| 2014年03月30日(日) |
戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版、ニューヨーク冬物語 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』 2004年頃から数多くのホラー作品を手掛けている白石晃士監 督が、2012年以降にオリジナルヴィデオで発表している怪奇 シリーズの劇場版最新作。 シリーズのコンセプトは、映像制作会社のディレクター工藤 とアシスタント市川、それにカメラマン田代の3名が、全国 から寄せられる様々な都市伝説や怪奇現象の投稿を基に、そ れらを調査し報告するというもの。 そこで彼らは、今までにも口裂け女や幽霊、河童、トイレの 花子さんなど様々な題材を取材しその真相に迫ってきた。 そんな彼らが今回取材するのは…、そこに足を踏み入れた者 は全員が発狂し行方不明になるという廃村タタリ村。しかも その村には前作でその真相に迫った『四谷怪談』の原作者・ 鶴屋南北が暮らしたこともあるという。 そして今回その村に向うのは、3名の他に浄霊師の宇龍院と 物理学者の斎藤、それにアイドルの小明。しかし電力会社に よる立入禁止の札を無視して踏み入れたその場所で、彼らは 飛んでもない出来事に遭遇することになる。 典型的なPOV形式の作品だが、同行のアイドル役にはヴァ ラエティ番組に出演したり著作も出版しているという本人が 登場するなど、それなりに気合の入った作品のようだ。でも 全体の雰囲気は安っぽさが横溢している。 とは言うものの、作品のそこここには真面目さも感じられ、 その辺でファンがいるのも頷けるかな。特に物語の後半では SF的なアイデアも盛り込まれて、それはマニアックと言え なくもない作品にはなっていた。 出演は、2007年1月紹介『さくらん』に出ていたという大迫 茂生と、2011年白石監督の『超・悪人』にも出ている久保山 智夏。この2人がレギュラー出演者。他に2004年『GODZILLA FINAL WARS』に出ていたという宇賀神明広、ヴァラエティ・ アイドルの小明らが脇を固めている。 因に白石監督は、脚本と撮影、VFXも担当している他に、 カメラマン役も演じているようだ。 POV形式のホラー作品はお手軽と思われているのか、日本 でも海外でも次々に作られている。その中で海外の作品では 学生などが主体のものが普通だが、日本では映像制作会社が 絡むという設定が目に付く。 それは撮影はプロが行うという設定になるから画像なども見 易くて結構なのだが、映像制作会社という通常はあまり知ら れていない人たちが前面に出てくるというのは、オタク文化 の日本特有のものかもしれない。 ただこの設定だと、内容も似たりよったりになってしまうも ので、投稿ヴィデオを検証に行って巻き込まれるというのは 先にも観ているものだ。そこからの発展が生み出しにくいの もこれからの問題になりそうだ。 公開は5月3日から、東京は渋谷アップリンクで行われる。 また本作の公開を記念して、シリーズ過去作も4月26日から 一挙公開になるようだ。
『ニューヨーク冬物語』“Winter's Tale” 1983年に発表されたマーク・ヘルプリン原作の長編小説を、 2002年3月紹介『ビューティフル・マインド』でオスカーを 受賞したアキヴァ・ゴールズマンが脚色し、自らの劇場映画 初監督で映画化した作品。 物語の発端は19世紀末のニューヨーク・エリス島。今年1月 に紹介した『エヴァの告白』にも描かれたアメリカ合衆国の 移民局で、1組の夫婦が病のため移民を拒否される。しかし 諦め切れない夫婦はせめて子供だけでもと、乳飲み子を模型 の船に乗せて送り出す。 そして物語は1920年代、ニューヨークの下町を逃走する男が 凶悪な集団に追い詰められる。ところがそこに白馬が現れ、 飛び乗った男は難を逃れる。さらにそのまま南に逃れようと した男だったが、白馬がとある邸宅の前で動かなくなる。そ の邸宅には病で余命も僅かな女性が家族を待っていた。 そんな女性と共に家族の許に向かった主人公は一家の歓待も 受け、愛するようになった女性を救おうと心を砕き始めるの だが… 一方、主人公を追っていたボスは悪魔と通じて、悪の牙城は 完成されようとしていた。ところがそこに障害が現れる。そ れは善意の奇跡が起きると牙城が崩れるというのだ。そこで ボスは何としても主人公を捕え、奇跡が起きるのを食い止め ようとする。そしてその物語は現代へと繋がって行く。 出演は、2012年8月紹介『トータル・リコール』などのコリ ン・ファレル、2015年公開予定の“Frankenstein”でメイン キャストの一員になっているジェシカ・ブラウン・フィンド レイ。 他にラッセル・クロウ、ウィリアム・ハート、ウィル・スミ ス、ジェニファー・コネリーといったゴールズマンゆかりの 俳優たちと、2006年7月紹介『スーパーマン・リターンズ』 でマーサ・ケント役を演じたエヴァ・マリー・セイントらが 脇を固めている。 宣伝コピーには「100年の恋」とあって、物語にはなるほど と思わせるものも多い。ノスタルジックな興味もあり、また そこに悪魔と神の対決という背景も、壮大で素晴らしいもの になっている。 ただSFファンの目で見ていると、時間の経過に多少疑問が 生じてしまう。それは原作の発表された時が現代だったもの を、そのまま2014年に持ってきてしまったことにもよるが、 SF映画も数多く手掛けているゴールズマンがそれに気付か なかったとも思えないから、これは確信犯なのだろう。 もっともエヴァ・マリー・セイントは1924年生まれだそうだ から、無いとも言えないのかな。でもまあここは、無理を承 知で原作を尊重したゴールズマンを褒めたいところだ。 公開は5月16日から、東京は新宿ピカデリー他、全国ロード ショウとなる。
