嗚呼!米国駐在員。
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2006年03月25日(土) そして上海へ

16時間のフライトを経て上海到着。

上海直行便は超満席で実に息苦しかった。アメリカ人が案の定この空間に我慢できずに通路に立ってお喋りを始めるのだが、何せ巨漢ばかりなので邪魔でしょうがない。本を読んでみたり映画を見たり眠ったりするがどれも長続きせず。

ひたすら耐えに耐えてようやく到着したのだが、開放感もつかの間。夕刻で到着便が集中しているのか、イミグレは大混雑。いつも感じるのだが、上海空港のイミグレは不親切でどこに並べばいいのかさっぱり分からない。外国人と中国人の区分もはっきりしないし、真ん中に大きな柱があるので列もぐちゃぐちゃだ。列には日本人も多かったが、おじさんおばさんツアーはみんなリュックに帽子という格好をしているのも面白い。牛歩にもならない列で1時間ばかり並ぶ。日本人は大きな声では言わないが、仲間内にだけ聞こえるようにブチブチと不満を漏らす。「ちょっと〜、どうなっとるんだてぇ。ちいとも進まんがやぁ。」 あはは、名古屋人だ。アメリカ人は辛抱強くというか、やっぱりお喋りしながら並ぶ。

人民元は、いつも米ドルから両替したりキャッシングしたりするのだが、今回は空港内のciti bankで自分のアメリカの口座から引き出した。レート7.95だが、これが一番安心感がある。

タクシーでいつものホテルへ。

午後6時半だが、米時間で午前3時半。しばらく休憩した後、ホテル裏のマッサージへ。いつもすいているのに、欧米人の客でごったがえしていた。昔は「盲人按摩」という看板で店も暗かったのだが(実際には盲人の方はいないようだったが)、看板は欧米人向けに英語になっていた。足裏マッサージ1時間をしてクタクタ。近くのLawsonで買ったサンドイッチとサントリービール(2つで1ドル以下!)を部屋で食べると、そのまま死んだように眠ってしまい、長い1日が終わった。



2006年03月23日(木) 中国人社長から試された

中国の取引先社長から連絡があった。


「次中国に来るときにAppleを買って持ってきて欲しい。中国で手に入らないんだ。金は払うから。」


もちろんAppleはリンゴではなくパソコンだ。どこで調べたのかMacBook Proという新発売の機種を指定してきた。価格は$2,000.-。中国で手に入らないブランドを持つことは中国人にとって価値がある。どうしても手に入れたいのだろう。しかし、相手の社長は確かに何度も会って商売はしているものの、もちろん同じ会社でもなければ友人という事でもない。あくまで取引先の社長だ。それでも頼んで来た。しかもここはアメリカ、相手は中国。 極端な話、ドロンされたらもう最後。


試されているのだろうか?


それでも、意外と悩まずに、翌日には指定の機種をアマゾンに申し込んだ。
中国人はみなプライド高いが、相手は“中国人らしくない振る舞い”が立派に出来ることにプライドを持っているタイプなので、ここは信用してみようと決めた。断る言い訳はいくらでも思い浮かんだが、とにかくこうした行為をすることでこちらとの信頼関係という絆も強くなることを期待した。ただ、こちらでそんな荷物をわざわざ機内に持ち込むような面倒臭い事をするつもりはなかったし、実際に商品の到着まで数週間かかりそうなので、買うのはいいが持っていけないから郵送する、とだけ伝えた。そして、こちらの銀行口座番号を伝えた。

そこで疑問が出た。果たして中国からそんなに簡単に外貨送金出来るのだろうか?もしかして、直接人民元で2000ドル分支払われたりしたらどうしようか。そんな不安も出た。


果たして無事にお金は回収出来るだろうか。



2006年03月22日(水) 中国 / 高金利

ビジネスをするに当たって、Sorry という言葉を相手からなかなか聞く事が出来ないこの国で仕事をしていると、謝罪文化に慣れきった日本人としてはモヤモヤした気持ちになる事が多い。そんな中、中国との商売で中国人から「Sorry, Sorry, Anyway, Sorry.」などと、謝罪のオンパレードを聞くと、心のない謝罪の安売りだとは分かっていてもついつい許してしまうようになる。こうして言葉で謝罪されると、どうしてもこれからに期待してしまう日本人は、貿易をする中国人にとって組みし易い相手かもしれない。

