道院長の書きたい放題

2001年12月11日(火) ◆関連切りぬき/運動関連

■マリシュ 強さの秘密は「筋肉」

 ◆母国ポーランドの科学者が訓練法指導 理論上は「完ぺき」

 スキージャンプのW杯で、昨シーズン21戦中11勝。今季もすでに5戦中3勝と、圧倒的な強さを見せるアダム・マリシュ(ポーランド)。本人やコーチが一様に口を閉ざす、トレーニングの秘密の一端を探った。(オーストリア・フィラハで、結城和香子)

 ●99年春、冬季競技の強化に頭を抱えていたポーランドの五輪委は、科学者たちを講演に招いた。そのなかにいたのが、クラカウ大のイエルズィ・ゾラズ教授(筋肉生理学)で、当時、強化法の混乱から泥沼にはまり込んでいたマリシュに手を差し伸べた。教授は現在、科学理論に基づいて、マリシュの練習計画を策定し、W杯中も同行する。教授によると、基本は、特殊な筋肉強化法にあるという。

 「飛ぶ」ことを要求されるジャンプ選手の筋肉は、重さ当たりのパワー効率を最大にすることが課題。教授は、遠くに飛ぶのに必要な筋肉の動きを分析し、最小限で達成できるよう、筋肉の収縮速度をつかさどるミオシンという物質の量を調節することを考えた。ミオシンは筋組織中のたんぱく質で、3種類の成分があり、それぞれ持久系、瞬発系、その中間の筋肉収縮速度をコントロールする。「この3種類の適正なバランスがカギ。私は、それぞれの種類のミオシンだけを増やす特殊な訓練法に、日ごとの訓練内容に合わせて良質たんぱくを補う栄養指導を組み合わせて、マリシュに課した」と教授は言う。

 「当初、コーチは『この訓練法は我々がやってきたことと180度違う、責任が取れるのか』と私に迫った。でもマリシュは信じてついて来た。今や彼の筋肉は、理論的にほぼ完ぺきの域に達している」。サッツ(踏み切り)の高さ、V字飛型の維持など技術的な向上は、それを可能にする筋肉がついたためという。

 「マリシュの、小柄であることや軽量であることは特に利点ではない。要は筋肉の質の問題だ。その意味で、日本の船木や吉岡は、いい潜在力を持っているよ」。“鳥人”を作り上げた教授は、そう言って意味ありげに笑った。
 

【感想】
日本武道では丹田。中国武術では気が動作の中で重要視されますが、人体が骨格、筋肉、神経系で動く以上、科学/運動生理学も無視できないと思います。

この記事で興味深いのは、『この訓練法は我々がやってきたことと180度違う』という個所です。科学が発達し、スポーツ生理学も進歩したのに、人間の仕組みやトレーニング方法については、まだまだ未知の部分があるのですね…。

多分、必要な筋肉を科学的に鍛えるのであって、闇雲な筋トレを実践したのではないのでしょう。非常に興味があります。

そして改めて、武道の上達には食も大事なんですね。きっと! 良く、武道をやる人はお酒を飲みますが、神経系統にはあまり良くないような気がします…。





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あつみ [MAIL]