| 2014年03月23日(日) |
シャドウハンター、サード・パーソン、ディス/コネクト、飢餓海峡、A.F.O |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『シャドウハンター』 “The Mortal Instruments: City of Bones” ニューヨークタイムズ紙などのベストセラーリストにランク インを果たしたカサンドラ・クレア原作ヤングアダルトファ ンタシーの映画化。 物語の舞台は現代のニューヨーク・マンハッタン。主人公は その街の普通の環境の中で育ってきたハイティーンの少女。 ところがその彼女の周囲で不思議な事が起き始める。それは 彼女が無意識に謎の記号を描いたのが発端だった。 しかし彼女はその事実を隠してしまう。そしてその夜、幼馴 染の少年とカフェに寄った帰り、彼女はその記号が看板に浮 かび上がるナイトクラブに誘われるように入場する。しかも そこで殺人現場を目撃した彼女は… それを切っ掛けに彼女は、真のニューヨークに潜む魔界へと 足を踏み入れてしまう。そこには人間に紛れて暮らす妖魔が 跋扈し、彼女が母親から受け継いだ血は、その妖魔を退治す るハンター一族のものだったのだ。 主演は、2012年6月紹介『白雪姫と鏡の女王』などのリリー ・コリンズ。共演に2008年1月紹介『スウィーニー・トッド /フリート街の悪魔の理髪師』や、『ハリー・ポッター』、 『トゥワイライト』サーガにも出ているジェイミー・キャン ベル・バウワー。 他に2006年6月紹介『マッチ・ポイント』などのジョナサン ・リース・メイヤーズ、2011年7月紹介『デビルクエスト』 に出ていたというロバート・シーハン、2010年7月紹介『フ ローズン』などのケヴィン・ゼガーズらが脇を固めている。 監督は2010年『ベスト・キッド』などを手掛けたハラルド・ ズワイト。脚本は、本作と同じドイツのコンスタンティン社 で2013年に製作された3Dアニメーション版“Tarzan”も手 掛けたジェシカ・ポスティゴ・パケットが担当した。 まあ何というか、『ハリー・ポッター』を筆頭にした普通の 若者が実は偉大な力を秘めた家系の末裔で、しかも本人はそ れを知らずに成長してきたという、典型的なヤングアダルト ファンタシーの展開の作品。 ただその舞台が現代のニューヨーク・マンハッタンというの は多少目新しい。特に現代風のビル群が、ファンタシー世界 に変貌して行くヴィジュアルは、CGI−VFXが駆使され た見ものにはなっていた。 ただ記憶を封じられていた主人公が、それを解除させるなり 万能の魔法を使い始めるという展開は、何か物足りない感じ もしてしまう。でもこれは多分原作通りなのだろうし、最近 の努力を嫌う若者の風潮に見事に迎合しているのかな。 それが人気を得てベストセラーなのだから仕方のない話だ。 公開は4月9日から、全国ロードショウとなる。 原作の続編“The Mortal Instruments: City of Ashes”の 映画化も同じスタッフ・キャストで進められているようだ。
『サード・パーソン』“Third Person” 2005年11月紹介『クラッシュ』で米アカデミー賞の作品賞と 脚本賞を受賞し、監督賞候補にもなったポール・ハギスによ る2011年6月紹介『スリー・デイズ』以来となる脚本・監督 最新作。 物語の始まりは、スランプに陥っている初老の作家と奔放な その愛人。愛人も作家志望で原稿を読んでくれとせがむが、 作家が興味を惹かれるのは肉体関係の方だ。それに愛人には 他にも男がいるらしく、それも気掛かりになっている。 次に登場するのは、イタリアのファッションブランドから新 作のデザインを盗もうとしている男性。彼はふと立ち寄った バールでロマの女性を目に留める。そして彼女が立ち去った 後に残されたバッグを店に預ける。 ところが再び現れた女性は、バッグに入れた大金が紛失した と騒ぎ出し、その金が拉致された娘を取り戻すための身代金 だったと詰め寄ってくる。こうして事件に巻き込まれた男性 は彼女と共に拉致犯の許へ向かうことになるが… そして3番目の登場人物は、ニューヨークで昼メロに出演し たこともある女性。彼女は我が子への暴行を理由に夫と離婚 し、親権も奪われた。そして接近禁止の裁定も出されそうに なっているが、その審判の席に遅刻してしまう。 こんな3つの物語が錯綜して展開され、互いが微妙に絡み合 いながらそれぞれの結末へと向かって行く。ただしその繋が りは極めて薄くて、3つの物語はそれぞれ独立と言って良い ものだ。 出演は、リーアム・ニースンと2010年12月紹介『トロン:レ ガシー』などのオリヴィア・ワイルド。エイドリアン・ブロ ディと2009年2月紹介『サスペリア・テルザ』に出ていたと いうモラン・アティアス。それにミラ・クニスとジェームズ ・フランコ。 他に、マリア・ベロ、キム・ベイシンガー、モデルとしても 活躍するロアン・シャバノル、2007年1月紹介『ブラッド・ ダイヤモンド』に出ていたというデヴィッド・ヘアウッド、 子役のオリヴァー・クラウチらが脇を固めている。 題名を見て最初に思い至ったのは『第三の男』“The Third Man”かな。でもTheは付いていないし、ManとPersonの違い も微妙なところだ。そんな訳で、この第3の人物が気になり ながら試写を観に行った。 その第3の人物は、映画の中には何人かの対象はいるが、具 体的に画面に出てくるのはブロディのエピソードだけかな? 逆にニースンのエピソードでは、その対象がかなり微妙な扱 いになる。 そんなハギスの仕掛けにも翻弄されながら、観客は物語の中 を彷徨って行くことになる。そして最後に多少の希望が見え て終わるのは、『クラッシュ』の時にも感じたハギスの暖か さのようだ。 かなり複雑な構成の作品だが、本当の意味での映画を堪能で きた気分になれた。 公開は6月、TOHOシネマズ日本橋ほかで、全国ロードショウ となる。