こうして問題が知らぬうちに膨らんで、結局直談判せざるを得なくなる。という訳で月末から中国に飛ぶのだが、アジア特有のWELCOMEムードで和やかに食事なんか接待されるとそれはそれでうれしいものである。



ところで、昨日は銀行で新たに口座を作った。
せっかくアメリカにいるんだから、利子の高いCDに貯金を一部移した。勉強も兼ねてなのだが、なんといっても4%半ばという金利は日本では考えられないから、とにかくやらなければ損だ。幸い、給料もドルがほとんどだし、日本でやる外貨預金とは違って為替変動に泣くこともない。 現在、HSBCではSaving Account 4.8%のキャンペーン中。

いろんなオンラインバンクの利子を比較できるサイト(クリック)もあるが、オンラインバンクは何かあった時のやり取りは結局電話なので、不安であれば現在の取引銀行まで足を運んで相談するのが良いと思う。



2006年03月21日(火) WBC イチローの「思い」

昨日のWBC日本一は素晴らしかった。
アメリカではESPNで中継されたのだが、カレッジバスケットボールの中継が長引いて、WBC中継が始まった時には既に試合開始30分後。画面が切り変った時には日本が先制点を入れていた。いくら米国が予選落ちしたからといって、ベースボールの世界一を決める試合より大学バスケが優先されるこの状況。バスケが長引いていたときは本当にイライラしたが、所詮はアメリカでのWBC関心度なんてこんなものだったのだろう。それにしても、日本チーム、よくやった!アメリカに住んでいてこれほど日本が誇らしげだった事はない。


それにしても、日本代表で印象に残ったのは何といってもイチローだろう。
一連の彼の動きを見ていると、何となく気持ちが少しだけ分かるような気がする。

自分の場合はそうなのだが、アメリカ人に囲まれて働いていると、本当に虚しくなる。奴らは組織の事は考えずに自分の事ばかり。自分の都合が全てに優先するから、会社がどうなろうと知ったこっちゃない。もっというと、隣の同僚が困っていようと、自分の仕事の範疇外であればまるで関心が無い。こんな環境で働いていると、まずは組織よりも自分のキャリアアップだけに専念したいという気持ちになってくる。でも、それは長くは続かない。そのうち、組織力、いわゆるチーム一丸で何かを目指す、とかチーム一体感という感覚に本当に飢えてくるのだ。

日本で働いていたときは、組織行動が当たり前でそんな環境が少し窮屈でさえあった。個人の裁量で行動できるアメリカがうらやましく思った。ところが、いざアメリカに来て個人で動いてみると、どんなに1人でやり遂げた成果があっても、やっぱり組織力を生かして何かをみんなで達成する事の方が、はるかに充実感がある事に気がつく。

サラリーマンとメジャーリーガーの比較は出来ないけど、WBCでのイチローを見ていると、シアトルマリナーズという最下位チームでそんな気持ちを抱えていたのではないかと勝手に想像する。

マリナーズの選手は試合前に練習せずにロッカーでトランプをしているという。
自分の成績さえ良ければいいや、年俸さえ上がればいいや、そんな考えのメジャーリーガーは多いだろう。野球を心から愛しているイチローは、そんな同僚の姿が許せないのではないか。WBC決勝戦、午後6時からプレーボールなのに、午後1時には球場に現れてトレーニングしているイチローの姿が放映された。そして、そんなイチローに引っ張られるようにアップをしている他の日本人選手たち。まさに勝利を目指す集団としてのこんな一体感に、イチローは飢えていたのだろう。そう思えて仕方が無い。

逆に言えば、イチローがメジャーに来ずに日本であのままプレーし続けていたならば、きっとあそこまで気合は入っていなかったのかもしれない。

これ以上ない結果と、最高の充実感を持って終了したWBC。
イチローはこれからマリナーズに合流する訳だが、こんな体験をした後では、自分がどうすべきか戸惑い気持ちが途切れてしまうのではないかと余計な心配をしてしまう。






2006年03月19日(日) WBC決勝進出!

