世間一般では、妊娠すると「つわり」なるものがグリコのおまけのようにもれなく付いてくることが多いらしいのだが、金運に加えてクジ運もないメーコは、このオマケももらえることなく妊娠初期を過ごしてしまった。 昔どこかで、「つわりは日本人特有の症状」だというハナシを耳にしたことがあったが、メーコが病院からもらってきた手引書(←って言うんかいな?)にも堂々と、つわりを意味する「Morning Sickness」なる症状への対応が記してあったし、出産経験者のタイ人の友達もハイチ人の知り合いも、「毎日吐きまくって脳ミソまで流れてくかと思った」と話していたので、どーやらこのハナシはガセネタであったらしい。 ま、それはさておき、つわり経験者の友人や知人たちからは、「なんて羨ましい」と一同に羨ましがられていたメーコではあったが、欲張りでアホな本人としては、みんなが経験できることをできないことが何だかとぉ〜っても損をしたような気分であり、「つわりくれ〜」と連日のように叫んでいたのであった。 それに、つわりがないとなると、「キモチが悪いから」を理由に家事をサボルこともできないではないか。 う〜む。このままではイカン。 そう思ったメーコは、自ら「つわり誘発策」に乗り出すことにした。
まずは、日本語版の手引書を開き「先輩ママたちの体験談」に目を通す。 ほとんどの妊婦さんが、「ご飯の炊けるにおいがダメになった」と言っているので、早速実行。 ご飯が炊きあがったと同時に炊飯器に顔を突っ込んでニオイを嗅いでみたが、湯気で大ヤケドをしそうになっただけで気落ち悪くもなんともならず。 「やっぱり炊きたてはウマイ!」と言って、ふきのとうの佃煮で2膳も平らげてしまった。 続いて、「血のニオイがして…」という理由で受け付けなくなる人が多いという肉に挑戦。 ダーリンに頼み込んで職場からフィレ肉を持ち帰ってもらい、わざわざ血がしたたるように「レア」にて焼いてもらったのだが、これまた「すんげーウマイ!」としかならなかった。 その後も、レバー・牛乳・チーズ・卵・野菜・果物…とありとあらゆる食品に挑戦してみたが、どれもこれも、「うめ〜!」の一言で終わってしまった。 仕方がないので、続いてアメリカ版の手引き書を参考にしてみることにしたのだが、ここでビックリ! メーコはジューダイな発見をしたのであ〜る。
その発見は、「つわりの諸症状とその対策」に続いて書かれていた、「妊娠中に取った方がよい食べ物・避けた方がよい食べ物」の欄にあった。 「取った方がよい食べ物」には、レバーや乳製品・野菜などが揚げられており、こちらは日本版の手引書と大差はなかったのであるが…。 問題は、「避けた方がよい食べ物」であった。 「青カビのチーズ・カマンベールチーズ・フェタチーズ(山羊のチーズ)、寿司、カジキ・サバ・スズキの類の魚、鮭・鱒・マグロなどの燻製」。 何度読み返しても「避けた方がよい食べ物」なのである。 理由を読んでいくと、チーズ3種・及び寿司と魚の燻製に関しては、食中毒の原因となる「リステリア菌」が含まれている可能性が高いため。 そして、カジキ・サバ・スズキの類の魚に関しては、「水銀含有量」が高いため。と、なっていた。 メーコ、びぃ〜っくり!!
チーズや寿司はまだ何とか分かるとして、ジャッパニーズのメーコからしたら、「魚がイカン!」なんてマレーシア語の冗談にしかならないぞ。(←本当に、マレー語で「魚」のことを「イカン」と言うのじゃ) もー、目ン玉ぶっ飛び! 「水銀含有量が高い」だと?? 一体何年前のハナシをしてるんじゃい?ってカンジだね。 「鮭の燻製は、食中毒になる可能性が高い」だって??メーコなんて、賞味期限が切れてるのを食べたってピンピンしてるぞ。(そーゆー問題じゃないってか?) いや〜、驚いた。 「トコロ変われば」って言うけれど、本当にこぉ〜んなに違うんだー。 やっぱりアメリカってすんげー国だぁ〜。
…と、今まで改めて確認したこともなかった日米の食習慣の違いに驚いたメーコは、「つわり誘発策」のことはすっかり忘れ、「何かまだオモロイものはないだろうか」と、前のページの「つわりの諸症状とその対策」の欄にも目を通してみた。 そしてその瞬間、「魚はダメよ」以上にぶっ飛んだトンでもないものを発見したのである。 「つわり、特に吐き気を催して食欲がない時は、りんごを薄切り、もしくはセロリをスティック状に切り、その上に“ピーナッツバター”をかけて食べるとよい」、という、恐ろしい文章を。
次の瞬間、メーコはトイレで吐いた。
念願叶った「うっっ。ゲロゲロ」を体験しながら、「…さすが、アメリカ」、と思うと同時に、「つわりがなくって何だか損した気分」などとのたまわっていた自分をメーコが戒めたことは言うまでもない…。
アメリカというのは、本当〜にスゴイ国なのである。 うぇ〜っっ。
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