| 2010年12月26日(日) |
ブローン・アパート、再生の朝、死に行く妻との旅路、台北の朝僕は恋をする、さくらさくら、幸せの始まりは、唐山大地震+ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ブローン・アパート』“Incendiary” 行きずりの男との情事中に夫と息子がテロに巻き込まれて亡 くなる。そんなある意味、現代の究極とも言える状況に置か れた女性を主人公にした、ちょっとファンタスティックな部 分もある作品。 夫はテロ対策部隊で爆発物処理に当たる専門家、その緊張を 強いられる仕事のせいか多少気難しく、深夜の緊急出動など で家庭を顧みる時間もあまりない。そんな夫の唯一の家庭サ ーヴィスは1人息子を連れてアーセナルFCの試合を観戦に 行くくらいだ。 そんな観戦に向かう親子を見送った主人公は、ふと立ち寄っ たパブで若い男性に声を掛けられる。そしてタブロイド紙の 記者と名告る男性の家で情事を楽しんでいたとき、突然の衝 撃が彼らを襲う。それは自爆テロでスタジアムが爆破された 瞬間だった。 その事態に深く傷つく主人公。一方、情事の相手の記者は自 らの立場を利用して事件を調べて行き、それはやがて驚愕の 事実にたどり着く。さらにその間にテロの実行犯の家族を突 き止めた記者はその名前と住所を彼女に告げるが… 映画の中には、爆破されて崩壊したスタジアムや、多数の追 悼のバルーンが空に揚げられているロンドンの情景などが描 写されて、その映像はある種のファンタスティックなものに もなっている。 因に映画に登場するのは対チェルシー戦で、ロンドンの北部 と西部に位置する2チームの試合は、ダービーとは呼ばれな いようだが、同じ市内同士では観客数も多そうだ。そんな試 合がテロの標的とされる。 ただし、現実にイギリスのサッカー場がテロ事件の標的にな って、しかもこのような大惨事になったという話は聞いたこ とがないから、この物語自体は架空事件ものと呼んでいいの かもしれない。そんな物語の中で、1人の若い母親の苦悩が 描かれる。 出演は、2009年8月紹介『脳内ニューヨーク』などのミシェ ル・ウィリアムスと今年9月紹介『ロビン・フッド』などの マシュー・マクファディン、それにユアン・マクレガー。 脚本監督は、2001年『ブリジット・ジョーンズの日記』など のシャロン・マクガイア。また音楽をチャン・イーモウ作品 なども手掛ける梅林茂が担当していた。 それにしても、ロンドンで爆弾テロというと以前はIRAが 相場だったが、現代ではこれもアルカイーダの仕業となるよ うだ。物語はクリス・リーヴという作家の原作に基づくもの で、その原作はオサマ・ビン=ラディンへの手紙という形で 綴られているそうだ。
『再生の朝』“透析” 1997年、基本的人権が未だ定まっていない中国で起きた実話 にインスパイアされ描かれた作品。 主人公は、中国の地方都市で裁判長を務める男性。その男性 の娘が交通事故で亡くなる。その衝撃は特に母親である男性 の妻に重大で、以後は炊事などの家事も彼が行わなくてはな らなくなる。しかもその交通事故は彼の下した判決への報復 かもしれなかった。 そんな彼の許に、自動車窃盗の罪で逮捕された1人の若者が 送られてくる。その若者が盗んだ車は2台だけだったが、そ れは当時の中国の刑法では死刑に値するものだった。しかし その刑法には改正の動きも伝えられていた。 一方、実業家の男性が腎臓病を患い、その治療には臓器移植 の道しか残っていなかった。そして窃盗犯の若者の内臓がそ の実業家への移植に適合していることが判明する。さらに、 主人公の飼っている犬が未登録で、保健所がその犬の捕獲に やってくる。 そんな中で窃盗犯の若者には、反対意見もあったが主人公の 賛成によって死刑の判決が下される。そして死体から臓器を 取り出す契約も進められて、主人公の立ち会いの許、その執 行の日がやってくるが… 脚本と監督は、今年6月紹介『北京の自転車』(2000年製作) では撮影監督を務めていたリウ・ジエ。その作品も国内上映 禁止処分になっていたものだが、元々が政府の支援を受けな いインディペンデンス映画との関わりを続けてきた人だ。 そのリウが、2006年には監督も手掛けるようになってから、 2009年製作の本作は第2作となるものだが、2006年の作品も 『馬上の法廷』という題名で、自国の裁判制度には相当に関 心が高いようだ。 もちろん社会体制の異なる国の話ではあるが、それにしても 車2台で死刑とは行き過ぎなのは明らかだろう。ただしこれ には裏があって、実は元々の制度では極めて高額の窃盗が対 象だったが、インフレで貨幣価値が下がっても法律が改正さ れなかったものだ。 結局法律というのは、その制定の精神とは無関係に、運用次 第でどうにでもなってしまうものだが、この作品ではそんな 法律の矛盾も明確に描かれている。 最近日本でも、基本人権である表現の自由を制限する条令が 議会で可決されたが、いくら首長が「そんな運用はしない」 と言い張っても、その時が来れば為政者の都合のいいように 運用されるのが法律というものだ。 そして本作は、そのような状況の中で自らの使命に目覚める 主人公の姿が描かれている。この裁判官役を2008年2月紹介 『王妃の紋章』などのニー・ダー・ポンが演じ、被告役には 2006年5月紹介『ココシリ』に出演のチー・ダオが扮してい た。
『死に行く妻との旅路』 1999年12月、保護責任者遺棄致死の罪で逮捕された男性の実 話に基づく作品。 日本が高度成長期と言われた頃の物語。北陸の七尾で小さな 縫製工場を営んでいた主人公は、友人の連帯保証人になって いたり、海外からの安価な輸入品による自らの事業の行き詰 まりなどによって、巨額の負債を抱えてしまう。 その主人公には、彼のことを「おっさん」と呼ぶ11歳年下で 闘病中の妻がいて、一度は妻を置いて姿をくらますがやがて 金策も尽きて戻ってくる。そして唯一残された財産である空 色のワゴン車に妻を載せ、なけなしの50万円を懐に最後の旅 路をスタートさせる。 その行程は全くの無計画に姫路、鳥取砂丘、明石海峡大橋、 亀岡、三保ノ松原、山梨と巡って石川へ。その日数272日、 距離6000キロ、その旅の暮らしは厳しく、また来たる結末は 判ってはいても、ただ2人でいることそれが旅の目的の全て だった。 その結果としての上記の罪は、それは法治国家として仕方の ないこと、それよりも2人が2人切りでいられたこと、それ がこの夫婦にとっての最高の幸せであり、亡くなった妻に贈 られた最高のプレゼントだったことだろう。 物語は巡った旅先でのいろいろなエピソードによって綴られ て行くが、その一つ一つが見事な夫婦愛を描き出していた。 尊厳死という言葉は最近よく耳にするものだが、この物語ほ どそれが見事に描かれた作品も少ないように感じられた。 出演は、三浦友和、石田ゆり子。他に西原亜希、掛田誠。ま た、でんでん、田島令子、常田富士男らが脇を固めている。 なお、石田は撮影のために5キロ減量し、三浦は撮影の前の 約1カ月半の仕事を断って不精髭を伸ばすなどの役作りをし ているそうだ。 監督は、2006年4月紹介『初恋』などの塙幸成。前作は実際 の事件に基づいていると言っても相当にフィクションの加え られたものだったが、本作はまさに実話の映画化。その演出 は、前作の時もその緻密さなどに感心したものだが、本作で もその感覚は同じだった。 因に原作は、事件の当事者である清水久典氏が執筆して、事 件の約1年後に雑誌「新潮45」に2回分載されたもの。その 後に文庫化されているが、ほとんど宣伝しなかったにも関ら ず、くち込みだけで15万部を達成しているそうだ。
『台北の朝、僕は恋をする』“一頁台北” 今年のベルリン国際映画祭フォーラム部門で、最優秀アジア 映画賞を受賞した台湾映画。 主人公は、大学は卒業したが就職せずに家業の中華そば店の 手伝をしている若者。そんな若者には学生時代からつきあっ ている彼女がいたが、その彼女がパリに旅立ち、彼はその跡 を追うべく旅費を稼いでいるのが現状。しかしまだ先は長そ うだ。 その傍ら若者は、毎日近くの書店に立ち寄っては、立ち読み でフランス語会話の勉強にも余念がなかったが、そんな彼に 学生アルバイトの女子店員が声を掛け、会話を交すようにな る。でもパリにいる彼女を思う彼の心に揺るぎはない。 ところがある日、いつも留守電だったパリの彼女から電話が 掛かり、若者は別れを告げられてしまう。そこで慌てた若者 は、そば店の常連で不動産業を営む男にパリに行くための旅 費の借財を申し入れるが…、その替りに男からある仕事を頼 まれる。 そんなお話に、裏では怪しい仕事をしているらしい不動産業 の男の背景や、その男の甥っ子とその仲間、さらに彼らの怪 しい行動を追っている刑事などが絡んで、台北の夜の街を舞 台にした物語が展開される。 脚本と監督は、ボストン出身で南カリフォルニア大学大学院 の映画芸術学科に学んだというアーヴィン・チェン。元々中 国系だった監督が、2007年に死去したエドワード・ヤン監督 に師事するために台湾に移住。短編で実績を挙げての長編デ ビュー作となっている。 主演は、監督の短編にも出演していたジャック・ヤオと、台 湾でCMクイーンともいわれる人気者のアンバー・クォ。他 に、2007年『ラスト、コーション』などのクー・ユールン、 2007年9月紹介『花蓮の夏』などのジョセフ・チャン、芸歴 30年と言う歌手のカオ・リンフェンらが脇を固めている。 また本作では、ドイツ出身の監督ヴィム・ヴェンダースが製 作総指揮を手掛けたことも話題になっているようだ。 台湾製のこの種の青春映画も何本か観ているが、今までに観 た作品はいずれも、どこかに独特の雰囲気があったように感 じる。その雰囲気がこの作品では何となく希薄で、それは見 方を変えれば世界標準に近づいているようにも感じられると ころだが…。本作は台湾でも大ヒットしたとのことで、これ が新しい台湾映画ということになるのかも知れない。
