TOHGA嬢の生活



かぼちゃ♪ かぼちゃ♪ かぼちゃ♪ (おサカナ天国のメロディーで)

2002年10月31日(木)

 今日はハロウィン。

 実は年中行事の中で最も好きな日の一つではあるのだが、何故かいつも、それらしい事をしないままやり過ごしてしまいがちだ。

 今年も、先週の学祭で魔女の格好をした以外は、あまりハロウィンっぽい事はしていない。

 多分、私の「ハロウィン好き」の大部分を占めるのは、憧れなんだろうと思う。


 まぁ、そんな事はさておき。

 学祭の最終日に出来なかった「絵本研究(と云う授業)」の打ち上げを、今日の授業の後に行なった。
 五限の授業って、こう云う時だけは便利なのだ。

 私を含め五人の生徒と、先生を加えた六人で、駅付近の飲み屋へ入る。

 私は初めて入る店だったのだが、流石、先輩のオススメの店だけあってなかなか良い感じの店だった。

 適度に静かで、適度に美味しく、適度なお値段。(まぁ、飲み代の殆どは先生が出してくれたのだが…)

 イチゴのカクテルがシュワシュワでツブツブしてて、とっても美味しかった。

 打ち上げでの話の内容は、学祭の話が2割、恋愛・結婚関係が4割、絵本関係3割、雑談1割。

 と、云う感じ。

 ちょっと先生、説教臭いな。と、心の中でちょっぴり思いつつ、結構愉しんだ。

 カクテル2杯、ジュース一杯、お料理を少し多めに食べた頃、自宅が遠いクラスメイトの終電をきっかけに、打ち上げがお開きになった。

 駅の改札までたどり着いた時になって、私はひとつ、思い出した。

「あ、デザート頼むの忘れてた!」

 先生も甘党だったので、一緒に食べそこなった「焼きプリン」ついて、思いを馳せてみた。


 仕方が無いので、帰りにコンビニに寄った。

 折角のハロウィンなので、かぼちゃプリンを購入。

 ついでに、海洋堂の「ALICE's TEA PARTY」も二箱。

 今回のアリスフィギュアは全部で9体。

 今の所は順調にダブりもなく、三月兎&ヤマネとフラミンゴ&アリスと双子とライオンとチェシャ猫のご5体が揃っている。

 金欠になる前に、コンプリートしたいものだ。。。


 ……どうでも良いけど、タイトル全然関係ないね。


クレジットカード

2002年10月30日(水)

 ADSLに加入したいのだが、クレジットカードが無いと登録が出来ないらしい。

 私は目に見える形でお金を使わないと、どうも不安になってしまう。

 小心者で心配性なので、「明細書をみたらとんでもない金額が……!!!」 と云うシチュエーションをついつい想像してしまうのだ。

 しかも優柔不断なので、色々な種類のあるクレジットカードの中から、一体どれを選べば良いのかも、なかなか決められない。

 いつになったら我が家は常時接続になるのか。。。

 先はまだまだ長そうである。


死に場所を求めて

2002年10月29日(火)

 数日前から、ベランダのローズマリーの鉢に、枯れ木色の蟷螂が住み着いている。

 最初は本物の枯れ枝だと思ったので、手を近づけた途端に動き出したそれに、かなり驚かされた。

 次の日になっても同じ場所にいるので、葉を傷つけられたり卵を産み付けられたりするんじゃないかと、内心やきもきしていた。

 三日目になってもまだそこにいたので、なんだか気味が悪くなった。
 恐る恐る、いらない割り箸などで突っついてはみたが、此処を去る気はないらしく、煩そうに身じろぎするだけだった。


 はやく何処かにいってくれないかな?

 いっそのこと、箸で摘み上げて外へ放り出してしまおうか?


 そんな事を思いながら割り箸を再度蟷螂に近づける。

 そこでふと、手が止まった。


 もしもこいつを放り出すとして、その後、この蟷螂はどうなるのだろう?


