井口健二のOn the Production
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2014年07月27日(日) トランスフォーマー/ロストエイジ

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『トランスフォーマー/ロストエイジ』
“Transformers: Age of Extinction”
マイクル・ベイ監督によるシリーズ最新作。2011年7月紹介
『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』で3部作が
終了し、本作から出演者も一新して新たな展開が始まる?
物語は6500万年前の恐竜の絶滅を描くプロローグに始まり、
前作シカゴの戦いから3年後と表示される。そして本作の主
人公となるのは、田舎町で機械の回収をしながらロボットの
発明を続けている男性。
彼は男手一つで1人娘を育ててきたが、娘は父親に反発する
年頃だ。そんな父親が廃品置き場で壊れたトラックを見つけ
たことから運命が動き始める。そのトラックは前作で負傷し
た金属生命体のリーダー=オプティマスだったのだ。
一方、金属生命体がいる限り地球の平和は訪れないと判断し
たアメリカ政府は、CIAに命じて密かに金属生命体の掃討
を開始。その矛先は、今まで人類と共に戦ってきたトランス
フォーマーたちにも向けられた。
こうしてCIAに居場所の突き止められたオプティマスは、
やむなく主人公らも巻き込んで反撃を開始することになって
しまう。しかもそこには新たに人類が作り出した新世代の金
属生命体や、CIAを陰で操る存在も…。

出演は、2012年11月紹介『テッド』などのマーク・ウォール
バーグ、2013年9月紹介『パーシー・ジャクソンとオリンポ
スの神々/魔の海』などのスタンリー・トゥッチ。
他に、テレビシリーズ“Bates Motel”にレギュラー出演の
ニコラ・ペルツ、2012年12月紹介『人生、ブラボー!』のハ
リウッドリメイク“Delivery Man”に出ているというジャッ
ク・レイナーらが脇を固めている。
脚本は、第2作以降の『トランスフォーマー』シリーズや、
ハリウッドリメイク版の『ザ・リング1、2』なども手掛け
たアーレン・クルーガーが担当した。
2時間45分という上映時間は、この種のアクション映画とし
ては長い方だろう。しかし本作ではその時間を長いと感じさ
せることもなく、それはもう怒涛の展開と言える作品になっ
ている。
ただそれが3Dというのは、普段眼鏡を掛け馴れていない僕
には流石に多少きついところではあった。でも本作の3Dは
それを我慢するには充分に価値があると言えるもので、特に
試写の行われたIMAXではその効果が存分に発揮されていた。
因に本作は撮影時からIMAX3Dのカメラが使用されているも
ので、上下が切れることなくIMAXのスクリーン一杯に投影さ
れる映像は気持ち良くも感じられる。そのためエンディング
ロールの時だけ上下が切れるのもご愛嬌だ。

公開は8月8日から、3D/2D、IMAX3Dの全国一斉で行
われる。



2014年07月20日(日) 記憶探偵と鍵のかかった少女、わたしは生きていける

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『記憶探偵と鍵のかかった少女』“Mindscape”
前々回紹介『フライト・ゲーム』などのジャウマ・コレット
=セラが製作を担当し、ペドロ・アルモドバルの許で2003年
2月紹介『トーク・トゥ・ハー』などの制作に携わってきた
というホルヘ・ドラド監督によるミステリー。
主人公は他人の記憶に潜入して、過去の出来事を再体験する
能力を持つ男。その記憶には当人も気付かなかった情報が含
まれており、彼はそれを探り出すことによって数々の難事件
を解決してきていた。
ところが彼は、ある出来事から自らの記憶が潜入中の相手の
記憶に混入するようになり、そのため本来の記憶の捜査に支
障をきたしていた。そのため彼は勤務を解かれ、自宅待機に
なっていた。
そんな彼に与えられた新たな任務は、閉じ籠りの少女の記憶
に潜入してその原因を探り出すというもの。そこには事件性
は感じられず、彼の実績からすればた易そうな仕事だった。
しかしそれが彼を恐怖の体験へと導いて行く。

