wakaP〜の好物三昧

2003年11月22日(土) リーガル 「ウィングチップ」

靴の話である。
僕のビジネスシューズは全てリーガル「ウィングチップ」。しかも常に5足を揃え、週に一回ずつ履いている。僕はモノにはこだわるがブランドへのこだわりは極めて低い人間なので、リーガルが有名だから選んだ訳ではない。自分の足がリーガル以外を選ばなかっただけなのだ。

リーガル社は1880年米国で生まれた靴メーカーの老舗。その後、日本製靴社が62年技術提携を結び日本人に合う足型を改良に改良を重ねて開発の上、発売しヒット、90年には商標登録を譲り受けリーガルコーポレーション社として現在に至っている。

僕の足は典型的幅広甲高偏平足、かつ皮膚がやや弱いと言う最悪のモノ。幅にあわせりゃ前ブカブカ、長さに合わせりゃ甲がキツキツ、肌真っ赤。
もし兵隊になったりした日にゃ〜、きっと更に水虫が重なり一番初めに歩けなくなって飢死しちゃうタイプだと思う。あぁ、平和でよかった…。

若い頃はもちろん色々な靴を探し歩いた。「4E」マイブームもあったしイタリアンの細身でカッコイイ靴を買って見事玉砕した事も…。
又、たまに合う靴と出会ったとしても、再び同じものを見つけるのは結構難しいのがツライ。特にビジネス用は消耗品である事に加え、履いている人間の趣味やお洒落度を計るバロメーターにもなるので安定した供給源を見つけておく事が大切だ。

そうして出会ったのがリーガル。初めて履いた時、正直、大きさは余裕あるが硬くて重たい靴だと感じた。しかし、暫く履き続けるとその硬さや重さが心地よくなってくる。革だから硬さが馴染むのは判るが、リーガルによればある程度の重さは振り子のおもりの役割をして足に疲労感を与え難くしているのだそうだ。

「ウィングチップ」は通称「おかめ」と呼ばれる靴の一形態。爪先の革の切り替えに使われる革片(チップ)が翼(wing)の様な形をしているので名付けられたとの事。爪先の穴飾り模様も特徴のひとつでクラシックな雰囲気が漂う。甲を覆う革が分離しているので甲高でも締め付けられることがないのが嬉しい。

最後に余談になるが、僕の靴は右側のつま先が必ず痛む。小さな傷が無数について色が剥げてしまうのだ。最近、特にひどくて一体何が原因なのか少し困っていたのだが、ある日氷解した。それはピアノのペダル。僕はピアノを弾く時に、極力ペダルを使わない。つい使いたくなるのだけれど、それを我慢する。すると靴が自然に上がらないように、無意識のうちにペダルの下に靴を差込んでいたのだ。じゃあこれは名誉の勲章なのかと思い、今は半分位諦めている。でも、チョットみっともない…。



2003年11月08日(土) フライド・プライド 「ライブ」

11月7日(金)、フライド・プライドのライブへ行く。すごく楽しみにしていた。
そしてやはりすごく良かったので、今回の「好物三昧」は予定を変えて彼らのライブの魅力を書くことにした。

彼らのステージを見るのは昨年に続き二回目である。フライド・プライドはShiho(ボーカル)と横田明紀男(ギター)の二人からなるジャズ・ユニット。
いや、一応「ジャズ」と称してはいるがその音楽性は遥かに広く自由だ。
いやいや、ジャズは元々「自由」なのだけれど…。(笑)

彼らの音楽の特徴はまず選曲にあると思う。
メジャー路線を狙ったとの穿った見方も出来るがスタンダードと70〜80年代が中心である。でもそれら名曲の数々はあくまで素材であって、横田の卓越したギターテクニックと音楽センスにより、彼らでなければ表現できない世界を創造している。そして聴いている側は名曲であるからこそ、そこからの飛躍感を感じ取る事が出来るのだと思う。

30年と言う横田の音楽生活にさえ満たない若さのShihoのボーカルもまた、逸材である。年齢やキャリアの差をモノともせず、横田のギターに正面から挑んでいく。

時に虎のように、また時にじゃれつく子悪魔(見た事ないけど…笑)のように、彼女の唄声は縦横無尽に変化しながら、複雑にアレンジされた曲をソウルフルに艶やかに象っていく。彼女の唄を聴いていると、これらの名曲が全く新しい出会いかの様に無邪気に楽しんで見えるのがスゴイ。
このふたりの組み合わせから、正に「ワン&オンリー」としか言えない音楽がほとばしる。

ライブは昨年同様、彼ら二人にパーカッションを加えた三名。
一曲目はカッティングギターで始まる「ルイジアナ・サンデー・アフタヌーン」。好きな曲だ。限られた人数で奏でる音の隙間から様々な音楽が聴こえてくる気がするのは、決して知っている曲だからだけではないと思う。自分のイマジネーションが次々に刺激される気がするのだ。リズムに合わせて思わず身が軽くなる。

その後は、ファンク・アレンジの「ルート66」や「カムトゥゲザー」のカッコ良さに身震いし、超技巧テクニックが宙を舞う「ストリート・ウォーキング・ウーマン」「ス・ワンダフル」では目が点になり、「ジャンピングジャックフラッシュ」「クロース・トゥ・ユー」は皆で大合唱という具合だ。

40人も入れば一杯という赤坂のライブハウス「N」も、その狭さが良かった。どんなミュージシャンにも特別の意味を持つ箱(ライブハウス)があると思う。今日の彼らも故郷に帰ってきたかのようにリラックスして自分たちの音を楽しんでいるのが、正直に伝わってきた夜だった。
この上なく贅沢な空間であった。


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