 よくよく見なくても、明らかにこの蟷螂は老人であり、気温はどんどん寒く、寒くなってきている。
 加えて、ベランダの外にあるのは広大な(蟷螂にとって)コンクリートの駐車場である。

 ……なんとなく、放り出すことに罪悪感なんかを感じてみる。

 駐車場でペチャンコに潰れた蟷螂なんて見つけてしまった日には、きっと厭な想いをするに違いない。

 蟷螂だって、そんな死に方は厭だろう。


 ……あ、そうか。

 だから此処にいるのか。


 ローズマリーは香草なので、葉に少し触れただけでも指先に清々しい香りが移る。(香りがかなり強いので、臭いと謂う人もいるが…)

 しかも花言葉は確か「記憶」だったはずだ。(香りが本当に強いので、長い間香りが持続する為、そうなったとか、ならないとか…)

 どうせ死ぬなら、良い香りのする場所で。

 蟷螂に嗅覚があるのか、そもそも本当にそんな事考えてたかどうか、は定かでは無いのだが。


 すっかり蟷螂の美学に共感してしまった私は、この蟷螂を放っておく事にした。

 生きてるかどうかを探る為に、割り箸で突っつくのも止めた。


 そんな訳で、家のベランダには死にかけの蟷螂がローズマリーの鉢に住んでいる。
 多分死ぬまで、其処にいるだろう。


in 霞ヶ関

2002年10月28日(月)

 法学部の学生でもないのに、裁判の聴講に行ってきた。

 地方刑事裁判ってやつ?

 目測30m×30m、正方形の室内。

 3、40人は座れそうな聴講席には、私と同年代の学生が15名ほど座っていた。

 あと、中年層の男女が7、8人くらい。

 どうでも良いけど、廊下で中高生の団体さんとすれ違ったのだが、あれは修学旅行生だったのだろうか?


 開始の5分前に、被告人がガードマン2人にサイドを固められながら、ご入場。

 刑事(検事?)さんらしき人に話し掛けられてた時の表情があまりに間の抜けた風に見えたので、一瞬、知能遅れの人かと思ってしまった。

 だとしたら、部屋を間違えてしまったのかもしれない。

 もう一人、一緒に聴講に来る予定だった人物も未だ来ていない事が、不安を煽った。

 ドキドキしながら、しばし待つ。

 けれど、その人物が姿を現す前に裁判は始まってしまった。

 ……どうやら、部屋は間違えていないらしい。

 って事は、奴は寝坊したか、もしくはサボったのだろう。

 まぁ、どうでも良い。


 裁判は、20分程度のごく短時間であっさりと終了した。

 来月、判決がでるらしい。


 当たり前だけど、テレビで見た裁判とは、かなり印象が違った。

 テレビでは弁護士やら検事やらが朗々と意見を述べていたのに対し、現実は、被告者側のも原告側のも、ぼそぼそとした早口の棒読みで、とても聞き取り難い。

 しっかりとした発音をして話していたのは、裁判官と、衝立の向こうで陳書を読んでた人物と、被告人だった。

 だからその弁護士風の2人に対しては、「あぁ、この人たちは仕事をしてるんだな」と云う感じを覚えた。


 裁判終了後、ゲームセンターに行って少しだけ遊んだが、あんまり面白くなかった。


☆星型クッキー☆

2002年10月26日(土)

 学祭なので、久しぶりにクッキーを焼いてます。

 今回は、ラベンダークッキーと、カモミール&蜂蜜クッキーの二種類を、100枚くらい焼く予定。

 昨夜の内に生地は作ったのだけど、冷蔵庫で寝かせている内に本人も眠くなってきたので、ひと眠り。

 で、早朝五時半にベットから這い出て、設定温度より20度低い温度までしか上がらない、おんぼろオーブンを温めている現在に至る。

 さて、そろそろオーブンは180度になったかな?


雨の中を歩く

2002年10月21日(月)

 久しぶりに妹と手を繋いだ。

 そうしてやっと、以前と様子が変わってしまった事に気が付いた。

 求めるなら、いつでも手を差し出そう。

 やっぱりほんとうは、愛しているから。


真夜中の模様替え

2002年10月16日(水)

 何となく、午前一時に目が覚めたので、台所の模様替えを実行してみた。

 いらない物は捨てて、あまり使わない物はしまって、使いそうな物を出しやすい場所に設置した。

 食器棚は90度回転させてみた。

 少しだけ、新しくなった感じがする。

 床の上に色々、未処理の物品がゴロゴロと転がっているけれども、気にしない。


 少し気が済んだのか、また眠くなってきたので、真空パックから開けたばかりの緑茶を淹れて楽しんだ後、いそいそと布団の中へ舞い戻った。


 その後に見た夢には何故か、プレスリーが出てきた。


この光の庭で

2002年10月13日(日)