出演は、2012年3月紹介『ジョン・カーター』などのマーク
・ストロング、2009年9月紹介『エスター』などの女優ヴェ
ラ・ファーミガの妹のタイッサ・ファーミガ。他にブライア
ン・コックス、ノア・テイラーらが脇を固めている。
ポスターやチラシのキャッチコピーに「記憶は嘘をつく」と
あって、主人公には真実と思えたものが実は…、という展開
になるのだが、このキャッチの状況だと記憶探偵の存在自体
が曖昧になる訳で、多少問題のものだ。
それならその曖昧さの中から、さらに真実を探り出して行く
過程を描くことが必要になると思うのだが、本作ではその辺
の詰めが多少甘いかな。僕には観ていて何か釈然としないも
のが残ってしまった。
ここでは、多分主人公が囚われている自身の過去との対決が
糸口になると思うのだが…。やはり事態の解明には他人の手
は借りず、本人自身にやって欲しかったと思う。そこにこそ
本作の最大のドラマがあるはずなのだ。
ただまあ邦題からも察せられるように、本作の基本的なアイ
デアは2006年10月及び2008年10月に紹介した塚本晋也監督の
『悪夢探偵』にあると思われる。塚本作品も設定などは多少
あやふやだが、そこは上手くごまかしていた。
それに比べると本作は真正直過ぎるもので、その辺が却って
僕には引っ掛ってしまったのかも知れない。因に本作の脚本
は新人のガイ・ホームズ。彼とマーサ・ホームズという人の
アイデアに基づくとされている。

公開は9月27日から、全国ロードショウが予定されている。

『わたしは生きていける』“How I Live Now”
2004年に発表されて、ガーディアン賞などを受賞したメグ・
ローゾフの原作を、2012年1月紹介『第九軍団のワシ』など
のケヴィン・マクドナルド監督、今年5月紹介『ザ・ホスト
美しき侵略者』などのシアーシャ・ローナン主演で映画化し
た作品。
主人公は折り合いの悪い父親の許を離れて、夏休みをイギリ
スにある叔母の家にやってきたアメリカ人の少女。ところが
外交官の叔母は不在で、自然の中に建つ家には3人の従兄妹
が暮らしていた。そんな従兄妹たちに最初は反抗的だった彼
女も徐々に打ち解けるようになって行くが…。
突然何かが起き、イギリスには戒厳令が施行される。そして
彼女にはアメリカ大使館から緊急帰国命令が届けられる。し
かし従兄妹を見捨てられない彼女は帰国命令を無視。従兄妹
と共に戒厳令下の国に留まることを決意する。それは究極の
サヴァイヴァルへと彼女を引き摺り込む。

共演は、2013年3月紹介『インポッシブル』などのトム・ホ
ランド、同じくスマトラ沖地震を題材にしたBBCのテレビ
ドラマに出演したというジョージ・マッケイ、それに長編映
画は初めてのハーリー・バード。脚本は『第九軍団のワシ』
なども手掛けたジェレミー・ブロックが担当している。
全体的な雰囲気は、2013年7月紹介『レッド・ドーン』でリ
メイクされた1984年『若き勇者たち』の方に似ているかな。
派手な戦闘シーンがある訳ではないが、戦時下の兵士ではな
い若者が繰り広げるサヴァイヴァルの様子はそれなりに描か
れている感じはした。
ただし発端の事件が核攻撃とされ、さらに死の灰が降る中で
それを浴びているというのは…、日本人の感覚ではあまり簡
単に容認することはできないもの。でもそれが核に対する現
在の欧米人の感覚なのだろうな。日本の原発から金を貰って
いる連中と同じということだ。
出来たらここでもう一段、核の恐怖も訴えて欲しかったもの
だが、作品の趣旨からはそれはできなかったのかな。いずれ
にしても本作は、戦時における民間の若者のサヴァイヴァル
をそれなりにリアルに描いたもの…。という感覚で若い俳優
たちの演技を堪能したい。
それに南ウェールズ豊かな自然や、素敵な農村生活なども巧
みに描かれている作品だ。

公開は8月30日から、東京は有楽町スバル座、ヒューマント
ラストシネマ渋谷ほかでロードショウとなる。



2014年07月13日(日) Mother、ピノキオ

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
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『Mother マザー』
1995年以降、腱鞘炎の悪化で本業は休筆中という漫画家楳図
かずおがペンをメガホンに持ち替え、77歳にして自らの脚本
で初監督した映画作品。
主人公は人気漫画家の楳図かずお。つまり自叙伝とも言える
作品だが、ホラーの名手は流石にちゃんと仕掛けてきた。
お話は、人気漫画家にその生い立ちを語る企画が提案される
というもの。ところが、以前から漫画家の大ファンだという
新人女性編集者が取材を開始すると、その周囲に怪異現象が
起こり始める。
しかもそこには、最近亡くなった漫画家の実母の思いが絡ん
でいるようだ。そして舞台は漫画家の故郷奈良県の曽爾村へ
と進み…。やがて物語は恐怖に彩られ、その展開の中に楳図
作品の名場面が次々に描かれて行く。

