井口健二のOn the Production
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2016年03月27日(日) 手をつないでかえろうよ シャングリラの向こうで、シリア・モナムール

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『手をつないでかえろうよ シャングリラの向こうで』
昨年5月に急逝した2006年6月紹介『THE WINDS OF GOD』な
どの今井雅之が、その前作を踏まえて創作したという今井の
遺作となった作品。
主人公は軽度の知的障害を持つ男性。彼は車を運転している
が、その運転は高速道路には乗らずUターンもしないという
慎重なものだ。そんな彼の車に女性が援助を求める。
その女性はある目的から伊勢神宮を目指していた。そして本
来なら数時間で着くその道のりが、彼の運転では2日掛ると
告げられる。しかしそれでも良いと彼女は乗車する。
こうして2人の旅が始まるが、その行程では天の橋立に立ち
寄るなど、いろいろな出来事が繋がって行く。それに並行し
て順調ではなかった男性の人生が描かれて行く。

主演は、今井の舞台仲間だったという川平慈英。共演に俳優
石田純一の長女のすみれと、2015年河崎実監督の『アウター
マン』でスクリーンデビューした七海。
また2016年1月紹介『珍遊記』などの板尾創路、2014年9月
紹介『風邪』などの勝矢、2014年1月紹介『魔女の宅急便』
などのLiLiCoらが脇を固めている。
さらに吉田敦、藤田朋子、別所哲也らがゲスト出演。監督は
今井の盟友であり『THE WINDS OF GOD』の1995年オリジナル
版を手掛けた奈良橋陽子が担当した。
2006年6月紹介の『THE WINDS OF GOD』はその紹介文を読ん
で貰えば判るように評価に戸惑った作品だ。それは今井が元
自衛官という経歴もあって、判断ができなかった。
しかしその作品でも、主人公の1人が軽度の知的障害という
設定だったようで、その辺に今井の思うところはあったよう
だ。そして本作は正にそこを描いている。
そこには障害や人種などの差別に対する思いがあって、さら
にそこから派生する争いや闘いへの思いが今井の創作意欲で
あったのかもしれない。
ただそこに『THE WINDS OF GOD』では軍隊を登場させ、本作
でもヤクザ=暴力団を登場させてしまう辺りが、僕にはどう
しても距離を置いてしまうところではある。
とは言え本作では川平の演じる知的障害者の存在が大きく、
それは『THE WINDS OF GOD』とは比べるもなく明確に今井の
思いを伝えている。
それが副題の「シャングリラ」という言葉にも集約されてい
るのだろう。

公開は5月28日より、東京はお台場シネマメディアージュ他
で、全国順次ロードショウとなる。

『シリア・モナムール』“ماء الفضّة”
シリア出身で、過去にはドラマ作品による映画祭での受賞歴
なども持ち、現在はパリに在住の映画監督オサーマ・モハン
メドが、祖国から発信されるYouTubeやFacebookなどの映像
を基に描いたドキュメンタリー作品。
以前に発表した作品により祖国を追われ、亡命生活を余儀な
くされている監督は、2011年から続くシリアの内戦に対して
も、焦燥感と無力感の中でネットにアップロードされる映像
などを収集することしかできなかった。
その日々の中で彼は、祖国のシネマクラブで知り合った若者
のことを思い出す。『ヒロシマ・モナムール』について語り
合ったその若者も、志の道の半ばで戦乱に巻き込まれ尊い命
を落としたのだ。
そんな監督が戦乱の街ホムスに暮らすクルド人の女性シマブ
からのメッセージを受け取る。そして映像の撮り方も知らな
かったシマブはパリにいるオサーマの耳や目となり、シリア
の現実をカメラに収めて行くことになる。
本作の主な舞台となるホムスは、2015年7月紹介『それでも
僕は帰る/シリア/若者たちが求め続けたふるさと』でも描
かれており、その状況などは先に理解していた。とは言えそ
の過酷な状況は、ホムスだけに限られたものではない。
そんなアラブの国の現状が痛切に感じられる作品になってい
る。しかし一方で本作は、それらが極めて誌的とも呼べる構
成で綴られたもので、その落差のような感覚が僕にはある種
の驚きでもあった。
それは写し出される映像の激しさ、過酷さなど言葉に尽くせ
ない衝撃ともあいまったもので、それが誌的な構成との落差
によってより大きく表現されている。この不思議な感覚が本
作の価値と言える。
そしてそれが世界に向けて見事に発信されている。
それにしてもこの極限状態の中で、予想以上に多くの子供た
ちが暮らしているという事実にも驚かされた。そこには小学
校まで存在する。『それでも僕は帰る』のときにはそれなり
に若者の心情は理解できたのだが…。
因に『ヒロシマ・モナムール』は1959年アラン・レネ監督の
『二十四時間の情事』のこと。SF映画ファン的にはタイム
トラヴェルの要素もあるとされる作品だが、本作にはレネへ
のオマージュも感じられた。