『ディス/コネクト』“Disconnect” ネット犯罪を軸に複数の登場人物たちが多層に交錯するアン サンブルドラマ。 そのネット犯罪は、ブログを使ったちょっとした悪戯から、 スパイウェアを使った預貯金の奪取まで、さらにネットで性 を売る若者や、それを取材して名声を得ようとするマスコミ など、実に様々な側面が描かれる。 最初に登場するのは弁護士の一家。父親は食事中も連絡待ち のスマホから目を離せないが、子供たちも特にトラブルがあ るようにも見えない。しかしその息子は実は孤独で、ネット を介して1人の女性と繋がっていると思っていた。ところが そのチャットがやがて重大な事態を引き起こす。 一方、子宝に恵まれない夫婦の妻がネットでアドヴァイスを 受けている。ところが突然カードの支払いを停止され、それ は彼女が接続したサイトからスパイウェアを送り込まれたた めと判明する。しかし警察の動きは遅く、破産に追い込まれ た夫婦はネット専門の私立探偵に調査を依頼するが… さらにネットのポルノサイトに目をつけた女性レポーターが 1人の若者のインタヴューに成功する。それは地方局から全 国ネットにも紹介され、彼女は一躍名声を得るが…。FIB がその犯罪を摘発するため、彼女にニュースソースの開示を 求めてくる。 こんな物語が、それぞれの登場人物たちを微妙に交錯させな がら巧みな展開で描かれて行く。しかもそれらが正に身近に 起きていてもおかしくないようなリアルさで描かれ、現代の ネット社会の裏に潜む危険が見事に描き出されていた。 出演は、2011年9月紹介『モンスター上司』などのジェイス ン・ベイトマン、2011年4月紹介『ザ・ホークス』などのホ ープ・デイヴィス、2012年『THE GREY』などのフランク・グ リロ、2010年7月紹介『ミレニアム』などのミカエル・ニク ヴィスト。 また2011年12月紹介『ミッション・インポッシブル/ゴース ト・プロトコル』などのポーラ・パットン、2013年5月紹介 『オブリビオン』などのアンドレア・ライズブロー、2012年 4月紹介『バトルシップ』などのアレクサンダー・スカルス ガルド。 さらに2011年4月紹介『クロエ』などのマックス・シエリオ ット、2009年8月紹介『PUSH−光と闇の能力者』などの コリン・フォード、2008年5月紹介『イントゥ・ザ・ワイル ド』などのヘイリー・ラム。そして2005年11月紹介『ザスー ラ』などのジョナ・ボボ。因にミュージシャでもあるボボは 劇中の楽曲も手掛けている。 脚本は、本作が長編映画デビュー作のアンドリュー・スター ン、監督も、2006年の米アカデミー賞長編ドキュメンタリー 部門にノミネートされた“Murderball”などのヘンリー=ア レックス・ルビンが劇映画デビュー作として手掛けている。 2作続けてアンサンブルドラマの紹介となったが、上が大ベ テランの作品に対して、こちらは正に新進気鋭。扱っている 題材も現代の最前線という感じなのも面白かった。どちらも 現代を鋭く描いており、見応え充分の2作品だ。 本作の公開は5月24日からに予定されている。
『飢餓海峡』 水上勉が1962−63年に発表した原作を、1965年に内田吐夢監 督で映画化した作品。その作品が4月5日から開催の第二回 「新・午前十時の映画祭」での上映に向けてディジタル修復 された。 物語の背景となるのは、昭和29年の台風15号(洞爺丸台風)。 この台風により津軽海峡では青函連絡船5隻が沈没し、北海 道岩内町では3000戸焼失の大火災が起きている。その2つの 事件を巧みに組み合わせて本作は創作される。 その1は岩内町で起きた火災が強盗放火だったというもの。 その犯人たちは本土に逃走するべく函館に向かう。ところが 辿り着いた函館は連絡船の救難で大混乱の最中。そこで犯人 たちは消防団員に紛れて漁船を調達する。 そして台風一過、函館では遭難者の身元確認が行われるが、 そこに乗船名簿に名前のない2つの遺体が残される。こうし て函館署刑事による執念の捜査が始まるが、そこには10年も の歳月を経て、様々な人間模様が絡まって行く。 出演は、三國連太郎、伴淳三郎、左幸子、高倉健。伴淳、高 倉は記憶とさほど変わらなかったが、三國が最初の登場では オヤと思うほどの好男子だったり、左が思いの外に可愛いな ど、年月の流れも色々と感じさせてくれる。 また脚本は、1961年版『宮本武蔵』や後にNHK大河『三姉 妹』(1967年)、フジテレビ『白い巨塔』(1974年)などを手掛 ける鈴木尚之。音楽を冨田勲が担当していた。 特撮ファン的には、映画前半に描かれる連絡船のミニチュア シーンが注目だったが、そのシーンより後に出てくる3隻の 搜索船が波とのバランスもよく、さらに船上の篝火など見事 に描かれていた。 また、脳内の映像を描くレリーフのように処理された映像な どは確か当時開発されたばかりの技術で、それらも効果的に 使われていた。ただ映画の後半になるとそれらが消えてしま うのはちょっと残念ではあった。 それに今回のディジタル修復版では、巻頭シーンの画質が粗 くされているが、確かこのシーンは当時のニュースフィルム と合わせるためにわざとされたものだったはず。しかしその ニュアンスがこれでは少し違うように感じられた。 とは言え、歴史的な名作がこのように修復されて、再び映画 館のスクリーンで見られることは、映画ファンにはこの上な い喜びと思えるものだ。 なお、新たに日本映画を加えた「新・午前十時の映画祭」で は『羅生門』『ニッポン無責任時代』『砂の器』『細雪』、 2010年2月紹介『幸福の黄色いハンカチ』、2011年12月紹介 『幕末太陽伝』が上映される。 他にも『ブラック・レイン』『あなただけ今晩は』『チャイ ナタウン』『黄昏』『オズの魔法使い』『旅情』『恐怖の報 酬』『さらば、わが愛/覇王別姫』『ゴースト/ニューヨーク の幻』『俺たちに明日はない』『地上より永遠に』などが、 新たにラインナップされている。