ホッとした。
やっぱ勝てば全てが解決する。采配を叩かれた王監督、打てなかった福留、イチローへの批判。この勝利で全てが吹っ飛んだ。


相手の攻撃中にも容赦なくがなりたてる「デーハミングっ」。
こんな韓国チームにだけは絶対に負けて欲しくなかった。韓国は嫌いじゃないのにスポーツで対戦する時だけはそういう気持ちになるのは何故だろうか。それは韓国が「日本には負けたくない」と敵対意識丸出しで露骨に発言しているからだ 。

30年発言は韓国に対してのものではないのに目の敵にされたイチロー。2次リーグで日本に勝利した後、国旗をマウンドに突き立てた選手。昨日の試合でイチローのファールフライを捕球した三塁手は、そのボールをベンチに帰るイチローに向かって投げ捨てた。そして試合に負けたら負けたで、ルールのせいだ、大会規約がおかしい、と中心選手がわめき散らす。なら最初から参加するなよ、と言いたい。国際大会で恥ずかしくないのかね。


それはそうと、WBC。
今日の朝刊を見て唖然とした。20ページ以上あるスポーツ欄に、WBCの話題はほんの少し。最初は見逃してしまったほど。わずか10秒で読み終わった。
アメリカが早々と負けたこともあって、新聞、テレビなどマスコミの報道も地味だ。現在は大学のバスケットボール選手権が行われ、米国民の関心は野球にはない。トップニュースは常にバスケットボール。「ESPN」だってろくにニュースにしない。普通のアメリカ人は知らないだろうな。


とにかく、日本チームの試合がもう一試合見れるのがうれしい。


2006年03月17日(金) 「勝って欲しいよねぇ、絶対に。」

昨日は朝5時に家を出て空港に向かい、日帰り出張。
連日の出張で身体がクタクタ。座席に座るなり爆睡で、ドリンクサービスも気づかずにデトロイト到着。17日はセントパトリックデイ。「パーティで会社は昼までよ」という、すっかり休日ムードの取引先との面談を終わらせ、久しぶりに日本食レストランへ向かう。

カウンターに座って、カツどんとうどんのセットを注文。
ぼんやりとBS放送を見ていたら、スポーツコーナーに入りWBCの話題になった。と、それまで無言でもくもくとカウンター越しで夜の仕込をしていた店の大将がボソッとつぶやいた。


「勝って欲しいよねぇ、絶対に。」


適当に相槌を打つと、怒涛のように話し出した。

「もう単に勝つだけじゃおさまらない。どうせアイツラは僅差で勝ってもイチャモンつけるだけだ。もう10対ゼロ、いや、20対ゼロでもいい、圧倒的に差をつけて勝たなきゃダメだ。だいたい、アイツラはうるせえんだよ。それに、・・・・・・・・・・・・・・(以下割愛)」


他に客がいるのになあ、ええんかそこまで言って、と思い、特にコメントも返さなかったのでそれ以上のやりとりはなかった。ただ、気持ちは理解出来たし、自分もそう望んでいた。


今回の韓国チームは本当に気合が入っているし、よくまとまったチームだ。投手力も充実しているし、一発も打てる。認めざるを得ない。それに、ここまで6連勝と勝ちまくっているのに、監督は、「我々はまだアメリカと日本からは学ぶべき立場だ。」と、非常に謙虚である。悔しいくらいだ。


ここまでの試合、日本はイチローがそうであるように選手に気合が入りすぎていて、それが画面からヒシヒシと伝わってくる。絶対に勝たなきゃいかん、という思いが伝わってくる。でも、それでいい。よく、楽しんでやれ、なんていう言葉を特にアメリカで聞くのだが、日本人にはそんな姿は似合わない。いいじゃないか、鬼のような必至の顔をして試合したって。そんな日本代表を誇りに思う。


韓国が強いと認める訳にはいかない。認めたくない。日本人として、当然の感情だ。


今晩は絶対に勝って欲しい。


2006年03月15日(水) またもや出張 / 正しいドリンクの注文

昨日はインディアナへ向かいそこからMemphis、さらにColumbia (SC)へと慌しい1日。

1日に3便も飛行機に乗り、しかも毎回目的地に時差があるため、妙な疲労が残る。最後のColumbiaは夜10時過ぎに到着したのだが、小さな空港は既に空港に人気無し。レンタカーでホテルまで向かうがとにかく暗くてハイウェイまでの表示が見つからずにウロウロと。ようやくたどり着いたホテルでは、ロビーにどこかの航空会社のクルー一同が。よく見りゃ自分の乗ってきた飛行機のクルー。何度も来ているのだろうに、ホテルは相変わらずの手際の悪さでチンタラチンタラ。かなり待たされてしまった。

