doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 寺内タケシ、美空ひばり、弘田三枝子

美空ひばりの2枚組CD『Love! Misora Hibari Jazz & Standard Complete Collection 1955-1966』(7/20発売)は、タイトルの一部の『〜Jazz & Standard Complete Collection〜』が誤解を与えかねない。
一見すると、美空ひばりが歌ったジャズ&スタンダードが2枚のCDに完全収録されているようだが、本作は、美空ひばりが吹き込んだジャズ&スタンダードのカヴァー曲の中から、1955〜66年録音の曲を対象に収録している(SP盤とライヴ録音を除く)。よって、美空ひばりが16歳の時の1953年に録音された2曲&いずれもドリス・デイで知られる曲のカヴァー「Shanghai(上海)」と「Again(アゲイン)」は収録されていない。
この2曲は、1990年にCD化された『Jazz & Standards』に収録されているが、『Jazz & Standards』収録曲の中でもベストの歌唱・歌声かもしれないだけに、『Love! Misora Hibari〜』に未収録となってしまったのは実に痛い。
『美空ひばり公式ウェブサイト』で調べたところ、美空ひばりは1953年に「Shanghai(上海)」や「Again」の他にも、「Stardust」(1965年に再録)を始めとするカヴァー曲をいくつか吹き込んでいる。
美空ひばりが“演歌の女王”と呼ばれる前、特に10代の頃の歌唱・歌声に魅力を感じる私としては、1953年に録音した全カヴァー音源も、いつの日にかCD化されるよう願っている(「Shanghai(上海)」と「Again」には、戦前のブルーズのレコードのような耳障りなノイズが全編に渡って入っているが、全曲そうであっても構わない)。

CD『弘田三枝子 日本民謡を唄う』(1963年作, 初CD化, 8/17発売)を昨日(8/21)初めて聴き、当時16歳の弘田三枝子の歌唱・歌声に衝撃を受ける。前から気になっていたCD『弘田三枝子 スタンダードを唄う』(3/16発売, 試聴)など、10代の頃の弘田三枝子のCDをいくつか慌てて注文した。
弘田三枝子は、1965年7月にアメリカで行われたニューポート・ジャズ・フェスティヴァルに、日本人歌手として初めて出演(当時18歳)。大瀧詠一や山下達郎なども弘田三枝子のことをリスペクトしているらしい。
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初めて聴いたビートルズのアルバムは、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(LP)だった。「イエスタデイ」や「レット・イット・ビー」程度のイメージしかビートルズに対して抱いていなかった当時の私は、LP『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』を初めて聴いた時、個人的な音楽史に太字で刻まれる程の大いなるショックを受けた。
CD『寺内タケシの真相 〜 Progressive Terry! depth of Takeshi Terauchi』(6/5発売, Bridge Inc.)を先月購入。CD『寺内タケシの真相 〜』を初めて聴いた時、『Sgt. Pepper's 〜』程ではないものの、同じようなショックを受けた。
海外の超大物ギタリストが来日した際、会いたい日本のミュージシャンの筆頭として寺内タケシの名が挙げられるのは知っている。そのくらい寺内タケシはギタリストとして凄い人なのだろうと以前から思ってはいたが、ギタリストとしてはもちろん、一人の音楽家としてもそうであると、CD『寺内タケシの真相 〜』を聴き、遅まきながら知った。
壮大なスケールの寺内タケシ流プログレ、三橋美智也の三味線vs寺内タケシのエレキ・ギターによる緊迫の極致たるバトル、禅寺で座禅を行っている様子・空間にハプニング的笑い等を挿入して作品化したミュージック・コンクレートなど、CD『寺内タケシの真相 〜』を半分も聴かないうちに、テケテケや日本版ヴェンチャーズ等といった“私の寺内タケシ観”は完全に覆された。
寺内タケシは、海外の音楽のカヴァーや要素を取り入れた曲であっても、「日本」という自らの根幹・ルーツを決して蔑ろにしない。その上で“Progressive”な音楽を追求し、作品として世に問う“Terry”こと寺内タケシの“野心的なサウンド”が、1967〜74年発表のプログレッシヴな楽曲で構成された本コンピレーションCD『寺内タケシの真相 〜 Progressive Terry! 』において、はっきりと聴ける。
恐るべし、寺内タケシ。選曲した田口史人氏も評価されるべき。

2005年08月22日(月)
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