公開は6月より、東京は渋谷シアター・イメージフォーラム
ほかでの全国順次ロードショウが予定されている。

この週は他に
『少女椿』
『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』
         “Batman v Superman: Dawn of Justice”
『セトウツミ』
『オオカミ少女と黒王子』
『ふたりの桃源郷』
『嫌な女』
『ノック・ノック』“Knock Knock”
『サブイボマスク』
『カルテル・ランド』“Cartel Land”
『スティーヴ・マックィーンその男とル・マン』
         “Steve McQueen: The Man & Le Mans”
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2016年03月20日(日) フィフス・ウェイブ、テラフォーマーズ、デッドプール、シチズンフォー スノーデンの暴露

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『フィフス・ウェイブ』“The 5th Wave”
SF/ファンタシー系の映画ファンには今一番愛されている
女優と言えるクロエ・グレース・モレッツの主演で、2013年
に発表されてNYタイムスベストセラーリストに21週間掲載
されたというリック・ヤンシー原作のヤングアダルト小説を
映画化した作品。
物語の主人公は、学内アメフト部の男子に密かな恋心を抱き
ながらもあまり積極的ではない女子高生。そんな普通の若者
の生活がある日一変する。それは巨大な飛行物体の襲来で、
やがてその物体が発する第1波の攻撃は、地上の電子機器を
停止させるものだった。
その攻撃に為す術もない人類を、津波など天変地異の第2波
の攻撃が襲う。そしてさらに第3波は未知ウィルスの感染。
第4波は異星人による侵攻で人類の99%は死亡してしまう。
こうして避難キャンプに逃れたごく少数に人々にようやく軍
の救援が辿り着くが、そこでも大人たちの多くが死亡。
斯くして侵略者への反攻は、残された子供たちに託すしか無
くなり、選ばれた子供たちはその期待に応えようと軍事教練
に励むことになるが…。果たして侵略者が繰り出す第5波の
攻撃とは? その攻撃を前に、主人公らの技量が試されるこ
とになる。

共演は、2015年『ジュラシックワールド』などのニック・ロ
ビンスン、今年公開のハリウッド版『ザ・リング』の続編に
も出演のアレックス・ロウ、2015年12月紹介『IT FOLLOWS』
などのマイカ・モンローと、本作映画デビューのザッカリー
・アーサー。
他に、2010年10月紹介『ウッドストックがやってくる!』な
どのリーヴ・シュライバー、2012年4月紹介『ミッシングI
D』などのマリア・ベッロらが脇を固めている。監督はイギ
リス出身で、本作がハリウッドデビューのJ・ブレイクスン
が担当した。
正直に言って、いたいけない子供が機関銃を構えている姿な
どは、それがドラマの映画であってもあまり観たくないもの
だ。実際に2009年3月紹介『ジョニー・マッド・ドッグ』の
ような作品を観てきていると、軽々にそれを描いてはいけな
いようにも考えてしまう。
とは言うものの本作では、青少年が武器を持つ経緯などはそ
れなりに考えられているようで、特にその背景にある部分が
納得できるようには作られていた。それが作品製作の意図で
あるかどうかは判らないが、それなりに穿った考え方は出来
るものだ。
その他の天変地異などのVFXも最近のハリウッド映画では
当然のように見事に描かれている。因に原作はすでに3部作
が発表されているもので、この後には“The Infinite Sea”
“The Last Star”という物語が続くことになるようだ。

公開は4月23日より、全国一斉ロードショウとなる。

『テラフォーマーズ』
貴家悠原作、橘賢一作画で2011年にスタートし、2013年版の
人気投票で1位を獲得したというコミックスを、2013年8月
紹介『ゲキ×シネ:シレンとラギ』などの中島かずき脚本、
2011年7月紹介『一命』などの三池崇史監督で映画化。
発端は21世紀の中葉、人口増加に歯止めのかからない人類は
火星の地球化(テラフォーミング)を行うべく地衣類とゴキ
ブリを送り込む。それから500年、火星のテラフォーミング
を見極めるべく15人の日本人が送り込まれることになる。と
ころがその隊員は何故か一癖ある者ばかりだった。
それでも何とか火星に辿り着いた彼らだったが、そこで彼ら
が遭遇したのは人間並みに巨大化し知能を持ったゴキブリ。
斯くしてテラフォーマーズと呼ばれる巨大ゴキブリとの壮絶
な戦いは始まる。しかも送り込まれた隊員たちには、戦いに
向かうある特殊な能力が持たされていた。
巨大化して知能を持つといってもゴキブリはゴキブリ、当然
駆除の対象と考えられている訳で、その戦いには容赦の欠片
もない。兎に角、蹴散らして蹴散らしてという、その手の描
写が好きな人には格好の展開となるものだが、あに図らんや
ゴキブリ側も人間以上の戦闘力を持っていた。