『A.F.O』 2009年に創立50周年記念として映画『築城せよ!』を製作し た愛知工業大学が、その前身である私立名古屋電気学校の設 立100周年記念事業として、同大学の客員教授でもある映画 監督・堤幸彦の企画・総監督で製作した作品。 物語の中心は愛知工業大学サッカー部。ゴールキーパーでも あるキャプテンは中学時代は名選手だったらしいが、以後は 勝利の女神に見放され、その影響かチームは彼がキャプテン になってから1勝もしていない。 そのためチームの覇気も上がらず、選手たちは努力もしない で他人頼みの勝利だけを夢見ている始末。そんな彼らに愛想 の尽きた女子マネージャーは部を脱退。しかもフットサル部 を結成して、お前たちを打ち負かしてやると宣言する。 とは言え、彼女のフットサル部もメムバーが集まらない状況 だったが、そこに救世主が現れる。何とその大学にはブラジ ルからの留学生がいたのだ。そして「サッカーはできない」 とする留学生を何とか試合に引っ張り出すが…。 本当はサッカーが好きなのに、頑なにサッカーを拒んだまま 家庭の事情で帰国してしまった留学生を巡って、学校上げて の大宇宙を仲立ちにした大作戦が開始される。 出演は、2010年9月紹介『信さん−炭坑町のセレナーデ』な どの石田卓也、昨年公開のワーナー映画『すべては君に逢え たから』などに出演の岡本あずさ。他に戸田恵子、渡辺哲ら が脇を固めている。 脚本は、2006年の岸田國史戯曲賞を受賞している佃典彦、監 督は、2008年10月紹介『クローンは故郷をめざす』ではプロ デューサーを務めていた多胡由章。因にスタッフ・キャスト はいずれも愛知県の出身者のようだ。 題名は‘One for All, All for One’の後半の頭文字とされ るが、2011年9月紹介の『三銃士』に由来するこの言葉は、 日本では主にラグビーの格言として認知されているもので、 それはサッカーではない。 それにお話も、万年不振のスポーツ部にそのスポーツが好き だけど頑なに参加を拒む選手など、まあ在り来たりというか 何というか。正直に言って蒼々たる顔ぶれが揃っている割に は他愛ないものになってしまっている。 そこに新規性があるとすれば、後半のブラジルにメッセージ を送る展開だが、本来ならここにもっとドラマがあって感動 に繋がるものが欲しかったかな。何となく全体に詰めが甘い 感じのする作品だった。 公開は4月26日から5月2日まで、東京のシネマート六本木 で上映される。 なお愛知発のこの作品は試写会が行われず、DVDを借りて 観たものだが、ご当地映画ではもう1本、三重発の『ルート 42』という作品も併せて鑑賞した。 その作品は、実は東京での上映がすでに終了していて紹介の チャンスを逸したものだが、内容にはファンタスティックな 要素もある作品で本来ならちゃんと紹介すべきだったかな。 でもまあいろいろあるので今回は割愛することにした。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『その名は、ミスターGO!』“미스터 고” 怪力無双のローランドゴリラが、野球界に殴り込みをかける というファンタシー作品。 主人公は、中国延辺にあるサーカス団の若き少女団長。一座 は祖父が経営していたが吉林省の大地震でその祖父が死去。 急遽引き継いだサーカス団は多額の借金を抱えていた。その ため彼女は借金取りに追われることになる。 一方、そのサーカス団には2頭のゴリラが飼われていた。そ の1頭ローランドゴリラのリンリンは幼い頃から少女と共に 育ち、大地震では建物の下敷きになった少女を救出するなど 大活躍。しかもバットで球を打つのが得意技だった。 そこに目をつけたのが、韓国球界で人間ハンターと呼ばれる エージェント。彼は今までにも韓国の野球選手を日本や米国 メジャーリーグに送り出して巨万の富を得ていたが、今回は 中国のゴリラ選手を韓国に送り込もうと考えたのだ。 そこではもちろん人間ではない選手の登録に異議が出るが、 野球協約に選手は人間に限るという条項がないことを盾に、 さらにローランドゴリラが少女を助けたことなどを謳い挙げ て、前年度最下位のチームと契約に成功する。 こうして攻撃が満塁になったときピンチヒッターとして打席 に立ったゴリラのリンリンは、人間の20倍という筋力を活か して1打必撃。バットの届く範囲なら背後の敬遠球も驚異の 片手打ちで満塁ホームランを量産して行く。 こうして去年までのお荷物チームは、瞬く間に年間優勝を争 うまでに快進撃を続けるが…。リンリンには隠された問題が あった。 これに日本球界からの誘いや中国の借金取り、さらには同じ サーカス団にいた凶暴なマウンテンゴリラの投手なども絡ん で、物語は壮大なスケールに発展して行く。 出演は、2008年3月紹介チャウ・シンチー監督の『ミラクル 7号』で主人公の少年を演じていたシュー・チャオ。当時か ら本当は少女だとは知っていたが、本作では少女の面もしっ かり出した演技をしている。韓国映画には初出演。 他に、2007年11月紹介『カンナさん大成功です!』などのソ ン・ドンヨル、2004年『シルミド/SILMIDO』などのキム・ガ ンウ。そして日本からオダギリジョーが中日ドラゴンズオー ナー役で出演している。 監督は『カンナさん大成功です!』などのキム・ヨンファ。 作品的には、1998年にシャーリズ・セロンの主演でリメイク された『猿人ジョー・ヤング』の亜流という感じだが、本作 では野球というスポーツの特徴も巧みに活かして、うまい発 展系が作り出されている。 野球協約の絡みでは、日本の漫画でも少女選手の話があった から、そういうことなのだろう。 公開は5月24日から、全国ロードショウとなる。