今回は久しぶりにNorth Westに乗ったのだが、後部座席から順番に搭乗させるので通路で待ちぼうけにはならない。これは良い。毎回搭乗時に人が押し寄せ混乱するUnitedに辟易していたのだが、どうしてこんな単純な改善が出来ないのか不思議である。

夕食はMemphisの空港レストランで簡単に。
滅多に入らない空港のレストランだが、場所柄、1人客も多いし料理もすぐに出てくる。何より搭乗待ちで食事する客ばかりだから回転も早いので、日本人には向いているかもしれない。サラダとバドライトのドラフトを注文。


アメリカでのドリンクの頼み方だが、メニューを見て「え〜とぉ」などというのは実にスマートではない。
というより、今回もそうだったがメニューなどなしに「何飲む?」と聞いてくるから、あらかじめ決めておくのがよい。自分の場合はバドかミラーライト。これが置いていないレストランはない。たまにローカルビールを頼むが、とんでもない味のものもあるので気分が乗ったときだけだ。よく、どんなビールがあるの?と聞く人がいて、ウェイトレスはベラベラベラと銘柄をあげてくるが、聞いたところでほとんどが味も予想出来ないビールなので、やはりお決まりの銘柄をバシッと注文するのがスマートだ。アルコール以外ではアイスティーが無難。


それにしても、毎週のように飛行機でアメリカを飛び回っているが、フライトが遅れは日常茶飯事であって、なかなかスムーズに行くことは少ない。仕事だから我慢しているが、これがバケーションなら逆にストレスがたまりそうだ。でも、はるかに日本の方がストレスがたまったのは何故だろうか。


*ネットでWBC日本対韓国の速報を見たが、試合は4回を終わって両軍無得点となっている。
アメリカで試合しているんじゃないのか!何でテレビでライブ中継しないのだ?



2006年03月12日(日) あのシーンにがっかり

野球ファンとして、ほんとうにガッカリしたシーン(クリック)だった。

いうまでもなく8回のタッチアップシーン。
誰がどうみてもタッチアップ成功で日本は1点リードするはずだった。

西岡の離塁が早いのでは?、とした米チームがボールを3塁に回し、一旦、3塁審判はセーフの判定。それでもアメリカのマルティネス監督が「三塁走者が塁を離れるのが早かった」と抗議し、ホームアンパイヤが2塁審判に聞いてすぐに「アウト!」の判定、判定があっさり覆った。


テレビで生中継を見ていたが、一体何が起きたのか分からなかった。

ベースに一番近い審判(オーストラリア人)がセーフと言った判定が、球審(アメリカ人)と2塁審判(アメリカ人)が一言(約2秒)話をして覆った。

こんな事があっていいのだろうか?

球審は、3塁審判の判断を全く無視したのだ。画面にはアメリカの監督がガッツポーズのシーン。テレビのリプレイでは何度も問題のシーンが流れるが、何度見てもアウトの理由が分からない。ESPNの解説者も、この判定には非難をしていた。

なんともやるせないシーンだ。何度見直してもキャッチしてからスタートしている。誤審も誤審だが、これでアホみたいに大喜びするアメリカチームにもうんざりだ。


当然、王監督が必至に抗議したわけだが、その間、日本チームは守備につかずベンチで状況を見守った。つまり指揮官に委ねるべく立派な応対をしていた訳だが、試合終了後のアメ記者は、「日本の選手は抗議してなかったからあのジャッジは正しいんだよ!」と抜かしていたという。じゃあなんだ、選手全員で審判に詰め寄れっていうのか?

スポーツにアウェーの洗礼はつきものであるが、こんなミエミエの判定覆しはない。

そもそも、こんな国際大会で審判がなぜ第三国から派遣されないんだ?なんでメジャーじゃなくてマイナーのヘッポコ審判なんだ。特に主審は、メジャーをクビになった審判だ。これがサッカーのワールドカップなら大暴動だ。

サヨナラヒットのロドリゲスが、「バック(マルティネス監督)がこの日の最優秀選手だ」と答えていたが、お前はアホか。
世界一の給料もらって、プライドはないのか?