出演は、伊藤英明、武井咲、山下智久、山田孝之、小栗旬。
さらにケイン・コスギ、菊地凛子、加藤雅也、小池栄子、篠
田麻里子、滝藤賢一、太田莉菜、福島リラ、渋川清彦。現状
の日本映画界ではかなりマニアックと言える顔触れが揃えら
れている。
実は本作は先々週にも試写を観たが、その際は物語に矛盾を
感じ紹介を手控えた。ところが同様の感じは公開中の『僕だ
けがいない街』でもあったもので、ふと自分に誤解があった
かもという疑念が生じた。それで先の作品に関しては手遅れ
だったが、本作では再度試写を観せて貰ったものだ。
でまあ矛盾の何点かには台詞などで一応の説明があったが、
ある1点に関してはSFファンとしてやはり疑問が残るもの
だった。それはテラフォーマーがコミュニケーションシステ
ムを持っていることで、ここでタイムラグの問題は仕方ない
として、何故ここにあるのかの説明がない。
それは本作は大長編の端緒ということで、追々その説明はあ
るのかもしれないが、これを渡せる状況があった上での本作
の任務の意味とは何なのか、その疑問は解消できなかった。
この疑問が解消される続編が作られることを期待するもので
はあるのだが。

公開は4月29日より、全国一斉ロードショウとなる。

『デッドプール』“Deadpool”
2010年『ピープル』誌が選ぶ「最もセクシーな男」にも選ば
れた俳優ライアン・レイノルズが、アメコミ史上で最もいい
加減と言われるキャラクターに扮したマーヴェルコミックス
映画化作品。
主人公は元特殊部隊の隊員だが、酒や娼婦との放蕩暮らしの
果てにガンの余命宣告を受けてしまう。ところが、とある男
の誘いで死んで元々の人体実験に参加。そして過酷な試練の
末に驚異的な治癒能力と不死の肉体を手に入れてしまう。
斯くして元特殊部隊員の戦闘能力も活かしたヒーローの誕生
となるが、根っからのいい加減な性格は変わらず、アヴェン
ジャーズからの誘いも断って、独立独行のアンチヒーローの
道を歩み出す。
とは言え悪い奴には対抗する正義感は持ち合わせているよう
で、まずは彼の肉体を生み出し、自らも驚異的な肉体を得た
武器商人との闘いが開幕する。その闘いにはアヴェンジャー
ズからの支援も加わるが…。

共演は、2015年3月紹介TVシリーズ『GOTHAM』にも出演中
のモリーナ・バッカリン、2015年の『トランスポーター/イ
グニション』でジェイスン・ステイサムの跡を継いで2代目
運び屋を襲名のエド・スクレイン。
さらに2013年5月紹介『ワイルド・スピード/ユーロ・ミッ
ション』などのジーナ・カラーノ、2014年7月紹介『トラン
スフォーマー/ロストエイジ』などのT・J・ミラーらが脇
を固めている。
脚本は、2010年5月紹介『ゾンビランド』や2013年4月紹介
『G.I.ジョー バック2リベンジ』などのレット・リーズ
とポール・ワーニック。監督は2011年4月紹介『スコット・
ピルグリムvs.邪悪な元カレ軍団』などのVFXを手掛け、
本作で長編映画デビューのティム・ミラーが担当した。
主演のレイノルズは2011年7月紹介『グリーン・ランタン』
でもアメコミヒーローに扮したが、実は2009年公開の『ウル
ヴァリン:X-MEN ZERO』では先にデッドプールに扮している
など、かなり思入れはありそうだ。
それでまあこの2人のヒーローの役作りと言うか作品の乗り
はよく似たものになっている。ただし、比較的真面目な性格
だった前作に対して本作は、アメコミ史上最もいい加減とい
うことで、その乗りは本作の方が合っているのかな?
しかも映画中では一部のシーンにぼかしが入るなど、アメリ
カではR指定になったという作品でかなり強烈なもの。その
調子は日本では眉を顰める人も出そうな感じだ。でもそれな
りに楽しめる作品にはなっている。
因に『グリーン・ランタン』はDCコミックスの映画化で、
本作はマーヴェルコミックスが原作のもの。最終的にはアベ
ンジャーズに組み込まれるのかな?

