メーコの芋ちゃん日記

2008年05月25日(日) こいのぼり

今年の5月、メーコは芋助が生まれて以来4年目にして初めて、「こいのぼり」なるものを飾りました。
芋助の初節句にと東京のジージが、兜とこいのぼりを贈ってくれたのが4年前の5月。 それ以来、兜の方は毎年必ず飾っていたのですが、こいのぼりは組み立てるのが面倒だったり立てる場所が見つからなかったりで、初節句にオーランドの家の中で飾ったきり、後は折り目正しく箱の中で眠っているだけでごじゃりました。
それを今年、何を思ったかメーコは突然「こいのぼりを飾ろう!」と思い立ち、30度を超える炎天下の中、汗びっちょりになって飾りつけをしてしまったのでありますよ。
ちなみに、設置所要時間は1時間45分。 マジ、途中で熱中症で倒れるかと思いましたわ。
でも、もう芋助も色々なことが分かる年になってきており、「おさかな、きれーねー」と(←コレで本当に「色々なことが分かる」と言えるのかどうかは定かではないが…)喜んでくれたので、4年間の長い眠りから覚めたこいのぼりたちも、喜んでくれたのではないでしょーか。

でも、無邪気にはしゃぐ芋助と、風にたなびくこいのぼりを眺めながら、メーコは自分が子供の頃のことをフト思い出しました。

メーコが小学校2年生まで住んでいた家、正確には亡くなったおじいちゃまが持っていたマンションですが、そのマンションの駐車場の一角にはドえらく高い木製のポールがあり、毎年子供の日には、それはそれは大きなこいのぼりが悠々と空を泳いでいたものでした。
今はもう、都心であんな大きなこいのぼりを立てられる家はそうそうないでごじゃいましょう。 でも、メーコが子供の頃は、結構あっちの家でもこっちの家でも、大きなこいのぼりたちが元気に泳いでいたような気がします。

んで、おやつは当然柏餅。
今はもう無くなってしまったけれど、メーコの家の近くには和菓子屋さんがあって、白餅・草餅・味噌餡の3種類があったけど、メーコはダントツで草餅が好きだったっけかな〜。
で、夜のご飯は大抵チラシ寿司かなんかで、その後は菖蒲湯に入るんだよねー。

…なーんてことを思い出したら、メーコの「突発性日本に帰りたい病」がすかさず発病してしまいました。

柏餅が食べたい。 菖蒲湯に入りたい。 端午の節句には関係ないけど桜餅も食べたい。
みたらし団子も草団子も、「大好き!!」って叫ぶほど好きではなかったけれど、今となっちゃー食べたくてたまらない。
ここから先は「子供の日」にはぜぇ〜んぜん関係ないけど、居酒屋に行って飲んで食べて、カラオケボックスで声が涸れるまで歌いたい。
夜中にコンビニに歩いて行って、お弁当だのお惣菜だのを買って食べたい。
そしてそして、「店屋物」が食べた〜いっっっ!!!

あーあーあーあーあーっっっ!!! どれもこれもこんなマイアミのクソ田舎ではできんやないけ!!!
なんでやねん!なんでやねん! なんでメーコはこんな暮らしをしなきゃならんのや!!!

…と、怒りとストレスの余り、メーコはエセ関西人になってのたうち回っていたのですが、そーんなメーコには目もくれず、芋助とダーリンは、「ぱぱー、おさかな、きれーねー」、「芋ちゃ〜ん、こいのぼり、飾ってもらえて良かったねー」などと、仲睦まじく語り合っているのでありました。

…ま、いっか。 
柏餅も菖蒲湯も、居酒屋もカラオケボックスもないし、コンビニに歩いて行ってお弁当を買うことも店屋物を取ることもできないけど、家族3人、元気で笑って暮らせてるんだから良しとしないとね。
うん。それが1番大事なコトだよね。
よーし芋ちゃん、ママは頑張るよー。
不満や面倒なことはいっぱいあるけれど、あのこいのぼりたちみたいに、元気に頑張って泳ぎきって行くからねー!

と、珍しくメーコが前向きな気持ちになり、記録的な短時間で「突発性日本に帰りたい病」を克服したかと思ったその瞬間。
まさに、「悪魔の囁き」以外の何者でもない言葉がメーコの背後から聞こえてきたのでありました。

「芋ちゃーん。こいのぼり、飾ってもらえて本当に良かったねー。 でもさー、ママはお片づけもちゃーんとできるのかなぁ? また、いつもみたいに出しっ放しだと困っちゃいますねー。」

………。

2008年5月3日。
アメリカ生活開始後5年と5ヶ月にして、メーコはある事実に気づいたのでありました。
メーコがこの5年5ヶ月、毎日の生活に不満を感じていた原因は、柏餅が食べられないことでもなく、菖蒲湯に入れないことでもなく、店屋物が食べられないことでも居酒屋がないことでも、はたまたカラオケボックスで声が涸れるまで歌えないことでもなく、ただ一つ、ダーリン、アナタの「悪魔の囁き」にあったのだと言うことを。