| 2014年03月09日(日) |
奴隷区/僕と23人の奴隷、歌舞伎町はいすくーる、ポリス・ストーリー レジェンド、ホドロフスキーのDUNE+Oscar |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『奴隷区/僕と23人の奴隷』 スマホで1660万ダウンロードを記録したという岡田伸一原作 の映画化。 主人公はフリーターの女性。知能レヴェルは高いがそれを持 て余し毎日を退屈に送っている。そんな彼女の許に生き別れ だった双子の弟が現れ、SCM(Slave Control Method)と いう器具の存在を教える。 それはネットで密かに販売され、装着した者同士が勝負して 勝者は主人となり、敗者は奴隷になるというもの。そして弟 は、「凶悪な連中に支配されている奴隷を救出する目的」と して彼女に協力を要請する。 SCMのルールでは、主人同士が勝負すると敗者となった側 の奴隷も勝者のものとなり、勝者である主人は奴隷を解放す ることもできるのだ。そこで弟は姉の知能を借りて23個全て の主人となり、全員の解放を目論んでいたが… 出演は、2005年4月紹介『HINOKIO』が初主演だった 本郷奏多と、昨年8月にAKB48を卒業した秋元才加。他 に「王様のブランチ」リポーターの大沢ひかる、元戦隊ヒー ローの山田裕貴、現仮面ライダーの久保田悠来。 さらに「キングオブコント2013」優勝者のかもめんたる、劇 団主宰者且つお笑い芸人で2007年10月紹介『全然大丈夫』で も印象を残していた鳥居みゆき、それに斉藤洋介らが脇を固 めている。 脚本と監督は、三池崇史監督の2001年作品『殺し屋1』の脚 本も手掛けている佐藤佐吉。共同脚本に2008年11月紹介『大 阪ハムレット』などの伊藤秀裕が名を連ねている。 試写状に書かれた内容紹介を読んで、最近流行りの「バトル ロワイヤル」物かなという印象だった。まあ実際もその通り なのだが、テーマは殺人ではないし、多少仕掛けが面白かっ たり、主人公の正義感がそれなりに筋が通っていて、映画と して楽しむことはできた。 ただ後半のマスターが登場してからの展開は、本来のSCM の機能とも異なるものだし、これを先の読めない展開という にはちょっと違和感も感じてしまう。ここはもっとSCMの 機能を活かした展開に持って行けなかったものか? その辺の構成力の弱さは、最近観た他の日本映画でも感じた が、これでよしとするスマホ世代(若者だけではない)には 多少危機感も覚えるところだ。多分どんどんページをめくれ てしまう読み方では、後戻りも面倒でこうなるのかな。 折角の面白いアイデアなのに、何か全体的に活かし切れてい ない感じで、それはもったいない感じもした。原作には続編 もあるようだが、そこではさらに壮大な世界が構築されてい ることを期待するし、その映画化も期待したいものだ。 公開は6月28日より、東京は新宿バルト9ほかで全国ロード ショウとなる。
『歌舞伎町はいすくーる』 もとはしまさひで原作「定時制歌舞伎町高校」を2012年10月 紹介『北のカナリアたち』などの那須真知子の脚本、2012年 9月紹介『黄金を抱いて翔べ』の特機指導などを手掛けてい る軽部進一の監督で映画化した作品。 主人公は不動産売買で成功し「歌舞伎町の帝王」と呼ばれる 若者。しかし不満げな彼は新たな刺激を求めて高校入学を思 いつく。そんな彼が入学したのは「定時制歌舞伎町高校」、 そこには歌舞伎町に暮す奇妙な連中が集まっていた。 そこで主人公は手始めに不良に絡まれていた同級生を助ける が、主人公と同じくその日に初登校した同級生は、11歳から 9年間の植物状態から回復したばかりと言い、さらに学校が 異星人に侵略されていると騒ぎ出す。 一方、主人公はキャバクラで働きながら学校に通う美少女に 想いを寄せるが、彼女から2つの意味深な謎々を出題されて しまう。そして校内でいろいろな出来事が起こり、同級生の 予言が現実味を帯び始める。 出演は、昨年12月紹介『ゼウスの法廷』などの塩谷瞬、歌舞 伎役者の片岡愛之助、2010年8月紹介『桜田門外ノ変』の川 野太郎、2012年8月紹介『FASHION STORY』の大島なぎさ、 2009年『ロボゲイシャ』などの熊切あさ美、『黄金を抱いて 翔べ』などの辻やすこ。 他に、十勝花子、元「コントゆーとぴあ」の城後光義、『北 のカナリアたち』などの乃木太郎らが脇を固めている。また 千葉真一がゲスト出演。それに昨年10月に交通事故死した桜 塚やっくんがカメオ出演している。 映画の前半は、プロレスラーやバーレスクダンサー、さらに オカマやキャバクラ嬢など、まあ歌舞伎町の名には相応しい 多士済々のキャラクターの濃い連中が登場して、那須脚本の 代表作でもある80年代『ビー・バップ・ハイスクール』の再 来を期待させる。 ところが後半になると突然それがSF物となり、その落差に 多少戸惑う感がした。これは例えば今年2月紹介『ワールズ ・エンド』などと似た流れなのだが、やはり日本人にSFは 難しいのかとも思ってしまうところだ。 因に試写の後で宣伝担当者に聞いたら、原作にはSFの要素 はないそうで、そこは脚本家のオリジナルとのこと。そこで さらに考えると、脚本家はここに『北のカナリアたち』にも 通じる青春への思いも込めているようだ。 しかしその全体が充分に調和しておらず、バラバラのテーマ の羅列がそれぞれの部分で混乱を招いている。そんな感じが してしまった。もっとも上記の『ワールズ・エンド』も混乱 がないとは言えず、この種の侵略物は基本難しいものだ。 公開は5月3日より、東京は新宿ミラノほかでロードショウ される。