公開は6月1日より、全国一斉ロードショウとなる。

『シチズンフォー スノーデンの暴露』“Citizenfour”
アメリカ中央情報局 (CIA)及び国家安全保障局 (NSA)による
個人情報収集の手口を、元局員のエドワード・ジョセフ・ス
ノーデンが2013年6月に香港で告発した。その事件の全貌を
発端から全て記録したドキュメンタリー。
始まりは本作のインタヴュアーであり監督のローラ・ポイト
ラスに届いた1通のメール。そこにはシチズンフォーと名の
る人物からのCIAとNSAが密かに個人の通信データを収集・監
視していると言う驚愕の告発がなされていた。
ポイトラスは本作以前にもイラン戦争やグアンタナモ基地に
関するドキュメンタリーを発表しており、その姿勢からシチ
ズンフォーの指名を受けたことは明らかだった。そして監督
は旧知のジャーナリストと共に香港に向かう。
そこで待っていたのは、当時29歳の元CIA職員のエドワード
・スノーデン。彼はアメリカ政府機関の違法な行為を告発す
ることを表明し、その一部始終を記録することを求める。し
かも彼は実名を明かすというのだ。
こうしてアメリカ政府の妨害や、自身や家族への危険も予想
される中、イギリスのガーディアン、ワシントンポスト及び
サウスチャイナ・モーニング・ポストへの告発記事の掲載準
備が進められる。
という事件の顛末が綴られて行くが、観ての感想は一言「震
撼」の言葉以外に浮かばなかった。正直に言って世間の動き
には滅法疎くて、この事件についてもスノーデンという名前
に聞き覚えがあった程度。
しかし今回はその事件の全貌を観ることになって、その事態
の大きさに改めて驚かされたのだ。それにしても日本でこの
事件はこんなに大きく扱われたのかな。確かにこれは日本の
出来事ではないのだけれど…。
そう言えば重信房子の捕縛のときには通信の傍受が手柄のよ
うに報道されたが、同時にそれは国民の通信の秘密が侵害さ
れていたのだよね。それが司法の管理下で行われたのかどう
か、明白にはされなかったように感じる。
いずれにしても通信データは信書と同じでその秘密は守られ
るべきもので、それが侵害されていることの問題はもっと真
剣に論議されるべきものだが、この作品の公開でその辺の論
議は活発になるのだろうか?

公開は6月より、東京はシアター・イメージフォーラムほか
で全国順次ロードショーとなる。
なお同じ題材では、2009年4月紹介『ブッシュ』などのオリ
ヴァ・ストーン監督が“Snowden”というドラマ作品をすで
に完成させているが、諸般の事情でアメリカ公開が9月16日
に設定されたという情報もあるようだ。


この週は他に
『映画プリキュア・オールスターズ
             みんなで歌う♪奇跡の魔法!』
『鏡は嘘をつかない』“Laut bercermin”
『エンド・オブ・キングダム』“London Has Fallen”
『好きにならずにいられない』“Fúsi”
『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』
                 “A Royal Night Out”
『神様メール』“Le tout nouveau testament”
『或る終焉』“Chronic”
『白鳥麗子でございます THE MOVIE』
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2016年03月13日(日) LISTEN リッスン、関西ジャニーズJr.の目指せ♪ドリームステージ!、若葉のころ

