) 内容はそれぞれの紹介記事を参照してください。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『動物戦隊ジュウオウジャーvsニンニンジャー 未来からのメッセージ from スーパー戦隊』 テレビの人気番組の劇場版で、僕は今までこの種類の作品は あまり観てこなかったが、昨年からは何本か鑑賞してこれが 意外と考えて作られているのに感心した。 物語は40代目スーパー戦隊ジュウオウジャーの面々が河原に 遊びに来ているところから始まる。そこは人里から少し離れ た場所で、そこで彼らは本来のジューマンの姿で自然を満喫 していたのだが…。 そこに忍者装束の一団が襲い掛かる。彼らは39代目スーパー 戦隊ニンニンジャーの面々で、1年前まで妖怪と闘ってきた 彼らはジューマン姿のジュウオウジャーを妖怪と誤解してし まったのだ。 そんな中、闘っていたジュウオウイーグルとアカニンジャー の前に1人の少年が現れ、アカニンジャーの息子と言う少年 は、この誤解が解けぬまま翌日の決戦で両者が全滅し、スー パー戦隊の歴史が終ってしまうと告げる。 その言葉を信じた2人はそれぞれのメムバーたちの闘いを止 めようとするのだが、勢いの付いた彼らを止めることはでき なかった。果たしてスーパー戦隊の歴史はこれで終ってしま うのか? とまあ、お話自体はお子様向けの至って他愛もないものなの だが…。大体、明日の決戦で死んでしまうアカニンジャーの 息子って完璧なタイムパラドックスじゃんと思って観ている と、これが実に巧みにパラドックスを解消してくれる。 しかもそれが大人の目からすると、え、それって良いの? と思うような展開だし、さらにそれが番組編成の形態を巧み に突いているもので、これには思わずニヤリとしてしまった ところだ。 正直、こんなことは子供向けなら適当に誤魔化せばいいだろ うと思える内容だが、その辺をしっかりと辻褄合わせをして いることに感心した。その他にも途中のシーンもしっかりと 押さえられているし、これは見事な作品だ。 恐らくお子様の目も肥えてきて、生半可だと突っ込まれてし まうのかもしれないが、こういう目を持った子供が増えてく れば、SFの将来も少しは明るくなるのかなと期待もしてし まったところだ。 出演は、ジュウオウジャーの中尾暢樹、柳美稀、南羽翔平、 渡邉剣、立石晴香、國島直希と寺島進。またニンニンジャー の西川俊介、松本岳、中村嘉惟人、矢野優花、山谷花純、多 和田秀弥と矢柴俊博。それに石川樹。 脚本は、2016年7月31日題名紹介『動物戦隊ジュウオウジャ ードキドキサーカスパニック!』などの香村純子、監督は、 2014年『烈車戦隊トッキュウジャーTHE MOVIE ギャラクシー ラインSOS』などの竹本昇が担当した。 なお本作では、次期41代目スーパー戦隊キュウレンジャーの お披露目もあり、またスーパー戦隊40周年記念ということで 過去のメムバーも勢ぞろいして、そこでは嶋大輔が声の出演 をしている。 公開は1月14日より、全国ロードショウとなる。
この週は他に 『ラビング 愛という名前のふたり』“Loving” (2016年11月紹介『ニュートン・ナイト』でも触れられてい た異人種間の結婚を禁止する法律を巡る実話の映画化。舞台 はアメリカ東部のヴァージニア州。そこで暮らす白人の男性 が黒人の女性と結婚したという理由だけで逮捕される。結婚 という犯罪。その判決は当然有罪。ただし執行猶予が付くが その期間は25年間。その間は法律の及ぶ州内からの退去が命 じられ、その後も一緒に戻ることは禁じられる。つまり彼ら は永久に故郷を追われることになる。正に差別国家アメリカ の暗黒史というべき作品だが、最後は連邦最高裁で争われた この裁判の結審が1967年だというのだから…。日本人もその 対象者だということも心に留めて観て欲しい作品だ。公開は 3月、全国ロードショウが予定されている。) 『マリアンヌ』“Allied” (ロバート・ゼメキス監督、ブラッド・ピットとマリオン・ コティヤールの共演で、第2次世界大戦ヨーロッパ戦線での スパイの活動を描いた作品。始まりはカサブランカ。そこで カナダ(ケベック)人の男とフランス人の女は初対面であり ながら長年連れ添った夫婦を装い、連携して危険な任務を遂 行する。ところがその装いは本気の恋心に発展して戦時下の イギリスで結婚。しかしそんな2人には過酷な運命が待ち受 けていた。脚本は2002年『堕天使のパスポート』でオスカー 候補になったスティーヴン・ナイト。脚本には第2次大戦中 のフランスの微妙な立場などが反映され、これはあり得ると 思わせる物語が展開されている。公開は2月10日より、全国 ロードショウ。) 『サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ』 “Sacromonte: los sabios de la tribu” (スペイン・アンダルシア地方・グラナダ県サクロモンテ地 区。そこは各地で迫害を受けたロマの人たちが集まり、やが てそれがイスラム文化と融合してロマの文化が花開いた場所 だった。しかし1963年に水害が襲い、住民は全てを失い、住 む場所も無くなってしまう。そんなサクロモンテの丘に入り 込み、現代のロマの人々の生活ぶりを記録したドキュメンタ リー。とは言っても被写体はロマ=ジプシー。集まった人々 はフラメンコを歌い、踊り、そこにインタヴューが挿入され るが…。歌と踊りが観客を魅了して正直に言って途中からは 暮らしぶりより、その饗宴に目を奪われてしまった。公開は 2月18日より、有楽町スバル座、アップリンク渋谷他にて、 全国順次ロードショウ。) を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
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