道院長の書きたい放題

2002年05月22日(水) ◆強者は強者を知る!

前回、「強者は強者を知る」と書きましたが、このことをもう少し書きたいと思います。

■「黄金背」というコオロギがいるそうです。中国ではコオロギを闘わせることが古くから盛んで、現在でも庶民の娯楽となっており、代々の皇帝も興じたといいます。

黄金背は金色の羽根を持ち、足腰?と攻撃の武器である口/顎が強く、古来から幻の最強コオロギと珍重されているそうです。一匹で、彼の地のカラーテレビが買える値段というから驚きです。その貴重なコオロギを大金をはたいて手に入れた一人の道楽者?の男性が、喜び勇んで仲間と共に名人である老師に見せに行くのです。

すると老師は、「(このコオロギ/黄金背を誉めようとせず)もっと本質を見る目を養いなさい!」と弟子を諭すのです。案の定、トレーニング/スパーリング?の最中に、なんと片方の足が取れてしまいます。「アイヤー!」。あっけない結末に師匠の言葉を思い起こしたか、なんとも情けない顔が印象的でした。(NHKテレビ放映)。

やはり…判るんですね!

■ 『史記』刺客列伝、秦王の暗殺を図る「荊軻」の中にある話です。

万全を期す為に頼りになる相棒を待っていると、燕の太子に臆したかと疑われます。それを潔しとせず、太子の推薦する若くして人を殺した男(名前は失念)と出立するのですが、荊軻は「…そんな者は本当の勇者ではない。大事を決行する頼りになろうはずがない」と残念がります。

これも案の定…(燕の)地図の中に毒を塗った短刀を隠し、その男に持たせて秦王に拝謁する途中、男は顔を青ざめ、ガタガタと震え出します。周囲は怪しみますが、荊軻は悠然と「この者は田舎者で、大王を前にして恐れ入っているのございます」と言い放ったと言います。おそらく、全くの平常心から発声したのでしょう。凄く強い、肝がすわった男ですね! 真似出来ません。というのは危ないですか…。もし荊軻が頼りになる相棒と決行したら…歴史/世界史は変わっていたでしょう。

それはともかく、やはり…判るんですね!

■ 話は異なりますが、物理的な「強」は武術の技を含めて、数量で逆転します。例えば徒手空拳の武術を何年修行していても、相手が刃物やバットを持った瞬間、条件はたちどころに対等か、それ以上に距離を詰められてしまいます。あるいは複数で掛かられても同様です。

開祖が見抜いた「強」。開祖が目指した「強」。本当の「強さ」を…武道/少林寺拳法の修行を通して理解したいですね。


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あつみ [MAIL]