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『LISTEN リッスン』
2人の聾者の監督が共同で作り上げた58分間無音の作品。
試写会場の入り口で耳栓を渡されて「一緒に音のない世界を
体験してくれ」と言われた。しかし僕は以前から何度か耳の
炎症を患ったことがあり、耳栓の装着には抵抗があって使用
しなかった。従って以下の文章でこの作品を正しく評価でき
ているかどうかは判らないところだ。
とは言え、作品に音がないことは画面を観ていれば判るもの
だし、逆に無音であることの感覚は実際の聾者の感覚とは違
うようにも思える。もちろん音の無い世界を体感して貰うこ
とは重要なことではあるが…。そんな観点から感想を述べさ
せて貰うことにする。
監督の1人は舞踊家とのことで、作品中ではダンスを中心と
した聾者の方たちのパフォーマンスが描かれる。それはソロ
もあるが群舞もありで、それらが音楽無しで演じられている
のは不思議な感じだ。特に群舞で揃った踊りを見せられると
いうのは見事だった。
ただし、実は河原で踊っているシーンで、背景の鉄橋に電車
の通過する光景が映っている。ここで僕には電車の音が聞こ
えてきてしまう感覚があった。それは聾者の監督には無視さ
れてしまう光景だったのかもしれないが、僕にはその光景に
音が付いてしまったのだ。
そこで僕は、逆に作品に音が付けられていて、その音が断続
されていたら、かえって無音であることの現実味が増したの
ではないか、そんな感覚も持ってしまったものだ。もちろん
それをすることは監督たちの意図とは異なるものになるし、
僕の勝手な妄想であるのだが。
聾者を描いた作品では、2010年5月に『アイ・コンタクト』
を紹介しているが、聾者の女子サッカー日本代表チームを取
材したこの作品では、サッカーでは普段からよく使われてい
る題名の言葉が、より深い意味で使われていることに衝撃を
受けた。
つまり普段から言われていることが、聾者の人たちにはより
先鋭的に要求される。もちろんアイ・コンタクトは僕らでも
なかなか難しいことではあるが、障害を持つ人にはより強く
それが要求される。そんなところに障害者に対する理解を深
めることができた気がしたものだ。
本作では他にも、聾者に対する音楽教育の矛盾なども訴えら
れており、いろいろ考えさせられる作品だった。

公開は5月14日より、東京は渋谷アップリンクほかで、全国
順次上映となる。

『関西ジャニーズJr.の目指せ♪ドリームステージ!』
2013年『関西ジャニーズJr.の京都太秦行進曲!』、2014年
『忍ジャニ参上!未来への戦い』に続く、ジャニーズ事務所
所属の関西系メンバーが主演する青春ドラマ映画の第3弾。
実は第1弾では試写状が貰えなくて、第2弾は試写は観たが
紹介はしなかった。そして本作ということになるものだが、
内容はストレートな青春ドラマと言えるかな? アイドルを
目指す若者たちが、グループの存続を願って奮闘するという
お話だ。
物語の中心は、地元振興を目的に結成された小姓ズという名
のアイドルグループ。ところが自治体の予算が打ち切られ、
グループの存続も風前の灯火となる。しかしそこから彼らの
奮闘で盛り返すというもの。そしてその舞台は京都太秦とい
うことで観光名所でのロケも含めた構成となっている。

出演は、NHK朝ドラ『あさが来た』などの西畑大悟、前2
作にも出ていた向井康二、前作に続いての大西流星、映画は
初の赤名竜乃助と、第1作以来となるリーダー格の浜中文一
が小姓ズのメムバー。
他に室龍太、大橋和也、藤原丈一郎、草間リチャード敬太ら
の関西ジャニーズJr.のメムバーと、元関西ジャニーズJr.の
中山優馬。さらに芸人の兵頭大樹、元タカラジェンヌの野々
すみ花、本田博太郎らが脇を固めている。
監督は、NHK−BS時代劇『妻は、くノ一』などを手掛け
る服部大二が担当した。
まあ、若手タレントが大量出演する他愛もない定番の青春ド
ラマではあるけれど、それなりにサブストーリーなども敷い
て、観られないこともない作品には仕上げられている。それ
に終盤には関西ジャニーズJr.の総出演によるレヴューなど
もあって、ファンには絶好の作品というところだろう。
それに上にも書いたように、京都の観光スポットも楽しめる
作品にもなっているものだが、ここで僕的にはちょっと思い
入れのある場所が登場して嬉しくなった。それは主人公たち
が最後のコンサートを開く場所で、実はここは以前に訪れた
ことがあるのだ。
と言うのも、ここには昭和初期に設置された公衆ラジオ設備
のラジオ塔が現存していて、以前にそれを観に行ったのだ。
しかもそれが本作の中にも写されている。それは主人公たち
が登場の準備をしているときの背景になっているものだが、
これには懐かしさも一杯になった。

まあ映画の中で説明等は一切ないけれど、そんな歴史的なも
のが写されているということでも紹介しておきたいものだ。
公開は4月16日より、全国一斉ロードショウとなる。

『若葉のころ』“5月一号 First of May”
1971年の映画『小さな恋のメロディー』のサウンドトラック
でも著名なザ・ビージーズの楽曲をモティーフに、1982年と
2013年、それぞれの時代に暮らす17歳の多感な少女の姿を描
いた台湾映画。
現代の台北に住む女子高生のバイは、離婚した母親に許で楽
しい学園生活を満喫していた。ところが思いを寄せる男子が
親友の女子と親密に話している姿を目撃し落ち込む。しかも
その直後に母親が事故で意識不明の状態となる。
1982年の女子高生ワンは、校内英語コンテストで男子のリン
と競い互いを意識するようになる。そのコンテストではワン
が1位に輝くが、さらに英語の教師からはザ・ビージーズの
歌詞を翻訳するという課題が与えられる。
そしてリンは、その課題をワンへの思いを伝えるチャンスに
しようとするが…。その後に起きた出来事が2人の仲を遠く
引き裂いてしまう。
一方、現代のバイは、偶然に母親のパソコンに残されていた
未送信のメールを発見。そこには今の自分と同じ17歳だった
母親の初恋の男子に向けた思いが綴られていた。そしてバイ
は、母親に代わってそのメールを送信する。