誤審のせいで負けたとは言えないけども、本当に貴重な一点をフイにされた。スポーツなのに、何だか嫌なアメリカを垣間見たようで本当に気分が悪い。




2006年03月10日(金) やはり日本と思う訳。

こうしてアメリカに住んで3年が経過しようとしているが、日本の強さというものを益々感じてきている。

自動車を筆頭にした日本製品が世界に流れ込んでいるが、どれも他国にはマネできない技術を持っている。ハイブリッド車にしても、アメリカにはない車を消費者が喜んで買うという構造が出来ている為、70年代や80年代の貿易摩擦にもならない。他にはないプレミア付きで販売出来るから、価格競争にも巻き込まれない。


アメリカはモノ作りを諦めた国だ。
テレビだって日用雑貨だって、他国へ依存する事で成り立っている。第一人者の自動車だって瀕死状態。だから、モノ作りに対する尊厳など見られないように思える。ところが日本が捨ててしまった産業というのは見当たらない。日本の産業は80円台という超円高でも創意工夫をして生き延びてきた。モノ作りは日本が立派に世界に対して自慢出来る「文化」だ。
日本人というのは100%を目指し、詳細まで徹底的にこだわる。いや、私はこだわらない、と言う人がいても、世界から見れば立派にこだわっているはずだ。日本にいた時には窮屈に感じたこんな風土も、アメリカ人の全くこだわりのない貧相な意識にいつも接していると、何かかけがえのないものに思えてくる。

電化製品や携帯電話など、日本人は機能、色、形、と、わずかな違いを選択する事を楽しむ。
人より少しでも優れたもの、新しいものを求める。そして、顧客から求められる前に、次々と新製品を発表していく製造メーカー。自動車や家電などの商品に、どんどん得意のITを取り入れていく融合技術。こんな国は日本以外に無いのではないか。一時帰国した際に寄った電気屋では、目に入る製品の全てに驚きすぎて疲れてしまったほどである。日本では日常のこんな風景も、海外から見ると実に独特な文化だと思う。

アメリカなんて未だにブラウン管テレビが主流だし、携帯でメールも送れない。写真が取れる携帯を持っている人を見たのはかつて1度しかない。冷蔵庫/掃除機や洗濯機は、デカイだけでうるさく機能は全く期待出来ない。それでもそんなものだと言って、各家庭とも同じような大型ガラクタ家電を使っている。また、国土の広さに違いはあるにしても、申し訳程度のカーナビのレベルの低さは、不愉快になるほどひどくて言葉も出ないほど。
まあ、それで満足する国民だからしょうがないし、そんな環境に住んでしまうとそれはそれで慣れてしまうのだが・・・。

新聞や雑誌では、「日本もうかうかしていられない」と、中国をはじめとしたBRICs脅威論が幅を利かせているが、これらの国々に日本製品のような独創的でかつ技術的に申し分のない製品なんて絶対に開発出来ない。人件費の安さを武器にした廉価商品だけが、これらの国の得意とするところである。アメリカが中国の人民元切り上げを強く要請するのも、“中国製品なんて安いだけで俺達だってそのくらいやれば出来るんだ、対北米輸出が多いからって勘違いするなよ”という意識があるはずだが、日本に対しては、自分達では作れない製品、と自覚しているから、アメリカ政府だってうるさい事は言わないし言えない。


これから世の中が益々豊かになれば、消費者はよりよい製品を求める事になる。それが、まさに世界一の技術力と開発力を誇る日本製品である。世界に飛び出すと、こうした身近な製品でも日本のよさを改めて実感する。


2006年03月08日(水) ダラス1人飯

今日はテキサス、ダラスへ飛んだ。
思い切ってコート無しで出かけたのだが、コートどころかセーターもジャケットも不要な気候。それもそのはず、76度!同じアメリカでこの30−40度近い差は許せない。

午後3時前に空港に着いたのだが、昼飯を食べそびれていた。
ホテルまで2時間のドライブ途中で適当な店を探そうと思っていたが、車を走らせるほどそれらしい店がなくなっていく。ようやく見つけたマクドナルドであえなく手打ち。悔しい!アメリカでもう何百個食べた事だろうか。いつもの味にうんざりしたが、いつもの店での安心感もある。どうやらマック戦略に見事にハマッてしまったようだ。
出張ではマックだけは行くまい、といいながらも、見知らぬ土地ではなかなか冒険も出来ない。バーガーキングなど他のファーストフードチェーンというのは必要な時に意外と見つからないものである。