『さくら、さくら』 1912年に日米友好の礎となるべくワシントンDCに贈られた 桜並木。その寄贈の立て役者の1人となった化学者・高峰譲 吉の生涯を描いた作品。 実は試写の前に宣伝担当の人から高峰譲吉を知っていますか と聞かれて、即座には判らなかった。しかしタカヂアスター ゼの発明者と聞いて記憶が甦った。それがどこで得た知識な のかは定かでないが、僕の次に来た同年配の評論家の人も同 様の反応だったようだ。 それで、僕らより若い宣伝担当者の人はタカヂアスターゼも 知らなかったそうだが、僕は昔好きだったテレビドラマ『日 真名氏飛び出す』や当時の三共製薬のCMの話などもして思 い出を伝えることが出来た。 その高峰譲吉は1854年に加賀藩御典医の長男として生まれ、 12歳にして長崎に留学の後、大阪医学校を経て東京の工部大 学校(後の東京大学工学部)を首席で卒業、さらにイギリス ・グラスゴー大学に留学、帰国して農商務省に入省した。 そして1886年には専売特許局代理として日本の特許制度の整 備に尽力、また化学肥料を開発して東京人造肥料会社(後の 日産化学)を設立、日本の農業を改革する化学肥料の普及に も力を注いだ。 その一方で、1884年のニューオリンズ万国博覧会には事務官 として派遣され、そこで知り合ったアメリカ人女性と婚約、 1887年に結婚して、日本人とアメリカ人による国際結婚の第 1号にもなっている。 さらにアメリカに特許出願した「高峰式元麹改良法」に着目 した酒造メーカーの誘いを受けて再渡米。他の酒造業者の反 発を買って研究所を焼き討ちされるなどの妨害も受けるが、 1894年にタカヂアスターゼを発明し、消化薬として大成功を 納める。 その他、止血剤としてのアドレナリンの開発や、黒部川の電 源開発、アルミニウム工業の推進などにも関ったとされてい る。その業績には、1922年の没後ニューヨークタイムズ紙に 追悼の社説が掲載されるほどだったとのことだ。 しかし現代の日本では、その業績を記憶している人もなかな か少ないのが現状のようで、本作はその業績を再確認する意 味でも期待される作品のようだ。
『幸せの始まりは』“How Do You Know” 1984年『愛と追憶の日々』で作品賞・監督賞・脚色賞のオス カー・トリプル受賞を達成したジェームズ・L・ブルックス が、2006年『ウォーク・ザ・ライン』でオスカー主演女優賞 を受賞したリーズ・ウィザースプーンを主演に迎え、2004年 “Spanglish”以来となる監督を含む3役手掛けた作品。 主人公は、オリンピックで金メダルを獲得したソフトボール アメリカ代表チームでキャプテンを勤めたリサ。しかし次期 代表チームへの選出は年齢的にも難しくなり、スポーツ一筋 だった人生を変えなければならなくなる。 とは言え、元々生き方に無器用な彼女はそう簡単に自分を変 えらるものではない。そんな時に彼女の携帯に掛かってきた のは、約束してもいないデートを男性側の都合で断るという 電話だった。それは彼の誠実さも表わしていたが… その男性ジョージは、父親から引き継いだ会社を経営してい たが、ちょっとしたトラブルが彼を襲い始めていた。それは 彼が父親の指示のままに結んだ契約が詐欺罪に問われたもの で、トラブルの広がりを恐れる会社側は彼の切り捨てを画策 している。 一方、リサはメジャーリーグのリリーフ投手とつきあってい たが、リサの境遇を心配した彼はセレブなマンションに一緒 に住むことを提案。そして引っ越してきたリサだったが、何 かがしっくり来ない感じだった。 そして会社の支援のないままに小さなアパートに引っ越した ジョージは、何となくリサに電話を架けてみるが… 出演は、リサ役のウィーザースプーンの他、ジョージ役には 2008年11月紹介『無ケーカクの的中男』などのポール・ラッ ド。またリリーフ投手役に2003年10月紹介『シャンハイ・ナ イト』などでお馴染みのオーウェン・ウィルスン。そしてジ ョージの父親役にはジャック・ニコルスンが扮している。 因に、リサのキャラクターはウィザースプーンに当て書きだ そうだが、コメディエンヌとして活躍する女優の資質が見事 に活かされた作品になっている。そしてそれは、人生の途中 でキャリアを変えなければならなくなった人を応援するよう な作品だった。
『唐山大地震』“唐山大地震” 1976年7月29日の深夜に、中国河北省唐山市を襲ったマグニ チュード7.8の大地震。それによって生活の全てを変えられ た一家の姿を、2008年10月紹介『戦場のレクイエム』などの フォン・シャオガン監督が追ったドラマ作品。 物語は、その大地震で離散した一家のその後の32年間を追っ たもの。ほぼ巻頭に描かれる大地震で夫を失い、さらに実子 で双子の姉弟のどちらか1人しか救えないと言われその弟を 選択した主婦=母親の女性と、その時に救って貰えなかった 姉弟の姉。 だがその姉は偶然に命を存え、救援隊=人民解放軍の兵士の 夫妻に養女として迎えられる。そして心に傷を負いながらも 必死に生涯を送って行く。しかしその生涯は、彼女がそのよ うな境遇だから故の運命にも翻弄されて行くことになる。 一方、息子と2人暮らしとなった母親もまた、自分の身代わ りとなった夫と、見殺しにしたと思い込む娘の供養のために 生涯を捧げてしまう。それは息子が事業に成功して裕福な暮 らしが許されるようになっても変ることはなかった。そんな 一家の32年間に渡る姿が描かれて行く。 シャオガン監督の作品は、2003年3月に紹介した『ハッピー ・フューネラル』以降、昨年日本公開された作品まではほぼ 全てを鑑賞し紹介してきたが、その作品はいずれもちょっと 特殊なシチュエーションでの人間の姿が巧みに描かれている と感じていたものだ。 その監督が、2007年3月紹介『女帝』ではワイヤーアクショ ンを採用し、本作ではVFXや、2000人とも言われるエキス トラを動員するなど、映像的に大掛かりな作品も手掛けるよ うになってきた。 しかし本作でも描かれているのは、大地震の被災者という特 別なシチュエーションの下での家族の姿であり、そのような シチュエーションだからこその、人間の心理や営みが巧みに 描かれているものだ。 というシャオガン監督の作品だが、実は本作に関して僕自身 は、特に映画の前半で何か居心地の悪さを感じてしまった。 それは単純に姉弟の弟が選択されて救助され、なお且つその 姉も救われているという展開が納得できなかったことにもよ る。 実際にこの映画に描かれた状況で何故姉は死亡と見做された のか、その前に弟が救出され姉が死亡したとされる救出現場 のシーンが映画の中では飛ばされていて、その状況を納得で きる説明がなされていない。 因に、本作にはチャン・リンという作家の原作小説があるよ うで、そこから2001年『山の郵便配達』などのスー・シャオ ウエイが脚色したものだが、上記のシチュエーションは字面 では誤魔化せても、映像だとかなり違和感に感じてしまうも のだった。 そして物語の根幹であるこの部分を疑問に感じると、僕は最 後までその違和感を引き摺ってしまったものだ。でもまあ、 一般の観客はそんなことには構わなかったようで、マスコミ 試写の前に行われたスニークプレヴューの報告によると、会 場は涙と絶賛の嵐だったそうだ。 その他にも本作では、地震に関連する一連のシーンに続いて 毛沢東の葬儀が描かれるが、これにも違和感があった。確か にこれは同年の出来事ではあるのだが、何故唐突に毛の葬儀 なのか説明はなく、これでは毛が地震の被災者のようにも観 えてしまう。 別の見方をすれば、地震被災者の葬儀より毛の葬儀の方が重 要だったとも取れるもので、8月紹介『超強台風』の超英雄 的な人民解放軍の登場はまだ理解のできる範囲だったが、今 回ばかりはここまで毛万歳の国なのかと思うと恐ろしくもな った。 とは言っても、一般の観客は多分これも気にはしないのだろ うし、映画が公開されたら上記した点は無視して後半の人間 の営みだけを観て欲しいものだ。 * * 最後に、12月5日付の『ウォール・スリート』の紹介文の 中に記載した“The Forbes Fictional 15”について、全容 が知りたいというお声をいただいたので、ベスト15のランキ ングだけ紹介しておく。 その2010年版で選ばれたのは: 1.Carlisle Cullen($34.5 Billion) 2.Scrooge McDuck($33.5 Billion) 3.Richie Rich($11.5 Billion) 4.Tony Stark($8.8 Billion) 5.Jed Clampett($7.2 Billion) 6.Adrian Veidt($7.0 Billion) 7.Bruce Wayne($6.5 Billion) 8.Tooth Fairy($3.9 Billion) 9.Thurston Howell �掘�$2.1 Billion) 10.Sir Topham Hatt($2.0 Billion) 11.Artemis Fowl($1.9 Billion) 12.Montgomery Burns($1.3 Billion) 13.Chuck Bass($1.1 Billion) 14.Jay Gatsby($1.0 Billion) 15.Lucille Bluth($950 Million) 個人的には第11位の選出が嬉しいところだが、いきなり第 1位に飛び出したカレン家のお父さんなど、今後も変動は激 しそうだ。なお詳細は、上記の項目で検索すればオリジナル のサイトが見付かると思うので、直接ご参照下さい。
