| 2001年12月14日(金) |
【新聞切り抜き/テロ関連】 |
■12月14日付・読売社説(1)
[パレスチナ]「関係断絶はオスロ合意の死だ」
◆パレスチナ自治政府のアラファト議長が指導者の地位にとどまる限り、和平は不可能だと判断したのだろうか。
イスラエル政府が、アラファト議長との関係断絶を決めたことで、九三年以来、曲折を経ながらも、和平プロセスの基盤として保たれてきたオスロ合意が、実質的に崩壊した。
きっかけは、一向に終息しないパレスチナ人武装グループによる連続テロである。イスラエルは自治政府の治安施設などを報復空爆するとともに、議長を「もはや和平のパートナーではない」と決めつけた。
アラファト議長を和平交渉の席から引きずりおろす今回の決定は、自治政府を「テロ支援団体」と認定するなど、国際的な反テロ世論を追い風にしてきた、イスラエル政府の対応の延長線上にあると見ることができる。
確かに、議長の指導力、統治能力には疑問を抱かざるを得ない。
続発する過激派のテロ行為を抑止できずにいるのは、だれの目にも明らかだ。取り締まりを強化したと主張してはいるが、ほとんど成果は上がっていない。
議長に対するパレスチナ住民の支持も落ち込み、逆に、テロを繰り返すイスラム原理主義過激派ハマスの支持者が急速に増えている。いまや、パレスチナ自治区でも、「アラファト後」が公然と語られているという。
しかし、アラファト議長に代わって交渉相手になり得る指導者は見当たらない。イスラエルのシャロン首相もそれを理解できるはずだ。過激派が、議長に取って代われるわけがない。
そう見ると、イスラエル政府は、和平への努力を放棄したに等しいと言わざるを得ない。看過できない事態だ。決定の再考を求めたい。
一方、アラファト議長には、もう後がないという覚悟が必要で、過激派の取り締まりをさらに徹底しなければならない。国際社会も納得するような実績を上げなければ、議長自身の政治的延命は、もはやないだろう。
イスラエルは、パレスチナ自治区で独自の厳しいテロ組織摘発に乗り出す方針だが、力による対応が暴力の連鎖を誘発するのは必至だ。
その雲行きは、中東地域全体へも悪影響を及ぼしていくだろう。
米国は、特使を派遣し、仲介工作に乗り出していたが、その努力に冷水を浴びせられた格好だ。とは言え、その調停活動は和平をつなぎとめる命綱だ。米国には、これまで以上の忍耐強い調停を強く期待したい。
(12月13日22:18)
【感想】 パレスチナ情勢は目を離せません。同時テロの根源もここですからね。
シャロン氏がイスラエルの首相に就任した時にイヤな感じを受けましたが、反比例するようにアラファト議長が衰えて行くのにビックリします。単なる指導力とか影響力とかではなく、生命力の衰えにです。
あの状態では、明晰な判断など出来ないでしょう! あの人に代わる指導者がいないことが、悲劇に拍車をかけてしまいそうです。NO.2を育てなかったのかな?
民族と民族の対立は、日本人は海がありますから緩和されるのでしょうが、陸続きで隣り合ったり、同じ国土で存在する場合は、ちょっと、想像不可ですね…。
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