doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 ルー・リード 『Metal Machine Music』etc.

「聴くに堪えない史上最低のアルバム」と評されることもある、ルー・リードの重要作『Metal Machine Music』(1975年発表, 邦題『無限大の幻覚』)。『Q Magazine』誌では、ワースト・アルバムの第4位に『Metal Machine Music』が選ばれたが(『BARKS』2006-03-28)、私は今でも年に何回かは『Metal Machine Music』(全64分04秒)をすべて聴いている。
それは、多重録音のフィードバック・ギターと3台のアンプによる耳をつんざくノイズの嵐・音響に、ヘッドホンを装着し、音量を少し上げて対峙すると、やがて、ストレスやフラストレーションを抱え込む私の病んだ心、歪んだ精神が浄化されていくような感覚へと至らしめてくれるからだろう。
現代音楽寄りでロックの辺境に位置する『Metal Machine Music』は、音楽ファンの多くにとっては苦痛が生じうる“劇薬”であろうし、前述の“効能”は一部の人にしか望めそうにない。“服用”するにしても長期的に常用するのは厳しいはずだ。

余談などを3つほど。ルー・リードは2004年に来日した時の『THE DIG』誌のインタビューで、「『Metal Machine Music』のコンセプトは、オーネット・コールマンの音楽とロックのパワーの融合」といった趣旨のことを語っている。
1965年4月にニューヨークで録音されたドローン/ミニマル・ミュージックの“永久音楽劇場”『ドリーム・シンジケート/Vol.1』(John Cale/Tony Conrad/Angus Maclise/La Monte Young/Marian Zazeelaの『Inside The Dream Syndicate Volume 1: Day Of Niagara(1965)』, 2001年日本盤発売)を初めて聴いた時、ラ・モンテ・ヤング(ドリーム・シンジケート)、ジョン・ケイル在籍時のヴェルヴェット・アンダーグラウンド、そしてルー・リードの『Metal Machine Music』が一本の線で繋がる様が見え、合点がいった。
ルー・リードが2003年に発表した『The Raven』の2CD限定盤に収録されている「Fire Music」(ディスク2の20曲目)は、『Metal Machine Music』のアップデート版の小品と言える。アメリカ同時多発テロ事件「9.11」に触発されて作ったかのようで、ルーの熱心なファン必聴である。

ソウル/ファンク再発天国♪(『HMV』8/17)によると、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの初期4作(『Whole New Thing』、『Dance To The Music』、『Life』、『Greatest Hits』)が、リマスター&ボーナス・トラック追加で10/4に発売予定(US盤)とのこと(→[追記] 10/2に『HMV』から届いたメールによると、「発売日が延期未定」となった)。「さらに後期の作品も再発される予定」らしい。

Carl Craig『From The Vault』発売記念インタビュー(『HMV』8/29)
カール・クレイグは、自身の音楽人生に最も影響を与えたアルバム3枚を聞かれ、Manuel Gottschingの『E2-E4』 、Princeの『Dirty Mind』、Funkadelicの『Uncle Jam Wants You』を挙げている。

2006年09月03日(日)
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