テキサスの広大な牧場のなか、ハイウェイ沿いのホテルに宿泊。
日本人なんて絶対にいないような小さな街だが、受付のオバサンに日本人か?と聞かれた。何度か日本を訪問した事があるけど、Greatだったわよ、と伝えてくれた。アメリカ人で日本にいった事がある人に出会う事などほとんど無いから、「ずいぶんもの好きですね」と言おうと思ったが、適当な英語が思い浮かばずやめた。

夕食は本当に困った。
ホテルの周りにはマックとケンタッキーとサブウェイしかない。レストランはあるけど、ヨソものの日本人が1人でノコノコ入って口に合うものなんて絶対にない。それに1人だと、食事はうまいか、だとか、いちいち店員と喋らなくてはならないのが本当に面倒くさい。少し迷ってちょっとでも身体によさげな、これまたいつものサブウェイに入る。

野菜、チーズ、Bread、と、いろいろチョイスがあるのが売りのサブウェイだが、どれも注文したって五十歩百歩だ。これも今までに百個位は食べたかもしれない。Foot LongのイタリアンBLTで6ドルちょっと払った。ああ、下らん下らん。こんなマズいジャンクにこの値段。日本にいたならラーメンセットが食べれたのに。吉野家の丼が食べれたのに。1つの特にもならない思いがどうしても頭をよぎる。

毎度の事だが、アメリカでの出張時の1人飯の選択は本当に困るのである。


2006年03月07日(火) ブラックベリーを知っていますか?

ブラックベリーと聞いて何を想像する?

日本人ならばブルーベリーのような木の実(きいちご)が思い浮かぶと思うが、アメリカではちょっと違う。

アメリカでBlackberryといえば、RIM(Research In Motion)社が提供するワイヤレス・モバイル電子メールサービス専用端末のこと。
こんな形(クリック)をしている。


空港で目にするビジネスマンのBlackberry所有率は非常に高い。
この数年は前年比倍増の売上を続けており、北米市場で大ブレークといってもいいだろう。現在では欧米30カ国でサービスが展開されており、アメリカでは450万以上の契約者を誇る。


その特徴とは次の3点。

1)メール受信の指示をしなくてもメールが送られてくる
2)大型画面と使いやすいキーボード
3)オフィスパソコンとシンクロ可能



-- う〜ん、全くたいした事がない。

モバイル電子サービスといえば聞こえがいいが、機能としては日本でいう「ケータイ」と変わらない。

そんなものが何故北米で大ヒットしたのか?
ブラックベリーは、端末下部に小型のQWERTY(標準配列のキーボード)が配列され、左右親指で入力できるようにしたことが特徴だ。
日本の携帯メールは片手親指で同じキーを何度も打つが、欧米のビジネスマンにはこれが耐えられなかったようで、ブラックベリーは両手親指でPCのように入力するスタイル。これが受けた。

新規で契約する場合、ブラックベリー端末代金は$250から$350ドル程度、月額料金は$40から$100前後。

正直言うとこの端末、実にカッコ悪い。日本じゃ絶対に流行らないな。


2006年03月05日(日) WBC日本敗戦にガッカリ

昼から降り始めた雪が夕方になっても止まらない。
こんな日に出張でなくてよかった。最近は多少日が長くなってきたが、春はまだまだである。


朝起きてすぐに、夜中に録画しておいたWBC韓国戦のビデオを見た。

1回、2回と5安打で2点を先制。この2試合の好調な打撃振りが続いていたと一瞬信じた。そして四回2死満塁で、西岡のライト右へのライナー性の当たりを李晋暎が横っ飛びでキャッチする超ファインプレー。このプレーを見たとき、何だか嫌な予感がした。抜けていれば3点入り、試合の流れを有利に展開できたはずだ。その後は1点を取りに行って、1点も取れず。ピッチャーはよく頑張ったが、打撃陣の層の薄さが隠せない。終盤の大振りポップフライの連続は、見ていて情けなくなった。そして李に2ラン打たれてそのまま敗戦。

負けた後で言うのもどうかだが、セリーグの首位打者の青木はどこにいってしまったんだ?松井の代役、福留がサッパリ働かないから、何故青木を出さない?確か前の試合で代打で出てヒット打ったはずなのに。そもそも、なんで中国戦なんかに上原を送り込んだのかも疑問である。