| 2010年12月19日(日) |
ナンネル、ネスト、ミツバチの羽音と地球の回転、ホームカミング、多田便利軒、サビ男サビ女、毎日かあさん、かぞくはじめました |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ナンネル・モーツァルト/悲しみの旅路』 “Nannerl, la soeur de Mozart” 幼い頃から神童と呼ばれていたヴォルフガング・アマデウス ・モーツァルトの姉で、演奏旅行に同行し共演もしていたマ リア・アンナ、愛称ナンネルの生涯を描いた作品。 モーツァルト姉弟の父親レオポルドは優れた音楽指導者であ り、その指導の許で姉弟は優れた才能を発揮して行く。とこ ろが年齢が進むに従って父親の指導は弟中心となり、姉には 弟の伴奏の役目しか与えられないようになって行く。 それは、特に父親の弟に対する作曲の指導では顕著となり、 「女性は作曲などするものでは無い」の一言で、彼女にはそ の手解きすら教えられなかった。しかし彼女の頭の中にはさ まざまな音楽が満ち溢れていた。 そんな彼女の才能は、ある切っ掛けでフランス王家の家族た ちと親しくなったことから、やがてその才能を認めた王太子 の勧めで曲を書き上げ献上することにもなるのだが…。それ は悲劇にも繋がっていった。 音楽界には『ナンネルの楽譜帳』というものが実在している ようで、それは父親が弟のために作曲し練習に使わせていた 楽譜帳ということになっているそうだが、本作はのその辺の 事情からインスパイアされて作られたもののようだ。 またナンネルがヴォルフガンングと共に演奏で天分を発揮し ていたことは事実で、さらに弟が姉の才能を認め信頼を寄せ ていたことも事実のようだ。従って本作の物語が全くの虚構 ということも、またできないものになっている。 ただし、ナンネル自身の作品曲というのは全く残されていな いようで、その事情は本作に描かれたものであるのかも知れ ないが、その点では本作の中にその曲を含めて創作の部分は 数多く存在はしている。 しかし時代に翻弄され、その時代の中に埋もれていった女性 というのは数多くいたのだろうし、その中の1人としてナン ネルの存在があったとしても、それは全くおかしくはないも のだ。 製作・脚本・監督は、2000年『夕映えの道』などのルネ・フ ェレ。その監督はナンネル役に娘のマリーとフランス王家の ルイーズ役にも娘のリザを起用し、家族ぐるみの作品という 感じになっている。 またヴォルフガング役には、11歳でパリの国立音楽院に学ん でいるというヴァイオリニストのダヴィッド・モローを起用 して、劇中で素晴らしい演奏を聴かせてくれるのも見所と言 えそうだ。
『ネスト』“The New Daughter” 日本には2005年に長編『奇怪な果実』などが紹介されている アイルランドの作家ジョン・コナリー原作による未訳の短編 小説からの映画化。 妻に家出されてノースカロライナの自然に包まれた一軒家に 引っ越してきた作家と、その娘と息子の一家を謎の現象が襲 い始める。それには庭の向こうに堆く築かれた塚に原因があ るようなのだが…。やがてその家で過去に起きた悲劇などが 判明してくる。 監督は、2008年3月紹介『●REC』の脚本家のルイス・ペ ルデホ。短編映画の監督では数多くの受賞歴もあるスペイン の俊英が、いきなりアメリカでの長編監督デビューを飾る。 脚色は、2008年にも学園物のホラー作品の脚本を担当してい るジョン・トラヴィス。 主演はケヴィン・コスナー。それに2007年4月紹介『パンズ ・ラビリンス』に主演していたイヴァナ・バクェロ、2008年 12月紹介『チェンジリング』でアンジェリーナ・ジョリーの 息子を演じていたガトリン・グリフィスが共演。 他に、2004年9月紹介『パニッシャー』にも出演していたと いうサマンサ・マチス、2001年『ララ・クロフト/トゥーム レイダー』とその続編にも出ていたノア・タイラー、2000年 『U−571』などのエリック・パタディーノらが脇を固め ている。 また、2004年3月紹介『コールド・マウンテン』などの脇役 のジェームズ・ギャンモンが重要な役柄で出演しているが、 本作が遺作になったそうだ。 宣伝からスーパーナチュラルと銘打たれている作品で、アカ デミー監督賞も受賞しているコスナーには役不足かとも感じ させるが、『ウォーターワールド』や『ポストマン』にも主 演したコスナーは、本当にこのような作品が好きなのだと思 わせる。 ただまあ、作品のテーマには先住民というようなニュアンス も含まれるから、『ダンス・ウィズ・ウルブス』のコスナー にはその辺での興味は引かれたのかも知れない。とは言って も、本作がサスペンスホラーであることに変わりはないのだ が。 ペルデホの演出は、特に目新しいところはあまり感じなかっ たが、父親と子供たちの関係を丁寧に描いてそれなりに自然 な感じの作品に仕上げられている。その自然さの中に超常現 象が忍び寄ってくる感覚で、それはリアルに感じられた。
『ミツバチの羽音と地球の回転』 2003年『ヒバクシャ−世界の終わりに』、2006年『六ヶ所村 ラプソディー』という作品を発表している鎌仲ひとみ監督に よる原発=核問題を扱ったドキュメンタリーの新作。 山口県熊毛郡上関町祝島。瀬戸内海でも有数の漁場とされる 周防灘と伊予灘の境界に位置し、万葉集にも登場する歴史の ある漁業と有機農業を主産業とする地域。しかしその対岸の 田浦に上関原発の建設が発表された。 それに対して島民たちは、温排水による漁場への影響と風評 被害による農産物への影響を心配して原発建設への反対運動 を展開するが…。建設を推進する町議会への傍聴も拒否され たまま、建設計画は着実に進行して行く。 チェルノブイリやスリーマイル島の災害以降、原発について は数多くの問題点が指摘され、世界の多くの国々で脱原発の 動きや、原発拒否とは行かないまでもその見直しが進められ ている中で、日本だけは未だに原発推進の一本槍で政策が進 められている。 それはアメリカ主導の原発が、その技術移転などで米GE社 に多大な利益をもたらし、その見返りが議員らに還流される 以外の理由は全く考えられないのだが、日本の政治家や役人 は甘い汁を吸うだけで、それが国家にもたらす不利益などは 一顧だにしないのが現実だ。 さらにそれは、本作でも指摘されている電力事業の自由化を 妨げ、諸外国ではすでに実用化されているグリーン電力の開 発を妨げる効果も生み出している。それによって日本では原 発以外の電力の開発は不可能にされ、それが原発推進の旗印 にもなっている。 そんな日本のエネルギー政策の矛盾を見事に描き切った作品 と言える。そこには祝島の漁業に対する影響の問題から、グ リーン電力を実践する北欧での取り組みなども丁寧に取材さ れ、わざと耳を塞がない限り誰にでも理解できるように描か れたものだ。 なお、本作は上記の2作に続く3作目という位置付けになっ ているが、実は前作を観ていない僕にも何の支障もなく理解 することができたもので、その意味では本作だけでも出来る だけ多くの人に観てもらいたいと思うところだ。 それにしても役人の横暴は今も昔も全く変っておらず、民衆 の声を届かせるのはなまじの努力ではできないことも、本作 を観ていてつくづく感じさせられた。因に題名は、「小さな ミツバチの羽音でも地球の回転に影響を与えている」という 想いで付けられているそうだ。
『ホームカミング』 テレビのヴァラエティ番組などでお馴染み高田純次の映画初 主演によるサバーバン・コメディ。 主人公は大手商社を部長で退職した男性。彼は郊外の住宅地 に2世帯住宅を建てて住んでいるが、数10年前に開発された 「ニュータウン」も、今では子供の独立した親たち=高齢者 ばかりの黄昏の町だ。 そして主人公の息子も、都心にマンションを持つ女性と婚約 したとかで家には戻って来ないと言い出す。歴史も伝統もな く、人工的に作られたその町には帰るべき故郷としての思い 出もないのだ。 ところがその町で暫く駐在の居なかった交番に、新しく若い 婦警の駐在さんが赴任してくることになる。それで俄に活気 づいた主人公たちだったが、その直後から警察が怪しい動き を見せ始める。 その一方で主人公は、息子から思い出がないと言われた町に 思い出となる祭りを始めようと思い立ち、その想いは徐々に 周囲の人たちを巻き込んで行くが…。そこには住人たちの無 関心など、いろいろな難関も待ち構えていた。 共演は、黒部進、森次晃嗣、桜井浩子。この辺でおやおやと 思った人には、ついでに音楽が冬木透、撮影が稲垣涌三、美 術が池谷仙克と続く。つまりこれは『ウルトラ』シリーズの 同窓会のようなメムバーだ。 というのも本作の脚本と監督は、『ウルトラQ』などを手掛 けた飯島敏宏。円谷プロの後は木下恵介プロダクションにも 所属した監督には、高橋惠子、秋野太作、竜雷太、林隆三、 高橋ひとみ、島かおりといった面々も集まっている。 さらにTVK系のドラマに出演していた麗奈がマドンナ役に 大抜擢の他、堀内正美、木野花、中原裕也、青山草太らが脇 を固めている。 なお映画の企画は、飯島監督に新作映画を撮らせたいという プロデューサーの想いから始まったそうで、当初監督からは 怪獣も出てくるメルヘンな脚本が提示されたが、もっと地に 着いた作品ということで監督の実体験に基づく本作の脚本が 完成されたそうだ。 その物語は、現実にもありそうではあるが、それでいて普通 ではないかも知れない、そんな微妙なバランスが見事に取ら れた作品だった。さらにその細部まで練り込まれた脚本や、 特に主演の高田純次がテレビでは観られない「演技」を観せ てくれるのも楽しい作品だ。