そう。アナタはいつも、「何も今言わなくても…」という発言で、メーコのことをブルーにしてきました。
「芋助の夕飯は、どんなに遅くても7時半には食べさせるように努力してください」って何度も何度も言うから、ダイニングの片付けはそっちのけで7時半きっかりに食べさせるように頑張って、ある日ダーリンが早く帰って来た日に、芋助と二人で「ちゃんと早くから食べてるよ〜」って満面の笑みで言った時、アナタはニコリともせずにただ一言、「芋ちゃん!こんな散らかった所でご飯食べてたらダメでしょう!」と言いました。
それじゃあ食事前に片付けをしよう、と思って、芋助を一人でお風呂に入れてその間にダイニングを片付け、「今日は芋ちゃんが一人でお風呂に入ってくれたからママお掃除できたんだよね〜」と報告した時も、「子供は10センチの水でも溺れることがあるんですから、一人で風呂なんて入れないで下さい」、って言いました。
「何があっても芋助は10時までに寝かせるようにして下さいね」って言うから、時間通りに寝かせることを最優先にしていたら、帰って来るなり「食事の後片付けはしておかないと虫が来ますよ」、って言ったのもアナタです。

あーーーーーーーっっっ!!
ムカついてきた。 マジ、ムカついてきたがや。
おみゃーよー、おみゃーのそーゆー一言が、どれだけメーコを傷付けてきたか分かっとるがかー?
それでもミャーコはガマンしてきたがや。なぜならば、おみゃーさんは芋助にとっちゃーええパパだがや。それによー、ミャーコはもう既に一度離婚しとるじゃけん、さすがに2度はできん、って思っちょるがかよー。
じゃけんムカつくばい。 なまらムカつくわ。
おみゃー、もしかしてミャーコに嫌がらせしとっとか? 

…と、メーコがエセ名古屋人+九州人+北海道人になって怒りまくり始めたその横で、ダーリンは芋助に向かってこう言ったのでありました。

「芋ちゃ〜ん、せっかくみんなで喜んでるのに、ママだけ何か怖いカオしてますよー。どーしたんでしょうねぇ? ママはいつも突然不機嫌になるから、パパも芋ちゃんも困っちゃいますねー」と。

2008年5月3日。
メーコはまたしても新たな事実に気づいたのでありました。

ダーリンの「悪魔の囁き」は、メーコに対する嫌がらせでも何でもなく、ただ単に、ダーリンが「天然ナチュラルぼけ」であるがためだということを。
そう言えば、ダーリンママがそーでした。 「え??ママ、それは…」と思う発言を、時も場所も考えずにいつも発し、その度にダーリンパパから、「だからお前はバカだ、って言うんだよ!!」と怒鳴られていたではないですか。

うーむ。そっかー。そうであったのかー。
だとすれば、この5年5ヶ月、メーコは一人で傷付いて、一人でブルーになってた、っつーコトか。
それはそれでムカつく気もしないではないが、まー「天然」には敵わないから仕方ないとするか。
うーむ、しかし… 何だか気が抜けるぞー。

と、メーコが半ば放心状態になり、ポカンと佇むその横で、またまたダーリンは追い討ちの一発を喰らわせたのでありました。

「芋ちゃん、ママ、お口開いてるでしょ? お口開いてる人はバカだ、って、パパいつも言ってるでしょ?
芋ちゃんも、お口開けたらダメだよー」と。

こいのぼり。 どんなことがあってもキミたちみたいに元気に泳ぎきって行こう!と誓ったメーコだけど、こんな「天然」なダーリンに、どこまで付き合っていけるかメーコは不安だよ。
そして、こんなダーリンの血を半分、芋助が受け継いでいるのかと思うともっと不安だ。
頑張れるかなー。 しかし、頑張らないと。

4年ぶりに飾られたこいのぼりは、メーコに様々な思いを与えてくれたのでした、まる。


…そして。

あの時、「お片づけできるのかなー」と悪魔の囁きを投げつけたダーリンは、1週間後にメーコがこいのぼりも兜も片付けたことに全〜く気づかず、忘れた頃になってようやく、「奥さ〜ん、いつこいのぼり片付けたんですか〜?」と。天然ぶりをモロに発揮して聞いてきたのでありました…。

「マーさん(メーコのダンナ)はいい人だ」と絶賛している皆様、一週間でいいからダーリンと一緒に暮らしてみて下さいませ。 メーコがただ単に、自分のワガママだけで文句を言っているのではないということが解っていただけるでしょー!  …マジ、誰かやってみそ。


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