 今となっては既に朧気な、夢の世界。


 確かにあの時、私の目の前は光に満ちていて、薄紅色の華がたくさん咲いていた。


 聞いた話とは違っていたが、それはそれで。
 なかなか良かった様に思う、今日この頃。


鞄の中に、絵本を入れて

2002年10月12日(土)

 第二、第四土曜日は読み聞かせの日。

 まだ1年にも満たないこの習慣が、此処まで私の中で重要な位置付けを得るとは自分でも思わなかった。

 しかし、思い返してみれば。
 読み聞かせやストーリーテリングの面白さの体験は、私が小学生の時まで溯る事が出来る。


 あれは趣味だったのか、それとも学校の方針だったのか、今となっては分からないけれども、私の学校では先生達が授業中にその授業とは関係無いお話を、私達に語って聞かせてくれた時期があった。

 特に覚えているのは書道の先生のストーリーテリングと、理科の先生の児童書の読み聞かせ。

 書道の先生は、授業が終わる少し前に日本の恐い話(笑い話もあったが大体恐い話が主だった)を、その静かな深いバリトンで語ってくれた。

 タイトルは覚えてないけれど、化け猫の仇討ち話だとか、肝試しに行ったお母さんが幽霊と間違えて自分の赤ん坊の手を切り落としてしまう話。
 「飴買い幽霊」と云う昔話も、この先生から初めて聞いた。

 ストーリーテリングの授業で、「子どもは恐い話が好き」と云う話を聞いたが、確かにあの時、「恐い話と面白い話、どちらが良いか」と問う先生に、大半の生徒が毎回、「恐い話!」と叫んでいたのを覚えている。
「聞きたくない子は耳を塞いでなさい」
 なんて言いながら、その先生は話し始め、私達は息を潜めながらそれに聞き入っていた。

 理科の先生は、一年かけて児童書を一冊読んでくれた。
 授業が早く終わったときしか話してくれなくて、結局最後まで読み終える前に、学年が変わってしまった。

 タイトルも、ストーリーも殆ど覚えていないけれど、それを愉しみにしていたのだけは今でもおぼえている。


 私は、どちらかと言えば「子ども嫌い」なタイプに属する方だ。

 幼い頃は、6歳下の三女の面倒を次女に押し付けて、自分は一人で黙々と遊んでいたし、今でも小学生なんかの生意気な発言を聞く度に、眉根を寄せてムッとしたり、内心鼻で嘲笑って馬鹿にしてしまったりする事の方が多い。

 そんな自分が、読み聞かせと云う子どもと接する事に熱中するのは、その小学生の時の記憶が強く残っているからだと思う。

 聞き手から読み手へと、その立場は変わっても、同じひとつの物語を共有するあの感覚が好きだからこそ、今の自分がいるのだ。


 今日の読み聞かせは私を入れて四人が参加するハズだったのに、その内の二人がドタキャンし(しかも一人は欠席の連絡すらくれなかった)そのいい加減さに無用に腹を立てたり、紙芝居をやってる時にその裏側に遊びに来てしまうやんちゃなお子様を非常に邪魔に思ったりと、なかなか思う通りに行かない事があるにはある。

 けれどもそんな不都合も鼻で嘲笑ってやりながら、私はノロノロと走る世田谷線の景色を眺めて図書館へと行き来するのが、結構気に入っていたりするのだ。


気が付けば一周年

2002年10月11日(金)

 この日記を書き始めたのは、ちょうど去年のこの日だった。

 気まぐれに過去の記録を眺めて見たものの、去年からあまり成長したようには思えない。

 まぁ、「老化も成長のひとつである」なんて発達心理学的な見解からみれば、一概に成長を重要視しなくても良いのではないかと思う、今日この頃。

 少なくとも、衰退はしていないはずだ。

 進歩してもいないけど。


 去年は風邪を引いていたみたいだが、今は一応健康である。
 けれど、漢方を愛用しているのは変わらない。

 直前であった学外発表会、今年は既に終了している。
 あまり感動を覚えなかったのは、去年と同じ。


 この状態を停滞と呼ぶべきか、平穏と呼ぶべきか。
 取り敢えず、そんな感じで日々を過ごしている。


万引き少年と、気温約五度の中のアタシ

2002年10月08日(火)

 児童館を訪問し、学童さんと仲良くなった後、ルンルン気分でバイトに行った。

 午後六時近く、まだまだルンルン気分で店内を箒で掃除していると、店長が話し掛けてきた。

店長 「今日、遊戯王カード、売った?」

アタシ「?? いえ、今日はまだ売ってませんけど?」

 そういやさっき、トレーディングカードコーナーに男の子がいたなぁ。見てただけなのかしら?