『まほろ駅前・多田便利軒』 2006年第135回直木賞を受賞した三浦しをん原作を、瑛太、 松田龍平の共演で映画化した作品。 東京の郊外、恐らくは町田と思われる私鉄の駅前で便利屋を 開業している多田と、その多田が幼い頃に負傷させた負い目 を持つ相手の行天。その行天がとある経緯で多田の住居兼事 務所に転がり込んできたことから物語は始まる。 脚本と監督の大森立嗣の作品では、数年前の東京国際映画祭 コンペティションに出品されたデビュー作を観ているが、そ の年は唯一その作品の紹介文をサイトにアップしなかったも のだ。それはこちらの神経を逆撫でするような監督の作風に も拠るものだった。 その監督の第2作は、試写状が来なかったのを幸いに観に行 かなかったが、実はデビュー作も併せて世間の評判は高かっ たようだ。ということで今回は以前に観た作品の印象は気に はしながらも試写会に出席した。 それで今回の作品を観ての印象は、正直に言ってしまえばデ ビュー作のときと変らないようにも感じたが、デビュー作の ときに特に気になった特定の事象に向けられた悪意のような ものはなく、全体的にはスマートな作品になっているように も思えた。 そこにはまた、弱者に対する優しさみたいなものも感じられ て、特に映画の中盤から後半にはそのような内容が丁寧に描 かれていたように感じられた。それは多分原作の存在にも拠 るのだろうが、決して暖かくはないが優しい眼差しが感じら れたものだ。 それは一方で、単純に暖かくしてしまったのでは現代の殺伐 として社会の中では却って不自然に見えてしまうものかも知 れず、その点でこの作品は見事に現代の日本映画ということ なのだろう。ただし僕自身にはあまり容認したくないところ もあるのだが。 物語は軽くもないし甘くもない。それが多分現代の日本の姿 なのだろう。それはまた、気分が落ち込んだときに観たら取 り返しの付かないことになってしまいそうな、そんな気分に もさせられる作品だった。そんな気分が見事に描き出された 作品とも言える。 主演の2人以外には、大森南朋、松尾スズキ、麿赤兒、高良 健吾、岸部一徳、鈴木杏、本上まなみ、三浦誠己らが脇を固 めている。
『サビ男サビ女』 今までにも何度か紹介している映画学校=ニュー・シネマ・ ワークショップ(NCW)のプロデューサーコースで学ぶ生 徒さんたちが実習として製作した作品。 監督コースのMovie-Highの作品は2008年6月に紹介したのが 最後になっていると思うが、映画プロデューサーコースの作 品では昨年2月紹介した『非女子図鑑』が最初の作品で、本 作は第2作になるものだそうだ。 そして前作では「非女子」というテーマで6本の短編作品が 製作されたが、今回も「前振りなしで突然サビから入ってし まう」という、やはり世間の枠を多少食み出した男女が主人 公の4作品が製作されている。 その作品の1本目は、2007年10月紹介『全然大丈夫』の藤田 容介監督、今年6月紹介『最後の忠臣蔵』の桜庭ななみ主演 による『ハゲマシガールズ』。何かに行き詰まっている人を 見付けると誰でもチアしてくれる桜庭をリーダーとする女性 たちを描くものだ。共演は女性お笑いコンビのたんぽぽ、他 に荒川良々らが出演している。 2本目は、1998年『毒婦マチルダ』などの松梨智子監督、今 年9月紹介『大奥』の中村蒼と2008年NHKドラマ『七瀬ふた たび』の蓮佛美沙子共演による『Boy? meets girl』。憧れ の女子に接近するため女装した男子が、カメラマン志望の彼 女のモデルになることに成功するが…。他に、今年2月紹介 『後ろから前から』の草野イニらが出演している。 3本目は、2006年11月紹介『酒井家のしあわせ』などの呉美 保監督、その『酒井家…』にも出ていた友近の主演で『くれ えむないと!』。帰宅したOLが料金滞納で電気を切られ、 電力会社に電話を掛けるが、今度はそのオペレーターの対応 が悪いと腹を立て始め、そのクレームがどんどんエスカレー トして行く。共演は吉本所属の福田転球。 4本目はCF作家の関口現監督、小泉今日子の主演で『せび ろやしき』。前の家では拾ってきた猫を22匹も飼って近所か らの苦情で引っ越したという女性が、リストラされたが家人 に言えず、公園で行き場を失っている背広姿の男性を見付け て…。共演は、森下能幸、堀部圭亮、田中哲司ら。 何れも、それなりに常識を逸脱しているかも知れない男女の 行動を描いた作品だが、それぞれの主人公たちの想いは純粋 で、その点で理解できる作品に仕上がっている。また短編と しての纏まりも良い4作品だった。
『毎日かあさん』 2004年の文化庁メディア芸術祭賞などを受賞している西原理 恵子原作漫画の映画化。因に毎日新聞での連載は日々の生活 を描いたもののようだが、映画では元戦場カメラマンでその トラウマからアルコール依存症になった夫鴨志田穣との生活 を中心に描いている。 実話に基づく同じ一家の話は、今年10月紹介『酔いがさめた らうちに帰ろう』でも描かれていたが、その作品は鴨志田原 作によるもの、それが今回は西原の側から描かれている。従 ってその視点の違う2つの作品の描き方なども気になる作品 であった。 物語は10月の作品とほぼ同じものが描かれる。それは深酒に よって何度も吐血しながらも断酒出来ない夫を見かねてつい に離婚を決意した妻と、その不退転の決意を見て断酒に成功 する夫の物語。しかし夫の身体はすでに取り返しのつかない 状態になっていた。 そしてその時、離婚した妻の取った行動は… この物語が、10月紹介の作品では幻覚を伴うアルコール依存 症の恐ろしさなどと共に、いろいろヴァラエティに富んで描 かれていたものだが、本作の妻側からではそれを描くことは 出来ず、そこには原作に基づく育児などの生活のエピソード が挿入されている。 ただしその日々のエピソードには、西原流のかなり毒のある 言い回しも一杯に振り撒かれている。それでその毒のある描 写が僕にはなかなか容認できないのだが、それが世間では受 賞をするほどに高い評価になっているようだ。 主演は、小泉今日子と永瀬正敏。実生活でも2004年に離婚の 経緯のある2人が、2007年1月紹介『さくらん』で同じ映画 に出演したことはあるが、今回は夫婦及び離婚した夫婦役で 本格共演を果たしている。 他には、正司照枝、古田新太、大森南朋、田畑智子、鈴木砂 羽、柴田理恵、北斗晶、安藤玉恵、遠山景織子、光石研らが 共演。また矢部光祐、小西舞優の2人の子役が夫婦の子供た ちを演じている。 10月の作品では、浅野忠信演じる夫の視点から永作博美演じ る妻の姿が実に愛らしく描かれていたが、妻本人の立場から ではそうは描かない。それは、恐らくは本作の方が真実に近 いものなのだろうが、厳しく重い内容の作品だ。
『かぞくはじめました』“Life as We Know It” ひょんなことから嫌っている者同士が一つ屋根の下に暮らさ なければならなくなるというシチュエーションを描いたファ ミリードラマ。 物語の中心は、小さなベーカリーを経営しながら招来はその 店をレストランにしたいと夢見ている女性と、プロデューサ ーからの信頼も厚くなりスポーツ番組のディレクターとして 一人前になることが現実になり掛かっている男性。 そんな2人が共通の友人である夫婦の手引きでデートをする ことになるのだが、まだまだ恋愛に夢を持っている女性と、 1時間も遅刻した上に全てががさつな男性との出会いは、食 事にも行けないままの最悪の結果となる。 それでも2人は友人夫婦に誕生した子供の名付け親になった り、その誕生パーティにも招かれたりと、顔を合わせる機会 は続くが一度付いた印象が変ることはない。ところがそんな 2人が一緒に暮らさねばならなくなる。 しかもそこには赤ん坊もいる状況。それでも2人はお互いの 生活には干渉せず、赤ん坊の世話はお互いのスケジュールを シェアしながら、それぞれが別々の恋愛や仕事に邁進して行 くのだったが…。 嫌っている者同士が否応なしに一緒に時を過ごさなければな らなくなる…。そんな物語もハリウッド映画の定番の一つか も知れない。しかしそんな定番物語の中でも、本作が描くス トーリーは抜群のものと言えそうだ。 しかもそこに至る物語の展開の見事さ。本作ではそれが現実 にも起こりそうに無理なく描かれていた。今までに映画でも いろいろな家族の形を観てきたが、本作では脚本も演出も極 上のドラマを堪能させて貰えた感じだ。 監督は、来年6月公開予定のDCコミックス映画化“Green Lantern”にも起用されているグレッグ・バーランティ。脚 本も新人のイアン・ドイッチマン、クリスティン・ラスク・ ロビンスンのコンビによるものだが、彼らもアシュトン・カ ッチャー主演の新作に起用が決まっているそうだ。 出演は、2009年8月紹介『男と女の不都合な真実』などのキ ャサリン・ハイグルと、『トランスフォーマー』シリーズな どのジョッシュ・デュアメル。他に、2006年5月紹介『ポセ イドン』などのジョッシュ・ルーカス、今年8月紹介『レオ ニー』に出演のクリスティナ・ヘンドリックスらが脇を固め ている。 映画を試写で観させて貰うことで一番嬉しいのは、全く予備 知識なしで作品を観られることだと思う。本作もそのように 観ていてその展開の素晴らしさに感動した。出来るだけ予備 知識なしで観てもらいたい作品の1本だ。
| 2010年12月12日(日) |