『ポリス・ストーリー レジェンド』“警察故事2013” 1985年−96年に4作が製作され、2005年1月には『香港国際 警察』を紹介したジャッキー・チェン主演『ポリス・ストー リー』シリーズの最新作。 物語の舞台はクリスマスの北京。主人公の初老の警官が娘に 呼び出されて新興の歓楽街にやってくる。そして導かれるま ま工場を改築したクラブに入場した主人公は、派手な衣装の 娘に恋人としてそのクラブのオーナーを紹介される。 しかし当然そのような男は主人公の容認できないもの。その ため娘とも諍いになるが、開場パーティと称するそのクラブ には、主人公が関ったある事件の関係者が招待されていた。 そして事態は立て篭り事件へと進展するが… 共演は、2008年2月紹介『王妃の紋章』などのリウ・イェ、 西安出身で、すでに他の大作のヒロインも演じているジン・ ティエン、新疆ウイグル自治区出身で本作が映画デビューの グーリー・ナーザー。 さらに、元は人気ロックバンドのリードヴォーカルだったジ ョウ・シャオオウ、中国の格闘技・散打チャンピオンのリュ ウ・ハイロン、2010年9月紹介『ラスト・ソルジャー』など のユー・ロングァンらが脇を固めている。 脚本と監督は、『ラスト・ソルジャー』のディン・シェン、 アクション監督も『ラスト・ソルジャー』のヘ・ジュンが務 めている。ジャッキー入魂主演作の顔ぶれが再結集した作品 だ。 2013年3月紹介『ライジング・ドラゴン』では「ジャッキー ・チェン最後のアクション大作」と称されていたものだが、 本作でもしっかりとアクションしている。もちろん1954年生 まれ、もうすぐ還暦のジャッキーのアクションは、以前ほど 過激ではないが、見せるところはちゃんと魅せる映画として 見事に描かれていた。 実は先にジェット・リーの新作を試写で観て、走った後で肩 で息する姿に、それは演技としてもあまり観たくないものを 観てしまった感じに囚われた。しかしジャッキーは、流石に その辺も心得てファンを楽しませてくれた。 しかも本格的な格闘シーンも若手たちの見せ場として用意す るなど、ファンの心を憎いまでに掴んでくる構成の作品だ。 因に監督は、ジャッキーにはアクションのない作品として出 演を説得し、現場で徐々に加えたのだとか。 なおエピローグには、謎の紋章の入ったペンダントが此見よ がしに登場するが、果たして続編はあるのかな。 それと、試写会の後でクライマックスがあっけないと批判し ている人がいた。でも日本のシステムでは他にも手段はある が、一般的にはこの状況は避けられない。それをギリギリで 回避するシーンはマニアには垂涎のものになっていた。 公開は初夏に、全国ロードショウとなる。
『ホドロフスキーのDUNE』“Jodorowsky's Dune” 昨年11月27日付第26回東京国際映画祭《ワールド・フォーカ ス部門》でも紹介している未完に終ったSF映画を検証する ドキュメンタリー。 アレハンドロ・ホドロフスキーは1929年チリの生まれ。学生 時代に『天井桟敷の人々』に感動し、パントマイムにのめり 込んで大学を中退。パリで放浪中にマルセル・マルソーと知 り合い、共にメキシコに渡って100以上の舞台を演出する。 さらに1967年に映画処女作“Fando y Lis”、次いで1970年 に“El topo”を発表するが、監督曰く「ユニオンの存在を 知らなかった」ためにメジャー系の配給を断られ、やむ無く ミニシアター系で公開すると、カルト的な評価を得る。 そして1973年に発表した“The Holy Mountain”は、2年間 のロングランを記録することになる。本作の出来事はこの頃 から動き始める。それが本作では、ホドロフスキー本人への インタヴュー証言を許に綴られて行く。それは… この“The Holy Mountain”のヨーロッパ配給を手掛けた映 画プロデューサーのミシェル・セドゥーから新作を求める声 を掛けられ、ホロドフスキーは咄嗟に“Dune”の題名を挙げ る。しかしこの時、彼はまだ原作を読んでいなかった。 ところがセドゥーは直ちに映画化権の取得に乗り出し、その 獲得は順調に進んで準備が始まる。こうしていよいよ原作に 対峙したホドロフスキーは、その難解さに苦慮しながらも脚 本を完成させる。 そしてホドロフスキーは、自分と共に映画製作を進める戦士 を集め始める。その顔ぶれはメビウス(ジャン・ジロー)、 クリス・フォス、H・R・ギーガー、ダン・オバノン。彼ら を選ぶまでの過程や理由なども語られる。 さらに音楽にはピンク・フロイド、マグマ。今で言うヘヴィ メタルに近いバンドに、映画に登場するそれぞれのキャラク ターのテーマ音楽を担当させるというものだ。その交渉の経 緯なども語られる。 一方、キャスティングでは、サルバドール・ダリ、ミック・ ジャガー、オースン・ウェルズ、デイヴィッド・キャラダイ ン、ウド・キア。特にダリとウェルズに出演契約を結ばせる 戦略は、映画祭では爆笑が湧いたものだ。 また主演には“El topo”にも起用した自らの息子を配役。 そのため息子には武道家についての過酷な訓練も課す。その 事情なども息子本人の証言も含めて語られる。そこでの監督 の決意も聞き物だ。 こうして製作準備で起きた様々な出来事が、ホドロフスキー とプロデューサーのセドゥ、さらにフォス、ギーガー、オバ ノン未亡人、ダリのディーヴァ、当時のマグマのリーダーら の証言によって浮き彫りにされて行く。 そしてその間には、ホドロフスキーが構想した物語が、メビ ウスの手掛けた絵コンテによって再現され、そのカメラワー クなども絵コンテをアニメーションにして描かれる。