Movin'on without you
mako



 想い出と春の匂いと。

一年中、どんな季節にだって
あたしといかせんの想い出はあるんだけど。

もとい、あたしの中に
いかせんの想い出は、山ほどあるんだけど。

とりわけいちばん多いのは
やっぱり、秋と、この季節なんだと思う。


そうして、思い出した。
明日が、卒業式だということを。


――――――――――――――――――――――――

あたしが卒業した高校は、
明日が、卒業式を迎えるはずです。


信じられない。
もう6年も経ったんだね。


卒業式の日、卒業証書を嬉しそうに見せるあたしに
あなたが向けた、優しそうな眼差しが
あたしには未だに忘れられません。

あたしの頭をぽんぽんってして
優しそうに笑うあなたの笑顔が
あたしには忘れられません。

あの頃のあたしは
大人になれば、何かが変わると思ってた。

確かに変わったのだけれど
失ったものばかりだよ。

あなたの優しい笑顔は
もう二度と、手に入らない。


――――――――――――――――――――――――


あたしと、いかせんが働いていた会社は
この時期が、多分一年でいちばん忙しくて
だからあたしといかせんの想い出も
自然となぜかこの時期が多かったりする。

もう何年も昔に優しくされた記憶が
この季節の匂いと共に甦るのは

あたしにとって、情緒不安定のもと。



些細なことで、あんなに幸せになれたね。

一緒に桜を見たこと。
一緒に車に乗ったこと。
一緒にいろんな話をしたこと。

些細なことだと思うのに
些細な想い出であたしは何年も幸せになれる。


失ったから綺麗な想い出っていうのとは
違う気がするんだ。

あなたが目の前に居続けた5年間も
居なかったこの1年間も

あたしにとっては何も変わらない。


あなたはずっと大切な人で
大切な想い出で大好きな人で神様みたいな人で


もう一度、抱かれたい人。



神様がいるのなら
あたしとあの人をもう一度、出会わせてほしい。



そんな願いをいつもあたしはしてた。
でも結局会えないところにあたしは在る。

神様は。結構残酷だと。


2005年02月28日(月)



 ただひたすら悔やんでる。

浮気した、その事実より――

あんな男と寝た、自分に腹が立つ。

あたしの後悔は、それだけで出来上がってる。



いかせんといた、あの夜のことを思い出すたびに
あたしの後悔はもっと広がってく。

なんで、あんな男性とそんな風になったんだろう。
かっこいいわけでも、優しいわけでもなく、
平凡で、つまらない人。

そう。一言で表すとそれだけ。
平凡でつまらない、ただの男。


穢れた自分が消せない。

今になって、すごく後悔してるの。
本気で、後悔して、消せたらいいと思ってる。

人生のリセットボタンがあったら
あの夜からやり直す。


覚悟もないまま、あんな軽はずみなことをするから
何も考えないまま、好奇心に身を任せるから
こんな後悔が襲ってくる。


そして、
この後悔を

違う人に抱かれることで消したいと望んでいるあたしは

正真正銘の馬鹿なのかな。

・・・馬鹿だよね。


あんな奴の影を
早くあたしから消してほしい。


いかせんにとは言わないから。





2005年02月27日(日)
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