出演は、歌舞伎役者で人気テレビドラマにも出ている片岡愛
之助、元タカラジェンヌの舞羽美海。さらに映画出演は15年
ぶりという真行寺君枝。それに楳図漫画の大ファンと語る中
川翔子がゲスト出演と主題歌も歌っている。
漫画家が実写映画の監督に挑むのは、日本では永井豪、海外
でもフランク・ミラーらの先例があるが、元々ヴィジュアル
感覚も鋭い人たちの映像作品は、それぞれしっかりした映画
を作り出している。
その中でも楳図の初監督作品は、恐怖シーンのタイミングな
ども的確で、久し振りに見事な怪談話を聞かせて貰えた感じ
がした。それもスプラッターやコケ脅かしに落とさない、純
粋なホラー作品だ。
その一方で主人公は赤白ボーダー柄の衣装を着ているなど、
抑えどころは明確。ここで一時期話題になった自宅が出てこ
ないのはちょっと残念だったかな。ただし何気なく登場する
赤白柄の小道具が実は…、と言う辺りにはニヤリとした。
楳図の幼いころのエピソード(真偽は不明だが)などもちり
ばめられ、これこそ楳図かずおの真骨頂と言えるのだろう。

公開は9月29日から。全国ロードショウが予定されている。

『ピノキオ』“Pinocchio”
8月13日から17日まで、東京調布市グリーンホールで開催の
「22ndキンダー・フィルム・フェスティバル」にて上映され
る長編作品。同じく映画祭で上映される短編2本と共に試写
が行われた。
物語はカルロ・コッローディの原作と言うよりは、1940年の
ディズニーアニメーションや、2003年2月紹介のイタリア版
実写作品に近いもので、コオロギの活躍と共にピノッキオの
大冒険が描かれる。
しかも、イタリア版ではオスカー俳優ロベルト・ベニーニが
生身で演じた主人公を本作ではCGIで表現し、その他にも
CGIによるVFXを多用して子供にも違和感のない手法で
物語が再現されている。
この辺は、正に「キンダー・フィルム・フェスティバル」に
ぴったりの作品と言えそうだ。さらに96分の上映時間は大人
の目にはちょっと駆け足だが、これもお子様向けにはこれで
充分と言えるのだろう。
因に本作はドイツのテレビ局が製作したもので、放送は2回
に分けて行われたようだ。
また試写会では、映画祭での上映と同じく声優による生吹き
替えが行われたが、これもお子様向けの企画ということでは
効果があるものだろう。ただ僕らとしては音楽や効果音が聞
こえ難くなるのは痛し痒しというところだ。

この他に試写会では、『ティンカン』“A Tin Can”という
ロシア作品と、『シザンのチョコレート』“ZIAZAN”という
トルコ作品の2本の短編も上映された。この内のロシア作品
には台詞が無かったが、トルコ作品は生吹き替えだった。
そのロシア作品はなかなか夢のある作品で面白く、またトル
コ作品はちょっと国際情勢が背景にある辺りがお子様向けに
は気になったが、基本は冒険物語だし、こういうこともある
のだという理解を子供に与えるのも良いことに思えた。
ただし、特にロシア作品で本来は丸であるはずのものが卵形
に上映されており、後でプレス資料の写真を見ると円形なの
でこれは上映ミスと思われる。多分スクイーズの映像をその
まま投影したのだろうが、この辺は確認して欲しいものだ。

なお、「22ndキンダー・フィルム・フェスティバル」では、
この他にオランダ作品の『ブラム』“Fidgety Bram”など長
編全5作品と、短編全8作品が上映される。
また10歳から18歳までの制作者を対象にしたフィルム・コン
ペティションも併催され、こちらは7月27日まで作品の募集
が行われている。



2014年07月06日(日) フライト・ゲーム、セデック・バレの真実、エアポート2014(アサフェス)