それは 正に完成版の映像を見る感覚のものになっている。 こうして準備は着々と進んで行ったが、その製作は撮影直前 に突然中止が発表されてしまう。その理由は…。しかしその 衝撃が如何に深いものであったかは、オバノン未亡人の証言 などから伺い知ることができる。 結局映画は作られなかった。しかしその遺産とも言うべき集 まった戦士たちのその後の活躍は、現在も連綿と続いている SF映画の歴史に直結しているもの。それは決してルーカス 『スター・ウォーズ』のお陰だけではなかったのだ。 公開は6月14日から、東京は新宿シネマカリテ、ヒューマン トラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか、全国順次で 行われる。 * * 最後に、3月3日(日本時間)に発表されたアカデミー賞 の結果を報告しておこう。 期待の『ゼロ・グラビティ』は、候補になった10部門の内 で監督、撮影、編集、音響効果、音響編集、視覚効果、作曲 の7冠を達成。大方の予想通り、作品と主演女優賞は逃し、 さらにプロダクションデザインを『華麗なるギャツビー』に 拐われたが、最多部門の受賞に輝いた。 まあ科学考証的にはいろいろ問題のある作品だが、一応は SF映画の範疇に入る作品がこのように一般映画人の評価を 受けたのは喜ばしいことだ。 その他では、長編アニメーション賞は『アナと雪の女王』 が主題歌賞と共に受賞。これは正直に言って対抗馬はいない 感じ。それに『ダラス・バイヤーズ・クラブ』の主演男優、 助演男優、メークアップ&ヘアスタイリング賞も、授賞式の 初めにジャレッド・レトの受賞で決まりの感じだった。 また長編ドキュメンタリー賞は、自分の観た中では『バッ クコーラスの歌姫たち』と『アクト・オブ・キリング』の対 決と予想していたが、結果はショウビズにより近いと言える 『歌姫たち』でほっとした。なおこの作品にも日系の女性歌 手の姿が描かれていたが、中継の解説では無視された。 なおこの中継では、カンバーバッチの映像に対してスタジ オゲストが喋るネタバレの音声が流れるなど散々だったが、 授賞式の演出もショウという点では見栄えがせず、女性MC の毒舌もピンと来ず、特に途中で宅配ピザが配られるシーン などは、自らの権威を貶めているようで不快だった。 正直、わざわざ試写会を休んでまで生中継を観る程でもな い感じがしてきてしまったところだ。
| 2014年03月02日(日) |
恋につきもの、パズル、ロボコップ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『恋につきもの』 昨年12月紹介『神奈川芸術大学映像科研究室』に続く東京藝 術大学大学院映像研究科映画専攻制作・配給による作品。 前の紹介は修了制作の長編作品だったが、すでに気鋭の映画 作家も輩出している同映画専攻では、毎年オムニバス作品も 発表しているのだそうで、本作はその最新作になる。 内容は、同性愛や性同一性障害などセクシャルマイノリティ を主人公にした作品を発表している漫画家・ふみふみこ原作 によるもので、その3篇が映像化されている。ただし選ばれ ているのは、それプラスちょっとファンタスティックな作品 が中心のようだ。 「いばらのばら」は、感情が高ぶると顔や手足から刺が生え てくる少女と、皮膚の一部が鉱石になっている少女の物語。 幼馴染の2人は同じ学校に通っているが、前者は美少女で男 子生徒の注目を浴び、後者はその陰に隠れた存在だ。そんな 2人の関係が男子生徒の出現で微妙に変り始める。 出演は2013年4月紹介『絶叫学級』などの松本花奈と2007年 『兎のダンス』などの伊藤沙莉、それに2012年2月紹介『ト テチータ・チキチータ』などの葉山奨之。脚本と監督は、す でに2010年『イブの溜息』などを発表している桝井大地。 「豆腐の家」は、豆腐のように真っ白な外観の家に暮らす夫 婦の物語。夫は自動車の整備工場で働いているが、専業主婦 らしい妻はちょっとエキセントリックで、夜も会話が絶えず に夫は寝不足で仕事と精神にも支障が出ている。そして妻は 「家が腐り始めた」と言い出す。 出演は「装苑」などのモデルで本作が女優デビューの谷口蘭 と2012年8月紹介『莫逆家族』などの石田法嗣。脚本と監督 は、2008年『夜来風雨の声』という作品が韓国での映画祭で 批評家賞を受賞している五十嵐耕平。 「恋につきもの」は、交通事故で亡くなった生前は自動車教 習所の指導員だった女性の幽霊が主人公。彼女は死の直前に 別れを告げられた指導員仲間の男性への思いが断ち切れず現 世を彷徨っていた。そしてついに合宿教習に来たイケメンの 生徒に乗り移り真意を確かめようとするが… 出演は2013年3月紹介『モンスター』などの趣里と、2009年 5月紹介『幼獣マメシバ』などの高橋洋、それに2013年12月 紹介『仮面ティーチャー』などの�暴啾析此K楮遒里澣嗚椶� 監督が別々で脚本は森崎洸貴、監督は一見正隆。 物語は、セクシャルマイノリティがテーマという割にはその 部分は最近の映画に有り勝ちな感じもして、むしろ主人公が クリーチャーだったり、幽霊話だったり、どちらかと言うと ファンタスティックな要素が印象に残る作品だった。 それだけでも僕的にはOKだったが、本作を観ていて3篇の トーンが見事に統一されていることにも感心した。本作では 上記のように3篇の脚本と監督はそれぞれ違うのだが、その まるで同じ監督の作品のように見える。 僕は原作を読んでいないが、これは恐らく原作の持つ雰囲気 が忠実に再現されていると考えて良いのだろう。3人の監督 はそれぞれ実績もあるが、彼らが独りよがりにならず原作に 対していることが好ましくも感じられた。 監督の個性も大事だが、こういう作品もしっかり撮れること が必要なようにも思える作品だった。 公開は4月12日より、東京はシネマート新宿ほか全国順次で 行われる。