まあ悔しいけど、この試合でのレベルもハングリーさも韓国の方が上回ったな。韓国は、声をかけたメジャーリーガーが全員参加。彼らは普段はアメリカで孤独に頑張っているのだが、今回韓国人で集まったこの最高のドリームチームで生き生きと一丸となって戦っていた印象を受けた。日本は松井と井口が辞退した訳だけど、戦力的というよりもこうしたチームの求心力という意味での影響は否定出来ないはずだ。

テレビ中継(EDPN)で、イチロー発言「30年は日本に追いつけないと思わせるような勝ち方をしたい」 が何度も何度も何度も放映された。在米韓国人を大いに刺激したはずだ。そして、偶然だと思うが死球はぶつけられるし、ついには最後のバッターになりあっけなく内野フライ。韓国人にとってはたまらない試合だったろう。


幸い、日本代表は望みが消えたわけではない。
韓国に雪辱する機会も、 優勝候補アメリカに勝利するチャンスもまだ残っている。アメリカで頑張って欲しい。







2006年03月04日(土) WBCの中継

ここアメリカでもWBC日本戦の中継がある。
ESPN2で夜中3時から。さすがに生中継は見れないから、ビデオにとって翌日観戦。

中継の初めから、回転寿司を食うガキのカットから入り、久々の日本を思い出す。
中国戦、台湾戦と、勝つのは当たり前で勝負の行方など気にしてなかったが、それでも観戦前に結果を知ってしまうと興ざめだ。中国戦は、予想外に通勤途中のラジオで結果を知ってしまったので、今日は朝起きてからすぐに台湾戦を観戦した。久しぶりの東京ドームに、数年ぶりに目にするあのメンバー。といっても、多村だとか川崎、西岡など、初めて目にするメンバーが活躍していた。メジャーのパワーベースボールに見慣れると、日本のキメ細かい野球の良さが再認識出来る。

全日本は早々たるメンバーであり、相手の実力からすればコールドもおかしくはないのだが、アナウンサーが仕切りと「ヒデっキぃ マッツイ」と「タダヒロゥ イグッチぃ」がいない事を強調、彼らがいなくても「ノオゥ プロブレェムぅ」と連呼していた。やたらと日本人メジャーの選手を出すのは、アメリカで中継するにあたり視聴者に分かりやすいように、という配慮もあったのだろうけど、こんな時間に日本対中国の試合をテレビ観戦するアメリカ人なんて余程のもの好きしかいない。ほとんどの観戦者は日本人または台湾、中国人であったはずだ。


でもさすが日本のプロ集団。
イチローを筆頭にこれだけ緊張感のあるチームはめったに見られない。松井も井口も、何かとてつもなく大事な機会を逃してしまった気がする。

それにしても、ガラガラの観客席を見ると、日本の野球人気はどこまで落ちてしまったのか、と不安になる。

2次リーグになると、舞台はアメリカで突然レベルが上がるから、そこからが勝負だ。

次は韓国戦。絶対に負けないで欲しい。


2006年03月02日(木) ホテル選択 / 空港セキュリティに喝!

アジア駐在員と話をするとき、外出の際はお抱えの運転手に行き先を申し付けて後は車でのんびり、というパターンが多いと聞いてうらやましいとも思うのだが、アメリカでは、レンタカー/ホテルの手配、移動、なんでも全て自分でやらなければならない。一見手間がかかるのだけど、会社の金を利用しながら自分の好きなようにコーディネイト出来るので、それはそれで悪くない。

飛行機とレンタカーは自然と決まるのだが、出張先のホテル選択に迷うことが多い。

いわゆる定宿というものが各地にあるのだが、もしかしたらもっと快適なホテルがあるのではないか、とついつい欲をかいてしまい、新たなホテルにチャレンジしてみたくなる。

昨晩はまさにそうであった。
宿泊したことのないホテルにいくと、いつも期待と不安が入り混じり、それが楽しい。
だが、今回は調べていたホテルの住所になかなかたどり着けなかった。レンタカーで周辺を回って限りなく近づいていることは確かなのだが、見つからない。ホテルに電話して指示された通りに車を走らせても分からない。もともと郊外の場所なのにこれほど不親切なホテルに腹がたち、思わずキャンセルの電話を入れた。で、結局はいつものホテルを予約した。多少設備が老朽化しているが、勝手知ったる場所にあるそのホテルはやはり落ち着く。だったら最初からそうしろよ、と自分に突っ込みをしたくなる。


