doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 お鯉さん

百歳の元芸妓(げいぎ=芸者)、お鯉さんこと多田小餘綾(ただ・こゆるぎ)さん。阿波踊りの囃子唄「よしこの」を日本中に知らしめた徳島の有名人である。

先日、お鯉さんの百寿記念の自主制作CD『お鯉 -okoi- 唄声は時代(とき)を超えて』(40代後半から99歳の時の録音集)を聴き、その艶やかな美声に驚く。実年齢よりも20〜30歳若く聴こえる唄声といっても過言ではなく、三味線の技巧も年齢に伴う衰えを感じさせない。数えで十歳からの修行で培った唄と三味線の名人芸を、ご高齢でありながら見事なまでに維持しておられる。
お鯉さん77歳の時の小唄の数々が、私の特にお気に入り。まったくの自然体、しなやかな節回し、間(ま)の取り方などが何とも言えず魅力的だ。清らかで凛とした佇まいのある本作を聴くことによって、端唄・小唄に開眼しつつあるのかもしれない。

お鯉さんは今でもほぼ毎日、徳島の自宅で唄と三味線の指導にあたっておられるらしい。6月には、お鯉さんの百歳ライヴを追ったドキュメンタリー番組『お鯉〜百歳の踊り歌〜』が全国的に放映。8/12には徳島市立徳島城博物館でライヴが予定されているなど、百歳にしてバリバリの現役である。いつまでもお元気で活躍していただきたい。

試聴6曲(お鯉さんの80歳記念のCD『阿波の心』と91歳記念のCD『想い出の唄』より)

【訃報】お鯉さん逝く(『doo-bop days』2008年4月7日)

2007年06月30日(土)
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