出演は、台湾版『美男子<イケメン>ですね』の主演で本格
女優デビューしたというルゥルゥ・チェン、2012年12月紹介
『奪命金』などのリッチー・レン、それにモデル出身で英国
の男性雑誌FHNで「アジアで最もセクシーな女優」に選出
されたこともあるアリッサ・チア。
原案と監督は、ミュージック・ヴィデオの監督として2009年
に大賞に輝いたこともあるジョウ・グータイ。本作は1964年
生まれの監督が10数年温めてきた原案を、満を持して制作し
た劇場映画の第1作となっている。
映画は上述した2つの物語を巧みに錯綜させたもので、並行
して描かれる2つの物語が、最後にピタリと1つの物語に嵌
る快感は、正に映画の醍醐味という感じになっている。そし
てその2つの物語が重なり合う瞬間は、これは出色の出来栄
えだった。
実は映画を観る前にはできるだけ情報を入れないようにして
いるが、今回は恐らく宣伝では大々的に紹介されるであろう
情報を、試写の段階では持たずに映画を観ることができた。
その状況で観ていると、正にその瞬間は自分の目を疑ったも
ので、それは本当に素敵な作品だった。
それを実現した監督と女優には拍手を贈りたい気持ちだ。

公開は5月28日より、東京はシネマート新宿、大阪はシネマ
ート心斎橋ほかで、全国順次ロードショウとなる。

この週は他に
『台湾新電影時代』“光陰的故事−台灣新電影”
『ホース・マネー』“Cavalo Dinheiro”
『仮面ライダー1号』
『noma ノーマ、世界を変える料理』
               “Noma My Perfect Storm”
『アタック・ナンバーハーフ・デラックス』
                “สตรีเหล็ก ตบโลกแตก”
『ディストラクション・ベイビーズ』
『天使にアイム・ファイン』
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。



2016年03月06日(日) ひそひそ星、探偵ミタライの事件簿−星籠の海−、スクール・オブ・ナーシング、ズートピア

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ひそひそ星』
2002年2月紹介『自殺サークル』などの園子温製作・脚本・
監督によるSF作品。
物語は、人類が一度は大宇宙に進出し、その後に衰退を始め
たという時代が背景。宇宙の中で意識を持って行動する存在
の大多数は人工知能を備えたアンドロイドであり、わずかに
残った生物の人類はその庇護の許に暮らしている。
そんな時代に宇宙船を駆って行動している主人公は、もちろ
ん人間ではないアンドロイド。そして女性型アンドロイドの
主人公が行っているのは、依頼された品物を宇宙の各所に暮
らす人類に届ける宅配便の仕事だ。
しかし中古の宇宙船は操縦システムが不調らしく、時々訳の
判らない理由で進路の変更を要求してきたりする。それでも
何とか仕事を全うしようとする主人公だが、運んでいる荷物
の数はなかなか減らなかった。
こうして“彼女”は様々な星を訪ね歩き、いろいろな環境で
暮らす滅びゆく人類の最期を見聞して行く。

主演は、監督夫人であり本作の製作も務める2008年11月紹介
『プライド』などの神楽坂恵。他に、ミュージシャンの遠藤
賢司、子役の池田優斗、老人役の森康子。さらに福島県双葉
郡浪江町、富岡町、南相馬市の人たちが出演している。
映画のかなりの部分が双葉郡の避難地域で撮影されていて、
その惨状を写した映像は、ある種ドキュメンタリーのような
ものにもなっている。実は同時公開される監督自身を描いた
ドキュメンタリー『園子温という生きもの』も観せて貰った
が、監督自身にもその意識は高いようだ。
そんな意味合いも込められた作品だが、SF映画としては、
『2001年宇宙の旅』や『ソラリス』に通じるかな? 静謐な
中で淡々と物語が進んで行くタイプの作品だ。そして全体で
は人類の行く末が傍観者の目で語られて行く。
それはある種のディストピアの様相も持つけれど、それでも
静かに余生を送っているような感じもするものだ。ただそれ
が避難地域の実景を背景として描かれると、それには遣る瀬
無さも倍加してしまう。そこはSFではないものだ。
まあいろいろ評価は分かれてしまう作品だとは思うが、SF
的なオマージュはいろいろ感じられたし、SF映画としては
それなりに観るべきものは感じられる。それが監督の前作の
『ラブ&ピース』と違った趣なのにはほっとした面もある。
造形などには監督の拘りもあるような感じもして、それはそ
れで面白くも観られた作品だ。

