doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 ウメ子フチに学ぶ / 小助川 勝義

アイヌ文化の伝承者で、ウポポ(アイヌ語で歌の意)とムックリ(アイヌ民族の口琴)の第一人者として知られる故・安東ウメ子さん(1932-2004)。安東ウメ子さんをムックリ奏者として世に送り出し、北海道幕別町教育委員会から発売されたウメ子さんの2枚のCDとDVD1枚を制作・監修したのが、小助川 勝義氏である。

小助川氏は、北海道十勝管内の小・中学校の元教員及び校長。現在、マクンベツアイヌ文化伝承保存会会長などを務める小助川氏が、約1年前に「ウメ子フチに学ぶ」と題して語った1時間半の講演を文章化したPDFファイルが下記で読める。今月あるいは先月?アップされた模様。
[PDFファイル] ウメ子フチに学ぶ 講師 小助川 勝義(2007年8月29日札幌および同年9月28日函館 18:30〜20:00, 「アイヌ文化振興・研究推進機構」のアイヌ文化普及啓発セミナーにて)
安東ウメ子さんが小学校に通わなくなったある出来事や、作曲家・伊福部 昭先生をお招きしてのウメ子さんのDVD『けうとぅむ』完成記念公演の計画といった、小助川氏ならではの知られざるエピソードの紹介もあり。安東ウメ子さんのファンの方必読といえよう。

個人的に最も着目&初めて知ったのが、大腸がんを患った後もトンコリ奏者のOKIとの音楽活動(北海道から遠く離れた地でのライヴなどで、2003年秋以降を指すと思われる)を続けるウメ子さんに対し、小助川氏は止めるべきとの「忠告」をしたこと。
だが、30年以上にわたるウメ子さんの良き理解者で、最も間近にいた小助川氏の「忠告」に従わず、ご自分の信念を貫かれたウメ子さん。そのおかげで、私はウメ子さんの『ウポポ サンケ』発売記念ライヴ(2004年1月31日, 東京・浅草)を観るという貴重な音楽体験ができたともいえるのだろう(音楽雑誌で読んだ記憶によると、このライヴの控え室でのウメ子さんは、本番直前まで体を横たえ、立ち上がるのもやっとの状態だったらしい)。

「アイヌの歌とムックリを伝えるのが今の私の使命」とおっしゃり、覚悟のうえで音楽活動に臨まれた安東ウメ子さんに改めて感謝申し上げたい。

安東ウメ子×OKI インタビュー (1)(『Wired Vision』, 初出『Hotwired Japan』2004年1月6日)
安東ウメ子さん死去 アイヌ楽器ムックリ演奏第一人者(『WEB TOKACHI』2004年7月16日)
アイヌ民族伝統の音楽を現代に伝承した安東ウメ子さん 7月15日死去、71歳「京都新聞 2004年9月2日 夕刊」(「paetok puyar BBS」2005/04/04)
ウメ子フチから学んだ民族の心〜けうとぅむ〜 / 小助川 勝義(『doo-bop days』2006年7月21日)

2008年08月28日(木)
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