RED、男たちの挽歌、トロン:レガシー、ウルトラマンゼロ、学校をつくろう、わが心の歌舞伎座、KG+ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『RED/レッド』“Red” ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ジョン・マル コヴィッチ、それにヘレン・ミレンの共演によるアクション 作品。2003−2004年にDCコミックスから3回に分けて発行 されたが、全部で66ページしかないというグラフィック・ノ ヴェルの映画化。 物語の主人公は、引退した元CIAのフランク。悠々自適の 年金生活だが家族はなく、現在の楽しみは年金担当者の女性 に小切手が届かないと電話をしてそのまま世間話をすること ぐらいという、ちょっと寂しさもある暮らしぶりだ。 その電話を受けているサラも、実はその仕事に飽き飽きして いたが、ある日フランクから「そちらに行く用事があるから 会わないか」との誘いを受ける。その誘いに愛読するロマン ス小説のような危険な情事を夢見てしまうサラだったが… その当日、いきなり彼女の自宅に現れたフランクは有無も言 わさず彼女を拉致、正に危険窮まりない旅に彼女を連れ出し た。ただしそれは、フランクを抹殺しようとするCIAの陰 謀に巻き込まれた彼女を守るためのもの。 こうして、彼女の家への攻撃を辛くも逃れたフランクとサラ は、フランクの昔の仲間だったジョーやマーヴィン、それに ヴィクトリアらと合流して、CIAが仕掛ける陰謀と対決し て行くことになる。 共演は、2008年『スパイダーウィックの謎』で母親役を演じ ていたメアリー・ルイーズ=パーカー。さらにブライアン・ コックス、アーネスト・ボーグナイン、リチャード・ドレイ ファスといった顔触れで、ちょっと年齢層の高いアクション ドラマが展開される。 因に題名は、Retired Extremely Dangerousの略となってい るものだ。 その他には、2009年の『スター・トレック』でマッコイ役の カール・アーバンらが脇を固めている。監督は、2009年9月 紹介のファンタシー『きみがぼくを見つけた日』などのロベ ルト・シュヴェンケ。 8月に紹介した『ナイト&デイ』の向こう張るような巻き込 まれ型のスパイアクションで、まあ荒唐無稽と言ったらそれ までの作品だが、ミレンが実に嬉しそうにマシンガンを撃ち 捲っていたり、フリーマンのひょうひょうとした演技など、 観ているだけで楽しくなった。 それに陰謀の規模が、なるほどそれならと思わせる辺りなの も気に入ったところだ。DCコミックスの原作には前日譚が あるようだが、映画は続編も作れるのかな…
『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』“무적자” 『レッド・クリフ』などのジョン・ウーが1986年に監督した 「香港ノワール」の元祖とも言われるオリジナルを、自らの 製作総指揮により韓国でリメイクした作品。 原作の後にハリウッドに進出したウー監督には、その出世作 のリメイクの話は世界中の映画会社から寄せられていたのだ そうだ。その中からウー監督自らが脚本を厳選し、映画化に 踏み切ったのがこの作品ということになる。 その物語は、展開としてはオリジナルとほぼ同じだが、主人 公の兄弟を北朝鮮からの脱北者という設定にして、韓国の国 情に合わせたものになっている。ウー監督は、特にこの兄弟 の設定にも心を引かれたとのことだ。 その兄弟は一緒に脱北しようとしたものの離れ離れになり、 兄だけが韓国に脱出。その後に弟も脱北はするが、すでに兄 はヤクザの道に入っていた…という展開。しかもその再会も 束の間、兄は密輸の取り引きに向かった海外で逮捕収監され てしまう。 一方、弟は脱北の際の経緯などから兄に対しては強い恨みを 持っていたが、その弟は兄とも親交のあった警察官の許で暮 らし、自らも警官を目指して行くことになる。そして刑事と しての実績を上げ始めた頃、兄が海外での刑期を終えて帰国 してくる。 ところが、以前に兄のいた組織は当時は駆け出しだった男に 支配されており、特に兄の弟分だった男はパシリのような生 活に落ちぶれていた。そんな状況で兄は堅気になることを決 心するのだが、新たな支配者は邪魔な兄とその弟分を始末し ようと考えていた。 物語の展開自体は、オリジナルとほぼ同じと言って良い。ま あちょっとした違いはあるが、それは映画を観てのお楽しみ というところだろう。そこに本作では、脱北者という設定が 加わる訳だが、さて韓国の人以外にこれがどのように受けめ られるものか。 それは兄弟の一方がヤクザ、他方が警官という設定の根拠と してはオリジナルより現実的な感じもするが…。何かこの物 語については、僕の中で違和感のようなものも感じていた。 その違和感が何故生じるかは、実は僕自身もよく判らないの だが。 出演は2009年11月紹介『霜花店』などのチェ・ジンモ、今年 11月に紹介した『食客2』のオリジナル版に主演のキム・ガ ンウ、10月紹介『ゴースト』に主演のソン・スンホン。監督 は2004年『力道山』などのソン・へソンが担当している。 また、エンドクレジットに流れる主題歌を日本のCHEMISTRY が担当しており、この歌は日本版では日本語だが、海外では 韓国語で吹き込まれているそうだ。 なおオリジナルの原題は『英雄本色』。『男たちの挽歌』は 日本のみでの題名で、添えられた“A Better Tomorrow”は オリジナルの英語題名だったものだ。また今回のハングルの 原題は、漢字では『無籍者』となるようだ。
『トロン:レガシー』“Tron Legacy” すでに9月に『美女と野獣3D』と共に7分間のフッテージ と、10月には20分間の特別フッテージを紹介し、前回は記者 会見の報告もしたディズニー最新作の全編の3D試写がよう やく行われた。その報告しよう。 その全編を観ての感想は、まずは予想通りというか、期待し ていた通りの見事な迫力で電脳世界が描かれていた。それと 期待以上だったのが音響と音楽で、全身を圧するように轟く サウンドには、久し振りに音を感じる心地よさがあった。 その音響は、現代エレクトロミュージックの雄と言われるダ フト・パンクの音楽と、それに負けじと頑張った音響担当者 たちの見事なコラボレーションが、単純に耳を聾するのでは ない、心地よいサウンドを作り上げている。 この音響の心地よさを感じると、イヤフォンやヘッドフォン だけで音楽を聞いているつもりの、電車の中でシャカシャカ 言わせている連中が哀れになる。音楽とはやはり全身で聞く ものだということがよく判るサウンドの素晴らしさだった。 物語は、10月紹介のフッテージで予想した以上に現実世界で のアクションなどもしっかりあって、特に今回の主人公サム の立場や、その父親フリンとの関係などがかなり丁寧に描か れていた。 その一方で電脳世界と現実世界の関り方については、オリジ ナルの時にもあやふやだったが、それは今回も充分には説明 されておらず、SFとしては多少不満は感じる。とは言え本 作はゲーム感覚のアクションを楽しむものだから、映画的に はこれで充分だろう。 映像は『アバター』と同じくデジタル・ドメインがVFX担 当しているから、それはキャメロン作とは異なる映像が展開 されるものだが、こちらも欲を言えばもう少し都市の内部も 見せて欲しい感じもした。 それはサムが電脳世界に到着した直後に少しだけ見られるも のだが、できればその空間でのアクションや、迫力のゲーム が展開される闘技場と荒野との間での、プログラムたちの普 段の暮らしなども見せて欲しかったところだ。 でもまあ、本作はすでに上映時間2時間7分の作品だから、 これ以上のものを描くのは難しかったのかな。因に3D効果 は、その上映時間でも大丈夫な程度の描き方になっていたよ うだ。なお、スタッフ・キャスト等の情報は以前の記事を参 照してください。
『ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!べリアル銀河帝国』 昨年11月に紹介した『大怪獣バトル/ウルトラ銀河伝説THE MOVIE』に続くウルトラマンシリーズの最新作。 物語は、強大な勢力の敵に襲われている惑星から始まる。そ こは大きな資源を持つ豊かな星だったが、突如襲ってきた敵 の前にはなす術もなかった。だがその危機の星から1人の王 女が鏡の巨人の助けで辛くも脱出に成功する。 一方、ウルトラマンたちの光の国にも謎の強敵が現れ、撃退 はしたものの大きな被害を受ける。そして敵の残骸からその 本拠が別宇宙にあると判るのだが、その別宇宙に向かうには ウルトラマンたち全員の力を集めても1人を送り込むのが限 界だった。 その使命にウルトラセブンの息子で前作に初登場した新ウル トラヒーローのウルトラマンゼロが志願。その腕にはもしも の時のためのエネルギーと帰りの道標となるブレスレットが 装着され、ゼロは別宇宙に向かうことになる。 こうして別宇宙に到着したゼロは、いきなり敵に襲われてい る惑星に遭遇し、そこで瀕死の重傷を負った若者を助けるた めその身体に乗り移る。そしてその若者の姿を借り、時には ブレスレットの力でウルトラマンに変身して敵と戦って行く が… やがてその敵は、これも前作に初登場した悪のウルトラマン ・ベリアルと判り、ゼロはその別宇宙を守ってきた炎の巨人 や鏡の巨人、それにメカの巨人ら共に宿命の対決に挑んで行 くことになる。 前作は、過去シリーズに登場したウルトラマン及びウルトラ 怪獣の総登場というコンセプトだったが、今回はさらに『ミ ラーマン』『ファイヤーマン』『ジャンボーグA』という円 谷プロ製作の他のシリーズの巨人たちも結集する作品になっ ていたようだ。 しかもその活躍の舞台を別宇宙に設定した辺りは、それなり のアイデアと言える。ただ物語の展開で、ゼロがその世界か らの退路を絶つか否かにはそれなりの葛藤があるはずで、そ の辺をもう少し明確に描いて欲しかった感じはした。 それは多分そのための伏線も用意されていたと思うのだが、 その設定などが活かし切れていない感じがしたものだ。特に ゼロのエネルギー補給に関しては重要なテーマでもあるし、 もう少し何かドラマがあっても良さそうな感じもした。 出演は、2009年8月紹介『大洗に星はふるなり』などの小柳 友、テレビ『竜馬伝』で竜馬の幼い頃とその姉を演じていた という濱田龍臣と土屋太鳳。他にきたろう、ベンガル、平泉 成らが出演。 また、声の出演では歴代のウルトラマンたちが勢揃いし、べ リアルの声は前作に引き続き宮迫博之、ナレーションは石坂 浩二が担当している。脚本と監督はVFX出身のアベ・ユー イチ。なお前作はワーナーが配給を担当したが、本作ではま た松竹に戻ったようだ。