公開は5月14日より、東京は新宿シネマカリテ他にて、全国
ロードショウとなる。

『探偵ミタライの事件簿−星籠の海−』
ミステリー作家の島田荘司が1981年デビュー作で誕生させた
探偵御手洗潔シリーズの最新刊で、2013年に刊行された小説
の映画化。
物語の始まりは山間に落ちる滝。その滝壷で若い夫婦が尋常
でない状態で杭に縛られて発見され、その脇には赤子の死体
が浮かんでいた。
一方、新たな事件への出馬のない脳科学者御手洗潔の許に、
女性編集者が怪奇な事件のファイルを持って現れる。その中
から瀬戸内海の島に連続して打ち上げられた死体の謎に興味
を示した御手洗は、早速その島を訪れるが…。
瀬戸内の複雑な海流のシミュレーションから、死体が投棄さ
れた場所を広島県福山市と割り出した御手洗は、県警の刑事
との連携の許、その謎の解明に乗り出す。そして飲み屋で聞
いた漁師の言葉にも興味を持つ。
これらの情報の断片が御手洗の頭脳の中で組み合わされ、壮
大な事件を解明へと導いて行く。

主演は、昨年放送されたテレビドラマでも御手洗に扮し、原
作者の指名だという玉木宏。共演は、2012年5月紹介『スー
プ〜生まれ変わりの物語〜』などの広瀬アリス。他に、石田
ひかり、小倉久寛、要潤、谷村美月、吉田栄作らが脇を固め
ている。
脚本は、2008年10月紹介『青い鳥』などの監督でもある中西
健二と、2006年8月紹介『地下鉄(メトロ)に乗って』など
の長谷川康夫。監督はテレビ『相棒』シリーズのメイン監督
を務める和泉聖治が担当した。
原作の相棒役は石岡という作家のようだが、テレビでは堂本
光一が演じたキャラクターは本作では名前だけで、代わりに
映画版オリジナルの女性キャラクターが登場している。それ
が原作のファンにどう映るかは判らないが、広瀬のちょっと
コメディリリーフ的な役柄はそれなりに良かったと思える。
ただ物語全体のちょっと強引な展開は、映画用にアブリッジ
したために顕著化してしまったとも思えるが、まあ、あれよ
あれよという感じでもあった。でもそれが原作の持ち味で、
読者が認めるならそれで良いのだが。
いずれにしても、歴史に纏わる壮大な謎解きや星籠のVFX
も、物語全体としてのバランスの中で気持ちよく収まってお
り、エンターテインメントの映画作品としては満足できるも
のだ。
とは言うものの、映画ファンとしては結論として明かされる
星籠の秘密には、1970年のビリー・ワイルダー監督作品も思
い出してしまうもので、トリックの流用を嫌う原作者がそれ
を知らなかったのかどうか。その点はちょっと気になったと
ころだ。

公開は6月4日より、全国ロードショウとなる。

『スクール・オブ・ナーシング』
熊本県人吉市を舞台に、様々な理由で看護師を目指す4人の
男女が初めての病院で実習を通じて成長して行く姿と、患者
との交流を描いた作品。
主人公は幼い頃に母親を亡くし、その母親が闘病した病院で
看護師を志すようになった若い女性。彼女は看護師養成機関
で勉強を続けていた。そして彼女の周囲には、地球防衛軍の
夢を諦めて看護師を目指す若者や、30代半ばでリストラされ
た男性、シングルマザーの女性などもいた。
そんな男女が学内での勉学の期間を終えて病院での実習の時
を迎える。ところが主人公は、初日から担当するはずだった
患者が急死し、予定を変更して担当することになったのは、
余命を宣告されながらも毅然とした態度で最後の日を迎えよ
うとしている男性だった。
その他の3人が担当するのは、それぞれ女好きの僧侶や、男
を手玉に取るやり手の女経営者、さらに死期の迫った女性と
長年連れ添いながらも胸の内を語れなかったその夫。そんな
様々な人生が病室の内外を通じて語られ、看護師たちはそれ
に寄り添って行くことになる。