 しばらくして、小学生がレジにやって来た。

 多分、3,4年生くらいでちょっと小太りの男の子。暑いのかしら、玉のような汗が顔から流れていた。

 男の子が持ってきた梅のお菓子の代金を受け取り、袋に詰めて手渡す。

 彼が店を出た途端、外で待機していた店長がその子の手首を掴んで、店内に連れ戻してきた。

「あの、別に、万引きとかそうゆうんじゃなくて…」

 男の子は動揺して、そんな事を口走っている。

(……あらま)

 男の子と店長は、そのまま事務所の奥へと消えていった。


 今此処で、ひとつのドラマが起きている!!

 …………。

 いや、ちょっと待て。

 って事はあれか?

 このゴタゴタが収まるまで、

店内の通常業務はアタシ一人でやるのか!?

 いやはや、これは大問題である。

 そう思っているうちに、レジ待ちの客が三人並び、最初の一人がファーストフードを頼みやがってくれた。

 仕方がないので、その客には五分ほど待ってもらうように頼み、急いで清算を消化した後で、パパッと「らずべりぃちーずぱふぇ」を作る。

 厨房と事務所が繋がっている為、奥の方から店長の声。

店長 「悪いけど、もう少しだけ一人で頑張ってね〜」


 ………。

 やるしかないらしい。

 文句は言えまい。

 事務所の重ッ苦しいオーラを背中で感じたアタシは、素直にそれに従った。


 三十分くらい、一人で頑張る。

 その間、万引き少年が一度トイレの為に事務所から出て来たが、後ろから店長がピッタリと見張っている。

 怖い、まるで「三枚のお札」の山姥と小坊主みたいだ。

 数十分後、男性が二人やってきた。

 少年の通う学校の教師らしい。担任と、学年主任といった雰囲気。

 店長が名刺を電子レンジの上に置きっ放しにした為、ついつい盗み見をしてしまう。

 「○○学園教師」

 近所にある公立の生徒だと思っていたので、少々驚いた。

 店長と三人で現場検証のような事をした後、教師2人は店外で何やら相談をし始めた。

店長 「いやぁ、先生も大変だねぇ」

 暢気につぶやく店長。
 そりゃ、捕まえて保護者に連絡した時点で彼の仕事は粗方終わったのかも知れないが、そんなんで良いのか?

 八時頃、少年の父親らしき男性が現れ、少年も交えて五人で何やら話し始めた。

 流石に、他の客も何かあったのかと興味深げにチラチラと様子を窺っていた。

 何となく雰囲気に違和感を覚えながらも、一応普段通りに接客をするアタシ。

 ちょっと気まずい。


 その後、漸く四人が帰り、普段のルーティンワークが再開した。

 忙しかった割には仕事が早めに終わったので、新しい仕事を教えてもらった。

 ペットボトルなんかが保存されている棚の裏にある、ウォークと呼ばれる場所で行う品出しの作業である。

 仕事自体は簡単なのだが、室内気温が5度に設定されているので、かなり寒い。

 十五分ほど中で作業していただけで、指先の血色が白くなり、口がうまく回らなくなったのだった。


ティーカップの中の夜明け

2002年10月06日(日)

 来客があったので、初めてマローブルーの紅茶を淹れた。

 陶器製のカップに注がれる液体は、お世辞にもおいしそうには見えなかった。

 匂いもあんまり、得意じゃない感じ。

(失敗したか?)

 内心そんな事を思いながら、本で見た通りにレモンの汁を2、3滴落としてみた。


 夜が明ける、とは良く言ったものだ。

 すっごく、綺麗……


 レモンを入れた後のマローブルーは、結構美味しかった。

 蜂蜜を小匙一杯加えてみると、レモネードみたいな味がした。


 透明な、ガラス製のティーカップが欲しくなった。

 それに淹れたら、もっと綺麗に見えるだろう。


無感動な一日

2002年10月05日(土)

 今日の起床時間は8時40分。
 アタシにとっては早起きな時間帯ではあるのだが、いかんせん、今日はサークルの学外発表会。
 故に、8時40分には池袋の豊島公会堂に存在していなければならなかった訳で。。。

明らかに遅刻です

 緊張感ないなぁ…。

 仕方が無いので目覚めのシャワーも弁当作りも諦めて、ひたすら迅速に必要最低限の身支度をし、アパートを飛び出してみる。

 その甲斐あってか、九時半には某所に到着し、事無きを得た(本当か?)

