| 2001年12月12日(水) |
◆不思議な力(?)の存在! |
■少林寺拳法を修行していると不思議な力(?)に遭遇します。この話をしたいと思います。
□1.かれこれ十年くらい前になりますか。ある力の存在に気が付き、その後、他にも発見しました。そのうちの一つです。
壁に両腕を思い切り押さえ付けさせておいて、背中と壁に反発力を作って(肩甲骨の瞬間的な操作で)相手を跳ね反らすのです。相手はどんなに押さえてもダメです。
中野先生、御指導による第一回目の横浜講習会でのことでした。先生に両腕を持たれ、壁に強く押し付けられたのですが、これを利用して押し切り抜きで抜くことが出来ました。普通、先生に思い切り押さえられると、抜けないものなんです…。
ずっと以前、新宿体育館の関東武専でした。中野先生が膝抜き二種を指導されたことがありました。この抜き方の際に使用する手首を起こす力。これも相手は止めることが出来ません。
□2.中国武術には“ケイ(漢字が無い!)”という力/概念があるようですが、私が感じたこの力は、例えば、矢筈抜きに使ったり、突きに使ったりする事が出来ます。特に突きに関しては、空手が肘を後方に引くのは、この力を発生しやすくしているのではないかと想像しています。
運動生理学によると、筋肉は120%伸張すると最大の力を発揮することになります。一般的な運動フォームは、この筋力の力/バックモーションを得る為に工夫されるのです。対人動作でない運動種目なら、バックモーションが許されます。しかし、武道は相手が攻撃して来る対人動作ですから、これは許されません。ボクシングでは、その瞬間にカウンターパンチが来ます。
肩の付け根をクラッチ状(切る、繋ぐ、半分繋ぎ離すなどがある)に使用して身体を回旋すると、肩甲部に力が溜まる。ないしは大胸筋の部分が伸張され、一瞬ですが空手の突きのような形になります。おそらく空手もその後、単純な筋肉の操作にだけよるのではなく、肩甲骨を瞬間に閉じる(表現が難しい)操作を下肢、腰背部の関節操作を連動させて行うのだと思います。
□3.私が感じた“ある力”のひとつは、肩甲部の開閉時に生じるものでした。
縦拳と横拳の比較では、上段の突き方は不一致、中段は一致。そして、出力系統(?)では、実は空手と少林寺拳法に共通点があるのでした。つまり、空手は事前にその形を作り、少林寺拳法ではバックモーションにならぬように、動作中に(同じ?)出力形を作っていたのです。
私達はこの練習/肩の切りを龍王拳でやっていますね…。
例えば、片手寄り抜き。片手を自分から上げるのではなく、肩を切って(表現が難しい)寄るから、一見自分から腕を離したように見えるのです。肩が切れないと相手に突っ張られて寄れませんので、結果、上げてしまうのです。
突きを、肘を正面から絞るように真っ直ぐ出す拳士がいますが、私は、少林寺拳法の出力系統とは異なる突き方だと思います。極めて自然体から突けるのがこの方法/ある力なのであり、相手に衣服をつかまれるなど、接近時、非常に突き易い突きです。剛法の突き方と柔法の突き方が別々では基本の習得に倍の時間と手間が掛かります。剛柔の整合性が大切なのです。
開祖は、「突きを本気でやれば、ここの筋肉が付くんだ」と言われたことがあります。そこは、広背筋の脇の下の部分でした。何か関係があるのでしょうか…?
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