主演は、2015年に女優デビューして本作が2作目という霧島
ココ。他に、2016年2月紹介『ドロメ』などの大和田健介、
2009年9月紹介『ASSAULT GIRLS』などの佐伯日菜子、TV
俳優の木村知幸。さらに愛華みれ、榎木孝明、吹石一恵らが
脇を固めている。
監督は、1964年生まれでフリーランスの助監督を長年務め、
本作が事実上のデビュー作となる足立内仁章。脚本は、主に
テレビ、舞台で活動してきた児島秀樹。また製作は、2007年
『ALWAYS 続・三丁目の夕日』などを担当した山際新平と、
元々の企画者である山崎歩となっている。
因に本作は山崎の第1作となるものだが、本作の原案は山崎
の母親が著したもので、長年看護教育の現場にいる人だから
こその物語が展開される。ただし看護教育の現場は、現在は
厚労省管轄の養成機関と、文科省管轄の看護大学の間で揺れ
ているのだそうで、今回の試写後に行われたQ&Aではその
点も紹介されていた。
とは言え、映画の中では特に佐伯日菜子の介護の手際が見事
で、それは山崎の母親が撮影現場にも立ち会って指導したも
のだそうだが、これは本当に納得できる「演技」だった。
それと監督の演出では、クライマックスの港のシーンは正に
出色と言える。特に映像との絡み合いが素晴らしかった。

公開は撮影地元の熊本ではすでに先行上映が行われたものだ
が、東京は3月19日より池袋シネマロサ他で、全国順次ロー
ドショウとなる。
なお先行上映のアンケートでは、多くの子供たちから「将来
看護師になりたい」という回答が寄せられたそうで、それこ
そが本作の狙いとするところ。できるだけ多くの子供たちに
観て貰いたい作品だ。

『ズートピア』“Zootopia”
3月12日封切りの『アーロと少年』に続いて日本公開される
ディズニー・アニメーションの最新作。
物語の背景は、肉食獣と草食獣が仲良く暮らしている動物た
ちの理想郷ズートピア。そして主人公は、その世界で最高の
警察官を目指すウサギのジュディ。とは言うもののウサギの
生業はニンジン栽培の農業で、そこから警察官になるなんて
夢のまた夢だった。
しかしジュディは大型動物に混ざって警察学校を優秀な成績
で卒業、遂に夢を実現する。しかもライオン市長の計らいで
首都の警察署に勤務することに。ところが勇んでやってきた
警察署は大型動物が幅を利かせ、ジュディに与えられた仕事
は駐車違反の切符切りだった。
それでもめげずに職務を続けるジュディ。その頃ズートピア
では肉食獣ばかりの行方不明事件が相次いでおり、その中で
カワウソ一家の父親が行方不明になっていた。しかし警察の
手が回らないと見るや、ジュディはその捜査を進言して遂に
捜査活動に従事することになるのだが…。
それはズートピアを根底から揺るがす事件の始まりだった。

監督は、2011年1月紹介『塔の上のラプンツェル』のバイロ
ン・ハワードと、2013年2月紹介『シュガー・ラッシュ』の
リッチ・モーア。この2人を含む8人の原案から『シュガー
・ラッシュ』のフィル・ジョンストンと、2014年『ベイマッ
クス』などのジャレッド・ブッシュが脚本を手掛けている。
実は『アーロと少年』に関しては、恐竜と人類が共存してい
るという設定が納得できず、紹介を止めていた。しかし本作
を観ると、人類が登場しなかった地球を描いているようで、
これはもしかすると人類が恐竜と共に滅んだ世界なのかもし
れないと、2作品の繋がりを考えてしまった。
もちろん本作の物語は現代社会のメタファーと読めるし、差
別や格差などなどが比喩されたものだが、もし地球に人類が
いなかったら、動物たちはこんな風に進化して文明を築き、
平和な地球が誕生していたのかもしれない。そんなことも考
えてしまう作品だった。
そして本作が描き出す大小様々な動物たちが平等に暮らすた
めの社会の構造。それは極めて誇張された人間世界でもある
訳だが、それらが巧みに考えられていた。その一方で目の前
に展開される見事なズートピアの景観。これらが観ていて感
心してしまうような世界に描かれていた。
正しくファンタスティックと呼べる作品だ。因に『アーロと
少年』はピクサーの製作、本作はディズニーアニメーション
の製作となっている。

公開は4月23日より、全国一斉ロードショウとなる。

この週は他に
『ルーム』“Room”
『テラフォーマーズ』
『RADWIMPSのHESONOO Documentary Film』
『更年奇的な彼女』“我的早更女友”
『マクベス』“Macbeth”
『孤独のススメ』“Matterhorn”
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。


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井口健二