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
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『フライト・ゲーム』“Non-Stop”
2009年6月及び2012年10月紹介の『96時間』シリーズなど
で、最近はアクション俳優の感じが強くなってきたリーアム
・ニースン主演によるスカイアクション作品。
主人公は旅客機に匿名で乗り込む航空保安官。プライベート
に問題を抱えているらしい彼が、その日の任務でロンドン行
きの深夜便に乗客として搭乗する。ところが他の乗客も寝静
まった頃、彼の携帯に乗客の1人と名告るメールが届く。
しかもその携帯は任務用で、「この番号への侵入は違法だ」
と返信した主人公に相手は主人公の行動を監視していること
を示唆。さらに「1億6000万ドルを指定口座に振り込まない
と、20分ごとに1人死ぬ」と送り返してくる。
この事態に主人公は機長に最寄りの空港への着陸を要請する
が、大西洋の真ん中ではロンドンに飛ぶしかなかった。そし
て第1の殺人が意外な展開で発生する。さらに保安局に乗客
名簿のチェックを依頼した結果は全員シロ。
しかも保安局の調査で指定された口座が主人公の名義と判明
し、公安局の疑いは主人公に向けられる。こうして彼は任務
も解除され、孤立無援で姿の見えない犯人を追うことになる
が…。

共演は、2013年10月紹介『キャリー』などのジュリアン・
モーア、2011年6月紹介『モンスターズ/地球外生命体』や
2012年9月紹介『アルゴ』にも出ていたスクート・マクネイ
リー。
さらに、長編映画デビュー作の『それでも夜は明ける』でい
きなりオスカー候補になったルピタ・ニョンゴらが脇を固め
ている。
監督はスペイン出身で、2011年4月紹介のニースン主演『ア
ンノウン』や2009年9月紹介『エスター』などのハウメ・コ
ジェ=セラ、製作はヒットメーカーのジョール・シルヴァが
担当している。
映画の前半では謎解きやかなり奇抜な仕掛けなどがヴァラエ
ティ豊かに展開されているが、それが後半になると一気呵成
にアクションにシフトして行く。その転換も絶妙の作品で、
さすがスペイン出身監督の作品と言う感じもした。
また狭い機内でのアクションも、本当に技と技の掛け合いと
いう感じの振り付けで、ニースンには『96時間』シリーズ
の主人公も髣髴とさせて、正にはまり役という感じになって
いた。

公開は9月6日から、全国一斉のロードショウとなる。

『セデック・バレの真実』“餘生”
2013年2月に紹介したウェイ・ダーション監督によるドラマ
作品『セデック・バレ』の背景である1930年に台湾で起きた
抗日暴動事件を取材したドキュメンタリー。
ダーション監督の作品は、前後編の上映時間が4時間36分に
及ぶ掛け値なしの超大作で、そこで詳細に描かれた「霧社事
件」は、戦前の日本人が犯した罪として国民の全員が心に刻
み付けておくべきものと認識できた。
しかし描かれた物語の中で、特に現地人でありながら日本名
を与えられて警官となっている2人や、日本からやってきて
現地の女性と家族を持った警官の姿は、その背景などは紹介
されるものの物語の全体の中では埋もれていた。
そんなドラマ作品を観ていて気になったところが、本作では
余すところなく描かれている。勿論それは現代に取材され、
その子孫などが語っているに過ぎないものではあるが、今の
日本人からは想像もできなかった状況が明白にされる。
そして本作では、事件のその後にも言及され、日本人警官の
家族のちょっと意外な行く末や、生き残った現地の人々の数
奇な運命なども紹介される。そこにもまたドラマが存在して
いたものだ。
さらに本作では、セデック・バレの人々が暴動を起こすに至
る背景も正確に語られ、単に軍や警察の横暴だけではない、
文化の違いに根差した行き違いなども判り易く説明され、そ
の難しさなども紹介されている。
その一方で本作では、暴動の結果として元の居住地を追われ
た現地人の親子が祖先の土地を訪ねる旅も紹介され、そこで
は現地の言葉を聞き取ることはできても話すことはできなく
なっている息子たちの様子なども描かれる。
それは一時は日本語であり、その後は北京語で行われている
教育の問題もあるようで、民族文化の保護の面からも早急な
対処が必要と感じられたものだ。たとえそれが首狩りの蛮族
と言われた人々であったとしても…。
ダーション監督の『セデック・バレ』を観た人には、本作は
必ず観て欲しい作品。本作を先に観た人はその後にでもダー
ション監督の作品も観て欲しい。両方を観て初めて事件の全
容を理解できる感じがした。