『パズル』 2005年8月に紹介した『あそこの席』『@ベイビーメール』 などの山田悠介の原作を、2012年3月紹介『先生を流産させ る会』の内藤瑛亮監督が映画化した作品。 映画の舞台はとある郊外の高校。その校舎の屋上から1人の 女子高生が飛び降るシーンで映画は始まる。 それから1ヶ月後、突然現れたマスクを着けた集団が学校を 占拠、理事長と居合わせた教師に恐怖のゲームを仕掛ける。 そして理事長が拉致され、さらに3人の男子生徒が行方不明 となる。果たして彼らは犯人か… 一方、一命を取り留めた女子高生の病室に同級生の男子が現 れ、1通の封筒を残して去る。その直後、行方不明だった男 子生徒が異様な姿で発見され、それは街中を巻き込む恐怖の パズルへと広がって行く。 そのパズルを解き彼らを解放する鍵は、女子生徒の許に残さ れた封筒に隠されていた。 出演は、2010年3月紹介『きな子』などの夏帆と、先月紹介 『クジラのいた夏』などの野村周平。さらに先月紹介『そこ のみにて光輝く』などの高橋和也。 また、2013年4月紹介『フィギュアなあなた』などの佐々木 心音、2011年6月紹介『行け!男子高校演劇部』などの八木 さおり、そして大和田獏らが脇を固めている。 山田原作の映画化では、2008年以降『リアル鬼ごっこ』など が大ヒットを続けているようだが、特に年配の映画評論家の 人たちには評価が芳しくないようだ。 実際に僕も、橋本愛や小出恵介の主演作などを観ているが、 人殺しの手法ばかりを懇切丁寧に見せる割には背景の経緯な どの描写が乏しく、人間味のない展開には辟易するし、どの 作品も異口同音なのが耐えられない感じもしたものだ。 しかし本作は山田の新境地ともされており、その点の期待は 持った。その作品は一応事件の背景にはそれなりの経緯など もあって、少し人間味も加味されている。とは言え本質的な 部分は変わらないが、それは本来の読者向けのものだ。 従って僕自身は本作をそれなりに評価するものだが、ただし 物語の展開としてある目的に沿って事件が進められる中で、 1人の登場人物が罰せられる理由が理解できない。これには 困ってしまった。 実際に本作の主人公の行動は、ある種の歪んだ正義感として 描かれているのだが、その中で無辜の人物を被害者にするこ とは許されるべきではない。それなら何かこの人物にも理由 があってしかるべきだ。 そこで思い返すと、映画の前半でこの人物に関して常識では 考えられないシーンが有り、もしかするとそれが伏線だった のかとも思える。それにしても、それならもう少しその背景 などは描いて欲しかった。 もっともそれが本当に伏線だったのかは定かでないが。 公開は3月8日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷 ほか全国ロードショウとなる。
『ロボコップ』“RoboCop” 1987年にポール・ヴァーホーヴェン監督で映画化され、その 後に2作の続編やテレビシリーズ、アニメシリーズ、アメコ ミ化もされた物語を第1作から再開するreboot作品。 舞台は近未来のデトロイト。産業の衰退でスラム化し、犯罪 の蔓延る市街では警察官の殉職も相次いでいた。その一方で アメリカの兵器産業は治安維持用のロボットを開発、海外の 紛争地域での活用を進めていた。 しかし、危険を察知すると独自の判断で実行犯の殺害も行う ロボットの運用には人道上の問題もあり、アメリカ国内での 運用を禁止する法律が制定されていた。そして今日も正義感 あふれる警官が犯罪組織の手で瀕死の状態となる。 その事態に兵器産業は警官の脳髄を活かしたサイボーグ警官 の実用化を目論む。ところが人の判断が介在するサイボーグ では咄嗟の判断の速度がロボットに追いつかない。その方策 が課題となるが… オリジナル版では、最初にサイボーグ化された主人公の記憶 は消されていて、そこから徐々に蘇ってくる記憶(思い出) が主人公を苦しめるという展開だった。しかし記憶を消され た理由などが薄弱で、いろいろ指摘されたりもした。 その点を今回の作品では明確にしており、それはSF的に見 ても周到に構築された物語と言える。ただそれをかなり丁寧 に描き込んでいることが、前半の展開では多少間怠く感じる かな。でもそれは仕方ないと言えるものだ。 そしてそこからの主人公の葛藤は、1992年の『ユニバーサル ・ソルジャー』に引き継がれて行くように、人間の本来の姿 として描かれている。 出演は、テレビシリーズ『THE KILLING』や、2012年10月紹 介『ダーケストアワー・消滅』などのジョエル・キナマン、 2011年7月紹介『アザー・ガイズ』などのマイクル・キート ン、それに2012年7月紹介『ダークナイト ライジング』な どのゲイリー・オールドマン。 さらに2013年7月紹介『セブン・サイコパス』などのアビー ・コーニッシュ、2012年5月紹介『ダーク・シャドウ』など のジャッキー・アール・ヘイリー、『アザー・ガイズ』にも 出ていたサミュエル・L・ジャクスンらが脇を固めている。 脚本は、オリジナルを手掛けたエドワード・ニューマイヤー と、テレビシリーズを担当したマイクル・マイナー、それに 2012年8月紹介『デンジャラス・ラン』などのジョシュア・ ゼトゥマーが仕上げを行った。 監督は、2011年11月紹介『エリート・スクワッド』を手掛け たブラジルの俊英ジョゼ・パジーリャが、鮮烈なハリウッド デビューを飾っている。 公開は3月14日より、全国一斉ロードショウとなる。
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