| 2003年03月12日(水) |
◆同義語的使用への異議・４(まとめ１) |
【まとめ１】
■会報の特集記事を読んで気に掛かる個所、及びそれに関する私の意見を列挙し、まとめに入る。
� 嵳霾瓩蝓廚函岷人冕 廚箸いΩ斥佞瞭欝糎貪�使用への異議。
��安全面に関する問題への異議。
��試合に関する見解への異議。
�け乕陝∨〃舛慮Φ罎�
�イ修梁勝�
上の五つの問題点について以下に論じる。
■＜「乱捕り」と「運用法」という言葉の同義語的使用への異議＞
「乱捕り」…。少林寺拳法では「乱取り」と言わないが、これの意味は良く分からない。とにかく、昭和27年の機関紙に第三回大会における乱捕り戦を特集しているので、この言葉は相当早くから定着していたと思われる。しかしこれまで述べてきた通り、失敗の歴史を積み重ね、ついに乱捕りという言葉では組織的に立ち行かなくなった訳である…。
そこで、乱捕りに代わる新しい言葉が必要になった。それが「限定乱捕り」や「運用法」という言葉である。
私達拳士が乱捕りという時、そのイメージは明らかに対戦形式をイメージしている。それに対して、限定乱捕り、運用法は稽古法、練習法への、言ってみればイメージ・チェンジを意図した言葉である。ただし、同じようでも限定の意味は異なる。技を限定する意味と、攻守を限定する意味がある。今日の運用法＝乱捕りの研究は後者の方向で進んで来たのである。
■実は開祖も昭和30年の教範で、当時すでに一般的であったで乱捕りという言葉使いを避け、あえて「乱げいこに就いて」と表現し、競技的なイメージからの脱却を図られている。
創始８年目にして乱捕りの弊害を感じられ、今日と同じように乱捕りに対する意識を変えようとされたのであろう。五行の文中に、一言たりと「乱捕り」という言葉は用いられていない。
五行をたった五行というなら、その中に「乱げいこ」という言葉を五回も使用されている…。
■さて、今回、書きたい放題の乱捕りシリーズ？の中で、「乱捕り問題の推移/年表・２」（2003年03月04日）に引用した、司馬遼太郎氏の言葉を思い出してもらいたい。
＊「ことばの問題というのは、新しい言葉ができても実質上はかわらない。」
私は、少林寺拳法における乱捕りの問題が難航するのは、乱捕りという言葉をそのままに、何かを変えようすることにあるからだと気が付いた。
乱捕りという言葉はどう繕っても、試合にしろ、稽古・練習にしろ対戦形式なのである。だから、「運用法＝乱捕り」、あるいは「乱捕り＝運用法」とやってしまうと、結局、前に進めず、気が付かないうちに元に戻ってしまう危険性があるのだ。
■会報二月号を見て頂きたい。こんな個所がある。
＊「…たとえば、“立合評価法”をやっているとき、カーッとなったり、アツくなって平常心が失われてしまう場合がよく(←驚いた)あります。/31ページ」
これは、無意識が運用法は乱捕り＝対戦であるとイメージしているところから来るのである。私の道場では良く乱捕りはしないが、私のイメージする乱捕り？は良く行わせている。なんと言ったら良いか…私の頭の中で“乱捕りは死語”となっている。道院生達はカーッとなるなどという精神状態には陥らない。監督している学生達にしても同様である。説明は省力する。
したがって、＊「新しい展望が開けつつある。/会報二月号」という時期に、三月号で語られているように、運用法と乱捕りを同義に使うのは止めた方が良い。
―― 「乱捕り」という言葉を少林寺拳法から消すことが必要であると結論する。――
したがって、以後は問題点を述べる以外、極力「運用法」に統一する。個人的には「応用修練(法)」としたいが…。
■尚、上の文中にさらに二点の問題点が存在する。
海音寺潮五郎氏の言葉、＊「(中略)そのため言葉が現実を支配するという珍妙なことも起きる。」(「乱捕り問題の推移/年表・２/2003年03月04日(火)」)を同じく思い出してもらいたい。
「戦術組成」とうい言葉。最近の運用法指導に使用されているが、｢戦術｣は相手との対戦をイメージさせる言葉であり、別の言葉に変更するべきである。このような言葉で指導していては、無意識に対戦に向かい、カーッとなったり、アツくなるなという方が無理である。
■もうひとつ、拳士の(精神)レベルに差があり過ぎる…。そんな拳士の存在を前提に見知らぬ者同士に行わせれば、結果は見えている。次回に述べるが、果たして安全な防具でも大丈夫であろうか。
提示された運用法は、まず同じ道院、支部の拳士同士で行う前提の練習法と理解している。そうであれば、“立合評価法”(これも…「立合い」は剣術家が「いざ、立ち合え！」をイメージする戦闘的な言葉である)もそんなことにはなるまい。
とにかく、“よくある”という記述に驚いたのであった…。
（安全面に関する問題への異議・５/まとめ２に続く）
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