 アタシの仕事は、演者の舞台メイク補助とメイク道具の管理なので、遅刻してもなお、時間に空白があった。
 道具係が舞台セッティングの準備に蜜蜂の如く動き回り、演者がフィナーレの最終打ち合わせに借り出されているのを尻目に、アタシはこっそり外へ出て、コンビニで朝昼の弁当を購入した。

 (一応、ある男性演者の一人が当日直前に髪を灰色に近い茶色にブリーチし、その癖眉毛は真っ黒なまま、という何ともアンバランスな髪型にして来てくれたので、その対処策の為の眉用マスカラを一緒に購入する、という仕事もこなした、と言い訳をしてみよう)

 一時にリハーサルが行われる為、十一時から急いで演者達のメイクをする。

 メイク補助、といっても男性演者の殆どが化粧などした事のない奴等だ。

 演劇部出身者と、化粧の上手い助手がいる演者以外はアタシがメイクをしなければならない。

 ちなみに、

普段アタシはノーメイク派である

 こんな奴に化粧任せて大丈夫なのか?

 不安で堪らない(おいおい)

 取りあえずリハで様子を見、三人ほど化粧をやり直した。

 まぁ、やれるだけの事はしたつもりである。後はビデオでみんなの顔が変に映っていなければ、大成功、と云うわけだ。

 午後六時。本番前に、食事等で落ちてしまった化粧を再度直し、舞台へ赴く彼らを見送った。

 本番中は暇なので、一瞬、客席に潜り込んでみんなの雄姿を観賞したくなったが、「何か」の時の為に控え室に残る事にした。

 まぁしかし、漠然と心配していたようなハプニングは起こるはずもなく、あまりに暇だったので舞台袖の邪魔にならなさそうな処で後輩たちの演技を盗み見た。

 去年は、アタシが演者の立場だった。

 感慨深い、とも言えなくもないが、それほどでもない。

 淡々と、着々と、流れるようにあっさりとプログラムは進み、本番は終わった。

 フィナーレ終了と共に緞帳が下がり、閉じられた舞台の中では去年と同じような光景が繰り返された。

 泣くひと、笑うひと、抱き合うひと。。。

 アタシはそのどれにも属さないまま、その光景を傍観する。

 それもまた、去年と同じ。

 ……ま、仕様が無いか。

 軽く肩をすくめてみせた後、ファミリー(同じ種類の手品を演技した事のある部員をまとめた、俗称らしきモノ)の後輩に花束を渡した。


夜10時の来訪者

2002年10月01日(火)

 妹(次女)と母がやって来た。

 バイトが10時までだと言ったハズなのに、9時頃に駅前のファミリーレストランに入って、『早く来い』との催促メールを送ってくる、少し勝手な二人。。。

 そういう事は、アタシじゃなくて時計に言って欲しいものだ。

 バイト後、走ってファミレスに向かい、シチューを食べながら二人と話す。

 「だったら○○しちゃえば?」

 「そうそう、そんでその後○○して○○○もらうの」

 そんな会話についていけない自分を自覚しつつ、この前作ったタイカレーの自慢をする。

 「お姉ちゃんって、結構「食」にお金かけるよね」

 ……確かにそうかもしれない。

 その後、ある程度は片付けておいたアパートに二人を招き、フォートナム&メイソンのダージリンにシナモンスティックをつけて振る舞った。

 アタシの場合、紅茶はストレートが好きなので砂糖とミルクは用意しない。

 レモンがあったら、この前仕入れたばかりのマローブルーというハーブティを出すつもりだったのだが、生憎スーパーは既にしまっていた。

 まぁ、「衣」にお金をかける妹にはそんな紅茶云々よりも、某氏から借りたビートマニアの方が魅力的に映ったようだった。

 母からは貰い物の時計を褒められた。

 正直アタシはそれほど気に入ってなかったのだが、母いわく

「その人(送り主)アンタの事、よく分かってんじゃない」

 だ、そうだ。

 しかし、アタシは気に入ってない。


 分かっていないのは誰だろう?

 某氏と母か?

 それとも、アタシなのか?

 誰も自分の姿を見る事は出来ないって言うしね。
 案外後者なのかもしれないと感じた、十月最初の日。

 台風が去って、虫が鳴いている。

 < あの時、ああしていれば…  …見る?  この時は知る術もなかった… >


TOHGA [はい、もしもし?] ここで逢ったが
人目!!