公開は8月23日から、東京は新宿K'sシネマにて開催される
「台湾巨匠傑作選」の1本として上映される。
なお「台湾巨匠傑作選」ではダーション監督の『セデック・
バレ』も上映される他、ホウ・シャオシェン、エドワード・
ヤン、アン・リー監督らの作品が上映される。

『エアポート2014』“Airplane vs Volcano”
今年4月に『メガ・シャークVSメカ・シャーク』を紹介した
アメリカのジャンル系映画会社The Asylumの作品が、「アサ
フェス」と称して8本まとめて劇場公開されることになり、
その内から日本初紹介となる本作などを鑑賞した。
物語の主な舞台はハワイ諸島のとある島に向い飛行中だった
旅客機の機内。ところが目的地の島が突然大噴火を起こし、
着陸地を失った飛行機はオートパイロットによりその地点を
中心にした円周を巡ることになる。
しかも被災時に機長と副操縦士が死亡。機長が暗証をセット
したオートパイロットは解除不能。そして操縦は、今までは
6人乗りしか経験のない素人パイロットに委ねられ、火山弾
を避けながらギリギリの飛行となる。
一方、その状況は米軍のレスキュー部隊にも伝えられるが、
多くの隊員の犠牲が予測される救出作戦に司令官は島民避難
の優先を理由にして出動要請を却下。さらに地下に溜まった
エネルギーは次の大爆発で甚大な被害が予想され…
という究極の状況の中でのサヴァイヴァル劇が展開される。
しかも映像的には、そこいら中が噴火している中を飛行する
旅客機という正に地獄絵図。これがCGIで迫力満点という
か、外連味たっぷりに描かれている。
お話自体は如何にもありそうな展開で、登場人物もステレオ
タイプそのもの。しかも後半に繰り広げられるドラマは唖然
というか、「ああやっちゃた」という感じで…。でもこれが
サーヴィス満点のエンターテインメントなのだ。
先に紹介したリーアム・ニースン主演作みたいに真面目では
ないけれど、これはこれで精一杯やっている感じがする。と
にかく観客を楽しませたい、そんな作り手たちの頑張りが微
笑ましくも感じられる作品だ。

公開は8月2日から、東京は新宿シネマカリテにて開催され
る「アサフェス」の1本としてレイトショウ上映される。

「アサフェス」では、本作と上記の『メガ・シャークVSメカ
・シャーク』の他、以下の作品も上映される。
『バトル・オブ・アトランティス』“Atlantic Rim”
原題を見れば判る通りの、2013年7月紹介『パシフィック・
リム』の模倣作品。オリジナルと同じく巨大パワードスーツ
で怪獣と闘うお話だが、設定と人間ドラマがあまり融合して
おらず、パロディと呼ぶのもちょっとかな。

『ゾンビ・アルカトラズ』“Rise of the Zombies”
サンフランシスコ湾の監獄島に取り残された人々と、都市部
に蔓延するゾンビとの戦いを描いた作品。2013年9月などで
紹介の『ウォーキング・デッド』に似た展開で、お話もそこ
そこ考えられている。
マリエル・ヘミングウェイ、ダニー・
トレホらの出演者の顔ぶれも揃っていた。
『ダイナソーin L.A.』“Age of Dinosaurs”
『ジュラシック・パーク』の模倣作品。遺伝子研究で再生医
療に貢献してきた企業が、さらに恐竜の再生を試みる。しか
し功をあせった研究者が凶暴な生物の暴走を招いてしまう。
お話はまずまずという感じで、恐竜もよく動いていた。

『シャークネード』“Sharknado”
先月紹介した『イントゥ・ザ・ストーム』+『ジョーズ』と
いった感じの作品。巨大竜巻がロサンゼルスを襲い、竜巻に
吸い上げられたサメの群れが上空から人々に襲い掛かる。何
ともはやというお話だが、それなりのエンターテインメント
にはなっていた。
ヒロイン役を『アメリカン・パイ』シリー
ズのタラ・リードが演じている。
なお「アサフェス」では、この他に『スリーピング・ビュー
ティ』『バトル・オブ・バミューダトライアングル』という
新作の上映も予定されているが、これらはまだ素材が到着し
ていないとのこと。機会があったら後日紹介したいものだ。


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井口健二