『学校をつくろう』 専修大学創立130周年記念映画と銘打たれた作品。明治13年 (1880年)専修大学の前身である専修学校を開いた相馬永胤 らの開校に至るまでの活動が描かれる。 明治4年、彦根藩士の相馬は大阪陸軍兵学校を目指すが、痔 持ちのために不合格に終る。そこで薩摩の西郷隆盛を訪ねた 相馬は、日本の将来のため若者は外国に行くべしと諭され、 彦根藩の藩費留学生として英語もできぬまま渡米する。 そしてそこでも士官学校を目指すが外国人の入学は認められ ないと断られ、兵法が駄目なら法律か経済を学ぼうと決意。 ところが猛勉強の結果成績は優秀なるも目を煩い、途中から 官費に切り替えられた留学の学費を断切られてしまう。 それでも彦根藩井伊家の支援なども受けて頑張り通した相馬 はコロムビア大学に進学。そこで生涯の盟友たちとの出会い を果たす。やがて相馬らはアメリカで「日本法律会社」を設 立。不平等条約に苦しむ日本を救うために法律家を育てるこ とを目標とする。 そして帰国後はアメリカで得た資格を基に弁護士(代弁人) 事務所を開き、外国人との係争に対する日本人顧客への支援 を行う傍ら、日本人に日本語で法律や経済を教える専修学校 の設立に邁進する。 という専修大学の前身校開校までの経緯が描かれるが、それ は特に艱難辛苦と言うものではなく、いや実際は語学の習得 などもっと大変だったのではないかと想像されるが、映画で はあえてそれを描かず、それよりも理想に燃える若者たちの 姿が描かれている。 この描き方は、旧来の日本映画では無理矢理『おしん』的な 苦労話を描いたところかも知れないが、今の時代にはこの方 がすっきりとして、特に大学に理想などの指針が明確に出て いる点では正しい描き方と言えるだろう。 まあそれは、大学の関係者以外には、多少見どころに欠ける 印象になるかも知れないが、それは仕方のないところだし、 僕には理想に燃える明治の先人たちの姿が心地よく見られる 感じがしたものだ。 出演は、相馬役に2月紹介『RAILWAYS』などの三浦 貴大。それに柄本時生、橋本一郎らの2世タレントと、映画 『遠き落日』などに出演の池上リョヲマが学校創設者の4人 を演じている。 他に近衛はな、角替和枝、佐々木すみ江、神山繁、山本圭、 宅麻伸、永島敏行らが共演。さらに樫山文枝がナレーション を務めている。脚本と監督は、2008年5月紹介『最後の早慶 戦』などの神山征二郎が担当した。 まあ、基本的には専修大学の関係者が観れば良い作品ではあ るが、明治の先人たちの頑張る姿を観ることで、何か現代日 本人にも得られるところがあるかも知れない、そんな感じの 作品ではあった。
『わが心の歌舞伎座』 今年4月末日に閉場した木挽町歌舞伎座のさよなら公演の舞 台を中心に、現代の歌舞伎役者たちの歌舞伎座に寄せる思い やその歴史などを綴ったドキュメンタリー。 閉場した歌舞伎座は昭和26年に再建された4代目の建物だそ うで、そこに至るまでの歴史や、普通では観られないその内 部の施設なども紹介されている。さらに舞台転換の様子やロ ビーで行われる通し稽古、開場前のセレモニーなど歌舞伎座 の全てが描かれる。 という歌舞伎座の全てが観られるドキュメンタリーになって いるが、何と言っても作品の中心となるのは、現代の名優た ちが歌舞伎座のそれぞれの場所に立って、さまざまなその想 いを語るインタヴューだ。 そこには中村芝翫、中村吉右衛門、市川團十郎、中村梅玉、 坂東玉三郎、中村富十郎、中村勘三郎、松本幸四郎、片岡仁 左衛門、坂田藤十郎、尾上菊五郎といった錚々たる顔触れが 登場し、題名通りの歌舞伎座に対する想いを語ってくれる。 それは芸に対する想いであったり、自らが継ぐ名跡への想い であったり、先人や裏方さんたちへの想い、さらには初舞台 の思い出など、見事にヴァラエティに富んだ想いが語られ、 さまざまな角度から歌舞伎座が語り尽くされている感じのす るものだ。 またそれと共にそれぞれの役者たちの公演のハイライト場面 なども挿入され、舞踊『藤娘』から『勧進帳』『仮名手本忠 臣蔵』に『野田版鼠小僧』までその数30演目は、正に歌舞伎 が堪能できる仕組みにも作られている。 さらにそこにはインタヴューに登場しない市川猿之助、中村 雀右衛門の公演の場面や、初代松本白鸚、初代尾上辰之助、 二代目尾上松緑、十七代目中村勘三郎ら、戦後の歌舞伎座を 彩った名優たちの姿も再現される。 監督は、ルーカスフィルムやスティーヴン・スピルバーグの ドキュメンタリーも制作したという十河壯吉。その優れた感 覚が歌舞伎座の全てを描き出している感じの作品だ。しかも それを小難しく語るのではなく、実に親しみやすい感覚で描 かれた作品だった。 上映時間は2時間47分の大作だが、倍賞千恵子のナレーショ ンと共に心地よい時間が過ごせた感じがした。
『KG』 琉球少林空手道月心会で黒帯(二段)を持つという武田梨奈 主演による2009年『ハイキック・ガール!』に続くリアルア クション作品。 主人公は幼い頃から伝説の空手家の血を引く父親に鍛練され てきた少女。しかし彼女は、その父親を殺され、妹を拉致さ れた日から空手家の正体を隠して過ごしてきた。ところが、 ある切っ掛けでその正体が明らかにされてしまう。 一方、彼女の父親を殺し妹を拉致した一味は空手を悪用した 暗殺者を養成し、世界中の政府やテロ組織にもその暗殺者を 供給していた。その一味は彼らの強さのシンボルとして、彼 女の父親を消すことと彼の持つ伝説の黒帯を奪うことが必要 だったのだ。 それと同時に、その父親の血を引く主人公の存在も邪魔にな る一味は、その存在が明らかになった彼女の命を狙い始める が… というお話だが、まあ本作の場合は主演の武田自身が演じる リアルな空手アクションを見せるのが狙いだから、お話の方 はその繋ぎというか、出来るだけ簡潔に描くことは考えられ ているのだろう。映画は正にアクションの連続という感じに はなっていた。 そのアクションは、CGIなしワイヤーなしの正にリアルア クションで描かれたもので、それは観ていればストレートに 判るところだが、さらにエンディングに添えられたmaking映 像で、本当にやっていることが確認できるのも見事なものだ った。 ただまあ、お話は添え物とは言ってもそれなりに膨らまして は欲しいもので、例えば妹が一味の配下になっている理由と か、一味のボスの裏切りを知った外国人空手家の存在や、何 より締め括りは大ボスと闘って欲しい感じもした。 とは言え本編の配役及び設定の許では、最後にボスと闘うの はちょっと難しいが、そこに何か一捻りアイデアが欲しかっ たかな。でもそれは、この手の格闘家主演でボスにそれなり の俳優を起用した作品では、昔から常に問題になってきたも のではあるが…。 共演は、3月紹介『孤高のメス』などの堀部圭亮と、2008年 『ハッピーフライト』などの入山法子、2008年『フライング ・ラビッツ』などの滝沢沙織。他に、飛松陽菜、横山一敏、 中達也、リチャード・ウィリアム・ヘセルンら現役の空手家 たちが脇を固めている。 なお現役空手家の中では、特にまだ中学2年生という飛松の 空手の姿がきれいで、主演の武田と共に将来にも期待が持て そうだ。 製作・脚本・アクション監督は、『ハイキック・ガール』の 製作・監督や2008年柴咲コウ主演『少林少女』の武術指導な どを担当した西冬彦。監督は、大阪芸術大学出身で『ハイキ ック・ガール』の脚本・監督補などを務めた木村好克が担当 した。 * * 今回のニュースは、前回に引き続きアカデミー賞VFX部 門の予備候補15作品が発表されたので報告しておく。 選ばれたのは“Alice in Wonderland”“The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader”“Clash of the Titans”“Harry Potter and the Deathly Hallows Part 1”“Hereafter”“Inception”“Iron Man 2”“The Last Airbender”“Percy Jackson”“Prince of Persia”“Scott Pilgrim"“Shutter Island"“The Sorcerer's Apprentice” “Tron: Legacy”“Unstoppable”。 この中から1月上旬までに7本に絞られ、さらにそこから VFX専門部会での投票によって選ばれた最終候補5本が、 他の部門の候補作と共に1月25日に発表される。 因に、Varietyの記事では最初に、『アリス』『インセプ ション』『トロン』の題名が挙げられていたものだが、技術 で選ぶかアートで選ぶかあるいはヒットで選ぶのか、今回は 5本の予想もかなり難しそうだ。
| 2010年12月05日(日) |