それにしても、出張の度に思うのだけど、空港のセキュリティは本当になんとかならんのか、と思う。

ゲートの前では、ジャケット脱げ、ベルト取れ、靴を脱げ、と言われるままに従わなければならない。そして乗客が丸裸にされたような状態で一列に並べさせられる。

ゲートの向こうではくちゃくちゃとガムを噛んだ黒人に、「Next!」と言われてあごで手招きされて、恐る恐るゲートをくぐる。まるで囚人だ。だいたい、アメリカでは「Next!」と言われる事が多いけど、奴らはなんでそんなに偉そうなのだろう。

いつもと同じ格好をしていて金属などないはずなのに、たまにランダムでピピーと音が鳴り、それから先は横っちょに連れて行かれ、両手や足をあげさせられたりして全身をくまなくチェックされる。

セキュリティの担当も、自分が偉くなったかのように勘違いしやがるから尚更腹が立つ。政府の指示があるのだろうか、何故か黒人比率が高いのだが、ここぞとばかりにアジア人とか白人に対して容赦なく振舞っているように見えるのも気のせいではないようだ。また、そんな奴に「Thanks」などと言っているお気楽なアメリカ人もよく分からない・・。


いつものように、StandByで一本早いフライトに切り替えて帰宅。
この制度だけは非常に良い。




2006年03月01日(水) 韓国人から聞いた日本とは

昨晩は授業の後に、韓国人のクラスメートと2人で食事。
授業が終わるのが午後10時。それから開いているレストランを探すのは一苦労なのだけど、オススメと言われて連れて行かれた韓国レストランは韓国人ばかりで賑わっていた。(自分を除いてKorean比率100%)

色々話をしていると、韓国ではサッカーの日本戦が一番熱くなる、だの、日韓併合時代の影響は多い、とか、数年前までは日本の音楽、映画等は一切禁止されていた、など、日本を目の敵にしたような発言が節々に目立つ。

日本人を食事に誘っておいて日本の悪口かよ、と不思議であったが、悪気でも何でもなく、思ったままを話している感じだ。

「やっぱり日本のこと、韓国ではよく思われていないのかな?」と聞くと、「そうだニダ!」と険しい顔をしてキッパリ。おいおい、1対1の食事だぜ。


中国人のいわゆる経営者層などと話をすると、日本を批判するような中国人は何も分かっていない、そんな奴らも中国に多いけど自分は違う、と、日本人のこちらを気遣ったような発言が多いけど、韓国人は非常にストレートである。

その反面、イチローと松井が好きだとか、片言の日本語を話してみたり、日本映画にやたら詳しかったりする。

「政府が日本の文化に触れさせないようにしてきたのに、どうしてそんなに詳しいんだ!?本当は好きなんじゃないの、日本?」と聞くと、苦笑いしていたが。



それにしても、彼らの愛国心は相当強いものがある。
話を聞く中では、韓国では若いうちに2年以上も徴兵で集団生活を強いられるので、その中で強い一体感だとか連帯感、国家への忠誠心が築かれるようだ。
食事の相手は20代半ばの若者だけど、日本人にはなかなか見られない芯の強さがある。それでいて、日本の文化、経済などは学ぶべき点が多いと認めざるを得ないと言っているから、どうやらおかしな形で日本への思いを表現せざるをえないように感じた。

会計時、伝票を掴んで「俺に支払いさせてくれ」と譲らないので、お言葉に甘えて御馳走になってしまった。
次回は日本食をご馳走する事を約束して別れた。



中国の事や韓国の事を悪く言う日本人が多いが、自分の場合は、1対1でその国の人に会ってちゃんと会話しているので、悪い感情は少しも起きない。
おそらく1人1人は会ってみてよく話せばみんな良い奴なんだろうけど、集団になるとなかなか個々人の思いやニュアンスが伝わらずに、集団心理も働いておかしな方向へと向かってしまうのではないか。メディアの内容でものごとを判断せずに、まずは人にあったりして自分で体験してみることは大事だと思う。



Kyosuke