ピラニア、ウォールS、わたしを離さないで、恋とニュースのつくり方、WE DON'T CARE、ランナウェイズ、カンフーサイボーグ+ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ピラニア』 8月1日付と10月17日付でも紹介した「青春H」と題された 企画シリーズの第3弾。 前回まではそれぞれ2作ずつの紹介だったが今回は1作品だ け。何故そうなったのか理由は紹介されていなかったが、作 品の出来としては今回の作品が一番完成度は高いと感じられ たものだ。 主人公は吃音症の女性。彼女は勤め先の近所の公園で、事故 で不自由になったという脚を引き摺りながら手作りの弁当を 販売している男性に恋をしているが、その想いをなかなか言 葉にすることが出来ない。 そんな彼女に元高校教師という男が近づき、男は彼女に弁当 屋の男性との仲を取り持つことを申し出る。そしてその男の お陰で彼女は弁当屋の男性と付き合い始め、やがて2人は夢 を共有するようにもなって行くが… 吃音症の女性に脚の不自由な男性、何とも遣る瀬ない感じの 登場人物。それにもう1人の男にしても、自分を教職から追 い遣った連中に復讐すると称して、自宅で育てたピラニアを 公園の池に放流しているような屈折した男だ。 そんな、殺伐とした現代社会の中では生きて行くだけでも苦 労の多そうな人々を登場人物に選んで、現実にも起きていそ うなシビアな物語が展開されている。それは正に現代の縮図 とも言えそうな物語だった。 出演は8月紹介『ゴーストキス』にも出ていた白井みなみ。 前作の時は脇役の1人だったが、今回は主演で身体の露出も バッチリだ。他には2008年12月紹介『へばの』などの吉岡睦 雄、2008年のテレビ『正義の味方』などの並木幹雄らが共演 している。 監督は昨年8月紹介『行旅死亡人』などの井土紀州。脚本は その井土監督の『犀の角』にも協力している椎名罹生。クレ ジットでは単独になっているが、脚本家自身のサイトでは脚 本参加となっているから、多分監督との共同なのだろう。 脚本もしっかりしているし、俳優たちの演技も上記の3人に 関しては問題ない。シリーズの5作目にして一番安心して観 ていられる作品だった。
『ウォール・ストリート』 “Wall Street: Money Never Sleeps” 1987年公開で主演のマイクル・ダグラスにオスカー男優賞を もたらした前作『ウォール街』と同じ世界観で新たな物語を 描いた作品。 物語の発端は2001年。前作の罪で懲役8年の刑に服していた ゴードン・ゲッコーが刑期を終えて出所してくるところから 始まる。ところが他の出所者たちが皆家族らの出迎えを受け る中で、ゲッコーを出迎える者はいない。 そして2008年、ゲッコーは自らの経済理論などをまとめた本 を出版し、再び話題の人物になり掛かっていた。 一方、若き証券マンのジェイコブは、非営利ニュースサイト を運営する女性ウィニーと交際していたが、彼女こそはゲッ コーの娘で、残された唯一の家族だった。しかし彼女は、父 親の存在を認めようとしなかった。 そんな折、ジェイコブの務める投資会社が悪質な風評被害に よって倒産に追い込まれ、師と仰いでいた人物をも失う事態 となる。そしてエコロジー系の投資に精通している彼には、 ライヴァル会社から高待遇での誘いが掛かるが… 実は前作を観たときには、経済の動きに関する部分がほとん ど判らなくて、結末になっても「ええ、そんなことが罪にな るの?」という気分だった。しかしその後の世界経済の動き は、正にその前作に描かれた通りで、改めてその恐ろしさを 知ったものだ。 そして約30年を経ての本作では、未だに反省の色もなくバブ ルを操作して投資家を食い物にし、浮かれて動き回る金融族 の悪辣な手法が描かれ、これを現代では、前作の当時より判 りやすく観ることが出来た。 出演は、ゲッコー役を再演のダグラスに加え、ジェイコブ役 をシャイア・ラブーフ、ウィニー役にキャリー・マリガン。 他に、ジョッシュ・ブローリン、イーライ・ウォラック、ス ーザン・サランドン、フランク・ランジェラらが脇を固めて いる。 脚本は、2008年『ラスベガスをぶっつぶせ』などのアラン・ ローブと、1999年『トゥルー・クライム』などのスティーヴ ン・シフ。製作は前作と同じエドワード・R・プレスマン、 監督もオリヴァ・ストーンが再び担当した。 因にゴードン・ゲッコーは、2005年12月15日付第101回でも 紹介したForbes誌選定による「フィクション世界の大金持ち ランキング」で、今年4月14日の発表最新版では前回2008年 版の第4位から圏外に落選していた。 これはつまり、ゲッコーは2008年の金融クライシスを乗り越 えられなかったという判断だと思われるが、本作で見るよう に彼は見事にその危機を乗り越えてさらに大儲けもしている ようだ。この復活劇で、次回のランキングにはまた再登場す ることになるのかな。
『わたしを離さないで』“Never Let Me Go” すでに10月24日付「東京国際映画祭」の項でも紹介した作品 だが、日本公開が来春に決定して改めて試写が行われた。そ こで物語の中の時間的なポイントなどをいくつかチェックし たので追記しておこう。 まず、この物語が我々の世界からパラレルワールドとなる分 岐点は1952年、そして1967年には平均寿命が100歳を超えた ということが巻頭のテロップで紹介されていた。さらに主人 公自身の物語の始まりは1978年で、彼らがコテージに住み始 めるのが1985年、そして物語の中の現在はその10年後という ことになっている。つまり1995年ということだ。 それから2度目に観ていれば当然のことだが、物語の中では 数多くの結末に向かっての示唆がされていて、事前の知識を ほとんど無しで観た1度目の時より、細かな点でいろいろな ことに気付かされた。 さすがに原作者が製作総指揮を務めただけのことはあるとい う感じもした作品だった。出来れば予備知識なしで観て、そ れからもう一度観て欲しい作品だ。
『恋とニュースのつくり方』“Morning Glory” 2004年11月紹介『きみに読む物語』などのレイチェル・マク アダムス主演で、テレビ界の裏側を描いたロマンティックな 作品。 主人公はローカルTV局でモーニングショウを手掛け、やる 気満々の女性プロデューサー。ところが上司に呼ばれ昇進間 違いなしと向かった彼女に突き付けられたのは、「クビ」の 一言だった。 そこで発奮した彼女は、ニューヨーク発全国ネットのモーニ ングショウに挑むのだが、採用されたのは47年の歴史だけは あるが、企画なしやる気なしで視聴率でも最下位に沈む末期 症状の番組。 それでも彼女は、これがチャンスと意気込んで番組の改革を 目指すのだが、新たに呼び入れたベテランアンカーマンは、 ここは自分のいる場所じゃないと逃げ腰で、視聴率はさらに 下がって番組の命運はあと1週間になってしまう。この危機 を彼女は挽回できるのか… 共演は、スーザン・サランドンとハリスン・フォード。他に 2008年12月紹介『パッセンジャーズ』などのパトリック・ウ ィルスン、『ID4』などのジェフ・ゴールブラムらが脇を 固めている。 脚本は2006年『プラダを着た悪魔』のアライン・ブロッシュ ・マッケンナ、監督は1999年『ノッティングヒルの恋人』の ロジャー・ミッシェル。この手の作品では実績のある2人の 初顔合せによる作品だ。また製作は、2009年版『スター・ト レック』などのJ.J.エイブラムス監督率いるバッド・ロボ ットが担当した。 まあお話は出来過ぎだし、マクアダムスは可愛いけれどなか なかイメージの固定しない女優で、本作でもまあ可もなし不 可もなしという程度かな。それに対してサランドンの演技は 見事で、フォードとの渡り合いでは往年のマニーメイキング スターがたじたじとなっているのは見ものだった。 まあカップルか何かで気楽に楽しんで見るには最適の作品と いうところだろう。それと、今年10月紹介『ゴースト』の時 に述べた脚本家の責任とは、この映画のエンドクレジットの ような形ででも、果たしてもらいたいものだ。
『WE DON'T CARE』“We Don't Care About Music Anyway” 2009年のスイス・ロカルノ映画祭の批評家週間など40以上の 映画祭に招待され、一部では受賞もしているというドキュメ ンタリー作品。 「東京、西暦20XX年、砂漠のようなゴミ捨て場、そこに巨大 都市の姿が垣間見える」という宣伝コピーにも誘われて映画 を観に行ったが、内容は前衛音楽をライヴで奏でるミュージ シャンたちの活動を追った作品だった。 でもまあ、この種の音楽にも興味がない訳ではないし、結構 面白い演奏などもあって、それなりに楽しめる作品ではあっ た。つまりまあ、20XX年は2001年でも2010年でも良い訳で、 その点で言えば宣伝コピーも間違いではないものだ。 そして登場するミュージシャンは、チェリストの坂本弘道、 ホーミー歌手の山川冬樹、ギターリストの大友良英、ターン テーブリストのL?K?O。その他には、Numb、Saidrum、Umi no Yeah!!、Kirihito、Goth-Trad、Hikoという名前が並んでい た。 また、作品では東京のいろいろな風景や街角のノイズなども フィーチャーされて、それらの映像や音声に合わせた彼らの 演奏や、彼らのライヴシーンの映像などが挿入されている。 さらに作品では、彼らが座談会のように自分たちの音楽につ いて語り合っている場面も登場するが、そこではロッカーの ような過激な発言はなく、政治や社会などにはある意味無頓 着に音楽を追求している姿も伺えた。 つまり彼ら演奏は前衛であり、そのスタイルは過激ではある が、反体制というレッテルではないという辺りのもののよう だ。とは言え、自分の頭を拳で叩いたり、チェロの支えの金 属棒にグラインダーを当てて火花を散らしたり…。 ただしそれらの演奏は、それなりに観ていて面白かったし、 まあ僕的には気分を害するものではなかった。もちろん純粋 に音楽をしている人たちには眉を顰たくなる様なものではあ ろうが、それが前衛と言うことにもなるのだろう。 監督は、1979年生まれソルボンヌ大学で学んだというセドリ ック・デュピールと、1981年生まれ東京の映画美学校で学ん だというガスパール・クエンツの2人。 デュピールはソルボンヌ時代にインドに行き、これも共同監 督で製作した作品の評価が高いようだ。一方のクエンツは長 編作品は初めてだが、以前には『チンピラ・イズ・ビューテ ィフル』なんていう短編作品もあるとのことだ。 なお本作の公開は、来年1月15日から東京渋谷ユーロスペー スにてレイトショウ上映されるものだが、その前に公開記念 のライヴ・イヴェントの企画もあるようだ。
『ランナウェイズ』“The Runaways” 1976年にジャパン・ツアーも行った人気ガールズ・ロック・ バンドの実話を描いた作品。 1975年、当時15歳のジョーン・ジェットはロック・ミュージ シャンを目指していた。しかし当時のロックは男のもので、 黒の革ジャンにジーンズ姿でギターを習いに行っても女には ロックは教えないの一点張り、持参のエレキをアンプに繋ぐ とも許されなかった。 そんなジョーンがプロデューサーのキム・フォーリーに出会 い、ガールズバンドの可能性を直感したフォーリーは同じ境 遇にいたドラマーのサンディを紹介。そしてギターのリタ、 ベースのロビンらを集めてバンドの練習が開始される。 一方、シェリー・カーリーは恵まれない家族環境の中で自分 自身に違和感を感じていた。そんな彼女をキムが見出し、廃 車のトレーラーで練習していたバンドに紹介。その場の即興 で作られた『チェリー・ボム』を歌いこなしたシェリーは、 ヴァーカルに採用される。 こうして、ロック界初とも言われる全員10代の少女たちによ るバンドが結成される。ところがその練習たるや、演奏中に 餓鬼たちが空缶を投げ付けるといった過激なもの。しかし初 の全国ツアーに出たときには、演奏中に罵られても挫けない 精神力が養われていた。 そして翌年にはマーキュリーレコードと契約、UKツアーや ジャパン・ツアーも実現する人気バンドとなって行くが…。 その陰では、シェリーにばかり人気が集まることへの確執も 生まれていた…、というランナウェイズの真の姿が描かれて いる。 原作は、シェリー・カーリーの自叙伝“Neon Angel”による もので、バンドを脱退後は女優から、現在はアーチストに転 身、さらに自分の経験を活かしたカウンセラーの仕事もして いるというシェリーの想いが詰まった作品でもある。 そしてその映画化では、ジョーンに『トゥワイライト/サー ガ』のクリステン・スチュアート、シェリーにその『トゥワ イライト/サーガ』にも出演のダコタ・ファニングが扮し、 2人の10代スターが見事な共演を見せている。 特にスチュアートは、劇中演奏される12曲の楽曲全てのギタ ーを自演で演奏している他、製作総指揮も務めたジョーン・ ジェット本人が自分の歌声と聞き間違えるほどの見事な歌唱 を披露。またファニングもシェリーの歌を完璧に歌い込んで いるものだ。 他には、マイクル・シャノン、スカウト・テイラー=コンプ トン、アリア・ショウカット、ライリー・キーオ、ステラ・ メイヴらが共演。 脚本と監督は、イタリア出身でMTVなどの実績の高いフリ ーリア・シジスモンティが初の長編作品に挑戦。女性らしい 細やかさでガールズバンドの全てを描いている。
『カンフーサイボーグ』“机器侠” この作品も、2009年10月23日付の「東京国際映画祭」の中で 1度紹介済みなので、今回はその再録と新たな情報の追加と したい。まずは再録から。 『トランスフォーマー』から着想したと思われる香港製VF Xアクションコメディ。危険な任務を人間に代って遂行させ るために開発されたロボット警官の第1号を巡る物語。 主人公は職務に忠実な熱血型の刑事。ある日のこと彼の相棒 として新たに人工知能を装備して開発されたロボット警官の 第1号が配属される。ただし、その警官がロボットであるこ とは機密条項とされ、その事実を知るのは彼だけだった。 そんなロボット警官は途轍もない能力を発揮して任務を遂行 して行くのだが、一方、占い師にデザインさせたというルッ クスでは婦人警官たちの人気の的にもなって行く。 そんなロボット警官がうらやましくもある主人公だったが、 そこに同じく開発されたばかりのロボットが逃亡したとの連 絡が入る。その逃亡ロボットは、「人間がその造り主の神を 疑うのなら、ロボットも人間を疑う」と言い放ち人間に闘い を挑んでくる。 基本的にはロボット3原則に縛られているようではあるが、 そこに神との問題を絡めてきた辺りは中々なものだ。ただそ のお話は別としてVFXでは、ロボットから乗物に変身する などの展開は如何にも香港映画という感じで、ニヤニヤしな がら観てしまった。 ただ、完全なハッピーエンドにしないのは最近のオタク文化 の悪影響も感じるところで、そんなウジウジした話は日本ア ニメだけで沢山だという気分にもなる。娯楽映画は普通にハ ッピーエンドで良いと思うのだが… 主演は、『レッドクリフ』にも出ていたフー・ジュンと、人 気歌手でもあるアレックス・フォン。監督は、『カンフー・ ハッスル』のプロデューサーで、チャウ・シンチーの盟友で もあるジェフ・ラウが担当している。 なお、映画の中はロボットという言葉が主に使われていて、 邦題の『サイボーグ』には多少引っ掛かるところだが、もし かすると…というところはあったようだ。 以上が以前の紹介文だが、今回のプレス資料によると主人公 は村の警察署の署長だった。まあ物語の設定ではその方が意 味が通るだろう。またヒロイン=素梅役のスン・リーは、中 国本土で人気の高い女優で、2006年2月紹介の『SPIRI T』ではジェット・リーに続く配役表2番目=月慈の役で出 演していたようだ。 * * 今回のニュースは、最近ちょっとサボり気味だった記者会 見の報告を纏めてしておこう。 まずは11月紹介『ソウル・キッチン』に関連してファティ ・アキン監督の来日記者会見があった。 この会見は出席者の人数も少なくて、アットホームな感じ だったが、途中で質問が途切れそうになったので、脇役で出 ていたウド・キアーについて質問してみた。すると監督は予 想以上の食い付きで名優の人柄について語ってくれた。 それによると監督は、以前にハリウッドを訪れた際に当地 に住んでいるキアーに会ったのだそうだ。それで非常に歓迎 してくれて友人になれたとのこと。 そして今回の配役は当て書きした訳ではないが、脚本を書 き上げて配役を考えていて、「そうだウド・キアーがいるじ ゃないかと思い付き、オファーをしたら喜んで出てくれた」 とのことだった。また「彼の撮影期間は3日間だったが、そ れは至福の時だった」とも語ってくれた。 さらにキアーからは本のプレゼントを貰ったそうだが、そ れは詩集と世界地図(アトラス)で、そのアトラスはクレー ンがなければ運べないほど大きなもの。そして監督は、「僕 は旅が好きだが、彼にそのことは話していない。それで何故 アトラスを選んでくれたのか判らないが、もしかしたら彼は 現代に生きる魔法使いなのかも知れない」との意見だった。 なお僕はいつもの癖で、キアーに関しては「ドラキュラを 演じていたときからの好きな俳優」と前振りをしたが、監督 からは「ヴィム・ヴェンダースやフォン=トリアー作品に出 ている名優」と返されたもので、今年37歳の監督にはそうな んだろうなあという感じだった。 因に監督の次回作は、世界を半周するくらいの作品になる かも知れないとのことだ。 * * 続いて『トロン/レガシー』の監督と製作者、主演女優の 来日記者会見も行われた。こちらは未だに本編の試写も観せ て貰えない状態で、会見に行っても質問はできない状態だっ たが、宣伝担当者から質問を要請されてしまった。 それで用意された質問は技術的な話だったが、何故か同じ 質問を先の人にされてしまい、急遽今回製作総指揮を務める 前作の監督のスティーヴン・リスバーガーと前作に続いて出 演したオスカー俳優のジェフ・ブリッジスについて製作者の ショーン・ベイリーに聞いてみた。 するとベイリーは、「リスバーガーは兎に角チャレンジし ろと言ってくれた。選択肢があったらよりリスクの大きい方 に向かって進めとね。だから3Dにも挑戦したし、ヴィジュ アルや音楽も挑戦できた」とのことだった。それと「ブリッ ジスに関しては、光栄と言う他になく。お陰で彼には2役も 演じて貰ってしまった」とのことで、製作者にも喜んで答え てもらえた感じだった。 ディズニー作品の記者会見では、今年はティム・バートン の会見に呼んで貰えなかったのが残念だったが、出来れば今 後も監督や製作者のその作品に対する拘わりに付いて聞いて 行きたいと思っているものだ。 * * 最後に、アカデミー賞長編アニメーション部門の予備候補 が発表され、今年は“Cats & Dogs: The Revenge of Kitty Galore”“Toy Story 3”“The Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole”など15作品が選ばれたが、その数が 16に満たなかったため、最終候補は3本になるとのことだ。 なお予備候補には2009年7月紹介『サマー・ウォーズ』も 入っているが、12月中にロサンゼルス地区で公開されれば、 権利があるようだ。
|